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【発明の名称】 接着剤
【発明者】 【氏名】河野 剛

【要約】 【課題】植物の育成を阻害せず、土中に長期残存せず、安価でかつ耐水性に優れた緑化基盤材用接着剤を提供する。

【構成】pH6以下に調整されたリグニンスルホン酸塩またはリグニンスルホン酸と、ケイ酸アルカリからなる緑化基盤材用接着剤を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
pH6以下に調整されたリグニンスルホン酸塩またはリグニンスルホン酸と、ケイ酸アルカリからなることを特徴とする、緑化基盤材用接着剤。
【請求項2】
前記リグニンスルホン酸塩またはリグニンスルホン酸がpH1〜5である、請求項1記載の緑化基盤材用接着剤。
【請求項3】
前記リグニンスルホン酸塩が、リグニンスルホン酸カルシウムまたはリグニンスルホン酸ナトリウムである、請求項1または2いずれか記載の緑化基盤材用接着剤。
【請求項4】
前記ケイ酸アルカリが、ケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウムである、請求項1〜3のいずれか記載の緑化基盤材用接着剤。
【請求項5】
前記リグニンスルホン酸塩またはリグニンスルホン酸と、ケイ酸アルカリが粉末である、請求項1〜4いずれか記載の緑化基盤材用接着剤。
【請求項6】
前記リグニンスルホン酸塩またはリグニンスルホン酸と、ケイ酸アルカリが水溶液であり、使用前は分離されており、使用時に混合する、請求項1〜4いずれか記載の緑化基盤材用接着剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、緑化基盤材用の接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、道路の側の法面、公園の地面、屋上のコンクリート面などに、バーク堆肥などの木質系材料に接着剤を混合したものを、吹きつけ等によって表面に貼り付けて緑化基盤材にする工法が広く行われている。かかる緑化基盤材用接着剤として、これまで合成樹脂やセメントが使用されてきた。
【0003】
しかし、合成樹脂は土中で生分解されずいつまでも残存し環境によくない。また、高価である。一方、セメントは、安価であるが、植物の育成を阻害する。緑化基盤材用の最適な接着剤が見出されていないのが現状である。
【0004】
リグニンスルホン酸塩またはリグニンスルホン酸は、植物に対して無害で、かつ木質系材料とも土などの無機系材料ともなじみがよい、生分解する、また安価である。緑化基盤材用接着剤として期待ができるが、常温で使用した場合耐水性が低いという欠点がある。
【0005】
ケイ酸アルカリは、無機系材料の好適な接着剤となりうる、また安価であるが、やはり耐水性が低い。更に、アルカリ性が強く植物の育成にも悪影響を及ぼす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、植物の育成を阻害せず、土中に長期残存せず、安価でかつ耐水性に優れた緑化基盤材用接着剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意研究により、pH6以下に調整されたリグニンスルホン酸塩またはリグニンスルホン酸とケイ酸アルカリとを併用することにより、耐水性が飛躍的に向上することを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、pH6以下に調整されたリグニンスルホン酸塩またはリグニンスルホン酸と、ケイ酸アルカリからなることを特徴とする、緑化基盤材用接着剤である。
【0009】
本発明で使用されるリグニンスルホン酸は、植物の主成分の一つであるリグニンのスルホン化物で、通常工業的には、亜硫酸パルプ化法によるパルプ廃液を精製して得られる。しかし、必ずしもそれに限定するものではなく、例えば植物から直接抽出したリグニンをスルホン化しても良い。
本発明のリグニンスルホン酸塩またはリグニンスルホン酸は、pH6以下であり、好ましくはpH1〜6以下である。好ましい例として、リグニンスルホン酸をアルカリ物質で部分的に中和したものがあげられる。しかし、必ずしもこれに限定されず、例えば、完全中和したリグニンスルホン酸塩を、再度、目的のpHに調整し直したものでもよい。
本発明におけるリグニンスルホン酸塩として、リグニンスルホン酸カルシウム、リグニンスルホン酸ナトリウムが好ましく、特にリグニンスルホン酸カルシウムが好ましい。
【0010】
本発明におけるケイ酸アルカリとしては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムが好ましく、ケイ酸ナトリウムが特に好ましい。
【0011】
本発明の接着剤の、リグニンスルホン酸塩またはリグニンスルホン酸とケイ酸アルカリの使用割合は、重量比で、リグニンスルホン酸またはリグニンスルホン酸塩:ケイ酸アルカリ=1:10〜10:1が好ましく、1:2〜5:1がより好ましい。
【0012】
次に、本発明の接着剤の好ましい使用形態は、リグニンスルホン酸塩またはリグニンスルホン酸及びケイ酸アルカリが共に粉末である。この場合、リグニンスルホン酸またはリグニンスルホン酸塩とケイ酸アルカリとは使用前は分離しておくのが好ましい。しかし、リグニンスルホン酸またはリグニンスルホン酸とケイ酸アルカリとが使用以前から混合されていても構わない。但し、この場合は、両者が化学反応する恐れがあり長期保存ができない。
【0013】
本発明の接着剤の、別の好ましい使用形態は、リグニンスルホン酸塩またはリグニンスルホン酸及びケイ酸アルカリが水溶液であり、使用前は分離されており使用時に混合するというものである。水溶液の場合、リグニンスルホン酸またはリグニンスルホン酸塩とケイ酸アルカリは直ちに中和反応するので、使用前は必ず分離されていなければならない。
【0014】
次に、本発明の接着剤が使用される基材であるが、樹皮や樹皮を堆肥化したものなど木質系材料が好ましいが、必ずしもそれに限定されるものではなく、動物系肥料、化学肥料、無機系材料など緑化基盤材として使用可能なあらゆるものが対象となる。
【0015】
本発明の接着剤の使用量は、目的とする緑化基盤材の耐水性、強度によって異なるが、通常、乾燥重量比で、基材に対して0.05〜5重量%の使用が好ましく、0.2〜1重量%の使用がより好ましい。
【0016】
本発明の接着剤の基材への混合方法は、例えば、混錬機に基材と接着剤を投入して、接着剤が均一になるまで混錬する方法が挙げられる。しかし、これに限定するものではなく、接着剤が基材に均一に混合できるあらゆる方法が対象となる。
【0017】
本発明の接着剤を基材へ混合するとき、水分量を調整する必要がある。水分量は、接着剤が溶けて化学反応をするのに十分な量必要である。使用する基材により、好ましい量は異なるが、例えば、基材が樹皮の場合、基材に対して40〜100重量%の水分量が好ましい。
【0018】
本発明の接着剤を使用した、緑化基盤材の作り方は、例えば吹き付け工法など、従来の緑化基盤材のあらゆる方法が適用できる。
【0019】
本発明の接着剤が、優れた耐水性を発揮する理由は必ずしも明らかでないが、水溶性のケイ酸塩が、酸性のリグニンスルホン酸塩またはリグニンスルホン酸によって中和され不溶性になることが深く関係していると考えられる。かかる反応によって、リグニンスルホン酸塩またはリグニンスルホン酸も何らかの作用を受け、ケイ酸塩とリグニンスルホン酸塩またはリグニンスルホン酸とが、相乗的に緑化基盤材の強度と耐水性に寄与するものと考えられる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば次のような効果がある。
(1)本発明の接着剤は、耐水性に優れた緑化基盤剤を提供する。
(2)本発明の接着剤は、土中で生分解し環境に良い。
(3)本発明の接着剤は、植物の育成を妨げない。
(4)本発明の接着剤は、安価である。
(5)本発明の接着剤は、強度の優れた緑化基盤剤を提供する。
【本発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に実施例により本発明を更に詳しく説明する。
実施例及び比較例では、いずれも、バーク堆肥を基材とし、接着剤をバーク堆肥乾燥重量に対し0.5重量%使用し、水分量はバーク堆肥乾燥重量と同量になるようにした。かかる配合量の試料を手でよく混合した後、シャーレにとって押し固める。それを、1週間自然乾燥させて、固着した緑化基盤剤を得る。
こうして得られた緑化基盤材を、降水試験する。降水試験の方法は、緑化基盤材にシャワーで15分間散水し、緑化基盤材の残存率を測定する。本発明においては、残存率は、使用したバーク堆肥の乾燥重量に対する、散水後に残存したバーク堆肥の乾燥重量の%で求めた。
【0022】
実施例1
リグニンスルホン酸を部分的にカルシウム塩化したpH5のリグニンスルホン酸カルシウムの粉末と、ケイ酸ナトリウムの粉末との重量比が、2:1である本発明の接着剤を使用して、上記方法で緑化基盤剤を作り降水試験を行った。
このときの、残存率は85%であった。
【0023】
実施例2
リグニンスルホン酸を部分的にカルシウム塩化したpH3のリグニンスルホン酸カルシウムの粉末と、ケイ酸ナトリウムの粉末との重量比が、2:1である本発明の接着剤を使用して、上記方法で緑化基盤剤を作り降水試験を行った。
このときの、残存率は95%であった。
【0024】
比較例1
リグニンスルホン酸を部分的にカルシウム塩化したpH3のリグニンスルホン酸カルシウムの粉末を接着剤として使用し、上記方法で緑化基盤剤を作り降水試験を行った。
このときの、残存率は25%であった。
【0025】
比較例2
ケイ酸ナトリウムの粉末を接着剤として使用し、上記方法で緑化基盤剤を作り降水試験を行った。
このときの、残存率は0%であった。
【0026】
比較例3
市販の、酢酸ビニルエチレン共重合樹脂を主成分とする緑化基盤材用接着剤を使用し、上記方法で緑化基盤剤を作り降水試験を行った。
このときの、残存率は70%であった。
以上の例から、本発明の接着剤が耐水性に優れていることがわかる。
【出願人】 【識別番号】504182945
【氏名又は名称】株式会社フォー・テック
【識別番号】500068913
【氏名又は名称】河野新素材開発株式会社
【出願日】 平成18年8月11日(2006.8.11)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−43313(P2008−43313A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−243431(P2006−243431)