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【発明の名称】 カッタ装置
【発明者】 【氏名】持田 幹夫

【要約】 【課題】カッタフレームの内側でロールの回転駆動をギヤ噛合等の複雑でコスト高な強制駆動機構を要することなく簡潔な構成によって行うカッタ装置を提供する。

【解決手段】カッタフレーム10に複数の回転カッタ14を有するカッタ軸11と、該カッタ14に対設される受け歯15を有する掻込軸12と、上記各カッタ14と受け歯15で形成される裁断部5に排稈を掻込誘導するロール16を有するロール軸13を略平行状に軸支して排稈を切断するカッタ装置6において、前記カッタフレーム10の内側で掻込軸12側又はロール軸13側に一体的に回転する弾性部材23を設け、該弾性部材23を介して掻込軸12側からロール16を回転駆動させる構成とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀装置(2)の排稈搬送方向の下流側に設置されるカッタフレーム(10)に、複数の回転カッタ(14)を有するカッタ軸(11)と、該カッタ(14)に対設される受け歯(15)を有する掻込軸(12)と、上記各カッタ(14)と受け歯(15)で形成される裁断部(5)に排稈を誘導するロール(16)を有するロール軸(13)を略平行状に軸支して排稈を切断するカッタ装置(6)において、前記カッタフレーム(10)の内側で掻込軸(12)側又はロール軸(13)側の一方に一体的に回転する弾性部材(23)を設け、該弾性部材(23)を他方に接触させることにより掻込軸(12)側からロール(16)を回転駆動させるカッタ装置。
【請求項2】
弾性部材(23)を、各カッタ(14)と受け歯(15)で形成される裁断部(5)の裁断部長さ(L)内に設けた請求項1記載のカッタ装置。
【請求項3】
弾性部材(23)を、受け歯(15)より突出してロール(16)に接触させるラグ体となした請求項1又は2記載のカッタ装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀済の排稈を複数の円盤カッタで裁断するカッタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀装置の排稈搬送方向の下流側に設置されるカッタフレームに、複数の回転カッタを有するカッタ軸と、該カッタに対設される受け歯を有する掻込軸と、上記各カッタと受け歯で形成される裁断部に排稈を掻込誘導するロールを有するロール軸を略平行状に軸支したカッタ装置は既に公知である(例えば特許文献1。)。
また上記のようなカッタ装置において、ロールを掻込軸からギヤ噛合させる等の強制駆動機構によって強制的に回転駆動するようにしたカッタ装置も既に公知である(例えば特許文献2。)。
【特許文献1】特開2005−160317号
【特許文献2】特開平10−127149号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1で示されるカッタ装置は、ロールを回転自在に支持しただけの簡潔な構成によって排稈を裁断部に案内するので廉価に製作できる利点がある。然しコンバイン作業の刈り取り初期等では、回転していないロールに対して排稈が接当し当該ロールを回転させるので、特に供給初期の排稈が多量であったり乱れた斜め姿勢で供給される場合に、まだ回転していないロールが抵抗体になって裁断部側への排稈誘導を阻害したり詰まりを伴い易い等の欠点がある。
また特許文献2で示されるカッタ装置は、ロールを掻込軸側から強制駆動機構によって常時回転駆動するので、排稈供給初期から排稈の誘導案内をスムーズに行うことができる利点がある。然し、カッタフレームの外側に設置されロールを強制回転させる強制駆動機構は、構造が複雑で精度を要するので製造コストを高騰させる問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため本発明によるカッタ装置は、第1に、脱穀装置2の排稈搬送方向の下流側に設置されるカッタフレーム10に、複数の回転カッタ14を有するカッタ軸11と、該カッタ14に対設される受け歯15を有する掻込軸12と、上記各カッタ14と受け歯15で形成される裁断部5に排稈を掻込誘導するロール16を有するロール軸13を略平行状に軸支して排稈を切断するカッタ装置6において、前記カッタフレーム10の内側で掻込軸12側又はロール軸13側の一方に一体的に回転する弾性部材23を設け、該弾性部材23を他方に接触させることにより掻込軸12側からロール16を回転駆動させることを特徴としている。
第2に、弾性部材23を、各カッタ14と受け歯15で形成される裁断部5の裁断部長さL内に設けたことを特徴としている。
第3に、弾性部材23を、受け歯15より突出してロール16に接触させるラグ体となしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
上記構成を備えたカッタ装置は次のような効果を奏する。カッタフレームの内側で掻込軸側又はロール軸側に一体的に回転する弾性部材を設け、ロールを弾性部材の接触によって掻込軸側から回転させるので、ロールの回転駆動をギヤ噛合等の複雑でコスト高な駆動機構を要することなく簡潔で廉価な構成によって行うことができる。
また弾性部材を、各カッタと受け歯で形成される裁断部の裁断部長さ内に設けることにより、弾性部材を受け歯を利用して簡潔な構成によって支持することができる。
さらに弾性部材を、受け歯より突出したラグ体にしたことにより、回転するラグ体は掻き込む排稈をロールに押し付けた状態でロールの回転を確実にする。そして、裁断部長さ内に設置したラグ体は、誘導路に至った排稈を裁断部に向けて掻き込みし排稈の裁断を行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図面において符号1はコンバインに搭載される脱穀装置2の後部に設置され、該脱穀装置2の排稈チェン3から搬送される脱穀済の排稈を処理する排稈処理装置である。この排稈処理装置1は従来のものと同様に、排稈チェン3の終端に構成される搬送切換機構4の搬送方向下流側に、図2に示す裁断部5によって長藁状の排稈を短く切断して排出するカッタ装置6と、排稈をドロッパ7で受けて一定の集束として排出するドロッパ装置9とを設けて構成される。
【0007】
上記カッタ装置6は図1〜図4で示すように、箱形のカッタフレーム10の左右の側壁10L,10Rに、カッタ軸11と掻込軸12とロール軸13とを横方向に平行状をなして軸支している。
上記カッタ軸11には、大径円盤状のカッタ14を一定の切断間隔を有して複数軸装している。掻込軸12には上記カッタ軸11の各カッタ14に対向して受け歯15を軸装している。
【0008】
上記ロール軸13には両側のメタル部13aを介し円筒状のロール16を遊転自在に軸支している。このロール16はカッタ14の上方に近接した位置に配置し、且つロール長さはカッタフレーム10内において後述する裁断部長さLよりやや長くして設け、これにより搬送切換機構4側から供給される排稈を裁断部5に整然と誘導案内する。尚、上記裁断部長さLは相対向するカッタ14と受け歯15とで形成される裁断部5が稈長方向に構成される幅としている。
【0009】
上記カッタ装置6は、カッタ軸11をカッタフレーム10の後方下部側に軸支し、その前側上方に掻込軸12を軸支し、ロール軸13をカッタ軸11の上方に軸支している。
また図1,図3で示すようにカッタ軸11を、軸端に設けたプリー11aを脱穀装置2側の図示しない駆動プーリからベルト11bによって回転伝動し、カッタ軸11から掻込軸12をギヤ噛合により駆動し、ロール軸13は遊転自在にした状態で後述する駆動助成機構22の弾性部材(ラグ体)23によって排稈供給方向に回転付勢している。
【0010】
そして、図1,図6で示すようにカッタ装置6は、掻込軸12の受け歯15とロール軸13のロール16とで形成する誘導路17を、カッタフレーム10の上部に形成される開口部19に臨ませている。また開口部19には板状の切換ガイド20を設けており、該切換ガイド20は下流側の支持軸18を支点に上流側を上下回動させることにより搬送切換機構4を構成している。
図示例の搬送切換機構4は上記開口部19を閉じた閉鎖姿勢において、切換ガイド20の前端を排稈チェン3に対設される挟持レール21の終端に近接させており、且つ切換ガイド20の後端はロール16の上方を覆って側面視で下り傾斜状をなしている。
【0011】
この閉鎖姿勢において切換ガイド20は、排稈チェン3によって挟持搬送された排稈を挟持レール21の終端から下方に向けて流下案内し、下方に設置されるドロッパ装置9のドロッパ7に供給する。これによりドロッパ7は所定量の排稈を集束し地表に放出することができる。
また切換ガイド20は開口部19を開放した切断姿勢にすると、その前端部が排稈チェン3に近接して挟持レール21の終端から排出される排稈を切換ガイド20の内側面で案内し誘導路17に至らせる。これにより排稈はロール16及び受け歯15によって裁断部5に掻込案内され、カッタ14で裁断することができる。
【0012】
次に上記カッタ装置6に設置されるローラ駆動助成機構の第1実施形態について図2〜図4を参照し説明する。図示例の駆動助成機構22は、掻込軸12に受け歯15の外周より突出してロール16の表面に可撓性を有して接触する弾性部材として複数のラグ体23を設け、該ラグ体23の接触によってロール16を図2の矢印で示す排稈誘導方向に回転付勢する構成としている。これにより裁断部5の上流側に横設されるロール16は、ラグ体23によって排稈の掻込誘導を行うと共に、強制的に回転駆動させるギヤ噛合等の複雑でコスト高な強制駆動機構を要することなく、半強制的な回転助成を簡潔で廉価な構成によって行うことができる。
【0013】
即ち、図示例の駆動助成機構22は図3,図4に示すように、一対の受け歯15と受け歯15の間にラグ体23を挟持固定する一対の取付部材25を掻込軸12に嵌挿し、掻込軸12に交互に嵌挿配置された複数間隔保持筒26及び受け歯15が両端から締着することにより、取付部材25,25はラグ体23を挟持固定する構造にしている。
【0014】
またラグ体23は図2に示すように、無端帯状のベルト部27の外周に粗間隔を有して一体的に突設しており、該ベルト部27を左右の取付部材25によって挟持することにより掻込軸12側に取付固定する構成としている。図示例の取付部材25は各内側面の外周寄りにベルト部27を所定深さで嵌挿させるリング状の取付溝29を穿設しており、該取付溝29内にベルト部27を嵌挿することによりラグ体23の取付支持を簡単に行うようにしている。
【0015】
以上のように構成される駆動助成機構22を備えたカッタ装置6は、掻込軸12側にベルト部27の外周に突設され一体的に回転するラグ体23を設けているので、弾力性及び可撓性を有するラグ体23はローラ22との接触時において、後退屈曲を柔軟に行いながら、その接触力によりロール16を図2の矢印で示す内向き回転方向に付勢する。
これにより回転方向に駆動されるロール16は、誘導路17内で接触する排稈を裁断部5に確実に誘導する。また裁断部5において上方に跳ねたり溢れ出ようとする排稈を、回転するロール16によって裁断部5側に強制的に押し込むと共に、この際の押し込み抵抗によってロール16が回転停止させられることを防止する。
【0016】
またラグ体23は排稈を掻き込み移動させロール16に押し付けた接触状態で後退屈曲し、ロール16の駆動回転を確実に助成する。そして、ラグ体23は後退屈曲した状態から、接触開放後はその弾力性によって復元作動を速やかに行うことができる。
また上記ラグ体23は図3に示すように穂先掻込側に設けることが望ましく、裁断部長さLの穂先側寄りに設置したラグ体23は、誘導路17に至った排稈を受け歯15と同様に裁断部5に向けて掻き込むので、搬送遅れを生じやすい排稈の穂先側の掻き込み供給を促進することができる等の特徴がある。
【0017】
次に駆動助成機構22の別実施形態について説明する。尚、前記第1実施形態のものと同様な構成及び作用については説明を省略する。先ず図5を参照し第2実施形態について説明する。この駆動助成機構22は弾性部材23を耐摩耗性及び弾力性を有するドーナツ盤状のゴム板となし、カッタフレーム10内で図3に点線で示すように掻込軸12に対し、裁断部長さLの最穂先側の受け歯15と受け歯15の間に取付固定している。そして、弾性部材23の外周面をロール16の外周面に押接している。
【0018】
この構成によれば、掻込軸12側に設けた弾性部材23は所定の幅を有してロール16の表面に弾力性を有して転接するので、ロール16を簡単な構造によって無理なく回転駆動することができる。また回転駆動位置をカッタフレーム10内で裁断部長さLの最穂先側に設定したことにより、弾性部材23とロール16との間に排稈の供給を抑制し、且つ排稈がたまに供給されたとしても太い稈径部を弾性部材23とロール16との間に介挿させることなく小径で柔らかな穂先を臨ませるので、排稈の供給ボリュウムを小さくして駆動助成を支障なくスムーズに行うことができる。
【0019】
次に駆動助成機構22の第3実施形態について図6を参照し説明する。この駆動助成機構22は弾性部材23を耐摩耗性及び弾力性を有する円盤状のゴム板となし、図3に点線で示すようにカッタフレーム10内で掻込軸12に対し、裁断部長さLの穂先側の受け歯15と受け歯15の間に挟持した状態で取付固定している。そして、弾性部材23の外周面の板厚の中途部にはロール回転板30の外周部を摺動可能に挿入させる溝31を形成している。
【0020】
上記ロール回転板30は所定の板厚と外径を有する円盤又は凹凸面盤をロール16の外周面に一体的に突設し、その先端部を溝31に伝動可能に挿入する構成としている。
この構成によれば、ロール軸13側に設けたロール回転板30は掻込軸12側の弾性部材23に接触させるので、掻込軸12側からロール16を簡単に回転駆動することができる。尚、ロール回転板30及び弾性部材23の径を選択して組み合わせることにより、掻込軸12側から駆動されるロール16の回転数を変更することができる。また図3に点線で示すように上記駆動助成機構22は、前記裁断部長さLの外側に構成すると、弾性部材23よロール回転板30との間への排稈の供給を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】コンバインの排稈処理装置の構成を示す側面図である。
【図2】図1のカッタ装置の構成及び第1実施形態に係る駆動助成機構の構造を示す側面図である。
【図3】第1実施形態に係る駆動助成機構を備えたカッタ装置の要部の構成を示す平面図である。
【図4】第1実施形態に係る駆動助成機構の要部の構成を示す拡大断面図である。
【図5】第2実施形態に係る駆動助成機構の要部の構成を示す拡大断面図である。
【図6】第3実施形態に係る駆動助成機構の要部の構成を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 排稈処理装置
2 脱穀装置
3 排稈チェン
4 搬送切換機構
5 裁断部
6 カッタ装置
10 カッタフレーム
11 カッタ軸
12 掻込軸
14 カッタ
15 受け歯
16 ロール
23 弾性部材
L 裁断部長さ
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成19年3月29日(2007.3.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−245549(P2008−245549A)
【公開日】 平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願番号】 特願2007−89297(P2007−89297)