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【発明の名称】 山葵の栽培方法及び栽培装置
【発明者】 【氏名】大西 久則

【要約】 【課題】本発明は、山葵を山間地の渓流でない場所において、養水を循環供給して、立体的な規模で山葵の栽培を行うことができる省スペース、省エネルギー方式の山葵の栽培方法及び栽培装置を提供する。

【構成】山葵の栽培装置は、底部に小石層を敷き詰め、その小石層の上部に山葵苗が植え付けられる砂礫層を形成した山葵育成部が傾斜勾配を持って複数連接した山葵栽培樋を上下に複数段配設し、養水を最上段の前記山葵栽培樋の最上部から流入させて複数段の前記山葵栽培樋を順次経由して最下段の前記山葵栽培樋の最下部から流出させる循環養水供給装置を設けると共に、小石層の位置に開口部を、かつ、砂礫層の位置に櫛状スリットを、また、上部が砂礫層から突き出して養水を貯留する高さを有する仕切板を各山葵育成部間に鉛直に配設することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜勾配を有し、かつ、勾配方向に複数の山葵育成部からなる山葵栽培樋を上下に複数段配設すると共に、循環養水を最上段の前記山葵栽培樋の最上部から流入させて複数段の前記山葵栽培樋を順次経由して最下段の前記山葵栽培樋の最下部から流出させて、山葵育成部に植え付けた山葵苗に前記循環養水を供給して通過させるようにしたことを特徴とする山葵の栽培方法。
【請求項2】
前記山葵育成部が底部に小石層を敷き詰め、その小石層の上部に砂礫層を形成したもので、かつ、前記山葵苗が前記砂礫層に植え付けられたものであって、小石層の位置に開口部を、かつ、上部が砂礫層から突き出して養水を貯留する高さを有する仕切板を各山葵育成部間に鉛直に配設して仕切ることにより、前記砂礫層を通過する循環養水の流れを制御することを特徴とする請求項1に記載の山葵の栽培方法。
【請求項3】
前記仕切板の砂礫層に見合った位置に櫛状スリットを設けることにより、前記砂礫層を通過する循環養水の流れを制御することを特徴とする請求項2に記載の山葵の栽培方法。
【請求項4】
前記循環養水が酸素マイクロバブルと酸素ナノバブルを含む養水であることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の山葵の栽培方法。
【請求項5】
底部に小石層を敷き詰め、その小石層の上部に山葵苗が植え付けられる砂礫層を形成した山葵育成部が傾斜勾配を持って複数連接した山葵栽培樋を上下に複数段配設し、養水を最上段の前記山葵栽培樋の最上部から流入させて複数段の前記山葵栽培樋を順次経由して最下段の前記山葵栽培樋の最下部から流出させる循環養水供給装置を設けると共に、小石層の位置に開口部を、かつ、砂礫層の位置に櫛状スリットを、また、上部が砂礫層から突き出して養水を貯留する高さを有する仕切板を各山葵育成部間に鉛直に配設することを特徴とする山葵の栽培装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、山葵を山間地の渓流でない場所において、養水を循環供給して、立体的な規模で山葵の栽培を行うことができる省スペース、省エネルギー方式の山葵の栽培方法及び栽培装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
山葵は日本特産のもので、その栽培適地は年間を通して水温8〜17度の清いわき水のある山深い谷間であるため限定された地域でしか栽培されていなかった。根茎は開花結実後も肥大を続ける。根茎上部に向かって順次形成される葉は、生育に従って古葉となり葉痕を残して落葉していくため、食用となる根茎はごつごつした形態を呈する。そして、この根茎下部の古葉の落ちた葉腋部から腋芽を生じ、分枝茎を形成するが、これを取って栽培用の苗とする。根は根茎の下部から発生し地下に深く伸びる。半陰性の常緑植物で落葉樹が適当に生えて夏季の強光をさえぎり、冬季には十分に日が当たるような場所が生育に最も適している。
【0003】
山葵はこのように礫(小石等の川砂利)で山葵田を形成し、山葵田で長い時間をかけて栽培されているものである。山葵が適切に生育し栽培されるためには、培地は富栄養化されていると山葵の生育にかえって悪影響があり、養分の少ない培地を使用すること、また栽培のための水は毎秒15〜20cm程度の流速であって、水温は12〜15度程度であること、溶存酸素量も10ppm以上含むことが良いとされている。
【0004】
これらの条件に合った山間の沢水と傾斜地を利用して山葵田を形成するとよいが、その適地は限定される。そこで、このような限定された条件から脱却するために、人工的に山葵田を形成して、そこに沢水と同様な流水を施す山葵の栽培が行われて来ている。その代表例がワサビ栽培用圃場およびワサビの栽培方法である。〔参考文献1〕
【特許文献1】特開平6−78623公報(〔0008〕、〔0013〕、〔0020〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記先行技術は、栽培槽(圃場)において養水の流通が不十分になることに起因する根圏付近の根ぐされを防止するために、栽培槽の底部に仕切壁を設けて養水の均一な流れを得ることにで養水の滞留を解消する点においては優れているが、栽培槽が平面的なプール形状をしており、かつ、深さも40〜45cmになるなど設置面積当たりの生産性に課題があった。本発明はこれらの課題を解決したものであって、適切な栽培条件をもたらす養水を循環供給して、山葵育成部全体に養水を行き渡らせることができ、かつ、立体的な装置規模で山葵の栽培を行うことができる省スペース、省エネルギー方式の山葵の栽培方法及び栽培装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る山葵の栽培方法は、傾斜勾配を有し、かつ、勾配方向に複数の山葵育成部からなる山葵栽培樋を上下に複数段配設すると共に、循環養水を最上段の前記山葵栽培樋の最上部から流入させて複数段の前記山葵栽培樋を順次経由して最下段の前記山葵栽培樋の最下部から流出させて、前記山葵育成部に植え付けた山葵苗に前記循環養水を供給して通過させるようにしたことを特徴とする。
【0007】
この構成を採用することにより、樋方向に複数の山葵育成部を有する栽培樋を上下に複数段、即ち立体的に積み重ねているので、設置面積当たりの山葵栽培の生産性が向上できる。また、複数段の配設をさらに複数列に配設して生産規模を拡大することも可能である。また、循環養水を山葵栽培樋の最上部から最下部に流水するので、養水が通過し、かつ、山葵苗が植え付けられた山葵育成部全数に均等に養水を供給することができるので、山葵の育成の均質化と促進化を図ることができる。
【0008】
また、請求項2に係る山葵の栽培方法は、請求項1記載の山葵の栽培方法において、前記山葵育成部が底部に小石層を敷き詰め、その小石層の上部に砂礫層を形成したもので、かつ、前記山葵苗が前記砂礫層に植え付けられたものであって、小石層の位置に開口部を、かつ、上部が砂礫層から突き出して養水を貯留する高さを有する仕切板を各山葵育成部間に鉛直に配設して仕切ることにより、前記砂礫層を通過する循環養水の流れを制御することを特徴とする。また、請求項3に係る山葵の栽培方法は、前記仕切板の砂礫層に見合った位置に櫛状スリットを設けることにより、前記砂礫層を通過する循環養水の流れを制御することを特徴とする。
【0009】
この構成により、循環養水は各山葵育成部において、砂礫層から突き出した仕切板上部によって一部が堰き止められ、山葵育成部の上面全体から根茎のある砂礫層を通過して、下部の小石層に到り、この養水は仕切板下部の開口部を経由して栽培樋の下部から流出する。したがって、山葵栽培樋に流入した養水は各山葵育成部に均等割に上方から下方に流下して、砂礫層を潤して流れることにより山葵の根茎に養分等を均等にもたらすことができる。また、仕切板には、砂礫層の位置に櫛状スリット部を設けているので、仕切板に沿う水の流れが淀むことを防止する。
【0010】
また、請求項4に係わる山葵の栽培方法は、請求項1又は2又は3記載の山葵の栽培方法において、前記循環養水が酸素マイクロバブルと酸素ナノバブルを含む養水であることを特徴とする。
【0011】
この構成により、循環養水は養分、水温及び流水量(根茎部の流速を決める)等を所定値に調節して供給するのみならず、酸素のマイクロバブルと酸素のナノバブルを含んだ養水を供給すれば、根茎部に到達した養水からの酸素溶存量が増加して生育を早めると共に、酸素ナノバブルが根茎部に直接到達して、根茎部に悪い微生物を酸化除去して活性化することができる。これにより山葵の育成を早めることができる。酸素マイクロバブルは気泡径50μm以下であって、気液二相流体のせん断により生成させることができ、この酸素マクロバブルが水中で圧壊するときに一部が酸素ナノバブル(気泡径1μm以下)に転換し、残りが水中に溶存するものである。
【0012】
また、請求項5に係わる山葵の栽培装置は、底部に小石層を敷き詰め、その小石層の上部に山葵苗が植え付けられる砂礫層を形成した山葵育成部が傾斜勾配を持って複数連接した山葵栽培樋を上下に複数段配設し、養水を最上段の前記山葵栽培樋の最上部から流入させて複数段の前記山葵栽培樋を順次経由して最下段の前記山葵栽培樋の最下部から流出させる循環養水供給装置を設けると共に、各山葵育成部間に、小石層の位置に開口部を、かつ、砂礫層の位置に櫛状スリットを、また、上部が砂礫層から突き出して養水を貯留する高さを有する仕切板を鉛直に配設することを特徴とする。
【0013】
この構成による山葵の栽培装置は、栽培量に対して設置面積が少なくてすみ、室内設備としても設置可能である。これにより、日光等の照射条件を適切に調節することができると共に、雰囲気温度や水温の調整が安定して行えるので、山葵の生産性を向上しやすい。また、山葵育成部に栽培している山葵の生育状況の把握、養水の供給状態の目視管理がしやすく、山葵栽培の育成、保守等の作業性が改善できる。また、循環養水供給装置を設けているので、養水の養分、水温、流水量、溶存酸素量などを一括して管理するすることができるし、山葵栽培樋毎に流水量を調整管理することも容易であって、山葵栽培の生産効率を高め、山葵の品質を維持、向上することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る請求項1記載の山葵の栽培方法によれば、循環養水を確実に各山葵育成部に供給することができるから、山葵の育成の均質化が図られ、山葵の品質及び良品歩留を向上することができる。また、山葵育成部の集合体である山葵栽培樋は薄くできるので、室内において複数段に積み重ねられ、設置面積当たりの山葵の生産性向上に寄与できる。請求項2、3記載の山葵の栽培方法によれば、仕切板を設けることにより循環養水を各山葵育成部に均等に、しかも上から下に確実に流下させることができるので、山葵育成部毎の山葵の育成状況に対し、変動を少なくすることができる。請求項4記載の山葵の栽培方法によれば、所定品位の養水を一括供給して循環させるから、循環養水の時系列的な品位の変動が少なく、加えて酸素のマクロバブルと酸素のナノバブルを含有させるので、溶存酸素量も増加して山葵の根茎の育成を促進し、また根茎に悪影響を与える微生物の酸化除去も可能となる。
【0015】
また、本発明に係る請求項5記載の山葵の栽培装置によれば、山葵栽培樋を複数段及び複数列に立体的に構築できるので、生産規模に対して設置面積が少なくてよい。これにより室内に山葵栽培装置を設置することが容易となり、山葵の栽培環境(光照射条件の適正化、気温変動が少ない、害虫等の侵入防止など)が整え易いので、山葵の栽培条件を適正化でき、山葵の品質及び生産性の向上を図ることができる。また、栽培作業が屋内のため容易となる。また、山葵の育成に重要な役割を果たす循環養水の流量及び品質管理も集中して一括して行うことができるので、山葵の栽培条件の管理がし易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る山葵栽培装置における一実施形態を示す図であって、(a)は模式的断面図、(b)は(a)におけるA−A断面図である。図2は、本発明に係る山葵栽培装置における別の実施形態を示す図であって、(a)は模式的断面図、(b)は(a)におけるA−A断面図、(c)は(a)におけるB−B断面図である。
【0017】
図1,2に基いて、本発明に係る山葵栽培装置の実施形態を説明すると、根茎10−1を有する山葵苗10は山葵育成部3の砂礫層3−1に植え付けられ、循環養水により育成されて山葵10に栽培される。山葵育成部3は傾斜勾配5〜6%を有する山葵栽培樋2を複数区画分割された一区画であって、一株の山葵10が植えつけられておって、上部の砂礫層3−1及び下部の小石層3−2からなり、山葵10は砂礫層3−1にその根茎10−1を植えつける。
【0018】
砂礫層3−1は粒径が3〜5mm程度の大きさの砂礫であり、その層厚は根茎10−1が十分生育できる深さが必要であるから、10〜15cm程度である。一方、小石層3−2は粒径が20〜40mm程度の大きさの小石で、その層厚は10〜15cm程度である。循環養水は山葵10の根茎10−1がある砂礫層3−1を所定の流速で流下して、養水中に含まれる養分や溶存酸素を根茎10−1に与え、次いで小石層3−2に流出して集水したものが山葵栽培樋2の下部から流出する。したがって、砂礫層3−1は山葵栽培樋2の上端から流入する循環養水をムラなく砂礫層3−1を通過させるものでなければならず、小石層3−2は砂礫層3−1から流下した循環養水を集めて山葵栽培樋2の下部から流出させる必要があり、この観点から砂礫層3−1及び小石層3−2の培体の粒度が設定される。
【0019】
また、図1における山葵栽培樋2における各山葵育成部3は仕切部3−3である網目状ネットにより区画し、更に砂礫層3−1と小石層3−2を区画するのが、砂礫層3−1の砂礫が小石層3−2に填まり混じりこんで、循環養水の通水を妨害することを防ぐと共に、樋方向に砂礫層3−1及び小石層3−2の流失や混合を防ぐ点でよい。網目状ネットは合成樹脂製で網目が2〜4mm程度のものが好ましい。また、仕切部3−3は、網目状ネットのみでなく、通水可能で、かつ、砂礫や小石を流失させない程度の開口があればよく、材質も木製や金属製でもよい。
【0020】
また、図2において、山葵栽培樋2における各山葵育成部3は、仕切板4により区画している。すなわち、仕切板4は傾斜勾配を有する山葵栽培樋2の各山葵育成部3を区切るために配設されたものであって、樋2に対して鉛直に設置される。仕切板4は、図2cに示すように、下部に小石層3−2の断面に見合う開口部4−1を有し、上部には山葵育成部3の上面、即ち砂礫層3−1の上部表面から突き出た突出部4−2がある。また、この仕切板4の開口部4−1と突出部4−2の間に、砂礫層3−1の位置に見合って櫛状スリット4−3を設けている。この仕切板4の突出部4−2により山葵栽培樋2において山葵育成部3の表面を流下する循環養水流一部堰き止め、山葵育成部3の上面に循環養水の溜まりを形成して、砂礫層3−1の表面から循環養水を内部に流下させることができる。そして、余剰になった循環養水はこの突出部4−2を溢流して、次の区画の山葵育成部3へと流下して溜まりを形成して、砂礫層3−1の表面から循環養水を砂礫層3−1の内部に流下させることを繰り返す。
【0021】
また、各山葵育成部3の砂礫層3−1を区分けする仕切板4は、砂礫層3−1において樋方向にバイパスする流れを殆ど防止することができ、各山葵育成部3に流入する循環養水を砂礫層3−1全体にわたり確実に通過させることによって、山葵10の根茎10−1の育成を効率よく行うことができる。また、仕切板4には、砂礫層の位置に櫛状スリット4−3を設けているので、仕切板4を通過する僅かの流れが生じ、仕切板4に沿う水の流れが淀むことを防止する。また、砂礫層3−1を通過した循環養水は、流れの抵抗の少ない小石層3−2に集められ仕切板4の開口部4−1から下流の小石層3−2を経由して山葵栽培樋2の出口から流出する。また、仕切板4の開口部4−1の大きさは、山葵栽培樋2の下流側に行くほど大きくしていくのが各山葵育成部3の通過水量を均一化するためにもよい。なお、仕切板4の材質は、合成樹脂製、木製や金属製でもよい。
【0022】
また、各山葵育成部3には、一株の山葵10が植え付けられ、山葵育成部3の大きさは幅10〜12cm、長さ10〜15cm、深さ20〜27cmである。山葵育成部3が連接して構成される山葵栽培樋2は、幅10〜12cm、長さ50〜150cm(株数5〜10株)であり、傾斜勾配5〜6%で設置される。なお、山葵栽培樋2の材質は、合成樹脂製、木製や金属製でもよい。
【0023】
図1又は図2は、6セットの山葵栽培樋2をV−逆V−V字状に上下3段にした配置を示している。循環養水供給装置11からポンプ13により送水された循環養水は、上段のV字状に配設された2セットの山葵栽培樋2の最上部から流入し、該山葵栽培樋2を経由した流出養水は中央にある連結樋5を通って、二段目である逆V字状の山葵栽培樋2の最上部で二分されて各山葵栽培樋2を通過し、端部にある二箇所の連結樋5により三段目のV字状山葵栽培樋2に養水が送られ、山葵栽培樋2を通過した後、中央部の連結樋5に排水され、配管14で循環養水供給装置1に戻る。このように循環養水は一度だけポンプアップすれば、後は重力だけで流下する構造が採れるので、省エネルギ的設備でもある。
【0024】
また、図1又は図2には、三段の6セットの山葵栽培樋2から構成された山葵栽培装置1を示しているが、本発明に係る山葵栽培装置1は、複数段の山葵栽培樋2で構成されるものを複数列並べて配置することも可能である。このように段数及び列数が増加するほど、設置面積当たりの山葵育成部3の総数を増加させることができるので生産規模を拡大することが容易にできる。また、本山葵栽培装置1は、立体的に構成機器(例えば、上に山葵栽培樋2及び下に循環養水供給装置11)を配設できるので屋内設置が可能であるし、設置場所を特に限定する必要性もない。この点で、省スペースタイプの山葵栽培装置ということができる。この屋内設置であれば、日光等の照射条件を適切に調節することができると共に、雰囲気温度や水温の調整が安定して行えるので、山葵の生産性を向上しやすい。また、山葵育成部に栽培している山葵の生育状況の把握、養水の供給状態の目視管理がしやすく、山葵栽培の育成、保守等の作業性を改善できる。
【0025】
循環養水供給装置11は、養水の性状を所定値に調節する調整槽12−1と山葵栽培樋2からの循環戻り水を受け入れる戻り水槽12−2との二つからなる循環養水槽12と、ポンプ13と、循環養水配管14と、から構成されている。調整槽12−1には、循環戻り水中に含まれる細粒の土砂を砂礫層3−1の間隙を詰めて通液を妨げないために戻り水槽12−2で沈降除去した後の循環養水がオーバーフローして戻り、さらに、この養水を所定温度に調節するための熱交換器16と、酸素マクロバブルと酸素マイクロバブルを発生させる酸素マクロバブル発生器17と、循環養水の養分と水の補給のために養分及び水補給管19と、が備えられる。また、調整槽12−1には、循環養水が循環養水配管14を経由して山葵栽培樋2に送水されるためのポンプ13が接続されている。また、各山葵栽培樋2に対して循環養水量を調整すために手動の流量調整弁15が設けられる。
【0026】
また、調整槽12−1内には、送水する循環養水の性状を所定値に制御するため測定センサ18、即ち水温計、溶存酸素量計、PH計等が具備される。測定センサ18からの各測定値に基づいて設定値に制御する方法は定法による。循環養水の性状とその数値を示すと、水温は12〜15度、溶存酸素量も10ppm以上、PH8前後である。
【0027】
本発明に係わる山葵栽培装置1を用いた山葵10の育成・栽培方法を説明すると、図1の山葵育成部3については、箱状の網目状ネット内に砂礫層3−1と小石層3−2を詰め、さらに砂礫層3−1に山葵10の苗を植えつけたものを山葵栽培樋2内にセットして山葵育成部3を構築する。このようにした山葵育成部3を連設することにより1セットの山葵栽培樋2が完成する。また、図2の山葵育成部3については、各山葵育成部3を区切る仕切板4を山葵栽培樋2にセットし、次いで仕切板4の開口部4−1の高さに見合って小石層3−2を形成し、更にこの小石層3−2の上に砂礫層3−1を形成し、その中に山葵10の苗を植えつける。なお、図1及び図2において、砂礫層3−1の上部表面は山葵栽培樋2の傾斜勾配に沿って平行に均すのが、循環養水を各山葵育成部3に均して供給するためにもよい。次いで、山葵栽培樋2を三段に折り返して積み上げ、各山葵栽培樋2は連結樋5にて夫々接続される。
【0028】
山葵栽培装置1の構築が完了したら、所定性状の循環養水を循環養水供給装置11から送水して、各山葵育成部3に養水を平均化して供給し山葵10の育成を行う。この場合、各山葵育成部3へ循環養水を供給する制御は、図1の設備においては、傾斜勾配を有する山葵栽培樋2の山葵育成部3の上部表面を流れる水が最下部の山葵育成部3まで到達して若干出口側へオーバーフローする程度に循環養水を供給し、又は山葵育成部3の砂礫層3−1や小石層3−2の粒度構成を変えて通液抵抗を調節するのが好ましい。
【0029】
また、図2の場合には、山葵栽培樋2において各山葵育成部3の上表面に仕切板4の突出部4−2が堰となって循環養水を堰き止めるとともに、堰を越えて次の山葵育成部3へとオーバーフローする循環養水が段々と減少し、最下部の仕切板4の突出部4−2で若干オーバーフローするのがよい。これは前述した循環養水の供給なり、山葵育成部3の通液抵抗を調節することでオーバーフロー量が調節できる。また、山葵育成部3の仕切板4の突出部4−2でオーバーフローする前後の堰の水量差が山葵育成部3の通過量と見做せるので、各山葵育成部3の通過養水量の管理がしやすい。
【0030】
また、山葵10葉が受ける受光量は、山葵栽培装置1が屋内設置の場合であれば、外光を取り込む量を調節するか、又は人工光(例えばLED光、蛍光灯など)の点灯量によって調節することができる。このように本山葵栽培装置1を用いて、山葵10の苗から約10cm長さの根茎10−1を5〜8ヶ月で栽培することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
山葵に代表される水生野菜又は水生植物の栽培に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る山葵栽培装置における一実施形態を示す図であって、(a)は模式的断面図、(b)は(a)におけるA−A断面図である。
【図2】本発明に係る山葵栽培装置における別の実施形態を示す図であって、(a)は模式的断面図、(b)は(a)におけるA−A断面図、(c)は(a)におけるB−B断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1:山葵栽培装置 2:山葵栽培樋 3:山葵育成部 3−1:砂礫層
3−2:小石層 3−3:仕切部 4:仕切板 4−1:開口部 4−2:突出部 4−3:スリット部 5:連結樋
10:山葵 10−1:根茎
11:循環養水供給装置 12:循環養水槽 12−1:調整槽 12−2:戻り水槽13:ポンプ 14:循環養水配管 15:流量調整弁 16:熱交換器
17:酸素マクロバブル発生器 18:測定センサー 19:養分及び水補給管
【出願人】 【識別番号】500136810
【氏名又は名称】株式会社 大通
【出願日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【代理人】 【識別番号】100105692
【弁理士】
【氏名又は名称】明田 莞


【公開番号】 特開2008−11789(P2008−11789A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−186642(P2006−186642)