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【発明の名称】 緑化基盤材、緑化構造および緑化工法
【発明者】 【氏名】屋袮下 亮

【要約】 【課題】雑草の混入を効果的に防除しながら日本芝の萌芽を促進させることができ、除草剤の添加量を可及的に低減することができる緑化基盤材、緑化構造および緑化工法を提供する。

【構成】少なくとも、日本芝の匍匐茎と、植栽土と、キレート剤と、除草剤と、水とを混合し、得られた混合物を被緑化エリアに吹き付ける緑化工法である。また、緑化基盤材は、少なくとも、植栽土と、キレート剤と、除草剤と、から形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、植栽土と、キレート剤と、除草剤と、からなる緑化基盤材。
【請求項2】
前記キレート剤がクエン酸をはじめとする材料からなり、前記除草剤がクロルフタリムをはじめとして日本芝の生育を抑制しない除草剤からなることを特徴とする請求項1に記載の緑化基盤材。
【請求項3】
少なくとも、植栽土と、キレート剤と、除草剤と、からなる緑化基盤材および日本芝の匍匐茎から構成される緑化混合物と、
前記緑化混合物が層状に表面を被覆している被緑化エリアと、からなる緑化構造。
【請求項4】
前記キレート剤がクエン酸をはじめとする材料からなり、前記除草剤がクロルフタリムをはじめとして日本芝の生育を抑制しない除草剤からなることを特徴とする請求項3に記載の緑化構造。
【請求項5】
少なくとも、日本芝の匍匐茎と、植栽土と、キレート剤と、除草剤と、水とを混合し、得られた混合物を被緑化エリアに吹き付ける緑化工法。
【請求項6】
前記キレート剤がクエン酸をはじめとする材料からなり、前記除草剤がクロルフタリムをはじめとして日本芝の生育を抑制しない除草剤からなることを特徴とする請求項5に記載の緑化工法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、道路法面等を緑化するための緑化基盤材、該緑化基盤材を含む緑化混合物が被緑化エリアの表層に具備されてなる緑化構造と、緑化工法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の法面や空港離着陸帯などは、土壌の飛散防止や形状維持のために、ブルーグラスやフェスク類といった外来の芝草種の種子吹付け工によって緑化されてきている。しかし、外来の芝草種は地上部の生育が旺盛であり、安全確保や景観維持のために年に3〜4回程度刈り込まなければならず、かかる刈り込み費用や手間の観点から省管理型草種に対する要望が高まっているのが現状である。また、生物多様性保全の観点から外来種の使用が議論されており、例えば吹付け緑化工に頻繁に用いられているトールフェスクは外来生物法の要注意外来生物リストに記載されている。
【0003】
ノシバをはじめとする日本芝は在来の芝草種であり、外来草種に比べて自然草高が低く、耐暑性などの環境ストレス耐性に優れており、省管理性に優れた芝草種とされている。しかし、日本芝は栄養繁殖性の植物であり、人力によって植栽することから施工コストがかかり、したがって大規模緑地に適用されることはなかった。
【0004】
ところで、上記する種子吹付け工に代わる技術として、栄養繁殖性の植物を用いた吹付け工法が種々発案され、公開されている。例えば特許文献1に開示の緑化工法は、植物苗と肥料等をタンク内で圧縮空気によって混合し、かかる混合物を法面等に吹付ける工法であり、該工法にはセル成型苗が使用される。また、特許文献2に開示の法面緑化吹付け工法は、日本芝の裁断片と成育基盤材、肥料等を混合し、得られた混合物を法面に吹付ける工法である。
【0005】
上記する栄養繁殖性の草種は種子繁殖性植物に比べて、造成初期の生育速度が遅いために、匍匐茎や裁断片などの栄養器官を用いた吹付け工を行うと、基盤土壌や緑化基盤材に含まれる種子から発生した雑草が栄養繁殖性の植物を駆逐し、目的とする緑地を形成できなという問題が生じ易い。そのため、初期被覆速度を改善するために添加する苗の混合量を高めることなどが試みられているものの、特に日本芝の場合には、混合量を増やすと吹付け機械に負荷がかかりすぎて機械が停止してしまうといった別の課題が生じることとなり、依然として有効な施工方法の確立に至っていない。
【0006】
さらに、特許文献3に開示の緑化工法は、日本芝の種子を日本芝の発芽に影響を及ぼさない除草剤、肥料などと混合して吹付ける工法である。しかし、雑草の多くは日本芝と同じイネ科に属しており、日本芝種子の発芽に影響を与えず、雑草種子の発芽のみを抑制する除草剤は実用化されておらず、かかる工法も実現性に乏しい。
【0007】
本発明者等は、種子から発芽したばかりの小さな植物体に比べ、匍匐茎などの栄養器官から萌芽した植物体は除草剤に対する耐性が高いことに着目し、特許文献2,3双方の技術を組み合わせて、日本芝の匍匐茎を除草剤を含む緑化基盤材に混合して吹付けることを試みた。試験の結果、雑草の発芽が抑制されるまで除草剤の添加量を高めてしまうと、匍匐茎を用いても日本芝の生育も同様に抑制されてしまうという結果が得られた。また、環境負荷を軽減する観点からすると、可及的に除草剤の添加量を低減できる工法であることが望ましい。
【0008】
【特許文献1】特許第3088984号公報
【特許文献2】特開2004−278059号公報
【特許文献3】特開昭62−115210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、雑草の混入を効果的に防除しながら日本芝の萌芽や増殖を促進させることができ、除草剤の添加量を可及的に低減することができ、さらには、被覆度の高い芝地を早期に造成することのできる緑化工法と、緑化基盤材および該緑化基盤材を含む緑化混合物が被緑化エリアの表層に具備されてなる緑化構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成すべく、本発明による緑化基盤材は、少なくとも、植栽土と、キレート剤と、除草剤と、からなることを特徴とするものである。
【0011】
植栽土としては、適宜の天然土壌、あるいは人工土壌を使用することができる。また、除草剤は作用の様式によって、茎葉処理型と土壌処理型に分けることができる。茎葉処理型は発生した雑草の茎葉から植物全体に移行して雑草を枯らす除草剤であるが、本発明は造成初期に雑草を発生させないことを目的としているため、茎葉処理型を適用することはできない。また、土壌処理型の除草剤は、植物の生長点に作用して生長を阻害する薬剤で、根から吸収される、あるいは芽が薬剤に接触したときに作用するものであり、雑草の初期発生を抑制するために使われることが多く、本発明に適用可能な薬剤である。
【0012】
また、本発明の緑化基盤材の成分として土壌処理型の除草剤を使用することが考えられるが、薬剤の種類によっては日本芝の萌芽も抑制してしまうため、日本芝に作用しない除草剤を選定する必要がある。さらに、土壌処理型の除草剤は、土粒子や土壌中の有機物表面にある負電荷によって吸着され、少しずつ土壌中の水分に溶出し、植物に吸収される、もしくは接触することによって作用する。そのため、緑化基盤材の成分として土壌処理型の除草剤を使用(添加)して造成初期に雑草発生を抑制するためには、除草剤を多めに添加する必要がある。そこで、本発明の緑化基盤材においては、日本芝の苗吹付け工を行う際に、日本芝の萌芽や生育にはほとんど影響せず、雑草のみを抑制する除草剤を使用することと、キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸やクエン酸など)の使用(添加)により、土粒子に吸着された農薬を溶出させ、低濃度でも効率よく除草剤を作用させることが可能となり、雑草の初期発生を抑制することを可能としたものである。
【0013】
キレート剤は金属イオン等と錯結合することが知られており、重金属で汚染された土壌を浄化する際に、キレート剤を添加することによって土粒子表面に吸着された金属イオンを可溶化することに多用されている。本発明の緑化基盤材では、重金属汚染された土壌の浄化に多用されているクエン酸などを緑化基盤材として使用(添加)し、除草剤を緑化基盤材中に溶出し易くすることによって、植物に効率よく接触もしくは吸収させるものである。
【0014】
なお、緑化基盤材の構成要素としては、上記する植栽土、キレート剤、除草剤のほかに、肥料や保水剤、養生剤等を含むことができる。
【0015】
また、本発明による緑化構造は、少なくとも、植栽土と、キレート剤と、除草剤と、からなる緑化基盤材および日本芝の匍匐茎から構成される緑化混合物と、前記緑化混合物が層状に表面を被覆している被緑化エリアと、からなることを特徴とするものである。
【0016】
日本芝としては、ノシバやコウライシバ、ノシバとコウライシバの種間雑種で冬季の緑葉期間が長く、匍匐茎の増殖性に優れた日本芝品種の「みやこ」などを用いることができる。
【0017】
本発明の被緑化エリアとしては、既述する道路の法面や空港離着陸帯のほか、多目的広場をはじめとして、緑化が可能もしくは緑化が好ましいエリア全般を指称するものである。特に都市部においては、ヒートアイランド化の抑制やCO対策等の一環として緑化技術の導入が急務となっていることから、本発明の緑化構造の適用対象としては好ましいものである。
【0018】
日本芝の匍匐茎と、既述する緑化基盤材とから緑化混合物を形成し、適宜の被緑化エリアの表面に緑化層を造成することによって発明の緑化構造が構成される。
【0019】
さらに、本発明による緑化工法は、少なくとも、日本芝の匍匐茎と、植栽土と、キレート剤と、除草剤と、水とを混合し、得られた混合物を被緑化エリアに吹き付けることを特徴とするものである。
【0020】
まず、日本芝の匍匐茎、植栽土、キレート剤、除草剤、さらには保水剤、養生剤等をタンク内に収容するとともに水を混入させ、タンク内で適宜の手法にて混合させて混合物を製造する。より具体的な混合方法としては、植栽土と水を混合した後に保水剤などを入れ、次いでキレート剤、匍匐茎、除草剤の順に投下し、それらを攪拌混合する方法を挙げることができる。また、かかる混合態様は、攪拌翼による混合攪拌方法や、圧縮空気による混合方法などを選定することができる。
【0021】
製造された混合物を適宜の被緑化エリアに空気圧にて圧送しながら吹き付け施工することにより、既述する緑化構造が形成される。
【0022】
本発明の緑化工法によれば、キレート剤、除草剤が混合されることによって雑草の混入を効果的に防除しながら日本芝の萌芽や増殖を促進させることが可能となり、さらには除草剤の添加量を可及的に低減することができる。また、被覆度の高い芝地を早期かつ広範囲に亘って造成することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
以上の説明から理解できるように、本発明の緑化基盤材、緑化構造および緑化工法によれば、雑草の混入を効果的に防除しながら日本芝の萌芽や増殖を促進させることができ、除草剤の添加量を可及的に低減することができ、さらには、被覆度の高い芝地を早期に造成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の緑化構造の一実施の形態の模式図であり、図2は、試験区ごとの芝と雑草の芽数を比較したグラフである。
【0025】
まず、本発明の緑化工法について一実施の形態の概要を説明する。使用する日本芝は一般的に匍匐茎が絡みあった切り芝として市販されているが、緑化基盤材に混合する匍匐茎の作成にあたっては、市販されているおよそ30cm角の切り芝を例えば耕運機などを用いて裁断し、匍匐茎を切り出す。
【0026】
緑化基盤材と匍匐茎の混合は、攪拌羽が付いている機械吹付け工用の混合タンク(容量およそ3m)内で行う。まず、タンクの1/2程度まで水を入れ、次に水と同量程度の植栽土を投下してよく攪拌した後に匍匐茎を加える。このとき、植栽土として、黒土など一般の土壌、建設発生土、広葉樹の樹皮などを発酵させたバーク堆肥、ミズゴケが湿地などで堆積して変質して成るピートモスなどを、単体あるいは2種類以上を混合したものが適用可能である。また、匍匐茎の混合量については、吹付け機械への負担を考慮して施工面積の15〜20%に当たる切り芝から裁断された匍匐茎を混合することが適切である。例えば3mのタンクで調整された緑化混合物によって150m程度を施工できるため、20〜30m分の切り芝から裁断された匍匐茎を1タンクに混合する。さらに、高度化成肥料などを1m当たりの窒素の添加量が3gになるように元肥として混合し、施工する土表面の性状や傾斜に合わせて、緑化混合物が流出しないように固めるための接合剤、化合物やファイバーから成る保水剤といった吹付け助材と所定のキレート剤を添加して、一旦攪拌混合した後に所定の除草剤を添加して全体が均一になるまでよく混合する。
【0027】
タンク内で混合された緑化混合物を空気圧によってホースを通して法面や平地に噴射することにより、匍匐茎とともに肥料や保水機能を含む緑化混合物で被覆させ、匍匐茎から増殖する植物体によって緑化を図るものである。図1には、かかる緑化工法によって造成された緑化構造10を模式的に示している。この緑化構造10は、適宜の被緑化エリア3の上面に、緑化基盤材1と匍匐茎2とからなる緑化混合物が被覆されることによって造成される。ここで、緑化基盤材1の構成成分であるキレート剤によって土壌処理型の除草剤は土粒子に吸着されることがない。そのため、緑化混合物や被緑化エリア3に含まれる雑草種子の発芽を効率よく抑制できるとともに芝の生育は抑制されることがなく、結果として芝の被覆率が高い緑地を造成することができる。
【実施例】
【0028】
以下に、除草剤の選定試験とその結果、および、キレート剤による除草剤添加量軽減効果の検証試験とその結果に関して説明する。
[除草剤の選定試験とその結果について]
まず、屋内にて、芝の生育には影響せず、雑草の発生を抑制する除草剤を選定する試験をおこなった。幅320mm×奥行245mm×高さ70mmの育苗バットに雑草の種子を含む土壌を10mm厚で均し、その上に除草剤を添加した緑化基盤材と日本芝の裁断苗を混合したものを敷いて試験体を作成した。この試験には、フラザスルフロン、クロルフタリム、インダノファン、シデュロン、SAPという6種類の除草剤を供試し、その添加薬量は登録薬量の中間値とした。供試薬剤ごとに1試験区とし、各試験区3反復にて試験体を作成した。また、対照区として基盤材に除草剤を添加しない試験区を設け、温室内で1ヶ月間養生した後に試験体ごとに日本芝と雑草の芽数を計測した。
【0029】
その結果を以下の表1に示す。日本芝については、対照区(薬剤無添加区)に比べて除草剤を添加した試験区における芽数が全体的に少なく、特にクロルフタリムやインダノファンを添加した試験区における芝の芽数が他の試験区に比べてやや少なかった。
【0030】
また、フラザスルフロンを添加した試験区においては日本芝の根長が他の試験区に比べて有意に短かった。雑草の発生状況については、SAP、クロルフタリム、インダノファンを添加した試験区におけるイネ科雑草の芽数が対照区に比べて有意に少なく、シデュロンを添加した試験区以外で広葉雑草の抑制効果が認められた。以上、雑草の抑制効果が高く、芝への影響が少なかったSAP、クロルフタリム、インダノファンを芝苗吹付け工法に適用するのが好ましいという結論に至った。
【0031】
【表1】


【0032】
次いで、上記試験でイネ科雑草の抑制効果が高かったSAP,クロルフタリムに加えてシデュロンについて、上記試験と同様の仕様で配合した基盤材に登録薬量の上限、中間、下限値で薬剤を添加する試験区を設け、添加薬量が日本芝および雑草の発生に及ぼす影響を調べた。その結果を以下の表2に示している。
【0033】
試験開始1ヶ月後に、各試験区における日本芝および雑草の発生状況を調べたところ、日本芝の芽数については、高薬量区における芽数が全体的に少なかった。特にシデュロンを1m当たり2.0g(上限値)の割合で添加した区では、日本芝の地上部の生育が対照区に比べて萎縮していた。
【0034】
雑草の抑制効果を見ると、SAP、クロルフタリムを高濃度で添加した試験区においてイネ科雑草の芽数が対照区に比べて有意に少なく、広葉雑草に対しては低濃度添加区でも抑制効果が見られた。シデュロンを添加した試験区では、低濃度添加区においてもイネ科、広葉雑草の発生が抑制されていた。以上のことから,クロルフタリムの添加によって、日本芝の増殖を抑制することなく、イネ科、広葉雑草を防除できることが明らかとなった。
【0035】
【表2】


【0036】
[キレート剤による除草剤添加量軽減効果の検証試験とその結果について]
上記試験において、日本芝の苗吹付け工の場合に、クロルフタリムという土壌処理型の除草剤を直接、緑化基盤材に25g/mの割合で添加することにより雑草の発生を防除できることが明らかとなった。ここでは、さらに、除草剤の添加量を低減するために、除草剤をキレート剤と合わせて添加する効果について検証した。
【0037】
上記試験と同様に幅320mm×奥行245mm×高さ70mmの育苗バットに雑草の種子を含む土壌を10mm厚で均し、その上に、所定量の水と植栽土を攪拌混合したものに、接合材などの吹付け助剤、キレート剤、芝苗の順に加え、最後にクロルフタリムを添加して十分に攪拌した混合物を敷いて試験体を作成した。試験には、以下の表3に示すように、クロルフタリムの添加量として標準量:25g/mと標準の1/2量:12.5g/mの2種類を設定し、キレート剤には重金属で汚染された土壌を浄化する際によく使われるクエン酸を用い、クエン酸の添加量として緑化基盤材の容量に対して0%、0.5%、1%量の3種類を設定し、クロルフタリムとクエン酸の各々の添加量を組み合わせた6試験区に加えて、クロルフタリム、クエン酸とも添加しない対照区を作成し、計7種類の試験区を設けた。
【0038】
【表3】


【0039】
表3と図2に、試験体を作成してから1ヶ月後に調査した各試験区の日本芝、広葉雑草、イネ科雑草の芽数を示す。対照区(試験区1)では広葉、イネ科雑草とも発生が見られたのに対して、除草剤を添加した試験区ではいずれも試験区1に比べて雑草の芽数が有意に少ないか、まったく発生せず、除草剤の添加効果が認められた。また、試験区4(除草剤:標準の1/2量、クエン酸:0.5%添加区)では、雑草の発生は認められたものの、日本芝の芽数が最も多かった。試験区4に対して除草剤やクエン酸の添加量を増加すると、雑草の発生は完全に抑えられるが、日本芝の芽数も少なくなり、クエン酸の添加量を増やすと日本芝にも除草剤の影響が及びやすくなると考えられた。
【0040】
例えば、試験区4に対して除草剤の添加量は変わらないが、クエン酸の添加量が増えている試験区6(除草剤:標準の1/2量、クエン酸:1.0%添加区)では、日本芝の芽数が試験区4に比べて有意に低下した。クエン酸の添加量が増えると、緑化基盤材中に溶出する除草剤の量も増加し、日本芝にも影響が及んでしまうと考えられる。試験区7(除草剤:標準量、クエン酸:1.0%添加区)における日本芝の芽数が最も少なかった。
【0041】
したがって、除草剤をキレート剤と合わせて添加する場合、キレート剤の添加量が基盤剤の容積に対して0.5%以上になると、雑草以外の植物にも除草剤の影響が及ぶことが明らかとなった。試験区4における日本芝や雑草の芽数の計測結果は試験区3(除草剤:標準量、クエン酸:無添加)とほぼ同等で、クエン酸を緑化基盤材の容量に対して0.5%添加することにより、除草剤の添加量を半減してもほぼ同等の効果が得られることが明らかとなった。
【0042】
以上の試験結果より、緑化基盤材に日本芝の生育に影響せず雑草の発芽時に作用する土壌処理型の除草剤を添加し、かつキレート剤の添加したものに日本芝の匍匐茎を混合することによって、低濃度でも除草剤を効率よく作用させることで、造成初期の雑草発生を抑制でき、施工から1年程度で日本芝を主体とした緑地を造成することができ、大規模緑地へ日本芝を適用することが可能であることが実証された。
【0043】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の緑化構造の一実施の形態の模式図である。
【図2】試験区ごとの芝と雑草の芽数を比較したグラフである。
【符号の説明】
【0045】
1…緑化基盤材、2…匍匐茎、3…被緑化エリア、10…緑化構造
【出願人】 【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
【出願日】 平成18年8月11日(2006.8.11)
【代理人】 【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔

【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男

【識別番号】100099128
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康

【識別番号】100129861
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 滝治


【公開番号】 特開2008−43221(P2008−43221A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−219633(P2006−219633)