| 【発明の名称】 |
枝打ち作業者の労力軽減と安全を保証する昇木装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】白井 良一
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| 【要約】 |
【課題】安全、省力的にかつ効率よく樹木の枝打ち作業を行うことができる昇木(しょうぼく)装置を提供する。
【構成】昇木装置の駆動ユニット5と引寄せユニット6で昇木対象樹木2を挟み込み。枝打ち作業者4はゴンドラ8に搭乗し、運転スイッチ箱10を操作して上昇・静止・下降する。また、昇木装置に取り付けた発電器11または地面に置いた発電器12を動力源として昇木装置の運搬を行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 樹木の枝打ち作業者を、安全で且つ大きな労力を必要とせずに、枝打ちをする高所に持ち上げ、また、地上に帰還させる事を実現するため、動力を利用した昇木(しょうぼく)装置を提供する。 【請求項2】 枝打ち作業者が、樹木からの転落を防ぐための「掴まり動作」から解放され、安全性及び生産性が高い、両手を使った枝打ち作業に専念出来る昇木装置の提供。 【請求項3】 枝打ち作業者の下半身(両足及び腰部)を保持して身体を安定させ、上半身の自由な動きを可能とすることにより、チェンソーなどの作業能率の高い動力工具使用を可能とするゴンドラ構造。 【請求項4】 剥がれやすい樹皮の表面に接し、滑ることなく確実に上昇・静止・下降するための車輪機構部の構造。 【請求項5】 装置の故障やその他の原因で昇木装置が通常の運転速度を越えて降下した時は速度超過検出器が作動し、滑落防止装置が樹木を把持し、滑落の危険を回避させる構造。 【請求項6】 樹木の太さは、樹齢・土壌・日照条件などにより、個体ごとにそれぞれ異なるが、太さの違いに応じて調整し、太いものから細いものまで昇木対象範囲を広くするための調整構造。 【請求項7】 個々の昇木対象について、昇木中に変化する幹の太さ変化に対し、的確に追従して樹木を把持する引寄せ装置の構造。 【請求項8】 昇木装置が、発電機の停止などにより、通常操作での降下が不可能となったときに、安全に地上への帰還が出来る様に、重力で低速降下させる構造。 【請求項9】 動力源である発電器の設置方法は、(1)昇木装置に取り付ける方法(2)地面に置いてケーブルで電力供給する方法、の二つから作業する森林の状況に合わせて選択出来るようにした構造。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 営林事業の一つである樹木の枝打ち作業を、重労働と危険から解放し高い品質の樹木を育てるための、動力式昇木装置の原理構造に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来の作業では、枝打ち作業従事者が作業道具を持参して、木に昇り、そして降りる必要があった。そのため、いろいろな問題があった。 (1)昇木・降木は、重力に反して高所に昇るため、作業者は自己の体重を持ち上げるためのエネルギを必要とし、肉体的に大きな負担となる。 (2)枝の存在する高所に昇るため、常に転落の危険が伴う。 (3)枝打ち作業は、両足は枝や梯子の上に立って体重を支え、片手は転落を防ぐために幹や枝を掴んでいる。このため、枝打ち作業に使えるのは残った片手のみとなり、作業能率が上がらない。また、チェンソーなどの作業能率の高い動力工具使用を使用し辛く、能率の高い枝打ち作業が困難である。 これらの事により、枝打ち作業が敬遠され若年従事者の減少、すなわち森林事業の後継者不足の原因となっていた。林業の将来を長期的に推測すれば、山林を荒廃させることにより二酸化炭素の浄化作用の減少や、山林の保水力が低下して洪水等の自然災害の多発につながって行く。これらが、最終的には世界規模で温暖化を止めることが出来なくなり、生命を育んできた地球の存続が危ぶまれる。 以上のような問題が、昇木装置の発明のきっかけとなった。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 以上に述べた枝打ち作業は、地上での仕事と異なり、重労働且つ危険な作業であった。 【0004】 そのため、枝打ち作業をロボットで行う方法も実用化され、現在も利用されている。しかし、枝打ちの仕上がり優劣はその木の商品価値を決める重要な要素である。枝打ち部分の仕上がりの状態は、人間が目で確認しながら切断する方が良く、これが人手による枝打ち作業が必要とされる理由である。 【0005】 労力をかけずに高所に昇り、地上での作業と同じ安全な状態で枝打ちが可能であれば、営林作業の中でもっとも過酷な作業要素が緩和される事であろう。 【0006】 本発明は、このような従来の枝打ち作業が有していた問題を解決しようとするものである。 【課題を解決するための手段】 【0007】 上記課題の解決を達成するために、本発明では枝打ち作業者を搭乗させて、動力で木を昇る昇木装置を提供する。 【0008】 木の周りの円周をおおむね3等分した位置に3式の車輪機構部を配置し樹木を挟み込む構造である。 【0009】 3式の車輪機構部のうち、2式は電気モーターで回転駆動され、昇木の為の推進力を発生する役目を持つ、駆動ユニットである。駆動ユニットには、昇木装置の故障による滑落を防ぐための滑落防止装置を装備する。 【0010】 3式の車輪機構部のうち、残る1式は駆動はされず昇木の動作に合わせて車輪が自由回転するが、樹木の中心に向かってばねの力で押しつけられ、昇木装置を確実に樹木に保持させる、引寄せユニットである。 【0011】 引寄せユニットは引寄せフレームにより駆動ユニットに取り付けられるが、樹木の太さに合わせて適正な位置に選択・固定出来るように可動構造となっている。 【0012】 駆動ユニットは、通常運転では供給される電力によりタイヤを回転するが、電力の供給が絶たれたときはモーターを発電機とし、回生電力を抵抗器で消費させて自重による降下を可能とする。 【0013】 エネルギー源はガソリンエンジン発電器で発生した電力を使用するが、次の2方式を選択する。 (1)発電器を直接昇木装置に取り付けて電力を供給する方法。 (2)地面の上に置き給電ケーブルを伸ばして電力を供給する方法。 【0014】 昇木装置には、作業者の両足と腰部を支えるゴンドラが取り付けられ、安全な枝打ち作業を可能としている。 【発明の効果】 【0015】 本発明は、枝打ち作業者が昇木装置に搭乗し運転ボタン(上昇又は下降)を押すだけで希望する高さまで上昇し、作業し、且つ降下することが出来る昇木装置である。 【0016】 枝打ち作業者の両足及び腰を昇木装置のゴンドラ内にしっかりと固定することにより、上半身の自由な動きを可能としている。それにより、両手を使った枝打ち作業に専念することが出来る。 【0017】 このように、これまでは重労働で危険な作業を強いられてきた枝打ち作業であったが、昇木装置を使うことにより、最低限の労力で安全且つ生産性の高い枝打ち作業が可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0018】 以下、本発明の実施の形態を図1〜図18に基づいて説明する。 【0019】 〔図1〕において、昇木装置の概要を表す。2が昇木対象樹木である。それを5の駆動ユニット(2式)と6の引寄せユニットで樹木を挟み込んでいる。3の様に昇木対象樹木が太い場合は、引寄せユニットが9の位置まで後退し対応する。4の枝打ち作業者は8のゴンドラに搭乗し、10の運転スイッチ箱を操作して上昇・静止・下降する。 作業する森林は、傾斜の度合いや樹木の密集状況など、作業のために入山することが困難なところが多い。昇木装置を運搬する労力を少しでも減らすため、動力源である発電器の設置方法は森林の状況に合わせて次の二つから選択出来るようにした。(1)11の様に昇木装置に取り付ける方法。(2)12及び12Aの様に地面に置いてケーブルで電力供給する方法。これにより足元が不安定な森林内を、運搬物の重量を加減して移動することが可能である。 【0020】 〔図2〕において、(車輪機構部)駆動ユニットの詳細を示す。駆動ユニットは2式あり機器配置は左右対称形であるが、ここでは片側の図で説明する。14の駆動ユニットフレームには15の電動機と、13のタイヤが2個取り付けられている。電動機の軸には、16の電動機側スプロケットと、20のブレーキホイールが取り付けられている。 タイヤには17のタイヤ側スプロケットが取り付けられている。電動機の回転力は19のチェインでタイヤ側に伝えられる。この時、18のアイドルスプロケット(2個)は、チェインの巻き付け角と張力の調整を受け持つ。 【0021】 〔図3〕において、電動機ブレーキの解説をする。電動機の回転力はチェインでタイヤにつながっているので電動機にブレーキを掛けることはタイヤにブレーキを掛けることに等しい。21のバンドブレーキは23の引っ張りばねで20のブレーキホイールに巻き付いている。このため、ブレーキホイールは回転することが出来ない。ブレーキを弛める方法は二つある。 (その1)通常は24のソレノイドに通電し、26のブレーキ弛め方向の推力を発生して、ばねの力に打ち勝ってブレーキ弛め状態29にするものである。 (その2)停電時には27の手動弛めレバーを26のブレーキ弛め方向に押し、ばねの力に打ち勝ってブレーキ弛め状態29にするものである。 【0022】 〔図4〕において、滑落防止装置の基本構造を示す。駆動ユニットの中に30の速度超過検出装置と31の拘束ブレードが装備されている。 【0023】 〔図5〕において、32の上昇方向に移動中の場合は、33のブレードは、ブレード関連機構の自重で前進し34の様に軽く樹木の表皮に触れて、滑りながら上昇する。わざわざ上昇時にブレードを出しておくのは、滑落の危険が生じたときに、時間的なロスをゼロとして、いち早くブレードを樹木に食い込ませてゴンドラを樹木に拘束するためである。 【0024】 〔図6〕において、36のように下降方向に移動する場合は35の様にブレードが後退して、樹木から離れた状態で降下する。 【0025】 〔図7〕において、37の様に下降速度が設定値より超過したときは30の速度超過検出装置が作動し、33のブレードを前進させる。前進したブレードは樹皮を突き破り、38の様に樹木に食い込んで滑落を止める。 【0026】 〔図8〕において速度超過検出装置の構造を示す。39の速度検出車輪の回転は40の増速機で回転数を増し、42の錘回転板につながっている。回転板には、43の錘保持ピンを介して45の錘が2個取り付けられている。2個の錘は44の引っ張りばねで回転中心方向に寄せられている。 昇木装置が上下に移動すると、速度検出車輪39の回転は40の増速機、42の錘回転板と伝わり、45の錘が回転する。規定の回転数を超えると、44の引っ張りばねで内側に寄せられていた錘がばねの力に打ち勝って遠心力で46の様に外方向に広がる。 その結果48の様に内爪式外輪に錘が引っかかり、49の様に外輪が連れて回る。 なお、44の引っ張りばねの強さを変えることにより、速度超過検出装置の作動する速度を調整することが出来る。 【0027】 〔図9〕において、30の速度超過検出装置が作動したとき、31の拘束ブレードを作動させる構造を示した。速度超過検出装置が作動すると、51の連結ロッドを引っ張り、50のブレード旋回用アームを回転させる。アームは31の拘束ブレードとつながっており56の様に樹木方向に回転する。 【0028】 〔図10〕において(車輪機構部)引寄せユニットが樹木に対して押しつけの力を発生させる機構を解説する。本図では、樹木の反対側に位置する2式の駆動ユニットを省略してあるが、引寄せユニットフレーム57には、上下にそれぞれ1式のタイヤ保持機構を有する。 タイヤ13は、58のスイングアームにより保持されている。スイングアームは59のアーム旋回中心ピンを中心として回転することが出来る。上下のスイングアームは60の引っ張りばねにより緊張されている。このためタイヤは樹木方向に押さえ付けられる方向に力が作用する。 昇木装置では、昇木装置の自重と枝打ち作業者の体重により、樹木の片側に重心が偏るため、引寄せユニットは上部の方が大きな引寄せ力を必要とする。そのため、上下の機構では、上部車輪側アーム長さ63(L1)と64(L2)を変えてあり、同じばねの張力では、上部の方が大きな引寄せ力を得られるような構造である。 【0029】 〔図11〕では、引寄せユニットの上下のタイヤが、昇木中に樹木の太さ変化や凹凸に追従し、駆動ユニットの車輪がしっかりと樹木を捉えるようにする動きを解説したものである。駆動ユニット側は駆動ユニットフレーム14にタイヤ13が固定されているため、引寄せユニット側が変化に対応しなければならない。65は全体的に木が太い部分、66は全体的に木が細い部分、67は木の下部が上部より細い部分でそれぞれの動きを表している。 60の引っ張りばねは、後述する〔図12〕〜〔図15〕で説明するように、昇木装置を木にセットするまでは外しておき、引寄せユニットを木にセットしたあとでばねをセットする。その理由は、次項で述べる樹木の太さに対応するための調整を完了したあとで、引寄せの力を発生させるためである。 【0030】 〔図12〕では、昇木装置の段取り方法を解説する。まず、2の昇木対象樹木に68の駆動ユニットを樹木に接触させる。次に69の引寄せユニットを樹木に接触させる。 【0031】 〔図13〕では、駆動ユニットと引寄せユニットの連結方法を説明する。駆動ユニット側には70の連結メスパイプが装備され、71の固定穴が開けられている。引寄せユニット側には72の連結オスパイプがあり、連結オスパイプには73の様に等間隔で多数の調整穴が開けられている。これにより、樹木の太さに対して引寄せユニットの位置を調整出来るようになっている。 【0032】 〔図14〕では、連結メスパイプと連結オスパイプの固定方法を説明する。メスパイプにオスパイプを差し込んだあと、74の固定ピンを差し込み、安全のため75の抜け止め金具を取り付ける。 【0033】 〔図15〕では、結合された駆動ユニットと引寄せユニットに対し、60の引っ張りばねをセットする。以上の段取りが終わったあと、4の枝打ち作業者が搭乗する。 【0034】 〔図16〕では、トラブルで昇木装置の電源が途絶え、通常の降下が出来なくなったときの自重下降するための方法を説明する。82がエンジン発電器である。 84の各駆動ユニットには、78の電磁接触器のコイルが結線され、発電器からの電力があれば77の直流電動機は83の電動機駆動制御回路に接続されることになる。発電機からの電力供給が止まると、電磁接触器は81可変抵抗器に接続される。自重降下する場合、樹木に接しているタイヤが回転すると、直流電動機77が発生する電力は可変抵抗器81で熱に変換される。したがって電動機の回転速度が制限され、ゆっくりとした速度で地上に戻ることが出来る。 【0035】 〔図17〕では、運用の状況と機器作動の状況を一覧表として纏めた。 【0036】 〔図18〕では、滑落防止装置のブレードを後退させる方法を解説する。 (1) 通常の下降時は、85のソレノイドに通電・吸引され、35のようにブレードが後退する。 (2) 停電時は、87のブレード手動後退レバーを88の方向に動かし、35のようにブレードを後退させる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の実施形態を示す昇木装置の平面図・立面図 【図2】 同 (車輪機構部)駆動ユニットの説明図 【図3】 同 モーター軸バンドブレーキの構造図 【図4】 同 滑落防止装置の構造図 【図5】 同 上昇時に於ける滑落防止装置の状態 【図6】 同 下降時に於ける滑落防止装置の状態 【図7】 同 降下速度超過時に於ける滑落防止装置の作動状況 【図8】 同 速度超過検出器の構造 【図9】 同 滑落防止装置の構造と作動状況 【図10】 同 (車輪機構部)引寄せユニットの構造 【図11】 同 樹木の太さ変化や表面の凹凸に対する追従性説明 【図12】 同 対象樹木に駆動ユニット及びゴンドラと引寄せユニットをセットする手順 【図13】 同 連結部の調整構造 【図14】 同 連結部の固定方法 【図15】 同 樹木に昇降装置をセットし枝打ち作業者が搭乗 【図16】 同 停電時に昇木装置と枝打ち作業者を自重降下させるための回生制動回路 【図17】 同 昇木装置運用の状況と機器作動の状況関連表 【図18】 同 滑落防止装置のブレードを後退させる方法
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| 【出願人】 |
【識別番号】503207326 【氏名又は名称】白井 良一
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| 【出願日】 |
平成19年7月2日(2007.7.2) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−67691(P2008−67691A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月27日(2008.3.27) |
| 【出願番号】 |
特願2007−198121(P2007−198121) |
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