| 【発明の名称】 |
飛来農薬付着防止用被覆材 |
| 【発明者】 |
【氏名】濱崎 博英
【氏名】小林 義春
【氏名】藤井 康弘
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| 【要約】 |
【課題】不織布を利用するという新規な発想に基づく飛来農薬付着防止用被覆材を提供する。周辺作物の農薬散布時の際に、当該農薬の飛来による農薬散布対象外の作物への農薬付着防止機能を有し、かつ、作物の被覆材として、十分な軽量性、通気性、光線透過性を有する。
【構成】疎水性繊維より構成され、かつ、目付量10〜40g/m2、光線透過率50%以上の不織布から成る飛来農薬付着防止用被覆材。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 疎水性繊維より構成され、かつ、目付量10〜40g/m2、光線透過率50%以上の不織布から成ることを特徴とする飛来農薬付着防止用被覆材。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、飛来農薬付着防止用被覆材に関する。ここで、飛来農薬付着防止用被覆材とは、周辺作物の農薬散布時の際に、当該農薬の飛来による農薬散布対象外の作物への農薬付着防止のために使用される被覆材を意味する。 【背景技術】 【0002】 これまで、農作物の栽培においては、作物生育過程での病害虫による生育不良防止を目的として、各々の作物や栽培形態に適した各種農薬が使用され、農作物の高収穫化や、見栄えの良好で消費者受けのよい作物の収穫化の向上が図られている。 【0003】 しかしながら、最近、食品の安全基準の見直しの観点から、食品衛生法の一部改定(平成15年法律第55号)により、農作物に残留する登録農薬の規格(残留農薬基準)が規定され、この流れを受けて、最近の残留農薬によるポジティブリスト制度への移行(平成18年5月29日施行)により、今まで残留農薬基準値がない農薬にも0.01ppmという低基準値が設定化された。そして、その結果を受けて、この基準値を超える農作物に対しては、生産物の出荷停止、回収などの厳しい対応が求められる状況となってきた。すなわち、これは、ある周辺作物への登録農薬散布時の際に、当該農薬の飛来(ドリフト)により、当該農薬登録外の農薬散布対象外の他の作物への飛来農薬付着が起きた場合には、当該対象外の作物への多大な被害を及ぼす事態となることを意味する。 【0004】 従来、農薬の形態は粉剤が主流であり、以前より、農薬のドリフト現象に関しては、対象作物への農薬散布効果、経済性、農薬散布作業者および周辺環境への安全衛生性の観点から大いに問題視されてきており、これまで、ドリフトを抑える手段の一つとして、ドリフト防止効果を付与する各種添加剤(ドリフト防止剤)の開発が進められ、ドリフト防止効果を有した各種農薬粉剤が提案されてきた(特許文献1〜3)。 【0005】 【特許文献1】特公昭53−23383号公報 【特許文献2】特公昭53−33660号公報 【特許文献3】特公昭59−43922号公報 【0006】 しかしながら、ドリフト防止剤の使用では、前記の様な厳しい残留農薬基準を満足させることは不可能であると考えられ、最近では、農薬の形態は、農薬粉剤から水和剤、懸濁剤、乳剤などの水希釈系農薬の形態に主流が移行してきている。この場合、農薬散布の方法は、動力噴霧機や各種ブームスプレーヤによるノズルスプレー噴霧される方法が一般に採用されるが、噴霧された農薬は、一般に平均粒径が0.02〜0.5mm程度の形態を有しているため、依然として、風などの影響を受け、空気中を飛散し、農薬散布対象外の他の作物栽培地域まで飛来して落下し、当該対象外の作物へ農薬付着現象を呈し、多大な被害をもたらす場合が発生する。これを改善する方法として、最近では、スプレーノズルの構造の改良を図り、ノズルスプレー噴霧される農薬の粒径を従来よりも大きくすることで、ドリフトによる農薬拡散・落下の距離を小さくして対処する方法も考案されているが、農薬散布時での対象作物への散布効果、経済性、ドリフト抑制効果の点で、決して十分な効果を挙げているとの実態ではない。 【0007】 そこで、視点を変えて、当該農薬の飛来による農薬散布対象外の作物への農薬付着防止のために、従来の農業用ネット(防虫ネット)や農業用シートや農業用フィルム等を農薬散布対象外の作物用の被覆材に利用することが考えられるが、次の様に種々の問題が発生する。 【0008】 すなわち、農業用ネットは、目開きが1〜5mm程度と、目合いが比較的広く、その結果、飛来農薬付着防止用として使用しても農薬散布対象外の作物を守る効果は十分ではない。 【0009】 農業用ビニールや農業用ポリエチレンや農業用ポリオレフィン等で代表される農業用シートや農業用フィルムは、機密性に優れるために飛来農薬付着防止用としての効果は十分であるが、逆に、通気性が著しく劣るため、被覆された作物が蒸れ、日中時の高温障害を来たすという問題を呈する。 【0010】 遮光フィルムや遮光ネットは、被覆された作物の日中での高温障害の問題は緩和されるが、肝心の光線透過性が不足するため、作物の生育不良を来たすという新たな問題を呈する。 【0011】 また、上記の農業用ネットや農業用シートや農業用フィルムは、比較的に嵩密度が高いため、飛来農薬付着防止用被覆材として、作物を直接に覆い隠す方法(所謂ベタ掛け)で使用した場合は、作物への重量的な負担を強いることとなり、育苗段階の作物や花卉類などの外的負荷に繊細な作物に対し、大いに支障を来たす場合があり、更に、作物への被覆作業を行なう実際の作業者への重労働の負担を強いることとなる。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0012】 本発明は、上記の欠点を一挙に解決すべくなされたものであり、その目的は、不織布を利用するという新規な発想に基づく飛来農薬付着防止用被覆材を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0013】 すなわち、本発明の要旨は、疎水性繊維より構成され、かつ、目付量10〜40g/m2、光線透過率50%以上の不織布から成ることを特徴とする飛来農薬付着防止用被覆材に存する。 【発明の効果】 【0014】 本発明の飛来農薬付着防止用被覆材は、周辺作物の農薬散布時の際に、当該農薬の飛来による農薬散布対象外の作物への農薬付着防止機能を有し、かつ、作物の被覆材として、十分な軽量性、通気性、光線透過性を有する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 以下、本発明を詳細に説明する。本発明の飛来農薬付着防止用被覆材は不織布から構成されている。不織布の作製方法としては、例えば、乾式法、湿式法、直接法(スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法など)が挙げられる。 【0016】 本発明においては、疎水性繊維より構成される不織布を使用する。疎水性繊維は、実質的に水を吸収しないため、その表面に水系や水希釈形態の微粒状の農薬が飛来して落下してしても、撥水現象を呈し、裏面(作物に接触する側)に滲み出してくることが少なく、従って、作物への良好な飛来農薬付着防止機能を発現することができる。なお、ここで、疎水性とは、一定面積の不織布を使用し、JIS K7209に準じて吸水率を測定し、吸水率が0.1%以下であることを意味する。 【0017】 不織布を構成する繊維としては、不織布としての強度、経済性、生産性などの観点から、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル(芯)/ポリエチレン(鞘)の2層構造体などが好適に使用される。繊維径は、通常1〜15デニール、好ましくは2〜12デニールである。 【0018】 また、本発明で使用する不織布の目付量は、10〜40g/m2でなければならない。不織布の目付量が10g/m2未満の場合は、不織布被覆材としての使用に耐え得るだけの十分な強度が発現されず、また、不織布としての目開きが大きくなるために、飛来農薬付着防止性能が不十分となる場合がある。一方、目付量が40g/m2を超える場合は、光線透過性や通気性が低下し、不織布を作物に被覆した際に、被覆期間内での作物の日照不足や蒸れ現象を呈して生育に支障をきたす。目付量は、好ましくは12〜35g/m2である。 【0019】 また、本発明で使用する不織布の光線透過性は、50%以上でなければならない。光線透過性が50%未満の場合は、被覆期間内での作物の日照不足を呈し、上記と同様に、生育に支障をきたす。光線透過性は、好ましくは60%以上である。 【0020】 なお、本発明で使用する不織布には、農業用被覆資材として必要な各種添加剤、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐候安定剤、滑剤、各種界面活性剤などを適宜含有させることが出来る。 【0021】 本発明の本発明の飛来農薬付着防止用被覆材の使用方法としては、それにより対象作物を被覆する方法であれば特に限定されないが、例えば、べた掛け、トンネル掛け、浮き掛け等が挙げられる。 【0022】 以下、本発明を更に詳細に説明するために行った試験例を示す。なお、以下の諸例で採用した物性の測定方法は次の通りである。 【0023】 (1)吸水率: JIS K7209に準拠して測定した。 【0024】 (2)光線透過率: 財団法人日本化学繊維検査協会の透光率試験法に準拠して測定した。 【0025】 (3)飛来農薬付着防止のモデル試験による飛来通過の噴霧水滴付着量の測定方法: 密閉化された農業用ポリオレフィンハウス内に、図1に示す様に、専用スプレーノズル噴霧装置(1)、大型送風機(2)、不織布(3)被覆試料箱(4)を設営し、飛来通過の噴霧水滴付着量の測定装置を構築した。図1中の寸法関係は表1に示す通りである。 【0026】 【表1】
【0027】 そして、飛来付着の原因となる噴霧水を大型送風機(2)で送り、所定時間の間で各種不織布(3)を通過して被覆試料箱(4)の中に入り込む噴霧水量を、被覆試料箱(4)の中に設置された感水試験紙(5)への噴霧水滴付着量(水滴付着面積率)から測定評価を行なった。なお、試験条件は次の表2に示す通りである。 【0028】 【表2】
【0029】 試験例1: スパンボンド成形機を使用し、4デニールのポリプロピレン樹脂製の繊維から成り、吸水率0.1%以下、目付量30g/m2、光線透過率65%の疎水性の不織布を作成した。この不織布被覆材を使用し、上記の飛来農薬付着防止のモデル試験による飛来通過の噴霧水滴付着量を測定した。結果を表3に示す。 【0030】 試験例2: スパンボンド成形機を使用し、3デニールのポリプロピレン樹脂製の繊維から成り、吸水率0.1%以下、目付量18g/m2、光線透過率80%の疎水性の不織布を作成した。この不織布被覆材を使用し、上記の飛来農薬付着防止のモデル試験による飛来通過の噴霧水滴付着量を測定した。結果を表3に示す。 【0031】 試験例3: スパンボンド成形機を使用し、8デニールのポリプロピレン樹脂製の繊維から成り、吸水率0.1%以下、目付量30g/m2、光線透過率70%の疎水性の不織布を作成した。この不織布被覆材を使用し、上記の飛来農薬付着防止のモデル試験による飛来通過の噴霧水滴付着量を測定した。結果を表3に示す。 【0032】 比較試験例1: スパンボンド成形機を使用し、4デニールのポリプロピレン樹脂製の繊維から成り、吸水率0.1%以下、目付量60g/m2、光線透過率35%の疎水性の不織布を作成した。この不織布被覆材を使用し、上記の飛来農薬付着防止のモデル試験による飛来通過の噴霧水滴付着量を測定した。結果を表3に示す。 【0033】 比較試験例2: 市販の防虫ネット(ダイオ化成社製「ダイオサンシャインS2000」、目合1mm、光線透過率90%)を被覆材として使用し、上記の飛来農薬付着防止のモデル試験による飛来通過の噴霧水滴付着量を測定した。結果を表3に示す。 【0034】 【表3】
【図面の簡単な説明】 【0035】 【図1】飛来通過の噴霧水滴付着量の測定装置の説明図 【符号の説明】 【0036】 1:専用スプレーノズル噴霧装置 2:大型送風機 3:不織布 4:被覆試料箱 5:感水試験紙
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| 【出願人】 |
【識別番号】504137956 【氏名又は名称】MKVプラテック株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年7月11日(2006.7.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097928 【弁理士】 【氏名又は名称】岡田 数彦
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| 【公開番号】 |
特開2008−17729(P2008−17729A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月31日(2008.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2006−190224(P2006−190224) |
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