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【発明の名称】 植栽樹木の養生方法
【発明者】 【氏名】伊藤 俊哉

【要約】 【課題】植栽された樹木において要請される日焼け防止、乾燥防止等の保護層を、容易に、かつ、確実に、しかも、迅速に対象幹部に構成することができ、菰や杉皮等を逐一用意する必要もなく、少ない手間で保護層を設けることができると共に、当該保護層部分に害虫等の棲みつく不具合を生じない養生方法を提案する。

【解決手段】植栽樹木Bの養生方法は、植栽樹木Bにおける日焼け防止等の養生対象幹部に、生分解性発泡プラスチック材よりなる粒状物Aaを生分解性接着剤Abで添着して当該養生対象幹部を覆うように保護層Aを設け、この保護層Aによって植栽樹木Bにおける必要部分を保護し、日焼け防止、乾燥防止をなす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植栽樹木における日焼け防止等の養生対象幹部に、生分解性発泡プラスチック材よりなる粒状物を生分解性接着剤で添着して当該養生対象幹部を覆うように保護層を設けることを特徴とする植栽樹木の養生方法。
【請求項2】
前記粒状物が、その主要部を、直径10mm〜20mmの粒状物としてあることを特徴とする請求項1に記載の植栽樹木の養生方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、植栽された樹木の日焼け、乾燥等による樹皮の剥離、亀裂を、当該植栽樹木の幹部に生じないようにする養生方法の提案に関する。
【背景技術】
【0002】
杉や檜等の幹部に比較的厚い樹皮を備えている樹木や、直径が10cm以下の比較的樹皮が柔らかく、日照りや乾燥に適応し易い樹木を除いて、つめられていた枝葉が植栽前の状態に復する迄の間、主たる幹部分を日照りや、乾燥から保護する必要があった。
【0003】
かかる植栽樹木における主たる幹部の保護手段として、通例、植栽樹木における主たる幹部に杉皮、菰を巻き付ける、いわゆる「幹巻き」をなす必要があった。
【0004】
近時、杉皮、菰等の手配が難しく、また、取扱い面、見ば等から、布幅が、ほぼ15cm〜20cm程度の麻の織布を対象幹部に巻き込んで、幹巻きをなすようにしている。
【0005】
しかしながら、かかる幹巻き処理は、現場に運び込まれて各種の態様に置かれている植栽樹木に対応してなす必要があり、短い作業日程で、対象樹木から突出されている枝等を避けながら巻き込んでゆく必要があり、作業が煩雑となり易く、このため、工程管理が難しく、多くの作業手間を要する等の不具合があり、植栽施工における工事コストに占める割合が比較的高いものであった。
【0006】
また、かかる幹巻きに用いられた麻布は、日焼け防止等の所期の養生目的を達成した後にあっても、そのまま放置されるため、半ば腐植状態で樹木に絡みついており、景観上好ましいものではなかった。
【0007】
幹巻き網目グランドシートの中央に開口部を設け、この開口部から前記幹巻き網目グランドシートの外周縁の1箇所に向かい裁断し、裁断された両端部は地面に敷いた時に互いに重なり合い固定できるように面状ファスナーを取り付け、さらに中央の開口部の内周縁に取り付けた幹に結ぶヒモを設けた植木用のグランドシートが、植木や盆栽あるいは街路樹などが、暑い日ざしにより水分が蒸発し括れ木になるのを防ぐ等の目的で提案されている(例えば、特許文献1)。
【0008】
また、40%〜60%重量比のチタン水溶液と30%〜40%重量比のモビニ
ール等のバインダーに対して、20%〜30%重量比の、ハーブの植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものを含浸させて形成し、さらに、capsicum(激辛トウガラシ)めエキス、さらに、ガーリック(ニンニク)のエキスを混合した塗料を樹木の主幹、側枝に塗布又は散布するようにした凍害等の防止塗料が、果樹等の樹木を、日焼け、冷害のほか害虫、害鳥、害獣からの被害を防止する防御手段として提案されている(例えば、特許文献2)。
【0009】
【特許文献1】特開2002−95366公開特許公報
【特許文献2】特開2006−75068公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
植栽樹木の幹部を、日焼けや、乾燥から防ぐ手段として、従前における麻布に代替されて、所定の厚さを備え、しかも、取扱いが容易であって、養生の終了後における処理も不要な植栽樹木の養生方法が求められていた。
【0011】
この発明は、植栽樹木における日焼け防止、乾燥防止等の養生を、簡易に、かつ、確実になし得ると共に、養生目的の終了した後に、当該養生手段の撤去作業の必要の無い養生方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、前記課題を解決するために、植栽樹木における日焼け防止等の養生対象幹部に、生分解性発泡プラスチック材よりなる粒状物を生分解性接着剤で添着して当該養生対象幹部を覆うように保護層を設けることを特徴とする植栽樹木の養生方法としてある。
【0013】
このように構成される植栽樹木の養生方法では、日焼け防止、乾燥防止等の植栽時に必要とされる枝葉をつめる剪定に伴う不具合の発生を、前記保護層によって確実に回避でき、しかも、この保護層による日焼け防止や、乾燥防止等の目的を達成する時期に合わせて、当該保護層が自然に分解され、保護層の撤去作業等をすることなく、良好な植栽景観をつくりだすことができる。
【0014】
また、前記構成に係る植栽樹木の養生構造にあって、前記粒状物が、その主要部を、直径10mm〜20mmの粒状物としてあることを特徴とする植栽樹木の養生方法では、養生対象とされる樹木の幹部分に、必要厚さの保護層を容易、かつ、確実に備え設けることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明に係る植栽樹木の養生方法は、植栽された樹木において要請される日焼け防止、乾燥防止等の保護層を、容易に、かつ、確実に、しかも、迅速に対象幹部に構成することができ、菰や杉皮等を逐一用意する必要もなく、少ない手間で保護層を設けることができると共に、当該保護層部分に害虫等の棲みつく不具合を生ずることが無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1〜図3にもとづいて、この発明を実施するための最良の形態に係る植栽樹木の養生方法について説明する。
【0017】
なお、ここで図1は当該発明を実施するための最良の形態に係る典型的な植栽樹木Bの養生方法の一過程を示す側方から見て、図2は、この養生方法で保護層Aを備えられた樹木Bを植栽した状態を示す正面から見て、図3は、当該養生方法で対象幹部分に保護層Aを設けた状態を、その要部を断面して示している。
【0018】
この発明を実施するための最良の形態に係る植栽樹木Bの養生方法は、植栽樹木Bにおける日焼け防止等の養生対象幹部に、生分解性発泡プラスチック材よりなる粒状物Aaを生分解性接着剤Abで添着して当該養生対象幹部を覆うように保護層Aを設け、この保護層Aによって植栽樹木Bにおける必要部分を保護し、日焼け防止、乾燥防止をなす。
【0019】
なお、ここで、植栽樹木Bにおける養生対象幹部は、移植や新規植栽に都合のよい条件を満たすようになされる植栽樹木Bにおける枝葉のカット量や、当該樹木の樹種、樹皮の状況、樹齢、当該樹木の性状、植栽地における特性等を総合的に勘案して、適宜特定される。
【0020】
また、ここで用いられる生分解性発泡プラスチック材は、例えば、天然物系、微生物系、化学合成系等、いかなる生分解性プラスチックであってもよく、例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクタム、変性ポリビニルアルコール、カゼイン等を用いることができる。
【0021】
また、こ生分解性発泡プラスチック材の粒状物Aaの付着に用いられる接着剤Abは、生分解性接着剤であれば、いかなる接着剤であってもよく、例えば、各種の澱粉系接着剤や、澱粉系接着剤を含む接着剤等を用いることができる。
【0022】
ここにおける生分解性発泡プラスチック材の粒状物Aaは、生分解性接着剤Abによって、対象樹木Bの幹部の表面に所要厚さの保護層Aを形成し得ると共に、この幹部の表面に形成された保護層Aが所定期間、すなわち、植栽樹木Bにおける枝葉が、その刈り込み前の状態に、ほぼ戻って、当該保護層Aを必要としなくなる迄の間、対象樹木B面を覆うように機能するようにしてあり、この保護期間等を前提に、その保持期間に見合うように、その粒径、接着厚さ、接着剤の種別、接着剤量等を調整してあり、目的とする保護期間の経過後に円滑に分解して、樹皮面から剥落するようにしてある。
【0023】
かかる植栽樹木Bに対する養生用保護層Aの添着、生成は、いかなる方法で形成してあってもよく、例えば、養生対象幹部に対して、適宜、接着剤Abを吹き付け、または、塗着して、これに、生分解性発泡プラスチック材の粒状物Aaを付着するようにしてあっても、また、生分解性発泡プラスチック材の粒状物Aaを接着剤、接着剤の希釈液に配合用意し、又は、接着剤、接着剤の希釈液を付着させた生分解性発泡プラスチック材の粒状物Aaを用意し、これを、養生対象幹部に付着するようにしてあってもよい。
【0024】
かかる生分解性発泡プラスチック材の粒状物Aaによる保護層Aは、例えば、植栽樹木Bにおける養生対象幹部に対して、生分解性接着剤Abを吹きつけ、この接着剤Abの吹き付けられた対象幹部に当該生分解性発泡プラスチック材からなる粒状物Aaを吹き付けて構成することができる。また、かかる保護層Aは、養生対象幹部に対する接着剤Abの吹きつけ後に、当該生分解性発泡プラスチック材からなる粒状物Aaを吹き付け、更に、この吹きつけ粒状物Aa上に、生分解性接着剤Abを吹き付け、当該生分解性発泡プラスチック材からなる粒状物Aaを吹き付ける工程を、必要回数施すことで、所要厚さの保護層Aを構成するようにしてあってもよい。また、かかる保護層Aは、生分解性発泡プラスチック材からなる粒状物Aaを生分解性接着剤Abに配合して、当該接着剤Abで粘りのある粒状物体を形成し、この粒状物体を、ガン吹き手段や、鏝塗り手段や、手を用いてなすりつける等の適宜の手段で、養生対象樹木Bにおける対象幹部に所要厚さに構成するようにしてあってもよい。
【0025】
また、この生分解性発泡プラスチック材の粒状物Aaに顔料等を含ませて所要の色合いの粒状物Aaとして用意し、あるいは、接着剤Abに適宜の色合いの顔料を含ませて用意する等して、対象樹木Bに、景観を損なわないように養生用の保護層Aを形成することができる。
【0026】
このように構成される植栽樹木Bの養生方法では、日焼け防止、乾燥防止等の植栽時に必要とされる枝葉をつめる剪定に伴う不具合の発生を、前記保護層Aによって確実に回避でき、しかも、この保護層Aによる日焼け防止や、乾燥防止等の目的を達成する時期に合わせて、当該保護層Aが自然に分解され、保護層Aの撤去作業等をすることなく、良好な植栽景観をつくりだすことができる。
【0027】
また、前記構成に係る植栽樹木Bの養生構造にあって、前記粒状物Aaが、その主要部を、直径10mm〜20mmの粒状物Aaとしてあることを特徴とする植栽樹木Bの養生方法では、養生対象とされる樹木Bの幹部分に、必要厚さの保護層Aを容易、かつ、確実に備え設けることができる。
【0028】
ついで、図示例に係る植栽樹木Bの養生方法について具体的に説明する。
【0029】
掘り起こされて、根巻きが施され、かつ、植栽に都合のよい状態に枝葉をつめられて搬送された樹木Bのうち、日焼け防止や乾燥防止を必要とする樹木Bを、寄せかけ柵Cに寄せかけて、養生処理に都合のよい状態にして、当該植栽樹木Bにおける保護層Aの被覆を必要とする幹部に、生分解性発泡プラスチック材の粒状物Aaを接着剤Abで付着する。
【0030】
この図示例にあっては、前記で用意された植栽樹木Bを、飛散防止用のネットEで覆って、まず、生分解性接着剤Abを、当該植栽樹木Bにおける養生対象幹部に適宜のガン吹き手段で吹き付ける。ついで、粒径を10mm〜20mmの範囲に揃えるように用意された生分解性発泡プラスチック材からなる粒状物Aaを接着剤Abの吹きつけ塗布された植栽樹木Bにおける当該養生対象幹部に向けて、前記ネットEで飛散を防止した状態で、例えば、ブロワーで吹き付けて、養生対象幹部に保護層Aを形成する。
【0031】
かかる生分解性発泡プラスチック材からなる粒状物Aを幹面に形成されて、所期の養生対策の施された植栽樹木Bを植栽し、これを適宜の保持手段Dで支承して植栽を完了する。
【0032】
このように植栽された樹木は、一定期間、この図示例にあっては、移植に際して切りつめられた枝葉が延びて、前記養生を施した幹部分における養生を必要とせず、日照りや、乾燥を効果的に防止し得るに到った際に、前記保護層Aが生分解によって、備え付け対象幹部から剥離し、かつ、分解するようにしてある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】典型的な植栽樹木の養生方法の一工程を示す側面図
【図2】同保護層の備えられた樹木を植栽した状態を示す正面図
【図3】同要部拡大縦断面図
【符号の説明】
【0034】
A 保護層
Aa 粒状物
Ab 接着剤
B 樹木
【出願人】 【識別番号】000183428
【氏名又は名称】住友林業株式会社
【識別番号】391024696
【氏名又は名称】住友林業緑化株式会社
【出願日】 平成19年2月19日(2007.2.19)
【代理人】 【識別番号】100077241
【弁理士】
【氏名又は名称】桑原 稔

【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦


【公開番号】 特開2008−199932(P2008−199932A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2007−38253(P2007−38253)