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【発明の名称】 防草シート
【発明者】 【氏名】大村 剛

【氏名】中村 康雄

【氏名】田中 雅章

【要約】 【課題】雑草の成長を抑制することができる防草シートを提供すること。

【構成】本発明にかかる防草シートは、固化材袋に入れて作製できる。固化材は、加圧流動床石炭灰や高炉スラグ微粉末等を使用することが好ましい。また、袋は、ポリエステル等の合成繊維性の布や生分解性の材料を有することが好ましい。袋の中の固化材を均等に配置するためには、袋の内部を2個以上の空間に区分し、区分した各空間の中に固化材を配置すればよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固化材と前記固化材を入れる袋を有する防草シートであって、
前記固化材が、加圧流動床石炭灰(PFBC灰)を含有すること、
を特徴とする防草シート。
【請求項2】
前記固化材が、高炉スラグ微粉末をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の防草シート。
【請求項3】
前記袋が、少なくとも一部に合成繊維の布を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の防草シート。
【請求項4】
前記袋が、少なくとも一部に生分解性の材料を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の防草シート。
【請求項5】
前記袋の内部が2個以上の空間に区分され、
区分された各空間の中に、前記固化材が配置されていること、
を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防草シート。
【請求項6】
前記防草シートの厚さが、3〜5mmであることを特徴とする請求項5に記載の防草シート。
【請求項7】
所定の場所に、固化材を含む袋を敷き、前記固化材を固化させることによって、前記場所における雑草の成長を抑制する方法であって、
前記固化材が、加圧流動床石炭灰(PFBC灰)であること、
を特徴とする雑草成長抑制方法。
【請求項8】
前記固化材が、高炉スラグ微粉末をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の雑草成長抑制方法。
【請求項9】
前記袋が、少なくとも一部に合成繊維の布を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の雑草成長抑制方法。
【請求項10】
前記袋が、少なくとも一部に生分解性の材料を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の雑草成長抑制方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧流動床石炭灰(PFBC灰)を含む防草シートに関する。
【背景技術】
【0002】
水力発電所等の巡視路は、巡視するための道を確保するために、定期的に除草を行わなければならない。しかしながら、これらの巡視路の多くは、道幅が狭く、また、斜面が急であるため、車両を用いて除草を行うことができない。そのため、これらの巡視路における除草には、多大な費用と労力を必要とする。
【0003】
近年、雑草の成長を抑える手段として、人手による雑草除去や除草剤の使用に代わって、シート、ブロック、又はコンクリートが使用されている(例えば、特許文献1及び2参照)。例えば、防草シートとして、合成樹脂製のシート、鉄板製のシート、又は紙製のシート等が考案されている(例えば、特許文献3〜7参照)。
【特許文献1】特願平5−67005号公報
【特許文献2】特願2001−220656号公報
【特許文献3】特願平10−35292号公報
【特許文献4】特願2000−322741号公報
【特許文献5】特願2002−147873号公報
【特許文献6】特願2002−383370号公報
【特許文献7】特願2003−340969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、現在考案されている防草シートは、平面タイプのものであるため、防草したい地盤の凹凸に対応できない。また、タバコのポイ捨て等によって引火したり、紫外線等による劣化によって強風時に飛散したりするものもある。このため、雑草の成長を効率的に抑制させることができ、また、安全にかつ長期間使用できる防草シートの開発が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、雑草の成長を効果的に抑制させることができる防草シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる防草シートは、固化材と前記固化材を入れる袋を有する防草シートであって、前記固化材が、加圧流動床石炭灰(PFBC灰)を含有することを特徴とする。前記固化材は、高炉スラグ微粉末をさらに含有していてもよい。前記袋は、少なくとも一部に合成繊維の布を有することが好ましい。あるいは、前記袋は、少なくとも一部に生分解性の材料を有することが好ましい。
【0007】
また、前記防草シートは、前記袋の内部が2個以上の空間に区分され、区分された各空間の中に、前記固化材が配置されていることを特徴とする。ここで、前記防草シートの厚さは、3〜5mmであることが好ましい。
【0008】
本発明にかかる雑草成長抑制方法は、所定の場所に、固化材を含む袋を敷き、前記固化材を固化させることによって、前記場所における雑草の成長を抑制する方法であって、前記固化材が、加圧流動床石炭灰(PFBC灰)であることを特徴とする。前記固化材は、高炉スラグ微粉末をさらに含んでいてもよい。前記袋は、少なくとも一部に合成繊維の布を有することが好ましい。あるいは、前記袋は、少なくとも一部に生分解性の材料を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって、雑草の成長を効果的に抑制させることができる防草シートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、好ましい実施の形態につき、添付図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明において記載する「雑草」は、土壌等に生育している植物であれば、特に限定されない。
【0011】
==防草シートの作製==
図1は本発明の一実施形態として説明する防草シートの構成図を示す。図1に示すように、本発明にかかる防草シート100は、固化材10(図示していない)と固化材10を入れる袋20を含む。
【0012】
固化材10は、自硬性を有する材料であれば何でもよく、例えば、加圧流動床石炭灰(PFBC灰)、高炉スラグ微粉末、セメント等が挙げられる。ここで、加圧流動床石炭灰(PFBC灰)は、一般の石炭灰に比べて主成分のCaO量が多く、水との接触によって固化する自硬性を有し(特開平11-1477747号公報及び特開平11-012000号公報を参照のこと)、水を添加すると固化材10は固化し、その外観はコンクリートに類似する。また、加圧流動床石炭灰(PFBC灰)と高炉スラグ微粉末との混合物は、加圧流動床石炭灰(PFBC灰)を単独で使用した時よりも高い硬度を有する(以下の実施例2を参照のこと)。従って、加圧流動床石炭灰(PFBC灰)を固化材10として用いてもよいが、加圧流動床石炭灰(PFBC灰)と高炉スラグ微粉末との混合物を固化材10として用いることが好ましい。なお、加圧流動床石炭灰(PFBC灰)と高炉スラグ微粉末との混合物は、加圧流動床石炭灰(PFBC灰):高炉スラグ微粉末=70:30の質量比率で作製されていることが好ましい。このように、初め粉末であった固化材10を固化させて用いるので、対象域の地盤の形状にあわせて固化材を作製することができる。従って、このようにして作製した防草シートを用いれば、どんなに複雑な地盤(例えば、凹凸を有する地盤等)においても防草を実施することができる。また、加圧流動床石炭灰(PFBC灰)又は高炉スラグ微粉末等の廃棄物を固化材として使用できるので、コスト面において有用であるだけでなく、これらの固化材は燃焼しないので、タバコのポイ捨て等による引火を回避することができる。
【0013】
固化材10を入れる袋20は、紫外線によって劣化しない合成繊維(例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン等)で作製されていることが好ましい。一方、雑草の成長を抑制させたい場所(以下、「対象域」ともいう)に袋20を残存させたくない場合は、袋20は、生分解性の材料で作製されていることが好ましい。ここで、生分解性の材料とは、トウモロコシ等の植物を原料としたポリ乳酸繊維等が挙げられる。生分解性の材料を袋20に用いると、袋20は土壌中の微生物によって分解されて、その結果、袋20の内容物のみ(例えば、固化材10等)が対象域に残る。袋20の色は、袋草シートを設置した場所の美観を保つために、対象域の外観と一体化するような色を選択することが好ましい。
【0014】
防草シート100は、十分な防草効果をもたらすために、少なくとも約5〜10mmの厚さを有するのが好ましい。また、防草シート100の大きさ(袋20の大きさ)は、防草シート100の対象域への設置作業状況(例えば、作業効率等)を考えて、適宜変更できる。
【0015】
袋20の内部に偏りなく固化材10を配置するためには、縫合したりして、袋20の内部を2個以上の空間に区分し、区分した各空間に対して固化材20を配置するか、又は、予め袋20に固化材10を入れて、袋20に固化材10を均等に配置させた後に、袋20の外側から防草シート100を縫合して袋20の内部を2個以上の空間に区分してもよい。このようにして袋20の内部が区分されていると、少量の固化材10を袋20の内部に均等に配置させることができ、その結果、防草シート100の厚さを約3〜5mmまで低減させることが可能になる。
【0016】
さらに、袋20の内部の区切りの数を増やせば、少ない量の固化材を袋20の内部に均等に配置させることができる。従って、本発明は、軽量な防草シートを提供することができる。袋20の区切りの数が多くなり、防草シート100の外観上の美観が損なわれる場合には、紫外線によって劣化しない合成繊維を袋20に用いればよい。
【0017】
このように、本発明にかかる防草シートを用いれば、防草の維持管理を容易に行うことができる。
【0018】
==防草シートの使用方法==
次に、防草シートの使用方法の例について、図1〜図4を用いて説明する。
【0019】
まず、対象域に防草シート100を敷く。隣接する防草シート100の間に隙間があると、その隙間から雑草が生えるので、防草シート100と防草シート100との間に隙間を作らないように、防草シート100の端を重ねるようにして、対象域に1枚ずつ防草シート100を敷くのが好ましい(図4を参照のこと)。
【0020】
次に、防草シート100内に含まれる固化材(例えば、加圧流動床石炭灰、高炉スラグ微粉末等)を固化させるために、固化材を固化させるのに必要な量の水を防草シート100に接触させる。例えば、加圧流動床石炭灰を固化材として使用する場合には、加圧流動床石炭灰1000gに対して350〜500gの水を、加圧流動床石炭灰及び高炉スラグ微粉末の混合物を固化材として使用する場合には、加圧流動床石炭灰700g及び高炉スラグ微粉末300gに対して350〜500gの水を供給すればよい。なお、固化材を固化させる際には、雨水や、空気中に含まれる湿気によって自然に固化させてもよい。また、固化材を固化させる際に使用する水の水温は、特に限定されない。
【実施例】
【0021】
<実施例1:加圧流動床石炭灰を含む防草シート>
(1)使用材料
表1に示す材料を用いて、防草シートを作製した。なお、また、エコスター(生分解性土のう)は市販のものを使用した。
【表1】


【0022】
(2)実験方法
表2に示すように、前述(1)に記載の土のう(袋20に対応)に3884gの原粉(加圧流動床石炭灰(PFBC灰))を入れたものを種類「P5」とした。また、前述(1)に記載の土のうに7767gの原粉(加圧流動床石炭灰(PFBC灰))を入れたものを種類「P10」とした。土のうの厚みは、P5では5mm、P10では10mmであった。
【0023】
その後、図1に示すように、原粉(加圧流動床石炭灰(PFBC灰))がこぼれないように、土のうの上部を両面テープで固定した。
【表2】


【0024】
次に、図2〜4に示すように、防草シートの端が重なるようにして、また、原粉(加圧流動床石炭灰(PFBC灰))が土のうの内部に均一に配置されるようにして、防草シートを対象域に設置した。その後、各防草シートに水を適量散布し、防草シート内の原粉(加圧流動床石炭灰(PFBC灰))を固化させた。
【0025】
水粉体比(水結合材比)を50%とし、防草シートの固化部分を模擬したφ100×200mmの円柱試験体(材齢7〜91日)を用いて、防草シートの強度を測定したところ、本発明にかかる防草シートの強度は5〜7N/mm2であり、一般のコンクリートの強度(21〜24N/mm2)と比較すると、約1/4倍の強度であった。また、本発明にかかる防草シートの外観は、コンクリートに類似していた。
【0026】
(3)防草シートのコスト評価
さらに、本発明にかかる防草シートのコストについて検討した。その結果を図5に示す。
【0027】
従来のコンクリート設置方法(コンクリート打設モルタル吹付)は1平方メートルあたり4500円〜5000円であるのに対し、本発明にかかる防草シートは、1平方メートルあたり400円のコストであった。このコストは、人手による除草作業のコスト(1平方メートルあたり300円)とほぼ同等であった。以上の結果より、本発明にかかる防草シートは、従来のコンクリートに比べ、コストの面からも有用であることが明らかになった。
【0028】
<実施例2:加圧流動床石炭灰及び高炉スラグ微粉末を含む防草シート>
(1)使用材料
表3に示す材料を用いて、防草シートを作製した。
【表3】


【0029】
(2)実験方法
表4に示すように、(1)に記載の土のう(袋20に対応)に3107gの原粉(加圧流動床石炭灰(PFBC灰))とスラグ微粉末6000(高炉スラグ微粉末(BF))を入れたものを種類「PBF5」とし6214gの原粉(加圧流動床石炭灰(PFBC灰))とスラグ微粉末6000(高炉スラグ微粉末(BF))を入れたものを種類「PBF10」とした。なお、原粉(加圧流動床石炭灰(PFBC灰))とスラグ微粉末6000(高炉スラグ微粉末(BF))との体積比は、8:2になるように調整した。土のうの厚みは、PBF5では5mm、PBF10では10mmであった。その後、図1に示すように、原粉(加圧流動床石炭灰(PFBC灰))とスラグ微粉末6000(高炉スラグ微粉末(BF))がこぼれないように、土のうの上部を両面テープで固定した。
【表4】


【0030】
次に、図2〜4に示すように、防草シートの端が重なるようにして、また、原粉(加圧流動床石炭灰(PFBC灰))とスラグ微粉末6000(高炉スラグ微粉末(BF))が土のうの内部に均等に配置されるようにして、防草シートを対象域に設置した。
【0031】
その後、各防草シートに水を適量散布し、防草シート内の原粉(加圧流動床石炭灰(PFBC灰))とスラグ微粉末6000(高炉スラグ微粉末(BF))を固化させた。
【0032】
水粉体比(水結合材比)を50%とし、防草シートの固化部分を模擬したφ100×200mmの円柱試験体(材齢7〜91日)を用いて、防草シートの強度を測定したところ、本発明にかかる防草シートの強度は10〜13N/mm2であった。この強度は、実施例1に記載の原粉(加圧流動床石炭灰(PFBC灰))を有する防草シートの強度(5〜7N/mm2)と比較すると、約2倍高かった。また、本発明にかかる防草シートの外観は、コンクリートに類似していた。以上の結果より、原粉(加圧流動床石炭灰(PFBC灰))にスラグ微粉末6000(高炉スラグ微粉末(BF))を添加すれば、より高い強度の防草シートを提供できることが明らかになった。
【0033】
<実施例3:区分された防草シートの作製>
原粉(加圧流動床石炭灰(PFBC灰))、又は原粉(加圧流動床石炭灰(PFBC灰))及びスラグ微粉末6000(高炉スラグ微粉末(BF))が土のうの内部に均等に配置されるように、図6に示すように、縫合して、土のうの内部を格子状に6個に区分した。なお、使用した土のうは、実施例1又は実施例2に示す通りである。その後、原粉(加圧流動床石炭灰(PFBC灰))、又は原粉(加圧流動床石炭灰(PFBC灰))及びスラグ微粉末6000(高炉スラグ微粉末(BF))を区分された各土のうの内部に入れ、粉末がこぼれないように、土のうの上部を両面テープで固定した。作製された防草シートの厚さは、5mmであった。このようにして、防草シートの内部を多数の空間に区分することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態として説明する防草シートを示す図である。防草シートの厚さは10mmである。
【図2】本発明の一実施形態において、対象域に設置した防草シートを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態において、対象域に設置した防草シートの全体像を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態において、対象域に設置した防草シートの拡大を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態において、除草作業のコストを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態において、6個に区分された防草シートを示す図である。防草シートの厚さは5mmである。
【符号の説明】
【0035】
10 固化材
20 袋
100 防草シート
【出願人】 【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
【出願日】 平成18年9月6日(2006.9.6)
【代理人】 【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人


【公開番号】 特開2008−61555(P2008−61555A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−241997(P2006−241997)