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【発明の名称】 新芽野菜の栽培方法,新芽野菜の栽培装置,新芽野菜の栽培容器及び容器入り新芽野菜
【発明者】 【氏名】鈴木 建吾

【要約】 【課題】新芽野菜を良好に栽培でき、しかも収穫時には茎部を引き抜く作業に伴って種子を自然に取り払い、茎部と根だけを良好に収穫できるようにした画期的な新芽野菜の栽培方法。

【構成】水分が与えられ根を出せる状態に保持する種子1Aの上部に、発芽する茎部1Bの通過を許容して発芽に支障を生じない孔径に設定した多数の通孔部2若しくはそのような材質に設定した発芽許容材質部3を設けた構成で、且つ発芽後の収穫時に茎部1Bを引き抜く際に根1Cは茎部1Bと共に引き抜けるが、種子1Aは一緒に引き抜かれずに残存するように前記多数の通孔部2の孔径を設定若しくは前記発芽許容材質部3の材質を設定した種子補足用板部4を配設し、種子1Aから発芽する茎部1Bをこの種子補足用板部4を通過させつつ発芽させ、収穫時にこの茎部1Bを引き抜くと種子1Aは前記種子補足用板部4を通過せず残存するように栽培する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分が与えられ根を出せる状態に保持する種子の上部に、発芽する茎部の通過を許容して発芽に支障を生じない孔径に設定した多数の通孔部若しくはそのような材質に設定した発芽許容材質部を設けた構成で、且つ発芽後の収穫時に茎部を引き抜く際に根は茎部と共に引き抜けるが、種子は一緒に引き抜かれずに残存するように前記多数の通孔部の孔径を設定若しくは前記発芽許容材質部の材質を設定した種子補足用板部を配設し、種子から発芽する茎部をこの種子補足用板部を通過させつつ発芽させ、収穫時にこの茎部を引き抜くと種子は前記種子補足用板部を通過せず残存するように栽培することを特徴とする新芽野菜の栽培方法。
【請求項2】
種子若しくは種子から発根する根が、保湿状態又は浸中若しくは浸漬状態となるように種子を保持する種子保持部を前記種子補足用板部の下方に配設する、又は前記種子補足用板部に設けて、種子を前記種子保持部に保持して発芽させることを特徴とする請求項1記載の新芽野菜の栽培方法。
【請求項3】
水分を含んだ若しくは含ませる水分保持部の上面を前記種子保持部とする、又は前記水分保持部の上部に、発根する根が通過できる多数の発根用通孔部を設けた前記種子保持部を配設して、前記種子保持部に種子を保持して発芽させることを特徴とする請求項2記載の新芽野菜の栽培方法。
【請求項4】
発根する根が通過できる多数の発根用通孔部を設けた若しくはそのような材質に設定した発根許容材質部を設けた構成で、且つ種子を載置若しくは固定する前記種子保持部を有する構成の栽培用種子保持板部を、水受部内に浸中若しくは浸漬状態に配設又は水分を含んだ若しくは含ませる水分保持部の上部に配設して、この栽培用種子保持板部の種子保持部に種子を保持して発芽させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の新芽野菜の栽培方法。
【請求項5】
前記種子補足用板部を、網板若しくは多孔板又はゼリー状板で構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の新芽野菜の栽培方法。
【請求項6】
前記栽培用種子保持板部を、網板若しくは多孔板又はゼリー状板で構成したことを特徴とする請求項4,5のいずれか1項に記載の新芽野菜の栽培方法。
【請求項7】
水分が与えられ根を出せる状態に保持する種子の上部に、発芽する茎部の通過を許容して発芽に支障を生じない孔径に設定した多数の通孔部若しくはそのような材質に設定した発芽許容材質部を設けた構成で、且つ発芽後の収穫時に茎部を引き抜く際に根は茎部と共に引き抜けるが、種子は一緒に引き抜かれずに残存するように前記多数の通孔部の孔径を設定若しくは前記発芽許容材質部の材質を設定した種子補足用板部を配設したことを特徴とする新芽野菜の栽培装置。
【請求項8】
種子若しくは種子から発根する根が、保湿状態又は浸中若しくは浸漬状態となるように種子を保持する種子保持部を前記種子補足用板部の下方に配設する、又は前記種子補足用板部に設け、種子を前記種子保持部に保持して発芽させ得るように構成したことを特徴とする請求項7記載の新芽野菜の栽培装置。
【請求項9】
水分を含んだ若しくは含ませる水分保持部の上面を前記種子保持部とする、又は前記水分保持部の上部に、発根する根が通過できる多数の発根用通孔部を設けた前記種子保持部を配設したことを特徴とする請求項8記載の新芽野菜の栽培装置。
【請求項10】
発根する根が通過できる多数の発根用通孔部を設けた若しくはそのような材質に設定した発根許容材質部を設けた構成で、且つ種子を載置若しくは固定する前記種子保持部を有する構成の栽培用種子保持板部を、水受部内に浸中若しくは浸漬状態に配設又は水分を含んだ若しくは含ませる水分保持部の上部に配設して、この栽培用種子保持板部の種子保持部に種子を保持して発芽させ得るように構成したことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の新芽野菜の栽培装置。
【請求項11】
前記種子補足用板部を、網板若しくは多孔板又はゼリー状板で構成したことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の新芽野菜の栽培装置。
【請求項12】
前記栽培用種子保持板部を、網板若しくは多孔板又はゼリー状板で構成したことを特徴とする請求項10,11のいずれか1項に記載の新芽野菜の栽培装置。
【請求項13】
請求項7〜12のいずれか1項に記載の新芽野菜の栽培装置を容器底部に備えたことを特徴とする新芽野菜の栽培容器。
【請求項14】
請求項13記載の新芽野菜の栽培容器で栽培したことを特徴とする容器入り新芽野菜。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、新芽野菜の茎部から根を切り離すことなく、且つ種子は除去して良好に新芽野菜の収穫が行える新芽野菜の栽培方法,新芽野菜の栽培装置,新芽野菜の栽培容器及び容器入り新芽野菜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、かいわれブロッコリ,かいわれ大根などの様々な新芽野菜が知られている。
【0003】
これら新芽野菜は、栄養価に富み、少量の摂取で多くの栄養素(ビタミン,ミネラルなど)を摂取できることから、健康食品として近年多くの注目を集めている。
【0004】
ところで、この種の新芽野菜は一般に、容器の底部に、水分を含んだスポンジなどのマット(以下、保水マット)を敷設し、この保水マットの上面に新芽野菜の種子を蒔き、この保水マット上で発芽,栽培を行うものである。
【0005】
従って、種子から発根した根が前記保水マットの間隙に入り込んで絡み付くと、茎部を上方に引っ張ってもこの保水マットから根を容易に引き抜けなくなってしまい、よって、収穫時に、この新芽野菜の茎部の下部側(根元側)をカットして、前記保水マットやこの保水マットに絡み付いた根を茎部から切り離して茎部側のみを収穫し、一方、この切り離した保水マットや根は処分していた。
【0006】
しかし、これら新芽野菜は根に多くの栄養価を含んでおり、前述のように根を切り離して処分するのは非常に勿体無い。
【0007】
また特に、収穫時、保水マットの上面には多数の種子(発芽済みの種子の残渣)が残存しており、これら多数の種子も前記保水マットや根と同様に茎部から切り離すべく、それだけ(種子が残らないように)この茎部の下端位置よりもかなり上方位置で上記カット(切り離し処分)を行うので、それだけ一層無駄が多く勿体無い。
【0008】
ところで、保水マットに根が絡み付くという上記問題を解決した技術は従来からあり、例えば、保水マットをスポンジのように間隙の大きい多孔状素材ではなく、間隙の小さい(根が入り込めない)多孔状素材で構成したものや、また例えば、特開平8−98631号公報に開示されているように、栽培容器の底部に保水マットを敷設しない構成(例えば、保水マットの替わりに底部に小さい溝を形成してこの溝内に水を配する。)としたものなどがあり、これらはいずれも、保水マットに根が絡み付くことがない為、茎部と根とを切り離すこと無く収穫できるという利点を有する。
【0009】
しかしながら、このように茎部と根とを切り離さずに収穫した場合には、上記の茎部のカット(根側の切り離し処分)を行っていないので、当然、多数の種子がこの収穫した新芽野菜に付着したままとなり、よって、この種子を何らかの方法で取り払わなければならない。
【0010】
しかしながら、この収穫した新芽野菜に付着した種子を例えば自動で良好に取り払える技術は従来までには無く、また、水洗いしながら手で洗い流すといった手動による作業は非常に面倒で作業能率も悪い。よって、せっかく茎部と根とを切り離さずに収穫できたとしても、種子を良好に取り払う有効な手段がこれまでにはない為、結局、作業能率や作業コストを考慮すると、茎部の下端側(根元側)をカットして茎部から根,種子を切り離し処分するしかないのが現状である。
【0011】
【特許文献1】特開平8−98631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述のような問題点に鑑みて完成したもので、新芽野菜を良好に栽培できることは勿論、栽培したこの新芽野菜の茎部を上方に引き抜くだけで、茎部と根とを切り離すことなく、しかも種子は確実に取り払いながらこの新芽野菜を収穫でき、栄養価の高いこの種の新芽野菜において、特に栄養素の多く含まれる根を茎部から切り離して処分する必要が無く、種子を一々洗い流す面倒な作業も一切不要で誰でも簡単に新芽野菜の栽培・収穫が行える画期的な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0014】
水分が与えられ根を出せる状態に保持する種子1Aの上部に、発芽する茎部1Bの通過を許容して発芽に支障を生じない孔径に設定した多数の通孔部2若しくはそのような材質に設定した発芽許容材質部3を設けた構成で、且つ発芽後の収穫時に茎部1Bを引き抜く際に根1Cは茎部1Bと共に引き抜けるが、種子1Aは一緒に引き抜かれずに残存するように前記多数の通孔部2の孔径を設定若しくは前記発芽許容材質部3の材質を設定した種子補足用板部4を配設し、種子1Aから発芽する茎部1Bをこの種子補足用板部4を通過させつつ発芽させ、収穫時にこの茎部1Bを引き抜くと種子1Aは前記種子補足用板部4を通過せず残存するように栽培することを特徴とする新芽野菜の栽培方法に係るものである。
【0015】
また、種子1A若しくは種子1Aから発根する根1Cが、保湿状態又は浸中若しくは浸漬状態となるように種子1Aを保持する種子保持部5を前記種子補足用板部4の下方に配設する、又は前記種子補足用板部4に設けて、種子1Aを前記種子保持部5に保持して発芽させることを特徴とする請求項1記載の新芽野菜の栽培方法に係るものである。
【0016】
また、水分を含んだ若しくは含ませる水分保持部6の上面を前記種子保持部5とする、又は前記水分保持部6の上部に、発根する根1Cが通過できる多数の発根用通孔部7を設けた前記種子保持部5を配設して、前記種子保持部5に種子1Aを保持して発芽させることを特徴とする請求項2記載の新芽野菜の栽培方法に係るものである。
【0017】
また、発根する根1Cが通過できる多数の発根用通孔部7を設けた若しくはそのような材質に設定した発根許容材質部8を設けた構成で、且つ種子1Aを載置若しくは固定する前記種子保持部5を有する構成の栽培用種子保持板部9を、水受部内に浸中若しくは浸漬状態に配設又は水分を含んだ若しくは含ませる水分保持部6の上部に配設して、この栽培用種子保持板部9の種子保持部5に種子1Aを保持して発芽させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の新芽野菜の栽培方法に係るものである。
【0018】
また、前記種子補足用板部4を、網板若しくは多孔板又はゼリー状板で構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の新芽野菜の栽培方法に係るものである。
【0019】
また、前記栽培用種子保持板部9を、網板若しくは多孔板又はゼリー状板で構成したことを特徴とする請求項4,5のいずれか1項に記載の新芽野菜の栽培方法に係るものである。
【0020】
また、水分が与えられ根を出せる状態に保持する種子1Aの上部に、発芽する茎部1Bの通過を許容して発芽に支障を生じない孔径に設定した多数の通孔部2若しくはそのような材質に設定した発芽許容材質部3を設けた構成で、且つ発芽後の収穫時に茎部1Bを引き抜く際に根1Cは茎部1Bと共に引き抜けるが、種子1Aは一緒に引き抜かれずに残存するように前記多数の通孔部2の孔径を設定若しくは前記発芽許容材質部3の材質を設定した種子補足用板部4を配設したことを特徴とする新芽野菜の栽培装置に係るものである。
【0021】
また、種子1A若しくは種子1Aから発根する根1Cが、保湿状態又は浸中若しくは浸漬状態となるように種子1Aを保持する種子保持部5を前記種子補足用板部4の下方に配設する、又は前記種子補足用板部4に設け、種子1Aを前記種子保持部5に保持して発芽させ得るように構成したことを特徴とする請求項7記載の新芽野菜の栽培装置に係るものである。
【0022】
また、水分を含んだ若しくは含ませる水分保持部6の上面を前記種子保持部5とする、又は前記水分保持部6の上部に、発根する根1Cが通過できる多数の発根用通孔部7を設けた前記種子保持部5を配設したことを特徴とする請求項8記載の新芽野菜の栽培装置に係るものである。
【0023】
また、発根する根1Cが通過できる多数の発根用通孔部7を設けた若しくはそのような材質に設定した発根許容材質部8を設けた構成で、且つ種子1Aを載置若しくは固定する前記種子保持部5を有する構成の栽培用種子保持板部9を、水受部内に浸中若しくは浸漬状態に配設又は水分を含んだ若しくは含ませる水分保持部6の上部に配設して、この栽培用種子保持板部9の種子保持部5に種子1Aを保持して発芽させ得るように構成したことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の新芽野菜の栽培装置に係るものである。
【0024】
また、前記種子補足用板部4を、網板若しくは多孔板又はゼリー状板で構成したことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の新芽野菜の栽培装置に係るものである。
【0025】
また、前記栽培用種子保持板部9を、網板若しくは多孔板又はゼリー状板で構成したことを特徴とする請求項10,11のいずれか1項に記載の新芽野菜の栽培装置に係るものである。
【0026】
また、請求項7〜12のいずれか1項に記載の新芽野菜の栽培装置Sを容器底部に備えたことを特徴とする新芽野菜の栽培容器に係るものである。
【0027】
また、請求項13記載の新芽野菜の栽培容器で栽培したことを特徴とする容器入り新芽野菜に係るものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明は上述のようにしたから、種子から発芽する茎部は種子補足用板部に設けた多数の通孔部若しくは発芽許容材質部を通過させて良好に上方へと発芽させることができ、一方、この発芽した茎部を収穫時に引き抜く際には、茎部と根部とを共に引き抜くことはできても、種子だけは前記種子補足用板部の通孔部若しくは発芽許容材質部を通過できずにこの種子補足用板部に残存させることができる。
【0029】
従って、栽培したこの新芽野菜の茎部を上方に引き抜くだけで、茎部と根とを切り離すことなく、しかも種子は確実に取り払いながらこの新芽野菜を収穫できる。
【0030】
よって、本発明は、栄養価の高いこの種の新芽野菜において、特に栄養素の多く含まれる根をこれまでのように茎部から切り離して処分したりする必要が無く、また種子を一々洗い流す面倒な作業も一切不要で、誰でも簡単に新芽野菜の栽培・収穫を行える極めて作業性及び実用性に秀れた画期的で商品価値の高い新芽野菜の栽培方法となる。
【0031】
また、請求項2〜4記載の発明においては、種子保持部により、種子から発根する根を保湿状態又は浸中若しくは浸漬状態となるように種子を保持して栽培を行うので、確実に根から水分を種子に供給させて種子の発育を良好に促進でき、それだけ一層良好に新芽野菜の栽培が行える。
【0032】
また、請求項5,6記載の発明においては、種子補足用板部や栽培用種子保持板部を、単に網板若しくは多孔板又はゼリー状板で構成することで、上記作用効果を確実に奏する種子補足用板部,際培養種子保持板部が簡単に得られる。即ち、簡易に設計実現可能なこの種子補足用板部や栽培用種子保持板部を用いることで、それだけ簡易に実施可能で一層実用性に秀れた新芽野菜の栽培方法となる。
【0033】
また、請求項7記載の発明においては、前述した請求項1に係る発明と同様の作用効果を発揮する極めて商品価値の高い画期的な新芽野菜の栽培装置となる。
【0034】
また、請求項13記載の発明においては、前述した請求項7に係る発明と同様の作用効果を発揮する極めて商品価値の高い画期的な新芽野菜の栽培容器となる。
【0035】
また、請求項14記載の発明においては、前述した請求項13に係る発明と同様の作用効果を発揮し、例えば容器入りのままで販売し、消費者は、例えば茎部の下部側(根元側)をカットして根や種子を切り離して処分したりする必要なく、単に容器に入った新芽野菜の茎部を容器上方へと引き抜くことで、種子は自然に容器内の種子補足用板部の下部側に残存させて且つ茎部と根とは共々良好に容器から引き抜いて食すことができるなど、極めて商品価値の高い画期的な容器入り新芽野菜となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0037】
水分が与えられ根を出せる状態に保持する種子1Aから発芽する茎部1Bは、この種子1Aの上部に設けた種子補足用板部4を通過しつつ発芽する。
【0038】
具体的には、種子補足用板部4は、発芽する樹脂1Bの通過は許容して発芽に支障を生じない孔径に設定した多数の通孔部2若しくはそのような材質に設定した発芽許容材質部3を設けた構成としているので、種子1Aから発芽した茎部1Bはこの種子補足用板部4の通孔部2若しくは発芽許容材質3を通過しつつ上方に向けて発芽することとなる。
【0039】
しかも、この発芽後の収穫時に茎部1Bを引き抜く際に、根1Cは茎部1Bと共に引き抜けるが、種子1Aは一緒に引き抜かれずに残存するように前記多数の通孔部2の孔径を設定若しくは前記発芽許容材質部3の材質を設定している。
【0040】
従って、本発明は、種子1Aから発芽する茎部1Bをこの種子補足用板部4を通過させつつ発芽させて良好に栽培できることは勿論、収穫時にこの茎部1Bを引き抜くと、この茎部1Bと根1Cとを共に簡単に引き抜くことができて、且つ種子1Aは前記種子補足用板部4を通過せず残存させる(即ち、例えば図3に図示したように種子1Aだけは種子補足用板部4を通過できずにこの種子補足用板部4の下部側に残存させる)ことができるなど、この種の新芽野菜に極めて好適な秀れた栽培方法となる。
【0041】
尚、この種子補足用板部4は、例えば、網板若しくは多孔板又はゼリー状板で構成すれば良い。即ち、例えば網材の各網目や多孔板の各孔を上記多数の通孔部2として構成したり、また例えば、種子補足用板部4をゼリー状板で構成し、このゼリー状板自体を、前記種子1Aから発芽する茎部1Bは通過でき且つこの茎部1Bを引き抜く際には種子1Aが引っかかる(通過できない)硬さ又は柔らかさに設定して上記発芽許容材質部3として構成すれば良い。
【0042】
また、例えば、種子1A若しくは種子1Aから発根する根1Cが、保湿状態又は浸中若しくは浸漬状態となるように種子1Aを保持する種子保持部5を前記種子補足用板部4の下方に配設する、又は前記種子補足用板部4に設けて、種子1Aを前記種子保持部5に保持して発芽させることとした場合には、種子1Aから発根する根1Cから確実に種子への水分供給が行え、よって、良好に種子1Cの発育が促進され一層良好に新芽野菜の栽培が行えることとなる。
【0043】
特に、例えば、水分を含んだ若しくは含ませる水分保持部6の上面を前記種子保持部5とする、又は前記水分保持部6の上部に、発根する根1Cが通過できる多数の発根用通孔部7を設けた前記種子保持部5を配設して、前記種子保持部5に種子1Aを保持して発芽させることとすれば、種子1Aを種子保持部5に載置すると共に、この種子1Cから発根した根1Cはこの種子保持部5に設けた種子保持部7を通過して水分保持部6へと到達させることができ、確実にこの根1Cを保湿状態又は浸中若しくは浸漬状態にできることとなる。更に、例えば、発根する根1Cが通過できる多数の発根用通孔部7を設けた若しくはそのような材質に設定した発根許容材質部8を設けた構成で、且つ種子1Aを載置若しくは固定する前記種子保持部5を有する構成の栽培用種子保持板部9を、水受部内に浸中若しくは浸漬状態に配設又は水分を含んだ若しくは含ませる水分保持部6の上部に配設して、この栽培用種子保持板部9の種子保持部5に種子1Aを保持して発芽させることとすれば、この栽培用種子保持板部9によって、種子1Aを保持することと、この種子1Aから発根する根1Cを水受け部又は水分保持部6へ到達させ水分を供給することとの双方を確実に達成でき得ることとなる。尚、この栽培用種子保持板部9も上記種子補足用板部4と同様に、例えば網板若しくは多孔板又はゼリー状板で構成すれば、この秀れた作用効果を確実に発揮し得る栽培用種子保持板部9を簡易に設計実現可能である。
【実施例】
【0044】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0045】
本実施例は、かいわれブロッコリや、かいわれ大根などの新芽野菜の栽培方法であって、具体的には、図4に図示した新芽野菜の栽培装置Sにより栽培を行うものである。
【0046】
先ず、栽培装置Sの各部の構成について説明する。
【0047】
本実施例に使用する栽培装置Sは、水分が与えられ根を出せる状態に保持する種子1Aの上部に、発芽する茎部1Bの通過を許容して発芽に支障を生じない孔径に設定した多数の通孔部2若しくはそのような材質に設定した発芽許容材質部3を設けた構成で、且つ発芽後の収穫時に茎部1Bを引き抜く際に根1Cは茎部1Bと共に引き抜けるが、種子1Aは一緒に引き抜かれずに残存するように前記多数の通孔部2の孔径を設定若しくは前記発芽許容材質部3の材質を設定した種子補足用板部4を配設した構成である。
【0048】
種子補足用板部4は、網板若しくは多孔板又はゼリー状板で構成している。尚、本実施例においては、図4及び図5に図示したように、平板状の網材で種子補足用板部4を構成して、この網材で構成した種子補足用板部4の各網目を前記通孔部2として構成したものである。
【0049】
従って、この種子補足用板部4の通孔部2(網目)の孔径は、図1〜図3に図示したように、種子1Aの径よりも小さい孔径にして、且つ茎部1Bは容易に通過可能な孔径に設定している。
【0050】
また、この種子補足用板部4の下方には、種子1A若しくは種子1Aから発根する根1Cが、保湿状態又は浸中若しくは浸漬状態となるように種子1Aを保持する種子保持部5を配設し、種子1Aを前記種子保持部5に保持して発芽させ得るように構成している。
【0051】
具体的には、水分を含んだ若しくは含ませる水分保持部6の上部に、発根する根1Cが通過できる多数の発根用通孔部7を設けた前記種子保持部5を配設して種子1A若しくは種子1Aから発根する根1Cが、保湿状態又は浸中若しくは浸漬状態となるように構成している。尚、水分保持部6の上面を前記種子保持部5として構成し、この水分保持部6の上面(種子保持部5)に種子1Aを載置保持する構成としても良い。
【0052】
更に具体的には、本実施例においては、発根する根1Cが通過できる多数の発根用通孔部7を設けた構成で、且つ種子1Aを載置若しくは固定する前記種子保持部5を有する構成の栽培用種子保持板部9を、図4に図示したように、前記水分保持部6の上部に配設することによりこの水分保持部6の上部に種子保持部5を配設した構成である。
【0053】
この栽培用種子保持板部9は、単に水分保持部6上に重合配設しても良く(図2に図示したように、発根した根1Cによって自然に栽培用種保持板部9が上方に持ち上がる)、また、水分保持部6のやや上方に架設状態に配設しても良い。
【0054】
尚、水分保持部6は、図1に図示したように、凹凸状部を形成してこの凹凸部の凹状谷部に水を配する構成としたものである(実際には、この凹状谷部に配した水は表面張力によりこの凹状谷部上の前記種子1Aに到達する。)。
【0055】
尚、種子1Aから発根した根1Cが入り込めない小さい間隙を多数有する多孔状のシートに水を含ませた保水シートを底部に敷設する構成としても良い。また、例えば、水分保持部6の上部に栽培用種子保持板部9を配設するのではなく、この栽培用種子保持板部9を直接、水の張られた水受部内に浸中若しくは浸漬状態に配設した構成としても良い。
【0056】
また、この種子保持部5を設けた栽培用種子保持板部9を前記種子補足用板部4の下方に配設するのではなく、例えばこの種子補足用板部4自体に種子保持部5を一体に設ける構成としても良く、他にも、本実施例と同様の機能を発揮し得る構成であれば良い。
【0057】
この栽培用種子保持板部9は、網板若しくは多孔板で構成したものであり、本実施例においては、図1〜図4に図示したように、平板状の網材でこの栽培用種子保持板部9を構成し、この網材で構成した栽培用種子保持板部9の各網目を前記種子保持部5よりも径小に設定し、この栽培用種子保持板部9の網面を前記種子保持部5とすると共に各網目を前記発根用通孔部7として構成している。
【0058】
この栽培用種子保持板部9は、発根する根1Cが通過でき且つ種子1Aは通過できず上面に載置でき得る材質に設定した例えばゼリー状板などの発根許容材質部8を設けた構成、若しくは発根許容材質部8から成る構成としても良い(図9参照)。
【0059】
以上のように構成した新芽野菜の栽培装置Sは、図4に図示したように、凹凸形状の水分保持部6の上部に前記栽培用種子保持板部9を重合配設し、この栽培用種子保持板部9上に多数の種子1Aを載置保持した上で、この上から種子補足用板部4を重合して成るものであり、この新芽野菜の栽培装置Sを、図4,図5に図示したように、上部が開口した方形状の底深な容器体10の底部に配設して成る新芽野菜の栽培容器によって栽培を行う。
【0060】
尚、図中符号11は、前記容器体10の上部開口部に配設する天部材11であって、表面に通気孔を数個穿設している。
【0061】
上記新芽野菜の栽培装置Sを用いた本実施例の新芽野菜の栽培方法を説明する。
【0062】
上部が開口した方形体形状の容器体10の底部に、凹状谷部に水を配する凹凸状の水分保持部6を設け、その上部に栽培用種子保持板部9が配設され、この栽培用種子保持板部9の種子保持部5上には種子1Aが多数配設され、更にこの栽培用種子保持部9上にして種子1Aの上方から種子補足用板部4が配設された、図1に図示される状態を作出する。尚、前記の凹凸状の水分保持部6は、前記容器体10の底部自体を凹凸状に形成してこの容器体10の底部に一体に設けた構成としても良いし、また、底面が平坦な容器体10の底部に、凹凸状の前記水分保持部6を別部材で設ける構成としても良い。
【0063】
これにより、図2に図示したように、種子1Aから発芽した茎部1Bは、種子1A上部の種子補足用板部4の通孔部2を通過して上方に発芽し、一方、この種子1Aから発根した根1Cは種子1A下部の栽培用種子保持板部9の発根用通孔部7を通過して下方の前記凹凸状の水分保持部6の凹状谷部のスペースに良好に根を伸ばし、このようにして新芽野菜の栽培を良好に行える。
【0064】
従って、本実施例の上記栽培方法により栽培される新芽野菜は、図5に図示したように、栽培容器で十分に栽培された後、収穫時には、図3に図示したように、この新芽野菜の茎部1Bを上方に引き抜くことで、茎部1Bは種子補足用板部4の通孔部2を通過して引き抜かれ、これに伴い根1Cも栽培用種子保持板部9の発根用通孔部7を通過し更に種子補足用板部4の通孔部2を通過して前記茎部部1Bと一体に上方に引き抜かれるが、一方、種子1Aだけは、前記種子補足用板部4の通孔部2を通過できないから、前記茎部1Bや根1Cと共に容器体10から上方へと引き抜かれることは無くこの種子1Aだけは種子補足用板部4の下部に残存することとなる。
【0065】
以上のように本実施例は、新芽野菜を良好に栽培できることは勿論、栽培したこの新芽野菜の茎部1Bを上方に引き抜くだけで、茎部1Bと根1Cとを切り離すことなく一体に収穫できると共に種子1Aは上記引き抜き作業に伴い自動的に取り払うことができる。
【0066】
よって、栄養価の高いこの種の新芽野菜において、特に栄養素の多く含まれる根を茎部から切り離して処分することなく茎部と根とを一体に良好に収穫でき、且つ種子を取り払う作業を行う必要も一切無いなく、新芽野菜の栽培・収穫を誰でも簡単且つ良好に行える極めて作業性及び実用性に秀れた画期的で商品価値の高い新芽野菜の栽培方法である。
【0067】
また、上述した新芽野菜の栽培装置Sを備えた栽培容器で栽培する容器入り新芽野菜を、市販のパック入りのカイワレ大根と同様に容器内で栽培された状態のまま容器ごと販売すれば、この容器入り新芽野菜を購入した消費者が容器で栽培されたこの新芽野菜を単に上方に引き抜いて簡単に食せる極めて商品価値の高い容器入り新芽野菜となる。
【0068】
即ち、例えば大掛かりな装置を使用すれば、茎部1Bから種子1Aや根1Cを切り離すことなく該装置によって種子1Aだけを取り払うことは可能であるが、この装置により種子1Aを取り払った新芽野菜を袋詰めなどにして販売する場合(つまり、既に収穫済みの新芽野菜を販売する場合)は、それだけ保存可能な期間も短い。これに対して、上述のように容器内で栽培した状態のまま容器入り新芽野菜として販売すればそれだけ保存が利き、食べたいときにこの容器内から新芽野菜を単に引き抜いて収穫し、新鮮な状態で食すことができ、更に前述の大掛かりな装置は不要で単に容器から茎部1Bを上方へ引き抜くだけで茎部1Bから根1Cは切り離さずに種子1Aだけを取り払い良好に食すことができるという非常に商品価値の高い容器入り新芽野菜となる。
【0069】
尚、図6〜図9は、これまでに説明した本実施例の別例を示すものである。
【0070】
具体的に説明すると、図6に示した別例は、種子補足用板部4を、網材ではなく、発芽する茎部1Bの通過を許容して発芽に支障を生じず、且つ発芽後の収穫時に茎部1Bを引き抜く際に根1Cは茎部1Bと共に引き抜けるが、種子1Aは一緒に引き抜かれずに残存する材質(硬さ若しくは柔らかさ)に設定したゼリー状の発芽許容材質部3で構成した場合である。この図6に図示した別例では、種子1Aから発芽した茎部1Bはこのゼリー状の種子補足用板部4(発芽許容材質部3,以下ゼリー状体と呼ぶ)を貫通して上方に発芽し、一方、この発芽後の収穫時に茎部1Bを引き抜くことで茎部1B及び根1Cはこのゼリー状体を貫通して上方に引き抜きでき、一方この際、種子1Aはこのゼリー状体を通過できずに、図6に図示したようにゼリー状体の下方に残存する(即ち、収穫した茎部1Bや根1Cから取り払われる)こととなる。尚、例えばこの種子補足用板部4を、図6に図示した別例のように単にゼリー状体で構成する、又は上述した本実施例のように単に網材で構成するのではなく、網材とゼリー状体とを組み合わせて前記種子補足用板部4を構成しても良く、この場合には、種子を補足する機能を網材で補填できるからゼリー状体の硬さ(柔らかさ)の設定が容易となる。
【0071】
また、図7,図8に示した別例は、種子補足用板部4を上記ゼリー状体とすると共に、図8に図示したように、このゼリー状体の下側に前記種子1Aを埋没状態に配設することで、このゼリー状体(種子補足用板部4)自体に前記種子1Aを保持させる種子保持部5としての機能も発揮させる構成としたものである。
【0072】
具体的には、図7に図示したように、板状のゼリー状体の硬化成形時に予め種子1Aを配設しておくことでこのゼリー状体の表面に多数の種子1Aを埋没配設しておき、これを上下反転させて、図8に図示したように容器体10の水分保持部6上の栽培用種子保持板部9上に重合配設した場合である。
【0073】
また、図9に示した別例は、種子1Aを保持する栽培用種子保持板部9を、上述の本実施例のように網材で構成するのではなく、発根する根1Cが通過でき且つ種子1Aは通過できず上面に載置でき得る材質に設定した発根許容材質部8(ゼリー状体)で構成した場合である。この図9に図示したように、種子1Aは発根許容材質部8を貫通することなくこの発根許容材質部8に載置保持でき、一方、この種子1Aから発根した根1Cはこの発根許容材質部8を通過(貫通)して下方の水分保持部6へと良好に伸びることができるものである。
【0074】
これら図6〜図9に図示した本実施例の別例も、上記した本実施例と同様の作用効果を発揮し得るものである。
【0075】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本実施例に係る新芽野菜の栽培方法を示す説明断面図である。
【図2】本実施例に係る新芽野菜の栽培方法を示す説明断面図である。
【図3】本実施例に係る新芽野菜の栽培方法を示す説明断面図である。
【図4】本実施例に係る新芽野菜の栽培装置Sを示す分解斜視図である。
【図5】本実施例に係る新芽野菜の栽培装置Sの使用状態を示す説明斜視図である。
【図6】本実施例に係る新芽野菜の栽培方法の別例を示す説明断面図である。
【図7】本実施例に係る新芽野菜の栽培方法の別例を示す説明断面図である。
【図8】本実施例に係る新芽野菜の栽培方法の別例を示す説明断面図である。
【図9】本実施例に係る新芽野菜の栽培方法の別例を示す説明断面図である。
【符号の説明】
【0077】
1A 種子
1B 茎部
1C 根
2 通孔部
3 発芽許容材質部
4 種子補足用板部
5 種子保持部
6 水分保持部
7 発根用通孔部
8 発根許容材質部
9 栽培用種子保持板部
S 栽培装置
【出願人】 【識別番号】593041594
【氏名又は名称】鈴木 建吾
【出願日】 平成18年7月27日(2006.7.27)
【代理人】 【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛

【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄


【公開番号】 特開2008−29243(P2008−29243A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−205188(P2006−205188)