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植物育成システム、植物育成プラント及び植物育成方法 - 特開2008−92859 | j-tokkyo
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【発明の名称】 植物育成システム、植物育成プラント及び植物育成方法
【発明者】 【氏名】丸元 誠一

【氏名】金地 通生

【要約】 【課題】太陽光及び人工光を併用した植物育成技術において、生産効率のより一層の向上を図ることが可能となる植物育成技術を提供する。

【解決手段】太陽光及び人工光を併用し、植物を水耕栽培して育成するための植物育成システムであって、中空円筒状をなして軸線(P)廻りに回転可能とされ、太陽光を照射可能に略垂直に立設された、植物が植え付けられる栽培床(10)を有する育成塔(2)と、栽培床(10)の内周面側に露出された植物根に、液肥を噴霧するミストノズル(3)と、栽培床(10)に植え付けられた植物に向かって、人工光を一定方向から、栽培床(10)の回転に伴い順次照射する育成ランプ(4)と、を備えた植物育成システムとした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光及び人工光を併用し、植物を水耕栽培して育成するための植物育成システムであって、
中空円筒状をなして軸線廻りに回転可能とされ、太陽光を照射可能に略垂直に立設された、植物が植え付けられる栽培床を有する育成塔と、
該栽培床の内周面側に露出された植物根に、液肥を噴霧するミストノズルと、
該栽培床に植え付けられた植物に向かって、人工光を一定方向から、該栽培床の回転に伴い順次照射する育成ランプと、を備えた植物育成システム。
【請求項2】
太陽光及び人工光を併用し、植物を水耕栽培して育成するための植物育成システムであって、
中空円筒状をなして軸線廻りに回転可能とされ、太陽光を照射可能に略垂直に立設されるとともに、所定の円弧に沿って環状に配置された、植物が植え付けられる栽培床を有する育成塔と、
該栽培床の内周面側に露出された植物根に、液肥を噴霧するミストノズルと、
該円弧内に配置され、外方に向かって、放射状に人工光を照射する育成ランプと、を備え、
該栽培床を該軸線廻りに自転させ、且つ該円弧上を公転させながら、該栽培床に植え付けられた植物に向かって、太陽光、及び該育成ランプによる人工光を、それぞれ外方、及び内方から、照射するようにした植物育成システム。
【請求項3】
該育成塔の下端が枢軸によって回動可能に支持され、該育成塔を、略水平に横倒できるようになされた請求項1又は2に記載の植物育成システム。
【請求項4】
該育成塔を横倒する側に、該栽培床に植え付ける植物の苗を生育させるための育苗ベッドが、移動自在に配設された請求項1乃至3の何れかに記載の植物育成システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の植物育成システムが設けられるとともに、
太陽光を透過して取り込むことができる屋根及び外壁体にて覆われてなる植物育成プラント。
【請求項6】
太陽光及び人工光を併用し、植物を水耕栽培して育成するための植物育成方法であって、
中空円筒状をなして軸線廻りに回転可能とされ、植物が植え付けられた栽培床を、太陽光を照射可能に略垂直に立設し、
該栽培床を回転させながら、
該栽培床の内周面側に露出された植物根に、液肥を噴霧するとともに、
該栽培床に植え付けられた植物に向かって、人工光を一定方向から順次照射するようにした植物育成方法。
【請求項7】
太陽光及び人工光を併用し、植物を水耕栽培して育成するための植物育成方法であって、
中空円筒状をなして軸線廻りに回転可能とされ、植物が植え付けられた栽培床を、太陽光を照射可能に略垂直に立設するとともに、所定の円弧に沿って環状に配置し、
該栽培床を該軸線廻りに自転させ、且つ該円弧上を公転させながら、
該栽培床の内周面側に露出された植物根に、液肥を噴霧するとともに、
該栽培床に植え付けられた植物に向かって、太陽光、及び人工光を、それぞれ外方、及び内方から、照射するようにした植物育成方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜等の植物を水耕栽培して育成するための植物育成技術に関し、特に太陽光及び人工光を併用した植物育成システム、植物育成プラント及び植物育成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜等の植物を水耕栽培するシステムとして、人工光のみを使用して行うもの、あるいは太陽光及び人工光を併用して行うものが知られている。
これらは、いずれも野菜等を植え付けた育成パネルを地面と水平か、あるいは地面に対して40度程度斜めとして山型に配した1段のパネル等を使用して栽培しているため、土地1m2あたりの収穫効率が低く、生産効率が非常に悪いという問題があった。
【0003】
これに対して、本願発明者は、栽培パネルを垂直に多段構成することで栽培密度を飛躍的に向上させ、栽培コストの低減を図ったシステム(「超高密度植物垂直ミスト水耕システム」)を提案している(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第3320707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された技術は現に実施化され、従来のシステムに比べて大幅に生産効率を向上させ得ることが確認されているが、生産現場においては、より一層の生産効率の向上が望まれてきている。
【0006】
そこで、本願発明者はさらに鋭意研究を重ね、本発明に想到するに至ったものであり、本発明は、特に太陽光及び人工光を併用した植物育成技術において、生産効率のより一層の向上を図ることが可能となる植物育成システム、植物育成プラント及び植物育成方法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の植物育成システムは、太陽光及び人工光を併用し、植物を水耕栽培して育成するための植物育成システムであって、
中空円筒状をなして軸線廻りに回転可能とされ、太陽光を照射可能に略垂直に立設された、植物が植え付けられる栽培床を有する育成塔と、
該栽培床の内周面側に露出された植物根に、液肥を噴霧するミストノズルと、
該栽培床に植え付けられた植物に向かって、人工光を一定方向から、該栽培床の回転に伴い順次照射する育成ランプと、を備えたことを要旨とする。
【0008】
また、請求項2に記載の植物育成システムは、太陽光及び人工光を併用し、植物を水耕栽培して育成するための植物育成システムであって、
中空円筒状をなして軸線廻りに回転可能とされ、太陽光を照射可能に略垂直に立設されるとともに、所定の円弧に沿って環状に配置された、植物が植え付けられる栽培床を有する育成塔と、
該栽培床の内周面側に露出された植物根に、液肥を噴霧するミストノズルと、
該円弧内に配置され、外方に向かって、放射状に人工光を照射する育成ランプと、を備え、
該栽培床を該軸線廻りに自転させ、且つ該円弧上を公転させながら、該栽培床に植え付けられた植物に向かって、太陽光、及び該育成ランプによる人工光を、それぞれ外方、及び内方から、照射するようにしたことを要旨とする。
【0009】
また、請求項3に記載の植物育成システムは、請求項1又は2に記載の構成において、該育成塔の下端が枢軸によって回動可能に支持され、該育成塔を、略水平に横倒できるようになされたことを要旨とする。
【0010】
また、請求項4に記載の植物育成システムは、請求項1乃至3の何れかに記載の構成において、該育成塔を横倒する側に、該栽培床に植え付ける植物の苗を生育させるための育苗ベッドが、移動自在に配設されたことを要旨とする。
【0011】
また、請求項5に記載の植物育成プラントは、請求項1乃至4の何れかに記載の構成の植物育成システムが設けられるとともに、
太陽光を透過して取り込むことができる屋根及び外壁体にて覆われてなることを要旨とする。
【0012】
また、請求項6に記載の植物育成方法は、太陽光及び人工光を併用し、植物を水耕栽培して育成するための植物育成方法であって、
中空円筒状をなして軸線廻りに回転可能とされ、植物が植え付けられた栽培床を、太陽光を照射可能に略垂直に立設し、
該栽培床を回転させながら、
該栽培床の内周面側に露出された植物根に、液肥を噴霧するとともに、
該栽培床に植え付けられた植物に向かって、人工光を一定方向から順次照射するようにしたことを要旨とする。
【0013】
また、請求項7に記載の植物育成方法は、太陽光及び人工光を併用し、植物を水耕栽培して育成するための植物育成方法であって、
中空円筒状をなして軸線廻りに回転可能とされ、植物が植え付けられた栽培床を、太陽光を照射可能に略垂直に立設するとともに、所定の円弧に沿って環状に配置し、
該栽培床を該軸線廻りに自転させ、且つ該円弧上を公転させながら、
該栽培床の内周面側に露出された植物根に、液肥を噴霧するとともに、
該栽培床に植え付けられた植物に向かって、太陽光、及び人工光を、それぞれ外方、及び内方から、照射するようにしたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、中空円筒状をなして軸線廻りに回転可能とされ、太陽光を照射可能に略垂直に立設された、植物が植え付けられる栽培床を有する育成塔と、該栽培床の内周面側に露出された植物根に、液肥を噴霧するミストノズルと、該栽培床に植え付けられた植物に向かって、人工光を一定方向から、該栽培床の回転に伴い順次照射する育成ランプと、を備えて構成されているため、太陽光及び人工光を併用し、野菜等の植物を水耕栽培して育成するに際し、生産効率のより一層の向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、太陽光及び人工光を併用し、植物を水耕栽培して育成するためのものである。対象となり得る植物は、主として野菜、特に葉菜類であるが、中でもレタス、サラダ菜が好ましい。その他、イチゴ等の果菜類も栽培対象となり得る。
【0016】
本発明に係る植物育成システムは、育成塔と、ミストノズルと、育成ランプと、を主として備えるものである。また、本発明に係る植物育成プラントは、本システムを設けて構成したものである。
【0017】
育成塔は、植物の苗を植え付けて、作物を収穫できるまでにその苗を育成するための栽培床を有するものである。栽培床は、中空円筒状をなして軸線廻りに回転可能と
され、太陽光を照射可能に略垂直に立設される構成とする。
栽培床は、集約度や作業性等の点から、直径1.2〜1.5m、全長6〜12m程度の大きさとすることが適している。栽培床の素材は、特に限定されないが、耐久性・耐水性に富み、剛性に優れたものが好ましく、一般的には亜鉛メッキ鋼板等が用いられる。
【0018】
栽培床には、植物が栽培床の外周面に沿って、それぞれ斜め上方に向かって育つように植物を植え付けるとともに、栽培床の内周面側においては、植物根が露出されるようにしておく。
植物の植え付けは、通常、ポットを介して行い、ポットは、栽培する植物に必要な株間に応じた設置間隔によって、栽培床に支持させるものとする。
【0019】
ミストノズルは、中空円筒状をなす栽培床の内方に設けられ、栽培床の内周面に沿って露出された植物根に対して、必要な液肥を噴霧して供給するものである。液肥は、通常、水と混合して供給される。
ミストノズルは、多数のノズルが複数段に亘って固設されるものであってもよいし、その他例えば、一又は複数のノズルが、モーター制御により栽培床内を軸方向に移動自在に配設されるものであってもよい。
【0020】
育成ランプは、栽培床に植え付けられた植物に向かって、植物の育成に効果的な人工光を照射して、太陽光による日照不足を補うものである。育成ランプは、立設された栽培床の一定領域を照射するべく、栽培床から所定の距離離隔した位置に配置固定するものとし、これにより一定方向から、且つ栽培床の回転に伴って回転される植物に向かって順次、人工光を照射するように構成する。人工光の照射を受けない栽培床の他の領域については、太陽光が照射されるようにする。
【0021】
育成ランプとしては、一般的には棒形状のものを複数連結して用いるが、連結態様は縦横等何れでもよい。育成ランプは、好ましくは、栽培床の上端から下端にかけてを満遍なく照射するように設け、各照射部位において均一な照度が得られるようにする。
また、育成ランプに、ミストノズルから噴霧した液肥がかからないように、透明アクリル板等で形成したカバーを設けることが好ましい。
【0022】
育成ランプとしては、蛍光灯、高圧ナトリウムランプ、発光ダイオード等を制限無く用いることができる。一般には発光ダイオードの方が蛍光灯より低電圧で発熱量が少なく、作物に近づけても枯れる恐れがないため、好ましい。
育成ランプは、大規模プラントにおける使用等を考慮した場合には、長寿命で交換手間のかからないもの、空調負荷を低減できるよう発熱量の小さいもの、また、省スペース性を考慮した場合には、隣接設置しても発熱量が小さいもの、近接照明ができるものが好ましい。
【0023】
植物は、細胞の中にクロロフィル(光合成色素)を持っているが、クロロフィルの吸収スペクトルは、400〜500nmの可視光青色と600〜700nmの可視光赤色である。つまり、植物の光合成には、青色光と赤色光が重要な役割を果たす。
このような観点から、育成ランプは、青色光(特に440nm付近)と赤色光(特に660nm付近)に波長のピークを有するものであることが好ましい。
【0024】
育成ランプとして蛍光灯を用いる場合には、管内部に蛍光体が塗布されるとともに、管外部の両極に外部電極が設けられ、そこに高周波・高電圧をかけることによって、管内部にプラズマ放電を発生させて、蛍光顔料を発光させる構造のものが好ましい。通常の蛍光灯は、管内部に電極が設けられ、発光の度に電極が消耗されるため、寿命が短く、発熱量も大きいが、上記構造のものは、長寿命であり、発光時の表面温度も約38度程度と発熱量も小さく、さらに発光ダイオード等よりも安価であるため、本発明における使用に適している。
【実施例1】
【0025】
本発明の第1の実施例について、図1〜図6を参照して説明する。本実施例は、本発明による植物育成システムを設けてなる植物育成プラントの一実施形態について示すものである。図1は植物育成プラントの平面図、図2は植物育成プラントの側面断面図、図3は植物育成プラントの正面立面図、図4は育成塔の要部拡大端面図である。図5はミストノズルの他の形態を示す育成塔の側面一部断面図、図6は図5におけるA〜A’断面図である。
【0026】
図1〜図3に示すように、本実施例に係る植物育成プラント(1)は、平面視矩形状で、後方上部から前方下部に向かってアーチ形状をなすガラス屋根(40)が架けられ、側面視略四分の一円状を呈するように構成されており、幅約11.5m、奥行き約13m、高さ約11mという比較的大きいスケールを有するものである。植物育成プラント(1)は、育成塔(2)、ミストノズル(3)、育成ランプ(4)、育苗ベッド(5)等を主として備えている。
【0027】
育成塔(2)は、図4に示すように、植物(7)を植え付けることができる栽培床(10)を有するものである。栽培床(10)は、直径約1.3m、全長8mをなす中空円筒状で、図2に示す如く、地上約1.8mから上方に向けて立設される。図1に示すように、本実施例では、4つの育成塔(2)が、適宜の間隔をあけて、横一列に隣接して配置されている。
また、栽培床(10)は、図2に示すように、モーター(11)に接続された回転ギア(12)(モーター直結ギア、減速ギア、育成塔軸ギアよりなる)を介して、軸線(P)廻りにゆっくりと、例えば2.5分で1周するスピードで回転するように構成されている。栽培床(10)は、一方向のみだけでなく双方向に回転可能とすることもできる。
【0028】
栽培床(10)は、図4に示すように、鋼板を波形に加工したコルゲートパイプ状をなし、軸方向に沿って、リブ(13)が多段形成されている。本実施例では、波のピッチを150mm、波の深さを60〜75mmとしているが、これらは栽培する植物によって適宜変更してよい。栽培床(10)の内外周両面には、耐食性の向上のため、1mあたり900g以上の溶融亜鉛メッキを施している。
【0029】
図4に示すように、栽培床(10)の各段には、斜めに傾斜した植付面(14)が形成され、植付面(14)にはポット受孔(15)が、周方向適宜の間隔で穿設されるとともに、ポット受孔(15)によってポット(16)が支持されるようになっている。ポット(16)は、底部が開放且つ先端部がカットされた逆円錐形で、植物の苗を培土とともに収容して栽培するための容器である。図4に示すように、植物根(8)は、ポット(16)を貫通して、栽培床(10)の内周面側において露出するようになされている。
【0030】
ポット(16)を受けるためのポット受孔(15)は水平より角度をもたせ、ポット(16)を挿入した場合にポット(16)が落下しない程度とする必要がある。具体的には、ポット(16)が、水平面に対して少なくとも20〜50度の角度を保って配置されるようにすることが好ましい。この角度が50度を超えると、集約度が上がらず、20度未満となると、植物(7)のポット(16)からの脱落や、成長した植物(7)の形状下垂が目立ってくるため好ましくない。本実施例に示す形状の栽培床(10)であれば、この角度の保持を容易に行うことができる。
【0031】
また、育成塔(2)は、図2に示すように、下端が枢軸(19)によって支持され、枢軸(19)を中心として上下に回動可能に構成されており、立設された育成塔(2)を、前方に且つ略水平に横倒できるようになっている。これによって、植物(7)の苗の植え付けや収穫を容易に行える。そして、図1〜図2に示すように、植物育成プラント(1)には、育成塔(2)をそれぞれ前方に横倒可能なスペースが確保されている。
【0032】
図2に示すように、育成塔(2)の上端には、育成塔軸ローラー(20)が設けられ、育成塔軸ローラー(20)が、育成塔(2)の上端が描く軌道に沿ってアーチ形をなして配設されたガイドレール(21)によって案内されるとともに、育成塔(2)の上端に、一端をウインチ(22)に接続されたワイヤー(23)の他端が固設され、ウインチ(22)によってワイヤー(23)の牽引が制御されている。図2において、テンションローラー(24)は、ワイヤー(23)を誘導するために用いられている。
【0033】
ミストノズル(3)は、図4に示すように、栽培床(10)の内方において、軸線(P)に一致して配設される液肥供給パイプ(30)に沿って、その適宜の位置に形成されており、液肥供給パイプ(30)を介して供給される液肥を、栽培床(10)の内周面側に露出される植物根(8)に向かって、定期的に必要量噴霧する。
ミストノズル(3)は、平面視で二乃至四方向に液肥を噴霧するように配置されるとともに、各段の植物根(8)に満遍なく液肥を噴霧できるように、ノズルの噴霧角度が調整されている。また、ミストノズル(3)は、例えば5分間の噴霧を20分間隔で行う、というように液肥を間欠的に噴霧するように制御されている。
なお、図5〜図6に、ミストノズルの他の形態を示す。このように比較的大型のミストノズル(3’)を用いれば、ノズル数を減らすことが可能である。
【0034】
育成ランプ(4)は、図1〜図2に示すように、栽培床(10)の高さ位置に対応して、棒状の蛍光灯を上下に直列に積層したものを、適宜の間隔で列置してなり、育成塔(2)の後方において、栽培床(10)と同心円の円弧の一部をなすよう劣弧状に配置された弧状壁(32)の内面に沿って、設けられている。これにより、育成ランプ(4)が、立設された栽培床(10)の一定領域を照射するとともに、軸線(P)廻りに回転する栽培床(10)に植え付けられた植物(7)に向かって、順次人工光を照射できるようになっている。
育成ランプ(4)が照射する上記一定領域は、太陽光及び人工光双方の相乗的な活用という観点からは、栽培床(10)の全表面積の30〜50%に相当する領域部分であることが好ましい。
【0035】
図1に示すように、弧状壁(32)は、育成塔(2)の隣接方向に横一列に連接されるとともに、左右両端において側壁(33)、さらには後壁(34)へと接続されている。弧状壁(32)、側壁(33)、後壁(34)は、RC壁によって一体に構成されている。なお、弧状壁(32)の内面を鏡面材等の反射率の高い材料によって仕上げることとすれば、照射効率を向上させることができ好ましい。
育成ランプ(4)は、太陽光による日照不足を補うべく、夜間、あるいは秋から春にかけての昼間に適宜点灯される。
本実施例では、栽培する植物(7)に応じて最適にプログラムされたコンピュータによって、育成ランプ(4)による人工光の照射や、上記ミストノズル(3)による液肥の噴霧を、自動的に制御するようになされている。
【0036】
育苗ベッド(5)は、図1〜図2に示すように、立設された育成塔(2)の前方のスペースに配設されている。育苗ベッド(5)は、植物(7)の種をまいて、栽培床(10)に植え付け可能な苗を生育させるためのものである。
図1〜図2に示すように、育苗ベッド(5)は、脚部の上に育苗用トレーが略水平に載置された形状をなし、育成塔(2)の隣接方向に平行して、それぞれベッドレール(37)上を移動自在に構成されている。また、図2に示すように、育苗ベッド(5)には、ミスト配管用ホース(38)が接続されており、必要な液肥を育苗用トレー内の苗に噴霧可能となされている。
育苗ベッド(5)としては、例えば、スリットや網目が側面あるいは底面に適宜設けられたポットが、トレー内に予め配置固定されたものを使用することができるが、根巻きを生じさせず、細根を多量に成長させ得るものであることが好ましい。
【0037】
また、図1〜図3に示すように、植物育成プラント(1)は、大半がアルミ枠付きのガラス屋根(40)及びガラス壁(41)によって、密閉可能に覆われており、太陽光を最大限取り込むことができるようになされている。必要な太陽光を透過可能なものであれば、ガラス板の他に、アクリル板等を用いてもよい。
なお、植物育成プラント(1)は、必要に応じて、室内の温度、湿度、CO濃度等を調節できるようになっていることは言うまでもない。
【0038】
上記の如く構成された植物育成プラント(1)の使用態様の一例について、以下に説明する。
まず、育苗ベッド(5)に植物(7)の種をまき、水耕栽培に適当な苗に生育させる。この生育期間は、植物の種類によって多少異なるが、通常2週間程度である。
次に、育成塔(2)を横倒させて、生育した植物(7)の苗を栽培床(10)に植え付ける。このとき、育苗ベッド(5)が移動自在に構成されているため、横倒された育成塔(2)のすぐ傍に育苗ベッド(5)を配置することができ、植物(7)の苗の植え付けが容易に行える。
なお、栽培床(10)における各々のポット受孔(15)には、一又は複数の、ばね付きの押さえ金具(図示せず)が孔内に出没可能に突設されており、ポット(16)をポット受孔(15)に差し込むと、押さえ金具がばねの付勢力に従ってポット(16)の側面を押圧し、ポット(16)がポット受孔(15)から転落しないようになされている。
【0039】
植物(7)の苗の植え付けが完了すれば、育成塔(2)を縦立させる。そして、上記の通り、栽培床(10)を軸線(P)廻りに回転させつつ、ミストノズル(3)から液肥を噴霧させるとともに、太陽光及び、育成ランプ(4)による人工光を照射して、植え付けられた植物(7)を栽培し、作物を収穫できるまで育成を行う。この育成期間は、植物の種類によって多少異なるが、通常2週間程度である。
作物の収穫は、再び育成塔(2)を横倒させることによって行えばよい。
【0040】
本実施例によれば、太陽光及び人工光を効果的に併用して、植物(7)を栽培育成できる。また、栽培床(10)を縦立させるようにしたため、一定の土地面積で効率よく植物(7)を育成でき、生産効率を格段に向上させることが可能となる。例えば、本実施例の栽培床(10)の直径に等しい横幅を有する垂直パネル形式(特許第3320707号など)を使用した場合と比較しても、栽培面積を約3倍とすることができる。
また、本実施例のような植物育成プラント(1)であれば、一定の品質を保った野菜等を短期間に、しかも安定して周年供給可能となるため、一般家庭は勿論のこと外食産業等における需要に対しても、多大な貢献をなすことが期待できる。
【実施例2】
【0041】
本発明の第2の実施例について、図1〜図2を参照して説明する。本実施例は、前実施例の変形例について示すものである。
【0042】
本実施例は、図2に示すように、溶液タンク(50)とろ過タンク(51)とを床下に埋設したものであり、溶液タンク(50)に貯留された液肥が、ミスト配管(53)、及びミスト配管(54)、ミスト配管用ホース(38)を介して、それぞれ育成塔(2)、及び育苗ベッド(5)に送られるとともに、余剰液肥が、排水パイプ(57)を介して、ろ過タンク(51)に回収されるようになっている。
そして、ろ過タンク(51)に回収された液肥が、ろ過処理された上で、溶液タンク(50)に移されることにより、余剰液肥を有効に循環利用できるように構成されている。
【0043】
さらに、本実施例では、図1〜図2に示すように、育成塔(2)を囲う位置に、カーテンレール(59)(60)が設けられており、断熱カーテンを懸吊して栽培床(10)を被覆することにより、保温壁を形成して、容易に空調効率の向上を図ることができるようになっている。
このように、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えた態様で実施することが可能なものである。
【実施例3】
【0044】
本発明の第3の実施例について、図7〜図9を参照して説明する。本実施例は、本発明による植物育成システムを設けてなる植物育成プラントの他の実施形態について示すものである。図7は植物育成プラントの平面図、図8は植物育成プラントの側面断面図、図9は植物育成プラントの正面図である。
なお、実施例1、2と共通する構成については、説明を省略している。
【0045】
図7〜図9に示すように、本実施例に係る植物育成プラント(70)は、植物を栽培育成するための育成スペース(71)と、植物の苗を生育させ、あるいは栽培作物を収穫するための育苗・収穫スペース(72)と、から構成されており、育成塔(75)、ミストノズル(76)、育成ランプ(77)、育苗ベッド(78)等を主として備えるものである。
【0046】
育成スペース(71)は、図7〜図9に示すように、直径約15mという比較的大きな円筒にドーム屋根を架設して形成したものであり、最頂部で約15mの高さを有する。また、育苗・収穫スペース(72)は、図7〜図9に示すように、育成スペース(71)の一側面を前方に延出してなり、下部が拡幅された断面視略凸状をなすとともに、中央の凸起部が側面視で図8に示す如くのアーチ形状をなすように形成したものである。
育成スペース(71)、及び育苗・収穫スペース(72)は、内部への太陽光の取り込みのために、図7〜図9に示すように、それぞれガラス壁(96)、ガラス屋根(97)、及びガラス壁(98)(99)、ガラス屋根(100)(101)によって、全体が覆われている。
【0047】
育成塔(75)は、直径約1.3m、全長10mをなす栽培床(80)を有し、図7に示すように、平面視で、中心線(Q)を中心とした所定の円弧に沿って、且つ適宜の間隔をあけて、環状に隣接して配置されている。
育成塔(75)の下方適宜の高さ位置には、図7〜図8に示すように、上記中心線(Q)がその中心位置に一致するドーナツ型の駆動盤(82)が設置され、育成塔(75)の下端が駆動盤(82)側面に固着されている。そして、各々の栽培床(80)が、図7〜図8に示すように、回転ギア(83)を介して、軸線(R)廻りに回転可能に構成されるとともに、モーター(85)によって駆動する駆動盤(82)の回転に従って、中心線(Q)廻りに回転可能に構成されている。つまり、栽培床(80)が軸線(R)を回転軸として自転しながら、中心線(Q)を中心とする所定の円弧上を公転するようになされている。このとき、外周、及び上方が、ガラス壁(96)、及びガラス屋根(97)によって覆われているため、植物育成プラント(70)の設置方位等に拠らず、栽培床(80)に植え付けられた植物に、満遍なく太陽光を照射することができる。
なお、育成塔(75)の上方には、図7〜図8に示すように、リング状のガイドレール(87)が固設され、育成塔(75)の上端がガイドレール(87)に案内されることによって、栽培床(80)が略垂直を保って公転している。
【0048】
図8〜図9に示すように、育成塔(75)の下端は、枢軸(89)によって回動可能に支持されており、所定の位置において、育成塔(75)を、前方の育苗・収穫スペース(72)に向かって略水平に横倒することができるようになっている。育成塔(75)の上端が描く軌道上には、アーチ形のガイドレール(90)が設けられているが、育苗・収穫スペース(72)のガラス壁(98)、及びガラス屋根(100)の形状は、このガイドレール(90)の形状に対応したものである。
【0049】
なお、図7〜図8に示すように、各々の栽培床(80)の内方には、植物根に液肥を噴霧するためのミストノズル(76)が配設されるとともに、駆動盤(82)下には、溶液タンク(92)とろ過タンク(93)とが設置され、余剰液肥をろ過処理して循環利用できるようになっている。
【0050】
育成ランプ(77)は、図7に示すように、環状に配置される栽培床(80)と同心円状に、中心線(Q)近傍において、適宜の間隔で列置されており、外方に向かって、放射状に人工光を照射するようになされている。
図7に示すように、育成ランプ(77)の周りは、透明ガラス板等の人工光を透過できる素材からなる包囲壁(95)で環囲されるとともに、包囲壁(95)の上部が閉鎖されて、密閉可能な空間が形成されている。そして、図示しない排熱ファンや排熱ダクトを介して、育成ランプ(77)により発生した熱を屋外に放熱することによって、空調負荷を軽減することができるようになっている。
【0051】
育苗ベッド(78)は、図7、図9に示すように、育苗・収穫スペース(72)において、横倒された育成塔(75)の栽培床(80)左右両側に沿うように配置されている。図9に示すように、本実施例では、育苗ベッド(78)は、育苗用トレーを垂直に複数段積層した構成となっている。
【0052】
このように、本実施例に係る植物育成プラント(70)は、各々の栽培床(80)を軸線(R)廻りに自転させ、且つ中心線(Q)廻りに公転させながら、ミストノズル(76)から液肥を噴霧させるとともに、太陽光、及び育成ランプ(77)による人工光を、それぞれ外方、及び内方から照射して、栽培床(80)に植え付けられた植物を栽培し、育成を行うものである。植物の苗の栽培床(80)への植え付けや、育成された作物の収穫等の作業は、育苗・収穫スペース(72)において、育成塔(75)を順次横倒させることによって、容易に行うことができる。
【0053】
本実施例に係る植物育成プラント(70)であっても、植物の生産効率がきわめて良好である。単純に栽培面積だけに着眼しても、本実施例では約653m2(=栽培床直径1.3m×円周率3.14×栽培床全長10m×16箇所)であり、例えば、直径15m(育成スペース(71)の直径に相当)の円形状の平面的耕作地(約177m2)と比較して、栽培面積を約3.7倍とすることができる。
さらに、本実施例のような構成であれば、太陽光、及び育成ランプ(77)による人工光を、あらゆる方向から満遍なく照射して、植物を育成することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、太陽光及び人工光を併用した植物育成技術において、生産効率のより一層の向上を図ることが可能となる植物育成システム、植物育成プラント及び植物育成方法を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】植物育成プラントの平面図である。
【図2】植物育成プラントの側面断面図である。
【図3】植物育成プラントの正面立面図である。
【図4】育成塔の要部拡大端面図である。
【図5】ミストノズルの他の形態を示す育成塔の側面一部断面図である。
【図6】図5におけるA〜A’断面図である。
【図7】他の実施形態に係る植物育成プラントの平面図である。
【図8】他の実施形態に係る植物育成プラントの側面断面図である。
【図9】他の実施形態に係る植物育成プラントの正面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 植物育成プラント
2 育成塔
3 ミストノズル
4 育成ランプ
5 育苗ベッド
7 植物(苗)
8 植物根
10 栽培床
13 リブ
16 ポット
19 枢軸
20 育成塔軸ローラー
21 ガイドレール
37 ベッドレール
40 ガラス屋根
41 ガラス壁
50 溶液タンク
51 ろ過タンク
70 植物育成プラント
71 育成スペース
72 育苗・収穫スペース
75 育成塔
76 ミストノズル
77 育成ランプ
78 育苗ベッド
80 栽培床
89 枢軸
P 軸線
Q 中心線
R 軸線
【出願人】 【識別番号】506342110
【氏名又は名称】株式会社きゅぶふぁーむ
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
【出願日】 平成18年10月11日(2006.10.11)
【代理人】 【識別番号】100081581
【弁理士】
【氏名又は名称】内山 美奈子


【公開番号】 特開2008−92859(P2008−92859A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2006−278100(P2006−278100)