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【発明の名称】 育苗施設
【発明者】 【氏名】牟田 博一

【氏名】矢野 省三

【要約】 【課題】種籾消毒設備を育苗施設に配置して、効率の良い種籾消毒作業と育苗作業が行える育苗施設を得ることを課題とする。

【解決手段】播種機3にて播種された苗箱を暖房機11が装備された出芽室10内へ搬入して苗箱の種籾を出芽させ、種籾が出芽した後、苗箱を出芽室10から搬出し、苗の成育を行なう育苗施設において、施設内に種籾の温湯消毒装置19を配置し、該温湯消毒装置19にて消毒された種籾を前記出芽室10に搬入して暖房機11にて乾燥させる種籾消毒システムを設けた育苗施設。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
播種機3にて播種された苗箱を暖房機11が装備された出芽室10内へ搬入して苗箱の種籾を出芽させ、種籾が出芽した後、苗箱を出芽室10から搬出し、苗の成育を行なう育苗施設において、施設内に種籾の温湯消毒装置19を配置し、該温湯消毒装置19にて消毒された種籾を前記出芽室10に搬入して暖房機11にて乾燥させる種籾消毒システムを設けたことを特徴とする育苗施設。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、種籾を消毒する種籾消毒設備を有する育苗施設に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水稲栽培等において苗移植機に使用する苗を育成するための育苗施設では、特許文献1に記載されているように、種籾を播種した苗箱を苗箱段積装置によって一定数ずつ段積み状に積み重ね、その段積み状の苗箱を温度・湿度・明度等を管理した出芽室内で適当日数保管して種籾を出芽させ、種籾が出芽した後、段積み状の苗箱を出芽室から出し、各苗箱を苗箱積替装置によって棚状の緑化台車に積み替え、一定大きさの苗になるまで育成するようにしている。
【0003】
また、種籾を温湯にて消毒する装置も特許文献2に記載されているように一般的に知られている。
【特許文献1】特開平10−248390号公報
【特許文献2】特開2006−314330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、種籾消毒設備を育苗施設に配置して、効率よく種籾消毒作業と育苗作業を行なう施設はなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、播種機3にて播種された苗箱を暖房機11が装備された出芽室10内へ搬入して苗箱の種籾を出芽させ、種籾が出芽した後、苗箱を出芽室10から搬出し、苗の成育を行なう育苗施設において、施設内に種籾の温湯消毒装置19を配置し、該温湯消毒装置19にて消毒された種籾を前記出芽室10に搬入して暖房機11にて乾燥させる種籾消毒システムを設けた育苗施設としたものである。
【0006】
従って、育苗施設で育苗作業を行なう場合には、播種機3で播種された苗箱を出芽室10内へ搬入して、暖房機11を自動制御して苗箱の種籾を出芽させる。そして、種籾が出芽した後に、苗箱を出芽室10から搬出して苗の成育を行なう。一方、育苗施設で種籾消毒作業を行なう場合には、温湯消毒装置19にて種籾を消毒し、消毒処理の終わった種籾を出芽室10内へ搬入して、暖房機11を自動制御して種籾の乾燥を行なう。即ち、育苗作業時に苗箱の種籾を出芽させる出芽室10を種籾消毒作業に種籾を乾燥させる乾燥室として兼用することによって、種籾消毒作業における特別な乾燥室や乾燥制御機器が不要となって、安価に且つ設備効率の良い種籾消毒設備を有する育苗施設となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、播種機3にて播種された苗箱を暖房機11が装備された出芽室10内へ搬入して苗箱の種籾を出芽させ、種籾が出芽した後、苗箱を出芽室10から搬出し、苗の成育を行なう育苗施設において、施設内に種籾の温湯消毒装置19を配置し、該温湯消毒装置19にて消毒された種籾を前記出芽室10に搬入して暖房機11にて乾燥させる種籾消毒システムを設けた育苗施設としたので、育苗作業時に苗箱の種籾を出芽させる出芽室10を種籾消毒作業に種籾を乾燥させる乾燥室として兼用することによって、種籾消毒作業における特別な乾燥室や乾燥制御機器が不要となって、安価に且つ設備効率の良い種籾消毒設備を有する育苗施設を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に基づいて、種籾消毒装置を配置した育苗施設を具体的に説明する。
図1は育苗施設の平面図を示し、苗箱置場となっている中2階に保管されている苗箱が、苗箱コンベヤ1によって苗箱供給装置2まで運ばれ、該苗箱供給装置2によって、1階に設置した播種機3に苗箱が1個づつ順次供給される。
【0009】
播種機3は、播種コンベヤ5で苗箱を一定方向に搬送しつつ、その搬送中の苗箱に床土供給装置6にて床土を入れて鎮圧・均平し、その床土の上に播種装置7にて種籾を播種し、その上から覆土供給装置8にて覆土を入れ、そして最後に灌水を施す構成となっている。なお、床土タンク及び覆土タンクの土補給口は中2階に設置されており、1階に設置した土ホッパに投入される土が、土エレベータによって中2階へ上げられ、そこから正逆回転可能な土コンベヤによって床土タンク及び覆土タンクに補給されるようになっている。また、播種装置7で播種される種籾は、水を張った浸種槽に浸した後、催芽室で催芽処理したものが使用される。
【0010】
播種された苗箱は、段積装置9によって所定個数(30個程度)づつ出芽台車Pの上に段積み状に積み重ねられる。なお、出芽台車Pには、上記段積み状の苗箱群(以下、「苗箱段積体」とする)が前後に2列、左右に3列づつ載置される。出芽台車Pに載せられた苗箱段積体は、出芽室10,…に搬入、及び出芽室10,…から搬出される。
【0011】
出芽室10には、床面に温風ダクトが配設されており、出芽室10の外部に設けた暖房機11から供給される温風がこの温風ダクト19から吹き出される。また、出芽室10の天井部には吸気ダクトが配設されており、出芽室10内の空気がこの吸気ダクトを通って暖房機11に戻される。このように、出芽室10内の空気を循環させ、温風が出芽室10内を下から上へ通り抜けるようにすることにより、出芽室10内を均一に暖房することができる。
【0012】
図の育苗施設は、このような出芽室10が並列して3室設けられている。水稲の場合、出芽に要する日数は通常3日であるので、毎日同じ作業ペースで播種作業を行うためには、1日当たり出芽室1室分づつ苗箱に播種作業を行えばよい。
【0013】
出芽が終了すると、苗箱段積体の各苗箱は、出芽室10から積替室に出されて苗箱積替装置によって棚状の緑化台車に積み替えられる。そして、苗箱を収容した緑化台車が緑化台車搬送車によって暖房機11を設けた緑化室12に搬入され、さらに緑化室12内で苗が所定の大きさまで成育した後に、緑化台車搬送車によって緑化台車を緑化室12から搬出し、苗が成育した苗箱を出荷する。
【0014】
次に、同育苗施設内に設けられた種籾消毒システムについて、図1の平面図及び図2のシステムフロー図に基づいて詳述する。
先ず、図1により種籾消毒システムの各装置の配置の説明をすると、温湯消毒装置13が前記播種機3と並列して配置されており、出芽室10は温湯消毒後の種籾を乾燥する乾燥室を兼ねている。また、暖房機11は、乾燥室(出芽室)10内に種籾を乾燥する為に乾燥熱風を循環して送り込むように制御され、種籾乾燥後は種籾を冷却するために冷風を循環して送り込むように制御される。14は低温貯蔵庫であって、消毒後に乾燥処理した種籾を低温で貯蔵する。
【0015】
次に、図2により種籾消毒システムの処理フローを説明すると、種籾が施設に運び込まれると、先ず、搬入ホッパー15に入れられる。搬入ホッパー15から上方搬送装置16にて種籾タンク17に入れられ、該種籾タンク17内の種籾を計量器18で作業者が合成繊維(ナイロン)製の小網袋Aに5kgずつ入れて、作業台18上で小網袋Aの口をミシンで縫うか紐で縛って閉じる。そして、種籾が5kgずつ入った小網袋Aを大きな合成繊維(ナイロン)製の大網袋Bに8個入れて、種籾が40kg入った状態として大網袋Bの口を閉じ、その大網袋Bを温湯消毒装置19の浸漬かご20内に複数個入れる。
【0016】
種籾が40kg入った大網袋Bを複数個入れた浸漬かご20は、自動的にクレーン21で持ち上げられて、順次、温湯消毒槽22と冷水槽23に浸けられて、その後、かご置き場24に載置されるように移動制御される。尚、種籾は比重1.13以上の塩水で比重選別して比重の軽い種籾は取り除いた後に、水洗して塩分を取り除く。その後、水切りして種籾を水分15%まで乾かしたものを小網袋Aに入れる。一方、温湯消毒槽22内には、制御装置にて摂氏60度に保たれた湯が入っており、種籾が入った大網袋Bを複数個入れた浸漬かご20は温湯消毒槽22内に10分間浸けられて、その後すぐに水道水(冷水)が入った冷水槽23に浸けられて、種籾は冷やされる。
【0017】
温湯消毒を終えてかご置き場24に載置された浸漬かご20から、作業者は大網袋Bを取り出して、遠心式脱水機25にて脱水して、乾燥台車26のフックに大網袋Bを順次吊るす。
【0018】
そして、複数の大網袋Bを吊るした乾燥台車26を乾燥室(出芽室)10内に入れて、暖房機11にて種籾を水分が15%になるまで乾燥し、乾燥後冷風にて冷やす。その後、乾燥台車26を乾燥室(出芽室)10から出して、消毒及び乾燥を終えた種籾の入った大網袋Bは、種籾コンテナ27に移されて、低温貯蔵庫14に入れて低温で貯蔵される。また、種籾の出荷が決まっている場合は、大網袋Bから小網袋Aを取り出して紙袋に移し入れて密封するかメッシュコンテナに移し入れて、出荷する。小網袋Aを紙袋に移し入れて密封した場合には、作業者が種籾に触ることが以後ないので、消毒された状態が適切に保たれて(作業者の手等に付いた雑菌が籾に付着する恐れがなく)、品質の良い種籾を出荷及び使用することができる。
【0019】
そして、施設から集荷する場合には、低温貯蔵庫14から紙袋又はメッシュコンテナを出して出荷する。
また、同施設で種籾を使用して播種及び育苗作業をする場合には、低温貯蔵庫14から紙袋又はメッシュコンテナを出して、種籾を浸種し発芽し脱水し播種機3に送って、前記のように播種育苗作業をして育成後の苗を出荷する。尚、消毒及び乾燥後にすぐ播種育苗作業をする場合には、乾燥室(出芽室)10から出した種籾をそのまま播種機3側に送る。
【0020】
尚、上記の実施例では、3つの乾燥室(出芽室)10を全て種籾を乾燥して冷やす室として使用する例を示したが、例えば、図1の最下方の乾燥室(出芽室)10を種籾の乾燥専用の室とし、乾燥が終われば最下方の乾燥室(出芽室)10から搬出して中段の乾燥室(出芽室)10に移して、中段の乾燥室(出芽室)10を種籾を冷やす専用の室とすれば、最下方の乾燥室(出芽室)10は暖房乾燥のまま継続して種籾の乾燥ができ、中段の乾燥室(出芽室)10は冷風による種籾を冷やす作業が継続して行え、熱効率が良くなって安価にて乾燥作業が行え、作業効率が非常に良くなる。
【0021】
図3は、乾燥台車26の他の例を示し、出芽台車Pの台車部28を兼用しており、苗箱を段積みした苗箱段積体を支える上部フレームを外して、代わりに網袋Bを吊り下げるフック29…を多数配置した上部乾燥用枠フレーム30を装着したものである。このように出芽台車Pの台車部28を乾燥台車26として兼用することによって、資材の有効利用が図られて、育苗施設の設備費用が安価となる。
【0022】
また、乾燥用枠フレーム30は、側面視で下部側ほど左右幅が広いピラミッド形状をしており、その乾燥用枠フレーム30に支持フレーム31を複数段(前後に3段ずつ)設けて、該支持フレーム31に網袋Bを吊り下げるフック29…を4個ずつ固定している。従って、支持フレーム31に設けたフック29…の位置は、側面視で下段ほど左右外側位置になるように配置した構成となっている。よって、図3(a)に示すように、全てのフック29…に網袋Bを吊り下げた時、各支持フレーム31のフック29…に吊り下げられた網袋Bは、下段ほど左右外側に位置するようになって、上段の網袋Bから水滴が落下しても下段の網袋Bにかからないようになっており、また、格段の網袋Bの間には通風空間があるので風通しも良く乾燥時の乾燥効率が向上して早く乾燥でき、安価な乾燥作業が行える。
【0023】
次に、図4及び図5に基づいて、温湯消毒装置19の他の例を説明する。
先ず、大網袋Bを複数個多段に吊り下げる網袋ハンガー40について説明すると、上部の横フレーム41に縦フレーム42を固定し、該縦フレーム42に2つの横杆43を固定し、横フレーム41及び横杆43に各々網袋Bを吊り下げるフック29…を複数個設けている。
【0024】
温湯消毒装置19は、温湯消毒槽22と、冷水槽23と、その上部に設けた網袋ハンガー40の横フレーム41を受けてイ方向に移送する電動モータ44にて駆動されるラック式移送装置45と、温湯消毒槽22の始端位置に網袋ハンガー40を浸けてラック式移送装置45の移送始端位置に網袋ハンガー40の横フレーム41を係合させるチェーンリフト装置46と、温湯消毒槽22の終端位置に移送された網袋ハンガー40を係合して上方に持ち上げて温湯消毒槽22から出した後に下方に降ろして冷水槽23の始端位置に浸ける第1搬送コンベア47と、冷水槽23の終端位置に移送された網袋ハンガー40を係合して上方に持ち上げて冷水槽23から出した後に乾燥台車26の位置まで下方に降ろす第2搬送コンベア48と、網袋ハンガー40の横フレーム41を受けて支持する受け部49を4箇所設けた乾燥台車26を左右移動及び上下移動制御して第2搬送コンベア48にて降ろされてきた網袋ハンガー40の横フレーム41を乾燥台車26の受け部49にて受けさせる自動移動台50とによって構成されている。
【0025】
このように温湯消毒装置19を構成すると、温湯消毒から乾燥台車26までの作業が自動化されて、作業効率が向上する。また、ラック式移送装置45により網袋ハンガー40が上下動しながら搬送されるので、網袋ハンガー40に吊るされた大網袋Bも上下動しながら槽22・23を移動する(大網袋B内の籾が揺れ動いて温湯及び冷水に均一に触れる)ので均一な消毒及び冷却が行われて、適正な温湯消毒が行える。
【0026】
尚、温湯消毒装置19の温湯消毒槽22を摂氏20度乃至30度に維持できる制御装置を設けて玄米を発芽させる機能を持たせて、上記のように摂氏60度に保って温湯消毒する制御と玄米を発芽させる制御とを兼用させ、切替えスイッチにて両制御を選択できる構成にすると、温湯消毒装置19にて発芽玄米を作ることができ、設備の有効活用ができる。尚、温湯消毒槽22を摂氏20度乃至30度に維持して玄米を20時間乃至24時間浸漬すると、玄米は発芽して発芽玄米を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】育苗施設の平面図である。
【図2】種籾消毒作業及び育苗作業を示す作業フロー図である。
【図3】乾燥台車の他の例を示す側面図及び斜視図である。
【図4】温湯消毒装置の他の例を示す作用説明用側面図である。
【図5】乾燥台車の他の例を示す正面図及び側面図である。
【符号の説明】
【0028】
3 播種機
10 出芽室
11 暖房機
19 温湯消毒装置
26 乾燥台車
P 出芽台車
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成19年2月21日(2007.2.21)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−199976(P2008−199976A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2007−41008(P2007−41008)