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【発明の名称】 脱穀装置
【発明者】 【氏名】仲谷 正美

【氏名】南野 順一

【氏名】永田 哲治

【氏名】松下 肇

【氏名】小谷 真司

【氏名】平田 晋

【氏名】高木 雅志

【氏名】堀内 真幸

【氏名】丸山 純一

【氏名】一二三 慶城

【要約】 【課題】藁屑の排出が無理なく行えて、3番ロスを効果的に防止することのできる排塵調整板を備えた脱穀装置に関する。

【構成】シーブケース16の搬送下手側の壁部16aに、穀粒の機外への損失を防止する排塵調節板24を備えた脱穀装置1において、この排塵調節板24を、シーブケース16の搬送下手側端の壁部16aに沿った固定部24aと、固定部24aの上端から斜め搬送下手側上方に延出した傾斜部24bとを備えて構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受網より漏下した処理物を受けるシーブケースの搬送下手側の壁部に、穀粒の機外への損失を防止する排塵調節板を備え、
前記排塵調節板を、前記シーブケースの搬送下手側端の壁部に沿った固定部と、前記固定部の上端から斜め搬送下手側上方に延出した傾斜部とを備えて構成してある脱穀装置。
【請求項2】
前記排塵調節板の傾斜部に、全面に亘って上向きに開口した複数のスリットを設けてある請求項1記載の脱穀装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、シーブケースの搬送下手側の壁部に排塵調節板を備えた脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の脱穀装置においては、例えば、特許文献1に開示されているように、断面形状をコ字状に成形した排塵調節板を、シーブケースの搬送下手側の壁部に設けて、穀粒が機外へ排出されることを防止するものが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−9640号公報(図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているような形状の排塵調節板を設けると、穀粒が機外へ排出される、いわゆる3番ロスを防止することができる。この3番ロスを効果的に防止するためには、排塵調節板をシーブケースに対して上方に多く突出させて処理物が排塵調節板に当たる面積を大きく確保し、搬送上手側から供給された穀粒を含む藁屑の多くを排塵調節板に当てることによって、多くの穀粒をシーブケース内に導くように構成すればよい。
しかし、排塵調節板をシーブケースの上方に多く突出させると、3番ロスを効果的に防止することができる反面、排塵口を遮ることになるため、排塵口に向って排出される藁屑に対しては、この排塵調節板が抵抗になって、藁屑の排出が悪くなるといった問題がある。
本発明は、藁屑の排出が無理なく行えて、かつ、3番ロスを効果的に防止することのできる排塵調節板を備えた脱穀装置を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、受網より漏下した処理物を受けるシーブケースの搬送下手側の壁部に、穀粒の機外への損失を防止する排塵調節板を備えた脱穀装置において次のように構成することにある。
前記排塵調節板を、前記シーブケースの搬送下手側端の壁部に沿った固定部と、前記固定部の上端から斜め搬送下手側上方に延出した傾斜部とを備えて構成する。
【0006】
(作用)
本発明の第1特徴によると、排塵調節板を、固定部の上端から斜め搬送下手側上方に延出した傾斜部を備えて構成することにより、排塵調節板をシーブケースの上方に多く突出させても、この傾斜部で藁屑を搬送下手側に案内することで、排塵調節板が、藁屑が通過する際の抵抗になり難い。そのため、排塵調節板をシーブケースの上方に多く突出させることができて、穀粒を含む藁屑が排塵調節板に当たる面積を大きく確保することできる。
【0007】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、穀粒を含む藁屑が排塵調節板に当たる面積を大きく確保することできるため、搬送上手側から供給された穀粒を含む藁屑の多くを排塵調節板に当てることができて、多くの穀粒をシーブケース内に導くことができる。そのため、藁屑の排出を無理なく行えて、かつ、3番ロスを効果的に防止することができる。
【0008】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の脱穀装置において次のように構成することにある。
前記排塵調節板の傾斜部に、全面に亘って上向きに開口した複数のスリットを設ける。
【0009】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
【0010】
扱胴や処理胴を通過して排塵口付近に達した藁屑の大きさは、回収装置に回収されずに排塵口付近に達した穀粒の大きさに比べて小さい。
【0011】
本発明の第2特徴によれば、排塵調節板の傾斜部に、全面に亘って上向きに開口した複数のスリットを設けることにより、排塵口付近に達した穀粒はスリットの間を通過することが難しくなり、傾斜部に当たってシーブケース内に導かれる。一方、藁屑は排塵調節板の傾斜部に設けたスリットの間を通過して、排塵口から機外へ排出される。すなわち、排塵調節板の傾斜部に設けた複数のスリットによって、藁屑と穀粒を選別することができる。
【0012】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、排塵調節板の傾斜部に設けた複数のスリットによって、藁屑と穀粒を選別することができるため、3番ロスを更に効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に、コンバインに搭載された脱穀装置1を示している。なお、この発明を実施するための最良の形態においては、脱穀装置1をコンバインに搭載した例を示すため、図1及び図2における左方が処理物の搬送上手側に相当し、図1及び図2における右方が処理物の搬送下手側に相当する。以下の説明においては、処理物の搬送上手側を前方と、処理物の搬送下手側を後方と表示する。
【0014】
この脱穀装置1は、その上部側に扱室A、中間部側に揺動選別装置B、下部側に回収装置Cを配設している。脱穀装置1には、刈取処理された穀稈をフィードチェーン2で挟持搬送しながら扱処理する扱胴3を扱室Aに軸架するとともに、扱処理された処理物を漏下させる受網5を扱胴3の下方側に配設している。
【0015】
揺動選別装置Bには、受網5から漏下した処理物を受け止めるグレンパン6、このグレンパン6の後方に順に位置させたチャフシーブ7及びストローラック8、チャフシーブ7の下方に位置するグレンシーブ9を、前後揺動駆動されるシーブケース16に架設するとともに、グレンパン6の下方側に風量調整可能な唐箕10を設けている。
【0016】
回収装置Cには、グレンシーブ9の下方にグレンシーブ9からの漏化物(一番物)を回収して横一側に横送りする一番物搬送スクリュ11を配設するとともに、グレンシーブ9やチャフシーブ7等からの漏化物(二番物)を回収して横一側に横送りする二番物搬送スクリュ12を配設している。一番物搬送スクリュ11と二番物搬送スクリュ12の間には、二番物搬送スクリュ12の上方に向って選別風を供給する回転ファン13が配設されている。
【0017】
図1に示すように、扱胴3の後方下方に処理胴17を備え、扱胴3の後端部から排出される処理物をこの処理胴17によって解し処理し、塵埃から穀粒を取り出すように構成されている。処理胴17の後方には排塵ファン4が配設され、この排塵ファン4の上側を覆って上側ファンガイド14が取り付けられている。排塵ファン4の下側を覆って取り付けられた下側ファンガイド15の下方に後述する遮蔽部材20が左右方向の軸心P周りに回動自在に取り付けられており、排塵口23付近に位置するシーブケース16の後端には、後述する排塵調節板24が配設されている。
【0018】
図2及び図3に示すように、下側ファンガイド15の下方で脱穀装置1の側壁18に、回転軸19が軸心P周りに回動自在に取り付けられており、この回転軸19に遮蔽部材20が取り付けられている。遮蔽部材20は、本体部20aとボス部20bが一体成形されており、このボス部20bに回転軸19を内嵌させることによって、回転軸19と一体回動するように構成されている。遮蔽部材20の先端には、コ字状に成形され先端が後方に向って折り曲げられた複数のピアノ線21が固定されており、一部の選別風を各ピアノ線21の間の隙間から後方へ逃がすように構成されている。
【0019】
遮蔽部材20は、樹脂製の材料によって成形されており、その重量は180g以下に設定されている。このように、遮蔽部材20を軽量な樹脂によって成形することによって、唐箕10から後方の排塵口23に向って送られてきた選別風の風量に応じて遮蔽部材20が揺動するように構成されている。
【0020】
具体的に説明すると、唐箕10の風量を最大にした状態では、遮蔽部材20の先端に取り付けたピアノ線21の先端部が下側ファンガイド15の下面に当接する位置まで揺動して、排塵口23が開放されるようになっており、この状態から唐箕10の風量を徐々に弱くしていくと、遮蔽部材20が徐々に下方へ揺動して、排塵口23が徐々に遮蔽されるようになっている。唐箕10の風量がゼロに近くなると、遮蔽部材20が略垂直に垂れ下がった状態になり、排塵口23が最も遮蔽した状態になる。
【0021】
図2に示すように、唐箕10の風量に応じて遮蔽部材20が揺動して、排塵口23を遮蔽することによって、前方から回収装置Cで回収できなかった穀粒を含んだ藁屑が供給されると、まず、遮蔽部材20にこの穀粒と藁屑が当たって、比重の重い穀粒はシーブケース16内に落下する。比重が軽い藁屑は、遮蔽部材20に当たっても、唐箕10から供給される選別風に乗って遮蔽部材20とシーブケース16の間を通って後方に導かれる。このように、遮蔽部材20によって、穀粒をシーブケース16内に導くことによって、排塵口23から排出される穀粒の量を減少させることができる。
【0022】
また、脱穀装置1内に供給される穀稈の量が急激に増加して、遮蔽部材20が垂れ下がった状態で大量の藁屑が遮蔽部材20付近に達しても、遮蔽部材20が藁屑の移動とともに後方に揺動することで、速やかに排塵口23に向って藁屑を導く。そのため、遮蔽部材20付近で、藁屑が詰まることを防止できるとともに、遮蔽部材20の破損を防止することができる。
【0023】
図2及び図4に示すように、シーブケース16後端の壁部16aの後面側には、排塵調節板24が上下位置調節可能に取り付けられている。排塵調節板24は、シーブケース16に沿う上下方向の固定部24aと、この固定部24aの上端から斜め後方上方に折り曲げた傾斜部24bを備えた断面形状に成形されており、上端部と下端部を更に折り曲げることによって、長手方向の強度を確保できるように構成されている。このように、斜め後方上方に折り曲げた傾斜部24bを設けることによって、排塵調節板24をシーブケース16の上面から多く突出させても、この排塵調節板24が、藁屑が通過する際の抵抗になり難いようになっている。そのため、排塵調節板24をシーブケース16の上方に多く突出させることができ、穀粒を含んだ藁屑が排塵調節板24に当たる面積を大きく確保することができる。
【0024】
排塵調節板24の傾斜部24bには、上向きに開口した複数のスリット24cが、傾斜部24bの全面に亘って設けられている。このスリット24cのスリット幅は、穀粒は通過し難いが藁屑は通過し易いような寸法に設定されている。このスリット幅を変更すれば、藁屑の量や脱穀処理する作物の品種が異なる場合であっても、穀粒が機体に排出されることを防止できる。
【0025】
シーブケース16の壁部16aの内面側には、シーブケース16の壁部16aに設けた貫通穴(図示せず)を介してボルト26が固着されており、このボルト26に、排塵調節板24を蝶ナット25で締め付け固定することによって、着脱交換可能に構成されている。排塵調節板24の固定部24aの中央部及び左右両側部には、複数の取付穴24dが上下に加工されており、後方から蝶ナット25を外して排塵調節板24を上下に移動させることで、シーブケース16に対する上下方向の位置を調節できるようになっている。このように、排塵調節板24を上下に位置調節及び着脱交換可能に構成することによって、藁屑の量や脱穀処理する作物の品種が異なる場合であっても、この排塵調節板24を調節又は交換することで、穀粒が機外に排出されることを防止できる。
【0026】
なお、この脱穀装置1では、排塵調節板24に複数の取付穴24dを加工し上下位置調節可能に構成した例を示したが、上下方向の長穴(図示せず)を加工すれば、微調整することが可能になる。複数の取付穴24dを加工したのは、シーブケース16の揺動による振動等によって、排塵調節板24が上下にズレることを防止するためである。
【0027】
このように排塵調節板24を構成することによって、穀粒を含んだ藁屑がこの排塵調節板24の前方から供給されると、穀粒は上述したスリット24cによって通過を妨げられて、シーブケース16内に落下する。そのため、排塵口23から排出される穀粒の量を減少させることができる。一方、藁屑は、スリット24cを通過して後方に排出される。
【0028】
上述したように、遮蔽部材20と排塵調節板24は、それぞれ回収装置Cで回収されずに排塵口23付近に達した穀粒をシーブケース16内に導いて、穀粒が機外に排出されることを防止することができる効果を有するが、遮蔽部材20と排塵調節板24を併用することで、その効果が更に期待できる。
【0029】
具体的に説明すると、図2に示すように、前方から穀粒を含んだ藁屑が供給されると、まず、遮蔽部材20にこの穀粒と藁屑が当たって、比重の重い穀粒はシーブケース16内に落下する。比重が軽い藁屑は、遮蔽部材20に当たっても、唐箕10から供給される選別風に乗って遮蔽部材20とシーブケース16の間を通って後方に導かれる。遮蔽部材20でシーブケース16内に導くことのできなかった穀粒は、その自重により斜め後方下方に落下しながら、排塵調節板24の傾斜部24bに当たって、シーブケース16に導かれ、藁屑は排塵調節板24のスリット24cの間を通って機外へ排出される。このように、遮蔽部材20では回収することのできなかった穀粒が、排塵調節板24の傾斜部24bに当たって、確実に回収することができるように、遮蔽部材20及び排塵調節板24の前後及び上下方向の位置や、遮蔽部材20及び排塵調節板24の寸法が設定されている。
【0030】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]において示した排塵調節板24の固定部24aと傾斜部24bの角度や、スリット24cの幅や長さは、同様の効果を奏するものであれば、異なるものであってもよい。
【0031】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、コンバインに搭載した脱穀装置1に排塵調節板24を備えた例を示したが、コンバインに搭載する脱穀装置1に限らず、例えば、刈取部(図示せず)を備えていないハーベスタ(図示せず)に搭載する脱穀装置1においても同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】脱穀装置の縦断側面図
【図2】脱穀装置後端部の縦断側面図
【図3】遮蔽部材の構造を示す縦断背面図
【図4】排塵調節板の構造を示す縦断背面図
【符号の説明】
【0033】
1 脱穀装置
5 受網
16 シーブケース
16a 壁部
24 排塵調節板
24a 固定部
24b 傾斜部
24c スリット
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成18年7月10日(2006.7.10)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎


【公開番号】 特開2008−17707(P2008−17707A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−189568(P2006−189568)