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モーア - 特開2008−245608 | j-tokkyo
トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業

【発明の名称】 モーア
【発明者】 【氏名】杉尾 彰仁

【氏名】鮫島 和夫

【氏名】戸越 義和

【氏名】藤原 孝次

【氏名】山本 琢久

【要約】 【課題】モーアを、その重量化やコストの高騰を抑制しながら、作業車の乗り越えを許容する乗り越え許容型に構成するとともに、乗り越え許容型と乗り越え不能型との仕様変更を簡単かつ安価に行える多様性に優れたものに構成する。

【解決手段】モーアデッキ37の上部に、刈刃駆動用の伝動機構38を配備し、かつ、この伝動機構38を上方から覆う伝動カバー39を着脱可能に取り付け、伝動カバー39に、この伝動カバー39からモーアデッキ37の後端部に向けて後向きに延出する延出部61を備え、延出部61におけるモーアデッキ37の後端部近傍に、モーアデッキ37に対する作業車1の乗り上がり時に、作業車1の車輪8,11の滑りを阻止する滑止部分61Bを設けてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーアデッキの上部に、刈刃駆動用の伝動機構を配備し、かつ、この伝動機構を上方から覆う伝動カバーを着脱可能に取り付け、
前記伝動カバーに、この伝動カバーから前記モーアデッキの後端部に向けて後向きに延出する延出部を備え、
前記延出部における前記モーアデッキの後端部近傍に、前記モーアデッキに対する作業車の乗り上がり時に、前記作業車の車輪の滑りを阻止する滑止部分を設けてあることを特徴とするモーア。
【請求項2】
前記延出部における前記滑止部分よりも前側に位置する前側部分を、前記伝動カバーの後上端部から前記モーアデッキの後端部に向けて後下がりに傾斜するように形成してあることを特徴とする請求項1に記載のモーア。
【請求項3】
前記モーアデッキを、その前上部に刈草搬送用の通路として使用される内部通路を有するように、その前上部が前記モーアデッキの左右にわたって上向きに膨出形成されたディスチャージ仕様に構成し、
前記前上部の上端面と前記伝動カバーの上端面とが同じまたは略同じ高さに位置するように構成してあることを特徴とする請求項1または2に記載のモーア。
【請求項4】
前記延出部を、前記滑止部分よりも後側に位置する後側部分を有するように形成し、前記後側部分が、前記滑止部分から後下方に向けて後下がりに傾斜するように形成してあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のモーア。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、モーアデッキの上部に、刈刃駆動用の伝動機構を配備し、かつ、この伝動機構を上方から覆う伝動カバーを着脱可能に取り付けたモーアに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなモーアとしては、その機体に、トラクタの前後いずれかの車輪を歩ませることにより、その車輪が機体を越えて機体をトラクタの前後の車輪の中間に位置させる歩み板を、一体に装備するように構成したものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特公昭51−28524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の構成では、モーアにおける機体(モーアデッキ)の前後にわたるとともに、その前後両端部に、機体に対するトラクタの乗り越えを許容する傾斜部を有するように、前後方向に長尺に形成された歩み板を、機体に一体装備することから、モーア全体として大掛かりになって重量やコストが嵩むことになる。しかも、機体に歩み板を備えていないことでトラクタの乗り越えが不能になっていた一般的なモーアを、トラクタの乗り越えを許容するものに仕様変更する場合には、モーアデッキに歩み板を溶接する、あるいは、モーアデッキに歩み板取り付け用の取付孔を穿設する、などの加工を施した上に塗装をし直す必要があることから、その仕様変更に要する手間が大掛かりなる。また逆に、乗り越え許容型から乗り越え不能型に仕様変更する必要が生じた場合には、モーアデッキを交換する、あるいは、モーアデッキに穿設した取付孔を埋めて塗装をし直す、といったことを行う必要があることから、その仕様変更に要する手間が大掛かりになる上に、モーアデッキの交換を要する場合にはコストが嵩むことになる。
【0004】
本発明の目的は、モーアを、その重量化やコストの高騰を抑制しながら、作業車の乗り越えを許容する乗り越え許容型に構成するとともに、乗り越え許容型と乗り越え不能型との仕様変更を簡単かつ安価に行える多様性に優れたものに構成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明のうちの請求項1に記載の発明では、
モーアデッキの上部に、刈刃駆動用の伝動機構を配備し、かつ、この伝動機構を上方から覆う伝動カバーを着脱可能に取り付け、
前記伝動カバーに、この伝動カバーから前記モーアデッキの後端部に向けて後向きに延出する延出部を備え、
前記延出部における前記モーアデッキの後端部近傍に、前記モーアデッキに対する作業車の乗り上がり時に、前記作業車の車輪の滑りを阻止する滑止部分を設けてあることを特徴とする。
【0006】
この特徴構成によると、作業車の下腹部にモーアを取り付ける場合には、作業車を、その前輪がモーア側の滑止部分に向かうように前進させて行けば、前輪が滑止部分に達するとともに、その滑止部分の作用により、モーアデッキに対する前輪の滑りが防止され、前輪が速やかにモーアデッキに乗り上がる。そして、その乗り上がり後も作業車の前進を継続させると、前輪が、モーアデッキの上を前方に向けて移動しながら伝動カバーを乗り越え、その後、モーアデッキの上から地上に降りる。これにより、作業車の前輪と後輪との間にモーアを位置させることができ、作業車の下腹部にモーアを取り付けることができる。
【0007】
また、作業車の下腹部からモーアを取り除く場合には、作業車に対するモーアの取り付けを解除した後、作業車を前進させて行けば、作業車の後輪がモーア側の滑止部分に達するとともに、その滑止部分の作用により、モーアデッキに対する後輪の滑りが防止され、後輪が速やかにモーアデッキに乗り上がる。そして、その乗り上がり後も作業車の前進を継続させると、後輪が、モーアデッキの上を前方に向けて移動しながら伝動カバーを乗り越え、その後、モーアデッキの上から地上に降りる。これにより、作業車の後方にモーアを位置させることができる。
【0008】
つまり、滑止部分の作用によって、作業車の下腹部に対するモーアの着脱時には、作業車を前進させるだけで、モーアに対して作業車の前輪または後輪を速やかに乗り越えさせることができ、これにより、人力でモーアを作業車の下腹部に運び入れる、または、作業車の下腹部から運び出す、といった手間を要することなく、作業車とモーアとの位置関係を簡単かつ適切に変更することができる。
【0009】
しかも、そのために要する構成としては、モーアデッキの上部に取り付けた伝動カバーに、後方に向けて延出する延出部を備え、その延出部におけるモーアデッキの後端部近傍に滑止部分を設けるだけであることから、例えば、前述した従来技術のように、前後方向に長尺に形成された歩み板をモーアデッキに一体装備する場合に比較して、小型・軽量で簡単かつ安価に構成することができる。
【0010】
さらに、作業車の乗り越えを許容するようには構成されていない一般的なモーアを、作業車の乗り越えを許容する乗り越え許容型に仕様変更する場合には、そのモーアデッキの上部に配備した刈刃駆動用の伝動機構に対する刈草などの付着を防止しながら、その伝動機構に対するメンテナンスを容易にするために、本来より、モーアデッキの上部に着脱可能に取り付けられていた伝動カバーを、延出部を備えた伝動カバーに交換するだけでよく、また逆に、乗り越え許容型から乗り越え不能型に仕様変更する必要が生じた場合には、延出部を備えた伝動カバーを、延出部を備えていない一般的な伝動カバーに交換するだけでよいことから、乗り越え許容型と乗り越え不能型との仕様変更を簡単かつ安価に行える。
【0011】
従って、モーアが本来より備える構成を有効利用することにより、モーアを、その重量化やコストの高騰を抑制しながら、乗り越え許容型に構成することができるとともに、乗り越え許容型と乗り越え不能型との仕様変更を簡単かつ安価に行える多様性に優れたものに構成することができる。
【0012】
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、
前記延出部における前記滑止部分よりも前側に位置する前側部分を、前記伝動カバーの後上端部から前記モーアデッキの後端部に向けて後下がりに傾斜するように形成してあることを特徴とする。
【0013】
この特徴構成によると、延出部の前側部分が、モーアデッキと伝動カバーとの間を、段差がないようになだらかなに繋ぐスロープとして機能することから、作業車の車輪がモーアデッキに乗り上がった後に行われる伝動カバーの乗り越えを、より円滑かつ速やかに行わせることができる。
【0014】
従って、延出部の前側部分を後下がりに傾斜させるだけの簡単な改良を施すことにより、作業車がモーアを乗り越える際の走行性を向上させることができる。
【0015】
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、上記請求項1または2に記載の発明において、
前記モーアデッキを、その前上部に刈草搬送用の通路として使用される内部通路を有するように、その前上部が前記モーアデッキの左右にわたって上向きに膨出形成されたディスチャージ仕様に構成し、
前記前上部の上端面と前記伝動カバーの上端面とが同じまたは略同じ高さに位置するように構成してあることを特徴とする。
【0016】
この特徴構成によると、作業車の車輪が伝動カバーに乗り上がった後に行われる伝動カバーからモーアデッキの前上部への移動を、円滑かつ速やかに行わせることができる。
【0017】
従って、作業車がディスチャージ仕様のモーアを乗り越える際の走行性の向上を図ることができる。
【0018】
本発明のうちの請求項4に記載の発明では、上記請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、
前記延出部を、前記滑止部分よりも後側に位置する後側部分を有するように形成し、前記後側部分が、前記滑止部分から後下方に向けて後下がりに傾斜するように形成してあることを特徴とする。
【0019】
この特徴構成によると、延出部の後側部分が、モーア側の滑止部分と地面との間を、段差がないようになだらかに繋ぐスロープとして機能することから、滑止部分を介して行われる作業車の車輪の地面からモーアデッキへの乗り上がりを、より円滑かつ速やかに行わせることができる。
【0020】
従って、延出部の後側部分を後下がりに傾斜させるだけの簡単な改良を施すことにより、作業車がモーアを乗り越える際の走行性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1には、作業車の一例であるトラクタ1の全体側面が示されている。この図に示すように、トラクタ1は、前部フレーム2、エンジン3、クラッチハウジング4、中間フレーム5、およびミッションケース6を、その順に車体前側から位置するように連結して車体フレーム7が構成されている。車体フレーム7の前半部には、左右一対の前輪8を備える前車軸ケース9がローリング可能に支持されるとともに、エンジン3などを上方から覆うエンジンボンネット10などが配備されている。車体フレーム7の後半部には、左右一対の後輪11などが配備されるとともに、ステアリングホイール12や運転座席13などを備えて搭乗運転部14が形成されている。
【0022】
エンジン3からの動力は、クラッチハウジング4の内部に備えた主クラッチ(図示せず)などを介して、ミッションケース6の前部に連結した静油圧式無段変速装置(以下、HSTと略称する)15の入力軸(図示せず)に伝達される。そして、HST15による変速後の動力が、走行用の動力としてHST15の出力軸(図示せず)から取り出され、ミッションケース6の内部に備えたギヤ式変速装置(図示せず)に伝達され、ギヤ式変速装置による変速後の動力が、ミッションケース6の内部において前輪駆動用と後輪駆動用とに分岐され、前輪駆動用の動力が、ミッションケース6や前車軸ケース9などの内部に備えた前輪伝動系(図示せず)を介して左右の前輪8に伝達され、後輪駆動用の動力が、ミッションケース6の内部に備えた後輪伝動系(図示せず)を介して左右の後輪11に伝達される。また、HST15の入力軸から取り出される無変速動力が、作業用の動力として、ミッションケース6の内部に備えた作業伝動系(図示せず)を介して、ミッションケース6の後端部に備えた第1動力取出軸16と、ミッションケース6の底部に備えた第2動力取出軸17とに伝達される。
【0023】
ミッションケース6の後部には、その内部に備えた油圧シリンダ(図示せず)の作動によって上下方向に揺動駆動される左右一対のリフトアーム18、および、これらのリフトアーム18の揺動駆動に連動して上下方向に昇降揺動する第1リンク機構19、などが備えられている。第1リンク機構19は、ロータリ耕耘装置などの作業装置(図示せず)の着脱が可能に形成された左右一対のロアーリンク20などを備えて構成されている。
【0024】
つまり、油圧シリンダの作動によって、第1リンク機構19に装着した作業装置を昇降させることができる。また、第1動力取出軸16を、伝動軸(図示せず)などを介して作業装置の入力軸に連結することにより、第1動力取出軸16に伝達された作業用の動力を作業装置に供給することができる。
【0025】
図示は省略するが、油圧シリンダは、搭乗運転部14に備えた昇降レバーの揺動操作に連動して、油圧シリンダに対する作動油の流動を制御する制御弁の作動状態が切り換えられることにより、昇降レバーの操作位置に応じた作動状態に切り換わるように構成されている。
【0026】
図1および図2に示すように、車体フレーム7には、トラクタ1の下腹部に配備されるモーア21などの作業装置を昇降可能に吊り下げ支持する第2リンク機構22が着脱可能に装備されている。第2リンク機構22は、車体フレーム7の前部からモーア21の前端部にわたる左右一対の第1リンク23、および、車体フレーム7の前後中間部からモーア21の後部にわたる左右一対の第2リンク24、などを備えて構成されている。左右の第2リンク24は、連係機構25を介して左右のロアーリンク20に連係されている。
【0027】
連係機構25は、車体フレーム7に相対回動可能に支持された左右向きの回動軸26、回動軸26から車体前方に向けて延設された左右一対の第1連係アーム27、回動軸26から車体上方に向けて延設された左右一対の第2連係アーム28、ミッションケース6の後部に備えた左右一対の連動アーム29、左右の第1連係アーム27を対応する第2リンク24の遊端側に連係する左右一対の第1連係ロッド30、および、左右の第2連係アーム28を対応する連動アーム29に連係する左右一対の第2連係ロッド31、などによって構成されている。左右の連動アーム29は、対応するロアーリンク20の支軸32に相対揺動可能に支持されている。左右の連動アーム29の上部には、対応するロアーリンク20の上縁に片当たり接当する接当片29Aが屈曲形成されている。
【0028】
つまり、トラクタ1の下腹部にモーア21などの作業装置を配備した場合には、油圧シリンダの作動によるモーア21の昇降操作が可能となるように構成されている。
【0029】
回動軸26には、車体後方に向けて延出する単一の第3連係アーム33が一体装備されている。車体フレーム7には、上昇揺動する第3連係アーム33を受け止めることで、左右の第2リンク24の下降揺動を阻止する受止具34が装備されている。受止具34は、縦軸心周りでの回動操作が可能となるように車体フレーム7に支持されている。受止具34における円筒状の下縁部には、その周方向において第3連係アーム33の受け止め高さ位置が異なるように設定された複数段の受止部が形成されている。この構成から、受止具34を縦軸心周りに回動操作すると、第3連係アーム33を受け止める受止部が変更され、受止具34による第3連係アーム33の受け止め高さ位置、すなわち、受止具34が左右の第2リンク24の下降揺動を阻止する高さ位置が変更されることになる。
【0030】
つまり、第3連係アーム33と受止具34によって、モーア21の下限高さ位置を設定変更することにより、モーア21による刈り高さを調節する刈り高さ調節機構35が構成されている。
【0031】
なお、連係機構25において、左右のロアーリンク20と左右の連動アーム29とを片当たり接当式に構成したことにより、受止具34によって左右の第2リンク24の下降揺動が阻止された状態であっても、油圧シリンダの作動による左右のロアーリンク20の下降揺動は許容されている。
【0032】
図1〜3に示すように、モーア21は、対応する縦向きの回転軸36を中心にして平面視右回りに回転駆動される3枚のブレード(図示せず)を内部に備えたモーアデッキ37の上部に、刈刃駆動用の伝動機構38が配備され、伝動機構38の左右両端部を上方から覆う左右一対の伝動カバー39が着脱可能に取り付けられている。モーアデッキ37は、その前上部37Aに刈草搬送用の通路として使用される内部通路37Bを有するように、その前上部37Aがモーアデッキ37の左右にわたって上向きに膨出形成され、かつ、その右端に排出口37Cが形成されるとともに排出カバー40が取り付けられている。
【0033】
つまり、このモーア21は、3枚のブレードで刈り取った草を、ブレードの回転に伴って発生する搬送風により、モーアデッキ37における前上部37Aの内部通路37Bを介して、右端の排出口37Cから排出するサイドディスチャージ仕様に構成されている。
【0034】
モーアデッキ37は、その前後左右に4つの転輪41が分配配備されている。モーアデッキ37の前部左右中央にはローラ42が配備されている。そして、そのローラ42を支持する左右一対の第1ブラケット43に、第2リンク機構22の対応する第1リンク23の遊端部が着脱可能に係合連結されている。モーアデッキ37の後部には、第2リンク機構22の対応する第2リンク24の遊端部24Aが着脱可能にピン連結される左右一対の第2ブラケット44が立設されている。
【0035】
伝動機構38は、モーアデッキ37の中央に配備された伝動ケース45の後部に、トラクタ1の第2動力取出軸17からの動力が伝達される入力軸46を備えている。入力軸46に伝達された動力は、伝動ケース45の内部に備えた伝動機構(図示せず)を介して、伝動ケース45の下部に備えた出力軸47に伝達される。出力軸47には、モーアデッキ37の中央に配備した回転軸36とともに、駆動プーリ48が一体回転するように連結されている。そして、その駆動プーリ48の回転力が、モーアデッキ37の左右に配備した各回転軸36と一体回転する従動プーリ49に伝動ベルト50を介して伝達される。
【0036】
つまり、伝動機構38は、トラクタ1の第2動力取出軸17からの動力を3枚のブレードの各回転軸36にベルト伝動して3枚のブレードを回転駆動させるベルト伝動式に構成されている。
【0037】
なお、図3における符号51は、引っ張りバネ52により緊張付勢されたテンションプーリである。また、入力軸46は、伸縮可能な伝動軸53および自在継手54を介して、トラクタ1の第2動力取出軸17に連結されている。
【0038】
図1〜5に示すように、左右の伝動カバー39は、天井壁39Aと外側壁39Bと後壁39Cとを有するように屈曲形成された板金製である。天井壁39Aには、伝動カバー39がモーアデッキ37に取り付けられた際にモーアデッキ37の上面に接当するようになる逆L字状や逆U字状などの複数の脚部55が溶接されている。天井壁39Aの前部には、モーアデッキ37の前上部37Aに備えた対応するリング状の被係合金具56に係脱可能に係合する係合金具57が装備されている。係合金具57は、前後方向への揺動操作が可能な操作部57A、および、操作部57Aの揺動操作に連動して、デッドポイントを挟んだ被係合金具56に対する係合位置と係合解除位置とにわたって変位する板バネからなるフック状の係合部57B、などを備えて構成されている。後壁39Cには、モーアデッキ37に後向きに備えた対応する係合ピン58が係入される左右一対の長孔39Dが、上下方向の長さが長くなるように形成されている。各係合ピン58は、モーアデッキ37における左右の後部側に一対ずつ立設した合計4枚の受板59に固着されている。
【0039】
つまり、前述した被係合金具56、係合金具57、左右一対の長孔39D、左右一対の係合ピン58、および左右一対の受板59によって、モーアデッキ37に対する伝動カバー39の着脱を可能にする連結機構が構成されている。そして、伝動カバー39をモーアデッキ37に取り付けた状態では、伝動カバー39における後壁39Cの前面が対応する受板59の背面に接合し、伝動カバー39における各長孔39Dの下縁が対応する係合ピン59に接合し、天井壁39Aの前端がモーアデッキ37の前上部37Aに接合するように設定されている。これにより、モーアデッキ37に対して左右の伝動カバー39を安定した状態で取り付けることができるとともに、左右の伝動カバー39をモーアデッキ37に取り付けた状態では、モーアデッキ37における前上部37Aの上端面と左右の伝動カバー39における天井壁39Aの上端面とが略同じ高さに位置するようになる。
【0040】
各伝動カバー39の後壁39Cには、モーアデッキ37の後端部に向けて後向きに延出する延出部としての延出プレート61が溶接されている。各延出プレート61は、伝動カバー39の天井壁39Aからモーアデッキ37の後端部に向けてなだらかに傾斜する後下がりの傾斜部分61Aを有するとともに、モーアデッキ37の後端部近傍に位置する後端部61Bが上向きに突出するように屈曲形成されている。各延出プレート61における傾斜部分61Aの裏面側には、伝動カバー39がモーアデッキ37に取り付けられた際にモーアデッキ37の上面に接当する左右一対の脚部62が溶接されている。
【0041】
この構成から、トラクタ1の下腹部にモーア21を取り付ける場合には、トラクタ1を、その左右の前輪8が、モーア21に備えた左右の延出プレート61に向かうように前進させて行けば、左右の前輪8が、対応する延出プレート61の後端部61Bに達するとともに引っ掛かり、その引っ掛かりによって、モーアデッキ37に対する滑りが防止されて状態で、速やかにモーアデッキ37に乗り上がる。そして、その乗り上がり後もトラクタ1の前進を継続させると、左右の前輪8が、対応する延出プレート61の傾斜部分61Aを上って対応する伝動カバー39に乗り上がり、その後、伝動カバー39からモーアデッキ37の前上部37Aに乗り移り、モーアデッキ37の前上部37Aから地上に降りる。これにより、トラクタ1における左右の前輪8と左右の後輪11との間にモーア21を位置させることができ、トラクタ1の下腹部にモーア21を取り付けることができる。
【0042】
また、トラクタ1の下腹部からモーア21を取り除く場合には、トラクタ1に対するモーア21の取り付けを解除した後、トラクタ1を前進させて行けば、その左右の後輪11が、対応する延出プレート61の後端部61Bに達するとともに引っ掛かり、その引っ掛かりによって、モーアデッキ37に対する滑りが防止されて状態で、速やかにモーアデッキ37に乗り上がる。そして、その乗り上がり後もトラクタ1の前進を継続させると、左右の後輪11が、対応する延出プレート61の傾斜部分61Aを上って対応する伝動カバー39に乗り上がり、その後、伝動カバー39からモーアデッキ37の前上部37Aに乗り移り、モーアデッキ37の前上部37Aから地上に降りる。これにより、トラクタ1の後方にモーア21を位置させることができる。
【0043】
つまり、左右の各伝動カバー39に延出プレート61を装備するだけの簡単かつ安価な改良を施すことにより、モーア21をトラクタ1の下腹部に対して着脱させる場合には、左右の各延出プレート61の後端部61Bが、モーアデッキ37に対するトラクタ1の乗り上がり時に、トラクタ1の各車輪8,11の滑りを阻止する滑止部分として機能し、かつ、各延出プレート61における後端部61Bよりも前側に位置する傾斜部分(前側部分)61Bが、モーアデッキ37と伝動カバー39との間を段差がないようになだらかに繋ぐようになることから、トラクタ1を前進させるだけで、モーア21に対して左右の前輪8または左右の後輪11を速やかに乗り越えさせることができる。その結果、人力でモーア21をトラクタ1の下腹部に運び入れる、または、トラクタ1の下腹部から運び出す、といった手間を要することなく、トラクタ1とモーア21との位置関係を簡単かつ適切に変更することができる。
【0044】
また、延出プレート61が装備されていない従来構造の伝動カバー(図示せず)が取り付けられている従来のモーア(図示せず)に対しては、本発明に基づく伝動カバー39と同様に、モーアデッキ37の上部に配備した刈刃駆動用の伝動機構38に対する刈草などの付着を防止しながら、その伝動機構38に対するメンテナンスを容易にするために、モーアデッキ37の上部に着脱可能に取り付けられている従来構造の伝動カバーを、本発明に基づく伝動カバー39と交換するだけで、トラクタ1の乗り越えを許容する乗り越え許容型に簡単かつ安価に仕様変更することができる。
【0045】
図3および図4に示すように、モーアデッキ37の前上部37Aには、モーアデッキ37に伝動カバー39を取り付けた場合に、対応する伝動カバー39の天井壁39Aにおける前端部の上面に接合する左右一対ずつの係合片63が溶接されている。これにより、トラクタ1の車輪8,11が、左右の各延出プレート61の後端部61Bに引っ掛かって乗り上がる際の反動で、伝動カバー39の前端側が、モーアデッキ37の前上部37Aから浮き上がる虞を確実に阻止することができ、その浮き上がりに起因した係合金具57の損傷などを未然に回避することができる。
【0046】
図2〜4に示すように、左右の各伝動カバー39は、その天井壁39Aにおける係合部57Bの下方の位置に丸棒部材64が左右向きに溶接されている。これにより、トラクタ1の車輪8,11が、伝動カバー39からモーアデッキ37の前上部37Aに乗り移る際に、係合部57Bを踏み付けることに起因した係合部57Bの変形を防止することができ、その変形によって、係合部57Bと被係合金具56との係合が解除される虞を未然に回避することができる。
【0047】
図2〜5に示すように、左右の各伝動カバー39は、その天井壁39Aの内端側に、天井壁39Aの前後にわたる補強部材65が溶接されている。これにより、左右の各伝動カバー39の強度を高めながら、トラクタ1がモーア21を乗り越える際の左右の伝動カバー39に対する左右の車輪8,11の左右方向への位置ずれを抑制することができる。
【0048】
図2〜4に示すように、モーアデッキ37は、その前上部37Aにおける左右の伝動カバー39の前方に位置する部位に、板状の滑止部材66が配備されている。これにより、トラクタ1を、その左右の前輪8が、モーア21に備えた左右の延出プレート61に向かうように前進させる場合には、左右の滑止部材66を指標にすることができ、左右の前輪8を、より簡単かつ確実に左右の延出プレート61に向かわせることができる。また、トラクタ1の各車輪8,11が、モーアデッキ37の前上部37Aから地上に降りる際に発生する虞のあるモーアデッキ37に対する各車輪8,11の滑りを、左右の滑止部材66によって阻止することができ、結果、その滑りに起因して、モーア21が急激に後方に押し出されるようになる虞を防止することができる。
【0049】
図2〜7に示すように、モーアデッキ37において、左右一対の第2ブラケット44は、その後縁上部44aが、下部側ほど機体前側寄りに位置するように湾曲形成されている。左右の第2リンク24は、対応する第2ブラケット44にピン連結される遊端部24Aが、機体前方側が開放された平面視略コの字状で、その左右の側壁部分24aの前部側が、前側ほど互いに離れる先広がり状に形成されている。左右の各側壁部分24aは、その前部側が後部側よりも下方に延出し、その延出する前部側の下側前縁部24bが、その上側ほど前側に位置する前傾姿勢に形成されている。そして、前述した刈り高さ調節機構35を操作して、左右の第2リンク24の下限高さ位置を、モーア21に対する取り付け用の高さ位置に設定した場合には、左右の各第2リンク24における左右の下側前縁部24bと、左右の各第2ブラケット44の後縁上部44aとが、接当可能な高さ位置に位置するように高さ設定されている。
【0050】
この構成から、トラクタ1の下腹部にモーア21を取り付ける場合には、左右の第2リンク24の下限高さ位置を、モーア21に対する取り付け用の高さ位置に設定した状態で、トラクタ1を、その左右の前輪8が左右の延出プレート61を介してモーア21を乗り越えるように前進させて行くと、このときに、左右の第2リンク24の遊端部24Aと左右の第2ブラケット44との間において、左右方向での許容範囲内の位置ずれが生じていれば、左右の前輪8がモーアデッキ37の前上部37Aから地上に降りる際に発生するモーア21に対する後方への押し出し力を利用して、トラクタ1の前進とともにモーア21が前進する不都合を招くことなく、左右の各第2リンク24における左右いずれかの下側前縁部24bを、対応する第2ブラケット44の後縁上部44aに対して交差状に接当させて、対応する後縁上部44aによって、左右方向の適正位置に摺接案内させることができるようになる。これにより、モーア21に対するトラクタ1の乗り越え走行に伴って、左右の各第2リンク24の遊端部24Aにおける左右の側壁部分24aの間に、対応する第2ブラケット44を確実に自動係入させることができる。
【0051】
そして、この自動係入後に、左右の各第2リンク24における遊端部24Aの後端が、対応する第2ブラケット44の後縁上部44aに接当すると、左右の各第2リンク24に備えた係止ピン67と、左右の各第2ブラケット44に穿設した係止孔44bとが対向するように設定されており、この対向状態で、支持部材68との係合により押しバネ69の付勢に抗して係止解除位置に固定されている係止ピン67を操作して、支持部材68との係合を解除すれば、左右の各第2リンク24の遊端部24Aを対応する第2ブラケット44に簡単にピン連結することができる。
【0052】
トラクタ1の下腹部からモーア21を取り除く場合には、係止ピン67を、押しバネ69の付勢に抗して支持部材68に係合させた後、油圧シリンダの作動で左右の第2リンク24を上昇揺動させるようにすれば、左右の各第2リンク24における遊端部24Aを、対応する第2ブラケット44から上方に離間して、モーア21に対するトラクタ1の左右の後輪11の乗り越えを許容する高さ位置に位置させることができる。
【0053】
〔別実施形態〕
【0054】
〔1〕作業車1としては、その中腹部にモーア21の着脱を許容するものであればトラクタに限定されるものではない。
【0055】
〔2〕モーア21の構成としては種々の変更が可能である。例えば、ブレードの回転に伴って発生する搬送風により、モーアデッキ37における前上部37Aなどの内部通路37Bを介して、後端に形成した排出口37Cから排出するリヤディスチャージ仕様に構成されたものであってもよい。また、ブレードで刈り取った刈草を、モーアデッキ37の内部に滞留させて細断した後に、モーアデッキ37の下方の地面に放出落下させるマルチング仕様に構成されたものであってもよい。さらに、モーアデッキ37の内部に2枚のブレードを備えて構成されたものであってもよい。
【0056】
〔3〕伝動機構38としては、作業車1からの動力を、ベベルギヤや伝動軸などを介してブレードの回転軸36に伝達するように構成された軸伝動式のものであってもよい。
【0057】
〔4〕伝動カバー39としては、伝動機構38の全体を上方から覆うように構成されたものであってもよい。
【0058】
〔5〕延出部61を、ボルト・ナットなどによって伝動カバー39に着脱可能に連結するようにしてもよい。
【0059】
〔6〕図8に示すように、延出部61としては、伝動カバー39からモーアデッキ37の後端部に向けて、モーアデッキ37の上面に沿うようにして後向きに延出されたものであってもよい。
【0060】
〔7〕図9に示すように、延出部61としては、モーアデッキ37の後端部近傍に形成した滑止部分61Bからさらに後方に延出する後側部分61Cを有するとともに、その後側部分61Cが、滑止部分61Bから後下方に向けて後下がりに傾斜するように形成されたものであってもよい。なお、この構成においては、後側部分61Cが、車輪8,11の踏み付けに伴って、地面から離間している状態〔図9の(イ)参照〕から接地する状態〔図9の(ロ)参照〕に弾性変形するように構成すれば、刈り取り作業時には、後側部分61Cの接地による芝などの損傷を回避することができ、また、作業車1の乗り越え時には、車輪8,11が延出部61に乗り上がる際の反動で、伝動カバー39の前端側がモーアデッキ37の前上部37Aから浮き上がる虞をより確実に阻止することができる。
【0061】
〔8〕延出部61における滑止部分61Bの数量や形状などは種々の変更が可能である。例えば、延出部61に、平面視横一直線状、平面視ハの字状、平面視逆ハの字状、平面視ヘの字状、あるいは、平面視逆ヘの字状、となるように複数の滑止部分61Bを上向きに突出形成してもよい。また、延出部61に、形状の異なる複数の滑止部分61Bを上向きに突出形成してもよい。さらに、延出部61に、別部材を上向きに突出するように溶接することによって滑止部分61Bを形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】トラクタにモーアを装着した状態を示すトラクタの全体側面図
【図2】延出部および滑止部分を示す要部の一部破断側面図
【図3】延出部および滑止部分を示す要部の平面図
【図4】延出部および滑止部分を示す要部の斜視図
【図5】滑止部分の作用を示す要部の一部破断側面図
【図6】第2リンクと第2ブラケットとの連結構造を示す要部の側面図
【図7】第2リンクと第2ブラケットとの連結構造を示す要部の斜視図
【図8】別実施形態〔6〕の構成を示す要部の一部破断側面図
【図9】別実施形態〔7〕の構成を示す要部の一部破断側面図
【符号の説明】
【0063】
1 作業車
8 車輪
11 車輪
37 モーアデッキ
37A 前上部
37B 内部通路
38 伝動機構
39 伝動カバー
61 延出部
61A 前側部分(傾斜部分)
61B 滑止部分
61C 後側部分
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成19年3月30日(2007.3.30)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎


【公開番号】 特開2008−245608(P2008−245608A)
【公開日】 平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願番号】 特願2007−93500(P2007−93500)