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【発明の名称】 植物観賞セット
【発明者】 【氏名】若松 美雄

【要約】 【課題】植物育成のための管理が簡単で、持ち運びの容易な簡易育成容器を有する植物観賞セットを提供する。

【解決手段】植物観賞セット10は、防水材料からなる有底筒状の袋容器12に観賞用植物13が植え込まれる。袋容器12内には、通水材料からなる透水シート15の下側および上側にそれぞれ保水室S1と育成室S2とが設けられ、保水室S1には小石等の支持材が充填され、育成室S2には用土が充填される。袋容器12の側面には、保水室S1の水量を覗くための透質部が設けられる。袋容器12の上部には、観賞用植物13の根元周りを囲むように袋容器12の口を閉じる留め具14が設けられる。袋容器12には、その口付近から前記育成室の用土に挿入されて、前記透水シートを貫通して前記保水室内に連通する通気管21を設けることが望ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水材料からなる有底筒状の袋容器と、
この袋容器に植え込まれる観賞用植物とを備え、
前記袋容器の内部空間には、通水材料からなる透水シートの下側および上側にそれぞれ保水室と育成室とが設けられ、前記保水室には小石等の支持材が充填され、前記育成室には用土が充填されており、
前記袋容器の側面には、前記保水室の水量を覗くための透質部が設けられ、かつ、
前記袋容器の上部には、前記観賞用植物の根元周りを囲むように前記袋容器の口を閉じる留め具が設けられることを特徴とする、植物観賞セット。
【請求項2】
請求項1記載の植物観賞セットであって、前記袋容器には、前記袋容器の口付近から前記育成室の用土に挿入されて、前記透水シートを貫通して前記保水室内に連通する通気管が設けられる、植物観賞セット。
【請求項3】
請求項2記載の植物観賞セットであって、前記通気管の下部側面に、前記保水室に開口する小孔が設けられる、植物観賞セット。
【請求項4】
防水材料からなる有底筒状のボトル容器と、
このボトル容器に植え込まれる観賞用植物とを備え、
前記ボトル容器の内部空間には、通水材料からなる透水シートの下側および上側にそれぞれ保水室と育成室とが設けられ、前記保水室には小石等の支持材が充填され、前記育成室には用土が充填されており、
前記ボトル容器の側面には、前記保水室の水量を覗くための透質部が設けられ、かつ、
前記ボトル容器の上部には、前記観賞用植物の根元周りを囲むボトル口が設けられることを特徴とする、植物観賞セット。
【請求項5】
請求項4記載の植物観賞セットであって、前記ボトル容器には、前記ボトル口付近から前記育成室の用土に挿入されて、前記透水シートを貫通して前記保水室内に連通する通気管が設けられる、植物観賞セット。
【請求項6】
請求項5記載の植物観賞セットであって、前記通気管の下部側面に、前記保水室に開口する小孔が設けられる、植物観賞セット。
【請求項7】
防水材料からなる有底筒状のポット容器と、
このポット容器に植え込まれる観賞用植物とを備え、
前記ポット容器の内部空間には、通水材料からなる透水シートの下側および上側にそれぞれ保水室と育成室とが設けられ、前記保水室には小石等の支持材が充填され、前記育成室には用土が充填されており、
前記ポット容器の側面には、前記保水室の水量を覗くための透質部が設けられることを特徴とする、植物観賞セット。
【請求項8】
請求項7記載の植物観賞セットであって、前記ポット容器には、前記ポット容器の口付近から前記育成室の用土に挿入されて、前記透水シートを貫通して前記保水室内に連通する通気管が設けられる、植物観賞セット。
【請求項9】
請求項8記載の植物観賞セットであって、前記通気管の下部側面に、前記保水室に開口する小孔が設けられる、植物観賞セット。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか一項記載の植物観賞セットであって、前記ポット容器の上方開口部に観賞用植物の根元回りを囲む孔付蓋体が設けられ、かつ、孔付蓋体の上面が外周部から孔に向かってすり鉢状に傾斜する、植物観賞セット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、植物観賞セットに関するもので、詳しくは、植物育成のための管理が簡単で持ち運びの容易な簡易育成容器を有する植物観賞セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
室内観賞用植物は、水管理、日照管理、温度管理を日常的に行わなければならないが、特に水管理をしっかり行う必要がある。しかし、近年日々のゆとりの無い生活のために、植物を日常的に管理できる人が減少している。その為、自分で植物を育て観賞して楽しもうと思っても、結局管理しきれずに枯らしてしまったり、また、最初から諦めたりするケースが少なくない。
【0003】
例えば図15に示すように、従来の観賞用植物は、育成容器として鉢7に植えられるのが一般的である。鉢7は上部7aが広く開口しており、底部7bに排水のための穴を有している。また、潅水した後の鉢7内に保持されなかった水は底部7bの排水穴より排水されるので、室内の場合は受け皿8を設置しているのが通常である。
【0004】
なお、観賞用植物の育成容器に関する先行技術としては、下記特許文献1〜3が開示されている。
【特許文献1】特開2006−121916号公報
【特許文献2】特開2004−298072号公報
【特許文献3】特開2000−125667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図15に示すような従来の鉢植え方法では以下に挙げるような問題がある。
(イ)鉢植え植物は潅水頻度が多いという問題(保水性)
鉢植え植物は、鉢内の土が外気に直接触れるので乾燥が早い。その為、植物を枯らさないように常に潅水をしなければならない。特に乾燥しやすい夏期では、潅水の頻度がとても多くなってしまう。また、旅行等に出かけたりして長期間植物の管理ができないときは、枯らしてしまうことが多い。
(ロ)鉢植え植物の余剰水は周囲を汚してしまうという問題
鉢植え植物に潅水したとき、土に保持されなかった余剰水は鉢の底から流れ出る。その為、鉢の下には受け皿を設けるのが通常である。しかしこの受け皿に溜まる水は、潅水量が多いと溢れ出したり、何らかの衝撃によって鉢が動いた拍子にこぼれ出して、周囲を汚したりしてしまうことがある。その為鉢植え植物は、水平で安定したところにしか置くことができず、また、受け皿に水が溜まった状態では、例えば室内の掃除をしようとした時など鉢を動かしたくても水がこぼれるので、なかなか動かすことができないなどの問題がある。
(ハ)鉢植え植物の余剰水は根腐れを起こしてしまうという問題(排水性)
受け皿に溜まった水を長時間そのままにしておくと、鉢の中が過湿状態になり根腐れを起こすことがある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題を解決することで、植物をもっと身近に感じ、植物観賞を楽しくできるようにした植物観賞セットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[第1発明]
前記課題を解決するための第1発明の植物観賞セットは、
防水材料からなる有底筒状の袋容器と、
この袋容器に植え込まれる観賞用植物とを備え、
前記袋容器の内部空間には、通水材料からなる透水シートの下側および上側にそれぞれ保水室と育成室とが設けられ、前記保水室には小石等の支持材が充填され、前記育成室には用土が充填されており、
前記袋容器の側面には、前記保水室の水量を覗くための透質部が設けられ、かつ、
前記袋容器の上部には、前記観賞用植物の根元周りを囲むように前記袋容器の口を閉じる留め具が設けられる構成とした。
【0008】
第1発明の植物観賞セットでは、袋容器の口から潅水すると、その水が容器内で育成室の用土に浸み込む。用土の下方に浸み込んだ水は、透水シートを通過して保水室に貯留される。
植物の管理者は、保水室の水量を透質部から監視し、水量が減ってきたら保水室の適量レベルまで水を補充する。
【0009】
本発明の植物観賞セットによれば、次のような効果がある。
(イ)観賞用植物への潅水頻度を低減する効果(保水効果)
潅水時、用土には水が浸み込むが、本発明では、袋容器の口が閉じているので、用土からの水分蒸発が少なく、用土が乾燥しにくくなる。
また、植物が水分を吸収して用土中の水分が不足しても、保水室に溜まった水分が根から直接吸収され、かつ蒸発によって用土に吸収されるので、植物にとって良い水分状態を常に維持することができる。従って、潅水頻度を低減することができる。
また、袋容器の側面には保水室を臨む透質部があるので、水分量がすぐ分かり潅水のタイミングも分かりやすい(保水室の水分が無くなったら潅水を行う)。
【0010】
(ロ)育成容器の周囲を汚さない効果
本発明の植物観賞セットは、袋容器が防水材料からなるので排水がない。また、袋容器の口を留め具により閉じているため、仮に袋容器が転倒しても、水や土が外部に漏れ出しにくい。従って、観賞用植物の周囲を汚す心配が少なく、観賞用植物の持ち運びなどの取り扱いが極めて簡単になり、室内の任意の場所に気軽に植物を飾ることが可能になる。
【0011】
(ハ)植物の根腐れを起こさない効果(排水効果)
本発明の植物観賞セットでは、保水室と育成室とが透水シートによって分離されているため、育成室の用土と保水室の水とが直接接触することがない。このため、育成室の用土が毛細管現象で保水室の水を必要以上に吸い上げることがなく、過湿状態になることが回避され、根腐れも起きない。
【0012】
なお、植物の水管理については、前記特許文献1〜3に従来の鉢植え植物とは異なる独自の構造が提案されている。
例えば特許文献1の植栽装置では、植物を植える土を保水性の高い不織布バッグで包むことで乾燥を防ぎ、また、前記バッグ底部に透水性の高い部分を設けることで水が停滞することを防いでいる。
しかしながら、植物を植えた前記バッグから出た余剰水を受け取るのは受け皿となっているので、移動の際に周囲を汚す可能性がある。
【0013】
また、特許文献2の育成方法では、自立可能な袋容器(スタンディングパウチ)を利用している。前記容器は、転倒防止効果及び保湿効果が優れているので、任意の場所で簡単に野菜や園芸植物を育成することができる。
しかしながら、特許文献2では排水対策が明確にされておらず、水の停滞による根腐れを起こす可能性が考えられる。また、スタンディングパウチの口を閉じる点についても何ら開示されておらず、輸送時などに容器の外側に土がこぼれるおそれがある。
【0014】
さらに、特許文献3の植木鉢は、水を通さない底部に無機質で保水性のある改良土を充填して長期間の水遣りを不要としているが、用土と改良土とを分離する透水シートが存在せず、改良土の水が毛細管現象で用土に移行し、根腐れを起こすおそれがある。また、鉢側面の小孔や底面排水口から出た水を受け皿で受けることが必要で、移動の際に周囲を汚しやすい。
【0015】
以上のように従来の鉢を使用しない植物の育成方法はいくつか公知となっているが、室内のような、容器からの排水や土で周囲を汚すことができない置き場所が限られるところで、植物を健全に育成させるものはほとんど知られていない。
本発明の植物観賞セットによれば、前述した従来の問題点を解消することで、植物管理の負担が減って室内でも手軽に植物と親しむことができるようになる。
【0016】
第1発明の植物観賞セットにおいて、「用土」には自然土もしくは人工土を使用することができる。必要に応じて防虫剤等を用土に加えてもよい。
「袋容器」は、透明自立型袋を採用するとよい。具体的には透明樹脂フィルムを筒状に熱圧着して得られるスタンディングパウチを用いることが望ましい。スタンディングパウチは、軽量・コンパクトで起立状態の安定性も良好であるため、本発明の袋容器としては最適である。
「支持材」は、保水室に適度な空間を安定的に確保できるものであればよく、玉状もしくは礫状の材料を用いるとよい。具体的には、小石や貝殻、珊瑚、セラミック玉、ガラス玉等を用いることができる。
【0017】
「留め具」としては、紐、ワイヤー、針金、ゴムバンド、粘着テープ、面ファスナ、クリップ等が挙げられる。袋容器の口を閉じる場合、植物の周囲と袋容器の口との間に水が通る程度の若干の隙間を残すようにする。
また、「留め具」を使用する際には、袋容器の口と観賞用植物との隙間に通水材料からなる充填材(不織布、有孔シートなど)を設けるとよい。このような構成によれば、袋容器が転倒した場合でも、袋容器の口から水や土の流出を充填材によって止めることができ、さらに観賞用植物をさらに手軽に取り扱うことが可能になる。
【0018】
[第2発明]
第2発明の植物観賞セットは、第1発明の構成において、前記袋容器には、前記袋容器の口付近から前記育成室の用土に挿入されて、前記透水シートを貫通して前記保水室内に連通する通気管が設けられる構成とした。
【0019】
第1発明の構成において、保水室に水を溜めるには、育成室の用土を通して保水室に水を送る必要があるが、用土に浸み込んだ水が保水室に流れ落ちるまでには比較的長い時間がかかる。これは、保水室の空気が袋容器の底部でほぼ密閉された状態にあり、水の流れを邪魔するためと考えられる。袋容器の側面を揉むなどして保水室の空気を逃すことで、用土から水が落ちるのを促進させることもできるが、このような方法では、用土の一部が保水室に紛れ込んで保水室の水が汚くなってしまう。
【0020】
第2発明の構成によれば、通気管を通して保水室の空気を袋容器の口付近に逃すことができるため、用土に浸み込んだ水がスムーズに下方に流れて保水室に溜まる。この結果、観賞用植物への水遣りをより短時間で行うことができ、保水室の水に汚れも生じない。
【0021】
さらに、通気管による別の効果としては、通気管を通して保水室に直接空気を送ることで、保水室の酸素濃度を良好な状態にしておくことができる。このため、観賞用植物の根呼吸を促して成長を促進させることができる。
なお、特許文献3には、鉢内に通気管7を設ける構成が開示されているが、この種の通気管は、鉢内部の有機質や汚れた水を効果的に排出するためのものであり、本発明のように保水室の空気を上方に抜いて用土から保水室への水の流れを促進するものではない。この点、特許文献3と第2発明の構成は明確に異なっている。
【0022】
[第3発明]
第3発明の植物観賞セットは、前記通気管の下部側面に、前記保水室に開口する小孔を設ける構成とした。
【0023】
保水室の水量が通気管の下端レベルよりも多い場合には、通気管の下端が水面で封鎖されて外気が通気管を通して保水室に取り込まれないことが起こりうる。
上記のように通気管の下部側面に小孔を設けておけば、保水室の水面が通気管の下端レベルよりも多い場合でも、小孔を通して外気を保水室に導入することができる。このため、保水室の水量に影響されることなく、新鮮な空気を保水室に取り込みやすくなり、より好ましい環境で植物を育てることができる。
【0024】
[第4発明]
前記課題を解決するための第4発明の植物観賞セットは、
防水材料からなる有底筒状のボトル容器と、
このボトル容器に植え込まれる観賞用植物とを備え、
前記ボトル容器の内部空間には、通水材料からなる透水シートの下側および上側にそれぞれ保水室と育成室とが設けられ、前記保水室には小石等の支持材が充填され、前記育成室には用土が充填されており、
前記ボトル容器の側面には、前記保水室の水量を覗くための透質部が設けられ、かつ、
前記ボトル容器の上部には、前記観賞用植物の根元周りを囲むボトル口が設けられる構成とした。
【0025】
第4発明の植物観賞セットによっても、水と用土とがそれぞれ保水室と育成室に仕切られてほぼ密閉状態で保持されるため、第1発明と同様な(イ)〜(ハ)の効果を得ることができる。
第4発明において、「ボトル容器」としては、容器の上部に観賞用植物を挿入できる程度の口が空いているものであればよく、例えば、ガラス瓶、ペットボトル等を用いることができる。
【0026】
第4発明の植物観賞セットにおいて、ボトル容器の口と観賞用植物との隙間に、通水材料からなる充填材を設けてもよい。
このような構成によれば、転倒時の水や土のこぼれを防止してより快適に植物を室内観賞することが可能になる。
【0027】
また、第4発明の植物観賞セットにおいて、ボトル容器には、ボトル容器の口付近から育成室の用土に挿入されて、前記透水シートを貫通して前記保水室内に連通する通気管を設ける構成としてもよい。
このような構成によれば、前述したように、用土から保水室への水が流れ落ちやすくなり、また、根の呼吸を促して植物の成長を促進することができる。なお、通気管の下部側面には、必要に応じて保水室に開口する小孔を設けても構わない。
【0028】
[第5発明]
前記課題を解決するための第5発明の植物観賞セットは、
防水材料からなる有底筒状のポット容器と、
このポット容器に植え込まれる観賞用植物とを備え、
前記ポット容器の内部空間には、通水材料からなる透水シートの下側および上側にそれぞれ保水室と育成室とが設けられ、前記保水室には小石等の支持材が充填され、前記育成室には用土が充填されており、
前記ポット容器の側面には、前記保水室の水量を覗くための透質部が設けられる構成とした。
【0029】
第5発明の植物観賞セットによっても、ポット容器の保水室に水を溜めておくことで潅水頻度を少なくすることができる。また、用土に余剰水が溜まらないため、根腐れを起こしにくくすることができる。
【0030】
第5発明において、「ポット容器」は、上方に口を有する開放型の容器であればよく、プラスチックやガラス等の透明容器を用いるとよい。「ポット容器」の形状は、特に限定されず、円筒形、角筒形、植木鉢形等を採用することができる。
【0031】
また、第5発明の植物観賞セットにおいて、ポット容器には、ポット容器の口付近から育成室の用土に挿入されて、前記透水シートを貫通して前記保水室内に連通する通気管を設ける構成としてもよい。
このような構成によれば、前述したように、用土から保水室への水が流れ落ちやすくなり、また、根の呼吸を促して植物の成長を促進することができる。必要に応じて、通気管の下部側面に、保水室に開口する小孔を設けても構わない。
【0032】
[第6発明]
第6発明の植物観賞セットは、第5発明の構成において、前記ポット容器の上方開口部に観賞用植物の根元回りを囲む孔付蓋体が設けられ、かつ、孔付蓋体の上面が外周部から孔に向かってすり鉢状に傾斜する構成とした。
【0033】
このような構成によれば、孔付蓋体がポット容器の密閉性を高めるため、ポット容器に第3発明のボトル容器と同様な効果を期待することができる。また、孔付蓋体の上面に水を注ぐと、傾斜面に沿って水が孔に集まりポット容器内に落ち込むため、如雨露や水差しで簡単に水遣りを行うことが可能になる。孔付蓋体は、上記効果が得られれば、ポット容器と一体でも別体であってもよい。
【0034】
[第1〜6発明]
本発明(第1〜6発明)の植物観賞セットは、観賞用植物の育成に適用されるが、植物の種類は限定されず、野菜、果物、花などの育成に適用することもできる。
本発明(第1〜6発明)は、単独で適用してもよいし、各発明を組み合わせて適用してもよい。また、本明細書に記載される他の発明を組み合わせてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態による植物観賞セットを図1および図2に示した。
植物観賞セット10は、透明な袋容器12に観賞用植物13が植え込まれる。袋容器12の口には留め具14が取り付けられており、この留め具14が観賞用植物13の根元付近を囲むように袋容器12の口を締めている。
【0036】
袋容器12の内部は、透水シート15によって保水室S1と育成室S2とに仕切られる。保水室S1には、小石、貝殻、珊瑚等の支持材16が敷き詰められ、育成室S2には、用土17(植物用培養土)が充填されている。
【0037】
図3に示すように、袋容器12にはスタンディングパウチが採用される。スタンディングパウチは、透明な樹脂フィルムからなり、側面フィルム12a,12bと底面フィルム12cの外周端部が一定の幅で熱圧着されて有底筒状に形成される。透質部としてのフィルム面を通して、保水室S1および育成室S2の内部が袋容器12の外から見える。袋底部を膨らませると、舟形の底面フィルム12cを囲んで側面フィルム12a,12bの下端がほぼ水平に広がり、その起立状態を安定させる。
【0038】
透水シート15は、布材、網材、透水膜等の通水材料からなる。通水材料は、水は通過するが土は通過できないほど目の細かいものである。袋容器12の底部に支持材を敷き詰め、その上に透水シート15を敷いて、さらにこのシートの上に用土17を充填する。これにより、透水シート15の下側と上側にそれぞれ用土17と支持材16とが分離されることになる。なお、観賞用植物13の根は、透水シート15の目の隙間を通って保水室S1に伸びることができる。
【0039】
留め具14としては、袋容器12の口を結ぶのに足りる長さのビニール紐が用いられる。留め具14と観賞用植物13との間には若干の隙間が保たれるため、観賞用植物13の根元が留め具14で締め付けられることはない。
【0040】
図2に示すように、袋容器12の口と観賞用植物13との隙間には、不織布等の充填材18が設けられる。この充填材18は、袋容器12の口から用土17や水が外側に飛び出すのを防止する。充填材18には水が通るため、水遣り時に充填材18を袋容器12の口から取り外す必要はない。
【0041】
観賞用植物13に水を遣る場合、袋容器12の口から水を注ぐと、育成室S2の用土17に浸み込んで、透水シート15を通過し、保水室S1に溜まる。このとき、保水室S1の水量は、透水シート15よりも下方位置に水面が来るようにする。こうすることで、保水室S1に溜まった水が必要な分だけ保水室S1に伸びた観賞用植物13の根に吸い上げられる。袋容器12の外側から保水室S1を覗いて水量の減少を確認したら、袋容器12の口から水を補充する。
【0042】
第1実施形態の植物観賞セットによれば、下記のような利点がある。
(イ)保水室S1の水分量を確認しながら、観賞用植物13に必要な分だけ水を供給することができるため、潅水頻度が少なく済む。また、用土17中の水分が不足しても、保水室S1の水分が根から直接吸収されるか、蒸発によって用土17に吸収されるので、植物にとって良い水分状態を常に維持することができる。これにより、植物の水管理が極めて容易にできるようになる。
(ロ)袋容器12から排水がなく、また、袋容器12の口を留め具14により閉じているため、周囲を汚す心配が少ない。このため、室内などの任意の場所に気軽に植物を持ち運ぶことができる。
(ハ)保水室S1と育成室S2とが透水シート15によって分離されるため、育成室S2の用土17が毛細管現象で保水室S1の水を必要以上に吸い上げることがなく、過湿状態になることが回避され、根腐れが起きにくい。
【0043】
このように植物観賞セット10によれば、観賞用植物13の水管理が簡単で、設置場所が制限されにくいため、従来では考えられなかった形態で観賞用植物を取り扱うことができる。
例えば図4に示すように、植物観賞セット10を巾着袋H1に入れて壁などに掛けて観賞することができる。観賞用植物13を袋容器に入れたまま巾着袋H1に入れることで、水漏れの心配がない。また、適当な時期に巾着袋H1から袋容器を取り出して水を補充すれば水管理も煩雑にならない。
【0044】
また、図5に示すように、自動車の室内に植物観賞セット10を持ち込んで飾ってもよい。図5の例では、カップホルダH2に袋容器12が挿入されてその転倒が防止されている。車内の室温が高くても水分が蒸発しにくいため、潅水の頻度が少なくて済む。また、車内に水や土がこぼれる心配も少ない。
【0045】
さらに、図6に示すように、色紙などで袋容器12にラッピングH3を施すことで、植物観賞セット10を持ち運び自在な植物として販売してもよい。通常、観賞用植物を商品として取引する場合には、水や土がこぼれることからその取扱いに注意が必要となるが、本実施形態の植物観賞セット10では、水や土がこぼれの心配が少なく、極めて容易に観賞用植物13を取り扱うことができる。図7に示すように、植物観賞セット10の外側に、着せ替え衣装タイプのラッピングH4を施せば、より商品価値を高めることもできる。このようなラッピングH3,H4についても水や土で汚れる心配はほとんどない。もちろん袋容器12の内部を見せる場合には、ラッピングなしでも構わない。
【0046】
次に、第2実施形態による植物観賞セット20を図8に示した。
図8に示すように、第2実施形態の植物観賞セット20は、袋容器12の内部に通気管21を設けたものである。通気管21は、袋容器12の口付近から育成室S2に挿入され、透水シート15を貫通して保水室S1まで延びている。通気管21の内部は空洞である。
通気管21の壁面は、プラスチック、ガラス、金属等の防水材料からなる。具体的には、市販のストローを通気管21として用いることができる。なお、符号19は、用土17の上に撒かれた粒子状の防虫剤である。
【0047】
水遣りを行う場合、袋容器12の口から観賞用植物13の根元付近に水を入れると、用土17に水が浸み込む。このとき、図9に示すように、保水室S1の空気が通気管21を通って袋容器12の上方へ抜けるため、用土17の下方に水がスムーズに流れ落ちて保水室S1に溜まる。この結果、短時間で素早く水遣りを行うことが可能になる。
【0048】
また、袋容器12の外の空気が通気管21を通して保水室S1に送られるため、保水室S1には常に新鮮な空気が循環する。このため、観賞用植物13の根の呼吸を促進して快適な環境で観賞用植物13を育てることができる。
なお、実際に、通気管を付けたものと付けてないものとについて、発明者が観賞用植物を1〜2ヶ月育成したところ、通気管を付けたものが付けないものよりも、生育が良好になることが確認された。
【0049】
第3実施形態を図10に示した。
第3実施形態の植物観賞セット30は、通気管21の下部に複数の小孔21aを形成したものである。通気管21は、袋容器12の口付近から育成室S2の用土17に挿入されて、透水シート15を貫通して保水室S1の底部まで延びる。そして、通気管21の下部側面に、保水室S1に開口する複数の小孔21aが設けられている。
【0050】
このような構成によれば、図11に示すように、通気管21の先端が保水室S1の水に浸かっている場合でも、水面より上の小孔21aに通気管21の空気通路を確保することができる。これにより、袋容器12の管理をさらに簡単かつ確実に行うことができる。
【0051】
第4実施形態を図12に示した。
第4実施形態の植物観賞セット40は、袋容器12に代えて、ボトル容器42を採用したものである。ボトル容器42の内側には、透水シート15によって保水室S1と育成室S2とが仕切られ、保水室S1には支持材16、育成室S2には用土17が充填されている。
ボトル容器42は、有底筒状の透明プラスチック容器(ペットボトル等)であり、そのボトル口が育成室S2に植えられた観賞用植物13の根元付近を囲む。ボトル容器42の口付近から保水室S1の上部にかけての位置には通気管21が挿入されている。
【0052】
第4実施形態の構成によっても、ボトル容器42の外から保水室S1を監視しながら少ない潅水量で簡単に観賞用植物13を育てることができる。
また、ボトル容器42の口が観賞用植物13の根元付近を囲むように形成されるため、土や水が容器の外側にこぼれにくく、周囲を汚す心配が少ない。
さらに、保水室S1と育成室S2とが透水シート15によって分離されるため、保水室S1の水分によって育成室S2が過湿状態になりにくく、根腐れが起こりにくくなる。
さらには、通気管21によってボトル容器42の外から保水室S1への空気通路が確保されるから、用土17に浸み込んだ水が保水室S1へ流れ落ちやすく、また、保水室S1の新鮮な空気によって観賞用植物13の根の呼吸を促進することができる。
【0053】
第5実施形態を図12に示した。
第5実施形態の植物観賞セット50は、ポット容器52を採用したものである。ポット容器52の内部は、透水シート15によって保水室S1と育成室S2とに仕切られており、保水室S1には支持材16、育成室S2には用土17がそれぞれ充填されている。
ポット容器52は、有底筒状の透明プラスチック容器であり、上方に向けてその口径がが拡大している。ポット容器52の上端口付近から保水室S1の底部にかけての位置には通気管21が挿入されている。通気管21の下部側面には、保水室S1に開口する複数の小孔21aが設けられている。
【0054】
第5実施形態によっても、ポット容器52の外から保水室S1を監視しながら少ない潅水量で簡単に観賞用植物13を育てることができる。
また、保水室S1と育成室S2とが透水シート15によって分離されるため、保水室S1の水分によって育成室S2が過湿状態になりにくく、根腐れが起こりにくくなる。
さらに、通気管21によってボトル容器42の外から保水室S1への空気通路が確保されるから、用土17に浸み込んだ水が保水室S1へ流れ落ちやすく、また、保水室S1の新鮮な空気によって観賞用植物13の根の呼吸を促進することもできる。
【0055】
第6実施形態を図14に示した。
第6実施形態の植物観賞セット60は、ポット容器62の上方開口部に孔付蓋体63を設けたものである。
ポット容器62は、有底筒状の透明なプラスチック容器であり、その筒径はほぼ一定になっている。ポット容器62の内部には透水シート15によって保水室S1と育成室S2とが仕切られており、保水室S1には支持材16、育成室S2には用土17がそれぞれ充填されている。ポット容器62の上端口付近から保水室S1の上部にかけての位置には通気管21が挿入されている。
【0056】
孔付蓋体63は、そのほぼ中央部に孔63aが形成されており、この孔63aが観賞用植物13の根元付近を囲む。蓋上面は、外周部から孔63aに向かって次第に凹むすり鉢状になっている。
【0057】
第6実施形態によれば、第5実施形態の効果に加えて、孔付蓋体63によりポット容器62から土や水がこぼれるのを防止することができ、観賞用植物13の取り扱いをより簡単ににすることができる。
また、孔付蓋体63の上面がすり鉢状になっているため、蓋上面で受けた水を孔63aを通して容器内に導くことができ、如雨露や水差しで水遣り作業を簡単に行うことができる。
【0058】
以上、第1〜6実施形態を説明したが、本発明の実施形態はこれらに限られることなく、種々の変更を伴ってもよい。
第1および2実施形態では袋容器12としてスタンディングパウチを採用したが、観賞用植物を起立させる必要がなければ、他の袋容器12を使用してもよい。
また、第1〜6実施形態では、容器全体に透明の材料を採用しているが、水量が確認可能であれば、透明部分は容器全体でなくてもよく、容器の下部に保水室S1の見える透質部を部分的に設けてもよい。
さらに、留め具14については、ビニール紐の他、天然繊維(麻、綿など)の紐やリボン、ゴムバンド、針金、ワイヤー、テープ、面ファスナ、クリップ等を用いてもよい。
袋容器12の外側に保水室S1への光を遮断する着脱可能な遮光カバーを取り付けてもよい。このような遮光カバーを取り付けることで、支持材16に藻が発生するを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態による植物観賞セットを示す正面図である。
【図2】同実施形態による植物観賞セットを示す斜視図である。
【図3】同実施形態の袋容器を示す斜視図である。
【図4】同実施形態の植物観賞セットを壁に掛けた使用例を示す斜視図である。
【図5】同実施形態の植物観賞セットを自動車の室内に飾った使用例を示す斜視図である。
【図6】同実施形態の植物観賞セットにラッピングを施した使用例を示す斜視図である。
【図7】同実施形態の植物観賞セットに衣装を模したラッピングを施した使用例を示す斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態による植物観賞セットを示す正面図および底面図である。
【図9】同実施形態の通気管の作用を説明するための部分拡大断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態による植物観賞セットを示す正面図および底面図である。
【図11】同実施形態の通気管の作用を説明するための部分拡大断面図である。
【図12】本発明の第4実施形態による植物観賞セットを示す断面図である。
【図13】本発明の第5実施形態による植物観賞セットを示す断面図である。
【図14】本発明の第6実施形態による植物観賞セットを示す断面図である。
【図15】従来形態による植物観賞セットを示す断面図である。
【符号の説明】
【0060】
10 植物観賞セット
12 袋容器
13 観賞用植物
14 留め具
15 透水シート
16 支持材
17 用土
18 充填材
21 通気管
21a 小孔
42 ボトル容器
52,62 ポット容器
63 孔付蓋体
【出願人】 【識別番号】507064330
【氏名又は名称】若松 洋介
【出願日】 平成19年8月4日(2007.8.4)
【代理人】 【識別番号】100119792
【弁理士】
【氏名又は名称】熊崎 陽一


【公開番号】 特開2008−206509(P2008−206509A)
【公開日】 平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願番号】 特願2007−203710(P2007−203710)