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【発明の名称】 菌床栽培用袋
【発明者】 【氏名】鹿島 弘明

【要約】 【課題】手作業により簡単に栽培袋を引き裂くことができる安価で作業性の良い栽培袋を提供する。

【構成】ピンホールの発生を妨げる分子配向に形成されたプラスチックフィルムからなる袋体の一端側がシールされてなる菌床栽培用袋100であって、袋体の幅方向の中央部には通気孔110が形成され、通気孔110を覆って雑菌の侵入を防ぎ空気を通過させるフィルタ112が溶着され、袋体とフィルタ112との溶着部114には、フィルタ112を袋体のシール部104に向けて引き剥がす際に発生する引き剥がし応力を集中させるための応力集中部116が設けられていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピンホールの発生を妨げる分子配向に形成されたプラスチックフィルムからなる袋体の一端側がシールされてなる菌床栽培用袋であって、
前記袋体の幅方向の中央部には通気孔が形成され、該通気孔を覆って雑菌の侵入を防ぎ空気を通過させるフィルタが溶着され、
前記袋体と前記フィルタとの溶着部には、前記フィルタを前記袋体の前記シール部に向けて引き剥がす際に発生する引き剥がし応力を集中させるための応力集中部が設けられていることを特徴とする菌床栽培用袋。
【請求項2】
前記溶着部は多角形状をなし、前記溶着部のコーナー部が前記応力集中部に形成されていることを特徴とする請求項1記載の菌床栽培用袋。
【請求項3】
前記溶着部は曲線溶着部と直線溶着部の組み合わせにより形成され、前記曲線溶着部と前記直線溶着部の交点部分が前記応力集中部に形成されていることを特徴とする請求項1記載の菌床栽培用袋。
【請求項4】
前記応力集中部は、前記通気孔の上方側に設けられていることを特徴とする請求項1記載の菌床栽培用袋。
【請求項5】
前記応力集中部は、前記フィルタの引き剥がし方向と直交する方向に前記通気孔の幅寸法より幅広な間隔で配設されていることを特徴とする請求項4記載の菌床栽培用袋。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、茸類を栽培する際に用いるプラスチックフィルムからなる菌床栽培用袋に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルムから成る菌床用栽培袋を用いたきのこの人工栽培が多く行なわれている。
従来の栽培袋10は、図9に示されるようにプラスチックフィルムから成る袋体の両側端にガセット折り込み11、11が形成され、袋体の幅方向に熱融着して成る底シール部12が設けられている。底シール部12の反対側の端部は、開口部16となり、栽培袋上部には通気孔13が設けられ、その通気孔13はフィルター14で被覆されている。
【0003】
きのこ栽培の際には、まず水分を調整したオガコ、米ぬか等の培地を栽培袋10に詰めて高圧蒸気等により殺菌をした後、きのこ種菌の接種をして培養を行なう。
培養工程では、栽培袋10の開口部16は熱融着、或いは治具等によって密封されるが、栽培袋10に設けられたフィルター14によって菌の生育に必要な空気は供給され、雑菌の進入は阻止される。
【0004】
また、栽培袋10は使い捨てされるので安価であることが必要であり、出来るだけ簡単な構成で製造されることが望ましい。しかしながら、栽培袋10には数kgもの培地が充填されることもあり、底シール部12で裂けたり破れたり、ピンホールを生じたりすることがあった。そこで、底シール部12の破れや栽培袋10へのピンホールの形成を防止するために、破れやピンホールが形成されやすい部分に補強部分を設けた発明が出願人による特許文献1において開示されている。
【特許文献1】特開2004―033103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
出願人は、特許文献1に記載されている菌床用栽培袋を提案した後においても、鋭意研究を続けた結果、プラスチックフィルムの縦方向および横方向の引張強度比を調整することにより更に破れにくく、かつピンホールができにくい菌床用栽培袋の製造に成功し、広く世に提供していた。
【0006】
このような栽培袋10を用いた菌床栽培においては、培養工程の後に、培地を栽培袋から取り出して茸類を発生させる工程が必要な場合があり、このような工程においては、引き裂きやすい栽培袋10であることが望まれる。しかしながら栽培袋10は先述にあるように引き裂きにくく形成されているため、培地を栽培袋10から取り出す際は刃物を用いなければならない。すなわち培地を栽培袋から取り出す際には培地等を傷つけてしまうおそれがあり、慎重な作業が要求されることになる。
このように、培地を栽培袋10から取り出す作業は長時間にわたって行われるため、作業者にとっては非常にストレスがかかり、能率的な作業ができなくなってしまうといった課題がある。
【0007】
本発明は、培養工程における栽培袋に要求される強度を確保しつつも、培地を栽培袋から取り出す作業において刃物を用いる必要がなく、手作業により簡単に栽培袋を引き裂くことができる安価で作業性の良い栽培袋の提案を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ピンホールの発生を妨げる分子配向に形成されたプラスチックフィルムからなる袋体の一端側がシールされてなる菌床栽培用袋であって、前記袋体の幅方向の中央部には通気孔が形成され、該通気孔を覆って雑菌の侵入を防ぎ空気を通過させるフィルタが溶着され、前記袋体と前記フィルタとの溶着部には、前記フィルタを前記袋体の前記シール部に向けて引き剥がす際に発生する引き剥がし応力を集中させるための応力集中部が設けられていることを特徴とする菌床栽培用袋である。
【0009】
また、前記溶着部は多角形状をなし、前記溶着部のコーナー部が前記応力集中部に形成されていることを特徴とする。
また、前記溶着部は曲線溶着部と直線溶着部の組み合わせにより形成され、前記曲線溶着部と前記直線溶着部の交点部分が前記応力集中部に形成されていることを特徴とする。
また、前記応力集中部は、前記通気孔の上方側に設けられていることを特徴とする。
また、前記応力集中部は、前記フィルタの引き剥がし方向と直交する方向に前記通気孔の幅寸法より幅広な間隔で配設されていることを特徴とする。
これらにより、簡単な機構により応力集中部を形成することができるので、安価で栽培袋を提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る菌床栽培用袋によれば、相反する要件を十分に満足することができる菌床栽培用袋を提供することができる。しかも従来の菌床栽培用袋の製造設備をそのまま適用することができるので、使い勝手の良好な菌床栽培用袋を安価に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて本願発明にかかる菌床栽培用袋100について説明する。図1は本実施の形態における菌床栽培用袋の正面図である。図2は菌床栽培用袋の通気孔部分の拡大図である。図3は、菌床栽培用袋からフィルタを引き剥がしている状態を示す説明図である。
図1に示すように、菌床栽培用袋100は、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂フィルムからなる薄肉チューブ102の両側端をガセット折りし、ガセット折りした側の一端部を溶着によりシールし、他端側が開口する袋体に形成されている。菌床栽培用袋100はシール部104側が底面側となる。本実施の形態における菌床栽培用袋100にはシール部104に並行して補助シール部106が設けられている。補助シール部106もまた、溶着により形成されている。
【0012】
菌床栽培用袋100には、薄肉チューブ102をガセット折りしたことにより樹脂フィルムが4枚重なった状態になっている部分を含む所定範囲を溶着した補強部108が設けられている。補強部108は、シール部104と補助シール部106の間に配設されていて、シール部104よりも菌床栽培用袋100の開口部側にはみ出さないように形成されている。このように菌床栽培用袋100に補助シール部106および補強部108を配設することにより、菌床栽培用袋100の耐荷重強度大幅に向上させることができる。
【0013】
菌床栽培用袋100の開口部側には菌床栽培用袋100の幅方向における中央部分に通気孔110が形成されている。通気孔110は円形状に形成されている。通気孔110には通気孔110を覆い、菌床栽培用袋100の内部への雑菌の侵入を防ぎ空気を通過させるフィルタ112が配設されている。
フィルタ112は通気孔110を覆うことができる正方形状に形成されている。フィルタ112は樹脂フィルムと溶着させることにより、通気孔110を覆って菌床栽培用袋100に取り付けられている。フィルタ112と樹脂フィルムとの溶着部114は、通気孔110を囲い込むような正方形状をなしている。また、溶着部114を形成する正方形の一対の側辺は、菌床栽培用袋100の両側端縁に平行するように形成されている。
溶着部114により囲まれた領域は通気孔110の領域よりも大きく、フィルタ112の領域よりも小さく形成されているので、フィルタ112の外周縁は菌床栽培用袋100から離反した状態になっている。
【0014】
菌床栽培用袋100は、インフレーション加工により薄肉チューブに形成される。従来はピンホールの発生などを防止した丈夫な菌床栽培用袋100にするため、縦方向における引張強度と横方向における引張強度の強度比を1:1となるような分子配向となるように成形していた。本実施の形態においては、通常の栽培作業時の取り扱いにおいてはピンホール等が発生しない程度の(具体的には縦方向の引張強度が横方向の引張強度の1.3〜1.4倍程度の強度比)分子配向となるように形成されている。ここで、縦方向とは菌床栽培用袋100の通気孔110からシール部104に向かう方向をいう。
【0015】
このように縦方向と横方向の引張強度に差をつけることにより、菌床栽培用袋100の一部に切込みを入れた後、菌床栽培用袋100の引張強度が大きい方向に沿って引き剥がすように力をかければ、菌床栽培用袋100を容易に引き裂くことができる。本実施の形態においては、横方向の引張強度よりも縦方向の引張強度の方が大きいので、菌床栽培用袋100は縦方向に引き裂かれることになる。
本実施の形態における菌床栽培用袋100への切込み部の形成は、菌床栽培用袋100からフィルタ112を菌床栽培用袋100から引き剥がすことにより行われる。
【0016】
図3に示すように、作業者が菌床栽培用袋100からフィルタ112の上側端部をつまんで菌床栽培用袋100の底部側(シール部104側)に向けて引き剥がす操作をすると、菌床栽培用袋100とフィルタ112との溶着部114に引き剥がし力が集中することになる。引き剥がし応力は特に溶着部114の上側の隅角部分に集中する。フィルタ112を引き剥がすことにより菌床栽培用袋100に発生する応力が菌床栽培用袋100の横方向において許容される引張応力を超えると、溶着部114の上側の隅角部分に切込みが入る。菌床栽培用袋100に切込みが入った後、さらにフィルタ112を菌床栽培用袋100の底部側に引き剥がすと、菌床栽培用袋100は溶着部114の幅部分のみが他の部分から引き剥がされることになる。
【0017】
このようにして菌床栽培用袋100は、何ら道具を用いることなく容易に引き裂くことができるので、培養工程から茸類の発生工程に移る際に必要な菌床栽培用袋100からの菌床の取り出し作業を非常に効率的に行うことができる。また、従来のようにカッター等の刃物を用いないため、菌床等を傷つけてしまうおそれや、作業者が怪我をしてしまうおそれもなくすことができる。
【0018】
以上に、本実施の形態に基づいて本願発明を説明してきたが、本願発明は、本実施の形態に限定されるものではなく、他の実施形態であっても本願発明の技術的範囲に属することはもちろんである。
例えば、本実施の形態においては、菌床栽培用袋100に補助シール部106や補強部108を配設した形態について説明しているが、菌床栽培用袋100の樹脂フィルムにピンホールが生じない程度の十分な強度がある場合には、補助シール106および/または補強部108の配設を省略することができる。
【0019】
また、菌床栽培用袋100とフィルタ112との溶着部114の形態は、必ずしも正方形状に形成されていなくても良い。例えば、図4〜図6に示すような多角形状の溶着部114を採用しても本願発明と同様の作用効果を奏する。図4〜図6において、破線であらわれている部分が通気孔110であり、実線であらわされている部分がフィルタ112および溶着部114であり、一点鎖線であらわれている部分が菌床栽培用袋100の引き裂き部分である。図4〜図6における引き剥がし応力集中部116は溶着部114の最上部にける隅角部になる。また、菌床栽培用袋100からの引き剥がし幅は、フィルタ112の引き剥がし方向と直交する方向における隅角部同士の離間距離により規定される。
【0020】
また、溶着部形状の他の形態としては、図7に示すような直線状の溶着部114aと曲線状の溶着部114bの組み合わせとすることもできる。この場合、フィルタ引き剥がし時における引き剥がし応力の応力集中部は直線状の溶着部114aと曲線状の溶着部114bとの交点になる。曲線状の溶着部114bを有する場合における菌床栽培用袋100からの引き剥がし幅は、フィルタ112の引き剥がし方向と直交する方向における溶着部114の最大離間距離により規定される。
【0021】
また、図8に示すように、フィルタ112の引き剥がし時における引き剥がし応力を集中させる部分は、単独に設けることもできる。この場合、応力集中部116はフィルタ112の領域内において、通気孔110の上端部位置よりも上方に配設される。この場合、応力集中部116の配設位置は単数であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施の形態における菌床栽培用袋の正面図である。
【図2】菌床栽培用袋の通気孔部分の拡大図である。
【図3】菌床栽培用袋からフィルタを引き剥がしている状態を示す説明図である。
【図4】菌床栽培用袋とフィルタとの溶着部の他の実施形態の一例を示す説明図である。
【図5】菌床栽培用袋とフィルタとの溶着部の他の実施形態の一例を示す説明図である。
【図6】菌床栽培用袋とフィルタとの溶着部の他の実施形態の一例を示す説明図である。
【図7】菌床栽培用袋とフィルタとの溶着部の他の実施形態の一例を示す説明図である。
【図8】応力集中部の他の実施形態の一例を示す説明図である。
【図9】従来の栽培袋を示す説明図である。
【符号の説明】
【0023】
100 菌床栽培用袋
102 薄肉チューブ
104 シール部
106 補助シール部
108 補強部
110 通気孔
112 フィルタ
114 溶着部
116 応力集中部
【出願人】 【識別番号】000131463
【氏名又は名称】株式会社シナノポリ
【出願日】 平成18年8月8日(2006.8.8)
【代理人】 【識別番号】100077621
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 隆夫

【識別番号】100092819
【弁理士】
【氏名又は名称】堀米 和春


【公開番号】 特開2008−35807(P2008−35807A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−215810(P2006−215810)