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【発明の名称】 逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法
【発明者】 【氏名】古田 幹雄

【氏名】土屋 茂樹

【要約】 【課題】従来の凍霜害防止方法は、凍霜害防除のための作物周囲に維持すべき設定温度と、作物周辺の温度を基準とし、温風機・送風機を適宜コントロールするシステムである。このシステムは、作物の生育環境と、この作物自身が必要とする自然の耐久性等を捉えた方法とは云えず、かえって、過保護な生育で、この種の作物の持つ特性を殺し兼ねない問題を含んでいる。また温風機を稼動することは、排気ガスの発生による地球環境の破壊等の問題を抱えている。

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一基の高所サーモスタットを逆転層に、また少なくとも一基の低所サーモスタットを作物の葉面等の最も凍霜害を受け易い位置にそれぞれ設置し、以下の条件下において、逆転層の暖気を前記作物に送風する構成の逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法であって、以下の構成でなる。
「1」 高所サーモスタットを介して高所の温度が、所定数値であるときに信号を発信し、また低所サーモスタットを介して低所の温度が、所定数値であるときに信号を発信し、
「2」 この高所の信号と、前記低所の信号が入力された状態を、制御部を介して凍霜害を受け易い条件と判断し、前記高所に設けた防霜ファンに指令を発し、この高所における逆転層の暖気を送風し、
「3」 前記「1」の条件が継続する場合には、前記送風を継続し、前記作物の葉面又は幹等の融解を徐々に図り、前記作物の葉面又は幹等の細胞破壊を回避する。
【請求項2】
少なくとも一基の高所サーモグラフィカメラを逆転層に、また少なくとも一基の低所サーモグラフィカメラを作物の葉面等の最も凍霜害を受け易い位置にそれぞれ設置し、以下の条件下において、逆転層の暖気を前記作物に送風する構成の逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法であって、以下の構成でなる。
「1」 高所サーモグラフィカメラを介して高所の温度が、所定数値であるときに信号(サーモグラフィ写真)を発信し、また低所サーモグラフィカメラを介して低所の温度が、所定数値であるときに信号(サーモグラフィ写真)を発信し、
「2」 この高所の信号(サーモグラフィ写真)と、前記低所の信号(サーモグラフィ写真)が入力された状態を、制御部を介して凍霜害を受け易い条件と判断し、前記高所に設けた防霜ファンに指令を発し、この高所における逆転層の暖気を送風し、
「3」 前記「1」の条件が継続する場合には、前記送風を継続し、前記作物の葉面又は幹等の融解を徐々に図り、前記作物の葉面又は幹等の細胞破壊を回避する。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法であって、この防霜ファンを利用して、暖気を吹き降ろす際に、この暖気を段階方式で順次強くすることを特徴とした逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法であって、この作物が茶園の作物であることを特徴とした逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法。
【請求項5】
請求項2に記載の逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法であって、このサーモグラフィカメラを介して逆転層の温度が、所定数値であるときに信号(サーモグラフィ写真)を発信する作用を達成するために、この高所のサーモグラフィ写真の撮影を可能とする手段を、空中に配備する構成としたことを特徴とした逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、逆転層の暖気(自然に生成される暖気)を有効利用して(エネルギーを要せず)凍霜害防止を図るに際し、圃場の植物、即ち、茶園、果樹園等の作物において、その凍霜害を受け易い位置及び/又は条件にある葉面、幹及び/又は芽、果実等(以下、葉面とする)の外部及び/又は内部の温度が低くなった場合には、暖気の利用で、凍霜害を止すること、又は葉面が凍霜害の危険のない場合には、暖気の送風をなくし、省資源化を達成すること、そして、また、新芽時における葉ズレを回避し、最適な生育条件を確保すること、さらには品質の向上を図ること等を意図し、高低所の温度検出ができるサーモスタット及び/又は目視ができるサーモグラフィカメラ等の機器を、単独又は複合に使用し、逆転層の暖気と、最適な送風及び/又はその防霜ファンの有効利用を介して作物に極めて有効な送風方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、茶園の防霜方法の一つとして、防霜ファンがある。この防霜ファンの利点は、防霜効果と、管理の容易化、経済性等の面から重宝されている。そして、従来の当業者の勘と、慣行に頼った操作をする経験則から、近時、逆転層が発生することを想定し、葉面の温度、又は地上近辺の温度が、略0.5℃〜略1℃になった状態(凍霜害)において、逆転層が発生することを想定し、防霜ファンを駆動し、暖気を送風する効率的で、かつ作物に有効な防霜方法に変革している。
【0003】
しかしながら、この変革された防霜方法においても、近時の石油の高騰に起因する省エネルギー化と、地球環境破壊等の見地から、更なる効率的な防霜方法と、無駄のない防霜方法(送風)が要望されている。
【0004】
以上のような状況に鑑み、本出願人を始めとして当業者が種々の工夫と、特許出願を行っている。その一例を以下に説明する。先ず、文献(1)は、実用新案登録第3021646号の「防霜システム」である。この考案は、従来の防霜ファンと燃焼炉(燃焼機能)とを併用する構成であって、例えば、防霜ファンの駆動を、センサーを利用して自動制御するとともに、必要時に煙胴より暖気を供給し、この人工的な暖気を葉面に吹き降ろす構成を採用し、圃場全体の温度上昇を介して強霜を防ぐことを意図する。また文献(2)は、特開平7−115855号の「凍霜害防除方法とその装置」である。この発明は、凍霜害防除のための作物周囲に維持すべき設定温度(Tlо)と、温風機より高い位置の外気温(Ta)と、作物周辺の温度(Tl)とを検出し、それぞれの条件下で、作物の生育に適した送風をする構成であって、例えば、条件が、「Tl≦Tlо」の場合は、温風の吹出しを、また条件が、「TaとTlの温度差>3℃」の場合は、温風機の送風機だけを運転して逆転層の空気を送り、さらに条件が、「1℃≦TaとTlの温度差≦3℃」の場合は、送風機の運転と温風機の低燃焼運転との併用運転を、そして、また条件が、「TaとTlの温度差≦1℃」の場合は、送風機の運転と温風機の高燃焼運転との併用運転をする等の各種の条件に対応する送風を図って、防霜効果と、作物の生育及び/又は品質の向上とを図ることを意図する。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3021646号
【特許文献2】特開平7−115855号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記文献(1)では、燃焼炉を稼動して暖気を供給する構成であり、燃費の無駄となり、かつ昨今の燃料費の高騰を考えると、この燃焼炉の稼働は少なからず問題を抱えていること、そして、この高騰の他の問題は、例えば、作物の価格の上昇を招来し、農業の基盤と、国内農業の衰退を惹起すること、国民の生活基盤が困窮化すること等が考えられる。
【0007】
そして、また燃焼炉の稼動は、排気ガスの発生による地球環境破壊と、人類の生存の危機とも考えられることから、これらの解決策が昨今緊急の課題となっている。
【0008】
また文献(2)では、凍霜害防除のための作物周囲に維持すべき設定温度(Tlо)と、作物周辺の温度(Tl)とを基準とした、温風機及び/又は送風機を適宜コントロールするシステムである。しかし、このシステムによる制御では、作物が備え、かつ生育に必要とする自然の耐久性と、必要とする条件設定を、的確かつ十分に捉えた方法でなく、例えば、作物の生育に関して、過保護ともいえる生育条件であること、又は作物の持つ旨味、食感、栄養素等の各種の特性を、十分に発揮できない問題を抱えていると考えられる。
【0009】
そして、前述と同様に、温風機を稼動することは、前述文献(1)と同様に、燃料費の高騰と、この高騰に基づく諸問題の解決と、排気ガスの発生による地球環境破壊等の解決策が昨今緊急の課題となっている。
【0010】
上記に鑑み、本発明は、(イ) 少なくとも着霜が発生する際において、燃料を使用しない、自然の暖気を利用した防霜ファンの稼働による地球環境に優しい逆転層の暖気を有効利用する凍霜害防止を提供することを意図する。そして、(ロ) 作物が持つ外気温度に対し、生育に必要とする自然の耐久性を、有効利用することで、この種の作物の真の旨味、食感、栄養素等を確保し、需要者の健康に役立つ有効な作物及び/又はこの需要者が好む作物を提供することを意図する。また(ハ) 凍霜害が発生した場合には、徐々の融解を介して細胞の破壊を極めて少なくすること(作物の葉面の体温の急上昇を回避すること)、そして、例えば、空気を送風することで発生する葉ズレ防止、又は資源の有効利用と、地球環境の維持を図ること等を意図する。尚、(ニ) 温風機等の燃焼に伴う、騒音等の発生を回避して、最低限での騒音の発生に留めることで、周辺住民に対する生活に及ぼす騒音問題の解消と、これらのトラブルの解消とを意図する。さらに(ホ) 高所の信号と、低所の信号が入力された状態を、制御部を介して凍霜害を受け易い条件と判断し、逆転層に設けた防霜ファンに指令を発し、逆転層の暖気を送風する構成であり、制御の判断及び/又は指令の簡略化、機器の小型化、この種の動作の確実性の確保等を図ることを意図する。また(ヘ) 作物の生態をこまめに、かつ正確に捉えて、必要とする時期及び/又は条件下において、防霜ファンを稼働し、効率的な送風と、こまめな送風を図ることを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、前述の(イ)〜(ホ)の目的を達成するに最適な逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法を提供することを意図する。
【0012】
請求項1は、少なくとも一基の高所サーモスタットを逆転層に、また少なくとも一基の低所サーモスタットを作物の葉面の最も凍霜害を受け易い位置にそれぞれ設置し、以下の条件下において、逆転層の暖気を前記作物に送風する構成の逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法であって、以下の構成でなる。
【0013】
「1」 高所サーモスタットを介して高所の温度が、所定数値であるときに信号を発信し、また低所サーモスタットを介して低所の温度が、所定数値であるときに信号を発信し、
「2」 この高所の信号と、前記低所の信号が入力された状態を、制御部を介して凍霜害を受け易い条件と判断し、前記高所に設けた防霜ファンに指令を発し、この高所における逆転層の暖気を送風し、
「3」 前記「1」の条件が継続する場合には、前記送風を継続し、前記作物の葉面の融解を徐々に図り、前記作物の葉面の細胞破壊を回避する。
【0014】
請求項2の発明は、前述の(イ)〜(ヘ)の目的を達成するに最適な逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法を提供することを意図する。
【0015】
請求項2は、少なくとも一基の高所サーモグラフィカメラを逆転層に、また少なくとも一基の低所サーモグラフィカメラを作物の葉面の最も凍霜害を受け易い位置にそれぞれ設置し、以下の条件下において、逆転層の暖気を前記作物に送風する構成の逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法であって、以下の構成でなる。
【0016】
「1」 高所サーモグラフィカメラを介して高所の温度が、所定数値であるときに信号(サーモグラフィ写真)を発信し、また低所サーモグラフィカメラを介して低所の温度が、所定数値であるときに信号(サーモグラフィ写真)を発信し、
「2」 この高所の信号(サーモグラフィ写真)と、前記低所の信号(サーモグラフィ写真)が入力された状態を、制御部を介して凍霜害を受け易い条件と判断し、前記高所に設けた防霜ファンに指令を発し、この高所における逆転層の暖気を送風し、
「3」 前記「1」の条件が継続する場合には、前記送風を継続し、前記作物の葉面の融解を徐々に図り、前記作物の葉面の細胞破壊を回避する。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の目的を達成すること、この目的を達成するために、この逆転層の暖気を、ここに設けた防霜ファンを介して送風(吹き降ろす)ことを意図する。
【0018】
請求項3は、請求項1又は請求項2に記載の逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法であって、この防霜ファンを利用して、暖気を吹き降ろす際に、この暖気を段階方式で順次強くすることを特徴とした逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法である。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の目的を達成し、この目的を達成することで、この目的に沿った作物を提供することを意図する。
【0020】
請求項4は、請求項1又は請求項2に記載の逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法であって、この作物が茶園の作物であることを特徴とした逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法である。
【0021】
請求項5の発明は、請求項2に記載の目的を達成すること、この目的を達成するに最適な送風方法を提供することを意図する。
【0022】
請求項5は、請求項2に記載の逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法であって、このサーモグラフィカメラを介して逆転層の温度が、所定数値であるときに信号(サーモグラフィ写真)を発信する作用を達成するために、この高所のサーモグラフィ写真の撮影を可能とする手段を、空中に配備する構成としたことを特徴とした逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法である。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明は、少なくとも一基の高所サーモスタットを逆転層に、また少なくとも一基の低所サーモスタットを作物の葉面の最も凍霜害を受け易い位置にそれぞれ設置し、以下の条件下において、逆転層の暖気を作物に送風する構成の逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法であって、以下の構成でなる。
【0024】
「1」 高所サーモスタットを介して高所の温度が、所定数値であるときに信号を発信し、また低所サーモスタットを介して低所の温度が、所定数値であるときに信号を発信し、
「2」 高所の信号と、低所の信号が入力された状態を、制御部を介して凍霜害を受け易い条件と判断し、高所に設けた防霜ファンに指令を発し、高所における逆転層の暖気を送風し、
「3」 「1」の条件が継続する場合には、送風を継続し、作物の葉面の融解を徐々に図り、作物の葉面の細胞破壊を回避する。
【0025】
従って、請求項1は、次のような特徴がある。
【0026】
(イ) 少なくとも着霜が発生する際において、燃料を使用しない、自然の暖気を利用した防霜ファンの稼働による地球環境に優しい逆転層の暖気を有効利用する凍霜害防止を提供できる。
【0027】
そして、(ロ) 作物が持つ外気温度に対し、生育に必要とする自然の耐久性を、有効利用することで、この種の作物の真の旨味、食感、栄養素等を確保し、需要者の健康に役立つ有効な作物及び/又はこの需要者が好む作物を提供できる。
【0028】
また(ハ) 凍霜害が発生した場合には、徐々の融解を介して細胞の破壊を極めて少なくできること(作物の葉面の体温の急上昇を回避できること)、そして、例えば、空気を送風することで発生する葉ズレ防止、又は資源の有効利用と、地球環境の維持が図れること等を達成できる。
【0029】
尚、(ニ) 温風機等の燃焼に伴う、騒音等の発生を回避して、最低限での騒音の発生に留めることで、周辺住民に対する生活に及ぼす騒音問題の解消と、これらのトラブルの解消が図れる。
【0030】
さらに(ホ) 高所の信号と、低所の信号が入力された状態を、制御部を介して凍霜害を受け易い条件と判断し、逆転層に設けた防霜ファンに指令を発し、逆転層の暖気を送風する構成であり、制御の判断及び/又は指令の簡略化、機器の小型化、この種の動作の確実性の確保等が図れる。
【0031】
請求項2の発明は、少なくとも一基の高所サーモグラフィカメラを逆転層に、また少なくとも一基の低所サーモグラフィカメラを作物の葉面の最も凍霜害を受け易い位置にそれぞれ設置し、以下の条件下において、逆転層の暖気を作物に送風する構成の逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法であって、以下の構成でなる。
【0032】
「1」 高所サーモグラフィカメラを介して高所の温度が、所定数値であるときに信号(サーモグラフィ写真)を発信し、また低所サーモグラフィカメラを介して低所の温度が、所定数値であるときに信号(サーモグラフィ写真)を発信し、
「2」 高所の信号(サーモグラフィ写真)と、低所の信号(サーモグラフィ写真)が入力された状態を、制御部を介して凍霜害を受け易い条件と判断し、高所に設けた防霜ファンに指令を発し、高所における逆転層の暖気を送風し、
「3」 「1」の条件が継続する場合には、送風を継続し、作物の葉面の融解を徐々に図り、作物の葉面の細胞破壊を回避する。
【0033】
従って、請求項2は、請求項1の特徴を達成し、さらに下記の特徴がある。
【0034】
また(ヘ) 作物の生態をこまめに、かつ正確に捉えて、必要とする時期及び/又は条件下に効率的な送風と、こまめな送風が提供できる特徴がある。
【0035】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法であって、防霜ファンを利用して、暖気を吹き降ろす際に、暖気を段階方式で順次強くすることを特徴とした逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法である。
【0036】
従って、請求項3は、請求項1又は請求項2に記載の目的を達成できること、この目的を達成するために、この逆転層の暖気を、ここに設けた防霜ファンを介して送風(吹き降ろす)できること等の特徴を有する。
【0037】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法であって、作物が茶園の作物であることを特徴とした逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法である。
【0038】
従って、請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の目的を達成し、この目的を達成することで、この目的に沿った作物を提供できる特徴がある。
【0039】
請求項5の発明は、請求項2に記載の逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法であって、サーモグラフィカメラを介して逆転層の温度が、所定数値であるときに信号(サーモグラフィ写真)を発信する作用を達成するために、高所のサーモグラフィ写真の撮影を可能とする手段を、空中に配備する構成としたことを特徴とした逆転層の暖気と、継続する送風を有効利用する防霜ファンを利用した作物に対する送風方法である。
【0040】
従って、請求項5は、請求項2に記載の目的を達成できること、この目的を達成するに最適な送風方法を提供できること等の特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明の一実施例を、図面とともに説明する。
【0042】
先ず、本発明の図面を説明すると、図1は第一の実施例の全体の動きを説明するフローチャート図、図2は建柱式の防霜ファンと、高低所サーモスタットとの一例を示した側面模式図、図3は図2の防霜ファンと建柱との関係を説明する要部の側面模式図、図4は第二の実施例の全体の動きを説明するフローチャート図、図5は建柱式の防霜ファンと、高低所サーモグフラフィカメラとの一例を示した側面模式図、図6は葉面をサーモグラフィで示した拡大斜視図である。
【0043】
図1に示した第一の実施例におけるフローチャート図において、ST−1で高所サーモスタット2及び/又は低所サーモスタット3をスタートさせる。この高所サーモスタット2、低所サーモスタット3で逆転層4の温度(ST−2)と、凍霜害を受け易い位置(例えば、葉面5)の温度(ST−3)を検出し、この検出値が設定条件に合致する場合には、それぞれ制御部6に向って信号を発信する。この発信を受入れるのが、(ST−4)となる。
【0044】
この(ST−4)の状態は、前記逆転層4の温度と、凍霜害を受け易い位置(葉面5)の温度の差が、少なくとも略0.5℃〜略1.0℃となったことを示している。従って、この制御部6は、単に良否を決定し、この良の場合は防霜ファン1の指令部に送信する(ST−5)。そして、否の場合はスタート(ST−1)に戻るように送信する(ST−7)。
【0045】
この制御部6からの指令を介して防霜ファン1が可動し、逆転層4の暖気を確実に捉えて、葉面5に供給する(ST−6)。これによって、凍霜害が防止できる。この(ST−6)による防霜ファン1の回転を継続し、逆転層4の空気を確実に捉えて、葉面5に供給する。これによって、作物の葉面5の融解を徐々に図り、作物の葉面5の細胞破壊を回避する。そして、朝方において、送風が継続することで、例えば、葉面5の直射日光による急激な温度上昇をなくし、この葉面5の融解を徐々に図り、細胞破壊を回避する。以上で説明した、各工程と、各条件を付加した総合的な制御を図ることで、確実な凍霜害防止と、作物の葉面5の細胞破壊を回避する。この結果として、前述した効率的な効果の達成と、品質の優れた作物を収穫できること、又は収穫量の増加が期待できること等の実益がある。
【0046】
その後、前記高所サーモスタット2及び/又は低所サーモスタット3からの指令解除発信と、制御部6による停止判断で停止される(ST−9)〜(ST−12)。
【0047】
尚、またこの防霜ファン1の停止は、タイマーを利用した構成(ST−13)が可能である。そして、タイマーでの停止は、作物の状態、気候条件、設定、勘等の個別的な条件や、総合的な条件判断を利用して決定される。
【0048】
以上の停止が決定すると終了となる(ST−14)。
【0049】
そして、前記(ST−1)〜(ST−14)は、以後も順次繰り返される。そして、図示しないが、圃場の条件で、前述の検出及び/又は操作を区画して、個別に制御することも可能であり、この区々の制御を介して精緻に行うことは、前述の如く、省資源及び/又は品質の向上等の前述の効果を図ることに有効である。
【0050】
尚、付帯的な条件であるが、(ST−6)の送風時おいて、一点鎖線で示した、ST−8の如く、逆転層4の暖気を確実に捉えるために、防霜ファン1の移動と、方向変換を行う。さらに、この(ST−8)の如く、逆転層4の暖気を確実及び/又は有効に利用し、省資源及び/又は品質の向上等の前述の効果を図ることも可能である。
【0051】
また葉面5の温度は、支持体、吊下げ、移動式、又は多数箇所、その他の傾斜地、圃場条件等を考慮し、最適な箇所を設定するとともに、経験及び/又は勘が必要な場合もあり得る。そして、この設定値により、本発明の実効性が確保できるので、大切である。
【0052】
さらに、前記の如く、逆転層4の温度を検出する高所サーモスタット2は一基で説明したが、より精緻な検出と、これに基づく制御を図るために数基設けることもあり得る。また葉面5の温度を検出する低所サーモスタット3においても、前述の高所サーモスタット2と同様に解釈される。
【0053】
図2、図3で示すように、防霜ファン1の俯角調整は、建柱100に被嵌した筒体101と、この筒体101に回転可能に設けた本体102と、この本体102の回転を司るクランク機構及び/又はモータを内蔵した回転手段103と、前記本体102に設けた長孔102aに挿入した止め具102bと、この止め具102bを介して本体102に俯角調整自在に設けられるモータ104と、このモータ104の出力軸104aに設けたファン105とで構成されている。従って、この本体102(ファン105)の俯角は、長孔102aと止め具102bとを介して、このモータ104の俯角を自由に変更できる。また本体102(ファン105)の回転は、前記回転手段103を介して首振り自在に構成されている。
【0054】
図4に示した第二の実施例におけるフローチャート図において、高所サーモグラフィカメラ200と、低所サーモグラフィカメラ300とを設置する構成であり、その動作は、前述の図1の説明に準ずるが、逆転層4及び/又は葉面5の温度状態を仔細に表示及び/又は検出し、(ST−2)と(ST−3)を経由し、(ST−4)〜(ST−14)の経過を介して逆転層4の暖気と、葉面5の凍霜害及び/又は細胞破壞を回避する。その他は、前述の第一の実施例に準ずる。尚、図6は葉面5のサーモグラフィの温度分布8を示している。そして、逆転層4の温度をサーモグラフィとして表示する場合には、温度分布機構9(高所のサーモグラフィ写真の撮影を可能とする手段)を設ける。
【0055】
そして、図中(ST−2)は、高所サーモグラフィカメラ200による入力指令、(ST−3)は、低所サーモグラフィカメラ300による入力指令を、また(ST−9)は、高所サーモグラフィカメラ200による解除指令、また(ST−10)は、低所サーモグラフィカメラによる解除指令300をそれぞれ示している。
【0056】
尚、前述の第一、第二の実施例では、サーモスタット及びサーモグラフィを単独で使用する構成を説明したが、気候や圃場の状態、また作物の生育状態等を考慮して、あらゆる条件に合った組合せに適宜変更することができる。例えば、第三の実施例として、高所サーモスタット2と、低所サーモグラフィカメラ300との組合せ、第四の実施例として、高所サーモグラフィカメラ200と、低所サーモスタット2及び低所サーモグラフィカメラ300との組合せ、第五の実施例として、高所サーモスタット2及び高所サーモグラフィカメラ200と、低所サーモグラフィカメラ300との組合せでも、前述の第一、第二の実施例と同様の効果が得られる。そして、これら組合せからも分かるように、低所サーモグラフィカメラ300を常に設置することで、作物の状態をいつでも目で確認することができる。例えば、さくらんぼやりんご等の果物類は、味だけでなく見た目も重要視されることを考慮すると、実際の色、大きさ、葉つき等の生育状態を目で確認できることは非常に大切である。また、より良い作物を収穫するための間引き作業も、このカメラによる確認で効率良く行うことができる。そして、別の場所にいても作物の状態を常に確認できるので、次の作業の段取りを余裕を持って行うことができ、品質の向上に繋がり、農業のさらなる発展に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は第一の実施例の全体の動きを説明するフローチャート図
【図2】図2は建柱式の防霜ファンと、高低所サーモスタットとの一例を示した側面模式図
【図3】図3は図2の防霜ファンと建柱との関係を説明する要部の側面模式図
【図4】図4は第二の実施例の全体の動きを説明するフローチャート図
【図5】図5は建柱式の防霜ファンと、高低所サーモグフラフィカメラとの一例を示した側面模式図
【図6】図6は葉面をサーモグラフィで示した拡大斜視図
【符号の説明】
【0058】
1 防霜ファン
100 建柱
101 筒体
102 本体
102a 長孔
102b 止め具
103 回転手段
104 モータ
104a 出力軸
105 ファン
2 高所サーモスタット
3 低所サーモスタット
200 高所サーモグラフィカメラ
300 低所サーモグラフィカメラ
4 逆転層
5 葉面
6 制御部
8 温度分布
9 温度分布機構
【出願人】 【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
【出願日】 平成18年8月4日(2006.8.4)
【代理人】 【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣

【識別番号】100137899
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 広文


【公開番号】 特開2008−35775(P2008−35775A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−213800(P2006−213800)