トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業

【発明の名称】 トンネル開閉装置
【発明者】 【氏名】村岡 幸一

【要約】 【課題】トンネル開閉作業に要する労力を軽減し、時間を短縮できると共に、装置設置作業が容易であり、装置導入に要する費用も低減できるトンネル開閉装置を提供する。

【解決手段】床土の長さ方向に直角にアーチ状に複数のトンネル支柱2を設置し、トンネル支柱2と平行に複数のアーチ状のロープ案内杆3を設置する。トンネル支柱2の上側に被覆シート4を載置し、被覆シート4の一側部をシート支持杆5によって支持する。駆動ロープ6によってシート支持杆5を牽引し、床土の長さ方向に沿ってロープ巻取杆7を設置し、ロープ巻取杆7をハンドル8によって回転させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床土の長さ方向に直角にアーチ状に設置される複数のトンネル支柱と、これらトンネル支柱と平行に設置される複数のアーチ状のロープ案内杆と、前記トンネル支柱の上側に載置して被覆される被覆シートと、この被覆シートの一側部を支持するシート支持杆と、このシート支持杆を牽引する駆動ロープと、床土の長さ方向に沿って設置されるロープ巻取杆と、ロープ巻取杆を回転させるハンドルとから構成されるトンネル開閉装置。
【請求項2】
前記ハンドルは、携帯可能であって、前記ロープ巻取杆と連結自在であることを特徴とする請求項1に記載のトンネル開閉装置。
【請求項3】
前記シート支持杆は、両側部に係止溝部を形成したコ型断面を呈する長い杆状部材であって、前記被覆シートの一側部に波形スプリングを押し当て、この波形スプリングの頂部を前記係止溝部に挿入させて、被覆シートの一側部を支持するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のトンネル開閉装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用ビニールハウス内に設置したトンネルに付設され、被覆シートをトンネル支柱に被せたり、剥いだりするトンネル開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冬季から春季にかけて作物の育苗を行なう際、地温や気温を高めるために、農業用ビニールハウス内に更にトンネルを設置し、被覆シートによって床土全体を覆い、作物の発芽や生育を促進する方法が採用されている。
ここで、トンネルとは、図13に示すように、ビニールハウス内の床土に1〜2m間隔で可撓性ポールの両端部を差し込んでアーチ状のトンネル支柱101を形成し、その上側にポリエレンフィルム等からなる被覆シート102を被覆して、保温効果を高めたものである。
【0003】
しかし、ビニールハウス内においても、気温は日出とともに上昇し、日没とともに下降する他、気象条件によっても変化するから、作物の発芽や生育にとって適切な温度を保持するためには、適宜被覆シート102を被せたり、剥いだりして、トンネルを開閉する作業が必要となる。
【0004】
従来、トンネルを開閉する作業は、図13に示すように、作業者が被覆シート102の一端部をトンネルの一端部に設置したトンネル支柱101に被せた後、被覆シート102の他端部を把持してトンネルの他端部まで歩きながら順次トンネル支柱101に被覆シート102を被せていき、図14に示すように、その逆の手順によって被覆シート102を剥いでいく、という人手による作業を行なっていた。
【0005】
一方、トンネル開閉作業に要する労力を軽減し、時間を短縮するため、被覆シートの一側部にロープの一端部を固定し、ロープをビニールハウスの骨格を構成するパイプに滑車等を介して掛け回し、ロープの他端部を牽引することによって、被覆シートを被せ、又剥いで、トンネルを開閉する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平9−70232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
トンネル開閉作業を人手による場合は、作業者が被覆シート102の他端部を把持してトンネルの一端部から他端部まで歩きながらトンネル支柱101に被覆シート102を被せ、又は被覆シート102を剥いでいくから、開閉作業は面倒かつ時間が掛かり、ビニールハウスの棟数が多くなると、多大な労力と時間を要するため、経営規模の拡大を図る上で大きな障害となった。
【0008】
一方、ロープを牽引するトンネル開閉装置は、開閉作業に要する労力を軽減し、時間を短縮することはできるものの、ビニールハウスの骨格を構成するパイプに滑車を設置し、ロープを掛け回す等して構成しなければならず、設置作業が面倒であった。又、部品点数も多く、装置を導入するのに多大な費用が掛かった。
【0009】
トンネル開閉作業を人手による場合、ロープを牽引するトンネル開閉装置の何れにおいても、被覆シート102をトンネル支柱101に完全に被せるか、剥がすしかなく、被覆程度を調整することができないため、適切な温度管理をすることが困難であった。
【0010】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みて為されたものであって、その目的とするところは、トンネル開閉作業に要する労力を軽減し、時間を短縮することができると共に、装置設置作業が容易であり、装置導入に要する費用も低減することができ、しかも、トンネルの開閉程度を調整することができて、適切な温度管理をすることができるトンネル開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のトンネル開閉装置は、床土の長さ方向に直角にアーチ状に設置される複数のトンネル支柱と、これらトンネル支柱と平行に設置される複数のアーチ状のロープ案内杆と、前記トンネル支柱の上側に載置して被覆される被覆シートと、この被覆シートの一側部を支持するシート支持杆と、このシート支持杆を牽引する駆動ロープと、床土の長さ方向に沿って設置されるロープ巻取杆と、ロープ巻取杆を回転させるハンドルとから構成したことを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、作業者はハンドルを回転させるだけで、トンネル支柱に被覆シートを被せ、又は被覆シートを剥がすことができるから、トンネルの開閉作業は極めて簡単であり、時間も掛からない。
【0013】
ここで、前記ハンドルは、携帯可能であって、前記ロープ巻取杆と連結自在であることが好ましい。
【0014】
又、前記シート支持杆は、両側部に係止溝部を形成したコ型断面を呈する長い杆状部材であって、前記被覆シートの一側部に波形スプリングを押し当て、この波形スプリングの頂部を前記係止溝部に挿入させて、被覆シートの一側部を支持するものであることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明のトンネル開閉装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明のトンネル開閉装置において、被覆シートを剥した状態における斜視図、図2は、ロープ案内杆設置部近傍における斜視図、図3は、シート支持杆載置部近傍における斜視図、図4は、被覆シートの一側部における斜視図、図5は、ロープ接続部材の平面図、図6は、同側面図、図7は、同底面図、図8は、ロープ案内杆の一端部における斜視図、図9は、ハンドルの正面図、図10は、ロープ巻取杆にハンドルを連結する方法を示す説明図である。
【0016】
本発明のトンネル開閉装置1は、図1に示すように、床土の長さ方向に直角にアーチ状に設置される複数のトンネル支柱2,2,・・・と、これらトンネル支柱2と平行に設置される複数のアーチ状のロープ案内杆3,3,・・・と、トンネル支柱2の上側に載置して被覆する被覆シート4と、被覆シート4の一側部を支持するシート支持杆5と、シート支持杆5を牽引する駆動ロープ6,6と、床土の長さ方向に沿って設置されるロープ巻取杆7,7と、ロープ巻取杆7を回転させるハンドル8とから構成されている。
【0017】
トンネル支柱2は、可撓性を有するプラスチック製で、薄肉矩形断面を呈する長い板状部材であって、図1に示すように、その両端部を床土の両側部に差し込み、湾曲させてアーチ状としたものである。
トンネル支柱2は、その長さ方向を床土の長さ方向に直角に配置すると共に、床土の長さ方向に1〜2mの間隔で略等間隔に複数設置してある。
【0018】
ロープ案内杆3は、図2に示すように、トンネル支柱2を構成する板状部材31,31を3cm程度の間隔で2本並行させ、板状部材31の長さ方向に所定間隔で2本の板状部材31,31を連結片32,32,・・・によって連結したものであって、その両端部を床土の両側部に差し込み、湾曲させてアーチ状としたものである。
ロープ案内杆3は、その長さ方向を床土の長さ方向に直角に配置すると共に、床土の長さ方向にトンネル支柱2を3本設置する毎に1本の割合で複数設置してある。
【0019】
被覆シート4は、図1に示すように、農業用塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムを床土を完全に被覆する面積に裁断したシート状部材であって、トンネル支柱2,2,・・・の上側に載置して、被覆するものである。
【0020】
シート支持杆5は、図3に示すように、亜鉛鋼板等の薄肉金属板を成形し、両側部に係止溝部5a,5aを形成したコ型断面を呈する長い杆状部材であって、トンネル支柱2,2,・・・、ロープ案内杆3,3,・・・の上側に、その長さ方向を床土の長さ方向に沿って載置してある。
【0021】
被覆シート4の一側部をシート支持杆5の上側に位置させ、図4に示すように、被覆シート4の上面に波形スプリング51の側面を押し当て、その頂部をシート支持杆5の係止溝部5a,5aに挿入させて、被覆シート4の一側部を固定、支持するようにしてある。
【0022】
駆動ロープ6は、合成繊維を線材とする直径3mm程度の強度の高いロープであって、図2に示すように、ロープ案内杆3の連結片32,32,・・・の外側面に当接するように配置され、その一端部はロープ接続部材9に連結され、他端部はロープ巻取杆7に巻き取られる。
【0023】
ロープ接続部材9は、図5乃至7に示すように、両側部に、上端部において折曲させた掛止部9a,9a,・・・、側方に突出する接続片9b,9bを形成してあると共に、中間部に、下方に突出する規制片9c,9cを形成してある。そして、接続片9bには取付孔91を穿設してある。
【0024】
図3に示すように、シート支持杆5の一端部から順次ロープ接続部材9,9,・・・を嵌合させ、ロープ接続部材9,9,・・・をロープ案内杆3,3,・・・が配置されている位置まで移動させる。
そして、ロープ案内杆3の両側端にロープ接続部材9の規制片9c,9cを位置させ、接続片9b,9bの取付孔91,91に駆動ロープ6,6の一端部を挿通させ、縛着させて、ロープ接続部材9に駆動ロープ6,6を接続する。
【0025】
ロープ巻取杆7は、図8に示すように、薄肉金属管から成る管状部材であって、床土の長さ方向に沿って幅方向両側部に設置してあり、ロープ案内杆3,3,・・・が配置される位置に、鍔状部71,71を両側に形成した巻取部72を形成してある。又、一端部には連結片73を突設してある。
図8に示すように、ロープ巻取杆7は、所定間隔で複数の固定杭10,10,・・・によって回転可能に床土に固定してあると共に、ロープ巻取杆7の巻取部72には、駆動ロープ6の他端部を固定させ、巻き回してある。
【0026】
ハンドル8は、図9に示すように、管状部81の一端部にクランク状とした把持部82を連結すると共に、他端部に連結片83を突設してある。
図10に示すように、ハンドル8の連結片83とロープ巻取杆7の連結片73とをピン等によって連結し、把持部82を把持して管状部81を回転させれば、ロープ巻取杆7を回転させることができるようになっている。
【0027】
本発明のトンネル開閉装置1は、以上のような構成であって、以下のように使用して、トンネルの開閉作業を行なう。
【0028】
晴天時にあっては、昼間においては、日光が良く差し込むから、ビニールハウス内の地温や気温は比較的に高くなり、トンネル内があまり高温にならないように、図1に示すように、被覆シート4を剥がして、すなわち、トンネルを開放しておく。
【0029】
夕方になったら、ビニールハウス内の地温や気温も低くなってくるので、作業者はハンドル8を持参して、一方のロープ巻取杆7の一端部まで歩いていく。
そして、図10に示すように、ハンドル8の連結片83と一方のロープ巻取杆7の連結片73とをピン等によって連結する。
【0030】
作業者がハンドル8の把持部82を把持し、管状部81を回転させれば、一方のロープ巻取杆7が回転するから、ロープ巻取杆7の巻取部72に駆動ロープ6が巻き取られていく。
これによって、駆動ロープ6がロープ案内杆3に沿って移動し、ロープ接続部材9を介して接続されたシート支持杆5が駆動ロープ6に牽引されて、図11に示すように、トンネル支柱2の一端部に向かって移動するから、被覆シート4の一端部も移動し、トンネル支柱2を徐々に覆っていく。
【0031】
さらに、一方のロープ巻取杆7を回転させれば、駆動ロープ6がさらに移動し、シート支持杆5が牽引され、被覆シート4の一端部もさらに移動する。
そして、図12に示すように、被覆シート4の一端部をトンネル支柱2の一端部まで移動させれば、被覆シート4によってトンネル支柱2を完全に覆う、すなわち、トンネルを完全に閉鎖させることができる。
【0032】
早朝になったら、ビニールハウス内の地温や気温も高くなってくるので、作業者はハンドル8を持参して、他方のロープ巻取杆7の一端部まで歩いていく。
そして、ハンドル8の連結片83と他方のロープ巻取杆7の連結片73とをピン等によって連結する。
【0033】
上記と同様にして、作業者がハンドル8の把持部82を把持し、管状部81を回転させれば、他方のロープ巻取杆7が回転するから、ロープ巻取杆7の巻取部72に駆動ロープ6が巻き取られていく。
これによって、駆動ロープ6がロープ案内杆3に沿って移動し、シート支持杆5が駆動ロープ6に牽引されて、トンネル支柱2の他端部に向かって移動するから、被覆シート4の一端部も移動し、トンネル支柱2から徐々に剥がれていく。
【0034】
さらに、他方のロープ巻取杆7を回転させれば、駆動ロープ6がさらに移動し、シート支持杆5が牽引され、被覆シート4の一端部もさらに移動する。
そして、図1に示すように、被覆シート4の一端部をトンネル支柱2の他端部まで移動させれば、被覆シート4はトンネル支柱2から完全に剥がされ、すなわち、トンネルを完全に開放させることができる。
【0035】
雨天時、曇天時にあっては、昼間においても、日光が差し込まず、ビニールハウス内の地温や気温も高くならないから、トンネル内が低温にならないように、被覆シート4を被せて、すなわち、トンネルを閉鎖しておく。
【0036】
以上の如く、本発明のトンネル開閉装置1によれば、作業者はハンドル8とロープ巻取杆7とを連結し、ハンドル8を回転させるだけであるから、トンネル支柱2に被覆シート4を被せ、又は被覆シート4を剥がす作業、トンネルの開閉作業は簡単であり、時間も掛からない。
よって、ビニールハウスの棟数が多くなった場合に、トンネルの開閉作業に要する労力を大幅に軽減し、時間を大幅に短縮することができるから、経営規模の拡大を図る上で大きな利点がある。
【0037】
又、本発明のトンネル開閉装置1は、ビニールハウスの骨格を構成するパイプに滑車を設置し、ロープを掛け回す等して構成する大掛かりなものではなく、トンネルの周辺部にのみ構成部材を配置するものであり、しかも、構成が極めて簡易なものであるから、設置作業も極めて簡易である。
さらに、ロープ案内杆3、シート支持杆5、駆動ロープ6、ロープ巻取杆7、ハンドル8が付加される主たる構成部材であり、部品点数も比較的に少ないから、トンネル開閉装置1を導入するのにそれ程費用は掛からない。
【0038】
又、本発明のトンネル開閉装置1によれば、ロープ巻取杆7の巻取部72への駆動ロープ6の巻取量を適宜調整すれば、シート支持杆5の停止位置を適宜設定することができ、
被覆シート4による被覆程度を調整することができるから、季節又は天候に対応させて、適切な温度管理をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のトンネル開閉装置において、被覆シートを剥した状態における斜視図である。
【図2】ロープ案内杆設置部近傍における斜視図である。
【図3】シート支持杆載置部近傍における斜視図である。
【図4】被覆シートの一側部における斜視図である。
【図5】ロープ接続部材の平面図である。
【図6】ロープ接続部材の側面図である。
【図7】ロープ接続部材の底面図である。
【図8】ロープ案内杆の一端部における斜視図である。
【図9】ハンドルの正面図である。
【図10】ロープ巻取杆にハンドルを連結する方法を示す説明図である。
【図11】本発明のトンネル開閉装置において、被覆シートを一部被せた状態における斜視図である。
【図12】本発明のトンネル開閉装置において、被覆シートを被せた状態における斜視図である。
【図13】人手によって被覆シートを被せる方法を示す説明図である。
【図14】人手によって被覆シートを剥す方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0040】
1 トンネル開閉装置
2 トンネル支柱
3 ロープ案内杆
4 被覆シート
5 シート支持杆
6 駆動ロープ
7 ロープ巻取杆
8 ハンドル
【出願人】 【識別番号】506107128
【氏名又は名称】村岡 幸一
【出願日】 平成18年10月11日(2006.10.11)
【代理人】 【識別番号】100103399
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 清


【公開番号】 特開2008−92836(P2008−92836A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2006−277034(P2006−277034)