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【発明の名称】 コンバイン
【発明者】 【氏名】大野 隆行

【要約】 【課題】穀粒タンクの揺動変位操作時における穀粒タンクと穀粒排出用の伝動系との干渉を回避しながら、穀粒タンクの容量の増大を図れるようにする。

【解決手段】穀粒排出装置6を備えた穀粒タンク5を、その後部の縦軸心P1周りに作業位置とメンテナンス位置とに揺動変位可能に装備し、穀粒排出装置6の入力部21を穀粒タンク5の前部に配備し、エンジン8からの動力を入力部21に伝達する穀粒排出用の伝動系22を、エンジン8の出力軸9から入力部21に向けて延設し、穀粒排出用の伝動系22と入力部21とを、それらを伝動可能に連結した伝動状態と、その連結を解除した非伝動状態とに切り換え可能に構成し、穀粒排出用の伝動系22を、穀粒タンク5の揺動領域Aに入り込んで入力部21との連結を可能にする進入位置と、穀粒タンク5の揺動領域Aから外れて穀粒タンク5の揺動変位を許容する退避位置とに変位可能に構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒排出装置を備えた穀粒タンクを、その後部に備えた縦軸心周りに、エンジンの後方に位置する作業位置と、機体の横外方に張り出して前記エンジンの後方を開放するメンテナンス位置とに揺動変位可能に装備し、
前記穀粒排出装置の入力部を前記穀粒タンクの前部に配備し、
前記エンジンからの動力を前記入力部に伝達する穀粒排出用の伝動系を、前記エンジンの出力軸から前記入力部に向けて延設し、
前記穀粒排出用の伝動系と前記入力部とを、それらを伝動可能に連結した伝動状態と、その連結を解除した非伝動状態とに切り換え可能に構成し、
前記穀粒排出用の伝動系を、前記入力部との連結が可能になるように前記穀粒タンクの揺動領域に入り込む進入位置と、前記穀粒タンクの揺動変位を許容するように前記穀粒タンクの揺動領域から外れる退避位置とに変位可能に構成してあることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記エンジンを、その出力軸が左右向きになる姿勢で搭載し、
前記入力部を、前記穀粒タンクの前部における前記エンジンとの対向領域から左右方向に外れた位置に配備し、
前記出力軸を、前記エンジンから前記入力部が位置する左右一側方に向けて突出させてあることを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記穀粒タンクの前記作業位置から前記メンテナンス位置への揺動変位に連動して、前記穀粒排出用の伝動系と前記入力部とが前記伝動状態から前記非伝動状態に切り換わるとともに、前記穀粒排出用の伝動系が前記進入位置から前記退避位置に変位するように構成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記穀粒タンクの前記作業位置から前記メンテナンス位置への揺動変位に連動して、前記穀粒排出用の伝動系と前記入力部とが前記伝動状態から前記非伝動状態に切り換わるとともに、前記穀粒排出用の伝動系が前記進入位置から前記退避位置に変位し、
前記穀粒タンクの前記メンテナンス位置から前記作業位置への揺動変位に連動して、前記穀粒排出用の伝動系が前記退避位置から前記進入位置に変位するとともに、前記穀粒排出用の伝動系と前記入力部とが前記非伝動状態から前記伝動状態に切り換わるように構成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒排出装置を備えた穀粒タンクを、その後部に備えた縦軸心周りに、エンジンの後方に位置する作業位置と、機体外方に張り出して前記エンジンの後方を開放するメンテナンス位置とに揺動変位可能に装備してあるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなコンバインにおいては、エンジンから穀粒排出装置への伝動を、エンジンと穀粒タンクとの間を通るように固定配備した穀粒排出用の伝動系で行うように構成していた(例えば特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開平9−205867号公報
【特許文献1】特開2001−190147号公報
【特許文献1】特開2005−176695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の構成では、機体におけるエンジン後方の限られた配置スペースに、穀粒タンクを、その作業位置とメンテナンス位置とにわたる揺動変位の際に、エンジンと穀粒タンクとの間を通るように固定配備された穀粒排出用の伝動系に干渉しないようにコンパクトに配備する必要がある。
【0004】
つまり、エンジンと穀粒タンクとの間を通るように固定配備した穀粒排出用の伝動系によって穀粒タンクの大きさが制限されるために、穀粒タンクの容量を増大させることが困難になっていた。
【0005】
本発明の目的は、穀粒タンクの揺動変位操作時における穀粒タンクと穀粒排出用の伝動系との干渉を回避できるものでありながら、穀粒排出用の伝動系による穀粒タンクの大きさ制限を緩和して、穀粒タンクの容量の増大を図れるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明のうちの請求項1に記載の発明では、穀粒排出装置を備えた穀粒タンクを、その後部に備えた縦軸心周りに、エンジンの後方に位置する作業位置と、機体の横外方に張り出して前記エンジンの後方を開放するメンテナンス位置とに揺動変位可能に装備し、前記穀粒排出装置の入力部を前記穀粒タンクの前部に配備し、前記エンジンからの動力を前記入力部に伝達する穀粒排出用の伝動系を、前記エンジンの出力軸から前記入力部に向けて延設し、前記穀粒排出用の伝動系と前記入力部とを、それらを伝動可能に連結した伝動状態と、その連結を解除した非伝動状態とに切り換え可能に構成し、前記穀粒排出用の伝動系を、前記入力部との連結が可能になるように前記穀粒タンクの揺動領域に入り込む進入位置と、前記穀粒タンクの揺動変位を許容するように前記穀粒タンクの揺動領域から外れる退避位置とに変位可能に構成してあることを特徴とする。
【0007】
この特徴構成によると、穀粒排出用の伝動系を進入位置と退避位置とに変位可能に構成したことで、穀粒排出用の伝動系による穀粒タンクの大きさ制限が緩和されることになる。
【0008】
その結果、穀粒タンクを、その揺動領域が穀粒排出用の伝動系の配設箇所に重合する容量の大きいものに構成しても、その揺動変位操作の際に、穀粒排出用の伝動系と穀粒排出装置の入力部とを伝動状態から非伝動状態に切り換えて、穀粒排出用の伝動系を進入位置から退避位置に退避変位させるようにすれば、穀粒タンクと穀粒排出用の伝動系との干渉を回避することができる。
【0009】
つまり、穀粒タンクと穀粒排出用の伝動系との干渉を回避するために、穀粒排出用の伝動系の配設箇所に穀粒タンクの揺動領域が重合しないように穀粒タンクをコンパクトに構成するのではなく、穀粒排出用の伝動系を、穀粒タンクの揺動領域に入り込む進入位置と、穀粒タンクの揺動領域から外れる退避位置とに変位可能に構成することで、機体におけるエンジン後方の限られた配置スペースに、揺動領域が穀粒排出用の伝動系の配設箇所に重合する容量の大きい穀粒タンクを配備しながらも、その揺動操作時における穀粒排出用の伝動系との干渉を回避することができる。
【0010】
従って、穀粒タンクの揺動変位操作時における穀粒タンクと穀粒排出用の伝動系との干渉を回避できるものでありながら、穀粒排出用の伝動系による穀粒タンクの大きさ制限を緩和することができ、穀粒タンクの容量の増大を図れるようになる。
【0011】
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、前記エンジンを、その出力軸が左右向きになる姿勢で搭載し、前記入力部を、前記穀粒タンクの前部における前記エンジンとの対向領域から左右方向に外れた位置に配備し、前記出力軸を、前記エンジンから前記入力部が位置する左右一側方に向けて突出させてあることを特徴とする。
【0012】
この特徴構成によると、エンジンと穀粒タンクとの間に穀粒排出用の伝動系を通すことなく、エンジンからの動力を穀粒排出装置の入力部に伝達することができる。
【0013】
つまり、エンジンと穀粒タンクとの間に、穀粒排出用の伝動系を通すための領域を確保する必要がない分だけ、穀粒排出用の伝動系による穀粒タンクの大きさ制限が緩和されることになり、穀粒タンクの容量を増大させることができる。
【0014】
従って、穀粒タンクの揺動変位操作時における穀粒タンクと穀粒排出用の伝動系との干渉を回避できるものでありながら、穀粒タンクの容量の増大をより効果的に図ることができる。
【0015】
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の発明において、前記穀粒タンクの前記作業位置から前記メンテナンス位置への揺動変位に連動して、前記穀粒排出用の伝動系と前記入力部とが前記伝動状態から前記非伝動状態に切り換わるとともに、前記穀粒排出用の伝動系が前記進入位置から前記退避位置に変位するように構成してあることを特徴とする。
【0016】
この特徴構成によると、穀粒タンクを作業位置からメンテナンス位置に揺動変位させる際には、穀粒排出用の伝動系と穀粒排出装置の入力部とを人為操作によって伝動状態から非伝動状態に切り換える手間や、穀粒排出用の伝動系を人為操作によって進入位置から退避位置に変位させる手間を要することなく、穀粒タンクと穀粒排出用の伝動系との干渉を回避することができる。
【0017】
従って、穀粒タンクの揺動変位操作時における穀粒タンクと穀粒排出用の伝動系との干渉を回避しながら、穀粒タンクの容量の増大を図れる上に、穀粒タンクを作業位置からメンテナンス位置に揺動変位させる際の操作性の向上を図ることができる。
【0018】
本発明のうちの請求項4に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の発明において、前記穀粒タンクの前記作業位置から前記メンテナンス位置への揺動変位に連動して、前記穀粒排出用の伝動系と前記入力部とが前記伝動状態から前記非伝動状態に切り換わるとともに、前記穀粒排出用の伝動系が前記進入位置から前記退避位置に変位し、前記穀粒タンクの前記メンテナンス位置から前記作業位置への揺動変位に連動して、前記穀粒排出用の伝動系が前記退避位置から前記進入位置に変位するとともに、前記穀粒排出用の伝動系と前記入力部とが前記非伝動状態から前記伝動状態に切り換わるように構成してあることを特徴とする。
【0019】
この特徴構成によると、穀粒タンクを作業位置からメンテナンス位置に揺動変位させる際には、穀粒排出用の伝動系と穀粒排出装置の入力部とを人為操作によって伝動状態から非伝動状態に切り換える手間や、穀粒排出用の伝動系を人為操作によって進入位置から退避位置に変位させる手間を要することなく、穀粒タンクと穀粒排出用の伝動系との干渉を回避することができる。
【0020】
又、穀粒タンクをメンテナンス位置から作業位置に揺動変位させる際には、穀粒排出用の伝動系と穀粒排出装置の入力部とを人為操作によって非伝動状態から伝動状態に切り換える手間や、穀粒排出用の伝動系を人為操作によって退避位置から進入位置に変位させる手間を要することなく、穀粒タンクと穀粒排出用の伝動系との干渉を回避することができる。
【0021】
従って、穀粒タンクの揺動変位操作時における穀粒タンクと穀粒排出用の伝動系との干渉を回避しながら、穀粒タンクの容量の増大を図れる上に、穀粒タンクを作業位置とメンテナンス位置とにわたって揺動変位させる際の操作性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1には自脱形コンバインの全体側面が、図2にはその全体平面が示されており、このコンバインは、角パイプ材などによって枠状に形成した機体フレーム1、機体フレーム1の下部に装備した左右一対のクローラ式走行装置2、機体フレーム1の左前部に昇降揺動可能に連結した刈取搬送部3、機体フレーム1の左半部に搭載した脱穀装置4、機体フレーム1の右後部に搭載した穀粒タンク5、穀粒タンク5に備えた穀粒排出装置6、機体フレーム1の右前部に形成した搭乗運転部7、及び、機体フレーム1の右前部に搭載したエンジン8、などによって構成されている。
【0023】
図1〜3に示すように、エンジン8は、その出力軸9が左右向きになる姿勢で機体フレーム1に搭載されている。エンジン8から左右の各クローラ式走行装置2への伝動は、エンジン8から機体の左右中央部に向けて突出する出力軸9の左端部から、左右の各クローラ式走行装置2の駆動スプロケット10にわたる走行用の伝動系11を介して行われる。走行用の伝動系11は、ベルト式の伝動装置12、主変速装置として備えた静油圧式無段変速装置13、及び、ミッションケース14に副変速装置として内装したギヤ式変速装置(図示せず)、などによって構成されている。
【0024】
エンジン8から刈取搬送部3への伝動は、出力軸9の左端部から刈取搬送部3の入力軸15にわたる刈り取り搬送用の伝動系16を介して行われる。刈り取り搬送用の伝動系16は、伝動装置12、静油圧式無段変速装置13、ミッションケース14から刈取搬送部3に向けて突出するギヤ式変速装置の入力軸17、及び、ベルトテンション式の刈取クラッチ18、などによって構成されている。
【0025】
エンジン8から脱穀装置4への伝動は、出力軸9の左端部から脱穀装置4の入力軸19にわたる脱穀用の伝動系としてのベルトテンション式の脱穀クラッチ20を介して行われる。
【0026】
エンジン8から穀粒排出装置6への伝動は、エンジン8から走行機体1の右側端部に向けて突出する出力軸9の右端部から穀粒排出装置6の入力部21にわたる穀粒排出用の伝動系22を介して行われる。穀粒排出用の伝動系22は、ベルトテンション式の穀粒排出クラッチ23、及び、左右向きの伝動軸24、などによって構成されている。
【0027】
図1及び図2に示すように、左右のクローラ式走行装置2は、搭乗運転部7に備えた主変速レバー25や副変速レバー26の操作に基づいて変速され、搭乗運転部7に備えた操縦レバー27の左右方向への揺動操作に基づいて、それらが等速駆動されて直進する直進走行状態と、それらが差動して操縦レバー25の揺動操作方向に旋回する旋回走行状態とに切り換わるように構成されている。
【0028】
刈取搬送部3は、機体の走行に伴って、先端に備えた複数のデバイダ28が収穫対象の植立穀稈を植え付け条ごとに梳き分けながら梳き起こし、条分けされた植立穀稈を複数の引起装置29が所定の刈取姿勢に引き起こし、引き起こされた植立穀稈の株元側をバリカン型の刈取装置30が切断し、切断後の植立穀稈である刈取穀稈を穀稈搬送装置31が刈取用の起立姿勢から脱穀用の横倒れ姿勢に姿勢変更しながら脱穀装置4に向けて搬送するように構成されている。
【0029】
又、操縦レバー27の前後方向への揺動操作に基づいて、機体フレーム1と刈取搬送部3とにわたって架設した油圧式の昇降シリンダ(図示せず)が伸縮作動することで、左右向きの軸心(図示せず)周りに昇降揺動する。
【0030】
脱穀装置4は、その左側部に備えた挟持搬送機構32が刈取搬送部3からの刈取穀稈の株元側を挟持して後方に向けて搬送し、その挾持搬送によって扱室(図示せず)に供給された刈取搬送部3の穂先側に脱穀処理を施し、その脱穀処理で得られた処理物に篩い選別や風力選別による選別処理を施し、その選別処理で得られた1番物としての単粒化穀粒を、揚送コンベヤ33によって穀粒タンク5に供給し、2番物としての枝梗付き穀粒やワラ屑などの混在物には再処理を施し、3番物としての切れワラやワラ屑などの塵埃は機外に排出するように構成されている。
【0031】
穀粒タンク5は、その後部に備えた縦軸心P1周りに、その全体がエンジン8の後方に位置する作業位置と、その前部側が走行機体1の右外方に張り出してエンジン8の後方を開放するメンテナンス位置とにわたって揺動変位可能に、かつ、図外のロック機構によって作業位置及びメンテナンス位置での位置保持が可能となるように構成されている。又、その作業位置に位置保持された状態において、脱穀装置4からの単粒化穀粒を貯留し、その貯留した単粒化穀粒を、穀粒排出装置6の作動によって、トラックの荷台などの機外の所定箇所に排出するように構成されている。
【0032】
穀粒排出装置6は、穀粒タンク5の底部に前後向きに備えたスクリュー式の第1コンベヤ34、第1コンベヤ34の後端に上下向きに連接したスクリュー式の第2コンベヤ35、及び、第2コンベヤ35の上端に縦軸心P1周りに旋回可能かつ横軸心P2周りに起伏揺動可能に連接したスクリュー式の第3コンベヤ36、によって穀粒タンク5に貯留した単粒化穀粒を機外の所定箇所に向けて排出搬送し、第2コンベヤ35に備えた電動式の旋回モータ37の作動で、第2コンベヤ35の筒状ケース35Aを支点軸として第3コンベヤ36が旋回し、第2コンベヤ35と第3コンベヤ36とにわたって架設した油圧式の起伏シリンダ38の作動で第3コンベヤ36が起伏揺動するように構成されている。
【0033】
図1〜4に示すように、第1コンベヤ34及び第2コンベヤ35は、第1コンベヤ34の前端部に連結される入力部21とともに、走行機体1におけるエンジン後方のエンジン8と対向する領域から右方向に外れた位置に配備されている。
【0034】
つまり、エンジン8から穀粒排出装置6への伝動を、エンジン8から走行機体1の右側端部に向けて突出する出力軸9の右端部から、走行機体1におけるエンジン後方のエンジン8と対向する領域から右方向に外れた位置に配備した穀粒排出装置6の入力部21に向かうように延設した穀粒排出用の伝動系22を介して行うことから、エンジン8と穀粒タンク5との間に穀粒排出用の伝動系22を通すための領域を確保する必要がなくなる。その結果、エンジン8と穀粒タンク5との間に穀粒排出用の伝動系22を通す場合に比較して、穀粒タンク5の前部側をエンジン8に向けて張り出させることができ、穀粒タンク5の容量を増大させることができる。
【0035】
図1〜6に示すように、穀粒タンク5は、作業位置に位置する状態では、その前端部が平面視や側面視で穀粒排出クラッチ23の出力プーリ39と重合し、かつ、その左側底部が正面視で穀粒排出用の伝動系22と重合するように、その前端部が穀粒排出用の伝動系22に向けて張り出し、又、その左側底部が下方に向けて張り出した形状に形成されている。又、その揺動領域Aが穀粒排出用の伝動系22の配設箇所と重合するように、その穀粒排出用の伝動系22との対向箇所が、穀粒排出用の伝動系22に近接する位置まで張り出した形状に形成されている。その結果、穀粒タンク5の容量が大幅に増大されている。
【0036】
図3〜6に示すように、穀粒排出用の伝動系22において、伝動軸24は、その左端部が穀粒排出クラッチ23の出力プーリ39に一体回転可能かつ相対摺動可能にスプライン嵌合されている。伝動軸24の左右中間部には、伝動軸24を穀粒排出装置6の入力部21に向けて突出付勢する押しバネ40が外嵌装備されている。伝動軸24の右端部は、先細り状に形成され、穀粒排出装置6への伝動を可能にする係合ピン41が装備されている。
【0037】
穀粒排出装置6の入力部21は、穀粒タンク5の前壁42に装備されたケーシング43に、ケーシング43から左方に向けて突出する入力軸44、入力軸44にスプライン嵌合された第1ベベルギヤ45、及び、第1ベベルギヤ45と噛合するように穀粒排出装置6の第1コンベヤ34にスプライン嵌合された第2ベベルギヤ46、などを備えて構成されている。入力軸44の左端部には、伝動軸24の右端部が抜き差し可能に係入される凹部44Aと、伝動軸24の係合ピン41が抜き差し可能に係合される係合部44Bとが形成されている。
【0038】
つまり、穀粒排出用の伝動系22と穀粒排出装置6の入力部21とは、それらの伝動軸24と入力軸44とを伝動可能に係合連結した伝動状態と、その係合連結を解除した非伝動状態とに切り換え可能に構成されている。又、その伝動状態から非伝動状態への切り換えは、穀粒タンク5の作業位置からメンテナンス位置への揺動変位によって行われ、非伝動状態から伝動状態への切り換えは、穀粒タンク5のメンテナンス位置から作業位置への揺動変位によって行われるようになっている。
【0039】
図2〜6に示すように、穀粒排出クラッチ23の出力プーリ39は、走行機体1に縦軸心P3周りに揺動可能に装備した揺動アーム47の遊端部に装備されている。揺動アーム47は、その揺動操作によって、出力プーリ39とともに伝動軸24を穀粒タンク5の揺動領域Aに入り込ませて伝動軸24と入力部21の入力軸44との係合連結を可能にする第1揺動位置と、出力プーリ39とともに伝動軸24を穀粒タンク5の揺動領域Aから外れさせて穀粒タンク5の揺動変位を許容する第2揺動位置とにわたって変位するように構成されている。又、その遊端部と走行機体1とにわたるロックピン48によって、第1揺動位置と第2揺動位置とのそれぞれに位置保持できるように構成されている。
【0040】
つまり、穀粒排出用の伝動系22は、その伝動軸24及び出力プーリ39が穀粒タンク5の揺動領域Aに入り込んで、伝動軸24と穀粒排出装置6における入力部21の入力軸44との係合連結を可能にする進入位置と、その全体が穀粒タンク5の揺動領域Aから外れて穀粒タンク5の揺動変位を許容する退避位置とにわたって変位可能に、かつ、ロックピン48による進入位置及び退避位置での位置保持が可能となるように構成されている。又、その変位操作は、ロックピン48による進入位置及び退避位置での位置保持が解除され、穀粒タンク5の揺動変位操作によって、穀粒排出用の伝動系22と穀粒排出装置6の入力部21とが伝動状態から非伝動状態に切り換えられている場合に行えるようになっている。
【0041】
上記の構成から、穀粒タンク5を、その揺動領域Aが穀粒排出用の伝動系22の配設箇所と重合する容量の大きいものに構成しても、穀粒タンク5を作業位置からメンテナンス位置に揺動変位させる場合には、脱穀クラッチ20を切り状態に切り換えた後、穀粒タンク5を作業位置からメンテナンス位置に向けて揺動変位させながら、その揺動変位操作によって、穀粒排出用の伝動系22と穀粒排出装置6の入力部21とが伝動状態から非伝動状態に切り換わった段階で、ロックピン48による穀粒排出用の伝動系22の進入位置での位置保持を解除し、穀粒排出用の伝動系22を進入位置から退避位置に変位させてロックピン48で位置保持させるようにすれば、穀粒タンク5を、穀粒排出用の伝動系22に干渉させることなく、作業位置からメンテナンス位置に揺動変位させることができる。
【0042】
又、穀粒タンク5をメンテナンス位置から作業位置に揺動変位させる場合には、穀粒タンク5をメンテナンス位置から作業位置に向けて揺動変位させながら、その揺動変位操作によって、穀粒排出用の伝動系22との重合領域を通る穀粒タンク5の左前下部が、その重合領域を通過した段階で、ロックピン48による穀粒排出用の伝動系22の退避位置での位置保持を解除し、穀粒排出用の伝動系22を退避位置から進入位置に変位させてロックピン48で位置保持させるようにすれば、穀粒タンク5を、穀粒排出用の伝動系22に干渉させることなく、メンテナンス位置から作業位置に揺動変位させることができるとともに、穀粒排出用の伝動系22と穀粒排出装置6の入力部21とを非伝動状態から伝動状態に切り換えることができる。
【0043】
要するに、穀粒排出用の伝動系22を進入位置と退避位置とにわたって揺動変位可能に構成したことで、穀粒排出用の伝動系22による穀粒タンク5の大きさ制限を緩和することができ、これによって、走行機体1におけるエンジン後方の限られた配置スペースに、容量の増大が大幅に図られた穀粒タンク5を、その作業位置とメンテナンス位置とにわたる揺動変位操作の際に穀粒排出用の伝動系22と干渉する虞を回避できる好適な状態で配備することができる。
【0044】
しかも、穀粒排出用の伝動系22が走行機体1の右側端部に位置するようになることから、穀粒排出用の伝動系22の進入位置と退避位置とにわたる揺動操作や、穀粒排出用の伝動系22を進入位置や退避位置に位置保持又は保持解除する際のロックピン48の操作を、走行機体1の右外側部から容易に行うことができる。
【0045】
図6に示すように、穀粒タンク5は、その左側底部を下方に向けて張り出させたことで、左側底部の底壁49が、右側底部の底壁50や前端部における左側の底壁51に比較して傾斜角度が小さくなっている。そのため、左側底部の底壁49による案内作用だけでは、穀粒タンク5の左側に貯留された単粒化穀粒が第1コンベヤ34に向けて流下し難くなることから、穀粒排出装置6による穀粒の排出時に、貯留穀粒の一部が穀粒タンク5の左側底部に滞留したまま排出されない不都合が生じることになる。
【0046】
そこで、穀粒タンク5の左側底部には、穀粒排出装置6の駆動力で、第1コンベヤ側の端部を支点にして上下揺動する可動底板52が配備されており、これによって、穀粒排出装置6による穀粒の排出時には、穀粒タンク5の左側に貯留された単粒化穀粒が第1コンベヤ34に向けて速やかに流下するようになり、よって、穀粒排出装置6による穀粒の排出時に貯留穀粒の一部が穀粒タンク5の左側底部に滞留したまま排出されなくなることを確実に阻止することができる。
【0047】
穀粒タンク5の内部には、その左側の側壁53と可動底板52の遊端部とにわたって架設されることで、可動底板52の上下揺動によって可動底板52と穀粒タンク5との間に形成される隙間Sへの穀粒の入り込みを阻止する蛇腹状のシート54が装備されている。
【0048】
図4〜6に示すように、穀粒排出装置6の駆動力は、可動底板駆動用の伝動系55を介して可動底板52に伝達されている。可動底板駆動用の伝動系55は、第1コンベヤ34の前端部にスプライン嵌合した爪クラッチ56によって、第1コンベヤ34の回転力を、第1コンベヤ34の前端部に遊嵌装備した偏心カム57に断続可能に伝達し、その偏心カム57によって、第1コンベヤ34の回転力を、偏心カム57に外嵌する揺動アーム58のその下端部に設定した前後向き軸心P4周りの揺動力に変換し、その揺動力を、揺動アーム58の遊端から可動底板52の遊端にわたる連係ロッド59を介して可動底板52に伝達することで、可動底板52を、その第1コンベヤ側の端部を支点にして上下揺動させるように構成されている。
【0049】
爪クラッチ55は、走行機体1の右側端部に位置するようになるケーシング43に縦軸心P5周りに揺動可能に装備したクラッチレバー60によって断続操作されるように構成されており、これによって、穀粒排出時における可動底板52に対する動力の断続を走行機体1の右外側部から容易に行うことができる。
【0050】
〔別実施形態〕
【0051】
〔1〕コンバインとしては、刈取穀稈の全稈を脱穀装置4の扱室に投入するように構成された普通形コンバインであってもよい。
【0052】
〔2〕図7及び図8に示すように、揺動アーム47を第1揺動位置から第2揺動位置に向けて揺動付勢することで穀粒排出用の伝動系22を進入位置から退避位置に向けて変位付勢するつる巻きバネ61を設けるとともに、穀粒タンク5の作業位置からメンテナンス位置への揺動変位操作時において、穀粒排出用の伝動系22と穀粒排出装置6の入力部21とが伝動状態から非伝動状態に切り換えられるまでの間は、穀粒排出用の伝動系22の進入位置から退避位置への揺動変位を阻止し、かつ、穀粒排出用の伝動系22と穀粒排出装置6の入力部21とが伝動状態から非伝動状態に切り換えられるのに伴ってつる巻きバネ61による穀粒排出用の伝動系22の進入位置から退避位置への揺動変位を許容する連動機構62を装備して、穀粒タンク5の作業位置からメンテナンス位置への揺動変位に連動して、穀粒排出用の伝動系22と穀粒排出装置6の入力部21とが伝動状態から非伝動状態に切り換わるとともに、穀粒排出用の伝動系22が進入位置から退避位置に変位するように構成してもよい。
【0053】
ここでは、連動機構62として、入力部21のケーシング43から揺動アーム47に向けて延設した第1連動部材63と、揺動アーム47から入力部21のケーシング43に向けて延設した第2連動部材64とから構成したものを例示するが、この構成以外の連動機構62を採用するようにしてもよい。
【0054】
〔3〕図9〜11に示すように、揺動アーム47を第1揺動位置から第2揺動位置に向けて揺動付勢することで穀粒排出用の伝動系22を進入位置から退避位置に向けて変位付勢するつる巻きバネ61を設けるとともに、穀粒タンク5の作業位置からメンテナンス位置への揺動変位操作時においては、穀粒排出用の伝動系22と穀粒排出装置6の入力部21とが伝動状態から非伝動状態に切り換えられるまでの間、穀粒排出用の伝動系22の進入位置から退避位置への揺動変位を阻止し、かつ、穀粒排出用の伝動系22と穀粒排出装置6の入力部21とが伝動状態から非伝動状態に切り換えられるのに伴って、つる巻きバネ61による穀粒排出用の伝動系22の進入位置から退避位置への揺動変位を許容し、又、穀粒タンク5のメンテナンス位置から作業位置への揺動変位操作時においては、穀粒排出用の伝動系22と穀粒排出装置6の入力部21とが非伝動状態から伝動状態に切り換えられるまでの間に、つる巻きバネ61に抗して穀粒排出用の伝動系22を退避位置から進入位置に揺動変位させる連動機構65を装備して、穀粒タンク5の作業位置からメンテナンス位置への揺動変位操作に連動して、穀粒排出用の伝動系22と穀粒排出装置6の入力部21とが伝動状態から非伝動状態に切り換わるとともに、穀粒排出用の伝動系22が進入位置から退避位置に変位し、又、穀粒タンク5のメンテナンス位置から作業位置への揺動変位操作に連動して、穀粒排出用の伝動系22が退避位置から進入位置に変位するとともに、穀粒排出用の伝動系22と穀粒排出装置6の入力部21とが非伝動状態から伝動状態に切り換わるように構成してもよい。
【0055】
ここでは、連動機構65として、入力部21のケーシング43から揺動アーム47に向けて延設した支持部材66、支持部材66に相対摺動可能に支持される摺動部材67、及び、つる巻きバネ61よりも強いバネ力で摺動部材67を揺動アーム47に向けて突出付勢するコイルバネ68、によって構成したものを例示するが、この構成以外の連動機構65を採用するようにしてもよい。
【0056】
尚、図9〜11に示す符号47Aは、揺動アーム47に形成した連動機構65に対する係合部である。又、図11に示す符号69は、揺動アーム47との接当で穀粒排出用の伝動系22を退避位置に保持するストッパである。
【0057】
〔4〕図12に示すように、穀粒排出用の伝動系22を、エンジン8と穀粒タンク5との間を通るようにエンジン8の出力軸9から穀粒排出装置6の入力部21に延設した上で、穀粒タンク5の揺動領域Aに入り込む進入位置と、穀粒タンク5の揺動領域Aから外れる退避位置とにわたる縦軸心P6周りでの揺動変位が可能となるように構成してもよい。
【0058】
〔5〕図13に示すように、穀粒排出用の伝動系22を、エンジン8と穀粒タンク5との間を通るようにエンジン8の出力軸9から穀粒排出装置6の入力部21に延設した上で、穀粒排出用の伝動系22の伝動軸24が、穀粒タンク5の揺動領域Aに入り込む進入位置と、穀粒タンク5の揺動領域Aから外れる退避位置とにわたって縦軸心P7周りに揺動変位するように構成してもよい。
【0059】
〔6〕穀粒排出用の伝動系22を、進入位置と退避位置とにわたる摺動変位が可能となるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】自脱形コンバインの全体側面図
【図2】自脱形コンバインの全体平面図
【図3】伝動構成を示す概略図
【図4】穀粒排出用の伝動系と入力部との伝動状態を示す要部の縦断平面図
【図5】穀粒排出用の伝動系と入力部との非伝動状態を示す要部の縦断平面図
【図6】穀粒排出用の伝動系の構成を示す要部の縦断正面図
【図7】別実施形態〔2〕での穀粒タンクと穀粒排出用の伝動系との連動構造を示す要部の縦断平面図
【図8】別実施形態〔2〕での穀粒タンクと穀粒排出用の伝動系との連動構造を示す要部の正面図
【図9】別実施形態〔3〕での穀粒タンクと穀粒排出用の伝動系との連動構造を示す要部の縦断平面図
【図10】別実施形態〔3〕での穀粒排出用の伝動系と入力部との非伝動状態を示す要部の縦断平面図
【図11】別実施形態〔3〕での穀粒タンクと穀粒排出用の伝動系との連動構造を示す要部の正面図
【図12】別実施形態〔4〕での穀粒排出用の伝動系の構成を示す要部の平面図
【図13】別実施形態〔5〕での穀粒排出用の伝動系の構成を示す要部の平面図
【符号の説明】
【0061】
5 穀粒タンク
6 穀粒排出装置
8 エンジン
9 出力軸
21 入力部
22 穀粒排出用の伝動系
A 揺動領域
P1 縦軸心
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成19年2月21日(2007.2.21)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎


【公開番号】 特開2008−199974(P2008−199974A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2007−40621(P2007−40621)