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【発明の名称】 自動給水装置
【発明者】 【氏名】横山 郁生

【要約】 【課題】自動給水装置を作動させる最低有効水頭が、概ね20cmAq.程度から、350cmAq.程度の有効水頭までの広範囲にわたり作動させることのできる自動給水装置を提供する。

【解決手段】一方の開口が用水が供給される水路101に連通された導水管102と、導水管102の他方の開口に設けられた弁本体103と、任意の支点112aを枢軸に上下動し、弁本体103の弁座部104に圧接離間する弁体108と、弁体108を中心にして支点112aと対向して設けられた少なくともひとつのアーム110と、アーム110に設けられたエアー抜き115を有する少なくともひとつのタンク111と、弁本体103に連通すると共に、途中で分岐されその一端部が水位センサ119に連通され、他端部がタンク111に連通される分水管117a、117b及び117cとを有し、タンク111の満水時の重心を支点112aよりも弁体108側に設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の開口が用水の供給源である水路に連通された導水管と、該導水管の他方の開口に設けられた弁本体と、任意の支点を枢軸に上下動し、該弁本体の弁座部に圧接離間する弁体と、該弁体を中心にして前記支点と対向して設けられた少なくとも1つのアームと、該アームに設けられたエアー抜きを有する少なくとも1つのタンクと、前記弁本体内に連通すると共に途中で分岐され、その一端部が水位センサに連通され、他端部が前記タンクに連通される分水管とを有し、前記タンクの満水時の重心が、前記支点よりも弁体側にあることを特徴とする自動給水装置。
【請求項2】
タンクの反対側に弁体と連動するバランスアームが設けられ、かつ、該バランスアームにカウンターウエイトが一体的に設けられていることを特徴とする請求項1記載の自動給水装置。
【請求項3】
支点が、弁本体の一部又は外部の位置に設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動給水装置。
【請求項4】
アームが、伸縮可能に設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の自動給水装置。
【請求項5】
タンクが、アームの端部及び/または中間の位置に配置されたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自動給水装置。
【請求項6】
支点が弁本体の上端の鍔部に設けられ、アームが支点と弁体の中心とを結ぶ直線の延長上に位置する弁体の端部から延設され、アームの端部にタンクが固定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の自動給水装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の水位制御を自力制御にて行う自動給水装置に関するものであり、さらに詳しくは、用水の供給源である水路に設けられた導水管に接続された弁本体の弁座部における有効水頭(配水管の最小動水圧)が、極めて低い状態から極めて高い状態まで、広範囲にわたって制御可能とする自動給水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動給水装置は、図12に示すような構造のものがあり、有効水頭が、広範囲をカバーするよう設計されていた(例えば、特許文献1参照。)。例えば、口径80ミリの場合であれば、好適には最低有効水頭1.5mAq.から最高有効水頭75mAq.まで、レンジアビリティで50もの範囲で使用され、特に水田用の自動水位制御装置として好適に使用されてきている。
【0003】
また、近年、同じく水田用の自動水位制御装置として、図13に示すような構造を有する(例えば、特許文献2参照。)有効水頭が低い範囲で制御を行える自動給水装置が発明され、特にオープン水路用に好適に使用されている。
前記いずれの装置も水田の自動水位制御装置として優れたものであり、水田の水管理の労力の削減、水不足地域における節水に貢献している。また、環境保護の観点からは、水田に撒かれた農薬等が、従来の掛流し方法による用水方式では、外部に排出され、環境に対する負荷をかけていたものが、これらの自動水位制御装置によって、従来の無駄な水の掛流しが抑制され、必要最低限の用水で済み、また環境に対する農薬等の垂れ流しを阻止することができ、環境保全に大きく貢献することができるようになっている。
【0004】
【特許文献1】特許第3082813号公報
【特許文献2】特開2005−46128号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これら従来の自動給水装置には、次のような技術的課題があった。前者の場合には、装置を稼動させるためのエネルギー源である有効水頭が、最低50〜150cmAq.必要であり、これ以下の有効水頭となる用水地域では、好適には使用されない場合もあった。後者の場合には、フラップ板に設けられたフラップタンクに有効水頭によって水を流入或いは排出させて、フラップタンクの重量の変化によって弁となるフラップ板を開閉させる仕組みであるから、装置を稼動させるための有効水頭は、極めて低くても稼動させることができる。その有効水頭は、最低5cmAq.からでも作動するが、逆に有効水頭がある程度高くなると、フラップタンクの重量を増やす必要性が生じるので、タンクが大型化してしまい、実用性に乏しくなるという課題があった。例えば、有効水頭が350cmAq.を超えると、フラップタンクの大きさは、直径20cm、長さ88cm以上になってしまい、水田での農作業に支障が出るほどの大きさとなる。
【0006】
さらにまた、現状の水田は生産効率を上げるために、また、人員不足の問題から、省力化するために、小規模の水田をできるだけ流動化させ、大規模圃場へと基盤整備する傾向があり、そのため、生産基盤となる地域では、水田はできるだけブロック化、団地化される傾向がある。そのため、用排水は分離され、用水は1ブロックをカバーするために、最低有効水頭20cmAq.程度から最高350cmAq.程度までの範囲に及ぶ場合が多い。すなわち、上記した二つの自動給水装置のカバーする有効水頭範囲の及ばない範囲をカバーする自動給水装置が求められている。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、自動給水装置を作動させる最低有効水頭が、概ね20cmAq.程度から、350cmAq.程度の有効水頭までの広範囲にわたり作動させることのできる自動給水装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の自動給水装置の構成を図1乃至図3に基づいて説明すると、一方の開口が用水が供給される水路101に連通された導水管102と、導水管102の他方の開口に設けられた弁本体103と、任意の支点112aを枢軸に上下動し、弁本体103の弁座部104に圧接離間する弁体108と、弁体108を中心にして支点112aと対向して設けられた少なくともひとつのアーム110と、アーム110に設けられたエアー抜き115を有する少なくともひとつのタンク111と、弁本体103に連通すると共に、途中で分岐されその一端部が水位センサ119に連通され、他端部がタンク111に連通される分水管117a、117b及び117cとを有し、タンク111の満水時の重心が支点112aよりも弁体108側にあることを第一の特徴とする。
【0008】
また、図3において、タンク111の反対側に弁体328と連動するバランスアーム329が設けられ、かつ、バランスアーム329にカウンターウエイト330が一体的に設けられていることを第二の特徴とする。また、支点333aが、弁本体323の一部又は外部の位置に設けられたことを第三の特徴とする。また、アーム331が、伸縮可能に設けられたことを第四の特徴とする。 また、タンク332が、アーム331の端部及び/又は中間の位置に配置されたことを第五の特徴とする。また、支点333aが弁本体323の上端の鍔部325に設けられ、アーム331が支点333aと弁体328の中心とを結ぶ直線の延長上に位置する弁体6の端部から延設され、アーム331の端部にタンク332が固定されていることを第六の特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明した構成からなる本発明の自動給水装置は、以下のような格別の効果を奏する。
(1)弁体が、梃の原理によって、A×Gpの作用とこれに反作用するB×Ge及びC×Gfの力関係の変化によって開閉を繰り返すものであるから、Gpの値に応じてA、B、C、Ge、Gfを適切に設計することで、弁本体内の流体の有効水頭が、極めて低い場合から、極めて高い場合まで、幅広い範囲で確実な制御が可能となると同時に、タンクを小さく設計できるので、装置としてコンパクトになる。
(2)弁体の枢軸(支点)を弁本体とは別途独立して設けることができるので、既設の手動弁の弁座部を利用して、自動給水装置に改造することが可能であるため、低コストにて、また、容易に既存設備を自動給水装置として利用できる。
(3)設計有効水頭よりも現場における有効水頭が高かった場合、或いは、低かった場合でも、アームを適宜伸縮させることで、B×Ge及びC×Gfを有効水頭の大きさに応じて調整することができるので、非常に便利で且つ実用的である。
(4)タンクは、アームの端部及び/又は中間の位置に配置することができるので、現場における有効水頭が、設計有効水頭よりも大幅に高かった場合には、タンクをB及びCが最長となる位置にセットすれば良いし、それでも足りなければ別のタンクをアームの任意の位置に付け加えることでGeおよびGfを大きくすることができる。
(5)現場における有効水頭が、設計値よりも大幅に低かった場合には、タンクをアームの中間の位置等にずらして設置すれば、B及びCを小さくすることができるので、低い有効水頭でも確実に自動給水装置を稼動させることができる。このように、現場における実際の有効水頭の大きさに応じて、極めて小さな有効水頭から極めて大きな有効水頭まで、大幅な範囲にわたって簡単に調整できる。
(6)アームを、支点と弁体の中心とを結ぶ直線の延長上に位置する弁体の端部から一体的に延接し、アームの端部にタンクが固定されるようにすれば、余分なスペースを取らずコンパクトに構成できると共に、低い有効水頭から高い有効水頭まで、大幅な範囲にわたって制御が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されないことは言うまでもない。
【0011】
図1は、本発明に係る第一実施例の自動給水装置の閉状態を示す縦断面図である。図2は、図1のa−a線に沿う横断面拡大図である。
【実施例1】
【0012】
図1において、101は、用水の供給源である開水路型の水路である。本実施例では、水路101は開水路を例として挙げているが、これに限定されるものではなく、用水を供せるものであれば何れでも良く、開水路でも管水路でも構わない。102は、一方の開口が開水路101に、他方の開口が弁本体103に連通されている導水管であり、開水路101の用水を弁本体103に送る作用をする。尚、導水管102は、図示するように水路101の底面から連通させる必要は無く、水路101の側面から連通させても良い。導水管102の弁本体103との接続部には、雄ネジが切ってある。103は、弁本体であり、弁本体103の下端部には雌ネジが切ってあり、導水管102の雄ネジと螺着されている。尚、両者の接続は螺着に限定されず、接着や溶着あるいはフランジ式接続でも構わない。
【0013】
また、弁本体103の下方側面には、後記分水管と連通させるための連通部106が設けられている。一方、弁本体103の上部には、弁座部104及び弁座部104の周囲に鍔部105が延設されている。また、鍔部105には、後記弁体の支点となる支持部107が一体的に設けられている。
【0014】
108は、弁体であり、弁体108の側面一端にバランスアーム109が延設され、バランスアーム109に対向する他端にはアーム110が設けられ、その末端にはタンク111が一体的に設けられている。また、支持体107にはバランスアーム109が支軸112を枢軸として回動自在に設けられている。詳細には、図2において、一対の支持体107の間にバランスアーム109が挿入して設けられ、支持体107及びバランスアーム109にそれぞれ設けられた貫通孔113及び114に支軸112が挿入されて回動自在に装着されている。また、図1において、112aは、支点の位置を示しており、支軸112と支持部107との接触点である。尚、弁体108は任意の支点112aを枢軸に回動自在に上下動し、弁本体103の弁座部104に圧接離間できるように設けられれば良く、支点112aは弁本体103の外部に固定された支柱等に設けても良く、或いは弁本体103に直接設けても良い。
【0015】
111はタンクであり、その上部にはエアー抜き115が設けられていて、タンク111内の水を排出させるときには、外部からタンク111へエアー抜き115より空気が吸引され、逆にタンク111へ水を流入させる際には、タンク111内の空気がエアー抜き115より外部に排出される。また、タンク111の底部には、後記分水管とタンク111内部とを連通させる連通部116が設けられている。尚、タンク111は一個に限定されるものではなく、必要に応じて複数個設けても良い。また、アーム110を弁体108の回りに複数個設け、アーム110にそれぞれ一個又は複数個のタンク111を設けてもよい。但し、アーム110を複数個設ける場合には、タンクの満水時の重心が、支点112aよりも弁体108側に来るよう構成することが必要である。なぜなら、重心が支点112aよりも弁体108とは反対側に来た場合には、自動給水装置は開状態のままになり、閉状態にすることが不能になるからである。
【0016】
タンク111は、分水管117a、117b及び117cを通じて、弁本体103内の水を流入又は流出させ、その重量の変化に応じて、弁体108を弁座部104に圧接離間させられるものであれば何れでもよく、特に円筒状、ボックス型などの形状に限定されるものではない。エアー抜き115は、タンク111内に水を流入排出させる際にタンク内の空気を外部に排出させて水の流入を促進させるか、または、タンク111内の水を分水管117a、117b及び117cを通じて外部に流出させる際に外部の空気をタンク内に流入させる構造のものであれば何れでもよく、その形式は、特に限定されない。例えば、単純な管形式のものでも良く、或いは、有効水頭が大きい場合には、エアー抜き115から大量の水が外部に排出され続けるので、これを防ぐために、空気弁(吸排気機能を持つ形式のもの)を設けても良い。
【0017】
117a、117b及び117cはチーズ118によって三方向に分岐された分水管であり、その主体部117aは連通部106を介して弁本体103内部と連通し、他の分岐部の一端117bは連通部116を介してタンク111内と連通し、残りの一端117cは、後記水位センサの排出弁120に連通している。分水管117a、117b及び117cの材質は、軟質PVC、PE、ウレタンなどのチューブ又はホースが好適に用いられるが、特にこれらの材質に限定されるものではなく、耐水性があって、且つ、可とう性を有するものであれば何れでもよい。また、前記した、途中で分岐される部分は、市販のチーズを用いて分岐させても良いし、また、マニホールドを用いて分岐させても構わない。要は、漏水することなくチューブを分岐させることができるものであれば、何れでも構わない。
【0018】
119は、水位センサであり、排出弁120、小アーム123、ストッパー125及びフロート126で構成され、グランドに立設された支柱121に固定されている。排出弁120は、支柱121に一体的に設けられており、小アーム123の上下の回動に伴って、内部の弁体122が上下動するよう連結棒122aが小アーム123の先端に固定されている。すなわち、小アーム123の上下の回動に従って、内部の水を排出口120aから外部に排出したり、水の外部への排出を閉止したりする。また、支柱121には、小アーム123がピン124を介して回動自在に装着されており、支柱121の上部には、引っ張りばね127がピン128及び129を介して伸縮自在に装着されている。
【0019】
ストッパー125は、小アーム123に一体的に設けられていて、その上端と下端に円形状の上部ストッパー125a及び下部ストッパー125bを有し、両ストッパー125a及び125bを繋ぐシャフト125cには、その内部を上下に貫通する貫通孔126aを有する円環状のフロート126が遊嵌されている。また、フロート126は、比重1未満の発砲ポリプロピレンで製造されており、水に浮かぶよう調整されている。このように構成することで、小アーム123に特定の負荷がかかった場合のみ、直ちに、下方或いは上方に回動させることができる。すなわち、フロート126が上部ストッパー125a或いは下部ストッパー125bに接触し、浮力または荷重がかかると、浮力または荷重が小アーム123に伝わるが、引っ張りばね127には一定の負荷がかかっているので、その負荷を超えるまで、小アーム123は回動しない。しかし、引っ張りばね127にかかっている負荷を超える浮力または荷重がかかると、引っ張りばね127は、直ちに小アーム123を回動させる。すなわち、小アーム123に連動する排出弁120の排出口120aを直ちに開または閉にする。水の中にゴミなどの異物が多い場合には、水位センサをこのように構成させることで、排出弁120を瞬時に開閉させることができ、弁の目詰まりを防ぐことができる。
【0020】
水位センサ119は、水位の上下に連動して動くフロート126の浮力または重量によって、弁本体103内部の流体を分水管117a、117b及び117cを通して、外部に放出または止水できるものであれば、何れでもよく、市販のボールタップなども好適に使用することができるが、水田などに使用する場合には、ゴミの噛み込み等を考慮して、目標水位に達すれば、直ちに全開又は全閉にできるよう工夫された水位センサがさらに好ましい。
【0021】
本実施例では、自動給水装置が確実な作動を行うために、支点112a、弁体108、タンク111が以下の関係を満たす位置に配置されている。
自動給水装置の給水時(弁開時):A1×Gp>B1×Ge
自動給水装置の断水時(弁閉時):A1×Gp<C1×Gf
但し、図1において
A1は、支点112aから、弁体108の有効断面積に作用する弁本体103からの水圧力の中心までの距離
B1は、支点112aから、右側のバランスアーム109、弁体108、アーム110、空タンク111及び分水管117bの総重量の重心の位置までの距離
C1は、支点112aから、右側のバランスアーム109、弁体108、アーム110、満水時タンク111及び分水管117bの総重量の重心までの距離
ここで、本実施例においては、タンク111の上下動に伴って、分水管117bのみが持ち上げられるように構成されているので、分水管117bの重量(水中に没している部分の浮力を差し引いたもの)が総重量に加えられている。
Gpは、弁体108の有効断面積に作用する弁本体103からの水圧力
Geは、支点112aから右側のバランスアーム109、弁体108、アーム110、空タンク111および分水管117bの総重量
Gfは、支点112aから右側のバランスアーム109、弁体108、アーム110、満水時のタンク111及び分水管117bの総重量
【0022】
次に、本実施例の作動について説明する。図1では、本自動給水装置の閉の状態が示されている。今、この状態から、制御対象である水田の水位が下がり、水位センサ119が下限を感知すると、すなわち、フロート126が下降し、下部ストッパー125bに当接してフロート126の重量が十分にかかると、引っ張りばね127は直ちに小アーム123を時計回りに回動させるので、これに連動する弁体108は上方に引き上げられ、排出口120aを開の状態にする。すると、今まで密閉状態であった分水管117a、117b及び117cは、排出口120aから圧力が抜けるので、弁本体103の内部の水は、連通部106、分水管117a、チーズ118、分水管117c、排出口120aを通って外部に排出され始める。これに連動して、満水状態にあったタンク111内の水も、空気抜き115から外部の空気を吸入しながら、連通部116、分水管117b、チーズ118、分水管117c、排出口120aを通って外部に排出され始める。やがて、タンク111内の水が抜けてしまうと、弁体108を弁座104に圧接させていた力=C1×Gfは、B1×Geとなり、弁体108を弁座104から離間させようとする力=A1×Gpよりも小となる。すなわち、力の作用関係は、A1×Gp>B1×Geとなるので、弁体108は、支点112aを枢軸に弁座104から離間する方向に回動させられる。すなわち、弁本体103内の水は、外部へと流出し、本自動給水装置は開となる。
【0023】
一方、この状態から、制御対象となる水田の水位が上昇し、水位センサ119が上限を検知すると、すなわち、フロート126が上昇し上部ストッパー125aに当接し、十分な浮力がかかるようになると、引っ張りばね127は、直ちに小アーム123を反時計回りに回動させ、これに連動する弁体122は下方に移動し、排出口120aを閉塞する。すると、分水管117a、チーズ118、排出口120aと流れていた弁本体103内の水は、逃げ場を失い、やがて、チーズ118から分水管117b、連通部116を通って、タンク111へと流入し始める。この時、エアー抜き115はタンク111内部の空気を外部に排出し、水が円滑にタンク111内に流入するのを補助する。やがて、タンク111内が満水状態になると、弁体108を弁座104に圧接しようとする力=B1×GeはC1×Gfとなり、力の作用関係は、A1×Gp<C1×Gfとなる。すなわち、弁体108を離間させようとする力よりも、弁体108を弁座104に圧接しようとする力の方が大となるから、弁体108は、支点112aを枢軸に下方に回動させられ弁座104に圧接させられる。すなわち、本自動給水装置は閉の状態となる。
【0024】
このように本自動給水装置は、センサ119の水位の検知によって、弁体108を圧接離間させるよう作動し、制御対象の水田は、目的の水位に自動的に制御される。
【0025】
[試験例1]
ここで、上記実施例にしたがってモデルを製作し、試験を行った結果について説明する。
各部材の材料は、硬質塩化ビニル樹脂を主体にフロートは比重0.9の発泡ポリプロピレンを使用した。
弁本体口径:10cm
A1: 12cm
B1: 20cm
C1: 35cm
有効水頭条件: min.20cmAq.〜max.500cmAq.
Gp: 1,571g〜39,270g
Ge: 800g
Gf: 14,624g(タンク内径は、一辺24cmの立方体、外形は一辺25cmの立方体)
A1×Gp: min.18,852〜max.471,240gcm
B1×Ge: 16,000gcm
C1×Gf: 511,840gcm
A1×Gpmin.>B1×Ge
A1×Gpmax.<C1×Gf
【0026】
以上のように各パラメーターを設定したモデルを製作し、自動給水装置の作動試験を行ったところ、有効水頭200cmAq.〜500cmAq.の広範囲に亙って、各水位ごとに±5mmの幅で精度良く自動水位制御を行うことが確認できた。また、タンクは、一辺が25cm(内寸一辺24cm)の立方体であり、コンパクトに設計できた。
【0027】
図3は、本発明に係る第二実施例の自動給水装置の閉状態を示す縦断面図である。図4は、図3のa−a線に沿う横断面拡大図である。
【実施例2】
【0028】
図3において、321は、用水の供給源である開水路型の流路である。322は、一方の開口が開水路321に連通され、他方の開口が弁本体323に連通されている導水管であり、開水路321の用水を弁本体323に送る作用をする。導水管322の弁本体323との接続部には、雄ネジが切ってある。323は、弁本体であり、弁本体323の下方部には雌ネジが切ってあり、導水管322の雄ネジと螺着されている。また、弁本体323の下部側面には、後記分水管と連通させるための連通部326が設けられている。一方、弁本体323の上部には、弁座部324及び弁座部324の周囲に鍔部325が延設されている。また、鍔部325には、後記弁体の支点となる支持部327が一体的に設けられている。
【0029】
328は、弁体であり、弁体328の側面一端にバランスアーム329が延設され、その末端にはカウンターウエイト330が一体的に設けられると共に、カウンターウエイト330に対向する位置には、アーム331とその末端にはタンク332とが一体的に設けられている。ここで、カウンターウエイト330は、内部に金属球(図示せず)を有し、その表面を樹脂で被覆された金属インサート形状となっており、その重量は、金属球の容量によって調節されるが、もちろんこのような方法に限定されることなく、カウンターウエイト330の重量が調節できれば、どのような手段を用いても構わない。カウンターウエイト330の重量の調節に当たっては、後記D1×GcとB1×Geとを均衡するように調節するのが望ましいが、特にこれに限定されるものでなく、設計によっては、D1×Gc<B1×Geとなるように設定してもよい。
【0030】
また、一対の支持部327にはアーム329が支軸333を枢軸として回動自在に設けられている。詳細には、図3において、一対の支持部327の間にバランスアーム329が挿入して設けられ、支持部327及びバランスアーム329にそれぞれ設けられた貫通孔334及び335に支軸333が挿入されて回動自在に装着されている。また、333aは、支点の位置を示しており、支軸333と支持部327との接触点である。
【0031】
タンク332の上部には空気抜き336が設けられていて、タンク332内の水を排出させるときには、外部からタンク332へ空気を吸入し、逆にタンク332へ水を流入させる際には、タンク32内の空気を外部に排出する。また、タンク332の底部には連通部337が、後記分水管とタンク332内部とを連通させるよう設けられている。338a、338b及び338cはチーズ339によって三方向に分岐された分水管であり、その主体部338aは連通部326を介して弁本体323内部と連通し、他の分岐部の一端338bは連通部337を介してタンク332内と連通し、残りの一端338cは、後記水位センサの排出弁341に連通している。
【0032】
340は、水位センサであり、排出弁341、小アーム344、ストッパー346及びフロート347で構成され、グランドに立設した支柱342に固定されている。排出弁341は、支柱342に一体的に設けられており、小アーム344の上下の回動に伴って、内部の弁体343が上下動するよう連結棒343aが小アーム344の先端に固定されており、小アーム344の上下の回動に従って、内部の水を排出口341aから外部に排出したり、該流体の外部への排出を閉止したりする。
【0033】
また、支柱342には、小アーム344がピン345を介して回動自在に装着されており、また、支柱342の上部には、引っ張りばね348がピン349及び350を介して伸縮自在に装着されている。ストッパー346は、小アーム344に一体的に設けられていて、その上端と下端に円形状の上部ストッパー346a及び下部ストッパー346bを有し、両ストッパー346a及び346bを繋ぐシャフト346cには、内部に上下に貫通した貫通孔347aを有する円環状のフロート347が遊嵌されている。また、フロート347は、比重1未満の発砲ポリプロピレンで製造されており、水に浮かぶよう調整されている。
【0034】
このように構成することで、小アーム344に特定の負荷がかかった場合のみ、直ちに、下方或いは上方に回動させることができる。すなわち、フロート347が上部ストッパー346a或いは下部ストッパー346bに接触し、浮力または荷重がかかると、該浮力または荷重が小アーム344に伝わるが、引っ張りばね348には一定の負荷がかかっているので、その負荷を超えるまで、小アーム344は回動しない。しかし、引っ張りばね348にかかっている負荷を超える浮力または荷重がかかると、引っ張りばね348は、直ちに小アーム344を回動させる。すなわち、小アーム344に連動する排出弁341の排出口341aを直ちに開または閉にする。水の中にゴミなどの異物が多い場合には、水位センサをこのように構成させることで、排出弁を瞬時に開閉させることができ、弁の目詰まりを防ぐことができる。
【0035】
本実施例では、第一実施例と同様に、自動給水装置が確実な作動を行うために、支点333a、弁体328、タンク332、カウンターウエイト330が以下の関係を満たす位置に配置されている。
自動給水装置の給水時(弁開時):(A2×Gp+D2×Gc)>B2×Ge
自動給水装置の断水時(弁閉時):(A2×Gp+D2×Gc)<C2×Gf
但し、図3において
A2は、支点333aから、弁体328の有効断面積に作用する弁本体323からの水圧力の中心までの距離
B2は、支点333aから、右側のバランスアーム339、弁体328、アーム331、空タンク332及び分水管338bの総重量の重心の位置までの距離
C2は、支点33aから、右側のバランスアーム329、弁体328、アーム331、満水時タンク332及び分水管338bの総重量の重心までの距離
D2は、支点333aから、左側のバランスアーム329及びカウンターウエイト330の総重量の重心の位置までの距離
ここで、本実施形態においては、タンク332の上下動に伴って、分水管338bのみが持ち上げられるように構成されているので、分水管338bの重量(流体に没している部分の浮力を差し引いたもの)が総重量に加えられている。
Gpは、弁体328の有効断面積に作用する弁本体323からの水圧力
Gcは、支点333aから左側のアーム329およびカウンターウエイト330の総重量
Geは、支点333aから右側のバランスアーム329、弁体328、アーム331、空タンク332および分水管338bの総重量
Gfは、支点333aから右側のバランスアーム329、弁体328、アーム331、満水時のタンク332及び分水管338bの総重量
【0036】
次に、本実施例の作動について説明する。図3は、本自動給水装置の閉の状態が示されている。今、この状態から、制御対象である流体の水位が減少し、水位センサ340が下限を感知すると、すなわち、フロート347が下降し、下部ストッパー346bに当接してフロート347の重量が十分にかかると、引っ張りばね348は直ちに小アーム344を時計回りに回動させるので、これに連動する弁体343は上方に引き上げられ、排出口341を開の状態にする。すると、今まで密閉状態であった分水管338a、338b及び338cは、排出口341aから圧力が抜けるので、弁本体323の内部の水は、連通部326、分水管338a、チーズ339、分水管338c、排出口341aを通って外部に排出され始める。
【0037】
これに連動して、満水状態にあったタンク332内の水も、空気抜き336から外部の空気を吸入しながら、連通部337、分水管338b、チーズ339、分水管338c、排出口341aを通って外部に排出され始める。やがて、タンク332内の水が抜けてしまうと、弁体328を弁座324に圧接させていた力=C2×Gfは、B2×Geとなる。ここで、該力=B2×Geは、前記したごとく、D2×Gcと同じになるよう調整されているから、弁体328を弁座324から離間させようとする力=A2×GpおよびD2×Gcの和よりも小となる。すなわち、力の作用関係は、(A2×Gp+D2×Gc)>B2×Geとなるので、弁体328は、支点333aを枢軸に弁座25から離間する方向に回動させられる。すなわち、弁本体323内の水は、外部へと流出し、本自動給水装置は開となる。
【0038】
次に、この状態から、制御対象となる水田の水位が上昇し、水位センサ340が上限を検知すると、すなわち、フロート347が上昇し上部ストッパー346aに当接し、十分な浮力がかかるようになると、引っ張りばね348は、直ちに小アーム344を反時計回りに回動させ、これに連動する弁体343は下方に移動し、排出口341aを閉塞する。すると、分水管338a、チーズ339、排出口341aと流れていた弁本体323内の水は、逃げ場を失い、やがて、チーズ339から分水管338b、連通部337を通って、タンク332へと流入し始める。この時、エアー抜き336はタンク332内部の空気を外部に排出し、水が円滑にタンク332内に流入するのを補助する。やがて、タンク332内が水で満水状態になると、弁体328を弁座324に圧接しようとする力=B2×GeはC2×Gfとなり、前記した力の作用関係は、(A2×Gp+D2×Gc
)<C2×Gfとなる。すなわち、弁体328を離間させようとする力よりも、弁体328を弁座324に圧接しようとする力の方が大となるから、弁体328は、支点333aを枢軸に下方に回動させられ弁座324に圧接させられる。すなわち、本自動給水装置は閉の状態となる。
【0039】
このように、センサ340の水位の検知によって、本自動給水装置は、弁体328を圧接離間させるよう作動し、制御対象の水は、目的の水位に自動的に制御される。
【0040】
[試験例2]
ここで、上記実施例にしたがってモデルを製作し、試験を行った結果について説明する。
各部材の材料は、硬質塩化ビニル樹脂を主体にフロートは比重0.9の発泡ポリプロピレンを使用した。
弁本体口径:10cm
A2: 12cm
B2: 20cm
C2: 35cm
D2: 10cm
有効水頭条件:min.10cmAq.〜max.500cmAq.
Gp: 785g〜39,270g
Gc: 1,600g
Ge: 800g
Gf: 14,624g(タンク内径は、一辺24cmの立方体、外形は一辺25cmの立方体)
A2×Gp: 9,420〜471,240gcm
B2×Ge: 16,000gcm
C2×Gf: 511,840gcm
D2×Gc: 16,000gcm
(A2×Gpmin.+D2×Gc)>B2×Ge
(A2×Gpmax.+D2×Gc)<C2×Gf
【0041】
以上のように各パラメーターを設定したモデルを製作し作動試験を行ったところ、有効水頭10cmAq.〜500cmAq.の広範囲に亙って、各水位ごとに±5mmの幅で精度よく自動水位制御を行うことが確認できた。また、タンクは、一辺が25cm(内寸一辺24cm)の立方体であり、コンパクトに設計できた。
【0042】
次に、本発明の第三実施例の自動給水装置について説明する。
図5は、本発明に係る第三実施例の自動給水装置の閉状態を示す要部縦断面図である。第一実施例及び第二実施例と異なる部分は、弁本体および弁体の一部であり、他の構成は全て同様であるから、重複する部分は省略し、要部のみを図示している。
【実施例3】
【0043】
図5において、501は、弁本体であり、その上部には、弁座部502及びざぐり(キャビティ)部503が設けられ、弁座部502及びざぐり部503の周囲には鍔部504が一体的に設けてある。505は弁体であり、その下面には、弾性体506が接着して設けられており、弾性体506は、弁座部502に圧接されている。弾性体506の材質は、NR、EPDM、SBR、CRなどが好適に使用されるが、特にこれらの材質に限定されるものではなく、制御対象の水に応じて、耐水性、耐薬品性などを十分に考慮して選択される。
【0044】
次に、第三実施例の自動給水装置の作動について説明する。この状態から、水位センサ(図示せず)が下限を検知すれば、弁体505及び弾性体506が支点507を枢軸に上方に回動し、弁座部502から離間され、本自動給水装置は開状態となる。逆に、水位センサが上限を検知すれば、該弁体505及び弾性体506が支点507を枢軸に下方に回動し、弾性体506が弁座部502に圧接され、本自動給水装置は閉状態となる。この時、弾性体506は弁座部502に密着させられるので、流体の圧力が低くても、また、高くても、常に安定したシール性能を発揮することができる。このように水位センサの検知によって、本自動給水装置は開閉を繰り返し、制御対象水の水位は、目標値に制御される。
【0045】
以上のとおり、本実施例では、弁座部502がざぐり部503の下方に設けられ、弁体505に接着された弾性体506が弁座部502に圧接させられるので、シール性能が良く、低圧から高圧まで、効果的にシールを行うことができる。また、有効水頭10cmAq.〜500cmAq.まで広範囲にわたって目標水位の自動制御を行うことができる。
【0046】
次に、本発明の第四の実施形態の自動給水装置について説明する。
図6は本発明に係る第四実施例の自動給水装置の閉状態を示す要部の正面図であり、図7は、図6のa-a線に沿う横断面の拡大図である。
【実施例4】
【0047】
図6において、第二実施例と異なる点は、支点が弁本体外部に設けられた点であり、他の構成は同じである。
651は弁本体であり、652は弁体である。655は棒状の支柱であり、下方は先端が尖った形状をしており、先端を地中深く差し込むことで弁本体651とは別途独立して立設されている。また、支柱655の上部は、図7に示すとおり、内部に貫通孔656、657を有する一対の支持部658a、658bが一体的に設けられており、両支持部658a、658bの内側には貫通孔659を有するアーム653が、支軸660を貫通孔656、659及び657に挿入して回動自在に支持されている。661は、支点であり支軸660が支持部658a、658bに接触する点である。
尚、図中
A3は、支点661からGpまでの距離
B3は、支点661からGeまでの距離
C3は、支点661からGfまでの距離
D3は、支点661からGcまでの距離
Gp、Gc、Ge、Gfは、第二実施例と同じであるから説明は省略する。
【0048】
次に、第四実施例の自動給水装置の作用について説明する。
図6の閉止状態から、力の作用関係が、(A3×Gp+D3×Gc)>B3×Geの状態になれば、弁体652は、支点661を枢軸に上方に回動させられ、弁本体651内の流体は外部に排出される。すなわち、自動給水装置は開状態となる。逆に、この状態から、力の作用関係が、(A3×Gp+D3×Gc)<C3×Gfとなれば、弁体652は、支点661を枢軸に下方に回動させられ、弁体652は弁座部(図示せず)に圧接され、水の排出は閉止される。すなわち、自動給水装置は閉状態となる。
【0049】
このような開閉動作を繰り返すことによって、制御対象となる水の水位は自動的に目標値に制御される。以上のとおり、本実施例では、支点が弁本体とは別途独立して設けられているので、この方式で、既設の手動弁の弁座部を利用して、手動弁を自動給水装置に改造することが可能である。他の効果は、第二実施例に同じであるから、説明を省略する。
【0050】
次に、本発明の第五実施例の自動給水装置について説明する。
図8は、本発明に係る第五実施例の自動給水装置の閉の状態を示す要部の縦断面図であり、図9は図8のa−a線に沿う縦断面の拡大図である。
【実施例5】
【0051】
図8において、第二実施例と異なる点は、弁体872上部の鞘部873とアーム876であり、他の構成は同じである。871は弁本体であり、形状は第一実施例に同じであるから説明を省略する。872は弁体であり、図9に示すごとく上部に鞘部873が設けられ、内部に断面矩形状の貫通孔873aが形成されている。貫通孔873aには、図9に示すごとく断面がH鋼状のアーム876が横向きに摺動自在に嵌装されている。また、弁体872の左側には、アーム874が一体的に延設されており、その端部にはカウンターウエイト(図示せず)が一体的に設けられている。875は支点であり、また、876はアームであり、鞘部873に摺動自在に嵌装されている。また、アーム876の右端には、タンク877が一体的に設けられている。その他の構成は、第二実施例と同じであるから説明を省略する。また、図中、A4、B4、C4、D4及びGp、Gc、Ge、Gfの関係については、第二実施例の自動給水装置に同じであるから、これらの説明も省略する。
【0052】
次に、第五実施例の自動給水装置の作用について説明する。
図8における状態から、前記力の作用関係が、(A4×Gp+D4×Gc)>B4×Geとなると、弁体872は、支点875を枢軸に上方に回動し、弁体871内部の流体は外に排出される。すなわち、自動給水装置は開状態となる。次に、前記力の作用関係が、(A4×Gp+D4×Gc)<C4×Gfとなると、弁体872は、支点875を枢軸に下方へと回動し、弁座部(図示せず)に圧接され水の外部への排出は閉止される。すなわち、自動給水装置は閉状態となる。このように、開閉を自動的に繰り返すことによって、制御対象となる水の水位は自動的に目標値に制御される。
【0053】
ここで、現場において弁本体871内部の水の有効水頭が、設計値よりも大幅に高くなった場合、自動給水装置が閉の状態における力の作用関係は(A4×Gp+D4×Gc)<C4×Gfが(A4×Gp+D4×Gc)>C4×Gfとなり、弁体872は、支点875を枢軸に上方へ回動させられ、弁本体871内部の水は外部へと漏出し始める。このような場合は、タンク877を図中右方向に引き出すことにより、前記の力の作用関係が(A4×Gp+D4×Gc)<C4×Gfとなるように、B4及びC4の値を大きくしてやれば、自動給水装置は閉の状態を維持することができる。
【0054】
逆に、現場において弁本体871内部の水の有効水頭が、設計値よりも大幅に低くなった場合、自動給水装置は、開の状態になったにもかかわらず、前記力の作用関係が(A4×Gp+D4×Gc)≒B4×Geとなり、弁体872を上方に回動させきることができずに、弁体872は、完全な開の状態にならない。このような場合、タンク877を図中左方向に押し込み、前記の力の作用関係が(A4×Gp+C4×Gc)>B4×Geとなるまで、B4及びC4の値を小さくしてやれば、自動給水装置は全開状態となり、それを維持することができる。
【0055】
このように、現場における有効水頭が、何らかの原因で、設計値よりも大幅に高くなるか、または、逆に大幅に低くなった場合でも、本実施例の自動給水装置においては、アーム876が左右に自在に移動できるため、正常な開閉動作を維持するよう現場において調整することができるという実用的な効果を奏する。他の効果は、第二実施例に同じであるから説明を省略する。
【0056】
次に本発明の第六の実施形態の自動給水装置について説明する。
第10図は、第六の実施形態に係る自動給水装置の閉の状態を示す要部の縦断面図であり、図11は図10中のa−a線に沿う縦断面の拡大図である。
【実施例6】
【0057】
図10において、1091は第一実施形態と同じく弁本体であり、1092は弁座部、1093は支点である。その他の構成は第二の実施形態と同じであるから説明を省略する。1094は弁体であり、図面左手方向には、第二実施例と同様アーム1095、カウンターウエイト(図示せず)が一体的に設けられている。弁体1094の上方には、図11に示すとおり、断面T字状のアーム1096が右手方向に一体的に延設されており、アーム1096の弁体よりも右方向に位置する側面部には、複数の透孔1097が形成されている。1098はタンクであり、上部には透孔1097aに掛着することができるようフック1099が設けられており、底部には分水管1100が連結されてマニホールド1101を介して弁本体1091及び水位センサ(図示せず)に連結されている。また、1102は第二のタンクであり、上部には、透孔1097bに掛着することができるようフック1103が設けられており、底部には分水管1104が連結され、マニホールド1101を介して、弁本体1091および水位センサ(図示せず)に連結されている。尚、図において破線で示されている部分は、タンク1098または1102がフック1097bにまだ掛着されていない状態を示している。
【0058】
さらに、図中、
A5は、第一の実施形態同様支点1093からGpまでの距離
B5は、タンク1098のみが透孔1097aに掛着された場合のGe1までの距離
B6は、タンク1102のみが透孔1097bに掛着された場合のGe2までの距離
B7は、タンク1098およびタンク1102両方がそれぞれ透孔1097a、1097bに掛着されたときのGe3までの距離
C5は、タンク1098のみが透孔1097aに掛着された場合のGf1までの距離
C6は、タンク1102のみが透孔1097bに掛着された場合のGf2までの距離
C7は、タンク1098およびタンク1102両方がそれぞれ透孔1097a、1097bに掛着されたときのGf3までの距離
D5は、第一の実施形態同様支点93からGcまでの距離
Ge1は、タンク1098のみが透孔1097aに掛着された場合のGe。
Ge2は、タンク1102のみが透孔1097bに掛着された場合のGe。
Ge3は、タンク1098及びタンク1102の両方がそれぞれ透孔1097a及び1097bに掛着されたときのGe。
Gf1は、タンク1098のみが透孔1097aに掛着された場合のGf。
Gf2は、タンク1102のみが透孔1097bに掛着された場合のGf。
Gf3は、タンク1098及びタンク1102の両方がそれぞれ透孔1097a及び1102bに掛着された場合のGf。
ただし、Ge2<Ge1<Ge3、 Gf2<Gf1<Gf3の関係が成り立つ。
【0059】
次に、第六実施例の自動給水装置の作用について説明する。
図において、弁体1091内部の有効水頭が設計値よりも大幅に低くなった場合、第五実施例の作用で説明したとおり、力の作用関係が(A5×Gp+D5×Gc)≒B5×Ge1となり、弁体1094を上方に回動させきることができずに、弁本体91が完全に開らかない状態になる。このような場合、タンク1098をアーム1096から外し、図中左手方向の任意の透孔1097、例えば、透孔1097bに掛着するなどして、上記力の作用関係が(A5×Gp+D5×Gc)>B5×Ge1となるように調整してやれば、自動給水装置は全開状態となり、これを維持することができる。
【0060】
また、逆に、図10の状態から、弁本体1091内部の有効水頭が設計値よりも大幅に高くなった場合、前記したとおり、自動給水装置が閉の状態における力の作用関係(A5×Gp+D5×Gc)<C5×Gf1が(A5×Gp+D5×Gc)>C5×Gf1となり 、弁体1094は、支点1093を枢軸に上方へ回動させられ弁本体1091内部の流体は外部へと漏出し始める。このような場合、もうひとつのタンク1102を図中破線で示すごとく、アーム1096の任意の位置、例えば、1097bに掛着させてやれば、力の作用関係は、(A5×Gp+D5×Gc)<(C6×Gf2+C7×Gf3)となり、弁体1094は、支点1093を枢軸に下方に回動され、弁座部1092に圧接される。すなわち、自動給水装置は閉状態となる。
【0061】
このように、現場における該有効水頭が、設計値よりも大幅に高いか又は低い場合が生じても、本発明の自動給水装置においては、タンクの位置を任意の位置に調整するか又はタンクを複数個装着させることで、安定した水位制御を行うことができる。その他の効果は、第二実施例に同じであるから説明を省略する。尚、このようにタンクを複数個装着する形態は、第六実施例に限定されるものでは無く、例えば、図12に示すごとく、二つのアーム1201及び1202を弁体に一体的に設けることでも実施できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る第一実施例の自動給水装置を示す縦断面図である。
【図2】図1のa−a線に沿う要部拡大縦断面図である。
【図3】本発明に係る第二実施例の自動給水装置を示す縦断面図である。
【図4】図3のa−a線に沿う要部拡大縦断面図である。
【図5】本発明に係る第三実施例の自動給水装置を示す縦断面図である。
【図6】本発明に係る第四実施例の自動給水装置を示す要部正面図である。
【図7】図6のa−a線に沿う要部拡大縦断面図である。
【図8】本発明に係る第五実施例の自動給水装置を示す要部縦断面図である。
【図9】図8のa−a線に沿う要部拡大縦断面図である。
【図10】本発明に係る第六実施例の自動給水装置を示す要部縦断面図である。
【図11】図10のa−a線に沿う要部拡大縦断面図である。
【図12】第六実施例の他の実施形態を示す要部斜視図である。
【図13】従来の自動給水装置を示す要部拡大縦断面図である。
【図14】従来の自動給水装置を示す要部拡大縦断面図である。
【符号の説明】
【0063】
101・・・水路
102・・・導水管
103・・・弁本体
104・・・弁座部
105・・・鍔部
106・・・連通部
107・・・支持部
108・・・弁体
109・・・バランスアーム
110・・・アーム
111・・・タンク
112・・・支軸
112a・・支点
113・・・貫通孔
114・・・貫通孔
115・・・エアー抜き
116・・・連通部
117a・・分水管
117b・・分水管
117c・・分水管
118・・・チーズ
119・・・水位センサ
120・・・排出弁
120a・・排出口
121・・・支柱
122・・・弁体
122a・・連結棒
123・・・小アーム
124・・・固定ピン
125・・・ストッパー
125a・・上部ストッパー
125b・・下部ストッパー
125c・・シャフト
126・・・フロート
126a・・貫通孔
127・・・引っ張りばね
128・・・ピン
129・・・ピン
321・・・水路
322・・・導水管
323・・・弁本体
324・・・弁座部
325・・・鍔部
326・・・連通部
327・・・支持部
328・・・弁体
329・・・バランスアーム
330・・・カウンターウエイト
331・・・アーム
332・・・タンク
333・・・支軸
333a・・支点
334・・・貫通孔
335・・・貫通孔
336・・・エアー抜き
337・・・連通部
338a・・分水管
338b・・分水管
338c・・分水管
339・・・チーズ
340・・・水位センサ
341・・・排出弁
341a・・排出口
342・・・支柱
343・・・弁体
343a・・連結棒
344・・・小アーム
345・・・固定ピン
346・・・ストッパー
346a・・上部ストッパー
346b・・下部ストッパー
346c・・シャフト
347・・・フロート
347a・・貫通孔
438・・・引っ張りばね
349・・・ピン
350・・・ピン
501・・・弁本体
502・・・弁座部
503・・・ざぐり部(キャビティ)
504・・・鍔部
505・・・弁体
506・・・弾性体
507・・・支持部
651・・・弁本体
652・・・弁体
653・・・バランスアーム
655・・・支柱
656・・・貫通孔
657・・・貫通孔
658a・・支持体
658b・・支持体
659・・・貫通孔
660・・・支軸
661・・・支点
871・・・弁本体
872・・・弁体
873・・・鞘部
873a・・貫通孔
874・・・アーム
875・・・支点
876・・・アーム
877・・・タンク
1091・・弁本体
1092・・弁座部
1093・・支点
1094・・弁体
1095・・バランスアーム
1096・・アーム
1097・・透孔
1097a・透孔
1097b・透孔
1098・・タンク
1099・・フック
1100・・分水管
1101・・マニホールド
1102・・タンク
1103・・フック
1104・・分水管
1201・・アーム
1202・・アーム
【出願人】 【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材工業株式会社
【出願日】 平成18年11月27日(2006.11.27)
【代理人】 【識別番号】240000039
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人 衞藤法律特許事務所


【公開番号】 特開2008−131859(P2008−131859A)
【公開日】 平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願番号】 特願2006−318269(P2006−318269)