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【発明の名称】 果柄切断装置
【発明者】 【氏名】永田 雅輝

【氏名】槐島 芳徳

【氏名】大津 雅視

【氏名】長峯 清隆

【要約】 【課題】作業者の肉体的な負担が小さく、容易に茎葉の奥に位置する果実や果菜類を収穫することができ、へたの部分が窪んだ果実や果菜類の果柄が果実から露出しないように果柄を切断することができる果実や果菜類の果柄切断装置を提供する。

【構成】空圧または電気などの駆動源により駆動する駆動機構と、駆動機構と直接或いは歯車、カム機構、リンク、ワイヤなどの伝達機構を介して接続された可動刃保持部と、可動刃保持部に設けられた可動刃と、可動刃保持部の上下に配置され可動刃を保持する可動刃ガイドと、前記可動刃の刃先と対向し固定刃を設けられた固定刃保持部とから構成される果柄切断装置であって、可動刃と固定刃によって切断部を構成すると共に、可動刃ガイドは果実や果菜に接触しない位置に配置され、切断部の先端部は果実や果菜のへた部の中に入る形状に形成されると共に、茎葉の奥に容易に挿入可能な形状とされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空圧または電気などの駆動源により駆動する駆動機構と、該駆動機構と直接或いは歯車、カム機構、リンク、ワイヤなどの伝達機構を介して接続された可動刃保持部と、該可動刃保持部に設けられた可動刃と、前記可動刃保持部の上下に配置され前記可動刃を保持する可動刃ガイドと、前記可動刃の刃先と対向し固定刃を設けた固定刃保持部と、から構成される果柄切断装置であって、該果柄切断装置の先端部には前記可動刃と前記固定刃によって構成された切断部を配置すると共に、前記可動刃ガイドは前記果実や果菜類に接触しない位置に配置され、前記切断部の先端部は果実や果菜のへた部の中に入る形状に形成されると共に、茎葉の奥に容易に挿入可能な形状とされたことを特徴とする果柄切断装置。
【請求項2】
前記切断部は、前記可動刃と前記固定刃との交差によるせん断によって果実や果菜類の果柄を切断することを特徴とする請求項1記載の果柄切断装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、果実や果菜類の収穫に用いられる果柄切断装置に関するものである
【背景技術】
【0002】
従来より、果実や果菜類の収穫は手作業で行なわれており、一個の果実や果菜類を収穫する際には、作業者が果実や果菜類の茎葉を掻き分けながら一方の手で果実を保持して、他方の手でハサミを操作して果柄を切断する必要があった。そのため作業者は、この動作を一日数千回以上も繰り返さなければならず、手腕に多大の疲労が残るものであった。
【0003】
また、作業者は果実や果菜類を収穫する際には、できるだけ果柄が果実に残らないように果柄を切断し、しかも切断面はささくれ等の無いきれいな面であることが要求された。
【0004】
その理由として、果実や果菜類に果柄が残った状態で梱包、出荷すると、果柄が他の果実に接触して傷を付け、商品品質の劣化を招く虞があることや、果柄のささくれた切断面から雑菌等が進入し、果実を腐敗させる危険性が指摘されており、とくにへたの部分が窪んだ果実(例えばピーマンなど)の場合には、上記の理由により窪みから果柄が露出しないように、ハサミの先端部分を窪みに挿入して果柄を切断する作業が必要となり、上述の作業以上に作業者の肉体的、精神的な負担となるものであった。
【0005】
そこで、カッター収容部の先端がつめの機能をもち、そのつめにより、目的の物を引き寄せ、そのままの状態で切断できる、つめ付きカッターが提案されている(特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開平9−253349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に提案されているつめ付きカッターの場合、果柄につめを引っ掛けて果実を引き寄せ、カッター刃をスライドさせて果柄を切断するものであるが、果柄を引っ掛けるつめ部は果実の窪んだへた部を考慮したものではなく、果柄を切断する際に果実から果柄が露出するという問題点があった。しかも、つめ部とカッター刃とのせん断による切断であるため、果柄の切断面がささくれるという問題点もあった。
【0008】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、果実や果菜類の収穫の際に作業者の肉体的、精神的な負担を軽減し、容易に茎葉の奥に位置する果実や果菜類の果実の収穫を行なうことができ、またへたの部分が窪んだ果実や果菜類であっても、果柄が果実から露出することなく切断することが可能であり、しかも果柄の切断面がきれいな果柄切断装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため本発明の果柄切断装置は、空圧または電気などの駆動源により駆動する駆動機構と、該駆動機構と直接或いは歯車、カム機構、リンク、ワイヤなどの伝達機構を介して接続された可動刃保持部と、該可動刃保持部に設けられた可動刃と、前記可動刃保持部の上下に配置され前記可動刃を保持する可動刃ガイドと、前記可動刃の刃先と対向し固定刃を設けた固定刃保持部と、から構成される果柄切断装置であって、該果柄切断装置の先端部には前記可動刃と前記固定刃によって構成された切断部を配置すると共に、前記可動刃ガイドは前記果実や果菜類に接触しない位置に配置され、前記切断部の先端部は果実や果菜類のへた部の中に入る形状に形成されると共に、果実や果菜類の茎葉の奥に容易に挿入可能な形状とされたことを第1の特徴とする。
【0010】
また、前記切断部は、前記可動刃と前記固定刃との交差によるせん断によって果実や果菜類の果柄を切断することをすることを第2の特徴とする。
【0011】
尚、前記切断部の先端部には固定刃を設けた固定刃保持部を配置したものが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る果柄切断装置によれば、果柄切断装置の先端部は果実や果菜類の茎葉の奥に容易に挿入可能な形状とされ、切断部は空圧または電気などの駆動源により駆動する駆動機構と、該駆動機構と直接或いは歯車、カム機構、リンク、ワイヤなどの伝達機構を介して接続された可動刃保持部によって可動刃を可動させて果柄を切断することができるため、従来作業者が行なっていた一日数千回以上も繰り返す作業であっても、作業者の手腕の係る負担が軽減されるという優れた効果を有する。
【0013】
また、前記可動刃ガイドは前記果実や果菜類に接触しない位置に配置され、前記切断部の先端部は果実や果菜類のへたの部分の窪の中に入る形状に形成されるため、へたの部分が窪んだ果実や果菜類であっても、果柄が果実から露出することなく切断することが可能であるという効果を有する。
【0014】
しかも、前記切断部は、前記可動刃と前記固定刃との交差によるせん断によって果実や果菜類の果柄を切断するため、果柄の切断面はささくれの無いきれいな切断面となるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の果柄切断装置を図面に示す実施例に基づいて説明するが、本発明が本実施例に限定されないことは言うまでもない。図1は本発明の果柄切断装置の一実施例を示す斜視図、図2は中型サイズのピーマンの果柄を切断する状態を示す断面説明図、図3は小型サイズのピーマンの果柄を切断する状態を示す平面説明図、図4は図3の断面説明図、図5は本発明の果柄切断装置の先端部分を茎葉の奥に挿入する状態を示す動作説明図、図6は果柄切断装置の切断部によりピーマンの果柄を挟み込んだ状態を示す動作説明図、図7は果柄切断装置の固定刃保持部をピーマンの窪みに挿入させた状態を示す動作説明図である。
【実施例】
【0016】
図1に示すように、本発明に係る果柄切断装置1は、コンプレッサー(図示せず)等の空気圧駆動源によって駆動する単動押し出し型エアーシリンダー2と、可動刃3が取り付けられた可動刃保持部4と、固定刃5が取り付けられ果柄切断装置本体1の先端部に設けられた固定刃保持部6と、可動刃保持部4の上下に配置された可動刃ガイド7と、固定刃保持部6に連設する腕部8を有し、エアーシリンダー2を保持するグリップハンドル9とから構成され、グリップハンドル9内には3ポートメカニカルバルブ10が内蔵されエア配管11を介してコンプレッサーと連結している。また、グリップハンドル9には3ポートメカニカルバルブ10を操作するスイッチ12が突出して設けられ、エアーシリンダー2の動作を制御する。
【0017】
3ポートメカニカルバルブ10のスイッチ12を指で押すと、圧縮空気がコンプレッサーからエア配管11を経由して供給され、3ポートメカニカルバルブ10を介してエアーシリンダー2のロッド(図示せず)を押し出し、ロッドの先に接続された可動刃保持部4を固定刃5方向にスライドさせる。また、スイッチ12から指を放すとエアーシリンダー2内部の圧縮空気が排気されると共にエアーシリンダー2に内蔵されているバネ(図示せず)の付勢によりロッドがエアーシリンダー2内に収納され、同時に可動刃保持部4もエアーシリンダー2方向へスライドする。尚、本実施例においては可動刃保持部4がエアーシリンダー2と直接接続されているが、他の伝達機構(例えばリンク、ワイヤなど)を介して接続されていてもかまわない。また、エアシリンダー2以外の電動或いは油圧による駆動機構であっても良い。
【0018】
ここで、可動刃保持部4が固定刃5方向へスライドすると、可動刃保持部4に取り付けられた可動刃3は、固定刃5と接触しながら交差し、果実や果菜類の果柄を切断することができるため、作業者は手腕に負担を掛けることなく楽に作業することができる。また、図2乃至図4に示すように、固定刃5が取り付けられている固定刃保持部6及び腕部8は果実や果菜類の茎葉の奥に容易に挿入可能な形状とされ、とくに固定刃保持部6は果実のへたの部分の窪みの中に入る形状に形成されているため、作業者が果実や果菜類の果実を引き出す作業が楽になるばかりでなく、果実の果柄を切断する際に果実から果柄が露出することがない。しかも、可動刃ガイド7は果実に接触しない位置に配置されているため果柄13の切断面は果実から露出しない位置となる。
【0019】
次に、上記の構成の果柄切断装置1の作用を図2乃至図7で説明する。尚、本実施例においては収穫する果実としてピーマンを選択した。
まず、図5、図6に示すように作業者は果柄切断装置1のグリップハンドル8を持って、固定刃5の刃先が果柄13と略平行となるように先端部を回転させ、ピーマン果実14の近傍に挿入させる。次に固定刃5と可動刃3の対向する刃先と腕部8の間に果柄13を挟みながら果柄切断装置1を作業者側に引き寄せると、図7に示すように固定刃5が窪み15内に入った状態でピーマン13を作業者の手元に引き寄せることができる。そして、図示しない3ポートメカニカルバルブのスイッチを押すことによって、エアーシリンダー2をを駆動させて可動刃3を固定刃5方向へスライドさせ、果柄13を切断しピーマンが収穫される。
【0020】
ここで、ピーマンの果柄13を切断する際に、図2に示すように可動刃3を保持する可動刃ガイド7がピーマン果実14に接触しない位置に配置されていることが望ましく、その位置は、例えば図に示す中型のピーマン(京ゆたか等)の場合、固定刃5の先端から40mm以上が最適であることが判明した。
【0021】
また、ピーマン果実14の窪み15の中に入る固定刃5及び固定刃保持部6の形状は、窪み15に入りやすい形が望ましく、図3及び図4に示す小型ピ−マンであっても幅L1が12〜17mm、また幅L2が10mm以下が有効であることが判明した。
【0022】
さらに、ピーマン果実14を収穫する際には、ピーマンの茎葉を掻き分けて果柄切断装置1を挿入する必要があり、果柄切断装置1の先端部の形状は水平方向或いは垂直方向が短いことが有効であり、図3に示すように固定刃保持部6の先端から30mmまでの垂直方向の厚みWが1mm〜5mmであればピーマンの茎葉の奥に容易に挿入できることが判明した。
【0023】
以下、上述した果柄切断装置によるへたの部分が窪んだピーマンの果柄切断の有効性を実験例に従って示す。
【0024】
(実験例1)
中型ピーマン(京ゆたか)各1000個を可動刃ガイドの位置が異なる果切断装置によって収穫し、収穫したピーマンのうちへた部分が窪んだピーマンの割合、切断後の果柄がピーマン果実から露出した割合、切断面の状態(ささくれた割合)を集計した。その結果を表1に示す。尚、本実験に使用したピーマンは、果実の直径が40〜70mm、果柄の直径は5〜10mm、へたの部分が窪んだ割合が平均70%、窪みの上端部の内径は27〜45mm、窪みの底の内径は8〜21mm、窪みの深さは12mm以上であった。また、果柄切断装置の先端部の幅は12mm、固定刃保持部の先端から固定刃の刃先までの長さが5mm、固定刃保持部の先端から30mmまでの厚みを3mm、固定刃と可動刃との開口長は13ミリとした。
【0025】
【表1】


【0026】
表1に示すように、固定刃の刃先から40mmを越えた位置に可動刃ガイドを配置したものがピーマンの果柄を露出せずに収穫することができたことが確認された。
【0027】
(実験例2)
次に、可動刃ガイド位置を50mmに固定し、先端部(固定刃保持部)の幅が異なる果柄切断装置によって実験1と同様に収穫を行なった。その結果を表2に示す。
【0028】
【表2】


【0029】
表2に示すように、先端部の幅が17mmを越えるものは果柄がピーマン果実から露出することが確認された。また、先端部(固定刃保持部)の幅が12mm未満の場合、果柄の切断面がささくれたものが確認され、とくに7mmの場合42%ものピーマンに切断面が不良なものが確認された。
【0030】
(実験例3)
次に、固定刃保持部の先端から固定刃の刃先までの長さが異なる果柄切断装置によって実験1と同様に収穫を行なった。その結果を表3に示す。
【0031】
【表3】


【0032】
表3に示すように、固定刃保持部の先端から固定刃の刃先までの長さが10mmを越えたものは果柄が13%露出した。また、3mm〜10mmのものは全く果柄を露出せずに収穫することができたことが確認された。
【0033】
以上、本発明による果柄切断装置によれば、果実や果菜類の収穫の際に作業者の肉体的、精神的な負担を軽減し、容易に茎葉の奥に位置する果実や果菜類の果実の収穫を行なうことができる。そしてへたの部分が窪んだ果実や果菜類であっても、果柄が果実から露出することなく切断することが可能であり、しかもきれいに果柄を切断できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の果柄切断装置の一実施例を示す斜視図である。
【図2】中型サイズのピーマンの果柄を切断する状態を示す断面説明図である。
【図3】小型サイズのピーマンの果柄を切断する状態を示す平面説明図である。
【図4】小型サイズのピーマンの果柄を切断する状態を示す断面説明図である。
【図5】本発明の果柄切断装置の先端部分を茎葉の奥に挿入する状態を示す動作説明図である。
【図6】果柄切断装置の切断部によりピーマンの果柄を挟み込んだ状態を示す動作説明図である。
【図7】果柄切断装置の固定刃保持部をピーマンの窪みに挿入させた状態を示す動作説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 果柄切断装置本体
2 エアーシリンダー
3 可動刃
4 可動刃保持部
5 固定刃
6 固定刃保持部
7 可動刃ガイド
8 腕部
9 グリップハンドル
10 3ポートメカニカルバルブ
11 エア配管
12 スイッチ
13 果柄
14 ピーマン果実
15 窪み
【出願人】 【識別番号】302056815
【氏名又は名称】株式会社システム技研
【識別番号】599139763
【氏名又は名称】永田 雅輝
【識別番号】000164438
【氏名又は名称】九州電力株式会社
【出願日】 平成18年7月7日(2006.7.7)
【代理人】 【識別番号】240000039
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人 衞藤法律特許事務所


【公開番号】 特開2008−11819(P2008−11819A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−188446(P2006−188446)