| 【発明の名称】 |
植栽基盤、植栽体、植栽基盤ユニット、植栽システムおよび植栽方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】松井 邦夫
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| 【要約】 |
【課題】緑化対象エリアの全域に効果的に水を灌水することのできる植栽基盤、植栽体、植栽システムおよび植栽方法を提供する。
【構成】その一方面に交差する溝条11b,12bが形成され、かつ、該溝条の底面に非透水層2が形成されてなる植栽基盤1Bと、該植栽基盤1Bの溝条が形成された面に固設され、予め生育してなる地被植物41を備えた植物層4と、から植栽体10Aが形成される。この溝条11b内に給水管5が埋設されて植栽システム100が形成される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 地被植物をその上面に生育させるための植栽基盤であって、 前記植栽基盤は、植物が生育される面に溝条が形成されており、 前記溝条の底面に非透水層が形成されていることを特徴とする植栽基盤。 【請求項2】 地被植物をその上面に生育させるための植栽基盤であって、 前記植栽基盤は、植物が生育される面に溝条が形成されており、 前記溝条の少なくとも底面には、植栽基盤材に比して相対的に難透水性の難透水層が形成されていることを特徴とする植栽基盤。 【請求項3】 2以上の前記溝条が交差していることを特徴とする請求項1または2に記載の植栽基盤。 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の植栽基盤が併設設置され、それぞれの前記溝条が連通していることを特徴とする植栽基盤ユニット。 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載の植栽基盤と、 前記植栽基盤の溝条が形成された面に固設され、予め生育してなる地被植物を備えた植物層と、を具備していることを特徴とする植栽体。 【請求項6】 前記植物層のうち、前記溝条に対応する位置には該溝条に沿った切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項5に記載の植栽体。 【請求項7】 請求項1〜3のいずれかに記載の植栽基盤と、 前記溝条の底面上方に配設された給水管と、を少なくとも具備することを特徴とする植栽システム。 【請求項8】 請求項5または6に記載の植栽体と、 前記溝条の底面直上または前記植物層の直上に配設された給水管と、を少なくとも具備することを特徴とする植栽システム。 【請求項9】 植物が生育される面に溝条が形成され、かつ、該溝条の底面に非透水層または難透水層が形成されてなる植栽基盤と、予め生育してなる地被植物を備えた植物体と、を用意し、対象エリアに複数の植栽基盤を併設し、該植栽基盤の上面に植物体を設置する第1の工程と、 給水管を前記溝条の上方に位置する植物体の上面に設置する第2の工程と、を具備していることを特徴とする植栽方法。 【請求項10】 植物が生育される面に溝条が形成され、かつ、該溝条の底面に非透水層または難透水層が形成されてなる植栽基盤と、該植栽基盤の溝条が形成された面に固設され、予め生育してなる地被植物を備えた植物層と、を具備する植栽体を用意し、対象エリアに複数の該植栽体を併設する第1の工程と、 給水管を前記溝条の上方に位置する植物層の上面に設置する第2の工程と、を具備していることを特徴とする植栽方法。 【請求項11】 植物が生育される面に溝条が形成され、かつ、該溝条の底面に非透水層または難透水層が形成されてなる植栽基盤と、該植栽基盤の溝条が形成された面に固設され、予め生育してなる地被植物を備えた植物層と、を具備しており、該植物層のうち、溝条に対応する位置には該溝条に沿った切り欠きが形成されてなる植栽体を用意し、対象エリアに複数の該植栽体を併設する第1の工程と、 植物層の前記切り欠きを介して給水管を植栽体内部に収容する第2の工程と、を具備していることを特徴とする植栽方法。 【請求項12】 植物が生育される面に溝条が形成され、かつ、該溝条の底面に非透水層または難透水層が形成されてなる植栽基盤と、該植栽基盤の溝条が形成された面に固設され、予め生育してなる地被植物を備えた植物層と、を具備してなる植栽体を用意し、対象エリアに複数の該植栽体を併設する第1の工程と、 前記植物層のうち、溝条に対応する位置には該溝条に沿った切り欠きを形成する第2の工程と、 植物層の前記切り欠きを介して給水管を植栽体内部に収容する第3の工程と、を具備していることを特徴とする植栽方法。 【請求項13】 前記植栽基盤には、相互に交差した2以上の前記溝条が形成されていることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の植栽方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、植栽基盤および植栽基盤ユニットと、該植栽基盤と地被植物を備えた植物層からなる植栽体、これらと給水管からなる植栽システムと植栽方法に係り、特に、緑化対象エリアの全域に効果的に水を灌水することのできる植栽基盤、植栽基盤ユニット、植栽体、植栽システムおよび植栽方法に関する。 【背景技術】 【0002】 ヒートアイランド化の抑制やCO2対策、省エネルギーの実現などの環境対策の一環として、屋上緑化は近時の効果的な技術の一つとなっている。この屋上緑化は、新設/既設を問わず様々な建築物に適用可能であるものの、建築物の構造上の安全性を確保した上でその設置がおこなわれる必要がある。具体的には、建築物の構造計算に用いる積載荷重が建築基準法施工令第85条に定められており、例えば、地震力の計算をおこなう必要のあるマンションやビル等においては、屋上積載荷重の上限値として60kg/m2が規定されている。 【0003】 ところで、緑化システムに必要不可欠な手段の一つが灌水手段(方法)である。従来の灌水手段としては、散水ホース等を用いて人手にて灌水する方法や、スプリンクラーを使用する方法、植栽基盤下部に貯水部を設け、この貯水部から植栽基盤へ給水する方法、さらには、植栽基盤の上面または内部に給水用の灌水チューブを配設(埋設)する方法などがある。 【0004】 上記する灌水手段のうち、散水ホース等を用いて人手にて灌水する方法では、灌水作業に時間と労力を要し、灌水エリアが広範囲に及ぶ場合にはかかる問題がより顕著なものとなる。また、スプリンクラーを使用する方法では、作業時間や労力といった問題が解決できる一方で、今度は空中に散水された水が風の影響を受け易く、風が強い場合には散水作業ができなくなるといった問題や、風にて飛散した水が近隣にまで及ぶといった問題が生じ得る。 【0005】 また、植栽基盤の下部に貯水部を設ける灌水システムを適用する場合には、上記する風の影響や水の飛散の問題が生じ得ない一方で、緑化システムに要するコストが必然的に高騰するといった問題や、システム全体の重量が増加することで、既述する荷重制限を満足しないといった問題が生じ得る。特に既設のビル等に屋上緑化技術を施す場合には、当初からそのための付加重量を勘案して構造設計がなされていないため、重量の重い緑化システムの適用が困難なケースが多発することは必然である。 【0006】 上記する各手段(方法)に比して、植栽基盤の上面または内部に給水用の灌水チューブを配設(埋設)しておき、該灌水チューブから水を植栽基盤へ滲出させる方法は、風の影響を受けない(受け難い)こと、自動給水システムとすることで効率的に給水が可能であること、重量増を最小限に抑えることができること、などの観点から最も好ましい技術であると言える。この灌水チューブを適用した灌水システムにかかる従来技術として、例えば特許文献1,2を挙げることができる。 【0007】 特許文献1に開示の灌水システムは、不透水シートの内部に2つの給水管を配設するとともに充填材を満たし、上部に不織布を敷設したものを地中に埋設し、地中環境情報に基づいて水や肥料を適宜提供するシステムである。一方、特許文献2に開示の灌水システムは、上下の毛細管布の間に有孔導管を設けて地中に埋設し、孔から滲出した水が毛細管布を濡らすことで、その上方の植物に水を供給するシステムである。 【0008】 【特許文献1】特開平7−87857号公報 【特許文献2】特表平10−504192号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 上記する特許文献1,2のいずれのシステムにおいても、灌水チューブを適用することにより、既述する効果を奏することができる。しかし、直線状の灌水チューブから滲出した水は、灌水チューブの近傍には十分に供給できるものの、灌水チューブから離れるにつれて水分供給量が低減し、特に供給エリアが広い場合には、その全域に効果的に水分を供給できるかに関しては極めて不確かである。例えば、特許文献2に開示のシステムでは、水が毛細管布を介して供給されることとなるため、当該布の毛管作用に限界があることは明らかである。 【0010】 本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、植栽基盤の全域に効果的に灌水することのできる植栽基盤、植栽基盤ユニット、植栽体、植栽システムおよび植栽方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0011】 前記目的を達成すべく、本発明による植栽基盤は、地被植物をその上面に生育させるための植栽基盤であって、前記植栽基盤は、植物が生育される面に溝条が形成されており、前記溝条の底面に非透水層が形成されていることを特徴とするものである。または、前記溝条の少なくとも底面には、植栽基盤材に比して相対的に難透水性の難透水層が形成されている実施の形態であってもよい。 【0012】 植栽基盤は、例えばアクリル繊維をはじめとする化学繊維の織物を多重層に積層してプレス加工した形態や、樹脂発泡体、土粒子を適宜のバインダーにて連結固化してなる形態などがあり、その形状は、数十cm四方の大きさのブロック体に成形された形態や、比較的広い面積を有してシート状に成形された形態などがある。植栽基盤は、後述するようにその一方面に溝条を形成できるように所定の硬さ(剛性)を備えた製品として成形される。さらに、この植栽基盤は、該植栽基盤の下方に浸漬した供給水を排水させるための排水層(排水溝を具備する樹脂製の形態や、透水性の高い繊維シートなど)をその下方に具備するものであってもよい。 【0013】 また、対象となる地被植物は特に限定するものではないが、例えば、芝草類(日本芝、西洋芝、クローバーなど)、低木類(ツツジ、フツキソウなど)、ツル類(キヅタ、スイカズラなど)、ササ類、草本類(アジュガ、タマリュウなど)、シダ類(イワヒバなど)などを挙げることができる。 【0014】 植栽基盤のうち、地被植物側の上面には、任意の断面形状(断面が矩形、Uの字状、Vの字状など)の溝条が形成されている。この溝条の底面には、非透水層または、植栽基盤を構成する植栽基盤材に比して相対的に難透水性の難透水層が形成されている。この溝条は、その直上もしくはその上方に設置されるドリップチューブなどの給水管から給水された水を植栽基盤の全域に提供するためのものであり、その底面に非透水層または相対的に難透水層の層が形成されていることにより、溝条の下方に水が自重浸漬していくことを防止しながら、溝条の側面からその側方に水を滲出させることができる。なお、溝条に難透水層を形成する場合には、溝条の底面のみならず、その側面にも難透水層を形成することができる。この難透水層を介して溝条側面から水を滲出させることが可能だからである。 【0015】 上記する非透水層は、例えば、一般に市販されている粘着テープやポリエチレンシートなどから成形することができる。また、難透水層は、植栽基盤素材(の透水係数)との関係によって決定されるものであるが、例えば、化学繊維などをプレス加工して植栽基盤を成形する場合には、プレス加工時の加圧力を一般部と溝条部とで変化させることにより(溝条を加工する際の加圧力を大きくする)、溝条の内部表面に難透水層(相対的に透水係数の低い層)を形成することが可能となる。勿論、適宜の難透水性素材を貼着ないしは敷設する実施の形態であってもよい。 【0016】 本発明の植栽基盤によれば、単に溝条を形成し、その底面に非透水層または難透水層を形成するという極めて簡易な構成にて植栽基盤全域に効果的に灌水することが可能となる。例えば、1本の溝条の上方に給水管を設置するだけで、この溝条を介して供給水を側方に滲出させることができる。植栽基盤の広さに応じて、溝条の数を増やし、各溝条の上方に給水管を設置することで、水分未供給エリアの発生を確実に排除することが可能となる。 【0017】 また、本発明による植栽基盤の好ましい実施の形態は、2以上の前記溝条が交差していることを特徴とするものである。 【0018】 本実施の形態は、可及的に少ない給水管によって植栽基盤の全域に効果的に灌水するための形態であり、例えば、任意の溝条に対して、直交する別途の溝条を形成する形態や、この直交する溝条を所定間隔を置いて複数形成する形態、または、平面視が矩形の植栽基盤において、その対角線上に交差する溝条が形成された形態などを挙げることができる。 【0019】 交差する各溝条の底面には非透水層が形成され、または各溝条の少なくとも底面には難透水層が形成されることは既述の実施の形態と同様である。 【0020】 本発明の植栽基盤によれば、任意の溝条の上方に設置された給水管から提供された水は、下方の溝条に供給され、この溝条を介して交差する別途の溝条にも提供され、各溝条の側面から植栽基盤内に水を滲出させることにより、可及的に少ない給水管にて植栽基盤の全域に効果的に水を供給することが可能となる。 【0021】 複数の上記する植栽基盤を併設設置した際には、それぞれの対応する溝条同士が連通した態様の植栽基盤ユニットが形成されるのが望ましい。かかるユニットによれば、連通する溝条を介して広範囲に水を移動させることで、広範囲な灌水を実現することが可能となる。 【0022】 また、本発明による植栽体は、前記植栽基盤と、前記植栽基盤の溝条が形成された面に固設され、予め生育してなる地被植物を備えた植物層と、を具備していることを特徴とするものである。 【0023】 既述する地被植物とその根が広がる土層(例えば、パーライト等の鉱物などからなる)とから植物層が形成され、この植物層が既述する植栽基盤の一方面(溝条が形成された側の面)に固設されてなる植栽体とすることで、対象エリアにこの植栽体を設置するだけで、植栽エリアを形成することができる。 【0024】 この植栽体において、植栽基盤の溝条に対応する位置には該溝条に沿った切り欠きを予め形成しておくこともできる。対象エリアにこの植栽体を設置後、この切り欠きを介して植物層を開くこと(持ち上げること)で溝条を露出させ、該溝条内に給水管を埋め込んだ後に植物層を元に戻して作業が完了する。なお、複数の溝条が形成されている場合に、この切り欠きは給水管を設置する予定の溝条にのみ形成しておけばよい。 【0025】 また、上記する植栽基盤と給水管、または植栽体と給水管とから本発明の植栽システムを形成することができる。なお、この給水管への水分供給は、外気温や時間等にて所定量の水分を植栽基盤に提供するための制御装置によっておこなわれ、給水管と水源(水道の元管など)とを繋ぐ配水管、配水管や給水管の適宜の箇所に設置された制御開閉弁などを具備して植栽システムが構成される。 【0026】 また、本発明による植栽方法は、植物が生育される面に溝条が形成され、かつ、該溝条の底面に非透水層または難透水層が形成されてなる植栽基盤と、予め生育してなる地被植物を備えた植物体と、を用意し、対象エリアに複数の植栽基盤を併設し、該植栽基盤の上面に植物体を設置する第1の工程と、給水管を前記溝条の上方に位置する植物体の上面に設置する第2の工程と、を具備していることを特徴とするものである。 【0027】 この植栽方法が適用される対象エリアとしては、例えば、マンション等のビルや戸建て住宅の屋上やバルコニー、さらには、通常はアスファルトやコンクリートが露出する広場(駐車場など)で、一時的にイベント用などで緑化を図る必要があるエリアなどを挙げることができる。本発明の植栽方法によれば、極めて短時間に、かつ簡易に対象エリアを緑化することが可能となるため、施工に際して特別な技量も要することなく、効率的な植栽施工を実現することができる。 【0028】 また、本発明による植栽方法の他の実施の形態は、植物が生育される面に溝条が形成され、かつ、該溝条の底面に非透水層または難透水層が形成されてなる植栽基盤と、該植栽基盤の溝条が形成された面に固設され、予め生育してなる地被植物を備えた植物層と、を具備する植栽体を用意し、対象エリアに複数の該植栽体を併設する第1の工程と、給水管を前記溝条の上方に位置する植物層の上面に設置する第2の工程と、を具備していることを特徴とするものである。 【0029】 さらに、本発明による植栽方法の他の実施の形態は、植物が生育される面に溝条が形成され、かつ、該溝条の底面に非透水層または難透水層が形成されてなる植栽基盤と、該植栽基盤の溝条が形成された面に固設され、予め生育してなる地被植物を備えた植物層と、を具備しており、該植物層のうち、溝条に対応する位置には該溝条に沿った切り欠きが形成されてなる植栽体を用意し、対象エリアに複数の該植栽体を併設する第1の工程と、植物層の前記切り欠きを介して給水管を植栽体内部に収容する第2の工程と、を具備していることを特徴とするものである。 【0030】 なお、植物層に設けられる切り欠きは、複数の該植栽体を対象エリアに設置した後に形成する方法であってもよい。 【発明の効果】 【0031】 以上の説明から理解できるように、本発明の植栽基盤、植栽基盤ユニット、植栽体、植栽システムおよび植栽方法によれば、溝条とその底面に設けられた非透水層または難透水層を具備する植栽基盤という極めて簡易な構成にて、短時間に、かつ効果的に給水対象の全域に灌水することができる。かかる簡易な構成により、その製作コストが高騰するといった問題も生じない。 【発明を実施するための最良の形態】 【0032】 以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の植栽基盤の一実施の形態を示した図であって、図1aは平面図であり、図1bは断面図である。図2a,図2bはともに、図1aのII部の拡大図を、図3〜6はともに、本発明の植栽基盤の他の実施の形態を示した平面図をそれぞれ示している。図7は、本発明の植栽体の一実施の形態を示した図であって、図7aは平面図であり、図7bは断面図である。図8は、本発明の植栽システムの一実施の形態を示した図であって、図8aは平面図であり、図8bは断面図である。図9〜11は順に、植栽方法を説明した図である。図12は、実験概要を説明した図であって、図12aは平面図であり、図12bは断面図を、図13は、実験結果を模式的に示した平面図をそれぞれ示している。なお、図示する植栽システムにおいて、本発明の特徴を示す構成部材以外の構成部材(例えば、水源(水道元管)や水源と給水管とを繋ぐ配水管、開閉制御弁や配水量や配水時間、配水タイミングなどを調整制御する制御装置等)の図示は省略している。 【0033】 図1aは、植栽基盤の一実施の形態の平面図である。この植栽基盤1は、平面視正方形(または矩形)で、所望の寸法(例えば、50cm×50cm×3cm(厚み))に形成されており、緑化対象エリアに複数の該基盤1を併設することにより、容易にエリア全体の緑化を図ることができる。植栽基盤1は、例えば、アクリル繊維をはじめとする化学繊維の織物を多重層に積層してプレス加工することによって成形される。この一方面には、図1bに示すように断面視矩形の1本の溝条11が形成されている。なお、溝条の断面形状は、Uの字状やVの字状などの任意形状を選定できる。植栽基盤1が上記に例示の寸法(50cm×50cm×3cm(厚み))の場合に、溝条の寸法は、幅が10〜50mmで深さを5mm程度とすることができる。また、この植栽基盤1の下面には、例えばプラスチック製の排水層(排水ブロック)が接着されていてもよい。 【0034】 溝条11の底面には、例えば市販の粘着テープやポリエチレンシートなどからなる非透水層2が形成されている。後述するように、溝条11の上方の給水管から供給された水は、この非透水層2によって溝条下方へ浸漬していくことが防止され、溝条側面から植栽基盤材内へ水を滲出させることができ、広範囲への灌水が可能となる。 【0035】 図2は、図1における溝条を拡大した図であり、図2aは溝条11の底面にのみ非透水層2を貼着もしくは敷設した実施の形態であり、図2bに示す実施の形態は、植栽基盤素材に対して相対的に難透水性の難透水層3を溝条11の全面に粘着したものである。難透水層の場合には、溝条11の側面から水を植栽基盤内へ滲出させることができるため、溝条全面を覆うことができる。勿論、難透水層を溝条11の底面にのみ貼着等してもよい。 【0036】 図3〜6は、植栽基盤の他の実施の形態の平面図を示したものであり、具体的には、その一方面に形成される溝条の形態を変化させたものである。 【0037】 図3に示す植栽基盤1Aは、2本の溝条11a,11aが所定間隔を置いて形成された基盤であり、各溝条の底面には非透水層2,2が形成されている。これは、植栽基盤の平面積が比較的広い場合に好適であり、各溝条の上方に不図示の給水管が設置されることにより、広い面積の給水エリアに対応することができる。なお、面積や植栽基盤材の材質(透水性能)等に応じて3以上の溝条を形成してもよい。 【0038】 図4に示す植栽基盤1Bは、2本の溝条11b,12bが直交する形態である。この基盤では、例えば、溝条11bの上方にのみ不図示の給水管を設置するだけで(溝条12bには設置不要)、溝条11bに供給された水は、交差する溝条12bにも流れていき、溝条12bの側面から植栽基盤内に灌水することができる。したがって、広範囲の給水エリアに対しても、可及的に少ない給水管にて水の供給が可能となる。 【0039】 図5の植栽基盤1Cは、溝条11cに2本の溝条12c,12cが間隔を置いてそれぞれ直交する形態であり、例えば、溝条11cの長手方向に沿って植栽基盤が長い場合に好適である。 【0040】 また、図6の植栽基盤1Dは、矩形の対角線に沿って溝条11d,12dが設けられた形態である。 【0041】 以上に説明するように、本発明の植栽基盤は、1本の溝条もしくは2本以上の溝条が相互に交差した態様で形成され、かつ、溝条の底面に非透水層等が形成されているため、溝条に供給された水は、該溝条の下方に浸漬していくことなく、植栽基盤の全域に効果的に滲出していくことが可能となる。 【0042】 図7は、図4に示す植栽基盤1Bの溝条が形成された面に、地被植物41と土42からなる植物層4が接着されてなる植栽体10を示した図であり、図7aの平面図のb−b矢視図(断面図)が図7bである。地被植物としては、例えば、芝草類(日本芝、西洋芝、クローバーなど)、低木類(ツツジ、フツキソウなど)、ツル類(キヅタ、スイカズラなど)、ササ類、草本類(アジュガ、タマリュウなど)、シダ類(イワヒバなど)などを挙げることができる。 【0043】 予め生育した地被植物を備えた植栽体10を緑化対象エリアに搬送し、設置していくだけで、極めて短時間に緑化を図ることが可能となる。なお、植栽体10を構成する植栽基盤1の下面には排水層(排水ブロック)が接着されていてもよい。 【0044】 図8は、図7に示す植栽体10を併設設置するとともに、植物層4の下方で溝条11b内にドリップチューブなどの給水管5を埋設してなる植栽システム100を示した図であり、図8aは平面図を、図8aのb−b矢視図(断面図)が図8bである。 【0045】 この植栽システム100を構成する植栽体10Aは、植栽基盤1Bと、その下方の排水層6、植栽基盤1Bの上方の植物層4から構成されている。植物層4のうち、溝条11bの上方には、該溝条11bに沿って切り欠き43が予め形成されている。植栽体10Aの設置後、この切り欠き43を介して植物層4を持ち上げて給水管5を溝条11b内に設置し、植物層4を元に戻すことによって給水管5が内部に埋設された植栽システム100を形成することができる。なお、切り欠き43は、植栽体10Aの設置後にカッター等で形成してもよい。 【0046】 図9〜11は、植栽システム100の形成方法(本発明の植栽方法)を模式的に説明した図である。 【0047】 まず、所望数の植栽体10A,10A,…を搬送し、図9に示すように緑化対象エリアに順次併設設置していく(X1方向)。 【0048】 次いで、植物層4を切り欠き43を介して持ち上げ(X2方向)、給水管5を溝条11b内に設置する(X3方向)。 【0049】 持ち上げられた植物層4を元に戻し、例えば作業員が足で踏み潰す等して表面を平坦に均すことにより、給水管5の設置作業が完了する。 【0050】 植栽体10A、…が設置され、水源と給水管5、…とを配水管等で連通させ、その任意部位に設けられた開閉制御弁の開閉制御を実行する制御装置を所定位置に設置することにより、植栽システム100の設置が完了し、対象エリアにおける緑化施工が完了する。 【0051】 [実証実験] 次に、図12,13に基づいて、発明者等がおこなった実証実験の概要とその結果について説明する。この実験は、従来のドリップチューブによる灌水方式と、本発明の植栽基盤による灌水方式とにより、芝草の枯死の有無を実証したものである。 【0052】 図12aには、従来の植栽体10’からなる比較例モデルM1と、本発明の植栽体10”からなる実施例モデルM2を試験区に設置し、ドリップチューブ5’を設置するとともに、該ドリップチューブ5’からは30cm間隔の灌水口から水分の供給をおこなった。なお、モデルM2では、1つの植栽体10”に直交する溝条11’、12’が形成され、各溝条に粘着テープからなる非透水層2’が粘着されている。 【0053】 実験は、1ヶ月後、および2ヶ月後の芝の枯死の状況を観察することによっておこなった。 【0054】 なお、図13は、2ヶ月後の各モデルにおける芝の枯死の状況を模式的に示した図である。 【0055】 まず、1ヶ月後の観察によれば、モデルM1では、ドリップチューブ5’から離れた芝草の枯死が確認され、枯死の領域は全域のおよそ30%にも及んだ。一方、モデルM2では芝草の枯死は全く確認されなかった。 【0056】 次に、2ヶ月後の観察によれば、モデルM1では、芝草の枯死率が高まり、およそ40%の領域で枯死が確認された(図13のM1における斜線領域)。 【0057】 一方、モデルM2では芝草の枯死は全く確認されず、順調な生育状態にあった。 【0058】 以上の実験結果より、同種のドリップチューブを同数使用した場合においても、モデルM2では対象領域への灌水効果が高くなることが明らかとなった。これは、溝条11’、12’が交差した態様であって、かつ、各溝条の底面に非透水層2’が形成されていることで、ドリップチューブから提供された水が植栽領域全域に確実に灌水しているためであると結論付けることができる。 【0059】 以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。 【図面の簡単な説明】 【0060】 【図1】本発明の植栽基盤の一実施の形態を示した図であって、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。 【図2】(a),(b)はともに、図1aのII部の拡大図である。 【図3】本発明の植栽基盤の他の実施の形態を示した平面図である。 【図4】本発明の植栽基盤のさらに他の実施の形態を示した平面図である。 【図5】本発明の植栽基盤のさらに他の実施の形態を示した平面図である。 【図6】本発明の植栽基盤のさらに他の実施の形態を示した平面図である。 【図7】本発明の植栽体の一実施の形態を示した図であって、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。 【図8】本発明の植栽システムの一実施の形態を示した図であって、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。 【図9】植栽方法を説明した図である。 【図10】図9に続いて植栽方法を説明した図である。 【図11】図10に続いて植栽方法を説明した図である。 【図12】実験概要を説明した図であって、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。 【図13】実験結果を模式的に示した平面図である。 【符号の説明】 【0061】 1…植栽基盤、11,12…溝条、2…非透水層、3…難透水層、4…植物層、41…地被植物、42…土、43…切り欠き、5…給水管、6…排水層、10,10A…植栽体、100…植栽システム、M1…比較例モデル、M2…実施例モデル
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年7月14日(2006.7.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091096 【弁理士】 【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100105463 【弁理士】 【氏名又は名称】関谷 三男
【識別番号】100129861 【弁理士】 【氏名又は名称】石川 滝治
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| 【公開番号】 |
特開2008−17812(P2008−17812A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月31日(2008.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2006−194851(P2006−194851) |
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