| 【発明の名称】 |
香気物質導入方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】秋山 英郎
【氏名】辻 和之
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| 【要約】 |
【課題】植物500から発散する香気物質の濃度および成分を所望に調整することができる。
【構成】香気物質を植物500に導入して植物500から発散させる香気物質導入方法であって、香気物質をイオン化して保持した作用側電極構造体200および、電解液を保持した非作用側電極構造体300を有するイオントフォレーシス装置10を準備する準備手順と、作用側電極構造体200および非作用側電極構造体300の少なくとも一部を植物500に接触させる接触手順と、作用側電極構造体200と非作用側電極構造体300との間に電力を供給する電力供給手順とを備える香気物質導入方法が提供される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 香気物質を植物に導入して前記植物から発散させる香気物質導入方法であって、 前記香気物質を保持した作用側電極構造体、および、電解液を保持した非作用側電極構造体を有するイオントフォレーシス装置を準備する準備手順と、 前記作用側電極構造体および前記非作用側電極構造体の少なくとも一部を前記植物に接触させる接触手順と、 前記作用側電極構造体と前記非作用側電極構造体との間に電力を供給する電力供給手順と を備える香気物質導入方法。 【請求項2】 前記香気物質は、前記植物自体が生成して発散する香気物質と同じ物質を含む請求項1に記載の香気物質導入方法。 【請求項3】 前記香気物質は、前記植物自体が生成しない香気物質を含む請求項1に記載の香気物質導入方法。 【請求項4】 前記香気物質は、人体に知覚される香料を含む請求項1に記載の香気物質導入方法。 【請求項5】 前記香気物質は、忌避剤を含む請求項1に記載の香気物質導入方法。 【請求項6】 前記接触手順において、前記作用側電極構造体を前記植物の葉に接触させる請求項1に記載の香気物質導入方法。 【請求項7】 前記接触手順において、前記作用側電極構造体を前記植物の幹の根元部分に接触させる請求項1に記載の香気物質導入方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、香気物質導入方法に関する。特に本発明は、香気物質をイオントフォレーシスにより植物の根、茎、葉もしくは果実など各部の表面から導入する方法に関する。 【背景技術】 【0002】 植物の内部に栄養剤または活性剤などの物質を導入する方法としては、水などの溶媒に溶解した溶液を土壌灌注または葉面散布する方法が知られている。また、上記物質を溶解した溶液を含む香気物質溶液を樹木等に対して加圧注入する香気物質溶液注入装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。 【特許文献1】特開2005−59882号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 上記特許文献1に開示されている香気物質溶液注入装置は、ノズルを樹木等の幹に差し込んで香気物質溶液を注入する装置であり、茎の細い植物に用いたり、葉面などに直接香気物質溶液を注入することが困難である。また、当該装置は、防虫剤、殺虫剤、栄養剤、活性剤などを樹木等に注入することで樹木等の樹勢回復、成長促進、および、樹木内部における防虫・殺虫などを目的としたものであり、樹木等を含む植物に注入した物質を植物から発散させることによる効果を想定したものではない。 【課題を解決するための手段】 【0004】 上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、香気物質を植物に導入して植物から発散させる香気物質導入方法であって、香気物質をイオン化して保持した作用側電極構造体、および、電解液を保持した非作用側電極構造体を有するイオントフォレーシス装置を準備する準備手順と、作用側電極構造体および非作用側電極構造体の少なくとも一部を植物に接触させる接触手順と、作用側電極構造体と非作用側電極構造体との間に電力を供給する電力供給手順とを備える香気物質導入方法が提供される。このような香気物質導入方法によれば、植物から発散する香気物質の濃度および成分を所望に調整することができる。 【0005】 また、上記の香気物質導入方法において、香気物質は、植物自体が生成して発散する香気物質と同じ物質を含んでもよい。これにより、植物自体が生成して発散する香気物質をその植物に導入して、その濃度および成分を所望に調整することができる。 【0006】 また、上記の香気物質導入方法において、香気物質は、植物自体が生成しない香気物質を含んでもよい。これにより、植物自体が生成しない香気物質をその植物に導入することができるので、任意の植物から所望の香気物質を発散させることができる。 【0007】 また、上記の香気物質導入方法において、香気物質は、人体に知覚される香料を含んでもよい。これにより、植物から発散される香気物質によって、精神安定など人体にとって好ましい効果を得ることができる。 【0008】 また、上記の香気物質導入方法において、香気物質は、忌避剤(動物忌避剤、害虫忌避剤など)を含んでもよい。これにより、植物から発散される香気物質によって、植物に対する病害虫などを減らすことができる。 【0009】 また、上記接触手順において、作用側電極構造体を植物の葉に接触させてもよい。これにより、上記の香気物質導入方法を用いて導入した香気物質が植物から発散されるまでの時間を短縮することができる。 【0010】 また、上記接触手順において、作用側電極構造体を植物の幹の根元部分に接触させてもよい。これにより、上記の香気物質導入方法を用いて導入した香気物質を植物全体から発散させることができる。 【0011】 なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。 【0012】 また、本明細書において「植物」は、植物の語自体から認識され得るものを包括的に含めた意味であり、樹木、花卉など分類学上の植物等を意味する。 【0013】 また、本明細書において、「香気物質」は、水または脂質に対して可溶性で分子量がおよそ1500以下の物質であり、植物の維管束系の組織に取り込まれた場合に、少なくともその一部がその植物から発散される物質を意味する。 【0014】 また、本明細書において、「香気物質イオン」は、香気物質がイオン解離することにより生じるイオンであって、香気物質の効能を担うイオンを意味する。香気物質の香気物質イオンへの解離は、香気物質を水、アルコール類、酸、またはアルカリなどの溶媒に溶解させることにより生じるものであってもよく、さらに電圧の印加またはイオン化剤の添加等により生じるものであってもよい。 【0015】 また、本明細書における「香気物質溶液」は、香気物質イオンを含む液体または固体をいい、香気物質を溶媒に溶解させた溶液、および、香気物質が液状である場合における原液などの液体状態のものだけでなく、香気物質の少なくとも一部が香気物質イオンに解離する限り、香気物質を溶媒等に懸濁または乳濁させたもの、および、軟膏状、ペースト状またはゲル状に調製されたものなど種々の状態のものを含む。 【0016】 また、本明細書における「第1導電型」は、プラスまたはマイナスの電気極性を意味し、「第2導電型」は、第1導電型と反対の導電型(マイナスまたはプラス)を意味する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0017】 以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。 【0018】 本実施形態の香気物質導入方法において、まず、以下に説明するイオントフォレーシス装置10を準備する。図1は、イオントフォレーシス装置10の斜視図を示す。また、図2は、イオントフォレーシス装置10の使用状態における外観図を、図3は、イオントフォレーシス装置10の上面図をそれぞれ示す。イオントフォレーシス装置10は、香気物質を植物500に導入して植物500から発散させる場合に供される装置の一例である。図1に示すように、イオントフォレーシス装置10は、固定バンド51、52、53、電源部60、作用側電極構造体200および非作用側電極構造体300とを備える。 【0019】 固定バンド51、52、53は、例えば発泡ポリウレタンなどの柔軟な素材が用いられ、後述する作用側電極構造体200の第三支持体85、および、非作用側電極構造体300の第三支持体86と一体的に形成されている。固定バンド51は、その一方の端部54に面ファスナー90のループ面91が粘着または縫い付けなどの方法で固定されている。また、固定バンド51は、その他方の端部57におけるループ面91が固定されている面と反対側の面に面ファスナー90のフック面94が粘着または縫い付けなどの方法で固定されている。固定バンド52、53は、それぞれの一方の端部55、56に面ファスナー90のループ面92、93が、他方の端部58、59に面ファスナー90のフック面95、96が、固定バンド51と同様の配置および方法で固定されている。 【0020】 作用側電極構造体200は、基体412および集電体420を含む電極部材402を有し、非作用側電極構造体300は、基体413および集電体430を含む電極部材403を有する。基体412、413は、例えばPET樹脂などの可撓性および電気絶縁性を有する材料で形成される。集電体420は、例えばカーボン粉などの導電粉を含有する導電塗料を、印刷などの方法で基体412の片側の面上に塗膜して形成される。集電体430は、集電体420と同様の材料および方法で基体413の片側の面上に塗膜して形成される。 【0021】 電源部60は、固定バンド52の一の面上に固定されている。また、電極部材402の集電体420、および、電極部材403の集電体430は、電源部60の異なる導電型の端子にそれぞれ電気的に接続している。すなわち、集電体420が電源部60における第1導電型の端子に電気的に接続している場合、集電体430は電源部60における第2導電型の端子に電気的に接続している。 【0022】 上記イオントフォレーシス装置10は、作用側電極構造体200および非作用側電極構造体300の少なくとも一部を植物500に接触させて固定される。すなわち、図2に示すように、イオントフォレーシス装置10は、植物500の茎510に巻き付けられた状態で、固定バンド51、52、53それぞれのループ面91、92、93が対応するフック面94、95、96に固定されると、茎510に固定される。このとき、作用側電極構造体200および非作用側電極構造体300の図3における裏側の面は、植物500の茎510の表面と当接する。 【0023】 イオントフォレーシス装置10の作用側電極構造体200および非作用側電極構造体300の一の面が植物500の茎510に当接した状態で、電源部60は、電極部材402、403の集電体420、430を介して作用側電極構造体200および非作用側電極構造体300との間に電力を供給する。これにより、作用側電極構造体200および非作用側電極構造体300の間に茎510の表皮組織および内部組織を介して通電してイオントフォレーシス装置10は使用状態となる。 【0024】 図4は、図3のa−a断面における断面図を示す。図4に示すように、イオントフォレーシス装置10の電源部60を挟んだ一方の側には、第一支持体81、第二支持体83および第三支持体85が配されている。これらの内、第二支持体83および第三支持体85は、それぞれ略長方形の開口を有し、この開口部分に作用側電極構造体200の構成部品が配されている。電源部60における作用側電極構造体200側に配される電極部材402は、集電体420を植物500と当接する面の側(図4における下側)に向けて、第一支持体81と第二支持体83との間に挟持されている。 【0025】 また、図4に示すように、イオントフォレーシス装置10の電源部60を挟んだ他方の側には、第一支持体82、第二支持体84および第三支持体86が配されている。これらの内、第二支持体84および第三支持体86は、それぞれ上記の第二支持体83および第三支持体85と同様の略長方形の開口を有し、この開口部分に非作用側電極構造体300の構成部品が配されている。電源部60における非作用側電極構造体300側に配される電極部材403は、集電体430を植物500と当接する面の側(図4における下側)に向けて、第一支持体82と第二支持体84との間に挟持されている。 【0026】 作用側電極構造体200は、第一支持体81の側から植物500と当接する面の側(図4における下側)に向かって、第1分極性電極210、第1セパレータ220、第2導電型のイオン選択性膜230、香気物質溶液保持部240、および、第1導電型のイオン選択性膜250をこの順に有する。非作用側電極構造体300は、植物500と当接する面の側(図4における下側)に向かって、第2分極性電極310、第2セパレータ320、電解液保持部340、および、第2導電型のイオン選択性膜350をこの順に有する。電極部材402の集電体420は、作用側電極構造体200の第1分極性電極210と当接し、また、電極部材403の集電体430は、非作用側電極構造体300の第2分極性電極310と当接する。ここで、集電体420および集電体430は、それぞれ第1分極性電極210および第2分極性電極310と当接する面において略同じ面積であることが好ましい。 【0027】 作用側電極構造体200において、第1分極性電極210は、例えば活性炭などの導電体を含有する分極性電極(電気2重層容量キャパシタとも呼ばれる)が用いられる。分極性電極における通電は、活性炭の表面に電気2重層が形成されることにより生じる。第1セパレータ220は、略膜状であり、第1導電型の香気物質イオンを含む香気物質溶液を、例えば天然繊維、人工繊維の織布または不織布、多孔質膜、あるいはゲルなどの適当な吸収性をもつ担体に含浸させて保持する。 【0028】 第2導電型のイオン選択性膜230は、第1分極性電極210との間で第1セパレータ220を挟み、第2導電型のイオンを選択的に透過する。香気物質溶液保持部240は、第1導電型の香気物質イオンを含む香気物質溶液を、例えば天然繊維、人工繊維の織布または不織布、多孔質膜、あるいはゲルなどの適当な吸収性をもつ担体に含浸させて保持する。ここで、第1セパレータ220が保持する香気物質溶液と、香気物質溶液保持部240が保持する香気物質溶液とは同じ組成であることが好ましい。第1導電型のイオン選択性膜250は、第2導電型のイオン選択性膜230との間で香気物質溶液保持部240を挟み、第1導電型のイオンを選択的に透過する。 【0029】 非作用側電極構造体300において、第2分極性電極310は、第1分極性電極210と同様に、例えば活性炭などの導電体を含有する分極性電極が用いられる。第2セパレータ320は、略膜状であり、例えば天然繊維、人工繊維の織布または不織布、多孔質膜、あるいは吸収性ゲルなどにより構成されて電解液を保持する。 【0030】 電解液保持部340は、第2セパレータ320において第2分極性電極310と反対側に配され、電解液を含む粘性液体を、例えば天然繊維、人工繊維の織布または不織布、多孔質膜、あるいはゲルなどの適当な吸収性をもつ担体に含浸させて保持する。第2導電型のイオン選択性膜350は、第2セパレータ320との間で電解液保持部340を挟み、第2導電型のイオンを選択的に透過する。なお、第2セパレータ320、および電解液保持部340が保持する電解液には、作用側電極構造体200の第1セパレータ220が保持する電解液と同様に、水の電気分解反応(水の酸化および還元反応)と比較して水の酸化還元電位より低い酸化還元電位を有する酸化および還元しやすい化合物が溶解した溶液を用いる。 【0031】 イオントフォレーシス装置10は、第1導電型のイオン選択性膜250および第2導電型のイオン選択性膜350における植物500の茎510と当接する面の側に、茎510との密着性を高めるための粘着剤層を形成することもできる。また、粘着剤層のさらに前面側に、少なくとも第1導電型のイオン選択性膜250、および第2導電型のイオン選択性膜350を覆う剥離可能なライナーを貼付することもできる。これにより、イオントフォレーシス装置10の保管中における異物の混入や乾燥を防止することができる。 【0032】 イオントフォレーシス装置10は、接触手順によって第1導電型のイオン選択性膜250および第2導電型のイオン選択性膜350の少なくとも一部が植物500の茎510に当接した状態で電力供給手順に移る。すなわち、電源部60から作用側電極構造体200および非作用側電極構造体300に対して、イオントフォレーシスを適用するための電力が供給される(電圧がかけられる)ことにより、作用側電極構造体200および非作用側電極構造体300の間に茎510の表皮組織および内部組織を介して電流が流れて使用状態となる。 【0033】 ここで、香気物質イオンがアニオンである場合を例に、イオントフォレーシス装置10の具体的構成についてさらに説明する。この場合、第1導電型は陰であり、第2導電型は陽である。したがって、作用側電極構造体200の第1分極性電極210はカソードとなり、非作用側電極構造体300の第2分極性電極310はアノードとなる。また、作用側電極構造体200において、第2導電型のイオン選択性膜230にはカチオン交換膜を用い、第1導電型のイオン選択性膜250にはアニオン交換膜を用いる。また、非作用側電極構造体300において、第2導電型のイオン選択性膜350にはカチオン交換膜を用いる。 【0034】 イオントフォレーシス装置10は、使用状態において、以下の作用効果を奏する。すなわち、作用側電極構造体200では、第1分極性電極210が分極性電極であるので、第1分極性電極210において電極反応を生じることがなく、または電極反応を低減させた状態で、通電して使用状態とすることができる。したがって、例えば塩素ガスなどのガスの発生、または例えば次亜塩素酸イオンなどの好ましくないイオンの発生を抑止し、または少なくとも低減することができる。また、香気物質溶液保持部240が保持する香気物質溶液に含まれる香気物質イオンは、電気泳動によりカソードである第1分極性電極210と反対側(植物500側)へ移動し、香気物質溶液保持部240の植物500側に配されて植物500と当接する第1導電型のイオン選択性膜250を透過して速やかに植物500へ浸透する。植物500へ浸透した香気物質イオンは、例えば植物500が維管束植物で有る場合、表皮組織および内部組織を経て維管束系組織に取り込まれた後、植物500の葉520の気孔などから発散される。 【0035】 このとき、植物500内部の組織に含まれるカチオンは第1導電型のイオン選択性膜250を透過して香気物質溶液保持部240側へ移動することがない。したがって、香気物質イオンの輸送効率の低下を抑えることができるので、安定した使用状態のもとでイオントフォレーシスにより香気物質イオンを植物500へ導入することができる。また、香気物質溶液保持部240に含まれる、アニオンである香気物質イオンと対を成すカチオンは、第1分極性電極210側へ移動し、カチオン交換膜である第2導電型のイオン選択性膜230を透過して第1セパレータ220側へ移動する。したがって、使用状態において、香気物質溶液保持部240のイオンバランスが崩れないので、pHの変化が生じにくく、通電抵抗が大きくなりにくい。 【0036】 非作用側電極構造体300では、第2分極性電極310が分極性電極であるので、第2分極性電極310において電極反応を生じることがなく、または電極反応を低減させた状態で、通電して使用状態とすることができる。したがって、例えば塩素ガスなどのガスの発生、または例えば次亜塩素酸イオンなどの好ましくないイオンの発生を抑止し、または少なくとも低減することができる。 【0037】 なお、香気物質イオンがカチオンである場合は、第1導電型は陽であり、第2導電型は陰である。したがって、イオントフォレーシス装置10における、第1分極性電極210および第2分極性電極310の電気的な極性は逆になり、また、第2導電型のイオン選択性膜230、第1導電型のイオン選択性膜250、および第2導電型のイオン選択性膜350の種類(イオン選択特性)はそれぞれ反対のものになる。 【0038】 このように、イオントフォレーシス装置10は、接触手順において、作用側電極構造体200および非作用側電極構造体300を植物500の茎510など植物500の幹の根元部分に接触させてイオントフォレーシスを適用することにより、茎510に対して香気物質を導入することができる。したがって、導入した香気物質を植物500全体から発散させることができる。 【0039】 図5は、イオントフォレーシス装置11の斜視図を示す。また、図6は、イオントフォレーシス装置11の使用状態における外観図を示す。上記準備手順において、イオントフォレーシス装置10に代えて、図5および図6に示すイオントフォレーシス装置11を準備してもよい。図5に示すように、イオントフォレーシス装置11は、イオントフォレーシス装置10の電源部60、作用側電極構造体200および非作用側電極構造体300と同じ内部構成を有し、より小型である電源部62、作用側電極構造体201および非作用側電極構造体301を備える。ここで、イオントフォレーシス装置11における電源部62、作用側電極構造体201および非作用側電極構造体301の構成および配置については、イオントフォレーシス装置10と同様であり説明を省略する。 【0040】 図5に示すように、イオントフォレーシス装置11は、作用側電極構造体201および非作用側電極構造体301の周囲に延伸して配される略矩形でシート状の粘着部材100を備える。粘着部材100は、作用側電極構造体201の第三支持体85、および、非作用側電極構造体301の第三支持体86と一体的に形成されている。また、粘着部材100における電源部62、作用側電極構造体201および非作用側電極構造体301が配される側と反対側の面には、粘着面110が形成されている。 【0041】 イオントフォレーシス装置11は、上記のイオントフォレーシス装置10と比べて小型かつ軽量であるので、接触手順において植物500の茎510以外の部位にも当接した状態で保持することができる。すなわち、図6に示すように、イオントフォレーシス装置11は、粘着部材100の粘着面110が、例えば植物500の葉520に粘着されることで、作用側電極構造体201の第1導電型のイオン選択性膜250、および、非作用側電極構造体301の第2導電型のイオン選択性膜350の少なくとも一部が葉520に当接した状態で保持される。イオントフォレーシス装置11は、この状態で電力供給手順に移る。すなわち、電源部62から作用側電極構造体201および非作用側電極構造体301に対して、イオントフォレーシスを適用するための電力が供給される(電圧がかけられる)ことにより、作用側電極構造体201および非作用側電極構造体301の間に葉520の表皮組織および内部組織を介して電流が流れて使用状態となる。イオントフォレーシス装置11の使用状態における作用効果については、上記のイオントフォレーシス装置10と同様であり説明を省略する。 【0042】 このように、イオントフォレーシス装置11は、作用側電極構造体201および非作用側電極構造体301を植物500の葉520に接触させてイオントフォレーシスを適用することにより、葉520に対して香気物質を導入することができる。したがって、植物500の茎510に香気物質を導入する場合と比べて、導入した香気物質が植物500から発散されるまでの時間を短縮することができる。 【0043】 本実施形態の香気物質導入方法おいて、香気物質を植物500に導入して植物500から発散させるまでの手順は、上記手順の順序に限定されない。例えば、予め準備されたイオントフォレーシス装置10、11は、電源部60、62から予め作用側電極構造体200、201および非作用側電極構造体300、301に対してイオントフォレーシスを適用するための電力が供給された(電圧がかけられた)状態で、植物500に接触されて固定されてもよい。この場合、イオントフォレーシス装置10、11の作用側電極構造体200、201および非作用側電極構造体300、301が植物500の茎510または葉520などに接触すると、これらの間に茎510または葉520の表皮組織および内部組織を介して直ちに電流が流れて使用状態となる。 【0044】 図7は、イオントフォレーシス装置10の他の例の断面図を示す。図7のイオントフォレーシス装置10は、図4の作用側電極構造体200および非作用側電極構造体300に代えて、図7に示す内部構成を有する作用側電極構造体202および非作用側電極構造体302を備えてもよい。ここで、作用側電極構造体202および非作用側電極構造体303について、作用側電極構造体200および非作用側電極構造体300と同じ構成については同じ参照番号を付して説明を省略する。 【0045】 図7に示すように、作用側電極構造体202は、電極212、および、香気物質が溶解した溶液を保持する香気物質溶液保持部240を有する。また、非作用側電極構造体302は、電極214、および、電解液を保持する電解液保持部340を有する。ここで、電極212、214の一方は銀の電極であり、他方が塩化銀等の酸化銀の電極である。作用側電極構造体202および非作用側電極構造体302は、上記の作用側電極構造体200および非作用側電極構造体300と比べてより簡易な構造であるので、部品点数を少なくすることができる。 【0046】 図5のイオントフォレーシス装置11についても、作用側電極構造体201および非作用側電極構造体301に代えて、図7に示す構成と同様の構成を有する作用側電極構造体202および非作用側電極構造体302を備えてもよい。 【0047】 本実施形態の香気物質導入方法おいて、イオントフォレーシス装置10、11によるイオントフォレーシスの適用に供される香気物質は、植物500自体が生成して発散する香気物質と同じ物質を含んでもよい。この場合、植物500自体が生成して発散する香気物質をその植物500に導入することで、その濃度および成分を所望に調整することができる。また、当該香気物質は、植物500自体が生成しない香気物質を含んでもよい。この場合、植物500自体が生成しない香気物質をその植物500に導入することができるので、任意の植物500から所望の香気物質を発散させることができる。このような香気物質は、植物500から発散された場合に、嗅覚などで知覚されることで精神安定など人体にとって好ましい影響を及ぼす、または好ましい影響を及ぼすと考えられる香料などの物質を含んでもよい。 【0048】 上記の香気物質は、例えば分子内にアルコール、フェノール、アルデヒド、エーテル、カルボキシル基などの官能基および不飽和結合を持つ物質であり、より具体的には、分子内にアルコール、フェノール、アルデヒド、エーテル、カルボキシル基などの官能基および不飽和結合を持つ揮発性物質が好ましく、例えば、アセチルイソオイゲノール、アニシックアルコール、アルテミシアケトン、アニスアルデヒド、アネトール、アセトフェノン、アンゲリカ酸エステル、イロン、β−イオノン、インドール、エストラゴール(メチルチャビコール)、オシメン、オイゲノール、カルバクロール、カンファー、ガンマデカラクトン、キャリオフィレン、ゲラニオール、酢酸エチル、シクラメンアルデヒド、シトロネロール、シトロネリルアセテート、ジヒドロタゲトン、シンナミルアルコール、シンナミルアセテート、シンナムアルデヒド、1,8−シネオール、ジャスミンラクトン、ジャスモン、ターピネオール、Y―ターピネン、タゲトン、ダマセノン、チモール、γ−デカラクトン、ネロール、ネロリドール、バニリン、ヒドロキシシトロネラール、ヒドロキノンジメチルエーテル、α−ピネン、β−ピネン、β−フェニルエチルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、ヘキサノール、シス−3−ヘキセノール、ヘリオトロピン、ベンジルアセテート、ベンズアルデヒド、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、ベンジルサリシレート、ベンズアルデヒド、ボルネオール、ミュゲアルデヒド、メチルアニセート、p−メチルアニソール、メチルアンスラニレート、メチルジャスモネート、メチルベンジルエーテル、メチルベンゾエート、ライラックアルコール、リナロール、リナリルアセテート、リナロールオキサイド、リラール、リリアール、リモネン、ローズオキサイド、ロジノール、4−メトキシ−2−メチルブタン−2−チオール、1−フェニル−2,3−ブタンジオール、3−ヒドロキシ−4−フェニル−2−ブタノン、トランス−2,シス−6−ノナジエナール、トランス−2, シス−6−ノナジエノール、3−メチル−5−(2−メチルプロピル)−2−フランカルバルデハイドが挙げられる。 【0049】 本実施形態の香気物質導入方法おいて、イオントフォレーシス装置10、11によるイオントフォレーシスの適用に供される香気物質は、植物500の害虫などを忌避する虫忌避剤であってもよい。具体例としては、例えば、N,N−ジエチル−m−トルアミド、ペンタン−1,2−ジオール、カラン−3,4−ジオール、フタル酸ジブチル、N−ブチルアセトアニリド、アルミニウム・アンモニウム・サルファイト、ジエチル−トリルアミド、エチルヘキサンジオールおよびブトピロノキシルが挙げられる。 【0050】 また、イオントフォレーシス装置10、11により植物500に対してイオントフォレーシスを適用するための電圧は、例えば、低周波治療器のようにパルス電圧でもよい。また、徐々に電圧を上げたり、あるいは、下げてもよい。植物500の組織内を流れる電流は、香気物質を導入する部位の通電抵抗および香気物質の導入ペースなどにより所望に設定することができる。 【0051】 また、電源部60、62には、例えば、電池、定電圧装置、定電流装置、定電圧・定電流装置(ガルバノ装置)などが用いられる。電源部60、62は、イオントフォレーシス装置10、11の一部と固定または一体的に成形されて配されてもよいが、着脱できればより好ましい。この場合、イオントフォレーシス装置10、11を使用しないときに電源部60、62を取り外して別途保管することができるので、香気物質溶液保持部240からの揮発により気化した香気物質溶液による電源部60、62の腐食などを防ぐことができる。 【0052】 また、第1分極性電極210および第2分極性電極310に用いる分極性電極に含有させる活性炭は、単位重量あたりの静電容量が1F/g以上であること、または比表面積が10m2/g以上であることが好ましい。また、この活性炭には、ヤシ殻、木粉、石炭、ピッチ、コークスなどの炭素を含有する原料を炭化、賦活することで得られる活性炭を使用することができる。 【0053】 また、作用側電極構造体200、201、202の第1セパレータ220、非作用側電極構造体300、301、302の第2セパレータ320および電解液保持部340は、上記のように、電解液として、水の電気分解反応(水の酸化または還元反応)と比較して水の酸化還元電位より低い酸化還元電位を有する酸化または還元しやすい化合物が溶解した溶液を用いることが好ましく、例えば、乳酸、アスコルビン酸、フマル酸などが挙げられる。 【0054】 また、アニオン交換膜は、例えば、高分子の側鎖に四級化されたアンモニウム基を有するもの、カチオン交換膜としては、例えば、高分子の側鎖にスルホン酸基を有するものなど所望のものでよく、これらは香気物質イオンの種類などによって適宜組み合わせてもよい。 【0055】 以上、本実施形態である香気物質導入方法によれば、植物500から発散する香気物質をイオン化してイオントフォレーシスにより植物500に導入することができるので、植物500から発散する香気物質の濃度および成分を所望に調整することができる。また、上記イオントフォレーシス装置10の作用側電極構造体200(201)および非作用側電極構造体300(301)を植物500の茎510など植物500の幹の根元部分に接触させてイオントフォレーシスを適用することにより、茎510に対して香気物質を導入することができる。したがって、導入した香気物質を植物500全体から発散させることができる。さらに、上記イオントフォレーシス装置11において、作用側電極構造体202および非作用側電極構造体302を植物500の葉520に接触させてイオントフォレーシスを適用することにより、葉520に対して香気物質を導入することができる。したがって、植物500の茎510に香気物質を導入する場合と比べて、導入した香気物質が植物500から発散されるまでの時間を短縮することができる。 【0056】 以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることができることは当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。 【図面の簡単な説明】 【0057】 【図1】イオントフォレーシス装置10の斜視図を示す。 【図2】イオントフォレーシス装置10の使用状態における外観図を示す。 【図3】イオントフォレーシス装置10の上面図を示す。 【図4】図3におけるa−a断面の断面図を示す。 【図5】イオントフォレーシス装置11の斜視図を示す。 【図6】イオントフォレーシス装置11の使用状態における外観図を示す。 【図7】作用側電極構造体202および非作用側電極構造体302を備えるイオントフォレーシス装置10の断面図を示す。 【符号の説明】 【0058】 10、11 イオントフォレーシス装置、51、52、53 固定バンド、54、55、56 一方の端部、57、58、59 他方の端部、60、62 電源部、78 固定バンド、81、82 第一支持体、83、84 第二支持体、85、86 第三支持体、90 面ファスナー、91、92、93 ループ面、94、95、96 フック面、100 粘着部材、110 粘着面、200、201、202 作用側電極構造体、210 第1分極性電極、212、214 電極、220 第1セパレータ、230 第2導電型のイオン選択性膜、240 香気物質溶液保持部、250 第1導電型のイオン選択性膜、255 皮膚接触層、300、301、302 非作用側電極構造体、310 第2分極性電極、320 第2セパレータ、340 電解液保持部、350 第2導電型のイオン選択性膜、402、403 電極部材、412、413 基体、420、430 集電体、500 植物、510 茎、520 葉
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| 【出願人】 |
【識別番号】504153989 【氏名又は名称】トランスキュー・テクノロジーズ 株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年8月17日(2006.8.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100104156 【弁理士】 【氏名又は名称】龍華 明裕
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| 【公開番号】 |
特開2008−43266(P2008−43266A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月28日(2008.2.28) |
| 【出願番号】 |
特願2006−222522(P2006−222522) |
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