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【発明の名称】 コンバインのアンローダ
【発明者】 【氏名】加藤 勝秀

【氏名】福井 祐己

【氏名】宮崎 誠

【要約】 【課題】旋回範囲を360度以上確保することのできるコンバインのアンローダを、構造を簡素化することによって低コストで実現する。

【構成】横オーガを旋回可能に構成してあるコンバインのアンローダにおいて、アンローダの旋回部位8又は固定部位14の一方に突起部10aを備えるとともに、アンローダの旋回部位8又は固定部位14の他方に突起部10aが周方向における正逆方向から接当することによって横オーガの旋回範囲を規制する規制部20を備え、この規制部20を、突起部10aが周方向における正逆方向から接当すると所定の小範囲で正逆変位するように構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒タンクの底部から搬出される穀粒を揚送する縦オーガと、この縦オーガの上端部に起伏揺動可能に連結された横オーガとを備え、この横オーガを縦オーガの縦向き軸心を中心として旋回可能に構成してあるコンバインのアンローダにおいて、
アンローダの旋回部位又は固定部位の一方に、突起部を備えるとともに、
アンローダの旋回部位又は固定部位の他方に、前記突起部が周方向における正逆方向から接当することによって前記横オーガの旋回範囲を規制する規制部を備え、
前記規制部を、前記突起部が周方向における正逆方向から接当すると所定の小範囲で正逆変位するように構成してあるコンバインのアンローダ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、横オーガを縦オーガの縦向き軸心を中心として旋回可能に構成してあるコンバインのアンローダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術としては、例えば、特許文献1に開示されているように、接当部と固定ストッパと可動ストッパとを備えて、アンローダの旋回範囲を360度以上確保することができるように構成したものが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−342053号公報(図4及び図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているコンバインのアンローダにおいては、アンローダの旋回範囲を360度以上確保することができて、横オーガの旋回に死角が生じることを防止することができる。
しかし、特許文献1に開示されているコンバインのアンローダにおいては、旋回部位に相当する縦オーガに接当部(特許文献1の図4,5の27)を備えたフランジ部(特許文献1の図4,5の22)を固定し、固定部位に相当する接続ケースに固定ストッパ(特許文献1の図4,5の24)を固定して、縦オーガに備えたフランジ部と接続ケースの間に挟み込む形で第1接当部(特許文献1の図4,5の28a)と第2接当部(特許文献1の図4,5の28b)を備えた可動ストッパ(特許文献1の図4,5の25)を設ける構造を採用することによって、アンローダの旋回範囲を360度以上確保することができるように構成されていた。そのため、部品点数が多く、製造コストがアップする要因となっていた。また、可動ストッパを縦オーガに備えたフランジ部と接続ケースの間に挟み込む構造であったため、可動ストッパ等の組付や調整が困難で製造コストがアップする要因となっていた。
本発明は、アンローダの旋回範囲を360度以上確保することのできるコンバインのアンローダを、構造を簡素化することによって低コストで実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、穀粒タンクの底部から搬出される穀粒を揚送する縦オーガと、この縦オーガの上端部に起伏揺動可能に連結された横オーガとを備え、この横オーガを縦オーガの縦向き軸心を中心として旋回可能に構成してあるコンバインのアンローダにおいて次のように構成することにある。
アンローダの旋回部位又は固定部位の一方に突起部を備えるとともに、アンローダの旋回部位又は固定部位の他方に前記突起部が周方向における正逆方向から接当することによって前記横オーガの旋回範囲を規制する規制部を備え、前記規制部を前記突起部が周方向における正逆方向から接当すると所定の小範囲で正逆変位するように構成する。
【0006】
(作用)
本発明の第1特徴によると、規制部を、突起部が周方向における正逆方向から接当すると所定の小範囲で正逆変位するように構成することによって、突起部が周方向における正方向から規制部に接当すると、規制部が所定の小範囲で周方向における正方向に変位し、突起部が周方向における逆方向から規制部に接当すると、規制部が所定の小範囲で周方向における逆方向に変位する。そのため、規制部が所定の小範囲で周方向における正方向及び逆方向に変位した範囲でアンローダの旋回部位を固定部位に対して多く旋回させることができる。例えば、規制部が固定されている場合のアンローダの旋回範囲(旋回角度)に、規制部の変位によって旋回が可能となった所定の小範囲(旋回角度)を加えた角度が360度以上になるように突起部や規制部を構成すれば、アンローダを360度以上旋回させることが可能になる。
【0007】
アンローダの旋回部位又は固定部位の一方に備えた突起部と、アンローダの旋回部位又は固定部位の他方に備えた規制部によって、横オーガの旋回範囲を規制するように構成することによって、横オーガの旋回範囲の規制を行うアンローダの構造を簡素化することができる。
【0008】
具体的には、例えば、特許文献1に記載のアンローダの構造と比較すると、旋回部位に相当する縦オーガのフランジ部に設けた接当部が請求項1に係る発明の突起部又は規制部に相当し、固定部位に相当する接続ケースに設けた固定ストッパが請求項1に係る発明の規制部又は突起部に相当する。そのため、特許文献1に記載のアンローダの構造に必要な第1接当部と第2接当部を設けた可動ストッパが不要となる。そのため、アンローダの部品点数が少なくなって、構造を簡素化することができる。
【0009】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、アンローダを360度以上旋回させることが可能になるため、横オーガの旋回に死角が生じることを防止することができ、横オーガの向き設定に手間取るようなことが少なくなり、穀粒搬出作業を効率よく行うことができる。
【0010】
横オーガの旋回範囲の規制を行う装置の構造を簡素化することができるため、部品点数を削減することができるとともに、組立や調整が容易になるため、製造コストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1及び図2に示すように、クローラ走行装置1の上部に設けた機体2の前部に刈取部3が設けられ、機体2には、操縦部4、刈取穀稈を脱穀及び選別する脱穀部5、脱穀部5から供給される穀粒を貯留する穀粒タンク6、この穀粒タンク6から機外に穀粒を排出するアンローダ7等を備えてコンバインが構成されている。なお、以下の説明において、アンローダ7が刈取作業位置にある場合をホーム位置Aと、このホーム位置A以外の位置にアンローダ7が旋回している場合を非ホーム位置Bと定義する(図2参照)。
【0012】
アンローダ7は、穀粒タンク6下部のスクリュコンベア11から上方に穀粒を導く縦オーガ8と、この縦オーガ8の上部から穀粒をトラックの荷台等(図示せず)に排出する横オーガ9等によって構成されており、縦オーガ8と横オーガ9に亘って設けた油圧シリンダ12を操作することでアンローダ7を起立させた上で、縦オーガ8下方のロアケース14に設けた旋回モータ13を回転させることによってアンローダ7を旋回することができるように構成されている。このコンバインでは、ロアケース14に旋回モータ13を設けて縦オーガ8自体が旋回する構成を採用しているため、旋回する縦オーガ8より上方に位置する部位が旋回部位に相当し、旋回しないロアケース14より下方に位置する部位が固定部位に相当する。
【0013】
図3に本発明に係るアンローダ7の旋回部(縦オーガ8下部)の詳細図を示す。図3に示すように、縦オーガ8の外装ケース8aの下端部がロアケース14の上側筒部14aに内嵌されており、ロアケース14の上側筒部14aの上面に対して外装ケース8aに固着したリングギア10の下面が縦軸心周りにスライドすることによって縦オーガ8が旋回するように構成されている。
【0014】
縦オーガ8の外装ケース8aに固着したリングギア10にはピン10aが固定されており、ロアケース14の上側筒部14aには支軸15aが固定されたブラケット15が固定されている。支軸15aにカム16が上下方向の軸心周りで回動可能に取り付けられており、このカム16と前記ブラケット15に亘ってねじりバネ17が取り付けられている。このように、このコンバインでは、リングギア10に固定したピン10aが突起部として機能するように構成されており、支軸15aを備えたブラケット15、カム16及びねじりバネ17が規制部20として機能するように構成されている。
【0015】
例えば、特許文献1に開示されているアンローダのような、縦オーガに備えたフランジ部と接続ケースの間に可動ストッパを挟み込む構造だと、縦オーガの旋回による無理な外力が可動ストッパ等に働き易い。しかし、このコンバインのアンローダ7においては、縦オーガ8の外周部に突起部として機能するピン10aを設け、ロアケース14の外周部に規制部20を設ける構造を採用しているため、ピン10aや規制部20に、縦オーガ8の旋回による無理な外力が働き難い。そのため、ピン10aや規制部20の故障や破損を防止することができる。
【0016】
ロアケース14の上側筒部14aにはモータブラケット18固定されており、このモータブラケット18に旋回モータ13が固定され、旋回モータ13の出力軸13aの先端に出力ギア19が固定されている。この出力ギア19を前記リングギア10と噛合させることによって、旋回モータ13の回転を縦オーガ8に伝達して縦オーガ8が旋回するように構成されている。
【0017】
図4はアンローダ7を旋回させた時のピン10aとカム16の状態を示した横断平面図である。図4(イ)はアンローダ7がホーム位置Aにある場合のピン10aとカム16の状態を示した図であり、カム16はねじりバネ17によって中立付勢されている。この状態からアンローダ7を平面視で反時計回りに左旋回していくと、図4(ロ)に示すように、リングギア10に固定したピン10aがカム16に平面視で右方向から接当し、ねじりバネ17の付勢力に抗してカム16を回動させる。カム16が所定の小範囲で変位して、アンローダ7がホーム位置Aからα(124.5度)旋回した位置でカム16のストッパ部16aがブラケット15と接当することで、アンローダ7の左旋回範囲が規制されている。
【0018】
一方、アンローダ7をホーム位置Aから平面視で時計回りに右旋回していくと、図4(ハ)に示すように、リングギア10に固定したピン10aがカム16に平面視で左方向から接当し、ねじりバネ17の付勢力に抗してカム16を回動させる。カム16が所定の小範囲で変位して、アンローダ7がホーム位置Aからβ(240.5度)旋回した位置でカム16のストッパ部16aがブラケット15と接当することで、アンローダ7の右旋回範囲が規制されている。このように、支軸15aの軸心周りで回動するカム16にピン10aを接当させることによって、アンローダ7を365度(α+β=124.5度+240.5度)旋回可能に構成されている。
【0019】
図5にアンローダ7の縦オーガ8と横オーガ9の連結部21(縦オーガ8上部)の詳細図を示す。図5に示すように、縦オーガ8と横オーガ9の連結部21は第1ケース22と第2ケース23等によって構成されている。第1ケース22のフランジ部22aが縦オーガ8の外装ケース8aの上端部に設けたフランジ部8bと連結されており、第2ケース23のフランジ部23aが横オーガ9の外装ケース9aに設けたフランジ部9bと連結されている。
【0020】
図5及び図6に示すように、第1ケース22の第1連結部22bの内側には周方向に突起部22cが設けられており、第2ケース23の第2連結部23bの外側には周方向に切欠部23cが設けられている。この第2ケース23の切欠部23cの周方向の長さは第1ケース22の突起部22cの周方向の長さよりやや長めに設定されており、この第2ケース23の切欠部23cと第1ケース22の突起部22cの位置を合わせると、第1ケース22の第1連結部22bに第2ケース23の第2連結部23bを内嵌することができる。この内嵌した状態で、第1ケース22のフランジ部22dと第2ケース23のフランジ部23dとを当接させて回転すると、第1ケース22の突起部22cが第2ケース23の凹部23eに係合して第1ケース22と第2ケース23が連結されるように構成されている。
【0021】
図7に示すように、第1ケース22の突起部22cと第2ケース23の切欠部23cの周方向における位置は、縦オーガ8と横オーガ9を組み付ける状態では(図7における組付け位置)、無理なく第1ケース22の突起部22cと第2ケース23の切欠部23cの位置合せができるように設定されており、また、第1ケース22と第2ケース23を組み付けた状態で、横オーガ9が油圧シリンダ12の伸縮によって起立して第1ケース22に対して第2ケース23が回転しても(図7における使用位置)第1ケース22の突起部22cと第2ケース23の凹部23eの係合が外れない位置に設定されている。
【0022】
従来の第1ケース22と第2ケース23の連結部21は、第1ケース22と第2ケース23を嵌合させた状態で、その外周部から別途抜止め用のストッパ(図示せず)を取り付ける構造を採用していた。そのため、このストッパが比較的高額で製造コストアップの要因になるといった問題や、別途ストッパを設けると部品点数が多くなり組立調整工数がかかるといった問題があった。そのため、このコンバインのアンローダ7のように第1ケース22と第2ケース23に突起部22cと切欠き部23cを設けて、第1ケース22と第2ケース23を嵌め込み連結する構造を採用することにより、連結部21の構造を簡素に実現することができる。そのため、従来のような抜け止め用のストッパを採用する必要がなく、部品点数を削減することができるとともに、組立調整作業が容易になるため、製造コスト削減を図ることができる。また、連結部21を通って、縦オーガ8から横オーガ9に向って油圧シリンダ12の配管(図示せず)や電気配線(図示せず)を行う場合においても、障害物となるものがなくなるため(従来の抜け止めストッパ)、これらの配管及び配線作業が容易になるとともに、配管や配線が連結部21に巻き付くことによる配管や配線の破損を防止することができる。
【0023】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、カム16を備えた規制部20に、突起部の一例であるピン10aが周方向から接当することによって、カム16が支軸15aの軸心周りで回動変位するように規制部20を構成する例を示したが、規制部20を周方向に変位させる方式としては、他の方式でもよく、例えば、ピン10aが周方向から接当すると規制部20が周方向にスライド変位するように構成してもよい。
【0024】
また、カム16やピン10a等は、規制部20や突起部の一例として示したものであり、同様の機能を果たすものであれば、形状や寸法等は特に問わない。
【0025】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、ロアケース14に旋回モータ13を設けて縦オーガ8自体が旋回するように構成した例を示したが、縦オーガ8の上部に旋回モータ13を設けて縦オーガ8自体は旋回せずに横オーガ9のみが旋回するように構成してもよい。この場合には、旋回する横オーガ9又は連結部21(横オーガ9と縦オーガ8の連結部)より上方に位置する部位が旋回部位に相当し、旋回しない縦オーガ8より下方に位置する部位が固定部位に相当する。
【0026】
また、固定部位にカム16を備えた規制部20を設け、旋回部位に突起部の一例であるピン10aを設けた例を示したが、固定部位に突起部を設け、旋回部位に規制部20を設ける構造を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】コンバインの全体右側面図
【図2】コンバインの全体平面図
【図3】アンローダ旋回部(縦オーガ下部)の縦断側面図
【図4】アンローダを旋回させた時のピンとカムの状態を示した横断平面図
【図5】縦オーガと横オーガの連結部(縦オーガ上部)の構造を示す断面図
【図6】第1ケースと第2ケースの構造を示す斜視図
【図7】第1ケースと第2ケースの組付け状態を示す側面図
【符号の説明】
【0028】
6 穀粒タンク
7 アンローダ
8 縦オーガ(旋回部位)
9 横オーガ
10a ピン(突起部)
14 ロアケース(固定部位)
20 規制部
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎


【公開番号】 特開2008−11716(P2008−11716A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183452(P2006−183452)