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【発明の名称】 脱穀装置
【発明者】 【氏名】大崎 正美

【氏名】釘宮 啓

【要約】 【課題】扱室内での被処理物の処理能力の向上。

【構成】扱室33内に扱胴31を軸架して設け、該扱室33の一側に排塵処理胴35を軸架した排塵処理室37を設け、前記扱室33及び排塵処理室37の下方には、落下してくる被処理物を受けて揺動選別する揺動選別棚38を設けた脱穀装置において、前記扱胴31の外周部分に植設している複数の扱歯のうち、扱室33と排塵処理室37との連通部の引継部分Bに位置する扱歯56cは、扱胴31の回転方向に対して傾斜角度Fを有して扱胴31に設ける構成とし、該傾斜角度Fは、扱室33内において被処理物が送られる方向に対して戻り方向となるように構成したことを特徴とする脱穀装置の構成とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室(33)内に扱胴(31)を軸架して設け、該扱室(33)の一側に排塵処理胴(35)を軸架した排塵処理室(37)を設け、前記扱室(33)及び排塵処理室(37)の下方には、落下してくる被処理物を受けて揺動選別する揺動選別棚(38)を設けた脱穀装置において、前記扱胴(31)の外周部分に植設している複数の扱歯のうち、扱室(33)と排塵処理室(37)との連通部の引継部分(B)に位置する扱歯(56c)は、扱胴(31)の回転方向に対して傾斜角度(F)を有して扱胴(31)に設ける構成とし、該傾斜角度(F)は、扱室(33)内において被処理物が送られる方向に対して戻り方向となるように構成したことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
前記扱歯(56c)の内側には、ソリッド歯(57)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記引継部分(B)の下方に網(30a)を設け、該網(30a)の目合いは扱胴(31)下方の扱網(30)の目合いよりも大きく構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の脱穀装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインやハーベスタに搭載する脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扱室内に扱胴を軸架して設け、扱胴の外周部分に植設している複数の扱歯は、扱胴の回転方向に対して傾斜角度を有していない状態で扱胴に設けられている構成である。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−253388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述のような技術では、扱室の終端部まで搬送されてきた被処理物は、搬送されてくる搬送速度が減速されない状態で扱室から出て行くことになるので、扱室での処理作用が充分にできないという欠点がある。
【0004】
本発明の課題は、前述のような不具合を解消する脱穀装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は次の構成によって達成される。
すなわち、請求項1記載の発明では、扱室(33)内に扱胴(31)を軸架して設け、該扱室(33)の一側に排塵処理胴(35)を軸架した排塵処理室(37)を設け、前記扱室(33)及び排塵処理室(37)の下方には、落下してくる被処理物を受けて揺動選別する揺動選別棚(38)を設けた脱穀装置において、前記扱胴(31)の外周部分に植設している複数の扱歯のうち、扱室(33)と排塵処理室(37)との連通部の引継部分(B)に位置する扱歯(56c)は、扱胴(31)の回転方向に対して傾斜角度(F)を有して扱胴(31)に設ける構成とし、該傾斜角度(F)は、扱室(33)内において被処理物が送られる方向に対して戻り方向となるように構成したことを特徴とする脱穀装置としたものである。
【0006】
請求項1の作用は、扱室(33)内の扱胴(31)で脱穀された被処理物の一部は、揺動選別棚(38)上に落下する。落下しなかった被処理物は、扱室(33)の終端部まで搬送されるが、扱歯(56c)の傾斜角度(F)によって扱室(33)内での被処理物の搬送速度が減速される。そして、被処理物の搬送速度が減速されることにより、扱室(33)内での処理作用時間が長くなる。その後、被処理物は揺動選別棚(38)上に落下したり引継部分(B)から排塵処理室(37)内へと送られる。
【0007】
請求項2記載の発明では、前記扱歯(56c)の内側には、ソリッド歯(57)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の脱穀装置としたものである。
請求項2の作用は、請求項1の作用に加え、ソリッド歯(57)により、扱室33内の被処理物の搬送速度がさらに減速されるようになる。
【0008】
請求項3記載の発明では、前記引継部分(B)の下方に網(30a)を設け、該網(30a)の目合いは扱胴(31)下方の扱網(30)の目合いよりも大きく構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の脱穀装置としたものである。
【0009】
請求項3の作用は、請求項1又は請求項2の作用に加え、扱室(33)終端部まで搬送されてきている被処理物は、網(30a)から下方の揺動選別棚(38)上に抜け易くなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述のごとく構成したので、請求項1記載の発明においては、扱室(33)の終端部まで搬送された被処理物の搬送速度は減速されるので、扱室(33)内での処理作用時間が長くなる。これにより、被処理物の扱室(33)内での処理作用が向上するようになる。
【0011】
請求項2記載の発明においては、請求項1の効果に加え、さらに、ソリッド歯(57)によって被処理物の搬送速度が減速されるので、被処理物の処理作用が向上するようになる。
【0012】
請求項3記載の発明においては、請求項1又は請求項2の効果に加え、扱室(33)終端部からの被処理物は、網(30a)から下方の揺動選別棚(38)上に抜け易くなるので、大量に搬送されてきたときや、特に、湿材のときにおいて、詰り等が発生するのを防止できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1及び図2には、本発明を具現化した農業機械であるコンバインが示されている。
走行装置1を有する車台2の前方には、刈取装置3が設けられている。この刈取装置3には、植立穀稈を分草する複数の分草具4と、植立穀稈を引き起こす複数の引起装置5と、植立穀稈を刈り取る刈刃6と、該刈刃6にて刈り取られた穀稈を挟持して後方に搬送する搬送装置7が設けられている。この搬送装置7は刈刃6後方の株元搬送装置8と該株元搬送装置8から搬送されてくる穀稈を引き継いで脱穀装置9に供給する供給搬送装置10とから構成されている。
【0014】
前記刈取装置3は、車台2の前部に立設する懸架台11の上方に設ける回転軸11aを支点にして上下動する刈取装置支持フレーム12にて、その略左右中間部で支持されている。そして、刈取装置3は操作部13に設ける操向レバー14を前後方向に傾動させることによって刈取装置支持フレーム12と共に上下動する構成である。
【0015】
車台2の上方には、前記供給搬送装置10から搬送されてくる穀稈を引き継いで搬送するフィードチェン15を有する脱穀装置9と、該脱穀装置9の右側方であって、この脱穀装置9で脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンク16と、該グレンタンク16の前方に位置していてコンバインの各種操作を実行する操作部13が載置されている。また、車台2の前部には走行装置1を駆動する走行伝動装置17が設けられている。
【0016】
脱穀装置9の後方には、前記フィードチェン15から搬送されてくる排稈を引き継いで搬送する排稈チェン18と、該排稈チェン18の終端部下方には排稈を切断するカッター装置19が設けられている。また、この実施例のカッター装置19の後方には、排稈を結束するノッター等の他の作業機を装着してもよい。
【0017】
前記グレンタンク16内の穀粒量が満杯となると、揚穀筒20と穀粒排出オーガ21から穀粒を機外へと排出する。揚穀筒20は電気モータ(図示せず)にて旋回可能に構成され、また、穀粒排出オーガ21は油圧シリンダ22にて昇降可能に構成されている。そして、穀粒排出オーガ21は揚穀筒20の上部に連結されて一体的に構成され、揚穀筒20が旋回すると、穀粒排出オーガ21も一緒に旋回する構成となっている。
【0018】
また、コンバインは操作部13に設ける副変速レバー23を操作して走行伝動装置17内の副変速の位置を決定し、その後、走行変速レバー24を操作してエンジン(図示せず)からの動力を油圧無段変速装置及び走行伝動装置17を介して走行装置1の左右のクローラ26、26に伝動して任意の速度で走行する構成である。このように、前記走行変速レバー24の操作量によって速度が変速されるとともに、走行変速レバー24の前方向と後方向の操作によってコンバインが前後進する構成である。
【0019】
また、コンバインは操作部13に設ける前記操向レバー14を左右方向に傾倒操作することによって左右方向に旋回する構成であり、さらに、操向レバー14の左右方向への傾倒操作量によって旋回半径が決定される構成である。
【0020】
このようなコンバインを前進させて刈取作業をすると、圃場面に植立している穀稈は、分草具4にて分草され、その後、引起装置5にて引き起こされて刈刃6にて刈り取られる構成である。その後、刈り取られた穀稈は株元搬送装置8にて後方へ搬送され、供給搬送装置10へと引き継ぎ搬送される。この供給搬送装置10に引き継がれた穀稈は、さらに後方へと搬送されて、脱穀装置9のフィードチェン15へと引継ぎ搬送され、穀稈はフィードチェン15で後方へ搬送されながら脱穀装置9にて脱穀選別される構成である。
【0021】
このように脱穀選別された穀粒は、一番揚穀筒27からグレンタンク16内へと搬送されて一時貯留され、このグレンタンク16内に貯留される穀粒量が満杯になると、操作部13の報知手段(ブザーや表示装置)でオペレータに報知される構成である。その後、刈取作業を中断して、グレンタンク16内の穀粒を機外へと排出する作業を開始する。コンバインを任意の位置(トラック近傍位置)へと移動させ、穀粒排出オーガ21をオーガ受け28から離脱させて穀粒排出口21aをトラックの荷台等の位置へ移動させる。そして、操作部13に設けている穀粒排出レバー29を入り状態として、グレンタンク16内の穀粒を機外へと排出し、グレンタンク16内の穀粒排出が終了すると、穀粒排出オーガ21は再びオーガ受け28へと収納されていく構成である。
【0022】
前記脱穀装置9について、図3〜図5に基づいて説明する。
図3は脱穀装置9の側面図、図4は脱穀装置9の平面図である。
脱穀装置9内には、扱網30を有する扱胴31を扱胴軸32で軸架した扱室33と、該扱室33の一側には、扱室33の後部からの処理物を受け入れて処理する排塵処理網34を有する排塵処理胴35を排塵処理胴軸36で軸架した排塵処理室37が設けられている。そして、扱室33と排塵処理室37の下方には揺動選別棚38を設けている。33aは扱室33終端部に設けられている排出口である。
【0023】
また、排塵処理胴35の前方には、二番処理胴39と二番処理胴受樋40(網や格子状のものでもよい。)からなる二番処理室41が構成されている。二番処理胴39は、本実施例では扱胴31の一側(グレンタンク16側)であって、排塵処理胴35の前方にこの排塵処理胴35と一体的に構成されている。この二番処理胴39は基本的には二番物を処理するものである。この二番処理胴39は二番処理胴軸42にて支持されている構成であるので、前記排塵処理胴35と二番処理胴39とは一体的に排塵処理胴軸36と二番処理胴軸42とで支持されている構成である。
【0024】
さらに、図5は図4にて示すA−A断面図であるが、扱網30から漏れた被処理物は二番処理室41内に取り込まれる構成であるので、前記二番処理胴39は二番物の他に、扱室33内から入り込んできた被処理物も一緒に処理する構成となっている。前記扱網30と二番処理胴受樋40(網や格子状でもよい)と排塵処理網34は、それぞれ扱胴31と二番処理胴39と排塵処理胴35の下方に設けられている。
【0025】
前記扱室33と二番処理室41と排塵処理室37の下方には、落下してくる被選別物を受けて選別する揺動選別棚38が設置されていて、該揺動選別棚38の下方には、選別風送り方向始端側に唐箕43を設け、該唐箕43から送風される選別風の送り方向下手側には、風路44と風路45が設けられていて、この風路44と風路45の下手側に一番ラセン46を設け、該一番ラセン46の選別風送り方向下手側には二番ラセン47を設けている。この二番ラセン47にて収集された二番物を前記二番処理室41へ揚穀するための二番揚穀筒48が設けられている。
【0026】
前記揺動選別棚38の構成について説明する。揺動選別棚38は、選別送り方向の始端側から順番に、落下した脱穀物を後方に移送する移送棚49,脱穀物を選別するグレンシーブ38a,二番物を選別するチャフシーブ38b,排塵物をほぐしてササリ粒を回収すると共に排塵物を機外に移送して放出するストローラック38cとから構成されている。該ストローラック38cの下方は、二番物を二番ラセン47内へ案内する二番棚先47aで構成されていて、この二番棚先47aの終端部近傍まで前記排塵処理胴35が延出している構成である。吸引ファン51は、選別室50内の軽い塵埃を機外に排出するためのもので、扱胴31に対して排塵処理胴35と対向する位置に設けられている。52は揺動選別棚38を揺動駆動させるクランク軸である。
【0027】
前記刈取装置3から搬送されてきた穀稈は、脱穀装置9のフィードチェン15の始端部に引き継がれると共に、該フィードチェン15に引き継がれた穀稈は、後方に搬送されながら、扱胴31と扱網30により脱穀される。脱穀された脱穀物の一部は揺動選別棚38上に落下して、該揺動選別棚38の揺動作用と唐箕43からの風選作用により選別され、一番ラセン46内へと取り込まれていき、該一番ラセン46に取り込まれた穀粒は、グレンタンク16内に一時貯溜される構成である。脱穀後の排稈はフィードチェン15の終端部から、排稈チェン18の始端部に引き継がれて搬送されていき、その後、カッター19に送られて切断され下方の圃場上に放出されていく構成となっている。
【0028】
扱室31の残りの脱穀物は、後方へと搬送されていくが、その途中において一部の脱穀物は二番処理室41内に取り込まれていく。該二番処理室41内に取り込まれた脱穀物は、選別風送り方向上手側に搬送されながら、二番処理胴39と二番処理胴受樋40との相互作用で脱穀(特に、枝梗粒が処理される)されて、下方の揺動選別棚38上に落下していく。扱胴31と二番処理胴39と排塵処理胴35は、共に選別風送り方向上手側から下手側を見た状況(脱穀装置9の正面視)において、時計回りで回転する構成である。従って、二番処理胴39の処理歯39aの向きは、脱穀物を選別風送り方向の上手側方向に送るような向きに固着しておく必要がある。
【0029】
即ち、該処理歯39aには被処理物を選別風送り方向上手側に搬送する作用があり、さらに、被処理物を処理する作用も併せ持っている。即ち、処理歯39aは螺旋の一部であり、また、その円周方向の先端部と二番処理胴受樋40との間の相互作用にて被処理物を処理する構成となっている。二番処理胴39の搬送終端部に設けられている羽根39bは、被処理物を揺動選別棚38上に強制的に送り出すものである。
【0030】
前記排塵処理胴35の排塵処理歯35aは、扱室33の後部からの脱穀物を選別風送り方向の下手側方向に送るような向きに固着しておく必要がある。本実施例では、該排塵処理歯35aは、排塵処理胴35の外周面に巻き回いされているラセン形状となっている。
【0031】
しかし、本実施例では、排塵処理網34の目合いが荒い(格子状)ので、一部の短い藁屑は揺動選別棚38上に落下し、落下しなかった長い藁屑は排塵処理室37の終端部まで搬送されて、排塵処理胴35の終端部の羽根35bにてストローラック38c上に強制的に排出される。そして、このように被処理物が排塵処理室37内にて搬送される間に、排塵処理胴35とこの排塵処理胴35の設けられている処理歯35cと排塵処理網34との相互作用で、さらに脱穀されるとともに、脱穀物はほぐされて中に混在している穀粒(いわゆるササリ粒)が取り出されて下方の揺動選別棚38上に落下し、さらに、二番ラセン47内へと回収されていく構成である。
【0032】
前述のように、扱室33内の脱穀物で揺動選別棚38上に落下せず、二番処理室41内にも取り込まれなかった残りの脱穀物は、扱室33の終端部まで搬送されていく。この扱室33の終端部まで搬送されてきた脱穀物は、排塵処理室37内に取り込まれ、取り込まれた脱穀物は、選別風送り方向下手側に搬送されていく。また、扱室33の終端部まで搬送されてきた脱穀物のうち、排塵処理室37内に取り込まれなかった脱穀物は下方の揺動選別棚38上に落下していく構成である。
【0033】
扱室33内の終端部から排塵処理室37内に脱穀物を送る際において、脱穀物が詰まらないように、扱室33から排塵処理室37への引継ぎ部分においても、排塵処理胴35の外周にラセン形状の排塵処理歯35aを設けていて、該排塵処理歯35aの送り作用で引継ぎ部に脱穀物が詰まらないようにしている。
【0034】
このような、揺動選別棚38の揺動作用と唐箕43からの選別風の作用にもかかわらず、一番ラセン46内に取り込まれなかった残りの穀粒は、他の排塵物と共にさらに後方に送られ、二番ラセン47内へと取り込まれていく。該二番ラセン47内に取り込まれた二番物は、二番揚穀筒48にて前記二番処理室41の選別風送り方向下手側に還元されて、扱室33からの脱穀物と合流し、その後、選別風送り方向の上手側に搬送されながら、二番処理胴受樋40との相互作用で脱穀処理されながら搬送され、終端部の羽根39bにより下方の揺動選別棚38上に強制的に落下していく構成である。
【0035】
図6に示す脱穀装置は、二番処理胴39と排塵処理胴35の構成を一部変更したものである。二番処理胴53には連続ラセンの処理歯53を設け、排塵処理胴35にも連続ラセンの処理歯54を設ける構成としている。これにより、二番処理胴39と排塵処理胴35の送り作用が向上するので、藁屑が多く発生するような品種での処理能力が向上するようになり、エンジンの馬力損失も抑制することができるようになる。
【0036】
また、扱室33と排塵処理室37の引継部分Bであって、排塵処理胴35の始端部分には、非連続の処理歯55を設ける構成としている。これにより、被処理物は扱室33から排塵処理室37へと一気に流れるのを防止できるので、引継部分Bでの詰まり等の発生を防止することができるようになる。
【0037】
図7は扱胴31の扱歯56の取り付け状態を展開した図である。Cは扱室33と排塵処理室37との引継部分Bの区間である。扱胴31の始端部分の扱歯56aは、扱胴31の回転方向に対して沿うように(傾斜角度0度)に取り付けられている構成である。しかも、扱歯56aの長さDは、その他の扱歯に対して一番長い構成にしているので、扱胴31始端部での脱粒性が向上するようになる。また、扱歯56aの後側には、扱歯56bが設けられているが、この扱歯56bは、扱胴31の回転方向に対して、送り方向に傾斜角度Eを有して取り付けられている構成であるので、脱粒作用と共に扱室33内の被処理物の送り作用が向上するようになる。
【0038】
また、引継部分Bに位置する扱歯56cは、扱胴31の回転方向に対して、戻し方向に傾斜角度Fを有して取り付けられている構成である。これにより、被処理物は、引継部分Bで減速することになり、減速することで被処理物の処理作用が向上するようになる。特に、E>Fとすることで、減速作用が発生し易くなる。
【0039】
逆に、E<Fにすると、被処理物の減速作用がさらに大きくなると共に、扱室33内の被処理物量によっては被処理物の送り作用が停止するようになる。これにより、さらなる処理作用の向上が望めるようになる。
【0040】
また、扱胴31の下方と引継部分Bの下方には、それぞれ扱網30,網30aが設けられているが、網30aの目合いの方を大きく構成している。これにより、引継部分Bにおいて大量の被処理物が搬送されてきても、網30aから下方の揺動選別棚38上に落下するので、詰まりを未然に防止できるようになる。特に、被処理物が大量に搬送されてきた場合や、被処理物が湿材の場合において、詰り等が発生するのを防止できるようになる。
【0041】
前記引継部分Bに位置する扱歯56cについては、図8のようにソリッド歯57を設けるように構成してもよい。これにより、被処理物はソリッド歯57に当接すると減速作用が大きくなって持ち回り作用が大きくなり、被処理物が持ち回っている間に処理作用が向上するようになる。
【0042】
前述した扱歯56bについても、図9に示すようにソリッド58を設けるように構成してもよい。これにより、扱室33内の被処理物は、扱歯56b部分で抵抗を受けるようになり、この抵抗を受けることによって扱室33内で持ち回りするようになる。これにより、被処理物の処理作用が向上するようになる。
【0043】
図9に示す実施例においては、扱歯56a、扱歯56b、扱歯56cのいずれにおいても、送り方向の傾斜角度G、傾斜角度H、傾斜角度Iを有する構成としている。この場合においては、傾斜角度の大きさは、G<H<Iとなるように構成している。この場合の考え方については、引継部分Bにおいて送り作用を加速させるというものである。これにより、排塵処理室37内への取り込み作用が向上するようになり、引継部分Bでの詰まりの発生を防止できるようになる。このような場合については、藁屑が多く発生する品種や濡れ扱ぎでの作業に威力を発揮する。
【0044】
図10については、二番処理胴39の処理歯を非連続の処理歯39aで構成し、排塵処理胴35の処理歯を連続の処理歯54で構成している。この場合においては、二番処理胴39での送り作用が遅くなりことで、二番物の処理作用が向上するようになる。
【0045】
引継部分Bに位置する扱歯56cは、扱胴31の回転方向に対して、傾斜角度を有しないように構成している。これにより、被処理物の送り速度が低下するようになるので、被処理物の処理作用が向上するようになる。
【0046】
また、この場合の扱歯56cについても、図11に示すようにソリッド歯を設けるように構成してもよい。これにより、扱室33の前側から送られてきた被処理物は、扱歯56c(ソリッド歯無し状態)が戻し方向に傾斜角度が取り付けられているのと同じような作用となる。即ち、被処理物が引継部分Bで停滞するようになるので、被処理物の処理作用が向上するようになる。
【0047】
次に、図12〜図14について説明する。
排塵処理胴35を脱穀装置の後板59の近傍まで設けると共に、排塵処理胴35の終端部にはカイド板60を設ける構成としている。これにより、排塵処理胴35から排出される被処理物(排塵物)は、図12のJ方向とK方向とに排出されるようになる。即ち、J方向に排出される被処理物は、吸引ファン51方向へと送られる。K方向に排出される被処理物は、機外へと排出される。このように、ニ系統で排出されるので、排出効率が向上すると共に、詰り等の発生を防止できるようになる。また、藁屑などが揺動選別棚38に還元される量が少なくなり、高能率化が図れるようになる。
【0048】
前記ガイド板60については、設けなくても前述のような効果を奏するが、ガイド板60を設けることで、機外への排塵物の排出時において、引っ掛ったりするのを防止できるようになる。また、ガイド板60がラッパ状の末広がりとすることで、排出効率が向上するようになる。
【0049】
また、ガイド板60は、図12に示しているように、揺動選別棚38とオーバーラップ(Lの長さ)するように構成している。即ち、上下方向において、排塵処理胴35と揺動選別棚38との距離を短くできるので、ガイド板60に導かれた排塵物は、選別室50に流れるのを極力少なくすることができるようになる。そして、脱穀装置をコンパクトに構成できるようになる。
【0050】
図14に示す61は、排塵処理胴35のケーシングである。このケーシング61に対して、前記ガイド板60を外側に所定距離M出るように構成している。これにより、排塵物の機外への放出は、選別室50から遠ざける方向に拡散するようになるので、選別室50に対して悪影響を防止できるようになる。
【0051】
排塵処理胴35の軸芯36は、選別室50から所定距離N外側に離れるように構成している。そして、ケーシング61の包囲範囲は、排塵処理胴35の半分以上を覆うように構成している。これにより、排塵処理室37内での処理面積が増大するようになるので、処理能力が向上するようになる。又、排塵処理室37終端部から機外へと排出されるスペースも広くなるので、排塵処理室37からの機外排出が円滑に行われるようになる。
【0052】
選別室50の終端部には、図12に示すように弾性体からなるゴムの抵抗板62を設ける構成としている。これにより、選別室50からの排出については、一旦、ゴムの抵抗板62に当接してから抵抗板62を後方へ押して排出されるようになる。これにより、穀粒が存在する場合には、ゴムの抵抗板62に当接した衝撃で下方の2番ラセン47に取り込まれるようになるので、3番ロスが低減するようになる。また、排塵処理室37の終端部においては、開放部としているので、排出効率が優先されるようになる。
【0053】
特に、図14に示しているように、排塵処理胴35の略中心のラインPよりも下方部分については、全て開放する構成としているので、排出が良好に行われるようになる。
図15に示すように、排塵処理胴35を回転支持する軸36の後部は、軸受64で受けられており、軸受64はメタル63内に挿入されている。このメタル63は、フランジ65に固定されている構成である。そして、フランジ65は、排塵処理胴35覆って排塵処理室37を形成するケーシング61に対して、プレート66を介してボルト65で固定するように構成している。
【0054】
これにより、排塵処理胴35に対して大きな負荷が作用しても、ねじれ等を防止できて、振動の発生を少なくすることができるようになる。前記ガイド板60は、ケーシング61に対して溶接で一体構造としているので、部品点数が削減されてコストダウンになる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】コンバインの左側面図
【図2】コンバインの正面図
【図3】脱穀装置の側断面図
【図4】脱穀装置の平面図
【図5】脱穀装置正面の断面図
【図6】脱穀装置の側断面図
【図7】扱胴の展開図
【図8】扱胴の一部の展開図
【図9】扱胴の一部の展開図
【図10】脱穀装置の側断面図
【図11】扱胴の一部の展開図
【図12】脱穀装置の背面図
【図13】脱穀装置の一部の側断面図
【図14】脱穀装置の一部の背面図
【図15】斜視図
【符号の説明】
【0056】
B 引継部分
F 傾斜角度
9 脱穀装置
30 扱網
30a 網
31 扱胴
33 扱室
35 排塵処理胴
37 排塵処理室
38 揺動選別棚
56c 扱歯
57 ソリッド歯
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−5807(P2008−5807A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−182026(P2006−182026)