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【発明の名称】 核酸分子の濃度を増加させる方法
【発明者】 【氏名】ミセン,リチャード

【氏名】フォークナー,キャシー

【要約】 【課題】抗発癌性グルコシノラート誘導体の量が増加したブラシカ種を提供する。

【解決手段】3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートもしくは4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートまたはそれらの両方の量が増加したことを特徴とするブラシカ植物細胞から得られた種子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートもしくは4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートまたはそれらの両方の量が増加したことを特徴とするブラシカ植物細胞から得られた種子。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシカ(Brassica)種において抗発癌性グルコシノラート(glucosinolate)誘導体を選択的に増加する方法と、抗発癌性グルコシノラート誘導体の量が増加したブラシカ種とに関し、詳細には、抗発癌性グルコシノラート誘導体である4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネート(4-methylsulfinylbutyl isothiocyanate)および/または3-メチルスルフィニルプロピルイソチオシアネート(3-methylsulfinylpropyl isothiocyanate)の量が増加した食用ブラシカ種の野菜に関する。本発明はまた、大量の抗発癌性グルコシノラート誘導体を含有するブロッコリーの遺伝子の組み合わせを選択する方法と、これらの遺伝子の組み合わせの抗発癌性特性を評価する方法とに関する。本発明は、さらに、4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの濃度が10〜100μモル/乾燥重量1グラムであるブラシカ種の野菜を含む物質の組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特定のグルコシノラートおよびそれらの誘導体の量が増加したブラシカ種の野菜を生産する方法を提供する。詳細には、本発明は3-メチルスルフィニルプロピルおよび/または4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートの量が増加したブラシカ種の野菜を生産するための方法を提供する。これらのグルコシノラートは、酵素ミロシナーゼ(myrosinase)の活性によってイソチオシアネート誘導体に変換される。このイソチオシアネート誘導体は第II相解毒酵素の強力な誘発物質であることが実証されており、それらの活性の増加は発癌物質の腫瘍形成作用への感受性の低下に関連がある。本発明は、1)4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの量の増加を示し、2)これらのグルコシノラートのイソチオシアネートの抗発癌性特性を所有しないアルケニル誘導体にこれらのグルコシノラートを変換することができる活性をコードするGSL-ALK対立遺伝子の低い活性を示す遺伝子の組み合わせを提供する。従って、これらの遺伝子の組み合わせは、特定のグルコシノラートの量の増加、これらのグルコシノラートのアルケニル誘導体の生成の低下および前記グルコシノラートのイソチオシアネート誘導体の好ましい生成を提供する。本発明は、さらに、上記遺伝子の組み合わせを選択する遺伝子マーカーの用途に関する。
【0003】
野菜の多い食事はある種の型の癌の危険度の低下に関連があることが知られており、従って、ヒトの食事にかなりの量の野菜を含むことが望ましい。野菜の抗発癌性作用は、数種の部類の二次代謝物が存在することに関連があるとされている。これらの二次代謝物のなかにはある種の癌の危険度の低下に関与し、従って、抗発癌性であると考えられるという証拠が増えつつある。従って、抗発癌性代謝物の量の増加は、野菜の消費を増加する食事の助言と相まって、癌の危険度を低下する有用な方法となる。
【0004】
野菜が多くの型の癌の危険度を低下する明確なメカニズムは確実には不明であるが、癌の予防への野菜の関与を裏付ける多数の証拠がある。特に、癌を予防する際のアブラナ科(cruciferous)の野菜の役割は疫学的研究によって、さらに最近では生化学的研究によって広く裏付けられている。アブラナの科野菜の有用な影響に関係する1つの部類の二次代謝物は、ある種のグルコシノラートのイソチオシアネート誘導体である。4つの相補的な証拠がアブラナ科の植物に見いだされるメチルスルフィニルアルキルグルコシノラートの加水分解によって誘発されるイソチオシアネートは癌の危険度を低下する際にヒト食事中で重要であることを裏付けている。(1.)アブラナ科の野菜を食事に加えると、化学的に誘発した癌から齧歯類を保護する(ワッテンベルグ(Wattenberg, L. W.)(1985)Cancer Res. 45, 1-8.)。(2.)メチルスルフィニルアルキルイソチオシアネートはマウス培養肝細胞癌Hepa lclc7細胞において、発癌物質の毒性および腫瘍形成作用に対するほ乳類およびほ乳類細胞培養物の感受性の低下に関連がある第II相解毒酵素の強力な誘発物質であることが知られている(ツァング(Zhang, Y.)、タラレイ(Talalay, P.)、チョ(Cho, C.-G.)およびポスナー(Posner, G. H.)(1992)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 2399-2403およびタウフィグ(Tawfig, N.)、ヘアネイ(Heaney, R. K.)、プランブ(Plumb, J. A.)、フェンウィック(Fenwick, G. R.)、ムスク(Musk, S. R. R.)およびウィリアムソン(Williamson, G.)(1995)Carcinogenesis 16, 1191-1194)。(3.)スルホラファン(sulforaphane)(4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネート)は、9,10-ジメチル-1,2-ベンズアントラセンで処理したスプラーグ-ドーリーラットにおいて乳癌の形成を遮断する(ツァング(Zhang, Y.)、ケンスラー(Kensler)、T. W,、チョ(Cho, C.-G.)、ポスナー(Posner, G. H.)およびタラレイ(Talalay, P.)(1994)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91, 3147-3150)。(4.)疫学的な研究は、食事で大量の野菜を摂取する人は癌になりにくいことを示している(ブロック(Block, G.)、パターソン(Patterson, B.)およびスバー(Suber, A.)(1992)Nutr. and Cancer 18, 1-19.)。従って、ある種のグルコシノラートの含量が多い食事の有用な影響には癌の危険度の低下が含まれる。しかし、ある種のグルコシノラートだけ、さらに正確には、特定のグルコシノラートのある種の誘導体が主に有用な影響を担うことができると思われる。
【0005】
アブラナ科植物には数多くの個々のグルコシノラートが存在する。グルコシノラートは共通のグリコン(glycone)部分と種々のアグリコン(aglycone)側鎖を有する。グルコシノラート側鎖の構造は鎖長および化学的組成が異なる。
【0006】
グルコシノラートは、少数のグルコシノラート生合成対立遺伝子(GSL対立遺伝子)によってコードされる数多くの酵素の作用によって形成される。グルコシノラート経路では、GSL-ELONG対立遺伝子の作用によって、メチオニンがホモメチオニンおよびジホモメチオニンに変換される。ホモメチオニンは最終的には3-メチルチオプロピルグルコシノラートに変換され、次にGSL-OXID対立遺伝子の作用によって3-メチルスルフィニルプロピグルコシノラートに変換され、最後にGSL-ALK対立遺伝子の作用によって2-プロペニルグルコシノラートに変換される。ジホモ-メチオニンは4-メチルチオブチルグルコシノラートに変換され、次いでGSL-OXID対立遺伝子の作用によって4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートに、次いでGSL-ALK対立遺伝子の作用によって3-ブテニルグルコシノラートに、最後にGSL-OH対立遺伝子の作用によって2-ヒドロキシ-3-ブテニルグルコシノラートに変換される。
【0007】
一般に、3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートおよび4-メチルチオブチルグルコシノラートは不揮発性イソチオシアネートを生成し、これによりこれらの特定のグルコシノラートは風味にほとんど影響しない。一方、揮発性アルケニル誘導体は、植物種および特定のグルコシノラート誘導体によって、良いほうにおよび悪い方に風味に影響を与えることがある。
【0008】
ブラシカ種の野菜では、グルコシノラートは3つまたは4つの炭素側鎖を有する。グルコシノラートは、組織損傷時に誘発されることが多いミロシナーゼの作用によって加水分解され得る。多くの野菜は、ミロシナーゼの作用による加水分解の結果揮発性生成物を生成するアルケニル(2-プロペニルおよび3-ブテニル)グルコシノラートを有する。野菜のなかにはプロゴイトリン(progoitrin)と呼ばれる2-ヒドロキシ-3-ブテニルグルコシノラートを含有するものがある。このグルコシノラートは、自然に環状化して、甲状腺腫誘発性のために食物中には望ましくないオキサゾリドン-2-チオンを生成する不安定なイソチオシアネートを生成する。アルケニルおよびヒドロキシアルケニルグルコシノラートから誘発されるイソチオシアネートは風味に正および負の影響を与えることがある。
【0009】
ブロッコリーは、グルコシノラートをアルケニル誘導体に変換するGSL-ALK対立遺伝子の作用がかなり低いので、4-メチルスルフィニルブチルおよび3-メチルスルフィニルプロピル側鎖を有するグルコシノラートの蓄積量が低い。野菜としてのブロッコリーの人気は、一つには、他のグルコシノラート、特にグルコシノラートの揮発性誘導体の強い香りとは異なり、4-メチルスルフィニルブチルおよび3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートが味に比較的控えめにしか影響を与えないからであると考えられている。
【0010】
従って、ある種のグルコシノラートの特定のイソチオシアネート誘導体の食事中の量を増加する方法は、野菜の味または嗜好性あるいはそれらの両方を変えることなく、抗発癌性を増した野菜を提供することができる。しかし、当技術分野はアブラナの科野菜中の特定のグルコシノラートの量を便利に増加する手段を提供していない。さらに、当技術分野は、これらのグルコシノラートがアルケニル誘導体に変換されるのではなく、抗発癌性を有するイソチオシアネート誘導体に変換されることを確認する便利な手段を提供していない。ブラシカ種の野菜が産生することができる数多くのグルコシノラートのうち、4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートおよび3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートは最も強力な抗発癌性イソチオシアネート誘導体の前駆体であることが同定されている。当技術分野は、特定の様式でこれらの特定のグルコシノラートを増加するが、望ましくない風味特性を持つことがある他のグルコシノラートまたはグルコシノラート誘導体の形成を防ぐための便利な手段を提供していない。
【0011】
4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートおよび3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートのグルコシノラートは数種のアブラナ科の野菜に見いだされているが、GSL-ALK遺伝子座の機能的対立遺伝子を欠失したブロッコリー変種(人工ブロッコリーの1種:Brassica oleracea L. var. italica)に最も大量に含有される。機能的GSL-ALK対立遺伝子が存在すると、これらのグルコシノラートは、第II相酵素のあまり強力でない誘導物質であるアルケニル同族体に変換される(タウフィグ(Tawfig, N.)、ヘアネイ(Heaney, R. K.)、プランブ(Plunb, J. A.)、フェンウィック(Fenwick, G. R.)、ムスク(Musk, S. R. R.)およびウィリアムソン(Williamson, G.)(1995)Carcinogenesis 16, 1191-1194.)。従って、機能的GSL-ALK対立遺伝子が存在すると、グルコシノラートがアルケニル誘導体に変換されるので、これらの抗発癌性イソチオシアネートの量が多い変種を生産する可能性がなくなる。さらに、グルコシノラートからイソチオシアネートの生成には酵素ミロシナーゼの活性が必要である。従って、これらの特定のイソチオシアネートの生成の増加は、(GSL-ALK対立遺伝子がコードする活性によって影響される)グルコシノラート前駆体の量およびグルコシノラートのイソチオシアネート誘導体を生成するミロシナーゼの量または活性の両方に依存する。
【0012】
従って、大量の4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの生成を規定する遺伝子の組み合わせは望ましいものであるが、これらのグルコシノラートの抗発癌性イソチオシアネート誘導体の生成には別の遺伝子の組み合わせが必要である。従って、これらの遺伝子組成を達成する方法は、市販用に栽培されているアブラナ科の野菜には現在では見いだされていない新規物質組成を提供する。本発明はこれらの遺伝子の組み合わせを達成するための方法を詳述する。
【0013】
市販用に栽培されているブロッコリー中のグルコシノラート量は、4-メチルチオブチルグルコシノラートを蓄積するハナダイコン(Eruca sativa)およびフェネチルグルコシノラートを蓄積するオランダミズガラシ(Rorippa nasturtium-aquaticum)などのサラダ用作物と比較して比較的低い(フェンウィック(Fenwick, G. R.)、ヘアネイ(Heaney, R. K.)およびムリン(Mullin, W. J.)(1983)Crit. Rev. Food Sci. Nutr. 18, 123-201)。摂取したとき、量が増加したブロッコリー中の4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートに接触すると第II相酵素を誘発する能力が増強されることが期待されるだろう。従って、抗発癌性4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネートおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルイソチオシアネートの量が増加したブロッコリーは、癌の危険度を低下するように設計される食事において、有用な付加価値となりうる。さらに、野菜およびサラダ用作物に見いだされる大多数の他のイソチオシアネートとは異なり、メチルスルフィニルアルキルグルコシノラートは不揮発性で、比較的少ししか風味に影響を与えないので、このような変更を加えることが嗜好性を低下するとは思われない(フェンウィック(Fenwick, G. R.)、ヘアネイ(Heaney, R. K.)およびムリン(Mullin, W. J.)(1983)Crit. Rev. Food Sci. Nutr. 18, 123-201)。従って、これらの特定のグルコシノラートの量を変化させることは、その形質をコードする遺伝子の組み合わせを保有するアブラナの科野菜の味を変化させないと思われる。
【0014】
ブラシカ・オレラセア(Brassica oleracea)種複合群の多数の野生型メンバー(染色体数、n=9)は大量の個々の脂肪族グルコシノラートを有する(ミセン(Mithen, R.)、レウィス(Lewis, B. G.)およびフェンウィック(Fenwick, G. R.)(1987)Phytochemistry 26, 1969-1973.およびギアモウスタリス(Giamoustaris, A.)およびミセン(Mithen, R.)(1996)Theor. Appl. Genet. 93, 1006-1010.)。これらの分類群におけるグルコシノラートの遺伝学に関する研究はグルコシノラート生合成の遺伝的経路を解明する際に役だっている。4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルを特異的に増加させ、そうすることによってその植物の抗発癌性能力を増強するように設計されたブラシカ育種計画に、この分類群における一定の生物種が有用であると思われることは明白である。しかし、当技術分野において、4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの濃度を遺伝子の組み合わせによって増加する方法は提供されていないし、前記遺伝子の組み合わせを含有する野菜の抗発癌性を評価することができる便利な手段は提供されていない。本発明はこれらの方法と遺伝子の組み合わせとを提供する。
【0015】
非機能的なGSL-ALK対立遺伝子を保有し、栽培型ブロッコリーの野生型祖先である可能性がある、シシリー島産のB. ヴィローサ-ラペストリス(B. villosa-rupestris)複合群のメンバーの遺伝子を含む遺伝子の組み合わせが特に主要である。従って、本発明は、大量の4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートを生成することができ、且つアルケニル誘導体ではなくこれらのグルコシノラートのイソチオシアネート誘導体の生成を促進する遺伝子の組み合わせ誘発するのに必要な遺伝子源として、市販のブロッコリーの野生型血縁および祖先を利用している。
【0016】
いくつかのブラシカ種に見いだされる対応するグルコシノラートから誘発される4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネート(スルホラファン(sulforaphane)とも呼ばれる)は、これまでに、マウス肝細胞癌Hepa lclc7細胞において第II相解毒酵素(例えば、QR;キノン還元酵素[NADP(H):キノンアクセプター] 酸化還元酵素の強力な誘発物質として同定されている。同様に、3-メチルスルフィニルプロピルイソチオシアネートは第II相酵素の強力な誘発物質である。マウス肝細胞癌Hepa lclc7細胞におけるQRの誘発の測定は、ほ乳類細胞において野菜抽出物が第II相酵素を誘発し(プロチャスカ(Prochaska, H. J.)、サンタマリア(Santamaria, A. B.)およびタラレイ(Talalay, P.)(1992)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 2394-2398)、それによって抗発癌性を示すと推定される能力の迅速で信頼できる指標となる。このアッセイは、合成イソチオシアネート(ツァング(Zhang, Y.)、タラレイ(Talalay, P.)、チョ(Cho, C.-G.)およびポスナー(Posner, G. H.)(1992)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 2399-2403およびタラレイ(Talalay, P.)、デ ロング(De Long, M. J.)およびプロチャスカ(Prochaska, H. J.)(1988)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 8261-8265.)、アブラナの科野菜の抽出物(タウフィグ(Tawfig, N.)、ワニガツンガ(Wanigatunga, S.)、ヘアネイ(Heaney, R. K.)、ムスク(Musk、S. R.R.)、ウィリアムソン(Williamsonn, G.)およびフェンウィック(Fenwick, G. R.)(1994)Exp. J. Cancer Prev. 3, 285-292.)およびミロシナーゼ処理されたグルコシノラート(タウフィグ(Tawfig, N.)、ヘアネイ(Heaney, R. K.)、プランブ(Plumb, J. A.)、フェンウィック(Fenwick, G. R.)、ムスク(Musk, S. R. R.)およびウィリアムソン(Williamson, G.)(1995)Carcinogenesis16, 1191-1194)の可能性を評価するために使用されている。しかし、野菜抽出物のグルコシノラートまたはイソチオシアネートの含量は一般に報告されておらず、また、種々のアブラナの科野菜の相対的な抗発癌性の可能性も報告されていない。
【0017】
本発明において、野生型品種(accessions)と市販の倍加半数体ブロッコリー育種系統(breeding lines)との間の従来の交雑種および雑種を市販のブロッコリー栽培品種(cultivars)とを組み合わせたとき、このアッセイはQR活性(抗発癌性の可能性)と、3-メチルチオプロピル(B. ドレパネンシス(B. drepanensis))、3-メチルスルフィニルプロピル(B. ヴィローサ(B. villosa))および2-プロペニル(B. アトランチカ(B.atlantica))グルコシノラートをそれぞれ大量に有するブラシカ複合群の3種の野生型メンバーのQR活性誘発能力とグルコシノラート含量との関係を判定するために使用されている。従って、特定のグルコシノラート(例えば、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラート)を安定して生成し、対応するイソチオシアネート誘導体を生成するのに必要な遺伝子組成を同定する方法と、組成とが得られている。これらの遺伝子の組み合わせは、市販用に栽培された変種に現在見いだされるより、これらの抗発癌性化合物を10〜100倍有するブロッコリーの市販用変種および他のアブラナの科野菜を生産するのに有用な育種系統となる。
【0018】
例えば、ブロッコリー栽培品種とブラシカ・オレラセア(染色体数、n=9)複合群から選択した野生型分類群とを交雑することによって、4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートの量の10倍の増加が得られる。同様に、3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの量の増加が観察される。これらの雑種の組織は、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの増加並びに4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートのスルホラファン(Sulforaphane)への変換の増加の両方によって、市販用に栽培したブロッコリー栽培品種よりHepa lclc7細胞においてキノン還元酵素を誘発する能力が100倍増加した。従って、本発明は、抗発癌性二次代謝物を大量に含有する市販用として有用なアブラナ科野生型を生産するための方法と遺伝子組成とを提供する。本発明は、さらに、抗発癌性作用が増強したブロッコリー育種系統の発育を含む。
【0019】
抗発癌性化合物を大量に有する育種系統の選択は、グルコシノラート生合成遺伝子の染色体位置を確立し、ブロッコリーの抗発癌性化合物の量を増すのに最も有用な遺伝子組成を含有する戻し交雑系統を選択する際に助力となる分子マーカーを使用することによってさらに容易になる。
【発明の開示】
【0020】
本発明は、遺伝的手段によって、ブラシカ種の野菜の4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの量を増加する方法を提供する。これらの手段には、野生型ブラシカ種をブロッコリー種に戻し交雑するステップ、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートが増加した系統を選択するステップと、植物細胞抽出物が第II相酵素を誘発する能力を測定することによって、前記遺伝子の組み合わせの抗発癌特性を評価するステップとが含まれる。RFLPマーカーを使用して、ブロッコリーの遺伝的背景を高い割合で有する系統を交雑物中から選択し、ブラシカのゲノムのマップ上に関連のあるグルコシノラート生合成遺伝子の位置を確立することができる。
【0021】
市販のブロッコリー栽培品種と2種の野生型種B. ヴィローサ(B. villosa)およびB. ドレパネンシス(B. drepanensis)との雑種は十分に結実能力があり、戻し交雑個体群が生産される。4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの量が増加し、関連のある抗発癌性作用を有するブロッコリー系統はこれらの個体群から生育される。これらの系統の生育効率は、グルコシノラート含量および望ましい遺伝的背景に関して選択する分子マーカーを利用できることによってかなり増強される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の目的は、抗発癌性化合物、すなわち4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネートおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルイソチオシアネートを大量に有する食用のアブラナの科野菜を提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、ブラシカ種において抗発癌性グルコシノラート誘導体を選択的に増加するための方法を提供することと、抗発癌性グルコシノラート誘導体の量が増加したブラシカ種、特に抗発癌性グルコシノラート誘導体である4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネートおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルイソチオシアネートの量が増加した食用ブラシカ種の野菜を提供することである。
【0024】
本発明のさらに別の目的は、抗発癌性グルコシノラート誘導体を大量に含有するブロッコリーの遺伝子の組み合わせを選択するための方法と、これらの遺伝子の組み合わせの抗発癌特性を評価する方法とを提供することである。
【0025】
本発明のさらに別の目的は、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの濃度が10〜100μモル/乾燥重量1グラムであるブラシカ種の野菜を含む物質の組成物を提供することである。
【0026】
本発明のこれらの目的および他の目的は以下に記載する1つ以上の実施態様により提供される。
【0027】
抗発癌性グルコシノラートの量が増加したブロッコリーは、市販のブロッコリー栽培品種を生育するために使用されている現在の市販の遺伝的背景では選択できない。図1に示すグルコシノラート生合成の遺伝的モデルに基づくと、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの生成は数多くの遺伝的要因に依存している。これらには、GSL-ALK対立遺伝子の低い活性並びにグルコシノラート前駆体を生成させるGSL-OXID対立遺伝子および他の対立遺伝子がコードする適切なレベルの活性が含まれる。ブロッコリーの比較的刺激性の弱い味は、一般には、グルコシノラートの比較的低濃度に関連しており、詳細には、揮発性グルコシノラートの低い濃度に関連している。市販のブロッコリーと野生型血縁の総グルコシノラートのプロフィールを比較するとこれは明白である。
【0028】
従って、望ましい風味特性を有し、抗発癌性グルコシノラートの量が増加したブロッコリーを誘発する方法は、強い風味のあるアルケニルグルコシノラートを生成しない適切な遺伝子の組み合わせを有する系統の選択を含まなければならない。いやな風味の生成を回避するために、他のグルコシノラートを低量に維持することも望ましい。従って、特定の増加量の4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートを得る方法は、グルコシノラート全体を生成することがなく、またアルケニルグルコシノラートを生成することもない。本発明の方法はこれらの目標を達成する方法を提供する。
【0029】
通常の田畑条件下では、野生型ブラシカ・オレラセアは栽培型ブラシカ・オレラセアと交雑受精する可能性はないと思われると考えられている。栽培品種が開花すると、適合形質が消えると考えられている。
【0030】
本発明はまた、望ましい遺伝子の組み合わせを含有する系統の選択を容易にするための遺伝マーカーの使用を意図する。特定の形質で分離するRFLPマーカーまたはDNAプローブの使用は当技術分野上周知であるが、本発明は、ブラシカ・オレラセアにおいて4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの量を増加する遺伝子の組み合わせを選択するのに有用であることが示されている特定のDNAプローブについて記載する。さらに、RFLP分析は、ブロッコリーまたは野生型種から誘発される雑種植物のゲノムの一部を評価するのに有用な手段となる。従って、RFLPまたはDNAプローブを使用することにより、野生型種およびブロッコリーゲノムを望ましい割合で含有する植物を迅速に選択する際の有用性が見いだされる。従って、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの量が高く、望ましい市販のゲノムを高い割合で含むブロッコリーの選択は、ブロッコリーを野生型種と交雑した後にDNAマーカーを使用して雑種植物を分析することによってかなり容易になる。
【0031】
本発明はまた、第II相酵素の誘発を評価することにより、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートを大量に含有するブロッコリーの抗発癌特性を評価するための方法について記載する。4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの特定の誘導体の長期抗発癌性作用は正確には判定することができず、多数の別の要因、食事等に依存するが、誘発アッセイを使用は、特定のグルコシノラートのイソチオシアネート誘導体の抗発癌性作用の説得力のある証拠を提供する。
【0032】
従って、本発明は、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの量が増加したブラシカ種の選択を可能にする方法と、前記植物種の抗発癌性作用を評価する方法と、抗発癌特性を有するブロッコリー系統の誘発を可能にする方法および組成とを記載する。
【0033】
本発明の一実施態様において、I.)野生型種とブロッコリー倍加半数体の育種系統とを交雑するステップと、II.)F1雑種を分析し、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートを最も大量に有する雑種を選択し、ブロッコリー育種系統に戻し交雑するステップと、III.)B1(戻し交雑1)世代の個々の植物中のグルコシノラートを分析するステップと、IV.)1回または2回さらに戻し交雑し(B2、B3)、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートを最も多量に有する植物を選択し、第II相酵素の誘発によって選択した個体群の抗発癌性をスクリーニングするステップと、V.)B3(戻し交雑3)集団を分析し、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートを最も大量に有する植物を選択し、第II相酵素の誘発によって選択した個体群の抗発癌性をスクリーニングするステップと、VI.)4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの量が増加し、第II相酵素を強力に誘発することができる抗発癌性形質を保有するブロッコリー系統を選択するステップとを含む方法を使用して、特定のグルコシノラートの量が増加したブロッコリー系統を選択する。
【0034】
従って、本発明の方法は、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの量が増加したブロッコリー系統の選択を可能にする。これらの特定のグルコシノラートの量の増加は、第II相酵素の誘発を評価することにより、抗発癌特性と関連付けられる。戻し交雑を使用することによって、市販のブロッコリーに見いだされる遺伝的背景に抗発癌性形質を含む遺伝子の組み合わせが誘発される。従って、ブロッコリーの市販の栽培品種における4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの生成が達成され、新規で、有用なブロッコリー組成を生ずる。
【0035】
本発明のさらに別の実施態様において、種子生産方法において有用である自家不和合性のために、本発明の系統の抗発癌性能力をさらに特定の対立遺伝子と組み合わせる。ある種のアブラナ科の種は自家不和合性のための種々の対立遺伝子を保有することが周知で、これらの対立遺伝子はしばしば雑種の種子生産に使用される。従って、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートを大量に生成する遺伝子の組み合わせを保有する雑種ブロッコリーを生産することができる。4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートを大量に有し、自家不和合性(SI)対立遺伝子の特定の組み合わせを有するブロッコリー系統を選択することは本発明のさらに別の目的である。SI対立遺伝子を同定するためのプローブpW150(ウィスコンシン州マディソン53706のウィスコンシン大学農学部のトム オスボーン(Tom Osborne)博士から入手し、またトロサー(Toroser)ら、基礎および応用遺伝学(Theoretical and Applied Genetics)、91: 802-808, 1995に記載されている)などの分子プローブを使用することができる場合もあれば、または実際のSIタンパク質の分析によって望ましいSI対立遺伝子を選択することができる場合もある。
【0036】
従って、本発明の別の実施態様において、I.)野生型種を、特定のSI対立遺伝子を含有するブロッコリー倍加半数体の育種系統と交雑するステップと、II.)F1雑種を分析し、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートを最も大量に有する雑種を選択し、ブロッコリー育種系統に戻し交雑し、RFLPマーカーを用いてSI対立遺伝子をスクリーニングし、SI対立遺伝子を目立たせる望ましい組み合わせを有する個体を選択するステップと、III.)B1(戻し交雑1)世代の個々の植物のグルコシノラートを分析するステップと、IV.)1回または2回さらに戻し交雑し、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートを最も多量に有する植物を選択し、RFLPマーカーを用いて適当なSI対立遺伝子をスクリーニングするステップと、第II相酵素の誘発によって選択した個体群の抗発癌性をスクリーニングするステップと、V.)B3(戻し交雑3)集団を分析し、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートを最も大量に有する植物を選択し、第II相酵素の誘発によって選択した個体群の抗発癌性をスクリーニングするステップと、VI.)4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの量が増加し、第II相酵素を強力に誘発することができる抗発癌性形質を保有する適当なSI対立遺伝子を有する系統を選択するステップとを含む方法を使用して、特定のグルコシノラートを大量に有し、SI対立遺伝子を有するブロッコリー系統を選択する。
【0037】
従って、雑種の種子生産体系において交雑に有用な特定のSI対立遺伝子を保有するブロッコリー系統が誘発される。従って、適当な親と交雑することによって、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの量が増加した遺伝子の組み合わせを保有する雑種ブロッコリー種子を生産することができる。雑種ブロッコリーも農学的な性能に重要な遺伝子の組み合わせを多数保有するので、前記種子は有用である。
【0038】
本発明の別の実施態様として、特定のグルコシノラートプロフィールで分離するDNAマーカーの用途を使用する方法が記載される。この方法では、DNAマーカー、さらに詳細にはQTLs(量的形質遺伝子座)として周知のマーカーを使用して、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの量を増加させるブロッコリーの遺伝子の組み合わせを選択する。特に、第2染色体に位置するpW176、pW207およびpW141として周知のマーカー並びに第5染色体に位置するPW224、pW114、pW145、pW123、pW138、pW197、pW228、pW106として周知なマーカーの用途が記載されている(ウィスコンシン州マディソン53706のウィスコンシン大学農学部のトム オスボーン(Tom Osborne)博士から入手し、またトロサー(Toroser)ら、基礎および応用遺伝学(Theoretical and Applied Genetics)、91: 802-808, 1995およびフェレイラ(Ferreira)ら、基礎および応用遺伝学(Theoretical and Applied Genetics)、89: 615-621, 1994に記載されている)。
【0039】
大量の4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートを発現するためには、野生型ブラシカ・オレラセアの(第2および第5染色体に見つけられる)ゲノムの2つの領域が必要であることが見いだされている。マーカーを使用すると、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートを大量に生成させる遺伝子の組み合わせを含有する、ブロッコリーと野生型種との雑種および戻し交雑による系統の選択がかなり容易になる。さらに、第5染色体に位置するQTLは3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの量を特異的に調節し、4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートの量にはほとんど影響を与えないことが見いだされている。従って、系統を単純に選択するだけでなく、分子プローブを使用することによって、3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートおよび4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートを独立に操作することが可能である。
【0040】
従って、本発明のこの実施態様において、I.)野生型種とブロッコリー倍加半数体の育種系統とを交雑するステップと、II.)F1雑種を分析し、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの生成に関連するRFLPプローブを用いてスクリーニングすることによって4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートを最も大量に有する雑種を選択し、ブロッコリー育種系統に選択した系統を戻し交雑するステップと、III.)B1(戻し交雑1)世代の個々の植物中のグルコシノラートを分析するステップと、IV.)1回または2回さらに戻し交雑し、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの生成に関連するRFLPプローブを用いてスクリーニングすることによって4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートを最も多量に有する植物を選択し、第II相酵素の誘発によって選択した個体群の抗発癌性をスクリーニングするステップと、V.)B3(戻し交雑3)集団を分析し、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの生成に関連するRFLPプローブを用いてスクリーニングすることによって4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートを最も大量に有する植物を選択し、第II相酵素の誘発によって選択した個体群の抗発癌性をスクリーニングするステップと、VI.)4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの量が増加し、第II相酵素を強力に誘発することができる抗発癌性形質を保有するブロッコリー系統を選択するステップとを含む、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの量が増加したブロッコリーを生産する方法を記載する。
【0041】
従って、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートを大量に生成させる野生型ブラシカ・オレラセアのゲノム(例えば、いわゆるQTLs)の特定の領域を同定するRFLPプローブを使用すると、抗発癌特性を有する食用ブロッコリーの生産がかなり容易になる。
【0042】
上記の実施態様は、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの量が増加したブロッコリー系統、好ましくは4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの濃度が10〜100μモル/乾燥重量1グラムである組成を有するブロッコリーを選択することを可能にする。さらに、上記の実施態様は、市販品において通常見いだされるブロッコリー栽培品種と比較したとき、4-メチルスルフィニルブチルおよび/または3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートの量が増加し、第II相酵素を10〜100倍増加させることができるブロッコリー系統の選択を可能にする。
【0043】
白キャベツなどのキャベツ、サボイキャベツなどのグリーンキャベツ、カリフラワー、芽キャベツ、ハゴロモカンラン、カブカンラン等などを含む、ブロッコリー以外のアブラナ科のブラシカ・オレラセア野菜を得るために、本明細書に記載する方法を適用することもできることを当業者は考慮している。本明細書の方法および遺伝子の組み合わせによりカブハボタン(B. napus)およびカブ(B. rapa)を操作することもできることがさらに考慮されている。
【0044】
以下の実施例は本発明の方法を例示しているが、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0045】
[野生型および市販のブラシカ種およびそれらの雑種におけるグルコシノラートを測定する方法]
栽培品種グリーンデューク(Green Duke)(GD DHと呼ばれる、ボウフオン(Bouhuon, E. J. R.)、ケイス(Keith,D. J.)、パーキン(Parkin, I. A. P.)、シャープ(Sharpe, A. G.)およびリディエイト(Lydiate, D. J.)(1996)Theor. Appl. Genet. 93, 833-839.)、3種の市販の栽培品種(トリキシエ(Trixie)、グリーンコメット(Green Comet)およびマラソン(Marathon))並びに3種の野生型ブラシカ種:B. ドレパネンシスカルエル(B. drepanensis Caruel)(syn. B. villosa Biv. subsp drepanensis)、B. ヴィローサビブ(B. villosa Biv.)およびB. アトランチカ(B.atlantica)(Coss.)シャルツ(O. E. Schultz)から誘発した倍加半数体ブロッコリー育種系統を、以前に記載されているように(マグラス(Magrath, R.)、ヘロン(Herron, C.)、ギアモウスタリス(Giamoustaris A.)およびミセン(Mithen, R.)(1993)Plant Breed. 111, 55-72)、標準的な条件下で温室内で栽培した。野生型種の各々をGD DH育種系統に交雑し、F1種子を獲得し、標準的な条件下で栽培した。栽培誘導品種GD DHの種子は1999年2月11日にスコットランド、アバディーンのNational Collection of Industrial and Marine Bacteria Limited(NCIMB)に寄託し、寄託番号NCIMB41008を付けられた。栽培品種からは8〜12週間後に、雑種からは12〜16週間後に花を採取し、速やかに液体窒素中で凍結し、凍結乾燥した。合成スルホラファン(Sulforaphane)は、親切なことに、メリーランド州バルチモアのジョンホプキンス大学医学部のタラレイ(P. Talalay)教授の提供を受けた。
【0046】
凍結乾燥した物質からグルコシノラートを抽出し、デスルホグルコシノラートに変換し、内部標準としてベンジルグルコシノラートを使用して、以前に記載されているように(マグラス(Magrath, R.)、ヘロン(Herron, C.)、ギアモウスタリス(Giamoustaris, A.)およびミセン(Mithen, R.)(1993)Plant Breed. 111, 55-72)、HPLCで分析した。
【0047】
凍結乾燥した物質からの抽出物をマウス肝細胞癌Hepa lclc7細胞において誘発活性について評価した。凍結乾燥物質を粉砕したもの約0.1gに水(2 ml)を添加して濡らし、ホモジナイズし、時折撹拌しながら1時間室温で放置した。熱した70%(v/v)メタノール(3 ml)を添加し、十分に混合してから、+70℃において15分間インキュベーションした。ホモジナイズしたものを室温に冷却し、3000 r.p.m.で5分間遠心分離した。上清を取り、真空遠心器で最初の容量の約1/5まで容量を減らした。得られた濃縮物を、発熱原性物質を含まない滅菌したフィルター(0.22 mm)でろ過し、試験時まで-70℃で保管した。各抽出物の濃度は培養培地1 mlに対するもとの材料の乾燥重量として表した。
【0048】
誘発は、報告されている方法(タウフィグ(Tawfig, N.)、ヘアネイ(Heaney,R.K.)、プランブ(Plumb, J. A.)、フェンウィック(Fenwick, G. R.)、ムスク(Musk, S. R. R.)およびウィリアムソン(Williamson, G.)(1995)Carcinogenesis16, 1191-1194、プロチャスカ(Prochaska, H. J.)およびサンタマリア(Santamaria, A. B.)(1988)Anal. Biochem. 169, 328-336.、ウィリアムソン(Williamson, G.)、プランブ(Plumb, G. W.)、ウダ(Uda, Y.)、プライス(Price, K. R.)およびローデス(Rhodes, M. J. C.)(1996)Carcinogenesis17, 2385-2387.)に以下の改良を加えて測定した。各試料は、各濃度について4回繰り返し測定を使用して8つの濃度について分析した。b-ナフトフラボンを0.2 mMの濃度で陽性対照として使用した。これは、一般に、3倍の誘発を生じ(CD;0.02 mM)、以前の測定に匹敵した。各栽培品種および雑種を3回抽出し、別個に分析した。
【0049】
30 mm×0.25 mm HP1架橋メチルシランカラム(ヒューレット パッカード社(Hewlett Packard Co.)、米国カリフォルニア州パロアルト)を取り付けたHPケムステーションGP800Aを使用して、栽培品種、野生型種および雑種の加水分解生成物の不揮発性成分および揮発性成分を分析した。一般に、カラムを20℃/分の割合で+60℃から+250℃まで加熱し、35から250 m/zまで質量スペクトルをスキャンした。凍結乾燥した材料の約0.1 gを水で濡らし、十分に混合し、時折撹拌しながら1時間インキュベーションした。不揮発性生成物を塩化メチレンで試料から抽出し、ろ過してから分析した。揮発性生成物を分析するために、凍結乾燥した材料(0.1 g)を水(0.5 ml)で濡らし、ガラス製バイアルに速やかに密封し、固相マトリックス抽出(SPME)プローブ(スペルコ社(Supelco Inc.)、米国ペンシルバニア州ベレフォンテ)を備えたバイアルヘッドスペースから揮発性生成物を採取した。
【実施例2】
【0050】
[ブラシカ系統のグルコシノラート含量]
表1は、市販のブロッコリー栽培品種グリーンコメット(Green Comet)、マラソン(Marathon)およびトリキシエ(Trixie)、野生型ブラシカ・オレラセア種並びに市販の栽培品種グリーンデューク(Green Duke)の倍加半数体系統と野生型ブラシカ種との雑種のグルコシノラート含量を示す。
【0051】
【表1】


【0052】
ブロッコリー栽培品種中の4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートの量は以前に報告されている量とほぼ同じであった(カールソン(Carlson, D.G.)、ダキセンビチェラー(Daxenbicheler, M. E.)、ファン エテン(van Etten, C. H.)、クウォレック(Kwolek, W. F.)およびウィリアムズ(Williams, P. H.)(1987)J. Amer. Soc. Hort. Sci. 122, 173-178.)。野生型種は栽培品種より総脂肪族グルコシノラートの量が約10倍多かった。B. ヴィローサ(B. villosa)、B. ドレパネンシス(B. drepanensis)およびB. アトランチカ(B.atlantica)は主に3-メチルスルフィニルプロピル、3-メチルチオプロピルおよび2-プロペニルグルコシノラートを含有した。グルコシノラートプロフィールの差は、GSL-OXIDおよびGSL-ALK遺伝子座の対立遺伝子の差に起因する(ギアモウスタリス(Giamoustaris, A.)およびミセン(Mithen, R.)(1996)Theor. Appl. Genet. 93, 1006-1010.)。[GD DH×B. ドレパネンシス(B. drepanensis)]および[GD DHB. ヴィローサ(B. villosa)]という雑種では、GD DHに見いだせるGSL-ELONGおよびGSL-OXID対立遺伝子の優性並びに両方の親の無効なGSL-ALK対立遺伝子により4-メチルスルフィニルブチルが最も多量に含有されるグルコシノラートであった。[GD DH×B. アトランチカ(B.atlantica)] という雑種では、3-ブテニルグルコシノラートが主要なグルコシノラートであった。GD DH系統における機能的GSL-OH対立遺伝子の作用により(未発表)、2-ヒドロキシ-3-ブテニルグルコシノラートも存在した。これは通常では3-ブテニルグルコシノラートの生合成を防止する無効なGSL-ALK対立遺伝子により明白ではない。
【実施例3】
【0053】
[第II相酵素の誘発]
Hepa lclc7細胞におけるQRの誘発を定量化するために、合成スルホラファン(Sulforaphane)を陽性対照として使用した。合成スルホラファン(Sulforaphane)は強力な誘発物質であり、1.6 mM(CD;0.4 mM)において以前の測定に匹敵する3倍の誘発を生じた。試験した濃度のどれにおいてどの試料においても細胞毒性は観察されなかった。全ての栽培品種からの抽出物は、0.001 mg/mlから0.125 mg/mlの濃度範囲にわたって弱い誘発物質であった。しかし、グルコシノラートがイソチオシアネートに100%変換され、チオシアネートまたはニトリル誘導体などの他の生成物に変換されなかった場合には、誘発は予測されたものより低かった(フェンウィック(Fenwick, G. R.)、ヘアネイ(Heaney, R. K.)およびムリン(Mullin, W. J.)(1983)Crit. Rev. Food Sci. Nutr. 18, 123-201)。
【0054】
例えば、マラソン(Marathon)は5.4 mモルの4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラート/乾燥重量1グラムを含有した(表1)。従って、75 mg/mlのマラソン(Marathon)を含有する抽出物は、2倍の誘発を生ずると思われる0.4 mMの4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネート濃度を有すると予測されるだろう。しかし、この濃度では有意な誘発は観察されなかった。実際、2倍の誘発には2.5 mg/mlのマラソン(Marathon)抽出物が必要であり、グルコシノラートがイソチオシアネートに100%変換されると、13.5 mMの4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネートと同等である。従って、グルコシノラートは少量が4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネートに変換されたか、または野菜抽出物中の他の成分によってQR活性の誘発が低下した。
【0055】
阻害物質の存在を調べるために、マラソン(Marathon)抽出物(0.125 mg/ml)に合成スルホラファン(Sulforaphane)を加えてから、Hepa lclc7細胞に適用した。観察された誘発は他の物質が混合されていないスルホラファン(Sulforaphane)単独の誘発とほぼ同じであり(図2)、これは、抽出物中の他の成分による阻害作用がなかったことを示した。図2では、Hepa lclc7細胞におけるスルホラファン(Sulforaphane)(△)、スルホラファン(Sulforaphane)を添加したマラソン(Marathon)抽出物(0.125 mg/ml)(黒四角)またはマラソン(Marathon)抽出物(0.001 mg/mlから0.125 mg/ml)(○)を使用したQRの誘発を示す。マラソン(Marathon)抽出物の推定されるイソチオシアネート濃度は、親グルコシノラートがイソチオシアネートに100%変換されるという仮定に基づいている。従って、マラソン(Marathon)抽出物(1 mg/ml)は5.4 uMの4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネートと同等である。マラソン(Marathon)抽出物単独は誘発活性に有意な影響を与えないので、スルホラファン(Sulforaphane)を添加したマラソン(Marathon)(0.125 mg/ml)の結果は添加した合成スルホラファン(Sulforaphane)濃度のみに対してプロットした。従って、マラソン(Marathon)(および他の栽培品種)では、グルコシノラートの割合の分だけがイソチオシアネートに変換したと思われる。
【0056】
B. ヴィローサ(B. villosa)およびB. ドレパネンシス(B. drepanensis)の抽出物はQR活性の強力な誘発物質であった。一方、B. アトランチカ(B.atlantica)の抽出物は、高濃度のグルコシノラート含量にもかかわらず、QR活性を誘発しなかった(図3)。図3では、マウス肝細胞癌Hepa lclc7細胞におけるQRの誘発に対するB. ドレパネンシス(B. drepanensis)(黒四角)、B. ヴィローサ(B. villosa)(◆)およびB. アトランチカ(B.atlantica)(□)の影響を示す。これらの分類群ではグルコシノラートはイソチオシアネートに100%変換され、他の可能性のある加水分解生成物(チオシアネートおよびニトリル誘発体)に変換されないと仮定すると、3-メチルチオプロピルイソチオシアネートおよび3-メチルスルフィニルプロピルイソチオシアネートのみかけのCD値は、それぞれ、1.6 mMおよび0.5 mMである。表2に例示するように、これらの値は共に合成イソチオシアネートについて報告されている値3.5 mMおよび2.4 mMより低い。実際、より少ない量のグルコシノラートしかイソチオシアネートに変換されなかったら、みかけのCD値はさらに低いだろう。以下の表2は、Hepa lclc7細胞における野菜抽出物によるQR活性(第II相酵素)の誘発を例示する。
【0057】
【表2】


【0058】
効果の差は、天然型イソチオシアネートと合成イソチオシアネートとの間の化学的な差(例えば、立体異性体の性質)、または低濃度の他のイソチオシアネートの相乗効果を含む場合もある植物抽出物の他の要因によると思われる。B. アトランチカ(B.atlantica)からの抽出物は活性がないことは、グルコシノラート側鎖構造の重要性を強調している。
【0059】
[GD DH×B. ヴィローサ(B. villosa)]および[GD DH×B. ドレパネンシス(B. drepanensis)]
両者の抽出物はQR活性の強力な誘発物質であった(図4)。図4では、マウス肝細胞癌Hepa lclc7細胞におけるQRの誘発に対する栽培品種GD DH(●)、雑種交雑品種[GD DH×B. ドレパネンシス(B. drepanensis)](黒四角)、[GD DH×B. ヴィローサ(B. villosa)](◇)および[GD DH×B. アトランチカ(B.atlantica)](△)の抽出物の影響を示す。グルコシノラートはイソチオシアネートに100%変換されるということに基づくと、両抽出物のみかけのCD値は0.3 mM(4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラート当量)であり、他の物質を含有しないスルホラファン(Sulforaphane)(上記)の値および以前の研究で報告されている値とほぼ同じである。従って、[GD DH×B. ヴィローサ(B. villosa)]および[GD DH×B. ドレパネンシス(B. drepanensis)]における4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートの量は、マラソン(Marathon)およびGD DHと比較して約10倍増加したが、QR活性を誘発する能力は100倍以上差があった(すなわち、GD DH雑種と比較して、等価なQR活性を誘発するには、少なくとも100倍の量のマラソン(Marathon)組織が必要である)。
【0060】
加水分解生成物の組成および性質を検討するために、GC-MSによって抽出物を分析した(図5)。図5では、[GD DH×B. ドレパネンシス(B. drepanensis)]のガスクロマトグラフプロフィールを示す。質量分析はピークを(1)、3-メチルスルフィニルプロピルニトリル、(2)、4-メチルスルフィニルブチルニトリル、(3)、3-メチルスルフィニルプロピルイソチオシアネート、(4)、4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネートと確認した。B. ドレパネンシス(B. drepanensis)およびB. アトランチカ(B.atlantica)の凍結乾燥した葉に水を加えると、大量の揮発性3-メチルチオプロピルおよび2-プロペニルイソチオシアネートを生成する。3-メチルスルフィニルプロピルイソチオシアネートは、B. ヴィローサ(B. villosa)の塩化メチレン抽出物中で検出されており、これはグルコシノラートプロフィールに一致した。[GD DH×B. ヴィローサ(B. villosa)]および[GD DH×B. ドレパネンシス(B. drepanensis)]では、予測されるように、主要なイソチオシアネートは4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネートであった。比較的低濃度の3-メチルスルフィニルプロピルイソチオシアネートおよびニトリル誘導体も検出された。一方、ごく少量の4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネートが栽培品種中で検出された。これは、QR活性を誘発する能力の、2つの雑種と栽培品種との100倍の差は、4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートの増加と、イソチオシアネートへのより多い変換とに起因することを示している。
【0061】
(1)(a)野生型ブラシカ・オレラセア種とブラシカ・オレラセア育種系統とを交雑するステップと、(b)4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートもしくは3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートまたはそれらの両方の量が、ブラシカ・オレラセア育種系統において最初に見いだされる量よりも多い雑種を選択するステップとを含むことを特徴とする、4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートもしくは3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートまたはそれらの両方の量が増加したブラシカ・オレラセアを生産する方法。
(2) (a)野生型ブラシカ・オレラセア種とブロッコリー育種系統とを交雑するステップと、(b)4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートもしくは3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートまたはそれらの両方の量が増加した雑種を選択するステップと、 (c)ブロッコリー育種系統に戻し交雑するステップと、(d)4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートもしくは3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートまたはそれらの両方の量が増加した植物を選択するステップとを含むことを特徴とする、4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートもしくは3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートまたはそれらの両方の量が増加したブラシカ・オレラセアを生産する方法。
(3) (e)第II相酵素を強力に誘発することができる、4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートもしくは3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートまたはそれらの両方の量が増加したブロッコリー系統を選択するステップをさらに含むことを特徴とする(2)に記載の方法。
(4) (a)野生種と、特定のSI対立遺伝子を含有するブロッコリー倍加半数体育種系統とを交雑するステップと、(b)4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートもしくは3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートまたはそれらの両方の量が増加した雑種を選択するステップと、(c)RFLPマーカーを用いて特定のSI対立遺伝子をスクリーニングするステップとを含むことを特徴とする、4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートもしくは3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートまたはそれらの両方の量が多く、特定のSI対立遺伝子を有するブラシカ・オレラセアを生産する方法。
(5) (b1)4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートもしくは3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートまたはそれらの両方の量が増加した植物を戻し交雑し、選択するステップと、(d)4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートもしくは3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートまたはそれらの両方の量が増加しており、第II相酵素を強力に誘発することができる特定のSI対立遺伝子を有するブロッコリー系統を選択するステップとをさらに含むことを特徴とする(4)に記載の方法。
(6) (a)野生種とブロッコリー倍加半数体の育種系統とを交雑するステップと、(b)DNAプローブを使用して、増加した量の4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートもしくは3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートまたはそれらの両方の発現をコードする遺伝子の組み合わせを有する雑種を選択するステップと、(c)4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートもしくは3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートまたはそれらの両方の量が増加した植物を戻し交雑し、選択するステップと、(d)4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートもしくは3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートまたはそれらの両方の量が増加しており、第II相酵素を強力に誘発することができるブロッコリー系統を選択するステップとを含むことを特徴とする、4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートもしくは3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートまたはそれらの両方の量が増加したブラシカ・オレラセアを生産する方法。
(7) 4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートだけが増加されたことを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8) 3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートだけが増加されたことを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(9) (1)〜(6)のいずれかに記載の方法によって生産される食用ブラシカ植物。
(10) (1)〜(6)のいずれかに記載の方法によって生産されるブロッコリーの食用部分。
(11) (1)〜(6)のいずれかに記載の方法によって生産されるブロッコリー植物の種子。
(12) 使用される上記DNAプローブが、pW176、pW141、pW207、pW224、pW114、pW145、pW123、pW138、pW197、pW228およびpW106を含む群から選択されることを特徴とする(6)に記載の方法。
(13) 3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートもしくは4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートまたはそれらの両方の量が増加したブロッコリー植物。
(14) 3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートもしくは4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートまたはそれらの両方の濃度が乾燥重量1グラムあたり10〜100μモルであることを特徴とする、(13)に記載のブロッコリー植物。
(15) 3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートもしくは4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートまたはそれらの両方の量が増加したことを特徴とするブロッコリーの花。
(16) 3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートもしくは4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートまたはそれらの両方の濃度が乾燥重量1グラムあたり10〜100μモルであることを特徴とする、(15)に記載のブロッコリーの花。
(17) 3-メチルスルフィニルプロピルグルコシノラートもしくは4-メチルスルフィニルブチルグルコシノラートまたはそれらの両方の量が増加したことを特徴とするブラシカ植物細胞。
(18) 上記細胞が花細胞であることを特徴とする、(17)に記載の植物細胞。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】ブラシカにおける脂肪族グルコシノラート生合成の遺伝子モデルである。
【図2】栽培品種マラソン(Marathon)の抽出物および合成スルホラファン(Sulforaphane)(4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネート)を使用した、マウス肝細胞癌Hepa lclc7細胞におけるQR活性(第II相酵素)の誘発を示す。
【図3】マウス肝細胞癌Hepa lclc7細胞におけるQR(第II相酵素)の誘発に対するB. ドレパネンシス(B. drepanensis)、B. ヴィローサ(B. villosa)およびB. アトランチカ(B.atlantica)の抽出物の影響を示す。
【図4】マウス肝細胞癌Hepa lclc7細胞におけるQR(第II相酵素)の誘発に対する、栽培品種GD DHおよび野生型種との交雑から回収した雑種[GD DH×B. ドレパネンシス(B. drepanensis)]、[GD DH×B. ヴィローサ(B. villosa)]および[GD DH×B. アトランチカ(B.atlantica)]の抽出物の影響を示す。
【図5】雑種[GD DH×B. ドレパネンシス(B. drepanensis)]の抽出物のグルコシノラートのガスクロマトグラフプロフィールである。
【出願人】 【識別番号】500123706
【氏名又は名称】プラント・バイオサイエンス・リミテッド
【出願日】 平成20年4月11日(2008.4.11)
【代理人】 【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一

【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一

【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男


【公開番号】 特開2008−200048(P2008−200048A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2008−103447(P2008−103447)