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【発明の名称】 自動給水装置
【発明者】 【氏名】横山 郁生

【氏名】岡田 貴弘

【要約】 【課題】自動給水装置を作動させる最低有効水頭が、概ね20cmAq.程度から、350cmAq.程度の有効水頭までの広範囲にわたり作動させることのできる自動給水装置を提供する。

【解決手段】一方の開口が用水の供給源である水路101に連通された導水管102と、導水管102の他方の開口に設けられた弁本体103と、任意の支点113aを枢軸に上下動し、弁本体103の弁座部104に圧接離間する弁体108と、弁体108を中心にして支点113aと対向して設けられたアーム111の端部及び/又は弁体108にエアー抜き116を有するタンク112を設ける。タンク112の反対側に弁体108と連動するバランスアーム109が弁体108に延設する。タンク112の満水時の重心が、支点を113a中心としてカウンターウエイト110と対峙する位置に設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の開口が用水の供給源である水路に連通された導水管と、該導水管の他方の開口に設けられた弁本体と、任意の支点を枢軸に上下動し、該弁本体の弁座部に圧接離間する弁体と、該弁体を中心にして前記支点と対向して設けられた少なくとも1つのアームの端部及び/又は該弁体に設けられたエアー抜きを有する少なくともひとつのタンクと、前記タンクの反対側に前記弁体と連動するバランスアームが該弁体に延設され、かつ、該バランスアームに一体的に設けられたカウンターウエイトと、前記弁本体内と前記タンク内とを連通する流入管と、前記タンク内と水位センサとを連通する排水管とを有し、前記タンクの満水時の重心が、前記支点を中心として前記カウンターウエイトと対峙する位置にあることを特徴とする自動給水装置。
【請求項2】
支点が、弁本体の一部又は外部の位置に設けられたことを特徴とする請求項1記載の自動給水装置。
【請求項3】
アームが、伸縮可能に設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動給水装置。
【請求項4】
タンクが、アームの端部及び/又は中間の位置に配置されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の自動給水装置。
【請求項5】
支点、弁体及びタンクが、以下の関係を満たす位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自動給水装置。
自動給水装置の給水時(弁開時):(A×Gp+D×Gc)>B×Ge
自動給水装置の断水時(弁閉時):(A×Gp+D×Gc)<C×Gf
但し、
Aは、支点から、弁体の有効断面積に作用する弁本体からの水圧力の中心までの距離。
Bは、支点1から、右側のバランスアーム、弁体、アーム、空タンク、流入管及び排出管の総重量の重心の位置までの距離。
Cは、支点から、右側のバランスアーム、弁体、アーム、満水時のタンク、流入管及び出管の総重量の重心の位置までの距離。
Dは、支点から、左側のバランスアーム及びカウンターウエイトの総重量の重心の位置までの距離。
Gpは、弁体の有効断面積に作用する弁本体からの水圧力。
Gcは、支点から左側の、バランスアーム及びカウンターウエイトの総重量。
Geは、支点から右側の、バランスアーム、弁体、アーム、空タンク、流入管及び排出管の総重量。
Gfは、支点から右側の、バランスアーム、弁体、アーム、満水時のタンク、流入管及び排出管の総重量。
【請求項6】
流入管の口径が、排出管の口径以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の自動給水装置。
【請求項7】
支点が弁本体の上端の鍔部に設けられ、アームが、支点と弁体の略中心とを結ぶ直線の延長上に位置する該弁体の端部から延設され、アームの端部にタンクが固定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の自動給水装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の水位制御を自力制御にて行う自動給水装置に関するものであり、さらに詳しくは、用水の供給源である水路に設けられた導水管に接続された弁本体の弁座部における有効水頭(配水管の最小動水圧)が、極めて低い状態から極めて高い状態まで、広範囲にわたって制御可能とする自動給水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動給水装置は、図11に示すような構造のものがあり、有効水頭が、広範囲をカバーするよう設計されていた(例えば、特許文献1参照。)。例えば、口径80ミリの場合であれば、好適には最低有効水頭1.5mAq.から最高有効水頭75mAq.まで、レンジアビリティで50もの範囲で使用され、特に水田用の自動水位制御装置として好適に使用されてきている。
【0003】
また、近年、同じく水田用の自動水位制御装置として、図12に示すような構造を有する(例えば、特許文献2参照。)有効水頭が低い範囲で制御を行える自動給水装置が発明され、特に、オープン水路用に好適に使用されている。
前記いずれの装置も水田の自動水位制御装置として優れたものであり、水田の水管理の労力の削減、水不足地域における節水に貢献している。また、環境保護の観点からは、水田に撒かれた農薬等が、従来の掛流し方法による用水方式では、外部に排出され、環境に対する負荷をかけていたものが、これらの自動水位制御装置によって、従来の無駄な水の掛流しが抑制され、必要最低限の用水で済み、また、環境に対する農薬等の垂れ流しを阻止することができ、環境保全に大きく貢献することができるようになっている。
【0004】
【特許文献1】特許3082813号公報
【特許文献2】特開2005-46128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これら従来の自動給水装置には、次のような技術的課題があった。前者の場合には、装置を稼動させるためのエネルギー源である有効水頭が、最低50〜150cmAq.必要であり、これ以下の有効水頭となる用水地域では、好適には使用されない場合もあった。
後者の場合には、フラップ板に設けられたフラップタンクに、有効水頭によって水を流入或いは排出させてフラップタンクの重量の変化によって弁となるフラップ板を開閉させる仕組みであるから、装置を稼動させるための有効水頭は、極めて低くても稼動させることができる。その有効水頭の範囲は、最低5cmAq.からでも作動するが、逆に有効水頭がある程度高くなると、フラップタンクの重量を増やす必要が生じるので、タンクが大型化してしまい、実用性に乏しくなるという課題があった。例えば、有効水頭が350cmAq.を超えると、フラップタンクの大きさは、直径20cm長さ88cm以上になってしまい、水田での農作業に支障が出てくるほどの大きさとなる。
【0006】
さらにまた、現状の水田は生産効率を上げるために、また、人員不足の問題から、省力化するために、小規模の水田をできるだけ流動化させ、大規模圃場へと基盤整備する傾向があり、そのために、生産基盤となる地域では、水田はできるだけブロック化、団地化される傾向がある。そのため、用排水は分離され、用水は1ブロックをカバーするために、最低有効水頭20cmAq.程度から、350cmAq.程度までの範囲に及ぶ場合が多い。すなわち、上記した二つの自動給水装置のカバーする有効水頭範囲の及ばない範囲をカバーする自動給水装置が求められている。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、自動給水装置を作動させる最低有効水頭が、概ね20cmAq.程度から、350cmAq.程度の有効水頭まで広範囲にわたり作動させることのできる自動給水装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の自動給水装置の構成を図に基づいて説明すると、図1において、一方の開口が用水の供給源である水路101に連通された導水管102と、導水管102の他方の開口に設けられた弁本体103と、任意の支点113aを枢軸に上下動し、弁本体103の弁座部104に圧接離間する弁体108と、弁体108を中心にして支点113aと対向して設けられた少なくとも一つのアーム111の端部及び/又は弁体108に設けられたエアー抜き116を有する少なくとも一つのタンク112と、弁体108の反対側に弁体108と連動するバランスアーム109が弁体108に延設され、かつ、バランスアーム109に一体的に設けられたカウンターウエイト110と、弁本体103内とタンク112内とを連通する流入管118と、タンク112内と水位センサ121とを連通する排水管120とを有し、タンク112の満水時の重心が、支点113aを中心としてカウンターウエイト110と対峙する位置にあることを第一の特徴とする。
【0008】
また、支点113aが、弁本体103の一部又は外部の位置に設けられたことを第二の特徴とする。また、アーム111が、伸縮可能に設けられたことを第三の特徴とする。また、タンク112が、アーム111の端部及び/または中間の位置に配置されたことを第四の特徴とする。
【0009】
また、支点113a、弁体108及びタンク112が、以下の関係を満たす位置に配置されていることを第五の特徴とする。
自動給水装置の給水時(弁開時):(A1×Gp+D1×Gc)>B×Ge
自動給水装置の断水時(弁閉時):(A1×Gp+D1×Gc)<C×Gf
但し、
A1は、支点113aから、弁体108の有効断面積に作用する弁本体103からの水圧力の中心までの距離。
B1は、支点113aから、右側のバランスアーム109、弁体108、アーム111、空タンク112、流入管118及び排出管120の総重量の重心の位置までの距離。
C1は、支点113aから、右側のバランスアーム109、弁体108、アーム111、満水時のタンク112、流入管118及び排出管120の総重量の重心の位置までの距離。
D1は、支点113aから、左側のバランスアーム109及びカウンターウエイト110の総重量の重心の位置までの距離。
Gpは、弁体108の有効断面積に作用する弁本体103からの水圧力
Gcは、支点113aから左側の、バランスアーム109及びカウンターウエイト110の総重量
Geは、支点113aから右側の、バランスアーム109、弁体108、アーム111、空タンク112、流入管118及び排出管120の総重量。
【0010】
また、前記流入管の口径が、前記排出管の口径以下であることを第六の特徴とする。さらに、支点113aが弁本体103の上端の鍔部105に設けられ、アーム111が、支点113aと弁体108の略中心とを結ぶ直線の延長上に位置する弁体108から延設され、アーム111の端部にタンク112が固定され、支点113aの反対側に弁体108と連動するバランスアーム109が弁体108に延設され、かつ、バランスアーム109にカウンターウエイト110が一体的に設けられていることを第七の特徴とする。
【0011】
本発明において、水路101は、開水路を例としてあげているが、特に限定されるものではなく、用水に供せられるものであれば何れでもよく、開水路でも管水路でも構わない。
【0012】
導水管102は、弁本体103に流体を供給するものであって、水路101の下面から連通させる必要はなく、水路101の側面から連通させても良い。この場合、導水管102を弁本体103に一体的に設けても良い。
【0013】
弁本体103と導水管102の接続手段は、フランジ式でも、ねじ込み式でも、接着式でも良く、特に限定されない。また、前記したとおり、導水管102を弁本体103に一体的に設ける場合には、接続手段は不要である。
【0014】
弁体108は、任意の支点113aを枢軸に上下動し、弁本体103の弁座部104に圧接離間できるように設けられれば良く、支点113aは、弁本体103の外部に固定された支柱等に設けても良いし、或いは、弁本体103に直接設けても良い。
【0015】
また、弁体108及び/又は弁体108を中心にして支点113aと対向する位置に設けられたアーム111の端部には、エアー抜き116を有するタンク112が設けられるが、タンク112は、弁体108の上部又は側面などに一体的に設けても良いし、アーム111の端部に一体的に設けても良い。また、タンクの個数は、一つに限定されるものではなく、弁体108及び/又はアーム111の端部又は中間に複数個設けても良い。
【0016】
また、アーム111は、装置の設置状況によっては必ずしも設けなくても良い。例えば、有効水頭が極めて低いときには、A×Gp>B×Geとなるよう設計するためには、Bを最小となる位置にまでタンク112を移動することが好ましい。その手段として、タンク112を弁体108の上部に一体的に設けても良いし、弁体108の周囲に一個又は複数個設けても良い。
【0017】
また、アームの取り付けは、水平でも良いし、垂直方向に角度を付けて設けても良い。例えば、弁本体103が水平方向に取り付けられる場合には、アーム111は、弁体108を中心にして支点113aと対向する位置の弁体108上に90度或いは、それ以上の角度を付けて設けても良い。また、複数個のアーム111を設ける場合には、弁体108の側面に沿ってタンク同士が干渉し合わないように設けるのが良い。要するに、アーム111の取り付け角度はとくに限定されるものではなく、装置の作動に支障がなければ何度にしても良い。
【0018】
ここで、タンク112は、その満水時の重心が支点113aよりも弁体108側になるように配置することが必要である。なぜならば、タンクの重心が、支点113aを中心に弁体108の反対側に来てしまうと、自動給水装置は開状態のままになり、閉状態にすることが不能になるからである。
【0019】
水位センサ121は、水位の上下に連動して動くフロート128の浮力又は重力によって、弁本体103内部及びタンク112内部の水を流入管118及び排出管120を通して、水位センサ外部に放出又は止水できるものであれば何れでも良く、市販のボールタップなども好適に使用することができるが、水田等のゴミが浮遊する場所においては、ゴミの噛み込みを防止するため、目標水位に達すれば、直ちに全開又は全閉にできるように工夫された水位センサを使用するのがさらに好ましい。
【0020】
タンク112は、流入管118及び排出管120を通じて、弁本体103内の水を流入又は排出させ、その重量の変化に応じて、弁体108を弁座部104に圧接離間させられるものであれば何れでも良く、特に円筒状、ボックス型などの形状に限定されるものではない。エアー抜き116は、タンク112内に、水を流入又は排出させる際にタンク内の空気を外部に排出又は外部の空気をタンク112内に吸入させる構造のものであれば何れでも良く、その形式は、特に限定されない。例えば、単純な管形式のものでも良く、或いは、有効出頭が大きい場合には、エアー抜き116から大量の水が排出され続けるので、これを防ぐために、空気弁(吸排気機能を持つ形式のもの)を設けても良い。
【0021】
流入管118は、一端を弁本体103に連通すると共に、他端がタンク112に連通されるものであり、タンク112が複数個設けられる場合には、途中でマニホールドに接続するなどして分岐し、それぞれのタンク112に連通させても良い。或いは、弁本体103の連通部106を必要個数だけ設けて、これらの連通部106と複数のタンク112とを流入管118と連通しても良い。いずれにしても、自動給水装置の作動を妨げることなく、また、装置として複雑にならない限りは、どちらの手段を用いても構わない。流入管118の材質としては、軟質PVC、PE、ウレタンなどのチューブ又はホースが好適に用いられるが、特にこれらの材質に限定されるものではなく、制御対象となる流体の種類によって耐薬品性、耐水性等があり、且つ、可とう性を有するものであれば、何れで良い。
【0022】
排出管120は、一端をタンク112に連通し、他端が水位センサ121の排出弁122に連通されている。タンク112が複数個ある場合には、それぞれの排出管120を途中でマニホールドに繋ぐなどして取りまとめ、マニホールドから排出弁122に連通しても良い。また、それぞれの排出管を直接排出弁122に繋ぐ方法も考えられるが、水位センサ121の作動に支障が出ないように、また、あまり複雑な構成にならないよう配慮する必要がある。排出管120の材質としては、軟質PVC、PE、ウレタンなどのチューブ又はホースが好適に用いられるが、特にこれらの材質に限定されるものではなく、制御対象となる流体の種類によって耐薬品性、耐水性等があり、且つ、可とう性を有するものであれば何れでも良い。
【0023】
また、流入管128の内径が排出管120の内径以下となるように構成することで、流入管118を通じてタンク112に流入する水よりもタンク112から排出管120を通じて排出される水の流速が速くなるため、水位センサ121が下限の水位設定値を感知した際に、自動給水装置が開となる動作が速くなり、迅速な給水を要する、例えば水田への給水などには好適に用いることができる。
【0024】
水位センサ121は、制御対象となる流体の水位を検知して排出管120からの流水を排出弁122から排出又は閉止させるよう構成されている。水位検出手段としては、フロートの上下動を感知して排出弁122を開閉させるものであれば何れでも良く、特に限定されない。但し、制御対象となる水がゴミを多く含む場合には、市販のボールタップのように、排出弁122が水位の昇降に伴って漸次的に開閉するタイプのものは、ゴミが弁部を閉塞するおそれがあるので不適である。このような場合には、水位が設定値に達すれば排出弁122の弁部を瞬間的に開閉するように構成されたものが好ましい。
【0025】
本発明における各構成部材は、硬質PVC、PP、PE、ABSなどの樹脂が好適に使用されるが、特にこれらの樹脂材料に限定されるものではなく、金属材料を用いても構わない。
【発明の効果】
【0026】
以上説明した構成からなる本発明の自動給水装置は、以下のような格別の効果を奏する。
(1)弁体が、梃の原理によって、A×Gp及びD×Gcの作用と、これに反作用するB×Ge及びC×Gfの力の関係の変化によって開閉を繰り返すものであるから、Gpの値に応じて、A、B、C、Ge、Gfを適切に設定することで、弁本体内の水の有効水頭が、極めて低い場合から、極めて高い場合まで、幅広い範囲で確実な制御が可能となると同時に、上記した梃の原理によって、タンクを小さく設計できるので、装置としてコンパクトになる。
(2)弁体の枢軸(支点)を弁本体とは別途独立して設けることができるので、既設の手動弁の弁座部を利用して、自動給水装置に改造することが可能である。そのため、低コストにて、また、容易に既存設備を自動給水装置として利用できる。
(3)設計有効水頭よりも現場における有効水頭が高かった場合、或いは、低かった場合でも、アームを適宜伸縮させることで、B×Ge及びC×Gfを有効水頭の大きさに応じて調整することができるので、非常に便利で且つ実用的である。
(4)タンクは、弁体及び/又は前記アームの端部に、又は、該アームの中間の位置に設けることができるので、現場における有効水頭が設計有効水頭よりも大幅に高かった場合には、タンクをB及びCが最長となる位置にセットすればよいし、それでも足りなければ別のタンクをアームの任意の位置に付け加えることでGe及びGfをさらに大きく取ることができる。
(5)現場における有効水頭が、設計値よりも大幅に低かった場合には、タンクをアームの中間の位置にずらして設置すればB及びCを小さくすることができる。それでも有効水頭が低い場合には、アームのタンクを取り外し、弁体に直接タンクを取り付けることで、さらに低い有効水頭でも確実に自動給水装置を稼動させることができる。
(6)流入管の内径を、排出管の内径以下となるよう構成することで、流入管を通じてタンクに流入する水の流速に比較して、タンクから排出管を通じて排出される水の流速が上がるため、水位センサが下限の水位設定値を感知した際に、自動給水装置が開となる動作が速くなり、迅速なる給水を要する、例えば水田への給水に好適に用いることができる。
(7)アームを、支点と弁体の中心とを結ぶ直線の延長上に位置する弁体の端部から一体的に延設し、該アームの端部にタンクが固定されるように構成すると、余分なスペースを取らずに自動給水装置としてコンパクトに構成できると共に、低い有効水頭から高い有効水頭まで、大幅な範囲にわたって制御が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されないことは言うまでもない。
【0028】
図1は、本発明に係る第一実施例の自動給水装置の閉状態を示す縦断面図ある。図2は、図1のa−a線に沿う横断面拡大図である。
【実施例1】
【0029】
図1において、101は、用水の供給源である開水路型の流路である。102は、一方の開口が開水路101に、他方の開口が弁本体103に連通されている導水管であり、開水路101の用水を弁本体103に送る作用をする。尚、導水管102の弁本体103との接続部には、雄ネジが切ってある。103は弁本体であり、弁本体103の下方部には雌ネジが切ってあり、導水管102の雄ネジと螺着されている。
【0030】
また、弁本体103の下方側面には、後記流入管118と連通させるための連通部106が設けられている。一方、弁本体103の上部には、弁座部104及び弁座部の周囲に鍔部105が延設されている。また、鍔部105には、弁体108の支点となる支持部107が一体的に設けられている。
【0031】
108は弁体であり、弁体108の側面一端にバランスアーム109が延設され、その末端にはカウンターウエイト110が一体的に設けられると共に、カウンターウエイト110に対向する他端にはアーム111が設けられ、その末端にはタンク112が一体的に設けられている。ここで、カウンターウエイト110は、内部に金属球(図示せず)を有し、その表面を樹脂で被覆された金属インサート形状となっており、その重量は、金属球の容量によって調節されるが、もちろん、このような方法に限定されること無く、カウンターウエイトの重量が調節できれば、どのような手段を用いてもかまわない。カウンターウエイト110の重量の調節に当たっては、後記D1×GcとB1×Geとを均衡するように調節するのが望ましいが、特にこれに限定されること無く、設計によっては、D1×Gc<B1×Geとなるよう設定しても良い。
【0032】
また、一対の支持部107にはバランスアーム109が支軸113を枢軸として回動自在に設けられている。詳細には、図2において、一対の支持部107の間にバランスアーム109が挿入して設けられ、支持部107及びバランスアーム109にそれぞれ設けられた貫通孔114及び115に支軸113が挿入されて回動自在に装着されている。また、図1において、113aは支点の位置を示しており、支軸113と支持部107との接触点である。
【0033】
タンク112の上部にはエアー抜き116が設けられていて、タンク112内の水を排出させるときは、外部からタンク112へ空気を吸入し、逆に、タンク112へ流体を流入させる際には、タンク112内の空気が外部に排出される。また、タンク112の底部には連通部117及び119が設けられ、それぞれ、流入管118及び排出管120と連通している。ここで、本実施例において、タンク112は、アーム111の端部に設けられているが、弁本体103内の有効水頭が極めて低い場合、例えば、20cmAq.以下の場合、タンク112はアーム111の端部ではなく、弁体108の上部又は側面に設けても良い。このように構成することによって、極めて小さな有効水頭であっても確実に本自動給水装置を開閉させることができる。
【0034】
また、逆に、弁本体103内の有効水頭が極めて大きい場合には、複数のタンク112を弁体108の上部又は側面に設けても良い。これにより、自動給水装置の閉時の弁体108を弁座104に圧接する力が増し、確実に自動給水装置を閉にすることができる。
【0035】
118は、流入管であり、その一端は弁本体103の連通部106を介して弁本体103内部と連通し、他端はタンク112の連通部117を介してタンク112内と連通している。120は排出管であり、その一端はタンク112の連通部119を介してタンク112内と連通し、他端は水位センサ121の排出弁122に連通している。ここで、流入管118の内径は、排出管120の内径以下となるよう構成されている。
【0036】
121は、水位センサであり、排出弁122、支柱123、小アーム125、ストッパー127及びフロート128から構成され、グランドに立設した支柱123に固定されている。排出弁122は、支柱123に一体的に設けられており、小アーム125の上下動に伴って、内部の弁体124が上下動するように連結棒124aが小アーム125の先端に固定されており、小アーム125の上下動に従って、内部の水を排出口122aから外部に排出したり、水の外部への排出を閉止したりする。また、支柱123には、小アーム125がピン126を介して回動自在に装着されており、支柱123の上部には、引っ張りばね129がピン130及び131を介して伸縮自在に装着されている。
【0037】
ストッパー127は、小アーム125に一体的に設けられていて、その上端と下端に円形状の上部ストッパー127a及び下部ストッパー127bを有し、これら両ストッパーをつなぐシャフト127cにはフロート128が遊嵌されている。フロート128は、その内部を上下に貫通する貫通孔128aを有する円環状である。フロート128は、比重0.9の発泡ポリプロピレンで製造されており、水に浮かぶよう調整されている。
【0038】
水位センサ121をこのように構成することで、小アーム125に特定の負荷がかかった場合のみ、直ちに、小アーム125を、下方或いは上方に回動させることができる。すなわち、フロート128が上部ストッパー127a或いは下部ストッパー127bに接触し、浮力又は荷重がかかると、浮力又は荷重が小アーム125に伝わるが、引っ張りばね129には一定の負荷がかかっているので、その負荷を超えるまで、小アーム125は回動しない。しかし、引っ張りばね129にかかっている負荷を超える浮力又は荷重がかかると、引っ張りばね129は、直ちに小アーム125を回動させる。すなわち、小アーム125に連動する排出弁122の排出口122aを直ちに開又は閉にする。水の中にゴミなどの異物を多く含む場合には、水位センサをこのように構成させることで、排出弁122を瞬時に開閉させることができ、弁の目詰まりを防ぐことができる。
【0039】
尚、図2中の
A1は、支点113aから、弁体108の有効断面積に作用する弁本体103からの水圧力の中心までの距離。
B1は、支点113aから、右側のバランスアーム109、弁体108、アーム111、空タンク112、流入管118及び排出管120の総重量の重心の位置までの距離。
C1は、支点113aから、右側のバランスアーム109、弁体108、アーム111、満水時のタンク112、流入管118及び排出管120の総重量の重心の位置までの距離。
D1は、支点113aから、左側のバランスアーム109及びカウンターウエイト110の総重量の重心の位置までの距離。
Gpは、弁体108の有効断面積に作用する弁本体103からの水圧力Gcは、支点113aから左側の、バランスアーム109及びカウンターウエイト110の総重量
Geは、支点113aから右側の、バランスアーム109、弁体108、アーム111、空タンク112、流入管118及び排出管120の総重量。
Gfは、支点113aから右側の、バランスアーム109、弁体108、アーム111、満水時のタンク112、流入管118及び排出管120の総重量。
但し、本実施例に置いては、タンク112の上下動に伴って、流入管118、排出管120が上下するが、このとき流入管118及び排出管120の水没している部分は、浮力を受けるためにその分を差し引いた重量が総重量に加えられる。
次に、本実施例の作動について説明する。
【0040】
図1は、自動給水装置が閉の状態を示している。この状態から、制御対象である流体の水位が減少し、水位センサ121が下限を感知すると、すなわち、フロート128が下降し、下部ストッパー127bに当接してフロート128の重量が十分にかかると、引っ張りばね129は直ちに小アーム125を時計回りに回動させるので、これに連動する弁体124は上方に引き上げられ、排出口122aを開の状態にする。すると、今まで密閉状態であった流入管118、タンク112及び排出管120は、排出口122aから圧力が逃げるので、弁本体103の内部の水は、連通部106、流入管118、連通部117、タンク112、排出管120及び排出弁122の排出口122aを通って外部に排出され始める。これに連動して、満水状態にあったタンク112内の水も、エアー抜き116から外部の空気を吸入しながら、連通部119、排出管120及び排出弁122の排出口122aを通って外部に排出され始める。
【0041】
やがて、タンク112内の水が抜けてしまうと、弁体108を弁座104に圧接させていた力=C1×Gfは、B1×Geとなる。ここで、力=B1×Geは、前記したごとくD1×Gcと同じになるように調整されているので、弁体108を弁座104から離間させようとする力=A1×Gp及びD1×Gcの和よりも小となる。すなわち、力の作用関係は、(A1×Gp+D1×Gc)>B1×Geとなるので、弁体108は、支点113aを枢軸に弁座104から離間する方向に回動させられる。すなわち、弁本体103の水は外部へと流出し、自動給水装置は開となる。
【0042】
ここで、流入管118の内径は、排出管120の内径以下となるように構成されているので、弁本体103内の有効水頭が比較的高い場合にも、タンク112に流入する水の流量よりもタンク112から排出される流量のほうが大きくなるため、タンク112内の水は迅速に排出される。すなわち、本実施例の自動給水装置を迅速に開の状態に移行させることができる。
【0043】
次に、この状態から、制御対象となる水田の水位が上昇し、水位センサ121が上限を感知すると、すなわち、フロート128が上昇し上部ストッパー127aに当接し、十分な浮力がかかるようになると、引っ張りばね129は、直ちに小アーム125を反時計回りに回動させ、これに連動する弁体124は下方に移動し、排出口122aを閉塞する。すると、流入管118、タンク112、排出管120、排出口122aと流れていた弁本体103内の水は、逃げ場を失い、やがて、流入管118を通って、タンク112へと流入し始める。このとき、エアー抜き116は、タンク112内部の空気を外部に排出し、流体が円滑にタンク112内に流入するのを補助する。やがて、タンク112内が満水状態になると、弁体108を弁座104に圧接しようとする力=B1×Geは、C1×Gfとなり、力の作用関係は、(A1×Gp+D1×Gc)<C1×Gfとなる。すなわち、弁体108を離間させようとする力よりも、弁体108を弁座104に圧接しようとする力のほうが大となるから、弁体108は、支点113aを枢軸に下方に回動させられ弁座104に圧接させられる。すなわち、本自動給水装置は閉の状態となる。
【0044】
このように、本自動給水装置は、センサ121の水位の検知によって、弁体108を圧接離間させるよう作動し、制御対象の水田は、目的の水位に自動的に制御される。
【0045】
[試験例]
ここで、上記実施例にしたがってモデルを製作し、試験を行った結果について説明する。
各部材の材料は、硬質塩化ビニル樹脂を主体にフロートは比重0.9の発泡ポリプロピレンを使用した。
弁本体口径:10cm
A1: 12cm
B1: 20cm
C1: 35cm
D1: 10cm
有効水頭条件: 10cmAq.〜500cmAq.
Gp: min.785g〜max.39,270g
Gc: 1,600g
Ge: 800g
Gf: 14,624g(タンク内径は、一辺24cmの立方体、外形は一辺25cmの立方体)
A1×Gp: min.9,420〜max.471,240gcm
B1×Ge: 16,000gcm
C1×Gf: 511,840gcm
D1×Gc: 16,000g
(A1×Gpmin.+D1×Gc)>B1×Ge
(A1×Gpmax.+D1×Gc)<C1×Gf
【0046】
以上のように各パラメーターを設定したモデルを製作し、自動給水装置の作動試験を行ったところ、有効水頭10cmAq.〜500cmAq.の広範囲にわたって、各水位ごとに±5mmの幅で精度良く自動水位制御を行うことが確認できた。また、タンクは、一辺が25cmの立方体(内寸一辺24cm)であり、コンパクトに設計できた。
【0047】
次に、本発明の第二実施例の自動給水装置について説明する。
図3は、第2実施例の自動給水装置の閉状態を示す要部縦断面図である。第1実施例と異なる部分は、弁本体及び弁体の一部であり、他の構成は全て同じであるから、重複する部分は省略し、要部のみを図示している。
【実施例2】
【0048】
図3において、301は弁本体であり、上方には、弁座部302及びざぐり部(キャビティ)303が設けられ、弁座部302及びざぐり部303の周囲には鍔部304が一体的に設けてある。305は弁体であり、その下方には弾性体306が接着して設けられており、弾性体306は、弁座302に圧接されている。このとき、弾性体306の材質は、NR、EPDM、SBR、CRなどが好適に用いられるが、特にこれらの材質に限定されるものではなく、制御対象の流体に応じて、耐水性、耐薬品性などを十分に考慮して選択される。その他の部分は、第1実施例と同じであるから説明を省略する。
【0049】
次に第二実施例の自動給水装置の作動について説明する。
図2の状態から、水位センサ(図示せず)が下限を感知すれば、弁体305及び弾性体306が支点307を枢軸に上方に回動し、弁座部302から離間され、自動給水装置は閉状態となる。
【0050】
逆に、水位センサ(図示せず)が上限を感知すれば、弁体305及び弾性体306が支点307を枢軸に下方に回動し、弾性体306が弁座部302に密着させられるので、流体圧力の高低に関わらず、常に安定したシール性能を発揮することができる。このように、水位センサの上限下限の感知によって、自動給水装置は開閉を繰り返し、制御対象流体の水位は目標値に制御される。
【0051】
以上のとおり、本実施例では、弁座部302がざぐり部303の下方に設けられ、弁体305に接着された弾性体306が弁座部302に圧接させられるので、シール性能が良く、低圧から高圧まで効果的にシールを行うことができる。また、有効水頭10cmAq.〜500cmAq.まで、広範囲にわたって目標水位の自動制御を行うことができる。
【0052】
次に本発明の第三実施例の自動給水装置について説明する。
図4は第3実施例の自動給水装置の閉状態を示す要部の正面図であり、図5は、図4のa−a線に沿う拡大断面図である。
【実施例3】
【0053】
図4において、第一実施例と異なる点は、支点411が弁本体401外部に設けられた点であり、他の構成は全て同じであるから、要部のみを図示している。
【0054】
図中、401は弁本体であり、402は弁体である。405は棒状の支柱であり、下方は先端が尖った形状をしており、先端から地中に差し込むことで弁本体401とは別途独立して立設されている。また、支柱405の上部には、図5に示すとおり、内部に貫通孔406,407を有する一対の支持部408a及び408bが一体的に設けられており、両支持部408a及び408bの内側には、貫通孔409を有するバランスアーム403が、支軸410を貫通孔406、409及び407に挿入して回動自在に支持されている。411は支点であり、軸410が支持部408a及び408bに接触する点である。
【0055】
尚、図中、
A2は、支点411からGpまでの距離。
B2は、支点411からGeまでの距離。
C2は、支点411からGfまでの距離。
D2は、支点411からGcまでの距離。
Gp、Ge、Gf、Gcは、第1実施例と同じであるから説明を省略する。
【0056】
次に、第3実施例の作用について説明する。
図4の閉止状態から、力の作用関係が(A2×Gp+D2×Gc)>B2×Geの状態になれば、弁体402は、支点411を枢軸に上方に回動させられ、弁本体401内の水は外部に排出される。すなわち、自動給水装置は開状態となる。逆に、この状態から、力の作用関係が、(A2×Gp+D2×Gc)<C2×Gfとなれば、弁体402は、弁座部(図示せず)に圧接され、流体の排出は閉止される。すなわち、自動給水装置は閉状態となる。このような開閉動作を繰り返すことによって、制御対象となる水田の水位は自動的に目標値に制御される。
【0057】
以上のとおり、本実施例では、支点411を弁本体401とは別途独立して設けたので、既設の手動弁の弁座部を利用して、手動弁を自動給水装置に改造することが可能であるなどの効果を奏する。他の効果は、第一実施例に同じであるので説明を省略する。
【0058】
次に本発明の第四実施例の自動給水装置について説明する。
図6は、第四実施例に係る自動給水装置の閉状態を示す要部縦断面図であり、図7は、図6のa−a線に沿う縦断面拡大図である。
【実施例4】
【0059】
図6において、第一実施例と異なる点は、弁体601上部の鞘部603とアーム606であり、他の構成は同じであるから要部のみを図示している。
601は、弁本体であり、図7に示すように、上部に鞘部603が設けられ、内部に矩形状の貫通口603aが形成されている。貫通口603aには、断面がH鋼状のアーム606が横向きに摺動自在に嵌装されている。また、弁体602の左側には、バランスアーム604が一体的に延設されており、その端部にはカウンターウエイト(図示せず)が、一体的に設けられている。605は支点である。また、アーム606の右側の端部には、タンク607が一体的に設けられている。その他の構成は、第一実施例の自動給水装置と同じであるので、図示及び説明を省略する。また、図中、A3、B3、C3、D3、及びGp、Gc、Gfについても第一実施例の自動給水装置と同じであるからこれらの説明も省略する。
【0060】
次に、第四実施例の自動給水装置の作用について説明する。
図7における状態から、力の作用関係が、(A3×Gp+D3×Gc)>B3×Geとなると、弁体602は、支点605を枢軸に上方に回動し、弁本体601内部の流体は外部に排出される。すなわち、自動給水装置は開状態となる。次に、力の作用関係が、(A3×Gp+D3×Gc)<C3×Gfとなると、弁体602は、支点605を枢軸に下方へと回動し、弁座部(図示せず)に圧接され、水の外部への排出は閉止される。すなわち、自動給水装置は閉の状態となる。このように、開閉を自動的に繰り返すことにっよって、制御対象となる水田の水位は自動的に目標値に制御される。
【0061】
ここで、現場において弁本体601内部の有効水頭が、設計値よりも大幅に高くなった場合、自動給水装置が閉の状態における力の作用関係(A3×Gp+D3×Gc)<C3×Gfが、(A3×Gp+D3×Gc)>C3×Gfとなり、弁体602は、支点605を枢軸に上方へ回動させられ、弁本体601内部の水は外部へと漏出し始める。このような場合、タンク607を図中右方向に引き出して前記力の作用関係が(A3×Gp+D3×Gc)<C3×Gfとなるまで、B3及びC3の値を大きくしてやれば、自動給水装置は閉の状態を維持することができる。
【0062】
逆に、現場において弁本体601内部の流体の有効水頭が、設計値よりも大幅に低くなった場合、自動給水装置は開の状態になったにもかかわらず、前記力の作用関係が、(A3×Gp+D3×Gc)≒B3×Geとなり、弁体602を上方に回動させきることができずに、自動給水装置は全開に至らない状態となる。このような場合、タンク607を図中左方向に押し込み、前記力の作用関係が、(A3×Gp+C3×Gc)>B3×Geとなるまで、B3及びC3の値を小さくしてやれば、自動給水装置は全開状態となり、これを維持することができる。
【0063】
このように、現場における有効水頭が、何らかの原因で、設計値よりも大幅に高くなるか、又は、逆に大幅に低くなった場合でも、本実施例の自動給水装置においては、アーム606が左右に自在に移動できるので、正常な開閉動作を維持できるよう現場にて調整することができるなどの効果を奏する。他の効果は、第一実施例と同じであるから説明を省略する。
【0064】
次に本発明の第五実施例の自動給水装置について説明する。
図8は、第五実施例に係る自動給水装置の閉状態を示す要部縦断面図であり、図9は、図8中のa−a線に沿う拡大縦断面図である。
【実施例5】
【0065】
図8において、801は第一実施例と同じく弁本体であり、802は弁座部、803は支点である。804は弁体であり、図中、左手方向には、第一実施例と同様にバランスアーム805及びカウンターウエイト(図示せず)が一体的に設けられている。弁体804の上方には、図9に示すとおり、断面T字状のアーム806が右手方向に一体的に延設されており、アーム806の弁体804との接続位置よりも右手方向に位置する側面部には、複数の透孔807(807a、807b・・・)が、形成されている。
【0066】
808はタンクであり、上部に透孔807に掛着することができるようフック809が設けられており、底部には流入管810及び排出管815が、それぞれマニホールド811及び816を介して、弁本体801及び水位センサ(図示せず)にそれぞれ連通されている。 また、812は第2のタンクであり、タンク808と同様に上部には、透孔807に掛着することができるようフック813が設けられており、底部には、流入管814及び排出管817が、それぞれマニホールド811及び816を介して、弁本体801及び水位センサ(図示せず)にそれぞれ連通されている。尚、図において破線で示されている部分は、タンク812又は808がフック807bにまだ掛着されていない状態を示している。
【0067】
また、図中、
A4は、第一の実施形態同様、支点803からGpまでの距離。
B4は、タンク808のみが透孔807aに掛着された場合のGe1までの距離。
B5は、タンク812のみが透孔807bに掛着された場合のGe2までの距離。
B6は、タンク808及びタンク812の両方がそれぞれ透孔807a及び807bに掛着されたときのGe3までの距離。
C4は、タンク808のみが透孔807aに掛着された場合のGf1までの距離。
C5は、タンク812のみが透孔807bに掛着された場合のGf2までの距離。
C6は、タンク808及びタンク812の両方がそれぞれ透孔807a及び807bに掛着された場合のGf3までの距離。
D4は、第一実施例と同様支点803からGcまでの距離。
また、
Gcは、第一実施形態同様、支点803から左側のバランスアーム805及びカウンターウイト(図示せず)の総重量。
Ge1は、タンク808のみが透孔807aに掛着された場合のGe。
Ge2は、タンク812のみが透孔807bに掛着された場合のGe。
Ge3は、タンク808及びタンク812の両方がそれぞれ透孔807a及び807bに掛着されたときのGe。
Gf1は、タンク808のみが透孔807aに掛着された場合のGf。
Gf2は、タンク812のみが透孔807bに掛着された場合のGf。
Gf3は、タンク808及びタンク812の両方がそれぞれ透孔807a及び807bに掛着された場合のGf。
但し、Ge2<Ge1<Ge3、Gf2<Gf1<Gf3の関係が成り立つ。
【0068】
次に、第五実施例に係る自動給水装置の作用について説明する。
図8において、弁本体801内部の有効水頭が設計値よりも大幅に低くなった場合、第四実施例で説明したように、力の作用関係が(A4×Gp+D4×Gc)≒B4×Ge1となり、弁体804を上方に回動させきることができずに、自動給水装置は完全に開らかない状態となる。このような場合、タンク808をアーム806から外し、図中左手方向の任意の透孔807、例えば、807bに掛着するなどして、前記力の作用関係が(A4×Gp+D4×Gc)>B4×Ge1となるように調整してやれば、自動給水装置は全開状態となり、これを維持することができる。
【0069】
また、逆に図8の状態から、弁本体801内部の有効水頭が設計値よりも大幅に高くなった場合、前記したとおり、自動給水装置が閉状態における力の作用関係(A4×Gp+D4×Gc)<C4×Gf1が、(A4×Gp+D4×Gc)>C4×Gf1となり、弁体804は支点803を枢軸に上方へ回動させられ、弁本体801内部の流体は外部へと漏出し始める。このような場合、もう一つのタンク812を図中破線で示すごとく、アーム807の任意の位置、例えば、透孔807bに掛着してやれば、力の作用関係は(A4×Gp+D4×Gc)<(C5×Gf2+C6×Gf3)となり、弁体804は支点803を枢軸に下方に回動され、弁座部802に圧接される。すなわち、自動給水装置は閉状態となる。
【0070】
このように、現場における有効水頭が、設計値よりも大幅に高い、又は、低い状態が生じても、本発明の自動給水装置においては、タンクの位置を任意の位置に調整するか、又は、タンクを複数個掛着させることで、安定した水位制御を行うことができる。尚、タンクを複数個掛着する形態は、第五実施例に限定されるものでは無く、例えば、図10に示すように、二つのアーム1001及び1002を弁体に一体的に設けることでも実施できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る第一実施例の自動給水装置を示す縦断面図である。
【図2】図1のa−a線に沿う要部拡大縦断面図である。
【図3】本発明に係る第二実施例の自動給水装置を示す要部縦断面図である。
【図4】本発明に係る第三実施例の自動給水装置を示す要部正面図である。
【図5】図4のa−a線に沿う要部拡大縦断面図である。
【図6】本発明に係る第四実施例の自動給水装置を示す要部縦断面図である。
【図7】図6のa−a線に沿う要部拡大縦断面図である。
【図8】本発明に係る第五実施例の自動給水装置を示す要部縦断面図である。
【図9】図8のa−a線に沿う要部拡大縦断面図である。
【図10】第五実施例の他の実施形態を示す要部斜視図である。
【図11】従来の自動給水装置を示す要部拡大縦断面図である。
【図12】従来の自動給水装置を示す要部拡大縦断面図である。
【符号の説明】
【0072】
101・・・水路
102・・・導水管
103・・・弁本体
104・・・弁座部
105・・・鍔部
106・・・連通部
107・・・支持部
108・・・弁体
109・・・バランスアーム
110・・・カウンターウエイト
111・・・アーム
112・・・タンク
113・・・支軸
113a・・支点
114・・・貫通孔
115・・・貫通孔
116・・・エアー抜き
117・・・連通部
118・・・流入管
119・・・連通部
120・・・排出管
121・・・水位センサ
122・・・排出弁
122a・・排出口
123・・・支柱
124・・・弁体
124a・・連結棒
125・・・小アーム
126・・・ピン
127・・・ストッパー
127a・・上部ストッパー
127b・・下部ストッパー
127c・・シャフト
128・・・フロート
128a・・透孔
129・・・引っ張りばね
130・・・ピン
131・・・ピン
301・・・弁本体
302・・・弁座
303・・・ざぐり部(キャビティ)
304・・・鍔部
305・・・弁体
306・・・弾性体
307・・・支持部
401・・・弁本体
402・・・弁体
403・・・バランスアーム
405・・・支柱
406・・・貫通孔
407・・・貫通孔
408a・・支持部
408b・・支持部
409・・・貫通孔
410・・・支軸
411・・・支点
601・・・弁本体
602・・・弁体
603・・・鞘部
603a・・貫通孔
604・・・バランスアーム
605・・・支点
606・・・アーム
607・・・タンク
801・・・弁本体
802・・・弁座部
803・・・支点
804・・・弁体
805・・・バランスアーム
806・・・アーム
807・・・透孔
807a・・透孔
807b・・透孔
808・・・タンク
809・・・フック
810・・・流入管
811・・・マニホールド
812・・・タンク
813・・・フック
814・・・流入管
815・・・排出管
816・・・マニホールド
817・・・排出管
1001・・アーム
1002・・アーム
【出願人】 【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材工業株式会社
【出願日】 平成18年11月27日(2006.11.27)
【代理人】 【識別番号】240000039
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人 衞藤法律特許事務所


【公開番号】 特開2008−131860(P2008−131860A)
【公開日】 平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願番号】 特願2006−318273(P2006−318273)