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【発明の名称】 刈取収穫機の刈取昇降制御装置
【発明者】 【氏名】仲島 鉄弥

【氏名】高原 一浩

【要約】 【課題】刈取部の損傷を回避することができながらも、倒伏している茎稈の刈取作業をも良好に行える刈取収穫機の刈取昇降制御装置を提供する。

【解決手段】刈取部2を走行機体Vに対して昇降操作する昇降操作手段C1と、刈取部2に備えられた接地式の対地高さ検出手段Aと、刈取部2の目標対地高さを設定する目標対地高さ設定手段54と、対地高さ検出手段A及び目標対地高さ設定手段54の情報に基づいて昇降操作手段C1を制御する刈取昇降制御を実行する制御手段Hとが備えられ、制御手段Hが、刈取昇降制御として、目標対地高さ設定手段54にて設定される目標対地高さが上昇速度切換用設定高さ以上のときよりも、上昇速度切換用設定高さ未満のときの方が、刈取部2を低速で上昇させるように、昇降操作手段C1を制御するよう構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取部を走行機体に対して昇降操作する昇降操作手段と、
前記刈取部に備えられた接地式の対地高さ検出手段と、
前記刈取部の目標対地高さを設定する目標対地高さ設定手段と、
前記対地高さ検出手段及び前記目標対地高さ設定手段の情報に基づいて前記昇降操作手段を制御する刈取昇降制御を実行する制御手段とが備えられた刈取収穫機の刈取昇降制御装置であって、
前記制御手段が、
前記刈取昇降制御として、前記目標対地高さ設定手段にて設定される前記目標対地高さが上昇速度切換用設定高さ以上のときよりも、前記上昇速度切換用設定高さ未満のときの方が、前記刈取部を低速で上昇させるように、前記昇降操作手段を制御するよう構成されている刈取収穫機の刈取昇降制御装置。
【請求項2】
前記走行機体の走行速度を検出する走行速度検出手段が備えられ、
前記制御手段が、
刈取昇降制御として、前記目標対地高さ設定手段にて設定される前記目標対地高さが前記上昇速度切換用設定高さ未満のときであっても、前記走行速度検出手段にて検出される走行速度が設定速度以上である場合には、前記目標対地高さが前記上昇速度切換用設定高さ以上のときにおける速度で前記刈取部を上昇させるように、前記昇降操作手段を制御するよう構成されている請求項1に記載の刈取収穫機の刈取昇降制御装置。
【請求項3】
前記制御手段が、
前記刈取昇降制御として、前記対地高さ検出手段及び前記目標対地高さ設定手段の情報に基づいて前記刈取部を上昇させるときは予め設定した目標量を上昇させるように、前記昇降操作手段を制御するよう構成されている請求項1又は2に記載の刈取収穫機の刈取昇降制御装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取部を走行機体に対して昇降操作する昇降操作手段と、前記刈取部に備えられた接地式の対地高さ検出手段と、前記刈取部の目標対地高さを設定する目標対地高さ設定手段と、前記対地高さ検出手段及び前記目標対地高さ設定手段の情報に基づいて前記昇降操作手段を制御する刈取昇降制御を実行する制御手段とが備えられた刈取収穫機の刈取昇降制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる刈取収穫機の刈取昇降制御装置において、従来では、制御手段が、刈取昇降制御として、対地高さ検出手段の検出値と目標対地高さの設定値との偏差が大きいほど刈取部を高速で上昇させるように、昇降操作手段を制御するように構成したものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−201588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成では、対地高さ検出手段の検出値と目標対地高さの設定値との偏差が大きいほど刈取部を高速で上昇させるように、昇降操作手段を制御するものであるから、倒伏している茎稈の刈取作業を良好に行えなかったり、刈取部の損傷を回避することができない虞があった。
つまり、倒伏している茎稈の刈取作業において、刈取部の上昇操作が行われると、例えば迎え刈り形態で刈取作業を行っている状態においては、刈取部の上部に覆いかぶさるような状態となっている茎稈が、刈取部の上昇に伴って引きちぎられたり、引き抜かれる虞があり、又、追い刈り形態で刈取作業を行っている場合にも同様に、刈取部に備えさせた引起し装置にて係止されながら引起されている茎稈が、刈取部の上昇に伴って引きちぎられたり、引き抜かれる虞があるため、倒伏している茎稈の刈取作業においては、刈取部を低速で上昇させることが好ましいものであるにも拘わらず、従来構成では、対地高さ検出手段の検出値と目標対地高さの設定値との偏差が大きい場合には、刈取部を高速で上昇させることになり、倒伏している茎稈の刈取作業を良好に行えない虞があった。
又、立姿勢の茎稈の刈取作業において、高速で走行しながら刈取作業を行なうものであり、刈取部が地面に突っ込むことを回避するため、刈取部を高速で上昇させることが好ましいものであるにも拘わらず、従来構成では、対地高さ検出手段の検出値と目標対地高さの設定値との偏差が小さい場合には、刈取部を低速で上昇させることになり、刈取部が損傷する虞があった。
【0005】
本発明の目的は、刈取部の損傷を回避することができながらも、倒伏している茎稈の刈取作業をも良好に行える刈取収穫機の刈取昇降制御装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の刈取収穫機の刈取昇降制御装置は、刈取部を走行機体に対して昇降操作する昇降操作手段と、前記刈取部に備えられた接地式の対地高さ検出手段と、前記刈取部の目標対地高さを設定する目標対地高さ設定手段と、前記対地高さ検出手段及び前記目標対地高さ設定手段の情報に基づいて前記昇降操作手段を制御する刈取昇降制御を実行する制御手段とが備えられたものであって、その第1特徴構成は、前記制御手段が、前記刈取昇降制御として、前記目標対地高さ設定手段にて設定される前記目標対地高さが上昇速度切換用設定高さ以上のときよりも、前記上昇速度切換用設定高さ未満のときの方が、前記刈取部を低速で上昇させるように、前記昇降操作手段を制御するよう構成されている点にある。
【0007】
すなわち、目標対地高さが上昇速度切換用設定高さ以上であるのは、圃場が乾田で、立姿勢の茎稈の刈取作業を行なう場合であることが想定されるものであり、このような場合においては、刈取部を高速で上昇させるようにしても、立姿勢の茎稈を引き抜く等のトラブルが発生し難い点に鑑みて、刈取部を高速で上昇させるようにして、刈取部が地面に突っ込むことを極力回避させるようにするのである。
一方、目標対地高さが上昇速度切換用設定高さ未満であるのは、圃場が湿田で、倒伏している茎稈の刈取作業を行なう場合であることが想定されるものであり、このような場合においては、刈取部を高速で上昇させると、倒伏姿勢の茎稈を引き抜く等のトラブルが発生し易い点に鑑みて、刈取部を低速で上昇させるようにして、茎稈を引き抜く等のトラブルが発生することを極力回避させるようにするのである。
【0008】
したがって、刈取部の損傷を回避することができながらも、倒伏している茎稈の刈取作業をも良好に行える刈取収穫機の刈取昇降制御装置を得るに至った。
【0009】
本発明の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記走行機体の走行速度を検出する走行速度検出手段が備えられ、前記制御手段が、刈取昇降制御として、前記目標対地高さ設定手段にて設定される前記目標対地高さが前記上昇速度切換用設定高さ未満のときであっても、前記走行速度検出手段にて検出される走行速度が設定速度以上である場合には、前記目標対地高さが前記上昇速度切換用設定高さ以上のときにおける速度で前記刈取部を上昇させるように、前記昇降操作手段を制御するよう構成されている点を特徴とする。
【0010】
すなわち、目標対地高さが前記上昇速度切換用設定高さ未満のときであっても、前記走行速度検出手段にて検出される走行速度が設定速度以上である場合には、圃場が乾田で、立姿勢の茎稈の刈取作業を行う場合であることを鑑みて、刈取部を高速で上昇させるようにして、刈取部が地面に突っ込むことを一層回避させるようにするのである。
【0011】
したがって、刈取部の損傷を一層回避することができる刈取収穫機の刈取昇降制御装置を得るに至った。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記刈取昇降制御として、前記対地高さ検出手段及び前記走行速度検出手段の情報に基づいて前記刈取部を上昇させるときは予め設定した目標量を上昇させるように、前記昇降操作手段を制御するよう構成されている点を特徴とする。
【0013】
すなわち、前記制御手段は、前記対地高さ検出手段及び前記目標対地高さ設定手段の情報に基づいて前記刈取部を上昇させるときは予め設定した目標量を上昇させるように昇降操作手段を制御するので、刈取部が低い位置にあって地面に突っ込むおそれがあるような場合には、刈取部は予め設定した目標量を上昇するので、刈取部が土中に突っ込むことを回避することができる。
したがって、刈取部が土中に突っ込むことを回避することができる刈取収穫機の刈取昇降制御装置を得るに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る刈取収穫機の刈取昇降制御装置の第1実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に刈取収穫機としてのコンバインの側面図が示されている。このコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1L,1Rを備えて走行可能に構成された走行機体Vの前部に、圃場に植えられた穀稈を刈り取り、刈り取った穀稈を後方に向けて搬送するように構成された刈取部2が昇降自在に備えられ、走行機体Vには、刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置3、脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク4、搭乗運転部5等を備えて構成されている。
【0015】
前記刈取部2は、刈取条数分の刈取対象条の植立穀稈を振り分け分草する複数の鋭角状の分草具17、植立穀稈を立姿勢に引起す引起し装置6、引起された穀稈の株元側を切断するバリカン型刈取装置7、刈取られた穀稈を徐々に横倒れ姿勢に姿勢変更させながら後方に搬送する縦搬送装置8等で構成され、横向きの軸芯P1まわりで回動自在に走行機体Vに支持されている伝動ケース9の先端側に連結されている昇降操作手段としての昇降用油圧シリンダC1(以下、昇降シリンダという)により駆動昇降自在に構成されている。
【0016】
図2に示すように、前記伝動ケース9の先端部に中央部が連結している機体横向きの伝動ケース15、この横向き伝動ケース15が備えている支持部材の機体横方向での複数箇所から機体前方向きに複数本の丸パイプ状の分草フレーム16を延出させて、それら複数本の分草フレーム16の基端部にわたって刈取装置7を取り付け、各分草フレーム16の先端部に分草具17を固定してある。
【0017】
そして、このコンバインでは、左右の走行装置1L,1Rの接地部に対する刈取部2を備えた走行機体Vの左右傾斜角を変更操作自在な姿勢変更操作手段100が設けられている。以下、その構成について説明する。
【0018】
先ず、左右の走行装置1L,1Rの走行機体Vへの取付構造を説明する。尚、左右の走行装置1L,1Rは夫々同一構成であるから、そのうち左側の走行装置1Lについて以下に説明し、右側の走行装置1Rについてはその説明を省略する。
図3に示すように、走行機体Vを構成する前後向き姿勢の主フレーム10に対して固定される支持フレーム11の前端側には駆動輪体12aが回転自在に支持されるとともに、複数個の遊転輪体12bを前後方向に並べた状態で枢支し、且つ、後端部にテンション輪体12cを支持したトラックフレーム13が支持フレーム11に対して上下動可能に装着されている。そして、駆動輪体12aとテンション輪体12c及び各遊転輪体12bにわたり無端回動体であるクローラベルトBが巻回されている。
【0019】
前記支持フレーム11の前部側には水平軸芯P2周りで回動可能に側面視で略L字形に構成される前ベルクランク14aが枢支され、支持フレーム11の後部側には水平軸芯P3周りで回動可能に側面視で略L字形に構成される後ベルクランク14bが枢支されている。そして、前ベルクランク14aの下方側端部がトラックフレーム13の前部側箇所に枢支連結され、後ベルクランク14bの下方側端部は、ストローク吸収用の補助リンク14b1を介して、トラックフレーム13の後部側箇所に枢支連結されている。一方、前後ベルクランク14a,14bの夫々の上方側端部には、夫々、油圧シリンダC2、C3のシリンダロッドが連動連結されている。前記各油圧シリンダC2、C3のシリンダ本体側は主フレーム10における横フレーム部分に枢支連結されており、前記各油圧シリンダC2、C3は夫々複動型の油圧シリンダにて構成されている。
【0020】
そして、前ベルクランク14aに対応する油圧シリンダC2(以下、左前シリンダという)を最も伸張させるとともに、後ベルクランク14bに対応する油圧シリンダC3(以下、左後シリンダという)を最も短縮させると、図3に示すように、トラックフレーム13が支持フレームに受け止め支持され、トラックフレームが主フレームに最も近づいてほぼ平行状態となる。この状態を下限基準姿勢という。
【0021】
そして、図3に示すような前記下限基準姿勢にある状態から、左前シリンダC2を短縮作動させ、且つ、左後シリンダC3を伸長作動させると、図4に示すように、走行機体Vが接地部に対して平行姿勢のまま離間する方向に姿勢変更(上昇操作)することになり、逆に、図4に示す状態から、左前シリンダC2を伸長作動させ、且つ、左後シリンダC3を短縮作動させると、走行機体Vが接地部に対して平行姿勢のまま近づく方向に姿勢変更(下降操作)することになる。又、左前シリンダC2又は左後シリンダC3の一方を作動させることで、前下がり状態にしたり後下がり状態に姿勢変更させることもできる。
【0022】
右側の走行装置1Rにおいても同様に、機体前部側に位置する右前シリンダC4と、機体後部側に位置する右後シリンダC5とが夫々備えられ、左側の走行装置1Lと同様な動作を行う構成となっている。従って、前記姿勢変更操作手段100が4個の油圧シリンダC2,C3,C4,C5を備えて構成される。尚、詳述はしないが、4個の油圧シリンダC2,C3,C4,C5の夫々に対応させて、各ベルクランク14a,14bの回動量に基づいて前記各油圧シリンダの操作量を検出するストロークセンサが設けられている。
【0023】
次に、走行機体Vの左右傾斜姿勢を制御するための構成について説明する。
図5に示すように、制御手段としてのマイクロコンピュータ利用の制御装置Hが設けられ、この制御装置Hに、刈取部2を備えた走行機体Vの水平基準面からの左右傾斜角を検出する重力式の傾斜角検出手段としての左右傾斜角センサ45と、姿勢変更スイッチユニットSUの夫々の情報が入力されている。そして、制御装置から4個の機体姿勢変更用の油圧シリンダC2〜C5を油圧制御するための油圧制御用の電磁弁46〜49に対する駆動信号が夫々出力されている。尚、図示しないが、制御装置には前記各ストロークセンサの検出情報も入力される。
【0024】
図6に示すように、姿勢変更スイッチユニットSUには、刈取部2を備えた走行機体Vの目標とする左右傾斜角(目標傾斜角)を設定する目標傾斜角設定手段としての左右傾斜角設定器50、姿勢制御の一例としての水平制御の入り切りを指令する姿勢制御用のモード切換手段としての水平自動スイッチ51、水平制御の入り状態を示す水平ランプ52、及び、十字レバー式の操作具53にて作動する手動指令用の右上げスイッチ53a、左上げスイッチ53b、機体上げスイッチ53c及び機体下げスイッチ53dが設けられている。
【0025】
又、上記左右傾斜角設定器50には、水平スイッチ50a、左傾斜スイッチ50b及び右傾斜スイッチ50cが備えられている。つまり、水平スイッチ50aを押すと、目標傾斜角として水平状態に対応する値が設定され、左傾斜スイッチ50bを押すと、現在設定されている目標傾斜角が段階的に左傾斜方向に修正され、右傾斜スイッチ50cを押すと、現在設定されている目標傾斜角が段階的に右傾斜方向に修正される。そして、左右傾斜角設定器50にて設定されている左右傾斜角については、搭乗運転部5の前方側に設けた表示装置(図示しない)に、図7に示すように、1〜7の7段階(目標傾斜角=0の第4段階が水平状態に対応する値を表わし、プラスの角度が右傾斜方向、マイナスの角度が左傾斜方向を夫々表わす)のいずれであるかが表示される。
【0026】
そして、水平自動スイッチ51にて水平制御の入りが指令されると、制御装置Hは水平制御を実行する状態つまり姿勢制御実行モードに切り換わり、水平制御の切りが指令されると、制御装置Hは水平制御を実行しない制御停止状態つまり姿勢制御停止モードに切り換わることになる。
【0027】
前記制御装置Hによる前記水平制御について簡単に説明する。
左右傾斜角検出センサ45にて検出される左右傾斜角の検出値と左右傾斜角設定器50にて設定された目標傾斜角との偏差が制御用の不感帯を走行機体Vの左傾斜側に外れていれば、偏差が制御用の不感帯に収まるまで次の動作を行う。つまり、右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に達するまで、右前シリンダC4を伸長作動させるとともに右後シリンダC5を短縮作動させ、右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作されれば、左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが上限位置に達するまで、左前シリンダC2を短縮作動させるとともに左後シリンダC3を伸長作動させる。
【0028】
前記偏差がローリング用の不感帯を走行機体Vの右傾斜側に外れていれば、偏差が制御用の不感帯に収まるまで次の動作を行う。つまり、左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが下限位置に達するまで、左前シリンダC2を伸長作動させるとともに左後シリンダC3を短縮作動させ、左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが下限位置に操作されれば、右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが上限位置に達するまで、右前シリンダC4を短縮作動させるとともに右後シリンダC5を伸長作動させる。
【0029】
又、このコンバインは、刈取部2の対地高さを検出する複数の対地高さ検出手段としての対地高さ検出装置Aと、刈取部2の目標対地高さを設定する目標対地高さ設定手段としての目標対地高さ設定器54とが備えられ、前記制御装置Hが前記対地高さ検出装置A及び前記目標対地高さ設定器54の情報に基づいて、昇降シリンダC1を制御する刈取昇降制御を実行するよう構成されている。制御装置Hは、刈取昇降制御を実行するときの制御モードとして、上昇並びに下降を自動で実行する自動下降実行モード(自動昇降モード)と、地面への突っ込みを回避するために刈取部2の上昇操作は自動で行うが下降操作は手動指令にて行う自動下降停止モード(自動上昇モード)とに切り換え自在に構成されている。
【0030】
次に、対地高さ検出装置Aの構成について説明する。
図2に示すように、刈取部2の複数の分草フレーム16のうち、機体横幅方向の左右両側端部よりも1個だけ幅方向内側に位置する2つの分草フレーム16において、分草具17の機体後部側に刈取部2の対地高さを検出する対地高さ検出装置Aが夫々備えられている。つまり、対地高さ検出装置Aは刈取部2の刈幅方向に位置を異ならせて複数(具体的には2個)配備される構成となっており、各対地高さ検出装置Aは、下方付勢される状態で刈取部2に昇降自在に支持された接地体の地面との接触に伴って変化する昇降位置に基づいて刈取部2の対地高さを検出する構成となっている。
【0031】
以下、対地高さ検出装置Aの具体的な構成について説明する。
図8に示すように、対地高さ検出装置Aが配備される分草フレーム16の前部は山形に屈曲されており、この分草具フレーム16の前端部をプレス加工して縦板状に形成した支持部16aに、分草具17の背部に連結固定された縦向きの取付け板17aが2本のボルト18によって側方から締付け固定されるとともに、取付け板17aに対地高さ検出装置Aが支持されている。取付け板17aに形成されたボルト挿通孔17bは後上がりに傾斜した長孔に形成されており、その長孔範囲内で分草具17および対地高さ検出装置Aを一体に斜め上下方向に位置調節することができるようになっている。
【0032】
対地高さ検出装置Aは、前記取付け板17aに連結支持されたセンサブラケット21、このセンサブラケット21の側面に取付けられた検知ケース22、検知ケース22の側面前部に横向きの前部支点Xを中心に上下揺動可能に支持された接地体23、検知ケース22に取付けられた回転式ポテンショメータ利用の角度センサ24等で構成されている。
【0033】
図9及び図10に示すように、前記センサブラケット21は厚板材を平面視でJ字形に屈曲して形成されたものであり、その前端から突設したローリング支軸25が、取付け板17aの後端部に前後向きに固設されたボス部26に後方から回動自在に挿入連結され、対地高さ検出装置A全体が前後に向かうローリング支点R周りに回動可能に支持されている。なお、ボス部26に外周からねじ込み装着した止めネジ19の先端をローリング支軸26の外周に形成した環状溝20に係合させることで、ローリング支軸25の抜け止めを行っている。
【0034】
図11及び図12に示すように、前記ボス部26には捩りバネ27が外嵌装着され、その両遊端部27a,27bが取付け板17aの後端部を左右から所定の初期弾性力をもって挟持するとともに、前記センサブラケット21の前端上部から前向きに突設したピン28が捩りバネ27の両遊端部27a,27bで挟持されている。
【0035】
このように取付け板17aを介して一定姿勢に保持された捩りバネ27の両遊端部27a,27bがピン28を左右から挟持することで、ローリング支点R周りに回動自在なセンサブラケット21は、接地体23が直下方に位置する所定の中立姿勢に弾性的に保持されている。ローリング支点R周りの設定以上の大きい回動力がセンサブラケット21に外部から作用すると、センサブラケット21はピン28によって捩りバネ27における遊端部27a,27bの一方を押し広げ変形しながら回動移動され、外力が無くなるとピン28に働く捩りバネ27の弾性復元力によってセンサブラケット21が元の中立姿勢にまで回動復帰されるようになっている。従って、接地体23が接地されたままで走行機体が旋回走行して接地体23に大きい外力が横向きに作用しても、対地高さ検出装置A全体がローリング回動することで対地高さ検出装置Aの損傷が未然に回避される。
【0036】
図10に示すように、取付け板17aの左右両側部にはガイドリブ29が後拡がり状に突設されており、前進走行に伴ってセンサブラケット21の回動支点部に近づく雑草やワラ屑などの夾雑物をガイドリブ29で横側方に案内して後方に逃がすよう構成されている。
【0037】
図9に示すように、センサブラケット21の後部には固定支軸31が横向きに突設されており、この固定支軸31に検知ケース22が後部支点Y周りに回動自在に支持されている。又、検知ケース22の前部には前部支点Xをなす支点軸32が回動自在に横架支承され、この支点軸32のケース外方突出端に接地体23の前端部が所定の回動姿勢で一体回動可能に連結固定されている。
【0038】
前記接地体23は、前後に長い帯板状の板材で形成され、前端部横一側には取付け基部23aが一体形成され、この取付け基部23aが前記支点軸32の突出端部に脱着可能にボルト締め固定されている。
【0039】
前記角度センサ24は検知ケース22の側面にネジ連結され、そのセンサ軸24aのケース内端部に固着した部分小径ギヤ33と、前記支点軸32に固着した部分大径ギヤ34とが咬合されている。従って、接地体23の上下揺動によって支点軸32が回動すると、それが増幅されてセンサ軸24aに伝達され、接地体23の小さい上下動が角度センサ24で大きい角度変化として検知されるようになっている。
【0040】
支点軸32に捩りバネ35が外嵌装着され、この捩りバネ35の一端がケース内に係止固定されるとともに、捩りバネ35の他端が部分大径ギヤ34に差込み連結されて、捩りバネ35のねじり弾性力によって接地体23が下方に向けて揺動付勢されるよう支点軸32が回動付勢され、接地体23が地面の高さ変化に円滑に追従して上下揺動するようになっている。
【0041】
接地体23が下方に大きく揺動すると、接地体23の前端角部に形成された段部23bが、検知ケース22の外面に突設された突部22aに前方から接当することで、接地体23の下方側への揺動限度が規制されるようになっている。
【0042】
図9及び図11に示すように、前記検知ケース22の内部に突設した支点ボス部36に捩りバネからなる戻しバネ37が外嵌装着されるとともに、固定支軸31のケース内端部にはフランジ38が一体回動可能に装着されており、戻しバネ37の一端がケース内に係止固定されるとともに、戻しバネ37の他端がフランジ38に差込み連結され、戻しバネ37のねじり弾性力によって検知ケース22が後部支点Y周りに前下がり方向に回動付勢されている。
【0043】
検知ケース22は、左右の分割ケースをボルト締め連結して構成されており、前部上方におけるボルト頭部40がセンサブラケット21の上端縁に受け止め支持されることで検知ケース22の前下がり回動限度が規制されている。センサブラケット21の上端縁にボルト頭部40が接当支持されて検知ケース22が前下がり回動限度にある時、接地体23の揺動支点である前部支点Xより検知ケース22の回動支点である後部支点Yが少し高く位置するように設定されている。
【0044】
前記対地高さ検出装置Aは、使用しない時や路上走行を行う時などにおいて、以下のような格納ロック手段によって振り上げ回動した格納姿勢に固定しておくことができる。つまり、図13及び図14に示すように、検知ケース22の下部にはリブ状の突片22bが設けられ、検知ケース22を手動で大きく前上がり回動させた後、突片22bに形成したピン孔41とセンサブラケット21に形成したピン孔42とに亘って頭付き連結ピン43を挿通して止めピン44で抜け止めすることで、対地高さ検出装置Aを大きく前上がり回動させた格納姿勢に格納ロックすることができるよう構成されている。対地高さ検出装置Aが格納姿勢にあるとき、回動限界まで付勢回動された接地体23の下端は分草具17における取付け板17aの下端より上方に位置しており、分草具17が接地するまで刈取り部3が下降されても、格納姿勢にある接地体23が地面に触れて変形することはない。
【0045】
刈取部2が刈取り用の作業高さにあって前進移動している状態では、図11に示すように、接地体23の後端部が検知ケース22の後部支点Yよりも後方において下方に付勢される状態で接地しており、この後端部に働く接地反力は検知ケース22を前下がり方向に回動させるよう働き、検知ケース22は自重、戻しバネ39の張力、接地体23からの接地反力、および、接地体23の接地摺動に伴う引きずり抵抗、等によって所定の前下がり回動限度である検知用位置に安定保持され、この状態で地面Gの高さ変化に対応して接地体23が前部支点X周りに上下揺動し、その揺動角度が角度センサ24によって検知されることになる。
【0046】
走行機体Vが後進した際に、接地体23が地上に突出している障害物に引っ掛かると、接地体23に前方向きの外力が働き、検知ケース22が後部支点Yを中心にして前上がり回動して上方に退避し、屈曲された分草フレーム16の下方空間において対地高さ検出装置Aが退避位置まで振り上がることになる。そして、前進に切換わると、退避位置の検知ケース22は前下がり回動して自動的に元の検知用位置まで復帰回動して刈高さ検知可能な状態になる。尚、戻しバネ37は、後部支点Yにおける回動抵抗が増大した場合でも確実に前下がり回動復帰が行われるように装備されたものであり、接地体23を接地付勢するための捩りバネ35に比べて弱いものが使用されている。
【0047】
そして、搭乗運転部5には、刈取部2の目標対地高さを設定するための目標対地高さ設定手段としての目標対地高さ設定器54、刈取昇降制御を実行する自動入り状態と制御を実行しない自動切り状態とに切換え自在な自動昇降入切スイッチ55、刈取昇降制御における制御モードを前記自動下降実行モードと前記自動下降停止モードのいずれかに切換え自在な自動下降用のモード切換手段としての刈高昇降モード切換スイッチ56、手動操作に基づいて刈取部2を昇降操作させるための昇降レバー57、この昇降レバー57を中立位置から上昇位置に操作するとオンする上昇スイッチSW1、昇降レバー34を中立位置から下降位置に操作するとオンする下降スイッチSW2夫々が設けられ、図5に示すように、上記各スイッチ55,56,SW1,SW2の検出情報、及び、目標対地高さ設定器54の情報は制御装置Hに入力され、制御装置Hからは昇降シリンダC1を油圧制御するための油圧制御用の電磁弁58に対する駆動信号が出力されている。
【0048】
前記目標対地高さ設定器54は、つまみ54aを回転操作して目標対地高さ(目標対地高さに相当する)を複数段階(例えば9段階)に切り換える構成となっており、操作領域の中央部(レベル5)に操作すると、標準的な刈高さ(例えば30mm)である標準値が設定され、それよりも右方向(レベル6〜9)に回動すると標準値よりも高い刈高さが設定され、中央部より左方向(レベル1〜4)に回動すると標準値よりも低い刈高さが設定される構成となっている。
【0049】
又、刈取部2の走行機体Vに対する枢支部に刈取部2の機体に対する高さを検出する対機体高さ検出手段としてのポテンショメータ形式の対機体高さセンサ59が設けられ、この対機体高さセンサ59の検出情報も制御装置Hに入力される構成となっている。又、クローラ走行装置1L,1Rへの走行駆動系に、走行出力軸の回転速度を検出する走行速度検出手段としての回転速度センサ60が備えられ、制御装置Hは、この回転速度センサ60の検出情報と時間経過情報とから走行機体の走行距離を演算にて求めるように構成されている。
【0050】
前記制御装置Hは、昇降レバー57が上昇位置に操作されて上昇スイッチSW1がオンして上昇が指令されると、上昇が指令されている間は刈取部2を上昇させるべく昇降シリンダC1を作動させる。又、昇降レバー57が下降位置に操作されて下降スイッチSW2がオンして下降が指令されると、その下降が指令されている間は刈取部2を下降させるべく昇降シリンダC1を作動させる。このような手動昇降指令による操作は後述の刈取昇降制御よりも優先して実行される。この昇降レバー57の指令による昇降操作を行ったときは、昇降レバー57の指令を停止させると、指令が停止されたときの昇降位置で刈取部2が昇降停止してその位置で保持されることになる。
【0051】
又、制御装置Hは、自動昇降入切スイッチ55がオンに設定されること、且つ、手動昇降指令による操作が行われて刈取部2の対機体高さが昇降可能範囲の中間レベルに設定された設定高さを下回ることの各条件が成立した場合に、前記各対地高さ検出装置Aの検出情報に基づく刈取昇降制御を実行するように構成されている。尚、この刈取昇降制御を実行している状態においても、昇降レバー57による手動昇降指令があれば優先して操作を実行することになる。
【0052】
そして、制御装置Hが、刈取昇降制御として、回転速度センサ60にて検出される走行速度が設定速度(0.8m/s)以上である場合には、2つの対地高さ検出装置Aのいずれか一方が目標対地高さよりも低い値を検出する少数検出状態である場合に刈取部2を上昇させ、且つ、回転速度センサ60にて検出される走行速度が設定速度未満である場合には、2つの対地高さ検出装置Aの夫々が目標対地高さよりも低い値を検出する多数検出状態である場合に刈取部2を上昇させる形態で、昇降シリンダC1を制御するよう構成されている。
【0053】
又、制御装置Hが、刈取昇降制御として、目標対地高さ設定器54にて設定される目標対地高さがレベル2よりも高い場合には、2つの対地高さ検出装置Aのいずれか一方が目標対地高さよりも低い値を検出する少数検出状態である場合に刈取部2を上昇させ、且つ、目標対地高さ設定器54にて設定される目標対地高さがレベル2以下である場合には、2つの対地高さ検出装置Aの夫々が目標対地高さよりも低い値を検出する多数検出状態である場合に刈取部2を上昇させる形態で、昇降シリンダC1を制御するよう構成されている。
【0054】
又、制御装置Hが、刈取昇降制御として、目標対地高さ設定器54にて設定される目標対地高さが上昇速度切換用設定高さ以上である場合よりも、上昇速度切換用設定高さ未満である場合の方が、刈取部2を低速で上昇させるように、昇降シリンダC1を制御するように構成されている。
【0055】
又、制御装置Hが目標対地高さが上昇速度切換用設定高さ未満であっても、走行速度が設定速度以上であるときは、刈取部2を高速で上昇させるように、昇降シリンダC1を制御するように構成されている。
【0056】
又、制御装置Hは、刈取昇降制御として、2個の対地高さ検出装置Aが、夫々、目標対地高さよりも高い値を検出した場合に刈取部2を下降させる形態で、昇降シリンダC1を制御する自動下降処理を実行するよう構成され、かつ、刈高昇降モード切換スイッチ56の切換指令に基づいて、自動下降処理を実行する自動下降実行モードと自動下降処理を実行をしない自動下降停止モードとに切り換わるように構成されている。
【0057】
又、制御装置Hは、刈取昇降制御として、対地高さ検出装置A及び回転速度センサ60の情報に基づいて刈取部2を上昇させるときは予め設定した目標量を上昇させ、且つ、対地高さ検出装置Aの情報に基づいて刈取部2を下降させるときは2個の対地高さ検出装置Aのいずれかの検出値が目標対地高さになるまで刈取部2を下降させるように、昇降シリンダC1を制御するよう構成されている。
【0058】
以下、制御装置Hにおける刈取昇降制御の具体的な制御動作について図15〜図18に示すフローチャートに基づいて説明する。尚、この刈取昇降制御を実行するための条件は、上述したように、自動昇降入切スイッチ55がオン操作されており、刈取部2の対機体高さが設定高さを下回っていることである。又、この処理は、所定単位時間(例えば10ms)毎に繰り返し実行されることになる。
【0059】
この刈取昇降制御においては、先ず、後述するような上昇操作を実行していない状態であり且つ自動下降実行モードが設定されていれば下降操作中であるか否かを判別し、下降操作中でなければ、下降判別タイミングになっているか否かを判別する(ステップ1〜4)。具体的には、前記回転速度センサ60の回転速度情報に基づいて演算にて求めた走行機体Vの走行距離が設定距離(30cm)に達する毎に下降判別タイミングであると判別するように構成されている。
【0060】
前記下降判別タイミングでなければ、目標対地高さ設定器54にて設定される目標対地高さがレベル1〜9のうちレベル2よりも高い側に設定されているかレベル2以下に設定されているかを判別する(ステップ5)。
【0061】
目標対地高さ設定器54にて設定される目標対地高さがレベル2以下に設定されているときは、車速が予め設定されている設定速度未満である場合には、2つの対地高さ検出装置Aの検出値が、夫々、目標対地高さ設定器54にて設定された目標対地高さよりも低い場合、具体的には目標対地高さに対して設定されている昇降制御用の不感帯を低い側に外れている場合に刈取部2を上昇させる上昇処理を実行する(ステップ5〜8)。
ちなみに、制御装置Hは、回転速度センサ60の回転速度情報に基づいて走行機体Vの走行速度すなわち車速を演算にて求めるように構成されている。
【0062】
目標対地高さ設定器54にて設定される目標対地高さがレベル1〜9のうちレベル2よりも高い側に設定されている場合や、目標対地高さ設定器54にて設定される目標対地高さがレベル2以下に設定されていたとしても、車速が予め設定されている設定速度以上である場合には、2つの対地高さ検出装置Aのうちのいずれかのものの検出値が目標対地高さ設定器54にて設定された目標対地高さよりも低い場合、具体的には目標対地高さに対して設定されている昇降制御用の不感帯を低い側に外れている場合に、刈取部2を上昇させる上昇処理を実行する(ステップ5、6、9、8)。
【0063】
前記上昇処理は、図16に示すように、目標対地高さ設定器54にて設定された目標対地高さ及び回転速度センサ60にて求められた車速に基づいて上昇速度を演算にて求める。(ステップ20)。目標対地高さ設定器54にて設定された目標対地高さに対する対地高さ検出装置Aの検出値と目標対地高さとの偏差に基づいて、地面への突っ込みを回避させるために刈取部2を上昇させるのに必要な上昇用目標量を演算にて求める(ステップ21)。2つの対地高さ検出装置Aの検出値が、夫々、目標対地高さ設定器54にて設定された目標対地高さよりも低い場合には、その2つの対地高さ検出装置Aのうちの検出値が低い方のものの検出値を用いて上昇用目標量を求める。
尚、上昇用目標量を求める際には、2つの対地高さ検出装置Aのうちの検出値が高い方のものの検出値を用いるようにしたり、2つの対地高さ検出装置A夫々の検出値の平均値を用いるようにしてもよい。
【0064】
そして、対機体高さセンサ59の検出値に基づいて刈取部2が前記上昇用目標量を上昇したことを検出するまで上昇操作を実行し、上昇用目標量を上昇すると上昇操作を停止する(ステップ22〜24)。この上昇操作を実行しているときは、対地高さ検出装置Aの検出状態にかかわらず上昇用目標量を上昇するまで実行することになる(ステップ1)。
【0065】
前記上昇速度を求める処理は、図18に示すように、目標対地高さ設定器54にて設定される目標対地高さがレベル2以下に設定され、且つ、回転速度センサ60にて求められた車速が設定速度未満である場合には、上昇速度を低速の倒伏刈り用上昇速度にし(ステップ41〜43)、目標対地高さ設定器54にて設定される目標対地高さがレベル2よりも高い側に設定されている場合や、目標対地高さ設定器54にて設定される目標対地高さがレベル2以下に設定されていたとしても、回転速度センサ60にて求められた車速が設定速度以上である場合には、上昇速度を高速の通常刈り用上昇速度にする(ステップ41、42、44)。
【0066】
ステップ4にて下降判別タイミングになっていることが判別されると、そのとき、2つの対地高さ検出装置Aの検出値が夫々目標対地高さ設定器54にて設定された目標対地高さよりも高い場合、具体的には目標対地高さに対して設定されている昇降制御用の不感帯を高い側に外れている場合には、刈取部2を下降させる下降処理を実行する(ステップ10、11)。
【0067】
前記下降処理は、図17に示すように、目標対地高さ設定器54にて設定された目標対地高さに対する対地高さ検出装置Aの検出値と目標対地高さとの偏差に基づいて、刈取部2を下降させるのに必要な下降速度を演算にて求める(ステップ31)。そのとき、2つの対地高さ検出装置Aの検出値のうちの下方側に位置する検出値を用いて下降速度を求める。そして、下降操作を実行し、いずれかの対地高さ検出装置Aの検出値が不感帯内に入ると下降操作を停止する(ステップ32〜34)。
【0068】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0069】
(1)上記実施形態では、対地高さ検出手段Aを刈幅方向の位置を異ならせて2個備える構成としたが、対地高さ検出手段Aを1個備える構成としてもよく、対地高さ検出手段Aを刈幅方向の位置を異ならせて3個以上備える構成としてもよい。対地高さ検出手段Aを3個以上備える場合において、3個の対地高さ検出手段Aのうちのいずれか2個以上のもの、又は、全ての対地高さ検出手段Aが目標対地高さより低い値を検出したときに刈取部2を上昇させる構成としてもよい。
【0070】
(2)上記実施形態では、目標対地高さ設定器54にて設定される目標対地高さがレベル2以下に設定され、且つ、回転速度センサ60にて求められた車速が設定速度未満である場合には、上昇速度を低速の倒伏刈り用上昇速度にし、目標対地高さ設定器54にて設定される目標対地高さがレベル2よりも高い側に設定されている場合や、目標対地高さ設定器54にて設定される目標対地高さがレベル2以下に設定されていたとしても、回転速度センサ60にて求められた車速が設定速度以上である場合には、上昇速度を高速の通常刈り用上昇速度にする構成としたが、目標対地高さ設定器54にて設定される目標対地高さがレベル2以下に設定されている場合には、上昇速度を低速の倒伏刈り用上昇速度にし、目標対地高さ設定器54にて設定される目標対地高さがレベル2よりも高い側に設定されている場合には、上昇速度を高速の通常刈り用上昇速度にする構成としてもよい。
【0071】
(3)上記実施形態では、複数の対地高さ検出手段Aの全てが目標対地高さよりも高い値を検出した場合に刈取部2を下降させる形態で、昇降操作手段C1を制御する構成としたが、複数の対地高さ検出手段Aのうちの2個以上の対地高さ検出手段Aが夫々目標対地高さよりも高い値を検出した場合に刈取部2を下降させる構成としてもよい。
【0072】
(4)上記実施形態では、対地高さ検出手段A及び目標対地高さ設定手段54の情報に基づいて刈取部2を上昇させるときは予め設定した目標量を上昇させる構成としたが、上昇を開始してから設定時間が経過するまで上昇操作を実行する構成としてもよい。
【0073】
(5)上記実施形態では、対地高さ検出手段A及び目標対地高さ設定手段54の情報に基づいて刈取部2を下降させるときは複数の対地高さ検出手段Aのいずれかの検出値が目標対地高さになるまで刈取部2を下降させるように、昇降操作手段C1を制御する構成としたが、このような構成に代えて、予め設定した目標量を下降させる構成としてもよい。
【0074】
(6)上記実施形態では、制御装置Hが、刈取昇降制御として、複数の対地高さ検出手段Aの全てが目標対地高さよりも高い値を検出した場合に刈取部を下降させる形態で、昇降操作手段C1を制御する自動下降処理を実行するように構成され、かつ、自動下降用のモード切換手段56の切換指令に基づいて、自動下降処理を実行する自動下降実行モードと自動下降処理を実行をしない自動下降停止モードとに切り換わる構成としたが、下降処理は手動操作のみにて実行するようにしてもよい。
【0075】
(7)上記実施形態では、対地高さ検出手段Aがポテンショメータ式に構成されるものを示したが、接地体の上下変位量に応じて入り切り操作されるスイッチを備える構成のものでもよい。
【0076】
(8)上記実施形態では、姿勢制御として、走行機体Vの左右傾斜角を変更制御する構成としたが、走行機体Vの前後傾斜角を変更制御する構成としてもよく、走行機体Vの左右傾斜角を変更制御する構成と走行機体Vの前後傾斜角を変更制御する構成とを夫々備える構成としてもよい。
【0077】
(9)上記実施形態では、姿勢変更操作手段100として、4個の機体姿勢変更用の油圧シリンダC2,C3,C4,C5を備えて、それら機体姿勢変更用の油圧シリンダC2、C3、C4、C5の伸縮作動により、刈取部2を備えた走行機体Vの左右傾斜角を変更操作自在に設ける構成としたが、姿勢変更操作手段100が刈取部姿勢変更用の油圧シリンダを備えて、刈取部姿勢変更用の油圧シリンダの伸縮作動により、刈取部2の左右傾斜角を変更操作自在に設ける構成としてもよい。
【0078】
(10)上記実施形態では、刈取収穫機としてコンバインを例示したが、コンバインに限らず野菜やイグサの収穫機にも本発明は適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】刈取部の支持構造を示す平面図
【図3】クローラ走行装置の側面図
【図4】クローラ走行装置の側面図
【図5】制御ブロック図
【図6】スイッチユニットの平面図
【図7】水平制御の目標値の設定状態を示す図
【図8】刈高さ検出装置の側面図
【図9】刈高さ検出装置の切欠平面図
【図10】刈高さ検出装置の切欠平面図
【図11】刈高さ検出装置の縦断側面図
【図12】刈高さ検出装置のローリング構造を示す縦断正面図
【図13】振り上げ格納した刈高さ検出装置を示す側面図
【図14】刈高さ検出装置の格納ロック構造を示す正面図
【図15】制御動作のフローチャート
【図16】制御動作のフローチャート
【図17】制御動作のフローチャート
【図18】制御動作のフローチャート
【符号の説明】
【0080】
2 刈取部
54 目標対地高さ設定手段
56 自動下降用のモード切換手段
60 走行速度検出手段
A 接地式の対地高さ検出手段
C1 昇降操作手段
H 制御手段
V 走行機体
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成19年3月30日(2007.3.30)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎


【公開番号】 特開2008−245595(P2008−245595A)
【公開日】 平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願番号】 特願2007−92585(P2007−92585)