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【発明の名称】 高設栽培装置
【発明者】 【氏名】橋本 重治

【要約】 【課題】排水溝体の内部空間内に管状の熱交換体を挿入し、ポットを加温若しくは冷却することができるようにし、保温機能あるいは保冷機能を向上させるとともに、熱交換体からの熱の無駄をなくして、ポットへの熱伝達効率の向上を図る。

【解決手段】ポット2を複数列設保持したポット集合体1と、ポット集合体1のポット2が内部空間Sに臨むように支持しポット集合体1側から落下する水を集水して流す排水溝体10と、排水溝体10を地面から高い位置に支持する支持体40とを備え、排水溝体10の内部空間S内に、内部空間S内の空気を加温若しくは冷却する管状の熱交換体20を挿入し、熱交換体20の上方にポット集合体1側から落下する水を受けて流下させる遮蔽板30を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物が植えられ排水口が設けられたポット及び該ポットをその外側を露出させて複数列設保持した保持部材を備えたポット集合体と、底壁及び該底壁に連設され上開放の開放口を形成する一対の側壁を有するとともに該底壁及び側壁で囲繞される内部空間に該ポット集合体のポットが臨むように該ポット集合体を支持し該ポット集合体側から落下する水を集水して流す排水溝体と、該排水溝体を地面から高い位置に支持する支持体とを備えた高設栽培装置において、
上記排水溝体の内部空間内に、該内部空間内の空気を加温若しくは冷却する管状の熱交換体を挿入し、上記排水溝体の内部空間内であって上記熱交換体の上方に上記ポット集合体側から落下する水を受けて流下させる遮蔽板を設けたことを特徴とする高設栽培装置。
【請求項2】
上記遮蔽板を、金属板で形成したことを特徴とする請求項1記載の高設栽培装置。
【請求項3】
上記遮蔽板を左右に夫々下向きに傾斜する一対の傾斜板を備えて断面傘型に形成し、該各傾斜板の下縁が対峙する上記排水溝体の側壁との間に空気及び水が流通可能な間隙を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の高設栽培装置。
【請求項4】
上記排水溝体の底壁に、該底壁から上側に突出し上記熱交換体を底壁底面より高い位置に支持する支持突起を設けたことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の高設栽培装置。
【請求項5】
上記排水溝体を、断熱性材料で形成したことを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載の高設栽培装置。
【請求項6】
上記ポット集合体の保持部材において、上記ポットの開口の周囲に上記排水溝体の内部空間と連通する貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1乃至5何れかに記載の高設栽培装置。
【請求項7】
上記排水溝体の内部空間内であって上記遮蔽板の上方に、上記ポット集合体に向けて散水を行なう散水パイプを挿入したことを特徴とする請求項1乃至6何れかに記載の高設栽培装置。
【請求項8】
上記支持体を、上記排水溝体の長手方向に沿って間隔を隔てて配置され、上端に上記排水溝体を支持する支持部を有し下端に地面に差し込まれて埋設される埋設部を有した複数の支柱を備えて構成したことを特徴とする請求項1乃至7何れかに記載の高設栽培装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、イチゴ等の果物,野菜,花等の植物を、作業者が立った姿勢で作業をすることが可能な高設栽培に用いられる高設栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の高設栽培装置としては、例えば、特開2006−254744号公報に記載されたものが知られている(特許文献1参照)。
これは、図9及び図10に示すように、イチゴ等の果物,野菜,花等の植物が植えられ排水口(図示せず)が設けられたポット101及びこのポット101をその外側を露出させて複数列設保持した保持部材102を備えたポット集合体100を備え、このポット集合体100を、ポット集合体100側から落下する水を集水して流す樹脂シートで形成された排水溝体103に支持するとともに、この排水溝体103を、パイプで組まれた棚104により、地面から高い位置に支持している。
【0003】
ところで、この従来の高設栽培装置の場合、ポット101は、外気等の周囲温度の影響を受けやすく、保温機能あるいは保冷機能が必ずしも良いとはいえない。そのため、例えば、図10に示すように、排水溝体103の内部空間内に、排水溝体103内の空気を加温若しくは冷却する管状の熱交換体105を挿入し、栽培期間中に、適宜、排水溝体103内の空気を加温または冷却し、ポット101の温度調節を行なうことが考えられる。
従来、このように、ポットを熱交換体により加温または冷却し、ポットの温度調節を行なう技術としては、例えば、特開平10−108548号公報(特許文献2参照)記載の技術が知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−254744号公報
【特許文献2】特開平10−108548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この従来の高設栽培装置において、図10に示すように、排水溝体103の内部空間内に、単に管状の熱交換体105を挿入した場合、植物に散水があると、ポット集合体100から水が排水溝体103の底面に向けて落下するが、この落下する水が、熱交換体105に当たってしまい、そのため、熱交換体105の熱が水に奪われて逃げ、それだけ熱の無駄が多くなり、ポット101側への熱伝達効率が悪くなっているという問題があった。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、排水溝体の内部空間内に管状の熱交換体を挿入し、ポットを加温若しくは冷却することができるようにし、保温機能あるいは保冷機能を向上させるとともに、熱交換体からの熱の無駄をなくして、ポットへの熱伝達効率の向上を図った高設栽培装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するための本発明の技術的手段は、植物が植えられ排水口が設けられたポット及び該ポットをその外側を露出させて複数列設保持した保持部材を備えたポット集合体と、底壁及び該底壁に連設され上開放の開放口を形成する一対の側壁を有するとともに該底壁及び側壁で囲繞される内部空間に該ポット集合体のポットが臨むように該ポット集合体を支持し該ポット集合体側から落下する水を集水して流す排水溝体と、該排水溝体を地面から高い位置に支持する支持体とを備えた高設栽培装置において、
上記排水溝体の内部空間内に、該内部空間内の空気を加温若しくは冷却する管状の熱交換体を挿入し、上記排水溝体の内部空間内であって上記熱交換体の上方に上記ポット集合体側から落下する水を受けて流下させる遮蔽板を設けた構成としている。
【0008】
これにより、植物を栽培する場合は、熱交換体により、必要に応じて、排水溝体の内部空間の加温若しくは冷却を行なって、温度管理を行なうとともに、適時に散水を行なう。
この熱交換体による加温若しくは冷却においては、排水溝体の内部空間で加温若しくは冷却され、暖気若しくは冷気が遮蔽板と排水溝体の側壁との間隙を通って上昇し、ポットを加温若しくは冷却する。この場合、適時に散水が行なわれると、ポット内に吸収されなかった水は、ポット集合体から、排水溝体の底壁に向けて落下したり、側壁を伝わって流下するが、落下する水は、遮蔽板に受けられて流下し、直接熱交換体に当たる事態が防止される。そのため、熱交換体の熱が水に奪われて逃げてしまう事態が防止され、それだけ熱の無駄が無く、ポットへの熱伝達効率が向上させられる。
【0009】
そして、必要に応じ、上記遮蔽板を、金属板で形成した構成としている。これにより、遮蔽板も加温若しくは冷却されると、この遮蔽板からの放熱によっても、ポットを加温若しくは冷却することができる。この場合、遮蔽板は、金属板で形成されているので、放熱効率が良く、満遍なくポットを加温若しくは冷却することができ、ポットへの熱伝達効率が向上させられる。
【0010】
また、必要に応じ、上記遮蔽板を左右に夫々下向きに傾斜する一対の傾斜板を備えて断面傘型に形成し、該各傾斜板の下縁が対峙する上記排水溝体の側壁との間に空気及び水が流通可能な間隙を設けた構成としている。この場合、遮蔽板の左右から暖気若しくは冷気が上昇するので、満遍なくポットを加温若しくは冷却することができ、より一層ポットへの熱伝達効率が向上させられる。
【0011】
更に、必要に応じ、上記排水溝体の底壁に、該底壁から上側に突出し上記熱交換体を底壁底面より高い位置に支持する支持突起を設けた構成としている。支持突起は、底壁と一体でもよく、別体になっていても良い。これにより、排水溝体の底壁底面に至った水は、流れて排水されるが、この場合、熱交換体は、支持突起に支持されて底壁底面より高い位置にあるので、底壁底面を流れる水に漬かることが防止され、そのため、熱交換体の熱が水に奪われて逃げてしまう事態が防止され、それだけ熱の無駄が無く、より一層ポットへの熱伝達効率が向上させられる。
【0012】
更にまた、必要に応じ、上記排水溝体を、断熱性材料で形成した構成としている。排水溝体を通して熱が逃げにくくなり、それだけ熱の無駄が無く、より一層ポットへの熱伝達効率が向上させられる。
【0013】
また、必要に応じ、上記ポット集合体の保持部材において、上記ポットの開口の周囲に上記排水溝体の内部空間と連通する貫通孔を設けた構成としている。排水溝体の内部空間の暖気若しくは冷気は、貫通孔を通って植物の葉にも及ぶようになる。そのため、ポット内の根のみならず葉の方の温度環境も良好にすることができ、それだけ、植物の成育を円滑に行なわせることができる。
【0014】
更に、必要に応じ、上記排水溝体の内部空間内であって上記遮蔽板の上方に、上記ポット集合体に向けて散水を行なう散水パイプを挿入した構成としている。散水パイプは、排水溝体の内部空間内にあるので、排水溝体の上方に設けた場合に比較して、邪魔になることが無く、そのため、ポット集合体の排水溝体に対する出し入れが容易になり、それだけ、設置作業が容易に行なわれる。
【0015】
そしてまた、必要に応じ、上記支持体を、上記排水溝体の長手方向に沿って間隔を隔てて配置され、上端に上記排水溝体を支持する支持部を有し下端に地面に差し込まれて埋設される埋設部を有した複数の支柱を備えて構成している。これにより、本高設栽培装置を設置するときは、支持体の支柱を、適宜間隔で地面に差し込み、この支柱に排水溝体を支持するが、支柱を一列に差し込む簡単な作業で設置を行なうことができるので、設置作業が容易に行なわれる。また、設置作業性の向上に加えて、足元が広くなり、栽培管理を容易に行なうことができるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の高設栽培装置によれば、植物を栽培する場合は、熱交換体により、必要に応じて、排水溝体の内部空間の加温若しくは冷却を行なって、ポットを加温若しくは冷却することができるようになり、保温機能あるいは保冷機能を向上させることができる。
また、この熱交換体による加温若しくは冷却において、適時に散水が行なわれると、ポット内に吸収されなかった水は、ポット集合体から、排水溝体の底壁に向けて落下したり、側壁を伝わって流下するが、落下する水は、遮蔽板に受けられて流下し、直接熱交換体に当たる事態を防止することができる。そのため、熱交換体の熱が水に奪われて逃げてしまう事態を防止することができ、それだけ熱の無駄を無くし、ポットへの熱伝達効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る高設栽培装置について詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係る高設栽培装置は、図1乃至図5に示すように、その基本的構成は、ポット集合体1と、このポット集合体1を支持する排水溝体10と、この排水溝体10を地面から高い位置に支持する支持体40とを備えてなる。
【0018】
ポット集合体1は、イチゴ等の果物,野菜,花等の植物が植えられるポット2と、このポット2をその外側を露出させて複数列設保持した保持部材3とを備えてなる。ポット2及び保持部材3は、実施の形態では樹脂で一体成形されている。
ポット2は、底壁2a及びこれに連続し上側に開口4を有した側壁2bを備え、全体が逆円錐台のカップ状に形成されている。底壁2a及び側壁2bには、排水口5が網目状に多数設けられている。ポット2は、行列状に複数個(実施の形態では2×3=6個)が保持部材3に保持されている。
【0019】
保持部材3は、各ポット2の開口4同士が所定間隔離間して配置されるように、各開口4に連設されてポット2を支持する略矩形状の平板部3aと、平板部3aの4つのコーナー部に垂設された脚部3bとを備えて構成されている。
また、保持部材3の平板部3aには、図1及び図4に示すように、ポット2の開口4の周囲に、排水溝体10の後述の内部空間Sと連通する貫通孔6が設けられている。
そして、図3に示すように、ポット集合体1の複数個が、排水溝体10に列設されて支持される。
【0020】
排水溝体10は、底壁11及び底壁11に連設され上開放の開放口12を形成する一対の側壁13を有して構成され、底壁11及び側壁13で囲繞される内部空間Sに、ポット集合体1のポット2が臨むように、ポット集合体1を支持し、ポット集合体1側から落下する水を集水して流すものである。排水溝体10は、断熱性材料で一体形成されている。断熱性材料としては、例えば、発泡ポリスチレン等の発泡合成樹脂が選択される。
詳しくは、排水溝体10は、底壁11と、この底壁11の左右端縁に立設される一対の下側側壁13aと、各下側側壁13aの上端から底壁11に平行に外側に向けて突設され上面に上記のポット集合体1の脚部3bを支承する一対の支承壁14と、この各支承壁14の端縁に夫々立設される一対の上側側壁13bとから構成されている。底壁11の中央には、底壁11から上側に突出し後述の熱交換体20を底壁11の底面11aより高い位置に支持する支持突起15が突設されている。
排水溝体10は、所定長さのものが用いられ、必要に応じて、いくつか連設されて用いられ、両端部は閉塞される。また、排水溝体10の、適宜の箇所、例えば一方の端部の底壁11には、底壁11の底面11aに連通し、底壁11を流れる水を排水する図示外の排水パイプが接続される。
【0021】
排水溝体10の内部空間S内であって、底壁11及び下側側壁13aで囲繞される下側の空間内には、排水溝体10の長手方向に沿って、内部空間S内の空気を加温若しくは冷却する管状の熱交換体20が挿入されている。熱交換体20は、排水溝体10の底壁11から上側に突出した支持突起15上に支持され、底壁11の底面11aより高い位置に位置させられている。
【0022】
熱交換体20は、図6に示すように、熱交換媒体Wを充填した断面円形の外管21と、外管21内に熱交換媒体Wを気化もしくは液化させる熱伝達管22とを備える。外管21に充填する熱交換媒体Wは、気化または液化を容易に行なうものであれば良く、水を利用することができる。ここでは、外管21内部を常圧より減圧した状態にすることにより水の沸点を下げ、低温で気化させることができる。熱伝達管22は、熱交換媒体Wに熱を供給することができる。この場合、熱源は、所望の温度を熱交換媒体Wに供給できる流体であればよく温水または蒸気を利用できる。これにより、熱交換体20は、放熱作用を奏する。また、熱伝達管22は、熱交換媒体Wから熱を吸収することができる。この場合、熱源は、所望の温度を熱交換媒体Wに供給できる流体であればよく冷水を利用できる。これにより、熱交換体20は、吸熱作用を奏する。熱伝達管20として、熱供給用及び熱吸収用として共用してもよく、熱供給用のものと、熱吸収用のものと、別個に設けても良い。
【0023】
また、排水溝体10の内部空間S内であって熱交換体20の上方には、ポット集合体1側から落下する水を受けて流下させる遮蔽板30が設けられている。遮蔽板30は、取付金具31を介して、支承壁14に架設されている。遮蔽板30は、放熱効果の高い例えば胴板等の金属板で形成されている。
遮蔽板30は、左右に夫々下向きに傾斜する一対の傾斜板32を備えて断面傘型に形成されている。各傾斜板32の下縁が対峙する排水溝体10の下側側壁13aとの間には、空気及び水が流通可能な間隙33が設けられている。
【0024】
更に、排水溝体10の内部空間S内であって、遮蔽板30の上方に、ポット集合体1に向けて散水を行なう散水パイプ35が挿入されている。この散水パイプ35からの水は、ポット2の排水口5からポット2内の培土に吸収せしめられる。あるいは、保持部材3の貫通孔6を通して、ポット2の上側に噴射させられ、ポット2の開口4からも培土に吸収せしめられ、また、植物の葉などに散布せしめられる。
【0025】
支持体40は、排水溝体10の長手方向に沿って設けられ、底壁11を外側から支承する断面チャンネル状の底壁支承杆41と、一対の支承壁14を外側から夫々支承する断面チャンネル状の一対の支承壁支承杆42とを備えている。底壁支承杆41及び一対の支承壁支承杆42は、排水溝体10の長手方向に沿って間隔を隔てて配置される帯状でコ字状に折曲形成された固定金具43によって連結されている。固定金具43は、排水溝体10の幅方向に伸びる水平部43aと、水平部43aの両端から立設された一対の垂直部43bとを備えており、水平部43aに底壁支承杆41が固定され、垂直部43bに支承壁支承杆42が固定されている。固定金具43の垂直部43bは排水溝体10の上側側壁13bの外側に接するように延びており、排水溝体10の上側側壁13bを押えて左右方向への移動を規制している。
【0026】
また、支持体40は、排水溝体10の長手方向に沿って間隔を隔てて配置され支承杆41,42及び固定金具43を介して排水溝体10を支持する複数の支柱50を備えている。支柱50は、上端に排水溝体10を支承する支承部51を有している。支承部51は排水溝体10の長手方向に直交する方向に延びる板で構成され、図4及び図5に示すように、固定金具43の水平部43aにボルト52及びナット53で取り付けられている。また、支柱50は、下端に地面に差し込まれて埋設される埋設部54を有している。埋設部54とこれより上側の一般部55との境界には、地面に当接するベース板56が設けられている。ベース板56は、埋設部54の上側周囲に放射状に突設された複数のフィン57に溶接等で固着され、補強されている。
【0027】
更に、図7にも示すように、支柱50の一般部55は、埋設部54及び支承部51側の一対の反割り内管55aと、これに摺動可能に挿入された外管55bとを備えて、伸縮自在になっており、適宜の長さ位置で、反割り内管55aに設けたストッパボルト58を締め付けて反割り内管55aを拡張して外管55bに対して圧接させて固定することにより、内管55aが外管55bに対して固定される。これにより、排水溝体10の高さ位置が調整される。
【0028】
従って、本発明の実施の形態に係る高設栽培装置を設置するときは、先ず、支持体40の支柱50を、適宜間隔で地面に打ち込む。この際は、支柱50の埋設部54を地中に差し込んで埋設する。支柱50が打ち込まれた状態では、埋設部54にはベース板56が設けられているので、支柱50を垂直に保持しやすくなり、また、埋設部54には複数のフィン57が設けられているので、回り止めも行なわれ、そのため、支柱50の安定が保持される。
次に、支持体40の底壁支承杆41及び支承壁支承杆42を、固定金具43を介して、支柱50の支承部51に支承し、固定金具43の水平部43aと支承部51とをボルト52及びナット53で固定する。
この状態で、排水溝体10を支持体40に支持する。この場合、排水溝体10の底壁11を底壁支承杆41に支承するとともに、一対の支承壁14を一対の支承壁支承杆42に夫々支承する。そして、支柱50の一般部55において、内管55aと外管55bとを適宜伸縮させ、適宜の長さ位置で、ストッパボルト58を締め付けて内管55aを外管55bに対して固定し、排水溝体10の高さ位置を調整する。
【0029】
この排水溝体10の設置においては、支柱50を地面に差し込み、底壁支承杆41及び支承壁支承杆42を固定金具43を介して支柱50に取り付け、排水溝体10を底壁支承杆41及び支承壁支承杆42に支承させる簡単な作業で設置を行なうことができるので、設置作業が容易に行なわれる。特に、支柱50を一列に差し込むので、設置作業性の向上に加えて、足元が広くなり、その後の、栽培管理を容易に行なうことができるようになる。
その後、熱交換体20を排水溝体10の支持突起15に支持する。これにより、熱交換体20が底壁11の底面11aより高い位置に位置させられる。更に、熱交換体20の上方に、取付金具31を介して遮蔽板30を設ける。更にまた、遮蔽板30の上方に、散水パイプ35を設ける。
【0030】
そして、ポット集合体1を、その保持部材3の脚部3bを排水溝体10の支承壁14に支承して、排水溝体10に支持する。ポット集合体1のポット2には、予め、培土を入れ、植物の種を播種し、あるいは、植物の苗木を移植しておく。図3に示すように、ポット集合体1は、その複数個が、排水溝体10に列設されて支持される。この場合、散水パイプ35は、排水溝体10の内部空間S内にあるので、排水溝体10の上方に設けた場合に比較して、邪魔になることが無く、ポット集合体1の設置作業が容易に行なわれる。
【0031】
次に、本発明の実施の形態に係る高設栽培装置により、植物を栽培する場合について説明する。栽培過程においては、熱交換体20により、必要に応じて、排水溝体10の内部空間Sの加温若しくは冷却を行なって、温度管理を行なうとともに、適時に散水パイプ35からの散水を行なう。尚、散水は、別途ポット集合体1の上方から、シャワーなどで行なうようにしても良い。
この熱交換体20による加温若しくは冷却においては、図4に示すように、排水溝体10の内部空間Sで加温若しくは冷却され、暖気若しくは冷気が遮蔽板30の傾斜板32と排水溝体10の側壁13との間隙33を通って上昇し、ポット2を加温若しくは冷却する。この場合、遮蔽板30の左右から暖気若しくは冷気が上昇するので、満遍なくポット2を加温若しくは冷却することができ、ポット2への熱伝達効率が向上させられる。また、遮蔽板30も加温若しくは冷却され、遮蔽板30からの放熱によっても、ポット2を加温若しくは冷却する。この場合、遮蔽板30は、金属板で形成されているので、放熱効率が良く、これによっても、満遍なくポット2を加温若しくは冷却することができ、ポット2への熱伝達効率が向上させられる。
【0032】
また、ポット集合体1の保持部材3においては、ポット2の開口4の周囲に貫通孔6が設けられているので、図4に示すように、排水溝体10の内部空間Sの暖気若しくは冷気は、この貫通孔6を通って植物の葉にも及ぶようになる。そのため、根のみならず葉の方の温度環境も良好にすることができ、それだけ、植物の成育を円滑に行なわせることができる。
更に、排水溝体10は、発泡ポリスチレン等の断熱性材料で形成されているので、排水溝体10を通して熱が逃げにくくなり、それだけ熱の無駄が無く、ポット2への熱伝達効率が向上させられる。
【0033】
また、この熱交換体20による加温若しくは冷却の過程においては、図5に示すように、適時に散水パイプ35からの散水が行なわれ、あるいは、別途ポット集合体1の上方から散水が行なわれる。この場合、ポット2内に吸収されなかった水は、ポット集合体1から、排水溝体10の底壁11に向けて落下したり、側壁13を伝わって流下するが、図5に示すように、落下する水は、遮蔽板30に受けられて流下し、遮蔽板30の傾斜板32と排水溝体10の側壁13との間隙33を通って底壁11に至る。そのため、落下する水が、直接熱交換体20に当たる事態が防止されるので、熱交換体20の熱が水に奪われてて逃げてしまう事態が防止され、それだけ熱の無駄が無く、ポット2への熱伝達効率が向上させられる。
【0034】
更にまた、排水溝体10の底壁11の底面11aに至った水は、流れて排水される。この場合、熱交換体20は、支持突起15に支持されて底壁11の底面11aより高い位置にあるので、底壁11の底面11aを流れる水に漬かることが防止され、そのため、熱交換体20の熱が水に奪われて逃げてしまう事態が防止され、それだけ熱の無駄が無く、より一層ポット2への熱伝達効率が向上させられる。
【0035】
植物の成育が進み、収穫するときは、ポット集合体1を排水溝体10から取外す。この場合、散水パイプ35は、排水溝体10の内部空間S内にあるので、排水溝体10の上方に設けた場合に比較して、邪魔になることが無く、ポット集合体1の取出し作業が容易に行なわれる。
【0036】
図8には、本発明の実施の形態に係る高設栽培装置の別の例を示している。これは、底壁支承杆41及び支承壁支承杆42を、多段(図では2段)に設け、これらを固定金具70に取り付けて、支柱50に支持し、排水溝体10を多段(図では2段)に設けたものである。排水溝体10には、夫々、熱交換体20及び散水パイプ35が挿入されている。栽培面積が増えるので、栽培効率が極めてよくなる。
【0037】
尚、上記の実施の形態において、熱交換体20は、熱交換媒体を充填した外管55bと、外管55b内に設けられ熱交換媒体を気化もしくは液化させる熱伝達管とを備えて構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、単に、温水あるいは冷水を流すパイプで構成してもよく、適宜変更して差支えない。また、ポット集合体1は、ポット2と保持部材3とが一体成形されているが、別体になっていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態に係る高設栽培装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る高設栽培装置を示す正面断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る高設栽培装置を示す側面断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る高設栽培装置において熱伝達管による熱の伝達状態を示す要部断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る高設栽培装置において散水パイプによる散水の状態を示す要部断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る高設栽培装置の熱伝達管の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る高設栽培装置において支持体の支柱の要部横断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る別の高設栽培装置を示す正面断面図である。
【図9】従来の高設栽培装置の一例を示す斜視図である。
【図10】従来の高設栽培装置の不具合を示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ポット集合体
2 ポット
3 保持部材
5 排水口
6 貫通孔
10 排水溝体
S 内部空間
11 底壁
12 開放口
13 側壁
13a 下側側壁
13b 上側側壁
14 支承壁
15 支持突起
20 熱交換体
W 熱交換媒体
21 外管
22 熱伝達管
30 遮蔽板
31 取付金具
32 傾斜板
33 間隙
40 支持体
41 底壁支承杆
42 支承壁支承杆
43 固定金具
50 支柱
51 支承部
54 埋設部
55 一般部
56 ベース板
57 フィン
【出願人】 【識別番号】500248582
【氏名又は名称】橋本 重治
【識別番号】500261514
【氏名又は名称】橋本 祥一郎
【識別番号】506272312
【氏名又は名称】株式会社フォーティーファイブ
【出願日】 平成19年2月22日(2007.2.22)
【代理人】 【識別番号】100093148
【弁理士】
【氏名又は名称】丸岡 裕作


【公開番号】 特開2008−199986(P2008−199986A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2007−41723(P2007−41723)