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【発明の名称】 ゲル化粉末組成物
【発明者】 【氏名】小坂井 淳

【氏名】大本 俊郎

【要約】 【課題】常温の水に加えて手攪拌のような緩やかな攪拌で溶解し、短時間でゲル化し、切花を差しても容易に倒れないほどの硬さのゲルとすることができ、更には中性のゲルを調製することができる、切花用のゲル状保持剤として使用するゲル化粉末含有組成物を提供する。

【構成】ゲル化粉末組成物中、好ましくは、pH5〜7であり、アルギン酸類を1.5重量%以上含むゲルを調製するための組成物として、アルギン酸類及び硫酸カルシウムを含有する。好ましくは、pHを低下させる酸及びまたはその塩を使用しない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルギン酸類及び硫酸カルシウムを含有することを特徴とするゲル化粉末組成物。
【請求項2】
アルギン酸類を1.5重量%以上含むゲルを調製するための組成物である、請求項1に記載のゲル化粉末組成物。
【請求項3】
pH5〜7のゲルを調製するためのゲル化粉末である、請求項1又は2に記載のゲル化粉末組成物。
【請求項4】
pHを低下させる酸及びまたはその塩を使用しない、請求項1乃至3のいずれかに記載のゲル化粉末組成物。
【請求項5】
切花用のゲル状保持剤として使用する即席用のゲル化粉末である、請求項1乃至4のいずれかに記載のゲル化粉末組成物。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、常温の水に加えることにより、短時間で中性のゲルが調製可能となる、ゲル化粉末組成物に関する。詳細には、常温の水に加えて、手攪拌のような緩やかな攪拌で溶解し、短時間でゲル化し、切花を差しても容易に倒れないほどの硬さのゲルとすることができ、更には中性のゲルを調製することができるゲル化粉末組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水に加えることで短時間でゲル化する食用や経口摂取する薬用の即席ゲル化粉末としてアルギン酸類とカルシウム塩の併用が検討されている。例えば、アルギン酸ナトリウムと無水第2リン酸カルシウムとを含有するゲル化粉末(特許文献1)、アルギン酸塩と凝固剤として水溶性カルシウム塩を含む苦味低減化組成物(特許文献2)などがある。しかしながら、アルギン酸ナトリウム及び無水第2リン酸カルシウムを使用した場合は、グルコノデルタラクトンなどの有機酸を併用しなければゲルが形成されず、有機酸を併用した場合には、pHが下がり、例えばこのゲルをそのまま切り花の保水ゲルなどに転用した場合、植物によっては花が変色してしまう等の問題点があった。また、特許文献2については凝固剤として使用可能な水溶性カルシウム塩として、硫酸カルシウムが挙げられているものの、グルコノデルタラクトンや第一リン酸ナトリウムなどのpHを低下させる酸及び/又は塩を併用するゼリーが記載されているのみである。また、これらはいずれもゼリーや液状食品をゲル化させるような経口食品に適用されるものであり、アルギン酸ナトリウムの添加量が1重量%未満である添加量の低いものやpH低下させる酸などを併用するものであり、これらのものは食用であるのでゲル強度が高くなく、また、アルギン酸類を高濃度含むゲルについては何ら言及されていない。
【0003】
一方、切花などに水分を補給するゲル状の吸水剤として、保水性及びゲル化能を有する多糖類としてジェランガムを使用できることが記載されている(特許文献3〜6など)。しかし、ジェランガムは常温の水には溶解しないため、常温の水に対して手攪拌程度の緩い攪拌条件でも生成する即席ゲルを調製するためのゲル化粉末としては使用できなかった。そこで、手撹拌で室温の水に分散、溶解し、中性で、短時間でゲル化する即席ゲル化粉末の開発が求められていた。
【0004】
【特許文献1】特開2003−79325号公報
【特許文献2】特許第2508547号公報
【特許文献3】特開平9−47154号公報
【特許文献4】特許第2509083号公報
【特許文献5】特開2004−339169号公報
【特許文献6】特許第2579128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、常温の水に加えることにより短時間でゲル化する、切花の保水に使用する中性のゲルを調製するのに適したゲル化粉末組成物、詳細には、常温の水に加えて手攪拌のような緩やかな攪拌で溶解でき、短時間でゲル化し、切花を差しても容易に倒れないほどの硬さの中性ゲルとすることができるゲル化粉末組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を行ったところ、アルギン酸類及び硫酸カルシウムを用いることで、即席でゲルを調製することができるゲル化粉末組成物とすることができることを見いだした。更には、本発明のゲル化粉末組成物は、アルギン酸ナトリウムを1.5重量%以上含む高濃度のゲルを調製するのにふさわしく、また、pH5〜7の中性のゲルが即席で調製できることが判り、切花用のゲル状保水剤として使用する即席用のゲル化粉末として優れていることを見いだした。
【0007】
本発明は以下の態様を有するゲル化粉末に関する;
項1.アルギン酸類及び硫酸カルシウムを含有することを特徴とするゲル化粉末組成物。
項2.アルギン酸類を1.5重量%以上含むゲルを調製するための組成物である、項1に記載のゲル化粉末組成物。
項3.pH5〜7のゲルを調製するためのゲル化粉末である、項1又は2に記載のゲル化粉末組成物。
項4.pHを低下させる酸及びまたはその塩を使用しない、項1乃至3のいずれかに記載のゲル化粉末組成物
項5.切花用のゲル状保持剤として使用する即席用のゲル化粉末である、項1乃至4のいずれかに記載のゲル化粉末組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、常温の水に加えることにより短時間でゲル化する切花の保水ゲルに適したゲル化粉末組成物、詳細には、常温の水に加えて手攪拌のような緩やかな攪拌で溶解することができ、短時間でゲル化し、切花を差しても容易に倒れないほどの硬さのゲルとすることができるゲル化粉末組成物を提供できるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のゲル化粉末組成物は、アルギン酸類及び硫酸カルシウムを含有することを特徴とする。本発明で使用するアルギン酸類は、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸エステルを挙げることができるが、好ましくはアルギン酸ナトリウムを使用することができる。本発明の特徴として、アルギン酸類の最終ゲルに配合する量が、好ましくは、1.5重量%以上、より好ましくは1.5〜3.0重量%、更に好ましくは、2.0〜2.5重量%とすることができ、アルギン酸類を高濃度含有するゲルを調製することができることを挙げることができる。
【0010】
更には、本発明のゲル化粉末組成物は、pH5〜7の中性のゲルを調製するのに適する即席のゲル化粉末組成物である。従来、即席ゲルとして食用で使用されていたゲル化剤は、酸性ゲル調製用のものしかなかったため、その酸性ゲルを保水ゲルとして使用した場合は、植物によっては変色してしまうと言う問題があったが、本発明では中性のゲルを調製できるため、変色がなく、良好に切花などの植物の保水ができることを特徴としている。
【0011】
本発明のゲル化粉末組成物における、アルギン酸類と硫酸カルシウムの配合割合としては、9:1〜2:8、好ましくは、8:2〜5:5、更に好ましくは、5:2〜5:3を例示することができる。なお、硫酸カルシウムの添加量を増減させることにより、ゲルがセットする時間を調整することができるが、硫酸カルシウムの添加量としては、0.2〜2.0重量%を例示することができる。
【0012】
また、本発明では、ゲル化粉末組成物に、アルギン酸類及び硫酸カルシウムを使用することを特徴とし、アジピン酸、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、グルコノデルタラクトンなどpHを低下させる酸及び/又はその塩を使用しないことが好ましい。つまり、本発明では、アルギン酸類及び硫酸カルシウムを使用し、更にはpHを低下させる酸及び/又はその塩を使用しないことにより、pHの低下を抑え、中性でゲル強度の高いゲルを即席で調製することができる。
【0013】
本発明のゲル化粉末組成物は、アルギン酸類及び硫酸カルシウムのそれぞれの粉末を二剤化しても良いし、一剤化しても構わないが、好ましくは、一剤化を行っておくことが好ましい。なお、一剤化する場合には、アルギン酸類に予め分散剤を添加しておくか、又は、アルギン酸類に分散剤を添加して造粒してから硫酸カルシウムと一剤化するのが好ましい。
【0014】
分散剤としては、デキストリン、澱粉及び糖類から選択される少なくとも1種以上を挙げることができ、具体的には、デキストリン、アミロデキストリン、エリトロデキストリン、アクロデキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン等のデキストリン、トウモロコシ、モチトウモロコシ、馬鈴薯、甘藷、小麦、米、餅米、タピオカ、サゴヤシ等由来の生澱粉や、当該澱粉に物理的又は、化学的処理を施した加工澱粉(酸分解澱粉、酸化澱粉、α化澱粉、グラフト化澱粉、カルボキシメチル基、ヒドロキシアルキル基等を導入したエーテル化澱粉、2カ所以上のデンプンの水酸基間に多官能基を結合させた架橋澱粉、湿熱処理澱粉等)等の澱粉、ショ糖、果糖、ブドウ糖、麦芽糖、デンプン糖化物、還元デンプン水飴、トレハロース等の糖などが挙げられる。中でも、デキストリンを好適に使用することができる。分散剤の配合量としては、アルギン酸類1重量部に対して、0.1〜10重量部を挙げることができる。
【0015】
造粒する場合は、分散剤の混合方法として、予めアルギン酸類と分散剤とを粉末の状態で混合して造粒する方法や、造粒時使用するスプレー液に分散剤の全部もしくは一部を溶解し、アルギン酸類を造粒する方法があるが、いずれの方法を用いても良い。また、造粒方法としては、例えば、流動層造粒、転動式造粒、攪拌造粒などの方法で行うことができるが、中でも、流動層造粒法により製造するのが好ましい。
【0016】
また、本発明のゲル化粉末組成物は、溶解する水の温度に拘わらず、手攪拌程度の緩い攪拌条件で、最終ゲルに対する添加量が1.5重量%以上のアルギン酸類を短時間で溶解し、ゲルを形成することが可能となる。なお、攪拌後、速やかにゲルをセットさせることができる。ゲルをセットさせる時間については、硫酸カルシウムの添加量の増減により適宜調整できるが、例えば、攪拌溶解後、数分〜10分間程度静置したのみで、切花を立たせておくことができるほどの硬いゲルを調製することが可能である。
【0017】
また、短時間で保水ゲルが形成するにも拘わらず、かかるゲルに切花を差しても倒れないほどの強度を有しており、剣山やフェノール樹脂製の給水性のスポンジ(通称:オアシス)に代替して、切花等の植物を差して飾っておくことが可能となる。また、ゲル中に水を保持しているため、随時水を注す必要がなく、また、ゲルを入れている容器が転倒したり傾斜したりしても、水漏れの心配がない。
【0018】
更には、本発明のゲル化粉末組成物は、水に添加して溶解させてゲル化させることによりゲルを調製するため、充填する容器の形状、容量などを適宜変更し、任意の形状や大きさのゲルを調製できる点で有用である。
【0019】
なお、本発明のゲル化粉末組成物にて調製した保水に使用する中性ゲルは生分解性を有するので、廃棄にかかる手間が少なく、また、廃棄の際ゲルを乾燥させれば焼却処分も可能であり、また花が枯れた場合に花ごと廃棄することも可能である。
【0020】
また、本発明の粉末組成物に、予め植物の延命剤や植物の活性剤を配合しておくことも有用である。植物の延命剤として、サリチル酸などの殺菌剤、窒素、カリウム、リン等の微量元素、ブドウ糖などの栄養剤ビタミン類等を挙げることができる。
【0021】
また、糖類やタンパク質などゲルの離水抑制剤を、本発明の効果に悪影響を与えない限度において添加しても良い。糖類としては、ブドウ糖、砂糖、麦芽糖、オリゴ糖などの糖類の他、本発明のゲル化剤以外の増粘・ゲル化剤も悪影響のない限度で併用して使用しても良い。例えば、キサンタンガム、ガラクトマンナン(グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム等)、カシアガム、グルコマンナン、ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、ゼラチン、トラガントガム、カラヤガム、アラビアガム、ガティガム、マクロホモプシスガム、寒天、カードラン、プルラン、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)等のセルロース誘導体、水溶性ヘミセルロース、大豆多糖類、加工・化工でん粉、未加工でん粉(生でん粉)、デキストリンなどから選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。
【0022】
タンパク質としては、乳由来のタンパク質、卵由来のタンパク質、牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉などの畜肉由来のタンパク質、魚、貝類などの魚介類由来のタンパク質などの動物性タンパク質や、これら動物性タンパク質から得られたペプチド、コラーゲン、ゼラチン、アルブミンなども包含する。更には、トウモロコシ、小麦、大麦、米、カラスムギ、大豆などの穀物タンパク質や、その画分である、グルテン、プロラミン、ゼイン、グルテニン、グリアジンなども挙げることができる。
【0023】
更には、抗菌剤、色素、香料なども必要に応じて配合することが可能である。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、処方中、特に記載のない限り「%」は「重量%」を示す。
【0025】
実験例1
下記表1に掲げるゲル化剤処方を粉体混合して流動層造粒し、できあがった造粒物を、16メッシュ〜60メッシュの篩を用いて篩別したものと、各カルシウム塩を粉体混合して、ゲル化粉末組成物を調製した(実施例1,比較例1〜2)。
【0026】
実施例1、比較例1〜2のゲル化粉末含有組成物について、底面の直径8.5センチの円柱形の容器に、表1記載の添加量を配合するようにゲル化粉末組成物と25℃の水を調整して添加し、スプーンにて1分間攪拌してゲルを調製した。調製した各ゲルについて、pHを測定した。また、切花であるバラ(バラ科、Rosa hybrida)をゲルに差して、25℃の部屋に1週間静置後の保存状態及び切花の状態(立たせられるか)を観察し、その結果を表1に示した。
【0027】
【表1】


【0028】
表1に示すように、アルギン酸ナトリウム及び硫酸カルシウムを使用した実施例1は、非常に短時間(5分程度)でゲルがセットし、また、切花を立たせて保持するほどの硬いゲルとすることができた。つまり、得られたゲルを剣山の代替として良好に利用できた。
【0029】
一方、カルシウム塩にクエン酸カルシウムを用いた比較例1では、ゲルの強度が不十分で切り花を立たせることはできなかった。また、第二リン酸カルシウムとpH調整剤としてアジピン酸を用いた比較例2は、pHを下げることによりゲル化させているため、ゲルのpHが低いためか、1週間で切り花はしおれてしまい、茎も曲がってしまった。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明により常温の水に加えて手攪拌のような緩やかな攪拌で溶解し、短時間でゲル化し、切花を差しても容易に倒れないほどの硬さのゲルとすることができ、更には中性のゲルを調製することができる粉末組成物を提供することができる。



【出願人】 【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−29258(P2008−29258A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−206162(P2006−206162)