| 【発明の名称】 |
家畜の搾乳システム |
| 【発明者】 |
【氏名】櫛引 史郎
【氏名】齋藤 文也
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| 【要約】 |
【課題】メラトニン含有量のできるだけ多い生乳を確実に搾乳できるようにし、メラトニン濃度が高く高品質の生乳を得ることができるようにするとともに、搾乳作業や品質管理を容易にし生産効率の向上を図る。
【構成】家畜の生乳中に含まれるメラトニンの量の多少に応じて生乳を貯留する複数のタンクBa,Bbを備え、家畜の生乳中に含まれるメラトニンの量に対して関係があるファクタに係るファクタ量としての照度値を検知する検知手段10を設け、搾乳ロボットSから複数の各タンクBa,Bbに夫々到る送給管Ka,Kbを配管し、各送給管Ka,Kbのいずれかを開放し他を遮断する切換バルブVを設け、上記の検知手段10により検知されるファクタ量に基づいてメラトニン量の多少を判別して対応するタンクBa,Bbに搾乳ロボットSからの生乳が貯留されるように切換バルブVを切換える制御部20を備えた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 家畜から搾乳ロボットにより生乳を搾乳してタンクに貯留する家畜の搾乳システムにおいて、 上記タンクとして、家畜の生乳中に含まれるメラトニンの量の多少に応じて生乳を貯留する複数のタンクを備え、上記家畜の生乳中に含まれるメラトニンの量に対して関係があるファクタに係るファクタ量を検知する検知手段を設け、該検知手段により検知されるファクタ量に基づいてメラトニン量の多少を判別して対応するタンクに搾乳ロボットからの生乳が貯留されるようにしたことを特徴とする家畜の搾乳システム。 【請求項2】 上記ファクタが、家畜周囲の照度,家畜の血圧,家畜の体温,家畜の心拍の少なくとも何れかのファクタであることを特徴とする請求項1記載の家畜の搾乳システム。 【請求項3】 上記搾乳ロボットから上記複数の各タンクに夫々到る送給管を配管し、該各送給管のいずれかを開放し他を遮断する切換バルブを設け、上記検知手段により検知されるファクタ量に基づいてメラトニン量の多少を判別して対応するタンクに上記搾乳ロボットからの生乳が送給されるように上記切換バルブを切換える制御部を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の家畜の搾乳システム。 【請求項4】 上記タンクとして、上記メラトニン量が多い生乳を貯留する多量側タンク及び上記メラトニン量が少ない生乳を貯留する少量側タンクを備え、 上記搾乳ロボットから上記多量側タンクに到る多量側送給管及び上記搾乳ロボットから上記少量側タンクに到る少量側送給管を設け、 該多量側送給管及び少量側送給管の開放及び遮断を切換える切換バルブを設け、 上記制御部を、 上記検知手段が検知したファクタ量が予め定められた基準値よりもメラトニン量が少ないとする少量側数値から当該基準値に移行したときメラトニン量が多量と判別する一方、上記検知手段が検知したファクタ量が予め定められた基準値よりもメラトニン量が多いとする多量側数値から当該基準値に移行したときメラトニン量が少量と判別する判別手段と、 該判別手段が多量であると判別したとき上記切換バルブを切換えて上記多量側送給管を開放し且つ上記少量側送給管を遮断する一方、上記判別手段が少量と判別したとき上記切換バルブを切換えて上記多量側送給管を遮断し且つ上記少量側送給管を開放する切換え手段とを備えて構成したことを特徴とする請求項3記載の家畜の搾乳システム。 【請求項5】 上記判別手段は、上記検知手段が検知したファクタ量が上記基準値を含み当該基準値よりも多量側数値が所要時間継続したときメラトニン量が多量と判別する一方、上記検知手段が検知したファクタ量が上記基準値を含み当該基準値よりも少量側数値が所要時間継続したときメラトニン量が少量と判別することを特徴とする請求項4記載の家畜の搾乳システム。 【請求項6】 上記メラトニン量の多少に応じて生乳を貯留する複数のタンクを備え、該各タンク毎に専用の搾乳ロボットを設け、上記検知手段により検知されるファクタ量に基づいてメラトニン量の多少を判別して対応するタンクの搾乳ロボットの使用を許容し他の搾乳ロボットの使用を不能にする制御部を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の家畜の搾乳システム。 【請求項7】 上記タンクとして、上記メラトニン量が多い生乳を貯留する多量側タンク及び上記メラトニン量が少ない生乳を貯留する少量側タンクを備え、 上記搾乳ロボットとして、上記多量側タンク専用の多量側搾乳ロボット及び上記少量側タンク専用の少量側搾乳ロボットを備え、 上記制御部を、 上記検知手段が検知したファクタ量が予め定められた基準値よりもメラトニン量が少ないとする少量側数値から当該基準値に移行したときメラトニン量が多量と判別する一方、上記検知手段が検知したファクタ量が予め定められた基準値よりもメラトニン量が多いとする多量側数値から当該基準値に移行したときメラトニン量が少量と判別する判別手段と、 該判別手段が多量であると判別したとき上記多量側搾乳ロボットの使用を許容し且つ上記少量側搾乳ロボットの使用を不能にする一方、上記判別手段が少量と判別したとき上記多量側搾乳ロボットの使用を不能にし且つ上記少量側搾乳ロボットの使用を許容する切換え手段とを備えて構成したことを特徴とする請求項6記載の家畜の搾乳システム。 【請求項8】 上記判別手段は、上記検知手段が検知したファクタ量が上記基準値を含み当該基準値よりも多量側数値が所要時間継続したときメラトニン量が多量と判別する一方、上記検知手段が検知したファクタ量が上記基準値を含み当該基準値よりも少量側数値が所要時間継続したときメラトニン量が少量と判別することを特徴とする請求項7記載の家畜の搾乳システム。 【請求項9】 メラトニン量が多量と判別する基準値と、メラトニン量が少量と判別する基準値とを異ならせたことを特徴とする請求項4,5,7または8記載の家畜の搾乳システム。 【請求項10】 上記ファクタが照度であって、ファクタ量として照度L(単位Lux)を検知するとき、上記メラトニン量が多量と判別する基準値La(単位Lux)をLa≦15に設定し、上記メラトニン量が少量と判別する基準値Lb(単位Lux)を2≦Lbに設定したことを特徴とする請求項4,5,7,8または9記載の家畜の搾乳システム。 【請求項11】 上記ファクタが照度であるとき、上記検知手段は、ファクタ量である照度値を検知する照度センサを備えるとともに、該照度センサを、家畜が停留するストールであって停留する家畜の目の位置に対応する高さ位置に設けたことを特徴とする請求項1乃至10何れかに記載の家畜の搾乳システム。 【請求項12】 上記照度センサを、家畜が起立した起立位置及び家畜が臥した臥位置に対応した上下箇所であって各位置における家畜の両目に夫々対応した左右箇所の少なくとも4箇所に設けたことを特徴とする請求項11記載の家畜の搾乳システム。 【請求項13】 上記ファクタが照度であるとき、上記検知手段は、ファクタ量である照度値を検知する照度センサを備えるとともに、該照度センサを、家畜の目の近傍であって当該家畜に付帯させたことを特徴とする請求項1乃至10何れかに記載の家畜の搾乳システム。 【請求項14】 上記搾乳ロボットは、家畜の意思で当該搾乳ロボットの搾乳を受けることができるように、家畜が自由に移動できるフリーストール型畜舎施設に設置されていることを特徴とする請求項1乃至13何れかに記載の家畜の搾乳システム。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、乳牛,山羊などの家畜から搾乳ロボットにより生乳を搾乳してタンクに貯留する家畜の搾乳システムに係り、特に、家畜の生乳中に含まれるメラトニンの量の多少に応じて生乳を仕分ける家畜の搾乳システムに関する。 【背景技術】 【0002】 従来から、一般に睡眠ホルモンとも呼ばれるメラトニン(MEL)は、脳の松果体から分泌され、脈拍や体温、血圧を低下させ、睡眠を促す作用を持つ物質として知られている。このメラトニンの分泌は、光等の外部環境によって変化し、特に夜間に多く分泌される。 本願発明者らは、特に家畜としての乳牛において、その生乳中に含まれるメラトニンについて長年研究を重ねており、照度が乳牛の血漿及び生乳中のメラトニン濃度と相関関係があることを実証している(例えば、2003年度「日本畜産学会第101回大会」講演要旨VII29−01「光環境がホルスタイン種泌乳牛のメラトニン分泌に及ぼす影響」(非特許文献1)など参照)。 【0003】 また、近年、フィンランドを初め、メラトニン含有量の多い生乳を用いた所謂「ナイトミルク」といわれる牛乳も普及し始めている。メラトニンには上記のように睡眠を促す作用があることから、この牛乳は、睡眠前に飲用したり、時差ぼけ予防に飲用するなどの用に供されている。メラトニン含有量の多い生乳を搾乳する際は、生乳のメラトニンの量をリアルタイムで測定することができないので、夜間の牛舎が暗いときにメラトニンが多く分泌されることから、朝に搾乳を行なった生乳をメラトニンが多い生乳とし、夕方に搾乳を行なった生乳をメラトニンが少ない生乳として仕分けを行なっている。 【0004】 【非特許文献1】2003年度「日本畜産学会第101回大会」講演要旨VII29−01「光環境がホルスタイン種泌乳牛のメラトニン分泌に及ぼす影響」 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 ところで、従来、メラトニン含有量の多い生乳を搾乳する際は、朝に搾乳を行ない、この生乳をメラトニンが多い生乳としているが、乳牛の周囲の照度が変化すると、タイムラグがあるものの、生乳中のメラトニン含有量が急速に変化し、そのため、朝に搾乳を行なった生乳においては、メラトニン量のばらつきが多く、品質が安定しないという問題があった。即ち、季節の変化により夜明けの時間が変化することから、例えば、朝の搾乳が日の出から数十分も時間が過ぎると、それだけ、メラトニンが少ない生乳が多く混入し、また、夕方の搾乳後においてもまだ明るいときには、朝に搾乳する生乳に影響を与える。このようなことがないように、例えば、暗い間に搾乳することも考えられるが、搾乳作業や管理が煩雑になってしまい、生産効率を損ねてしまう。特に、乳牛が自由に移動できるフリーストール型畜舎施設のように、乳牛の意思で搾乳ロボットの搾乳を受けることができるようなシステムでは、搾乳の時間が乳牛毎にまちまちであり、より一層、品質管理を困難にしている。 【0006】 本発明は、上記の問題点に鑑みて為されたもので、メラトニン含有量のできるだけ多い生乳を確実に搾乳できるようにし、メラトニン濃度が高く高品質の生乳を得ることができるようにするとともに、搾乳作業や品質管理を容易にし生産効率の向上を図った家畜の搾乳システムを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 このような目的を達成するため本発明は、家畜から搾乳ロボットにより生乳を搾乳してタンクに貯留する家畜の搾乳システムにおいて、 上記タンクとして、家畜の生乳中に含まれるメラトニンの量の多少に応じて生乳を貯留する複数のタンクを備え、上記家畜の生乳中に含まれるメラトニンの量に対して関係があるファクタに係るファクタ量を検知する検知手段を設け、該検知手段により検知されるファクタ量に基づいてメラトニン量の多少を判別して対応するタンクに搾乳ロボットからの生乳が貯留されるようにした構成としている。 【0008】 これにより、検知手段においては、ファクタ量が検知されており、この検知結果に基づいて、メラトニン量が「多量」若しくは「少量」であるかが判別される。そして、搾乳時において、搾乳ロボットからの生乳がメラトニン量の多少に対応するタンクに貯留される。そのため、メラトニン含有量のできるだけ多い生乳が確実に搾乳されて対応するタンクに貯留されるようになり、メラトニン濃度が高く高品質の生乳を得ることができるようになる。また、検知手段の検知に基づいて搾乳ロボットから搾乳が行なわれるので、人手が不要になり、それだけ、搾乳作業や品質管理を容易にすることができ、生産効率の向上が図られる。 【0009】 そして、必要に応じ、上記ファクタが、家畜周囲の照度,家畜の血圧,家畜の体温,家畜の心拍の少なくとも何れかのファクタである構成としている。 【0010】 また、必要に応じ、上記搾乳ロボットから上記複数の各タンクに夫々到る送給管を配管し、該各送給管のいずれかを開放し他を遮断する切換バルブを設け、上記検知手段により検知されるファクタ量に基づいてメラトニン量の多少を判別して対応するタンクに上記搾乳ロボットからの生乳が送給されるように上記切換バルブを切換える制御部を備えた構成としている。検知手段の検知に基づいて切換バルブが切換えられて搾乳ロボットから搾乳された生乳が分別されるので、分別が確実に行なわれ、それだけメラトニン含有量のできるだけ多い生乳が確実にタンクに貯留されるようになり、メラトニン濃度が高く高品質の生乳を得ることができるようになるとともに、搾乳作業や品質管理を容易にすることができ、生産効率の向上が図られる。 【0011】 この場合、必要に応じ、上記タンクとして、上記メラトニン量が多い生乳を貯留する多量側タンク及び上記メラトニン量が少ない生乳を貯留する少量側タンクを備え、 上記搾乳ロボットから上記多量側タンクに到る多量側送給管及び上記搾乳ロボットから上記少量側タンクに到る少量側送給管を設け、 該多量側送給管及び少量側送給管の開放及び遮断を切換える切換バルブを設け、 上記制御部を、 上記検知手段が検知したファクタ量が予め定められた基準値よりもメラトニン量が少ないとする少量側数値から当該基準値に移行したときメラトニン量が多量と判別する一方、上記検知手段が検知したファクタ量が予め定められた基準値よりもメラトニン量が多いとする多量側数値から当該基準値に移行したときメラトニン量が少量と判別する判別手段と、 該判別手段が多量であると判別したとき上記切換バルブを切換えて上記多量側送給管を開放し且つ上記少量側送給管を遮断する一方、上記判別手段が少量と判別したとき上記切換バルブを切換えて上記多量側送給管を遮断し且つ上記少量側送給管を開放する切換え手段とを備えて構成している。 【0012】 これにより、検知手段においては、常時、ファクタ量が検知されており、制御部においては、判別手段がメラトニン量が「多量」若しくは「少量」であるかを判別している。即ち、ファクタ量が予め定められた基準値よりもメラトニン量が少ないとする少量側数値から当該基準値に移行するか否かを見ており、若しくは、ファクタ量が予め定められた基準値よりもメラトニン量が多いとする多量側数値から当該基準値に移行するか否かを見ている。 【0013】 そして、ファクタ値が少量側数値から基準値に移行すると、メラトニン量が「多量」と判別される。これにより、切換え手段が、切換バルブを切換えて多量側送給管を開放し且つ少量側送給管を遮断し、搾乳ロボットは多量側タンクに接続される。 この状態において、搾乳ロボットにより搾乳を行なうと、搾乳ロボットで搾乳された生乳は、多量側送給管を通って、多量側タンクに送給されて貯留される。この場合、搾乳された生乳はメラトニン量が高いものになっており、そのため、メラトニン含有量のできるだけ多い生乳が確実に搾乳されるとともに、多量側タンクには、メラトニン含有量のできるだけ多い生乳が貯留されるようになり、メラトニン濃度が高く高品質の生乳を得ることができるようになる。また、切換え手段により自動的に切り換わるので、切換えのための人手が不要になり、それだけ、搾乳作業や品質管理を容易にすることができ、生産効率の向上が図られる。 【0014】 また、多量側数値から基準値に移行すると、メラトニン量が「少量」と判別される。これにより、切換え手段が、切換バルブを切換えて多量側送給管を遮断し且つ少量側送給管を開放し、搾乳ロボットは少量側タンクに接続される。 この状態において、搾乳ロボットにより搾乳を行なうと、搾乳ロボットで搾乳された生乳は、少量側送給管を通って、少量側タンクに送給され、通常の生乳として貯留される。この場合、搾乳された比較的メラトニン量が低いとされる生乳は、多量側タンクには貯留されないことになる。そのため、多量側タンクには、メラトニン含有量のできるだけ多い生乳が貯留されるようになり、メラトニン濃度が高く高品質の生乳を得ることができるようになる。また、切換え手段により自動的に切り換わるので、切換えのための人手が不要になり、それだけ、搾乳作業や品質管理を容易にすることができ、生産効率の向上が図られる。 【0015】 また、必要に応じ、上記判別手段は、上記検知手段が検知したファクタ量が上記基準値を含み当該基準値よりも多量側数値が所要時間継続したときメラトニン量が多量と判別する一方、上記検知手段が検知したファクタ量が上記基準値を含み当該基準値よりも少量側数値が所要時間継続したときメラトニン量が少量と判別する構成としている。 ファクタ量の変化に対して、時間が遅延して生乳中のメラトニン量が変化する場合には、判別手段が、基準値になってから所要時間継続したとき、メラトニン量が「多量」若しくは「少量」であるかを判別するので、実際の生乳中のメラトニン量の変化に対応して生乳を分別することができ、メラトニン濃度が高く高品質の生乳を確実に得ることができるようになる。 【0016】 そしてまた、必要に応じ、上記メラトニン量の多少に応じて生乳を貯留する複数のタンクを備え、該各タンク毎に専用の搾乳ロボットを設け、上記検知手段により検知されるファクタ量に基づいてメラトニン量の多少を判別して対応するタンクの搾乳ロボットの使用を許容し他の搾乳ロボットの使用を不能にする制御部を備えた構成としている。検知手段の検知に基づいて搾乳ロボットが切換えられて用いられるので、分別が確実に行なわれ、それだけメラトニン含有量のできるだけ多い生乳が確実にタンクに貯留されるようになり、メラトニン濃度が高く高品質の生乳を得ることができるようになるとともに、搾乳作業や品質管理を容易にすることができ、生産効率の向上が図られる。 【0017】 この場合、必要に応じ、上記タンクとして、上記メラトニン量が多い生乳を貯留する多量側タンク及び上記メラトニン量が少ない生乳を貯留する少量側タンクを備え、 上記搾乳ロボットとして、上記多量側タンク専用の多量側搾乳ロボット及び上記少量側タンク専用の少量側搾乳ロボットを備え、 上記制御部を、 上記検知手段が検知したファクタ量が予め定められた基準値よりもメラトニン量が少ないとする少量側数値から当該基準値に移行したときメラトニン量が多量と判別する一方、上記検知手段が検知したファクタ量が予め定められた基準値よりもメラトニン量が多いとする多量側数値から当該基準値に移行したときメラトニン量が少量と判別する判別手段と、 該判別手段が多量であると判別したとき上記多量側搾乳ロボットの使用を許容し且つ上記少量側搾乳ロボットの使用を不能にする一方、上記判別手段が少量と判別したとき上記多量側搾乳ロボットの使用を不能にし且つ上記少量側搾乳ロボットの使用を許容する切換え手段とを備えて構成している。 【0018】 これにより、検知手段においては、常時、ファクタ量が検知されており、制御部においては、判別手段がメラトニン量が「多量」若しくは「少量」であるかを判別している。即ち、ファクタ量が予め定められた基準値よりもメラトニン量が少ないとする少量側数値から当該基準値に移行するか否かを見ており、若しくは、ファクタ量が予め定められた基準値よりもメラトニン量が多いとする多量側数値から当該基準値に移行するか否かを見ている。 【0019】 そして、ファクタ値が少量側数値から基準値に移行すると、メラトニン量が「多量」と判別される。これにより、切換え手段が、多量側搾乳ロボットの使用を許容し且つ少量側搾乳ロボットの使用を不能にする。このため、多量側搾乳ロボット側により搾乳が行なわれ、多量側搾乳ロボットで搾乳された生乳は、多量側タンクに送給されて貯留される。 また、ファクタ値が多量側数値から基準値に移行すると、メラトニン量が「少量」と判別される。これにより、切換え手段が、多量側搾乳ロボットの使用を不能にし且つ少量側搾乳ロボットの使用を許容する。このため、少量側搾乳ロボット側により搾乳が行なわれる。 この結果、多量側タンクには、メラトニン含有量のできるだけ多い生乳が貯留されるようになり、メラトニン濃度が高く高品質の生乳を得ることができるようになる。また、切換え手段により自動的に切り換わるので、切換えのための人手が不要になり、それだけ、搾乳作業や品質管理を容易にすることができ、生産効率の向上が図られる。 【0020】 また、必要に応じ、上記判別手段は、上記検知手段が検知したファクタ量が上記基準値を含み当該基準値よりも多量側数値が所要時間継続したときメラトニン量が多量と判別する一方、上記検知手段が検知したファクタ量が上記基準値を含み当該基準値よりも少量側数値が所要時間継続したときメラトニン量が少量と判別する構成としている。 ファクタ量の変化に対して、時間が遅延して生乳中のメラトニン量が変化する場合には、判別手段が、基準値になってから所要時間継続したとき、メラトニン量が「多量」若しくは「少量」であるかを判別するので、実際の生乳中のメラトニン量の変化に対応して生乳を分別することができ、メラトニン濃度が高く高品質の生乳を確実に得ることができるようになる。 【0021】 更にまた、必要に応じ、メラトニン量が多量と判別する基準値と、メラトニン量が少量と判別する基準値とを異ならせた構成としている。メラトニンの分泌は、ファクタによって変化するが、その変化過程は、メラトニン量の上昇時と下降時とで異なる場合があるが、メラトニン量の上昇時と下降時とで基準値を異ならせることで、実際の生乳中のメラトニン量の変化に対応して生乳を分別することができ、メラトニン濃度が高く高品質の生乳を確実に得ることができるようになる。 【0022】 また、必要に応じ、上記ファクタが照度であって、ファクタ量として照度L(単位Lux)を検知するとき、上記メラトニン量が多量と判別する基準値La(単位Lux)をLa≦15に設定し、上記メラトニン量が少量と判別する基準値Lb(単位Lux)を2≦Lbに設定した構成としている。望ましくは、La≦10、より望ましくは、La≦5である。LaがLbに比較して設定値が高いのは、自然光の場合には、ファクタ値が少量側数値から基準値Laに移行する際は日没時になり、日没においては暗くなる速度が比較的速いことから、安全値を取ったためである。 メラトニン量が最適になる照度値を基準値としたので、実際の生乳中のメラトニン量の変化に対応して生乳を分別することができ、メラトニン濃度が高く高品質の生乳を確実に得ることができるようになる。 【0023】 更に、必要に応じ、上記ファクタが照度であるとき、上記検知手段は、ファクタ量である照度値を検知する照度センサを備えるとともに、該照度センサを、家畜が停留するストールであって停留する家畜の目の位置に対応する高さ位置に設けた構成としている。家畜が夜間に主に停留するストールのあるところの照度を検知しているので、家畜の実情に合った照度を検知でき、それだけ、メラトニン量が確実に多い生乳を得易くすることができる。 【0024】 この場合、必要に応じ、上記照度センサを、家畜が起立した起立位置及び家畜が臥した臥位置に対応した上下箇所であって各位置における家畜の両目に夫々対応した左右箇所の少なくとも4箇所に設けた構成としている。位置の異なる照度値を平均して照度値としているので、それだけ、検知精度が向上させられる。 【0025】 また、この場合、必要に応じ、上記ファクタが照度であるとき、上記検知手段は、ファクタ量である照度値を検知する照度センサを備えるとともに、該照度センサを、家畜の目の近傍であって当該家畜に付帯させた構成としている。家畜の実情に合った照度を検知でき、それだけ、メラトニン量が確実に多い生乳を得易くすることができる。 【0026】 そしてまた、必要に応じ、上記搾乳ロボットは、家畜の意思で当該搾乳ロボットの搾乳を受けることができるように、家畜が自由に移動できるフリーストール型畜舎施設に設置されている構成としている。家畜の意思で搾乳ロボットの搾乳を受けることができるようなシステムなので、搾乳の時間が家畜毎にまちまちであるが、本発明はこれに対応でき、管理を容易にすることができる。 【発明の効果】 【0027】 本発明の家畜の搾乳システムによれば、検知手段の検知結果に基づいて、メラトニン量が「多量」若しくは「少量」であるかを判別し、搾乳時において、搾乳ロボットからの生乳をメラトニン量の多少に対応するタンクに貯留するので、メラトニン含有量のできるだけ多い生乳が確実に搾乳されて対応するタンクに貯留されるようになり、メラトニン濃度が高く高品質の生乳を得ることができるようになる。また、検知手段の検知に基づいて搾乳ロボットから搾乳が行なわれるので、人手が不要になり、それだけ、搾乳作業や品質管理を容易にすることができ、生産効率の向上を図ることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0028】 以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る家畜の搾乳システムについて詳細に説明する。 【0029】 図1及び図2に示すように、本発明の実施の形態に係る家畜の搾乳システムは、家畜として乳牛の生乳を搾乳するシステムであり、乳牛が自由に移動できるフリーストール型畜舎施設に設けられ、乳牛から搾乳ロボットSにより生乳を搾乳してタンクB(バルククーラ)に貯留する。 【0030】 フリーストール型畜舎施設は、例えば、図2に示すように、乳牛が出入り自由なストール1(牛床)を行列状に列設(図2では24床列設)してなる休息棟2と、休息棟2にパドック3を介して隣接され搾乳室4を備えた搾乳棟5とを備えている。搾乳室4は、乳牛がパドック3を通って出入り自由になっており、内部に周知の搾乳ロボットSが設置されている。これにより、家畜の意思で搾乳ロボットSの搾乳を受けることができるようになっている。6は搾乳の終わった乳牛が休息等に戻るための退避通路である。また、搾乳室4の隣には牛乳処理室7が設けられており、この牛乳処理室7に搾乳ロボットSで搾乳された生乳が貯留されるタンクB(バルククーラ)が設けられている。タンクBとしては、乳牛の生乳中に含まれるメラトニンの量の多少に応じて生乳を貯留する複数のタンクBa,Bbを備えている。 【0031】 メラトニン(MEL)は、上述もしたように、一般に睡眠ホルモンとも呼ばれ、脳の松果体から分泌され、脈拍や体温、血圧を低下させ、睡眠を促す作用を持つ物質として知られている。このメラトニンの分泌は、後記の実験例で示されるように、照度によって変化し、照度が乳牛の血漿及び生乳中のメラトニン濃度と相関関係があることが実証されている(図6乃至図9参照)。メラトニンの量としては、12〜15pg/ml以上の生乳を搾乳するのが望ましい、これ以下のメラトニン量のものを搾乳すると、メラトニン量のこれより高いものとの混合比にもよるが、品質が低下しやすい。 【0032】 実施の形態においては、タンクBとして、メラトニン量が多い生乳を貯留する多量側タンクBa(暗期バルククーラ)と、メラトニン量が少ない生乳を貯留する少量側タンクBb(明期バルククーラ)とを備えている。そして、搾乳ロボットSから生乳が送給されるメイン配管Kに分岐して接続され多量側タンクBaに到る多量側送給管Kaと搾乳ロボットSから生乳が送給されるメイン配管Kに分岐して接続され少量側タンクBbに到る少量側送給管Kbとが設けられている。このメイン配管Kの分岐点には、多量側送給管Ka及び少量側送給管Kbの開放及び遮断を切換える電磁弁などから構成される切換バルブVが設けられている。 【0033】 また、家畜の生乳中に含まれるメラトニンの量に対して所定の相関関係があるファクタに係るファクタ量を検知する検知手段10を設けている。本実施の形態では、メラトニンの分泌は、照度によって変化し、照度が乳牛の血漿及び生乳中のメラトニン濃度と相関関係があることから、ファクタを照度に設定し、検知手段10として、ファクタ量である照度値を検知する周知の照度センサ11(ルックス計)を用いている。 【0034】 検知手段10において、照度センサ11は、屋外または屋内の適宜の場所に設置してよいが、図3に示すように、実施の形態では、照度センサ11は、家畜が停留するストール1であって停留する家畜の目の位置に対応する高さ位置に設けられている。詳しくは、照度センサ11は、家畜が起立した起立位置及び家畜が臥した臥位置に対応した上下箇所であって各位置における家畜の両目に夫々対応した左右箇所の4箇所に設けている。この場合、ストール1のある休息棟2においては、例えば、夜間の照度が5ルックス未満に保たれ、窓ガラスの乱反射などを抑えて夜間の一時的な照明が乳牛の目に直接入射しないような環境を整えることが望ましい。 また、検知手段10は、図1に示すように、後述の制御部20内に設けられ、各照度センサ11が検知する照度値の平均値を照度値として算出する照度値算出手段12を備えている。 【0035】 そして、本実施の形態においては、検知手段10により検知されるファクタ量(照度値)に基づいてメラトニン量の多少を判別して対応するタンクBa,Bbに搾乳ロボットSからの生乳が送給されるように、切換バルブVを切換える制御部20を備えている。 制御部20は、コンピュータのCPUなどの機能によって実現され、図1に示すように、上記の照度値算出手段12と、判別手段21と、切換え手段22とを備えている。 【0036】 この判別手段21は、検知手段10の照度センサ11が検知し照度値算出手段12が算出したファクタ量(照度値)が予め定められた基準値Laよりもメラトニン量が少ないとする少量側数値から当該基準値Laに移行したときメラトニン量が「多量」と判別する一方、検知手段10が検知したファクタ量が予め定められた基準値Lbよりもメラトニン量が多いとする多量側数値から当該基準値Lbに移行したときメラトニン量が「少量」と判別する。この場合、メラトニン量が「多量」と判別する基準値Laと、メラトニン量が「少量」と判別する基準値Lbとは異ならせてある。 【0037】 また、判別手段21は、検知手段10の照度センサ11が検知し照度値算出手段12が算出したファクタ量(照度値)が、基準値Laを含み当該基準値Laよりも多量側数値が所要時間Ta継続したときメラトニン量が「多量」と判別する一方、検知手段10の照度センサ11が検知し照度値算出手段12が算出したファクタ量(照度値)が、基準値Lbを含み当該基準値Lbよりも少量側数値が所要時間Tb継続したときメラトニン量が「少量」と判別する。 【0038】 詳しくは、検知手段10のセンサは、日没時(メラトニン量が増加)と、日出時(メラトニン量が減少)とで、照度値の基準値La,Lbを変えるとともに、各々基準値La,Lbに移行してから判別まで所要時間Ta,Tbを設定している。具体的には、ファクタ量として照度L(単位Lux)を検知するとき、メラトニン量が多量と判別する基準値La(単位Lux)をLa≦15に設定し、所要時間Taを30min≦Ta≦120minとしている。一方、メラトニン量が少量と判別する基準値Lb(単位Lux)を2≦Lbに設定し、所要時間Tbを5min≦Tb≦15minとしている。 【0039】 実施の形態では、メラトニン量が多量と判別する基準値Laを、La=5Luxに設定し、その所要時間TaをTa=30minとしている。即ち、5Lux以下が30min継続したとき、メラトニン量が多量と判断する。 また、メラトニン量が少量と判別する基準値LbをLb=2とし、その所要時間Tbを、Tb=5minとしている。即ち、2Lux以上が5min継続したとき、メラトニン量が少量と判断する。 尚、この所要時間Ta,Tbの設定により、例えば、夜間に一時的に休息棟2の照明が点灯したり、自動車のライトが差し込んだりすることにより、照度差が検知されても、応答しないので、不用意な後述の切換バルブVの切換が抑制される。 【0040】 このような、照度値の基準値La,Lbは、以下のように決定した。乳牛の目の高さに照度センサ11を設置し、時刻毎に、右目と左目夫々1分間測定し、最大値と最小値から平均値を算出した。そして、図6及び図7に示すように、時刻毎に、乳牛の血漿メラトニン量を測定し、メラトニン量が最適になる照度値を基準値La,Lbとした。 【0041】 また、一般に、メラトニン(MEL)の分泌は、照度によって変化するが、その過程は、乳牛が目で照度変化を感知すると、先ず、血漿中のメラトニン量が変化し、次いで、時間が遅延して生乳中のメラトニン量が変化する。生乳中のメラトニンの上昇は、血漿中のメラトニン量の上昇より30分〜2時間遅れる傾向にあり、一方、生乳中のメラトニンの減少は、日出の前後で急激に変化するので、血漿中のメラトニンの減少との遅れは5〜15分ほどでタイムラグはほとんどないことが知られている。即ち、血漿中のメラトニン量の変化に対する生乳中のメラトニン量の変化の遅延は、日没後においては比較的応答が遅く、日出では比較的応答が速い。この結果を踏まえて、上記の所要時間Ta,Tbを設定した。 【0042】 また、制御部20においては、判別手段21が「多量」であると判別したとき、切換バルブVを切換えて多量側送給管Kaを開放し且つ少量側送給管Kbを遮断する一方、判別手段21が「少量」と判別したとき切換バルブVを切換えて多量側送給管Kaを遮断し且つ少量側送給管Kbを開放する切換え手段22を備えている。 【0043】 従って、この実施の形態に係る搾乳システムによれば、図4に示すフローチャートを用いて説明すると、以下のように搾乳が行なわれる。 検知手段10においては、常時、ストール1の照度が検知されている(S1)。即ち、4つの照度センサ11が乳牛が停留するストール1の照度を検知しており、照度値算出手段12において、各照度センサ11の検知結果を平均して照度値として算出している。この場合、位置の異なる照度値を平均して照度値としているので、それだけ、検知精度が向上させられる。また、乳牛が夜間に主に停留するストール1のあるところの照度を検知しているので、乳牛の実情に合った照度を検知でき、それだけ、メラトニン量が確実に多い生乳を得易くすることができる。 【0044】 制御部20においては、判別手段21がメラトニン量が「多量」若しくは「少量」であるかを判別している。即ち、照度値算出手段12が算出した照度値が予め定められた基準値Laよりもメラトニン量が少ないとする少量側数値から当該基準値Laに移行するか否かを見ており(S2)、若しくは、照度値算出手段12が算出した照度値が予め定められた基準値Lbよりもメラトニン量が多いとする多量側数値から当該基準値Lbに移行するか否かを見ている(S3)。 【0045】 そして、例えば、日没時においては、照度値が少量側数値から基準値Laに移行すると(S2Y)、更に、基準値Laを含み当該基準値Laよりも多量側数値が所要時間Ta継続するか否かを見る(S4)。所要時間Ta継続したとき(S4Y)は、メラトニン量が「多量」と判別する(S5)。実施の形態では、メラトニン量が多量と判別する基準値Laを、La=5Luxに設定し、その所要時間TaをTa=30minとしており、即ち、5Lux以下が30min継続したとき、メラトニン量が多量と判断する。 これにより、切換え手段22が、切換バルブVを切換えて多量側送給管Kaを開放し且つ少量側送給管Kbを遮断し(S6)、搾乳ロボットSは多量側タンクBaに接続される。 【0046】 この状態において、乳牛が、例えばストール1から移動して搾乳室4に行き、搾乳ロボットSにより搾乳を行なうと、搾乳ロボットSで搾乳された生乳は、多量側送給管Kaを通って、多量側タンクBaに送給されて貯留される。この場合、照度値が基準値Laに至って後30min経過してから、多量側送給管Kaを開放しているので、搾乳された生乳はメラトニン量が高いものになっており、そのため、メラトニン含有量のできるだけ多い生乳が確実に搾乳されるとともに、多量側タンクBaには、メラトニン含有量のできるだけ多い生乳が貯留されるようになり、メラトニン濃度が高く高品質の生乳を得ることができるようになる。また、切換え手段22により自動的に切り換わるので、切換えのための人手が不要になり、それだけ、搾乳作業や品質管理を容易にすることができ、生産効率の向上が図られる。 【0047】 また、例えば、日出時においては、多量側数値から基準値Lbに移行すると(S3Y)、更に、基準値Lbを含み当該基準値Lbよりも少量側数値が所要時間Tb継続するか否かを見る(S7)。所要時間Tb継続したとき(S7Y)は、メラトニン量が「少量」と判別する(S8)。また、実施の形態では、メラトニン量が少量と判別する基準値LbをLb=2とし、その所要時間Tbを、Tb=5minとしている。即ち、2Lux以上が5min継続したとき、メラトニン量が少量と判断する。 これにより、切換え手段22が、切換バルブVを切換えて多量側送給管Kaを遮断し且つ少量側送給管Kbを開放し(S9)、搾乳ロボットSは少量側タンクBbに接続される。 【0048】 この状態において、乳牛が、例えばストール1から移動して搾乳室4に行き、搾乳ロボットSにより搾乳を行なうと、搾乳ロボットSで搾乳された生乳は、少量側送給管Kbを通って、少量側タンクBbに送給され、通常の生乳として貯留される。この場合、照度値が基準値Lbに至って後5min経過してから、多量側送給管Kaを遮断しているので、搾乳された比較的メラトニン量が低いとされる生乳は、多量側タンクBaには貯留されないことになる。そのため、多量側タンクBaには、メラトニン含有量のできるだけ多い生乳が貯留されるようになり、メラトニン濃度が高く高品質の生乳を得ることができるようになる。また、切換え手段22により自動的に切り換わるので、切換えのための人手が不要になり、それだけ、搾乳作業や品質管理を容易にすることができ、生産効率の向上が図られる。 【0049】 図5には、本発明の別の実施の形態に係る家畜の搾乳システムを示している。このシステムは、上記と同様に、タンクBとして、メラトニン量が多い生乳を貯留する多量側タンクBa(暗期バルククーラ)と、メラトニン量が少ない生乳を貯留する少量側タンクBb(明期バルククーラ)とを備えている。そして、上記と異なって、多量側タンクBaと少量側タンクBbの各タンクB毎に専用の搾乳ロボットSa,Sbが設けられている。また、搾乳室4においては、多量側タンクBaに接続された搾乳ロボットSaに到る多量側通路30と、少量側タンクBbに接続された搾乳ロボットSb到る少量側通路31とが設けられている。更に、多量側通路30と少量側通路31の何れか一方に乳牛が導かれるように、多量側通路30を開にし少量側通路31を閉にして多量側搾乳ロボットSaの使用を許容し少量側搾乳ロボットSbの使用を不能にする多量側位置Xa、若しくは、多量側通路30を閉にし少量側通路31を開にして多量側搾乳ロボットSaの使用を不能にし少量側搾乳ロボットSbの使用を許容する少量側位置Xbの何れかに位置させられるモータ駆動型のゲート32と設けられている。 【0050】 また、検知手段10の構成は上記と略同じである。更に、実施の形態においては、上記検知手段10により検知されるファクタ量(照度値)に基づいてメラトニン量の多少を判別して対応するタンクBa,Bbの搾乳ロボットSa,Sbの使用を許容し他の搾乳ロボットSa,Sbの使用を不能にする制御部20を備えている。制御部20は、上記と同様の判別手段21を備え、上記とは異なる切換え手段22を備えている。詳しくは、制御部20の切換え手段22は、判別手段21が多量であると判別したとき多量側搾乳ロボットSaの使用を許容し少量側搾乳ロボットSbの使用を不能にする一方、判別手段21が少量と判別したとき多量側搾乳ロボットSaの使用を不能にし少量側搾乳ロボットSbの使用を許容する機能を備えて構成されている。具体的には、切換え手段22は、ゲート32のモータを駆動させて、ゲート32を多量側位置Xa若しくは少量側位置Xbの何れか一方に位置させる。 【0051】 従って、この別の実施の形態に係る搾乳システムによれば、上記と同様に、検知手段10においては、常時、ストール1の照度が検知され、制御部20においては、判別手段21はメラトニン量が「多量」若しくは「少量」であるかを判別している。 そして、例えば、日没時においては、メラトニン量が「多量」と判別すると、これにより、切換え手段22が、ゲート32を多量側位置Xaに切換えて多量側搾乳ロボットSaの使用を許容し少量側搾乳ロボットSbの使用を不能にする。この状態において、乳牛が、例えばストール1から移動して搾乳室4に行くと、多量側搾乳ロボットSa側に導かれこれにより搾乳が行なわれる。多量側搾乳ロボットSaで搾乳された生乳は、多量側タンクBaに送給されて貯留される。 【0052】 また、例えば、日出時においては、メラトニン量が「少量」と判別すると、これにより、切換え手段22が、ゲート32を少量側位置Xbに切換えて多量側搾乳ロボットSaの使用を不能にし少量側搾乳ロボットSbの使用を許容する。この状態において、乳牛が、例えばストール1から移動して搾乳室4に行くと、少量側搾乳ロボットSb側に導かれこれにより搾乳が行なわれる。少量側搾乳ロボットSbで搾乳された生乳は、少量側タンクBbに送給されて貯留される。 この実施の形態に係る搾乳システムによっても、多量側タンクBaには、メラトニン含有量のできるだけ多い生乳が貯留されるようになり、メラトニン濃度が高く高品質の生乳を得ることができるようになる。また、切換え手段22によりゲート32が自動的に切り換わるので、切換えのための人手が不要になり、それだけ、搾乳作業や品質管理を容易にすることができ、生産効率の向上が図られる。 【0053】 尚、上記の別の実施の形態においては、ゲート32の選択的な開閉により、多量側搾乳ロボットSa若しくは少量側搾乳ロボットSbの使用を許容するようにしているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、多量側搾乳ロボットSa及び少量側搾乳ロボットSbを、例えば収納庫に入れて、使用したいロボットのみを収納庫から自動で引出して使用するように構成してもよく、適宜変更して差支えない。 【0054】 また、上記実施の形態においては、照度センサ11をストール1に設けたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、休息棟2の窓部あるいは屋根等の屋外に設けてもよく、適宜変更して差支えない。 【0055】 また、家畜自体に付帯させても良い。この場合、照度センサ11を、家畜の目の近傍に設けることが望ましい。このような家畜への付帯の際には、周知のICタグを用いることができる。 【0056】 尚また、上記実施の形態においては、ファクタとして照度を選択したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、家畜の生乳中に含まれるメラトニンの量に対して関係があるファクタであれば、どのようなファクタを選択しても良い。例えば、家畜の血圧,家畜の体温,家畜の心拍等が挙げられる。以下、その内容を説明する。 【0057】 (1)「血圧」 夜間などの睡眠中は、血液中のメラトニン量(生乳中のメラトニン量)は高くなり、一般に血圧は低くなる一方、日中の起きているときは、血液中のメラトニン量(生乳中のメラトニン量)は低くなり、一般に血圧は高くなるので、血圧と血液中のメラトニン量(生乳中のメラトニン量)とは密接な関係を有する。このため、検知手段として血圧値を測定できる血圧計を家畜に付帯すれば、上記と同様の制御を行なうことができる。 【0058】 (2)「体温」 夜間などの睡眠中は、血液中のメラトニン量(生乳中のメラトニン量)は高くなり、一般に体温は低くなる一方、日中の起きているときは、血液中のメラトニン量(生乳中のメラトニン量)は低くなり、一般に体温は高くなるので、体温と血液中のメラトニン量(生乳中のメラトニン量)とは密接な関係を有する。このため、検知手段として体温を測定できる温度計を家畜に付帯すれば、上記と同様の制御を行なうことができる。 【0059】 (3)「心拍数」 夜間などの睡眠中は、血液中のメラトニン量(生乳中のメラトニン量)は高くなり、一般に心拍数は低くなる一方、日中の起きているときは、血液中のメラトニン量(生乳中のメラトニン量)は低くなり、一般に心拍数は高くなるので、心拍数と血液中のメラトニン量(生乳中のメラトニン量)とは密接な関係を有する。このため、検知手段として心拍数を測定できる計器を家畜に付帯すれば、上記と同様の制御を行なうことができる。 【0060】 次に、実験例について示す。 [実験例1] 乳牛における血漿メラトニン濃度と照度との関係を、下記の方法により調べた。 ・乳牛の種類;ホルスタイン種雌牛で泌乳中の乳牛を用いた。 ・乳牛の数;6頭 ・乳牛の環境条件;畜舎内で各牛は同じ場所に繋いで飼養。畜舎の壁には窓があり、太陽光が入るとともに外界の明るさが解るようになっている。夕方4時から翌朝9時までは、畜舎内の照明は一切点灯しない。 ・血液の採取方法;各6頭の乳牛について、乳牛の左側頚静脈にカニューレを装着して、採血時に疼痛刺激を与えないように経時的に採血した。作業時にも補助光は用いなかった。 ・血液中のメラトニンの測定方法;ラジオイムノアッセイにより牛血液中のメラトニンを特異的に測定する方法を用いた。 ・生乳の採取方法;各6頭の乳牛について、3日間に亘り、午前5:00(第一日目),午前6:00(第二日目),午前6:30(第三日目)の夜明け前後の時間に搾乳した。 ・生乳中のメラトニンの測定方法;上記と同様のラジオイムノアッセイにより、夫々の生乳中のメラトニン量を測定し、平均値を算出した。 ・光の測定方法;乳牛の飼育場所において、乳牛の目の高さにおける外部からの光を測定する。図3に示すように、乳牛の目の高さに照度センサ11を設置し、上下の照度センサ11において右目と左目夫々1分間測定して最大値と最小値を求め、これらの値から平均値を算出した。 【0061】 結果を図6に示す。この結果から、畜舎内を自然光条件にすると、畜舎内の照度が高くなる昼間(日の出から日の入りまで)は血液中メラトニン濃度は低下するが、畜舎内の照度が低くなる夜間(日の入りから日の出まで)は血液中メラトニン濃度は高くなる。したがって、血液中のメラトニン濃度は昼夜の光環境に制御されることが明らかになった。 【0062】 また、図7に、日出時前後のメラトニンの量変化を拡大して示す。 この結果から、日の出前の真っ暗な朝5時(0Lux)に比べて、地平線が白々としてくる日の出時刻である朝6時(0.5〜1.5Lux)では牛乳中メラトニン濃度が約30%低下する。さらに日の出後の明るい時刻である朝6時30分(15〜30Lux)には、日の出前の朝5時に比べて約80%も低下する。したがって、牛は外界の明るさの変化で日の出すなわち朝を感じるとメラトニンの分泌を急速に低下させることが明らかとなり、このメラトニン分泌量の変化は牛乳中のメラトニン濃度に反映することが解った。 【0063】 [実験例2] 乳牛における血漿メラトニン濃度と照度との関係において、夜間照明の影響について調べた。夕方4時から翌朝9時まで畜舎内を人工照明で明るくして、実験例1と同様に行なった。 【0064】 結果を図8に示す。この結果から、日の入りから日の出までの夜間における血液中メラトニン濃度は、図6に比べると上昇傾向が僅かであり、夜間の照度上昇は本来分泌されるはずのメラトニンを抑制することが明らかとなった。 【0065】 [実験例3] 乳牛における牛乳(生乳)中のメラトニン濃度の夜間変動に及ぼす季節の影響を、下記の条件で調べた。 ・乳牛の種類;ホルスタイン種雌牛で泌乳中の乳牛を用いた。 ・乳牛の環境条件;畜舎内の牛は繋がれてはおらず、自由に動き回れるフリーストール状態で飼養。そして、畜舎の外にはパドック(休息場)を併設し、パドックの隅に自動搾乳ロボットを設置した。牛は畜舎とパドックを自由に動き回ることが出来、同時に自らの意思で24時間いつでも搾乳ロボットに入り搾乳を受けられるようになっている。 ・照度の条件;夕方4時から翌朝9時までは、畜舎、パドック、および搾乳ロボット付近に照明はなく、外界の光環境と同調した照度である。実験は6月と12月において行った。 ・生乳の採取方法;牛が搾乳ロボットに入って搾乳を受けると、各牛から採取した生乳の一部を個別に自動保存する機器を用いた。なお、実験は6月の夏至と12月の冬至付近の5日間連続で行った。 ・生乳中のメラトニン測定方法;前述と同じラジオイムノアッセイ法で測定した。 ・光の測定方法;乳牛の飼育場所において、乳牛の目の高さにおける外部からの光を測定する。図3に示すように、乳牛の目の高さに照度センサ11を設置し、上下の照度センサ11において右目と左目夫々1分間測定して最大値と最小値を求め、これらの値から平均値を算出した。 【0066】 結果を図9に示す。この結果から、日の入りから日の出までのいわゆる夜間の長さには季節変動があるが、牛乳中メラトニン濃度は夜間の長さに同調して増加することが解った。また、日の入り前の暗くなる時間帯にすでに増加傾向が認められ、逆に日の出前には減少傾向が認められた。このことは、メラトニン分泌が光環境のみならず体内時計とも同調していることを示しており、牛乳中のメラトニン濃度を高く保つには牛が自由意志で搾乳を受けられるロボットによる搾乳システムが重要であることが明らかになった。 【0067】 尚、上記実施の形態においては、家畜として乳牛の場合を示したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、山羊等どのような家畜に本発明を適用してよいことは勿論である。 【図面の簡単な説明】 【0068】 【図1】本発明の実施の形態に係る家畜の搾乳システムを示す図である。 【図2】本発明の実施の形態に係る家畜の搾乳システムをこれが適用されるフリーストール型畜舎施設の構成例とともに示す平面図である。 【図3】本発明の実施の形態に係る家畜の搾乳システムにおいて、検知手段の照度センサの設置例を示す斜視図である。 【図4】本発明の実施の形態に係る家畜の搾乳システムにおける制御手順を示すフローチャートである。 【図5】本発明の別の実施の形態に係る家畜の搾乳システムを示す図である。 【図6】本発明の実験例に係り、乳牛における血漿メラトニン濃度と照度との関係を示すグラフ図である。 【図7】本発明の実験例に係り、乳牛における血漿メラトニン濃度と照度との関係を日出時前後において示すグラフ図である。 【図8】本発明の実験例に係り、夜間照明をしたときの乳牛における血漿メラトニン濃度と照度との関係を示すグラフ図である。 【図9】本発明の実験例に係り、乳牛における牛乳(生乳)中のメラトニン濃度の経時変化を季節毎に示し、(a)は6月の状態を示すグラフ図、(b)は12月の状態を示すグラフ図である。 【符号の説明】 【0069】 S 搾乳ロボット Sa 多量側搾乳ロボット Sb 少量側搾乳ロボット B タンク(バルククーラ) Ba 多量側タンク(暗期バルククーラ) Bb 少量側タンク(明期バルククーラ) 1 ストール 2 休息棟 3 パドック 4 搾乳室 5 搾乳棟 6 退避通路 7 牛乳処理室 K メイン配管 Ka 多量側送給管 Kb 少量側送給管 V 切換バルブ 10 検知手段 11 照度センサ 12 照度値算出手段 20 制御部 21 判別手段 22 切換え手段 La 基準値 LB 基準値 Ta 所要時間 Tb 所要時間 30 多量側通路 31 少量側通路 32 ゲート Xa 多量側位置 Xb 少量側位置
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| 【出願人】 |
【識別番号】501203344 【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 【識別番号】591020283 【氏名又は名称】小岩井農牧株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年7月21日(2006.7.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093148 【弁理士】 【氏名又は名称】丸岡 裕作
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| 【公開番号】 |
特開2008−22785(P2008−22785A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月7日(2008.2.7) |
| 【出願番号】 |
特願2006−199632(P2006−199632) |
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