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【発明の名称】 屋外用緑化装置及び屋外用緑化システム
【発明者】 【氏名】深田 晋一

【要約】 【課題】主に屋上を想定した屋外用装置であって、容易に入手可能な素材を用い安価に製作可能であり、かつ、メンテナンスにも優れ、植えた植物が大きくなっても容易に風に飛ばされることもない緑化装置を提供する。

【解決手段】水を蓄えた容器1上面を被いこの容器1に固定された蓋板9の所定の場所に穴10を開け、この穴10より植栽ポット3が吊り下げられる脱着可能な構造とする。植栽ポット3は、吊り下げ部を支持する部分を除き、外径、内径とも一定な適当な長さの円筒容器とする。蓋板9の板厚を、板の上側、下側とも、穴10の周辺のみそれ以外の領域より厚くし、この厚くなった領域に前記円筒管外径より僅かに大きな縦方向に一定の径の穴10を開け使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液肥が溶け込んだ水を蓄えた耐水性容器と、前記耐水性容器に固定され該耐水性容器の上面を被い所定の場所に穴を有する蓋板と、植物苗が植えられ前記蓋板の穴に挿入される植栽ポットとを有する屋外用緑化装置であって、
前記植栽ポットは、前記蓋板により吊り下げられる脱着可能な構造を有し、前記耐水性容器の底部との間に空間を有して支持される
ことを特徴とする屋外用緑化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の屋外用緑化装置において、
前記植栽ポットをなす容器は、前記蓋板により吊り下げられる部分を除いて、外径、内径ともに一定な適当な長さの円筒管からなり、この円筒管下部にシート状の吸水性素材が設置され、その上に土壌が充填され、円筒管底部に開口断面積を損なうことなく前記シート状吸水性素材の固定機構が設けられており、前記蓋板により吊り下げられる部分は、それ以外の部分より大きな外径を有し、前記蓋板の穴の縁部に吊り下げられる
ことを特徴とする屋外用緑化装置。
【請求項3】
請求項2に記載の屋外用緑化装置において、
前記蓋板は、この蓋板をなす板体の上側及び下側ともに、前記穴の周辺部が、それ以外の領域より板厚が厚くなっており、この板厚が厚くなった領域に、前記植栽ポットをなす容器の前記円筒管の外径より僅かに大きな径の穴を有する
ことを特徴とする屋外用緑化装置。
【請求項4】
請求項2に記載の屋外用緑化装置において、
前記植栽ポットの前記蓋板により吊り下げられる部分は、この植栽ポットをなす容器の円筒管部の外径面積より十分に広い平面面積を有して前記蓋板の上面に重なり、この蓋板に固定して設置される
ことを特徴とする屋外用緑化装置。
【請求項5】
請求項3に記載の屋外用緑化装置において、
前記蓋板と同位置に同寸法の穴を有する蓋板下板を、この蓋板下側の穴の周辺の他領域より厚い領域で蓋板と接着固定し、中空の積層蓋板構造体とした
ことを特徴とする屋外用緑化装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の複数の屋外用緑化装置、水位調整機構を有する貯水装置、各緑化装置と貯水装置を繋ぐ開閉機構付き配水配管より成り、
前記複数台の屋外用緑化装置の中で他の緑化装置より水位の高い緑化装置が一台以下の状態を維持しつつ、各緑化装置の水位を貯水装置の水位調整機構により周期的に上下動させる
ことを特徴とする屋外用緑化システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、表面をコンクリートやアスファルトに被われたの土壌のない場所を緑化するための屋外用緑化装置に関し、特に、低コストで設置可能でありながらメンテナンス性に優れ、かつ、屋上等の風の強い場所にも対応可能な屋外用緑化装置及び屋外用緑化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市のヒートアイランド現象対策や、アメニティ空間の創出といった観点から、建築物の屋上等の土壌のない場所の緑化が注目されている。
【0003】
このような緑化を行う屋外用緑化装置として、特許文献1には、給水システムを組み合わせることによりメンテナンスフリー化を可能とした屋上緑化システムが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、水盤を使い、水生植物を育成させる緑化装置が記載されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、液肥を循環させ、蔓性植物を植栽させる屋上緑化装置及び屋上緑化方法が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−298140公報
【特許文献2】特開2004−305114公報
【特許文献3】特開2005−110563公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述の各従来技術においては、育成する植物の種類、または、背丈等が限定されるという問題がある。いろいろな植物を育成できるようにするには、高度なシステムが必要になり、高価な装置になってしまう。このような制約のため、屋上緑化が普及しないのが現状である。
【0008】
そこで、本発明は、前述の実情に鑑みて提案されるものであって、表面をコンクリートやアスファルトに被われたの土壌のない場所を緑化するための屋外用緑化装置であって、育成する植物の種類や背丈等が限定されず、いろいろな植物を育成でき、かつ、低コストで製造及び設置が可能な屋外用緑化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、主に屋上を想定した屋外用装置であって、容易に入手可能な素材を用い安価に製作可能であり、かつ、メンテナンス性にも優れ、植えた植物が大きくなっても容易に風に飛ばされることもない緑化装置を提供するものである。
【0010】
具体的には、請求項1に記載の屋外用緑化装置は、水を蓄えた容器と、この容器上面を被いこの容器に固定された所定の場所に穴の開いた蓋板と、この穴に挿入される植物苗の植えられた植栽ポットより成る緑化装置において、植栽ポットが蓋板より吊り下げられる脱着可能な構造であり、容器底部との間に空間を有する構造とするものである。
【0011】
請求項2に記載の屋外用緑化装置は、請求項1に記載の屋外用緑化装置において、前記植栽ポットが、蓋板上に位置して吊り下げ部を支持する部分を除き、外径、内径とも一定な適当な長さの円筒管を容器とし、この円筒管下部にシート状の吸水性素材を設置し、その上に土壌を充填し、円筒管底部に実質的に開口断面積を損なうことなく前記シート状吸水性素材の固定機構を設けたものであり、蓋板上に位置して吊り下げ部を支持する部分はそれ以外の部分より大きな外径を有し、それにより蓋板の穴より吊り下げられる構造とするものである。
【0012】
請求項3に記載の屋外用緑化装置は、請求項2に記載の屋外用緑化装置において、蓋板の板厚を、板の上側、下側とも、前記穴の周辺のみそれ以外の領域より厚くし、この厚くなった領域に前記円筒管外径より僅かに大きな縦方向に一定の径の穴を開けた蓋板を使用するものである。
【0013】
請求項4に記載の屋外用緑化装置は、請求項2に記載の屋外用緑化装置において、植栽ポットの蓋板上に位置して吊り下げ部を支持する部分が、植栽ポット円筒管部の外径面積よりはるかに広い平面面積を有して蓋板上面に重なり、器具にて蓋板に固定して設置されるものである。
【0014】
請求項5に記載の屋外用緑化装置は、蓋板と同位置に同寸法の穴を有する蓋板下板を、蓋板下側の穴の周辺の他領域より厚い領域で蓋板と接着固定して中空の積層構造の蓋板構造体としたものである。
【0015】
請求項6に記載の屋外用緑化システムは、複数台の本発明の屋外用緑化装置、水位調整機構を有する貯水装置、各緑化装置と貯水装置を繋ぐ開閉機構付き配水配管より成り、複数台の屋外用緑化装置の中で水位の高い緑化装置が一台もしくは、一定期間は全ての緑化装置が水位の低い状態を維持しつつ、各緑化装置の水位を貯水装置の水位調整機構により周期的に上下動させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の屋外用緑化処理装置によれば、水を蓄えた容器上面を植栽ポット部を除き蓋板で蔽うため、必要以上に水分が蒸散することがなく、また、降雨により容器内の水量が増すこともない。一般に、容器に蓄える水には、植物の生育に必要な適当量の液肥が溶け込んでいる。そのため、蒸散して肥料濃度が高くなりすぎたり、降雨で希釈されたり、蓄えた水が溢れて肥料分が流出したりする事態を防止することが必須である。そのため、上面の開口領域は、どうしても必要な、植栽ポット部に限定する必要がある。また、植栽ポットは基本的に蓋板に開けられた穴より吊り下げられているだけなので、容易に取り外しや交換が可能である。すなわち、植物が枯死したり、あるいは、この植物が野菜であり、収穫してしまった際などに、容易に植栽ポットごと交換して新しい植物苗に取り替えることができるのである。
【0017】
また、植栽ポットを上から吊るす構造とすることにより、容器底部には植栽ポットから伸びる根以外に何も構造物を置かずに済ますことができる。これが植物の育成に有効である。
【0018】
容器底部には水が蓄えられており、ここに植栽ポットから根が伸びてくるが、根は呼吸しており、溶存酸素を欠くことができない。通常、水を容器内外で循環させたり、バブリングしたりして空気中より酸素を取り込んでいるが、容器内に水の循環が滞る場所があると、その領域の水は酸欠状態となり、根の生育に悪影響を及ぼす。それに対し、本発明の構造では、容器底部には何ら構造物を置く必要がないため、水の循環を妨げる要素がなく、容器全域に渡って根の生育に良好な環境をつくることができるのである。
【0019】
さらに、請求項2に記載の屋外用緑化装置によれば、植栽ポットの容器には、入手の容易な外径、内径とも一定の円筒管を使用する。容器に外径、内径とも一定の円筒管を使用することで、本発明の実施を低コストで可能にするだけでなく、請求項3にて説明する特有の効果も生むことができる。この円筒管下部にシート状の吸水性素材を設置し、その上に充填する土壌が落下するのを防止するのである。さらに、このシート状吸水性素材は、円筒管底部に固定機構を設け、これにより円筒管内に保持される。ここで、この固定機構は、実施の形態で詳細に説明する構造により、実質的に開口断面積を損なうことなく設けることが有効である。これは、円筒管底部の開口からは容器底部より水が供給されると同時に、植物の根もここから容器内へ伸びていく。そのため、できるだけ広い面積で、かつ、根の伸張に対する障害物がないようにすることが重要なのである。一方、蓋板上に位置して吊り下げ部を支持する部分だけは円筒管の外側に構造物を接着する等の方法で外径を大きくし、この部分が蓋板の穴を通らないことで植栽ポットを吊り下げるものである。
【0020】
さらに、請求項3に記載の屋外用緑化装置によれば、蓋板の板厚を、板の上側、下側とも、前記穴の周辺のみそれ以外の領域より厚くし、この厚くなった領域に縦方向に均一な径の穴を開けた蓋板を使用することで、植栽ポットを固定することができるのである。当然ながら蓋板の穴は植栽ポットの円筒管がかろうじて通る寸法にしてあるため、植栽ポットは、クリアランスの少ない深い穴に設置されることになる。そのため、ほぼ真上に引き上げなければ穴から取り出すことはできない。すなわち、横方向に強風が吹いても蓋板から抜けて飛ばされることがないのである。当然ながら、植栽ポットが転倒することも防止できる。ここで、穴の周辺の蓋板上側を厚くするのは、容器内に雨水等が入るのを防止するためにも効果がある。穴の周辺が高くなっているので、蓋板上に降った雨の殆どは穴と植栽ポットの間の隙間から容器内に入ることなく蓋板の外へ流れ落ちるのである。
【0021】
一方、蓋板全体を厚くしたのでは、蓋板材料を不必要に消費するばかりか、屋上設置の場合に一番注意しなければならない装置重量も増えてしまい弊害が大きい。そのため、蓋板下側についても厚くするのは穴の周辺のみとするのが効果的である。本発明は、植栽ポットに土壌を充填する点にも特徴があり、半水耕とも言える構造である。そのため、植栽ポットに充填する土壌は多い方が望ましい。その点からも、円筒径の容器とすることで容器下部の土壌充填量を稼ぐことが重要である。また、容器深さを蓄える水の水深より深くすることでも植栽ポットに充填する土壌量を稼いでいる。要するに、屋外対応型の半水耕装置と言っても良い。
【0022】
屋上設置等を考えると装置重量を減らすことが非常に重要である。本発明は、転倒防止機構の付いた縦長の植栽ポットを用いることで土壌栽培時の土壌量を稼ぎ、植物が土壌栽培の範囲を越えて生育する場合のために植栽ポット下及び容器内に空間を確保し、水耕栽培に移行して根を伸張させていく要素を加えている。装置重量削減のため、土壌は横方向に範囲を絞り、水耕用の水は浅くして縦方向に範囲を絞るものである。結果として装置重量を減らしつつ植物を大きく生育させることを可能とするものである。
【0023】
さらに、請求項4に記載の屋外用緑化装置によれば、植栽ポットの蓋板上に位置して吊り下げ部を支持する部分を、植栽ポット円筒管部の外径面積よりはるかに広い平面面積を有して蓋板上面に重なるようにし、この広く重なった部分で加重を支えるものである。この場合、器具にて蓋板に固定して設置するので、蓋板に開ける穴の径が植栽ポットの円筒管部外径よりかなり大きな場合にも対応可能である。
【0024】
また、請求項5に記載の屋外用緑化装置によれば、蓋板構造の下にさらに蓋板下板を重ねた構造となる。こうすることにより、穴の周囲の厚くなった領域を固定し、重量増を抑えつつ蓋板の強度を高めることが出来る。また、この中空構造では高い断熱効果を得ることが可能となる。すなわち、蓋板下板で空気の対流を遮断し、蓋板上面からの熱の伝達を中空部分で妨げることが出来るのである。それにより、夏の昼間などに蓋板自体がかなり高温になっても、容器内へ熱が伝わるのを大幅に抑制することが出来るのである。
【0025】
請求項6に記載の屋外用緑化システムによれば、最小限の改造で、屋上設置の場合に問題となる装置重量を軽減しつつ複数台の屋外用緑化装置を設置可能となるのである。すなわち、本発明の緑化装置では、蓋付の容器内に水を導入しているので、一定時間水位が下がっても容器内はすぐに乾燥することはない。そこで、複数の緑化装置の水位を周期的に上下させ、重量が増える水位の高い状態の緑化装置はシステム中に常時一台以下とすることで、システム全体としては少ない水量すなわち軽量化しつつ、各緑化装置の容器内を植物の根が成長可能な十分濡れた状態に維持出来るのである。むしろ、根の空気呼吸を促進し、根腐れの防止に効果がある。また、緑化装置は屋上の日当たりの良い場所に設置する必要があるが、別に貯水装置を設けることで、貯水装置のみ荷重耐性の高い専用設置室等に置くことが可能となり、システムの設置自由度を高めることが出来る。積極的に全ての緑化装置が水位の低い状態を作り出す場合にもこうした貯水装置は必要である。さらに、水位の上下調整機能を貯水装置側に設けることで、緑化装置側には開閉バルブ等の配管開閉機構を設けるだけで済み、システム化の際に必要となる追加機構を最少として、追加費用の削減を図ることが出来るのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の最良の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
〔屋外用緑化装置の第1の実施の形態〕
図1は本発明に係る屋外用緑化装置の構成を説明する図である。
【0028】
この屋外用緑化装置は、図1に示すように、耐水性容器1内に、植栽ポット3が複数個設置されて構成されている。植栽ポット3は、蓋板9に設けられた穴10より吊り下げられ設置されている。耐水性容器1内には、液肥を含む水2が蓄えられている。蓋板9は、冶具4で耐水性容器1に固定され、風などで蓋板全体が吹き飛ばされるのを防止する。
【0029】
耐水性容器1に排水口5を設けることにより、容器内の水量を一定量以下に維持することができる。また、貯水タンク7内にも液肥を含む水を蓄え、循環ポンプ6により、耐水性容器1との間を導管8を介して循環することで耐水性容器内の水2が停滞し、酸欠状態になることを防止することが有効である。
【0030】
以下、図2を用いて、本発明における植栽ポットの構造を説明する。図2は、容器に設置された状態の植栽ポットの様子を示す略断面図である。
【0031】
図2に示すように、耐水性容器に固定された蓋板17に開けられた穴18に植栽ポット20が設置される。植栽ポット20には有用植物16が植えられている。植栽ポット20の下部は容器内の水面下に達しており、下面より水分が供給される。
【0032】
この植栽ポット20の構造及び作製法を以下、詳細に説明する。
【0033】
植栽ポットをなす容器は、均一径の硬質塩化ビニール管等の円筒管を適当な長さに切って使用する。外径10cm以下の肉薄硬質塩化ビニール管が市販されており、安価に入手可能である。この円筒管14の底部に後述する固定機構(落下防止機構)21を設け、この上にシート状に成形したポリウレタン樹脂発泡体やロックウール等の吸水性素材11を内径に合わせて成形して設置し、その上に培養土壌13を充填して使用する。
【0034】
本発明の場合、有用植物16は、水耕栽培前に既に植栽ポット20にて、ある程度の大きさまで土壌栽培しておく方が、水耕に移行してからの生育には有利である。円筒管最上部にはこの円筒管がちょうど摺りあって挿入できる内径の円筒管を短く切って作製した固定リング15を接着する。蓋部に開ける穴18は、円筒管の外径より大きく、固定リング15の外径より小さくなければならない。円筒管をスムーズに挿入でき、しかもガタツキも少なくしなければならないため、円筒管外径より1mmから2mm程度大きくする程度が良く、それ以上穴径の方が大きい場合には、布やスポンジ等を挿入して隙間を塞ぐ必要がある。
【0035】
固定リング15の外径は、円筒管が穴内で遊びがあっても穴が蓋板上面に顔を出さない程度に十分大きくなければならない。最低でも、穴径に、穴径と円筒管外径の差(すなわちアソビ分)を加えた値よりさらに1mmは大きくしておく必要があり、2mm以上大きいことが望ましい。隙間から雨水等が浸入することを防ぐためにも固定リング15の外径は大きい方が望ましいのである。一方、蓋板も穴の周囲19のみ厚い構造としておかなければならない。これを実現する一番容易な方法は、蓋板と同じ素材の板に蓋板と同寸法の穴を開けた後に、小さく切り出し、穴の位置を合わせて積み重ねて接着することである。この方法の場合、一番下の板の穴径が一番重要となる。すなわち、植栽ポットが風を受けて傾きかかった時などに円筒管を支えるのは一番下の板になる。そのため、一番下の板のみより強度の高い素材を用いることも有効である。一方、中間に積み重ねる板は穴径が一番下の板より多少大きくとも大きな問題はない。
【0036】
蓋板上側も、穴からの雨水の浸入を防止するため最低でも5mm程度は高くしておく必要がある。場合によっては長寸法の植栽ポットを使用するために、蓋板上側をさらに高くすることも可能である。この場合は植栽ポット中の土壌量が増え、水耕というよりは半水耕もしくは養液土耕という性格が強くなる。本発明では、過剰な水分を嫌う植物でもこの方法により栽培可能である。同様の効果は、固定リング15を幅広にすることでも実現可能である。
【0037】
このように本発明は、植栽ポットの交換を容易にし、その構造にも自由度を持たせることにより、一台の緑化装置で生育サイクルや適正環境、成長時の大きさの異なる複数の植物の生育を可能にするという点にも特徴を有している。
【0038】
一方、蓋板下側は、植栽ポットを固定するために厚くする必要がある。屋上設置を想定すると重量に注意する必要があり、蓄える水の水深は深くても15cm程度までである。植栽ポットの土壌充填量を稼ぐため、水を蓄える容器には水深よりはるかに深いものを用い、20cm程度を目安とする。この容器底部は構造物を置かず空けた状態とするので、植栽ポットは最上部の固定リング15を除いて縦寸15cm程度が標準となる。
【0039】
この植栽ポットを、1mmないし2mm程度の遊びのある穴に嵌めて横風を受けても転倒しないよう支える必要がある。蓋板素材の強度にも依存するが、概ね5cm以上の厚さ(固定リングを除いた植栽ポット縦寸法の1/3以上)があれば、固定には十分である。厚くする領域の平面積は、植栽ポットが風を受けて支える際に剥がれたり割れたりしない程度であれば足りるが、無闇に小さくしてもメリットはあまりないので、穴径の外周2cm以上の大きさにしておく方が良い。
【0040】
この蓋板構造の変形例を図8に示す。図8に示すように、上記蓋板構造の下にさらに蓋板下板102を重ねた構造である。こうすることにより、穴の周囲に積み重ねた板をより強固に接着固定することができ、重量増を抑えつつ蓋板の強度を高めることができる。また、この構造では高い断熱効果を得ることが可能となる。夏の昼間などは蓋板に日光が照りつけ、蓋板自体がかなり高温になることが避けられない。その熱が蓋板裏面より容器内に伝わり、容器内まで非常な高温になると、根の生育に悪影響が及ぶ。それに対し、上記蓋板構造であれば、間に空気の断熱層105が存在していることになり、容器内へ熱が伝わるのを大幅に抑制することができるのである。
【0041】
本発明では、あくまで、植栽ポットは蓋板の穴に挿入されているだけであるため、非常時に備え植栽ポットと容器を紐で結んでおくと、もし植栽ポットが風に吹き飛ばされたとしても穴から抜けるだけなので、事故等が起きるのを防止できる。
【0042】
以下、図3を用いて、本発明の植栽ポットの別の構造を説明する。図3は、容器に設置された状態の植栽ポットの様子を示す略断面図である。
【0043】
図3に示すように、耐水性容器に固定された蓋板37に開けられた穴38に植栽ポット40が設置される。植栽ポット40には、有用植物36が植えられている。植栽ポット40の下部は容器内の水面下に達しており、下面より水分が供給される。
【0044】
この植栽ポット40の構造を以下、詳細に説明する。
【0045】
植栽ポット容器は、市販の塩化ビニール管等の均一径の円筒管を適当な長さに切って使用する。この円筒管底部に後述する固定機構(落下防止機構)を設け、この上にシート状に成形されたポリウレタン樹脂発泡体やロックウール等の吸水性素材31を隙間なく設置し、その上に培養土壌33を充填して使用する。円筒管最上部35は円筒管と同素材の板を貫通して接着固定した構造となっている。蓋部に開ける穴38は、円筒管の外径より大きければ良く、余裕を持って大きめに開孔しておくことも可である。
【0046】
この場合、円筒管と穴とのガタツキを抑えるため、落とし込み式の固定栓43を設けておくと良い。植栽ポットの荷重は蓋板との重なり部分全体で支える構造であり、横風に対してもこの植栽ポット最上部と蓋板の重なり部で支えることができる。重なり部分が広いので雨水が穴と円筒管の間から進入することは殆どないが、さらに重なり部分の蓋板上面を厚くしておけば、雨水対策としては万全である。本構造では、植栽ポットを交換する際、蓋板の穴径より小さいものであれば円筒管外径の異なる植栽ポットであっても使用可能という点に特徴がある。その一方、円筒管を貫通固定した板を作製する必要があり、作製上の手間を要することになり、前記実施の形態とは一長一短である。
【0047】
本発明の一実施の形態である植栽ポットの構造を以下、説明する。
【0048】
図4は円筒管底部の支持物体を支持する切り込み構造を示す図、図5は円筒管にシート状吸水性素材、土壌を設置した状態を示す図であり、(A)が側面図、(B)が底面図である。
【0049】
本発明では、固定機構といっても専ら、植栽ポットの円筒管底部で上に載るシート状の吸水性素材の落下を防止する機構を指している。特に重要なのは、実質的に円筒管の開口断面積を損なうことなく、しかも低コストで容易に実現する、という点である。植栽ポットに植えた植物が大きく生育していくには、水中に広く根を伸ばさなくてはならず、それを実現するために、植栽ポット底部は実質的に開放状態にあることが望ましい。断面積を損なわないためには、開口部を絞ることを避け、底部に線状に支持物体53を設けて支えることが最も簡便な方法である。シート状吸水性素材51が上に充填される土壌52の重量を支え、さらにそのシート状吸水性素材をこの支持物体53で支えるのである。そこで、植栽ポット底部に、図4中の(A)、(B)に示すように、切り込み50を入れ、図5中の(A)、(B)に示すように、短冊状に切った板をここに差込み接着固定して支持物体53とするのである。ここで、図4、図5の(A)が側面図、図4、図5の(B)が底面図である。
【0050】
円筒管に硬質塩化ビニール管等を用いるので、上記短冊状の板も硬質塩化ビニール等の素材を用い、塩化ビニール用接着剤で接着固定することができる。ここで、短冊板の板厚は1mm以下で足り、0.5mm程度のものが適当である。何故なら、短冊板は短辺を立てた状態で円筒管に接着固定されるので、板厚は荷重に対する強度には殆ど関係ないのである。シート状吸水性素材が変形しつつ荷重を支え、それを円筒管と短冊板の接着面が受け止めることになる。そのため、円筒管に入れる切込みの深さと短冊板の短辺側の幅を十分に取り、接着面積を稼ぐことが重要であり、最低でもそれぞれ1cm以上あった方が良い。ここで、短冊板は板厚が0.5mmないしは1mm程度しかないため、10cm近い内径の円筒管断面積に比較すれば実質的に面積損失は殆どないと言える。
【0051】
同様の支持方法は、短冊板でなく棒材を使っても可能だが、棒材の場合には荷重を支えるための強度が必要となり材料が限定される。特に耐食性の金属棒は高価になり望ましくない。円筒管に対する固定方法も難しい。円筒管は蓋板に開けた穴から僅かのクリアランスで容器内に挿入することもあるため、円筒管外側に突出部を設けることは望ましくない。円筒管の外側に突出部を設けることなく荷重により幾分はたわむであろう棒材を円筒内に固定することは容易ではない。さらに、荷重を支える鍵の一つとなるのがシート状吸水性素材である。吸水性素材の強度にも依存するが、内径10cm以下の円筒管であれば、2cm以上の厚さがあれば、上に載る土壌及び植物の重量を支えることが可能である。
【0052】
図6中の(A)、(B)、図7中の(A)、(B)に、図4中の(A)、(B)、図5中の(A)、(B)の変形例を示す。
【0053】
図6及び図7に示すように、円筒管が縦長で、上に充填される土壌量が多い場合などには、縦横に交差するように短冊板を設け補強するのが効果的である。短冊板の交点には双方の短冊板に切り込みを入れることで、同じ高さの位置で固定することができる。
【0054】
また、短冊板の設置位置としては、円の中央に一本、あるいは円の中央で縦横に交差させて二本、という配置も考えられるが、その場合は円の外周で下向きにたわんだシート状吸水性素材の端から土壌が漏れ落ちる危険性が高い。円の中央に支持物体を置かないことで、シート状吸水性素材の大部分を円の中央に向かって下に凸状にたわませることで、土壌が漏れ落ちることを効果的に防止することができるのである。
【0055】
〔屋外用緑化システムの実施の形態〕
本発明のさらに別の一実施の形態を以下、説明する。
【0056】
図9は、本発明に係る屋外用緑化システムを説明する図である。
【0057】
架台201上に本発明の緑化装置202が複数台設置され、配水配管203で貯水装置と接続されている。貯水装置を共有するので、各緑化装置が個別に貯水タンクを持つことはしないのが基本である。貯水装置は、水位調整槽205と貯水槽206より成り、両槽は配管207で接続され、両方向に送水可能な送水ポンプ208で両槽間を送水する。
【0058】
通常は配水バルブ204は閉じられており、緑化装置の水位を変更する時のみバルブを開き、貯水装置と水をやりとりするのである。この際の送水にはポンプを使用しても良いが、より簡便には、配水配管をサイフォン化して水位調整槽205と結合することで送水可能である。この方法によれば、緑化装置は水位調整槽205と同水位となるので、貯水槽206から水位調整槽205に送水することで緑化装置の水位を上げることが出来る。水位調整槽205の最高水位は貯水槽206との仕切り板214の高さで決まり、これ以上は送水ポンプ208で貯水槽206から水位調整槽205に送水しても水位調整槽205が溢れて貯水槽206に水が戻るだけである。これが緑化装置の最高水位211となる。緑化装置を所定時間、この最高水位に維持した後、送水ポンプ208を反転し、水位調整槽205から貯水槽206に送水し、緑化装置の水位を下げるのである。水位下限の調整は、センサーで検知して送水ポンプ208を停止しても良いし、配管207の水位調整槽側下端を水位下限位置として、送水ポンプ208では水位下限までしか貯水槽206に送水出来ないようにし、送水完了後に送水ポンプ208を停止しても良い。いずれにしろ、水位調整槽205の水位が下がり過ぎると配水配管203から水が抜けて、緑化装置に送水不能となる危険があるため、配管207の水位調整槽側下端は配水配管203の下端より十分高い位置になければならない。こうして本緑化システムでは貯水槽及び水位調整機能を複数の緑化装置で共有化しており、システムの低コスト化も図ることが出来る。
【0059】
本緑化システムでは架台201上に緑化装置を設置しているが、これは貯水槽206を深くして、コンパクト化するだけでなく、荷重分散にも有効である。すなわち、本システムでは、個々の緑化装置は周期的に高水位の重い状態となるが、緑化装置全体の平均水位はむしろ最低水位に近く、緑化装置の平均重量も軽い状態である。よって、架台201を設けることで屋上に広く荷重を分散させて、単位面積当たりの荷重を軽減することが出来る。さらに、屋上は基本的に水平ではない。平坦に見える屋上でも、雨水等の排水を考え軽度の傾斜を有している場合が殆どである。それに対し、本発明の緑化システムの水位調整機能はシステム全体が水平になっていることを想定したものである。そこで、架台上を水平に調整することで本発明の水位調整機能を有効に動作させることが可能になるのである。
【0060】
本緑化システムでは荷重軽減を目的としているため、基本的にはシステムを構成する緑化装置は内部に蓄える水量が少なくて軽い水位の低い状態に保たれ、それより遥かに短い時間だけ、内部に蓄える水量が多く重い水位の高い状態とする。また、全緑化装置の平均重量を下げるため、高水位にする緑化装置を複数台、同時につくらないことが重要である。また、本システムでは平均水位を低く設定しつつ、高水位状態を発生させるため、最初の実施の形態にあるよりは水を蓄える容器をはるかに深くする方が好ましく、組み合わせる植栽ポットも深いものを使用することになる。
【0061】
また、最初の実施の形態の緑化装置との違いとして、植栽ポットは一定時間間隔で高水位となるので、植栽ポット底から外に伸長してきた根は、高水位時に水に浸ることが出来れば水中になくとも枯れることはない。そのため、容器中に植栽ポット底から出て上方向にも広く根を伸ばすことが出来る。さらに積極的に容器中に根を伸ばすことを狙って、植栽ポット側面に穴を開け、そこから外に向かって根が伸びることが出来るようにすることも出来る。ただしこの場合は、この穴から土壌が流出しないよう、吸水性素材を介することが必要である。生育する植物種が比較的乾燥を好む場合は、植栽ポット自体も、高水位状態で浸水するだけで十分な場合もある。すなわち、低水位状態では植栽ポットは水面上にあり、周期的な高水位状態でのみ給水されるものである。ただし、低水位状態の間にどれだけ植栽ポット中の水分が失われるかは、生育する植物の大きさや気温、天候に依存するため、乾燥し過ぎる危険を伴う。特に本発明の場合、植栽ポットの大きさに比して植物を大きく生育することを狙っており、植栽ポット内の土壌及び吸水性素材で保持出来る水分だけでは不足となる可能性もあり、植栽ポット中の水分量を安定化させるため、低水位状態でも植栽ポット下部は水に浸るよう水位調整する方が好ましい。
【0062】
〔屋外用緑化装置の第2の実施の形態〕
図10は、本発明に係る第2の実施の形態における屋外用緑化装置の構造を模式的に示す横断面図である。
【0063】
この屋外用緑化装置においては、図10に示すように、防水性容器301内に、この防水性容器301の底部に固定された植栽ユニット303が複数個設置されている。また、防水性容器301内には、液肥が溶け込んだ水302が蓄えられている。この防水性容器301上には、防水性素材からなる遮蔽部材304が設けられている。遮蔽部材304は、植栽ユニット303に対応する必要最小限度の開口部を除き、防水性容器301上を覆っており、雨等の水が防水性容器1内に流れ込むことを防止する。また、防水性容器1には、排水口305が設けられており、防水性容器1内の水量を一定量以下に維持するようになっている。
【0064】
防水性容器301内の水は、循環ポンプ306により、導管308を介して、貯水タンク307内との間で循環される。貯水タンク307にも、液肥が溶け込んだ水が蓄えられている。
【0065】
この屋外用緑化装置においては、排水口305、循環ポンプ306及び貯水タンク307により、防水性容器301内の蓄水量を一定に保つ水量調整機構及び防水性容器301に蓄えられた水を循環させる水循環機構とが構成されている。
【0066】
図11は、本発明に係る第2の実施の形態における屋外用緑化装置の一部を拡大して示す模式図である。以下、図11を用いて、植栽ユニット303の構造を説明する。
【0067】
防水性容器301の底部311には、図11に示すように、スタンド312が固定されて設置されており、このスタンド312により、有用植物316が植えられた透水性素材から形成された植栽ポット313が支持されている。これらスタンド312及び植栽ポット313により、植栽ユニット303が構成される。
【0068】
また、植栽ポット313には、外周に布状の吸水性素材からなる吸水部材314が巻かれている。吸水部材314は、固定バンド315により、スタンド312に固定されている。なお、吸水部材314のスタンド312に対する固定方法は固定バンド315によるものに限定されないが、植栽ポット313が取り外し可能であり、かつ、吸水部材314が植栽ポット313に接することが必要である。
【0069】
吸水部材314は、植栽ポット313の下方に位置する水面317よりも十分下まで長く伸びており、毛管現象により吸水して、植栽ポット313に水分を供給する。吸水部材314からの水分を有用植物316に供給する必要から、植栽ポット313は、透水性素材から形成されている。
【0070】
なお、育成させる植物種によっては、水面317が植栽ポット313の下部に達するまで上昇しても問題ない場合もあるが、植物種によっては根腐れを起こすことがあり、水面の高さと吸水部材314の位置とは、適宜調整する必要がある。
【0071】
以下、この屋外用緑化装置の機能及び使用方法を具体的に説明する。
【0072】
この屋外用緑化装置は、屋外設置を前提としているため、雨等が防水性容器301内に侵入して水量が増し、液肥濃度が薄まる可能性がある。このような雨等の防水性容器1内への侵入は、遮蔽部材304により防止している。また、ある程度の水が侵入することは不可避なため、排水口305を設け、水面が上限を越えないようにしている。
【0073】
ここで、遮蔽部材304が透光性であると、防水性容器301内に藻が発生する等の問題が発生するので、遮蔽部材304は、遮光性素材でできていることが望ましい。雨等の侵入がなければ、基本的には蓄えられた水量は少しずつ減っていくので、適宜、液肥を含む水を補給する必要がある。植物の育成に伴い、液肥の組成も崩れていくので、防水性容器1及び貯水タンク307に蓄えられた水の相当量を更新することも必要となる。簡単には、大量の流水で液肥成分を流し出した後、貯水量を勘案して濃厚液肥を投入することにより、所定の液肥濃度に調整することができる。
【0074】
液肥成分及び溶存酸素を均一に行き渡らせるために、循環ポンプ306により、防水性容器301及び貯水タンク307内の水を循環させる。防水性容器301内に蓄える水量を減らすため、貯水タンク307を設けることが望ましい。屋上等への設置を考えると、単位面積当たりの装置重量はできるだけ軽減することが求められるので、防水性容器301内の水深はできるだけ浅くする必要がある。しかしながら、蓄えておく水量が少ないと液肥の濃度変動が大きくなったり、植物への水分供給が不十分になる等の弊害が発生する。
【0075】
そこで、別の場所に貯水タンク307を設置して大量の水を蓄えておき、総蓄水量を増やしておくことが好ましい。さらに、貯水タンク307には水位センサを設け、水位が下がり過ぎた場合に水道等から水を補給するとよい。防水性容器301は、水深を浅くしてあるため、水位センサの設置には適当でなく、貯水タンク307の方に設けるのである。排水口305で水面の上限は決まっているが、水位低下もこうして防止できる。
【0076】
貯水タンク307には、温度センサとヒータを設置して、水温調整機能を持たせることも可能である。夏季には必要ないが、寒冷期の植物育成には有用な機能である。一般に、土壌は伝熱しにくいため、通常の路地栽培において土壌を加温するには非常に大掛かりな設備が必要である。それに対し、この屋外用緑化装置においては、温度調整された水を循環させることにより、極めて容易に防水性容器301内を加温でき、路地栽培においては地下となる部分を加温することができる。
【0077】
この屋外用緑化装置においては、植栽ユニット303が防水性容器301に固定されている。屋外で植物を水耕栽培するには、土壌に代わる固定対象がないと、風などにより容易に転倒したり吹き飛ばされてしまう虞がある。この屋外用緑化装置においては、植栽ポット313は、スタンド312を介して、防水性容器301に支持されており、固定バンド315により、吸水部材314とともにスタンド312に固定されている。植物の育成に伴い、吸水部材314に根が絡みついていくことにより、植栽ポット313は、より強固に吸水部材314を介してスタンド312に固定されるようになる。
【0078】
植栽ポット313は、スタンド312に対しては脱着可能となっている。これにより、植栽ポット313を用いて植物の苗を土壌育成し、ある程度の大きさに育ってから、この屋外用緑化装置における水耕育成に移行することが可能となる。水耕育成は、土壌育成に比べ植物へのストレスが大きく、枯死や育成遅延の可能性もあるため、ある程度まで育成した苗を利用することが有効である。また、枯死した苗を交換することも容易である。
【0079】
また、植栽ポット313がスタンド312に対して脱着可能であることにより、収穫と収穫後の作業が容易となる。スタンド312を残して、植栽ポット313を吸水部材314ごと回収し、植物の必要部位を収穫することができる。収穫後は、再び植栽ポット313で育てた新しい苗を植栽ポット313ごと空いたスタンド312に設置し、速やかに次作を開始することができる。
【0080】
〔屋外用緑化装置の第3の実施の形態〕
本発明の第3の実施の形態について、以下、説明する。
【0081】
図12は、本発明に係る第3の実施の形態における屋外用緑化装置の構造を模式的に示す横断面図である。
【0082】
本実施の形態における屋外用緑化装置の基本的な構成は、前述の第2の実施の形態と変わらないが、図12に示すように、防水性容器301の上面部を被う着脱可能な保温シート329を設けている点に特徴がある。また、図12中には明示しないが、この屋外用緑化装置においては、貯水タンク7内に温度センサとヒータが設置され、水温調整機能を有するものとなっている。
【0083】
保温シート329は、ポリエチレン等の透明素材からなり、防水性容器1上に組まれた図示しない骨格部材により保持されている。この保温シート329は、寒冷期のみに使用するため、脱着可能な構造となっている。
【0084】
この屋外用緑化装置は、植物を通年育成させるものであり、冬を中心とする寒冷期でも継続して植物を栽培することができる。そのため、この屋外用緑化装置は、加温機能を備えている。貯水タンク307内に温度センサとヒータを設置し、水温調整機能を持たせることのみでは、防水性容器301内の加温しかできず、植物316の遮蔽部材304よりも上方の部分を加温できない。保温シート329により、この保温シート329内にある植物316の上方部分を保温する。
【0085】
この屋外用緑化装置においては、保温シート329内の保温は、単なる保温でなく、防水性容器301内の加温された水から遮蔽部材304を伝わって上がって来る熱を利用した加温であり、その効果を逃がさないために、保温シート329を設けている。
【0086】
こうして、この屋外用緑化装置においては、新たな加温機構を設けることなく、遮蔽部材304の全体から穏やかに加温し、それを保持することにより、極めて効率的に、遮蔽部材304の上側(保温シート329内)の保温が達せられる。
【0087】
ここで、この屋外用緑化装置においては、遮蔽部材304が設けられていることにより、保温シート329内の湿度上昇や結露を防止することができる。この屋外用緑化装置においては、保温のために防水性容器301内の加温水を利用しているため、仮に遮蔽部材304が存在しないとすると、保温シート329内全体に加温水から立ち昇る水蒸気が充満することになり、過湿環境となってしまう。また、保温シート329内側に大量の結露を発生させてしまうことにもなる。これらは植物育成や装置の維持、管理に大きな障害となるため、防止する必要がある。この屋外用緑化装置においては、遮蔽部材304が上下の空気循環を妨げ、保温シート329内には熱だけが伝達され水蒸気が昇って行かない構造となっているため、保温シート329内の湿度上昇や結露が防止される。
【0088】
〔屋外用緑化装置の第2及び第3の実施の形態における構成〕
〔1〕
液肥が溶け込んだ水を蓄えた防水性容器内に透水性素材から形成された植栽ポットを設置した植物栽培水槽を有する屋外用緑化装置であって、植栽ポットは、防水性容器の底面、または、側面に固定され、防水性容器は、上面部が植栽ポットに対応する部分を除いて防水性素材からなる遮蔽部材によって蔽われていることを特徴とするものである。
【0089】
〔2〕
構成〔1〕を有する屋外用緑化装置において、植栽ポットは、少なくとも一部を防水性容器に蓄えられた水の水面より上に露出させており、植栽ポットと防水性容器の間には吸水性素材からなる吸水部材が設置されており、吸水部材は、防水性容器に蓄えられた水を吸水して植栽ポット内に供給することを特徴とするものである。
【0090】
〔3〕
構成〔1〕、または、構成〔2〕を有する屋外用緑化装置において、防水性容器内の蓄水量を一定に保つ水量調整機構と、防水性容器に蓄えられた水を循環させる水循環機構とを有することを特徴とするものである。
【0091】
〔4〕
構成〔1〕乃至構成〔3〕のいずれか一を有する屋外用緑化装置において、防水性容器に蓄えられた水の温度を調整する水温調整機構を有することを特徴とするものである。
【0092】
〔5〕
構成〔4〕を有する屋外用緑化装置において、透明素材よりなり着脱可能に防水性容器の上面部を被う保温シートを有し、この保温シートにより、この保温シート内への外気の侵入を防ぐことを特徴とするものである。
【0093】
〔屋外用緑化装置の第2及び第3の実施の形態における効果〕
〔1〕
防水性容器は、上面部が植栽ポットに対応する部分を除いて防水性素材からなる遮蔽部材によって蔽われているので、必要以上に水分が蒸散することがなく、また、降雨により防水性容器内の水量が増すことがない。 したがって、この屋外用緑化処理装置は、積極的な植物育成に適している。すなわち、本発明に係る屋外用緑化処理装置においては、有用植物の育成を目的とするため、蓄える水には適当量の液肥が溶け込んでいる。そのため、水分が蒸散して肥料濃度が高くなりすぎたり、降雨で希釈されたり、蓄えた水が溢れて肥料分が流出したりする事態を防止する必要があるからである。そのため、遮蔽部材に設ける開口領域は、植栽ポットに対応する必要最小限の領域に限定されている。
【0094】
また、植物が育成すると、小さな植栽ポット上に大きな植物が載ることになって倒れ易くなるが、植栽ポットは、防水性容器に固定されているため、転倒の虞がない。植栽ポットが固定されていることにより、植物が風で飛ばされたり倒れたりすることを防ぐことができ、ビルの屋上等の高くて風の強い場所の緑化を考える上でも有用である。
【0095】
〔2〕
植栽ポットの設置位置の少なくとも一部が、防水性容器に蓄えられた水の水面よりも上となっていることにより、育成植物の根腐れ等の障害を防止することができる。そして、この屋外用緑化処理装置においては、根を水中に置く代わりに、下部が水中にあり上部が植栽ポット内に接続された吸水部材を介し、毛管現象により水分が供給される。なお、必要な水分量と植栽ポットの保水力、吸水力との兼ね合いから、植栽ポット下部が水に浸っていてもよい。
【0096】
この屋外用緑化装置においては、吸水部材を使用することにより、防水性容器内の水面が多少上下変動しても影響されずに水分を供給でき、また、根を水没させずに根に十分な酸素を供給しつつ水分供給を行うことができる。
【0097】
〔3〕
さらに、水分及び養分を吸収する毛根部は非常に敏感なため、環境の変化、特に乾燥には非常に弱く、水面の大幅な上下は避けなければならないが、防水性容器内の蓄水量を一定に保つ水量調整機構を有することにより、根が乾燥して植物の育成の障害となるような事態を防止することができる。
【0098】
また、根の育成のためには十分な溶存酸素と肥料分が必要であるが、この屋外用緑化装置においては、蓄えた水を循環させる水循環機構を備えることにより、容器内の溶存酸素と肥料分を一様とすることができる。
【0099】
〔4〕
防水性容器内に蓄えられた水の水温が適温に保たれる。
【0100】
すなわち、この屋外用緑化装置においては、防水性容器上に設けられた遮蔽部材により、植物の置かれる環境を装置外方と遮蔽部材の下側とに分離している。装置外方は昼間の太陽光や周囲の輻射熱で温度上昇するが、遮蔽部材の下側は、防水性容器に蓄えられた水の熱容量が大きいことや、下方への放熱があることにより、特に冬期においては、植物育成のための適温に至らない場合が考えられる。しかし、この屋外用緑化装置においては、水温調整機構により、防水性容器内に蓄えられた水を、植物の枯死や育成障害が発生しないよう所定の温度に維持することができる。
【0101】
〔5〕
上面を被う透明素材より成る着脱可能な保温シートを有し、この保温シート装着によりシート内側への外気の侵入を防いでおり、簡易的な温室とすることができる。特に冬期においては、保温シートにより植物の育成を加速することが可能となり、通年に渡って有用植物を育成することが可能となる。遮蔽部材の下側は一定温度に維持されており、さらに保温シートで被うことにより、下側からの熱が緩やかに伝達し、保温シート内(遮蔽部材の上側)も一定温度に保持することができる。
【0102】
なお、この場合、遮蔽部材の下側は蓄えられた水を加温して温度を維持していることから、遮蔽部材で区切っていないと、多量の蒸発水分が保温シート内に及び、湿度上昇や保温シート内側への結露という望ましくない事態が発生し得るが、この屋外用緑化装置においては、遮蔽部材で上下分離した状態で下側に蓄えられた水を加温しているので、このような事態は生じない。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明に係る屋外用緑化装置の構成を説明する図である。
【図2】本発明の植栽ポットの構造を説明する略断面図である。
【図3】本発明の植栽ポットの別の構造を説明する略断面図である。
【図4】本発明の吸水性素材の固定機構を説明する円筒管底部の図である。
【図5】本発明の吸水性素材の固定機構を説明するシート状吸水性素材、土壌を設置した状態の円筒管底部の図である。
【図6】本発明の吸水性素材の固定機構の変形例を説明する円筒管底部の図である。
【図7】本発明の吸水性素材の固定機構の変形例を説明するシート状吸水性素材、土壌を設置した状態の円筒管底部の図である。
【図8】本発明の蓋板構造の変形例を説明する略断面図である。
【図9】本発明に係る屋外用緑化システムの構成を説明する図である。
【図10】本発明に係る第2の実施の形態における屋外用緑化装置の構造を模式的に示す横断面図である。
【図11】前記屋外用緑化装置の一部を拡大して示す模式図である。
【図12】本発明に係る第3の実施の形態における屋外用緑化装置の構造を模式的に示す横断面図である。
【符号の説明】
【0104】
1 耐水性容器
2 液肥を含む水
3 植栽ポット
4 冶具
5 排水口
6 循環ポンプ
7 貯水タンク
8 導管
9 蓋板
10 蓋板に設けられた穴
11 吸水性素材
12 水面
13 培養土壌
14 円筒管
15 固定リング
16 有用植物
17 蓋板
18 蓋板に開けられた穴
19 穴の周囲部分
20 植栽ポット
21 固定機構
22 容器底面
31 吸水性素材
32 水面
33 培養土壌
34 円筒管
35 円筒管最上部
36 有用植物
37 蓋板
38 蓋板に開けられた穴
39 穴の周囲部分
40 植栽ポット
41 固定機構
42 容器底面
43 固定栓
50 切り込み
51 シート状吸水性素材
52 土壌
53 支持物体
60 切り込み
61 シート状吸水性素材
62 土壌
63 支持物体
101 蓋板
102 蓋板下板
103 蓋板下面に重ねた板
104 蓋板上面に重ねた板
105 空気の断熱層
201 架台
202 緑化装置
203 配水配管
204 配水バルブ
205 水位調整槽
206 貯水槽
207 配管
208 送水ポンプ
209 貯水槽水面
210 緑化装置の最低水位
211 緑化装置の最高水位
212 水位の低い緑化装置の水面
213 水位の高い緑化装置の水面
214 仕切り板
215 蓋
【出願人】 【識別番号】506035658
【氏名又は名称】深田 晋一
【出願日】 平成19年10月5日(2007.10.5)
【代理人】 【識別番号】100102783
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 高明


【公開番号】 特開2008−200027(P2008−200027A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2007−262774(P2007−262774)