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【発明の名称】 コンバインのクラッチ操作装置
【発明者】 【氏名】米田 豊

【要約】 【課題】脱穀クラッチと刈取りクラッチとが入り状態になった状態と、脱穀クラッチが入り状態で刈取りクラッチが切り状態になった状態とを小型な電動モータでかつ構造簡単に得る。

【解決手段】脱穀クラッチ操作部14bに脱穀クラッチ連動機構32を介して連動された脱穀クラッチ操作体31と、刈取りクラッチ操作部17bに刈取りクラッチ連動機構34を介して連動された刈取りクラッチ操作体33とが電動モータ22によって一体に回転操作される。脱穀クラッチ操作体31と刈取りクラッチ操作体33とが切り域から正回転方Xに回転操作され、脱穀クラッチ操作体31が死点Dの手前に位置すると、脱穀クラッチ操作体31が入り域に、刈取りクラッチ操作体33が切り域に位置する。脱穀クラッチ操作体31と刈取りクラッチ操作体33とが更に正回転方向に回転操作され、脱穀クラッチ操作体31が死点Dを超えると、脱穀クラッチ操作体31と刈取りクラッチ操作体33とが入り域に位置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀クラッチと刈取りクラッチとを同一の電動モータによって切り換え操作するよう構成したコンバインのクラッチ操作装置であって、
前記脱穀クラッチを切り換え操作する脱穀クラッチ操作部に脱穀クラッチ連動機構を介して連動された脱穀クラッチ操作体と、前記刈取りクラッチを切り換え操作する刈取りクラッチ操作部に刈取りクラッチ連動機構を介して連動された刈取りクラッチ操作体とを、前記電動モータによって一体に正回転方向と逆回転方向とに回転操作自在に備え、
前記電動モータが脱穀クラッチ操作体と刈取りクラッチ操作体とを切り域から正回転方向に回転操作し、脱穀クラッチ操作体が死点の手前に位置すると、脱穀クラッチ操作体が入り域に位置して脱穀クラッチ連動機構が脱穀クラッチ操作部をクラッチ入り姿勢に操作し、かつ、刈取りクラッチ操作体が前記切り域に位置して刈取りクラッチ連動機構が刈取りクラッチ操作部をクラッチ切り姿勢に維持操作し、前記電動モータが脱穀クラッチ操作体と刈取りクラッチ操作体とを更に正回転方向に回転操作し、脱穀クラッチ操作体が前記死点を超えると、脱穀クラッチ操作体が前記入り域に位置して脱穀クラッチ連動機構が脱穀クラッチ操作部をクラッチ入り姿勢に維持操作し、かつ、刈取りクラッチ操作体が入り域に位置して刈取りクラッチ連動機構が刈取りクラッチ操作部をクラッチ入り姿勢に操作するよう前記脱穀クラッチ連動機構と前記クラッチ連動機構とを構成してあるコンバインのクラッチ操作装置。
【請求項2】
前記刈取りクラッチ連動機構に、前記刈取りクラッチ操作体に連結された操作体側連動部材と前記刈取りクラッチ操作部に連結されたクラッチ側連動部材とを相対移動させる融通状態と、前記操作体側連動部材と前記クラッチ側連動部材とを一体移動させる融通解除状態とに切り換え自在な融通付き連動部を備えるとともに、
前記融通付き連動部は、前記電動モータによる前記刈取りクラッチ操作体の正回転方向への回転操作に伴い、前記脱穀クラッチ操作部がクラッチ入り姿勢に切り換わった後に前記刈取りクラッチ操作部がクラッチ入り姿勢に切り換わるよう前記融通状態から前記融通解除状態に切り換わるように構成してあるコンバインのクラッチ操作装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀クラッチと刈取りクラッチとを同一の電動モータによって切り換え操作するよう構成したコンバインのクラッチ操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記クラッチ操作装置として、従来、たとえば特許文献1に示されたものを開発した。
特許文献1に示されたクラッチ操作装置は、脱穀クラッチのテンションアームに操作ケーブルと連動リンクとを介して連動されたクラッチ操作部と、このクラッチ操作部を操作する脱穀クラッチ用カムと、刈取りクラッチのテンションアームに操作ケーブルと連動リンクとを介して連動されたクラッチ操作部と、このクラッチ操作部を操作する刈取りクラッチ用カムと、脱穀クラッチ用カムおよび刈取りクラッチ用カムを操作する電動クラッチモータとを備えている。
脱穀用クラッチカムと刈取りクラッチ用カムとを一体回転自在に支持する回転ボス部がギヤ部を一体回転自在に備えている。このギヤ部に噛み合った出力ギヤが電動クラッチモータに備えられており、電動クラッチモータは、脱穀用クラッチカムと刈取りクラッチ用カムとを一体に回転操作して非作業位置と枕扱き位置と作業位置とに切り換える。
【0003】
脱穀用クラッチカムと刈取りクラッチ用カムとが非作業位置に切り換え操作されると、脱穀用クラッチカムは、これの外周面のうちの円弧形のカム面から外れた部分をクラッチ操作部のカムフォロワに対応させ、クラッチ操作部に操作ケーブルを緩め操作させて脱穀クラッチを切り状態に操作する。このとき、刈取りクラッチ用カムは、クラッチ操作部のカムフォロワから離間し、クラッチ操作部に操作ケーブルを緩め操作させて刈取りクラッチを切り状態に操作する。
【0004】
脱穀用クラッチカムと刈取りクラッチ用カムとが枕扱き位置に切り換え操作されると、脱穀クラッチ用カムは、これの外周面の円弧形のカム面をクラッチ操作部のカムフォロワに対接させ、クラッチ操作部に操作ケーブルを引っ張り操作させて脱穀クラッチを入り状態に操作する。このとき、刈取りクラッチ用カムは、これの外周面のうちに円弧形のカム面から外れた部分をクラッチ操作部のカムフォロワに対応させ、クラッチ操作部に操作ケーブルを緩め操作させて刈取りクラッチを切り状態に維持操作する。
【0005】
脱穀用クラッチカムと刈取りクラッチ用カムとが作業位置に切り換え操作されると、脱穀クラッチ用カムは、これの円弧形のカム面をクラッチ操作部のカムフォロワに対接させ、クラッチ操作部に操作ケーブルを引っ張り操作させて脱穀クラッチを入り状態に操作する。このとき、刈取りクラッチ用カムは、これの円弧形のカム面をクラッチ操作部のカムフォロワに対応させ、クラッチ操作部に操作ケーブルを引っ張り操作させて刈取りクラッチを入り状態に操作する。
【0006】
この種のクラッチ操作装置は、刈取り作業を行うために刈取り部と脱穀装置とが駆動される通常作業状態と、枕扱き作業などを行うために刈取り部を停止させながら脱穀装置が駆動される特別作業状態とを現出できることを可能にしたものである。さらに、電動モータのスイッチ操作を行うだけで操作簡単に現出できるものである。
【0007】
【特許文献1】特開2002−262643号公報(段落〔0023〕−〔0033〕、図3−7、図11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した従来の技術を採用した場合、電動モータを出力が極力小さい小型モータで済ませることができても、構造面で不利になっていた。
つまり、特別作業状態は、脱穀クラッチを入り状態に操作し、刈取りクラッチを切り状態に操作することによって現出され、通常作業状態は、脱穀クラッチも刈取りクラッチも入り状態に操作することによって現出される。これにより、特別作業状態から通常作業状態への切り換えには、脱穀クラッチを入り状態に維持しながら、刈取りクラッチを切り状態から入り状態に切り換える操作を行わせる必要がある。脱穀クラッチを切り換え操作する脱穀クラッチ操作部と、電動モータによって操作される脱穀クラッチ操作体とを連動させる脱穀クラッチ連動機構に連動スプリングを備えさせ、特別作業状態から通常作業状態に切り換えるよう操作された電動モータは、連動スプリングを弾性変形させて脱穀クラッチを入り状態に維持しながら、刈取りクラッチをクラッチ入り状態に切り換え操作するよう構成することによって可能になる。この場合、連動スプリングが弾性変形されて備える復元力が電動モータにクラッチ操作負荷として掛かる。これに対し、上記した従来の技術を採用し、クラッチ操作カムがクラッチ操作部のカムフォロワに作用するよう備えるカム面をクラッチ操作カムの回転軸芯を中心とした円弧形にすれば、電動モータが刈取りクラッチを入り状態に切り換え操作する際、クラッチ操作カムが回転操作されても、カム面の円弧形のためにクラッチ操作部を揺動操作せず、前記連動スプリングを採用した場合の如く電動モータに脱穀クラッチを入り状態に維持するよう掛かる特別なクラッチ操作負荷が発生しなくなる。
【0009】
しかし、脱穀クラッチ用カムと刈取りクラッチ用カムとを備える必要があり、構造が複雑になっていた。
【0010】
本発明の目的は、電動モータを小型にすることができ、かつ構造簡単に得ることができるコンバインのクラッチ操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本第1発明は、脱穀クラッチと刈取りクラッチとを同一の電動モータによって切り換え操作するよう構成したコンバインのクラッチ操作装置において、
前記脱穀クラッチを切り換え操作する脱穀クラッチ操作部に脱穀クラッチ連動機構を介して連動された脱穀クラッチ操作体と、前記刈取りクラッチを切り換え操作する刈取りクラッチ操作部に刈取りクラッチ連動機構を介して連動された刈取りクラッチ操作体とを、前記電動モータによって一体に正回転方向と逆回転方向とに回転操作自在に備え、
前記電動モータが脱穀クラッチ操作体と刈取りクラッチ操作体とを切り域から正回転方向に回転操作し、脱穀クラッチ操作体が死点の手前に位置すると、脱穀クラッチ操作体が入り域に位置して脱穀クラッチ連動機構が脱穀クラッチ操作部をクラッチ入り姿勢に操作し、かつ、刈取りクラッチ操作体が前記切り域に位置して刈取りクラッチ連動機構が刈取りクラッチ操作部をクラッチ切り姿勢に維持操作し、前記電動モータが脱穀クラッチ操作体と刈取りクラッチ操作体とを更に正回転方向に回転操作し、脱穀クラッチ操作体が前記死点を超えると、脱穀クラッチ操作体が前記入り域に位置して脱穀クラッチ連動機構が脱穀クラッチ操作部をクラッチ入り姿勢に維持操作し、かつ、刈取りクラッチ操作体が入り域に位置して刈取りクラッチ連動機構が刈取りクラッチ操作部をクラッチ入り姿勢に操作するよう前記脱穀クラッチ連動機構と前記クラッチ連動機構とを構成してある。
【0012】
本第1発明の構成によると、電動モータを駆動操作すれば、この電動モータが脱穀クラッチ操作体と刈取りクラッチ操作体とを一体に正回転方向に回転操作したり、逆回転方向に回転操作したりする。脱穀クラッチ操作体と刈取りクラッチ操作体とが切り域から正回転方向に回転操作され、脱穀クラッチ操作体が死点の手前に位置すると、脱穀クラッチ操作体が入り域に位置して脱穀クラッチ連動機構が脱穀クラッチ操作部を入り姿勢に操作し、脱穀クラッチが入り状態になる。このとき、刈取りクラッチ操作体が切り域に位置して刈取りクラッチ連動機構が刈取りクラッチ操作部を切り姿勢に維持操作し、刈取りクラッチが切り状態になる。脱穀クラッチ操作体とクラッチ操作体とが更に正回転方向に回転操作され、脱穀クラッチ操作体が死点を超えると、脱穀クラッチ操作体が入り域に位置して脱穀クラッチ連動機構が脱穀クラッチ操作部を入り姿勢に維持操作し、脱穀クラッチが入り状態になる。このとき、刈取りクラッチ操作体が入り域に位置して刈取りクラッチ連動機構が刈取りクラッチ操作部を入り姿勢に操作し、刈取りクラッチが入り状態になる。
【0013】
また、本第1発明の構成によると、刈取りクラッチ操作体が切り域から入り域に操作されて刈取りクラッチが切り状態から入り状態に切り換わる際、脱穀クラッチを入り状態に維持するために電動モータに掛かる負荷が極力小になるようにして脱穀クラッチが入り状態に維持されるようにできる。
つまり、刈取りクラッチ操作体が切り域から入り域に操作される際、脱穀クラッチ操作体は、死点の手前位置から死点を超えて操作されて入り域に維持操作される。すると、操作される脱穀クラッチ操作体の移動によって発生する脱穀クラッチ操作部の作動量が極力少なくなる。この結果、電動モータが刈取りクラッチ操作体を切り域から入り域に操作する際、刈取りクラッチ操作体と共に回転する脱穀クラッチ操作体に脱穀クラッチ操作部が連動することによって電動モータに掛かる負荷は、脱穀クラッチ操作部の作動量が少ないことによって小になる。
【0014】
従って、刈取り部と脱穀装置とが駆動される通常作業状態と、刈取り部を停止させながら脱穀装置が駆動される特別作業状態とを電動モータのスイッチ操作を行うだけで操作簡単に現出することができるものでありながら、脱穀クラッチ操作体と刈取りクラッチ操作体との電動モータによる回転操作を可能にした簡単な構造を採用すればよくて、さらに比較的小出力の電動モータを採用することができて安価に得ることができる。
【0015】
本第2発明は、本第1発明の構成において、前記刈取りクラッチ連動機構に、前記刈取りクラッチ操作体に連結された操作体側連動部材と前記刈取りクラッチ操作部に連結されたクラッチ側連動部材とを相対移動させる融通状態と、前記操作体側連動部材と前記クラッチ側連動部材とを一体移動させる融通解除状態とに切り換え自在な融通付き連動部を備えるとともに、
前記融通付き連動部は、前記電動モータによる前記刈取りクラッチ操作体の正回転方向への回転操作に伴い、前記脱穀クラッチ操作部がクラッチ入り姿勢に切り換わった後に前記刈取りクラッチ操作部がクラッチ入り姿勢に切り換わるよう前記融通状態から前記融通解除状態に切り換わるように構成してある。
【0016】
本第2発明の構成によると、脱穀クラッチ操作体が切り域から入り域に操作されて脱穀クラッチ操作部を入り姿勢に操作する際、融通付き連動部が融通状態にあり、刈取りクラッチ操作体が刈取りクラッチ操作部と相対移動する。この結果、電動モータは、刈取りクラッチ操作部による負荷を受けない小負荷の状態で脱穀クラッチ操作体を回転操作して脱穀クラッチを操作する。
【0017】
従って、より小出力の電動モータを採用してより安価に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るコンバインの全体側面図である。この図に示すように、本実施例に係るコンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1,1によって自走し、かつ、運転座席2が装備された運転部を有した走行機体と、この走行機体の機体フレーム3の前部に連結された刈取り部4と、前記機体フレーム3の後部側に走行機体横方向に並べて設けた脱穀装置5と穀粒タンク6とを備えている。
【0019】
このコンバインは、稲、麦などを収穫するものである。すなわち、刈取り部4は、刈取り部フレーム4aが油圧シリンダ7によって機体フレーム3に対して上下に揺動操作されることにより、刈取り部4の前端部に刈取り部横方向に並んで位置する複数の分草具4bが地面付近に下降した下降作業状態と、前記分草具4bが地面から上昇した上昇非作業状態とに昇降する。刈取り部4を下降作業状態にして走行機体を走行させると、刈取り部4は、刈り取り対象の複数の植付け条に位置する植立穀稈を対応する前記分草具4bによって隣りの植付け条の植立穀稈と分草し、各分草具4aからの植立穀稈を対応した引起し装置4cによって引起し処理するとともに一つのバリカン形の刈取り装置4dによって刈取り処理し、刈取り装置4dからの刈取り穀稈を搬送装置4eによって走行機体後方向きに搬送して脱穀装置5の脱穀フィードチェーン5aの始端部に供給する。脱穀装置5は、脱穀フィードチェーン5aによって刈取り穀稈の株元側を挟持して走行機体後方向きに搬送しながら穂先側を扱室(図示せず)に供給し、刈取り穀稈を回動する扱胴(図示せず)によって脱穀処理する。穀粒タンク6は、脱穀装置5から搬送された脱穀粒を回収して貯留する。穀粒タンク6は、貯留した脱穀粒を排出するオーガ形の排出装置8を備えている。
【0020】
前記走行機体は、前記運転座席2の下方に設けたエンジン10を備えている。図2は、前記エンジン10の駆動力を伝達する伝動装置の概略図である。この図に示すように、前記伝動装置は、エンジン10の出力軸10aからの出力を、脱穀クラッチ14を介して脱穀装置5の入力軸5bに伝達する。前記伝動装置は、エンジン10の出力軸10aからの出力を、ベルトテンションクラッチでなる主クラッチ11を介して走行ミッション12の入力軸13に伝達し、この入力軸13の駆動力を刈取り副変速装置15に伝達し、この刈取り副変速装置15の出力軸16からの出力を、刈取りクラッチ17を介して刈取り部4の入力軸4fに伝達する。
【0021】
前記走行ミッション12は、前記入力軸13がポンプ軸となっている静油圧式無段変速装置18(以下、HST18と略称する。)と、このHST18からの出力を高速と低速との二段階に変速する副変速装置19とを備えている。この副変速装置19は、これの出力を左右一対のクローラ走行装置1,1に伝達する。前記副変速装置19と、前記刈取り副変速装置15とは、同一のミッションケース20の内部に位置している。
【0022】
図2,5に示すように、前記脱穀クラッチ14は、エンジン10の出力軸10aと脱穀装置5の入力軸5bとにわたって巻回された伝動ベルト14aと、テンションアーム14bとを備えて構成してある。前記刈取りクラッチ17は、刈取り副変速装置15の出力軸16と刈取り部4の入力軸4fとにわたって巻回された伝動ベルト17aと、テンションアーム17bとを備えて構成してある。
【0023】
脱穀クラッチ14と刈取りクラッチ17とは、テンションアーム14b,17bがクラッチ入り姿勢(以下、入り姿勢と略称する。)に揺動操作されると、このテンションアーム14b,17bがこれの遊端部に設けてあるテンション輪体14c,17cによって伝動ベルト14a,17aを緊張状態に押圧操作することによって入り状態に切り換わり、テンションアーム14b,17bがクラッチ切り姿勢(以下、切り姿勢と略称する。)に揺動操作されると、このテンションアーム14b,17bが伝動ベルト14a,17aの緊張操作を解除することによって切り状態に切り換わる。脱穀クラッチ14と刈取りクラッチ17とは、ベルトテンションクラッチになっている。脱穀クラッチ14のテンションアーム14bは、脱穀装置5の入力軸5bに揺動自在に支持されている。刈取りクラッチ17のテンションアーム17bは、刈取り副変速装置15の出力軸16に揺動自在に支持されている。刈取りクラッチ17のテンションアーム17bは、ストッパー21(図5参照)によって切り姿勢に受け止め支持される。
【0024】
前記脱穀クラッチ14と前記刈取りクラッチ17とは、運転部の運転座席2の横側方に位置する操作盤35に配置された変速レバー24と作業選択手段25とを有したクラッチ操作装置Cによって操作される。このクラッチ操作装置Cは、電動モータ22を有したクラッチ切り換え部23と、前記変速レバー24と前記作業選択手段25とを有した制御部26とを備えて構成してある。
【0025】
図5は、前記クラッチ切り換え部23の側面図である。この図に示すように、前記クラッチ切り換え部23は、前記電動モータ22を備える他、この電動モータ22を取り付けた支持枠30が備えるボス部30a(図10参照)に回転自在に支持されたアーム形の脱穀クラッチ操作体31と、この脱穀クラッチ操作体31を脱穀クラッチ14のテンションアーム14bに連動させている脱穀クラッチ連動機構32と、前記ボス部30aに回転自在に支持されたアーム形の刈取りクラッチ操作体33と、この刈取りクラッチ操作体33を刈取りクラッチ17のテンションアーム17bに連動させている刈取りクラッチ連動機構34とを備えている。前記支持枠30は、前記操作盤35の下方に配置して運転部フレーム(図示せず)に取り付けられている。
【0026】
図5に示すように、電動モータ22は、電動モータ本体22aと、この電動モータ本体22aに連結された減速出力ケース22bと、この減速出力ケース22bに回転自在に支持された出力ギヤ22cとを備えている。減速出力ケース22bは、電動モータ本体22aの出力をケース内のギヤ減速機構(図示せず)によって前記出力ギヤ22cに伝達する。
【0027】
図5,10に示すように、脱穀クラッチ操作体31と刈取りクラッチ操作体33とは、前記ボス部30aに回転自在に支持された一本の回転支軸37に一体回転自在に連結されている。前記回転支軸37は、これの一端部に一体回転自在に設けた扇形ギヤ38を備えている。前記扇形ギヤ38は、前記出力ギヤ22cに噛み合っており、前記電動モータ22によって正回転方向に回転駆動されて回転支軸37を回転操作することにより、脱穀クラッチ操作体31と刈取りクラッチ操作体33とを回転支軸37の軸芯まわりに一体に正回転方向に回転操作する。扇形ギヤ38は、前記電動モータ22によって逆回転方向に回転駆動されて回転支軸37を回転操作することにより、脱穀クラッチ操作体31と刈取りクラッチ操作体33とを回転支軸37の軸芯まわりに一体に逆回転方向に回転操作する。
【0028】
図5に示すように、脱穀クラッチ連動機構32は、脱穀クラッチ操作体31の遊端部に一端側が連結された連動杆32aと、この連動杆32aの他端側を前記テンションアーム14aに一体成形して設けた操作用アーム部14dに連結する連動スプリング32bとを備えて構成してある。前記連動杆32aと脱穀クラッチ操作体31とは、連結ピン31aを介して相対回転自在に連結している。
【0029】
図5に示すように、刈取りクラッチ連動機構34は、刈取りクラッチ操作体33の遊端部に一端側が連結された連動杆34aと、この連動杆34aの他端側を前記テンションアーム17bに連結している連動スプリング34bとを備えて構成してある。前記連動杆34aと刈取りクラッチ操作体33とは、連結ピン33aを介して相対回転自在に連結している。
【0030】
刈取りクラッチ連動機構34は、前記連動スプリング34bとテンションアーム17bとにわたって設けた融通付き連動部39を備えている。この融通付き連動部39は、連動スプリング34bの端部34cをフック形に形成することによって連動スプリング34bに設けた長溝34dと、この長溝34dに摺動自在に係入した状態でテンションアーム17bに設けた連動ピン40とを備えて構成してある。融通付き連動部39は、刈取りクラッチ操作体33の操作位置により、連動ピン40が長溝34dの内部を移動して連動スプリング34bと連動ピン40とを相対移動させる融通状態と、連動ピン40が長溝内の端部に位置して連動スプリング34bに当接することによって連動スプリング34bと連動ピン40とを一体移動させる融通解除状態とに切り換わる。
【0031】
図8は、脱穀クラッチ操作体31と刈取りクラッチ操作体33との操作域を示す説明図である。図5は、クラッチ切り換え部23の脱穀クラッチ14と刈取りクラッチ17とを切り操作した状態での側面図である。図6は、クラッチ切り換え部23の脱穀クラッチ14を入り操作し、刈取りクラッチ17を切り操作した状態での側面図である。図7は、クラッチ切り換え部23の脱穀クラッチ14と刈取りクラッチ17とを入り操作した状態での側面図である。
【0032】
これらの図に示すように、脱穀クラッチ操作体31と刈取りクラッチ操作体33とは、電動モータ22によって扇形ギヤ38と回転支軸37とを介して回転支軸37の軸芯まわりに一体に正回転方向Xと逆回転方向Yとに回転操作され、脱穀クラッチ操作体31は、切り域31Aと入り域31Bとに回転操作され、刈取りクラッチ操作体33は、切り域33Aと入り域33Bとに回転操作される。脱穀クラッチ操作体31の入り域31Bは、脱穀クラッチ操作体31の死点Dに対し、この死点Dが入り域31Bの内部に位置した配置状態になっている。脱穀クラッチ操作体31の死点Dは、脱穀クラッチ操作体31の操作位置のうち、脱穀クラッチ操作体31による脱穀クラッチ連動機構32の引っ張り操作ストロークが最大となる操作位置に対応する。
【0033】
脱穀クラッチ操作体31が前記切り域31Aに操作されると、脱穀クラッチ連動機構32は、脱穀クラッチ操作体31による引張り操作が解除されてテンションアーム14bを切り姿勢に操作する。このとき、刈取りクラッチ操作体33が前記切り域33Aに位置し、刈取りクラッチ連動機構34は、刈取りクラッチ操作体33による引張り操作が解除されてテンションアーム17bを切り姿勢に操作する。
【0034】
脱穀クラッチ操作体31が切り域31Aから正回転方向に回転操作されると、これに伴って脱穀クラッチ操作体31は、死点Dの手前に位置した入り域31Aの始端位置Sに位置する。すると、脱穀クラッチ連動機構32は、脱穀クラッチ操作体31による引張り操作のためにテンションアーム14bを入り姿勢に操作する。このとき、刈取りクラッチ操作体33が切り域33Aの終端側に位置し、刈取りクラッチ連動機構34は、テンションアーム17bを切り姿勢に操作している。
【0035】
脱穀クラッチ操作体31が更に正回転方向に回転操作されると、脱穀クラッチ操作体31は、入り域31Bを移動して死点Dを超え、入り域31Bの終端位置Eに位置し、脱穀クラッチ連動機構32は、脱穀クラッチ操作体31による引張り操作のためにテンションアーム14bを入り姿勢に維持している。脱穀クラッチ操作体31が入り域31Bの終端位置Eに位置したとき、刈取りクラッチ操作体33が入り域33Bに位置し、刈取りクラッチ連動機構34は、刈取りクラッチ操作体33による引張り操作のためにテンションアーム17bを入り姿勢に操作する。脱穀クラッチ操作体31が入り域31Bに位置している間、脱穀クラッチ連動機構32は、脱穀クラッチ操作体31による引張り操作を受け、テンションアーム14bを入り姿勢に維持操作する。
【0036】
脱穀クラッチ操作体31と刈取りクラッチ操作体33とが切り域31A,33Aから正回転方向Xに回転操作される際、脱穀クラッチ操作体31が切り域31Aの始端側に位置し、かつ、刈取りクラッチ操作体33が切り域33Aの始端側に位置している間、融通付き連動部39が融通状態にあり、刈取りクラッチ操作体33が切り域33Aの終端側に位置すると、融通付き連動部39が融通解除状態に切り換わる。
【0037】
すなわち、融通付き連動部39は、刈取りクラッチ操作体33が入り域33Bに至るまで、電動モータ22に脱穀クラッチ14のテンションアーム14bを操作する負荷が掛かっても、電動モータ22に刈取りクラッチ17のテンションアーム17bを操作する負荷が掛からないようにし、かつ、脱穀クラッチ14のテンションアーム14bが入り姿勢に切り換え操作された後に刈取りクラッチ17のテンションアーム17bが入り姿勢に切り換え操作されるようにする。
【0038】
図3は、前記制御部26のブロック図である。この図に示すように、前記制御部26は、前記変速レバー24と前記作業選択手段25とを備える他、変速レバー24に連動された変速検出手段41を備え、さらに、前記変速検出手段41と前記作業選択手段25と前記電動モータ22とに連係された制御手段42を備えている。制御手段42には、前記脱穀クラッチ操作体31に連動された操作体位置検出手段43が連係されている。
【0039】
変速レバー24は、中立位置Nと前進域Fと後進域Rとに揺動操作自在に支持されている。この変速レバー24は、連動ロッドや揺動リンクを利用したリンク機構(図示せず)を介して前記HST18の操作部に連係されており、前記リンク機構を介して前記HST18を変速操作する。
【0040】
前記変速検出手段41は、変速レバー24に連動された回転ポテンショメータによって構成してある。この変速検出手段41は、変速レバー24の操作位置を検出し、この検出結果を前記制御手段42に出力する。
【0041】
前記作業選択手段25は、入り位置「入」と切り位置「切」とに切り換え操作自在な切り換えスイッチによって構成してある。この作業選択手段25は、入り位置「入」に切り換え操作されると、前記制御手段42にクラッチ操作を行わせるようオン指令を出力し、切り位置「切」に切り換え操作されると、前記制御手段42にクラッチ操作を停止させるようオフ指令を出力する。
【0042】
図10に示すように、前記操作体位置検出手段43は、前記回転支軸37に連動された状態で前記支持枠30に取り付けられた回転ポテンショメータによって構成してある。この操作体位置検出手段43は、前記回転支軸37の回転位置を基に脱穀クラッチ操作体31の操作位置を検出し、この検出結果を前記制御手段42にフィードバックする。
【0043】
前記制御手段42は、マイクロコンピュータを利用して構成してある。図4は、制御手段42によるクラッチ操作のフロー図である。この図に示すように、前記制御手段42は、前記作業選択手段25による指令と、前記変速検出手段41と前記操作体位置検出手段43とによる検出結果とを基に前記電動モータ22を制御して前記クラッチ切り換え部23を操作し、これによって脱穀クラッチ14と刈取りクラッチ17とを切り換え操作して刈取り部4と脱穀装置5とを非作業や作業に対応した駆動状態や停止状態にする。
【0044】
前記エンジン10は、前記操作盤35に配置されたアクセル操作具60を有したエンジン調速操作装置Gによって調速操作される。図9は、前記エンジン調速操作装置Gの側面図である。図10は、前記エンジン調速操作装置Gの縦断面図である。これらの図に示すように、前記エンジン調速操作装置Gは、前記アクセル操作具60を備える他、前記アクセル操作具60の基部を前記支持枠30に連結している支軸61に装着された摩擦板68と、前記回転支軸37の一端側に設けた揺動操作体69と、前記支軸61の一端部に設けた操作部70とを備えている。
【0045】
前記アクセル操作具60は、前記支軸61の軸芯まわりに揺動操作するように支持されている。このアクセル操作具60は、これの基部に一体形成した出力アーム部60aを備えている。この出力アーム部60aは、スプリング66とアクセルケーブル62とを介し、前記エンジン10に設けられたアクセル装置63の調速アーム64に連動されている。前記摩擦板68は、取り付けネジ71による締め付けによってアクセル操作具60の基部に圧接されて、アクセル操作具60に摩擦抵抗を付与する。
【0046】
前記揺動操作体69は、前記回転支軸37に設けた小判形部37aに取り付け筒部69aによって一体回動自在に連結されている。つまり、揺動操作体69は、前記回転支軸37を介して前記脱穀クラッチ操作体31に一体揺動自在に連動している。
【0047】
前記操作部70は、前記アクセル操作具60及び前記揺動操作体69とは別体に構成して前記支軸61に遊転自在に支持された板体によって構成されており、前記支軸61の軸芯まわりにアクセル操作具60と相対揺動する。この操作部70は、これの遊端部に支軸72を介して遊転自在に取り付けたローラ73によって形成された受動部70aと伝動部70bとを備えている。前記ローラ73は、前記支持枠30に設けた円弧形の長孔74に沿って移動するよう前記長孔74を挿通している。
【0048】
前記受動部70aは、前記揺動操作体69の端部に69bに当接して前記揺動操作体69による操作力を受け、操作部70を支軸61の軸芯まわりに揺動させる。前記伝動部70bは、前記アクセル操作具60の前記出力アーム部60aに当接し、操作部70によるアクセル操作具60の増速方向への押圧揺動操作を可能にする。
【0049】
図11に示すように、前記操作部70は、これの基部に一体成形されたバネ受け部70cを備えている。操作部70は、前記バネ受け部70cに作用する巻きバネ75によって図12(ハ)、(二)に示す待機位置Tに揺動付勢される。
すなわち、図9,10に示すように、前記巻きバネ75は、前記支軸61に装着されている。前記巻きバネ75の一対の端部75a,75aは、前記バネ受け部70cと、前記支持枠30に設けられたバネストッパ76とを挟むように配置されている。図12(ハ)、(ニ)は、前記操作部70が前記待機位置Tに位置した状態を示している。図12(ロ)は、前記操作部70が待機位置Tから作用方向a1に揺動操作された状態を示している。これらの図に示すように、操作部70が待機位置Tから作用方向a1に揺動操作されると、これに伴い、前記バネ受け部70cが操作部70と共に揺動して巻きバネ75の一方の端部75aを押圧していく。このとき、巻きバネ75の他方の端部75aがバネストッパ76によって受け止め支持される。操作部70が待機位置Tから解除方向b1に揺動操作されると、これに伴い、前記バネ受け部70cが操作部70と共に揺動して巻きバネ75の他方の端部75aを押圧していく。このとき、巻きバネ75の一方の端部75aがバネストッパ70cによって受け止め支持される。これにより、巻きバネ75は、操作部70が作用方向a1と解除方向b1とのいずれの方向に揺動操作された場合も、操作部70の回転に伴って弾性変形され、操作部70を待機位置Tに復帰するよう揺動付勢する。
【0050】
つまり、エンジン調速操作装置Gは、人為操作によるアクセル操作具60の操作によっても、クラッチ操作装置Cによるアクセル操作具60の操作によっても作動してエンジン10の回転数を調節する。
すなわち、アクセル操作具60が人為操作されると、出力アーム部60aが支軸61の軸芯まわりに揺動してアクセルケーブル62を引っ張り操作したり緩め操作したりする。引っ張り操作されたアクセルケーブル62は、調速アーム64をこれの復元力に抗して揺動操作し、エンジン10を回転数が増加するよう調速する。緩め操作されたアクセルケーブル62は、調速アーム64をこれの前記復元力によって揺動操作し、エンジン10を回転数が減少するよう調速する。このようにエンジン10の調速操作が行われた場合、アクセル操作具60は、摩擦板68によって調速アーム64の復元力に抗して任意の操作位置に保持され、エンジン10の回転数を調速された回転数に維持する。
【0051】
図9は、エンジン調速操作装置Gのアクセル操作具60が設定低速位置Lに操作され、揺動操作体69がクラッチ切り域に操作された状態での側面図である。図12(イ),(ロ)は、揺動操作体69がクラッチ切り域からクラッチ入り域に操作される過程での側面図である。図12(ハ)は、エンジン調速操作装置Gの揺動操作体69がクラッチ入り域に操作された状態での側面図である。図12(ニ)は、エンジン調速操作装置Gの揺動操作体69がクラッチ切り域に戻し操作された状態での側面図である。
【0052】
これらの図に示すように、電動モータ22が脱穀クラッチ14を入り状態に切り換えるよう脱穀クラッチ操作体31を揺動操作すると、この脱穀クラッチ操作体31が回転支軸37を介して揺動操作体69をクラッチ切り域から正回転方向a2に揺動操作する。揺動操作体69の揺動に伴い、揺動操作体69の端部69bが待機位置Tに位置している操作部70の受動部70aに当接する。すると、受動部70aが揺動操作体69の操作力を受け、操作部70が待機位置Tから作用方向a1に揺動する。このとき、アクセル操作具60が設定低速位置Lにあると、すなわちエンジン10の回転数がアクセル操作具60の操作位置(設定低速位置L)に対応した設定低回転域になっていると、操作部70の伝動部70bがアクセル操作具60の出力アーム部60aに当接する。すると、操作部70が伝動部70bによってアクセル操作具60を押圧して移動操作する。これにより、エンジン調速操作装置Gが作動してエンジン10を増速側に調速する。
【0053】
揺動操作体69がクラッチ入り域の始端側に至るに伴って操作部70がアクセル操作具60を設定高速位置Hに操作する。アクセル操作具60が設定高速位置Hに至った後、操作部70の受動部70aが揺動操作体69の端部69bから離間し、電動モータ22が刈取りクラッチ17を入り操作するために更に回動して揺動操作体69がクラッチ入り域を更に揺動しても、操作部70によるアクセル操作具60の移動操作が行われず、アクセル操作具60は、設定高速位置Hに摩擦板68によって保持され、エンジン10は、アクセル操作具60の設定高速位置Hに対応した設定高回転数になる。
【0054】
エンジン10が設定高回転数になった後、揺動操作体69の遊端部69aが操作部70の受動部70aから外れ、操作部70が巻きバネ75による揺動付勢によって待機位置Tに復帰する。すると、アクセル操作具60は、操作部70と揺動操作体69とによる揺動規制を受けない状態になる。
【0055】
エンジン10が設定高回転数に調速された後、電動モータ22が脱穀クラッチ14を切り状態に切り換えるよう脱穀クラッチ操作体31を揺動操作すると、揺動操作体69が脱穀クラッチ操作体31と共に揺動する。すなわち、揺動操作体69が逆回転方向b2に揺動する。このとき、揺動操作体69の端部69bが待機位置Tに位置している操作部70の受動部70aに当接し、操作部70が待機位置Tから解除方向b1に揺動しても、操作部70がアクセル操作具60に押圧作用しない。これにより、アクセル操作具60は、設定高速位置Hに維持され、エンジン10は設定高回転数を維持する。
【0056】
電動モータ20が刈取りクラッチ17を切り状態に操作するよう刈取りクラッチ操作体33を揺動操作すると、揺動操作体69が更に逆回転方向b2に揺動する。すると、揺動操作体69の端部69bが操作部70の受動部70aから外れ、操作部70は、巻きバネ75による揺動付勢によって待機位置Tに復帰し、次に揺動操作体69が正回転方向a2に揺動操作された際、揺動操作体69の端部69bと操作部70の受動部70aとが当接するようになる。すなわち、操作部70が揺動操作体69によって作用方向a1に揺動操作されるようになる。
【0057】
つまり、移動走行時など作業を行わない場合、作業選択手段25を切り位置「切」に切り換え操作すると、脱穀装置5と刈取り部4とが停止する。
すなわち、作業選択手段25を切り位置「切」に切り換え操作すると、制御手段42が作業選択手段25によるオフ指令を基に電動モータ22を制御する。すると、電動モータ22が脱穀クラッチ操作体31を切り域31Aに操作し、脱穀クラッチ連動機構32を介して脱穀クラッチ14を切り状態に操作する。さらに、制御手段42による電動モータ22の制御により、電動モータ22が刈取りクラッチ操作体33を切り域33Aに操作し、刈取りクラッチ連動機構34を介して刈取りクラッチ17を切り状態に操作する。これによって脱穀装置5と刈取り部4とが停止する。
【0058】
作業時には、作業選択手段25を入り位置「入」に切り換えておき、変速レバー24を作業や走行に対応した操作位置に操作すると、脱穀装置5と刈取り部4とが作業や走行に対応した駆動状態や停止状態になる。
【0059】
すなわち、枕扱き作業を行う場合、自走機体を停止させるよう変速レバー24が中立位置Nに操作する。自走機体を旋回走行のために後進走行させる場合、変速レバー24を後進域Rに操作する。すると、制御手段42が作業選択手段25によるオン指令と、変速検出手段41による検出情報とを基に電動モータ22を制御する。これにより、電動モータ22が刈取りクラッチ操作体33を切り域33Aに操作し、刈取りクラッチ連動機構34を介して刈取りクラッチ17を切り状態に操作する。さらに、制御手段42による電動モータ22の制御により、電動モータ22が脱穀クラッチ操作体31を入り域31Bに操作し、脱穀クラッチ連動機構32を介して脱穀クラッチ14を入り状態に操作する。これによって刈取り部4が停止し、脱穀装置5が駆動される。
【0060】
刈取り走行を行う場合、自走機体を前進走行させるよう変速レバー24を前進域Fに操作する。すると、制御手段42が作業選択手段25によるオン指令と、変速検出手段41による検出情報とを基に電動モータ22を制御する。これにより、電動モータ22が刈取りクラッチ操作体33を入り域33Bに操作し、刈取りクラッチ連動機構34を介して刈取りクラッチ17を入り状態に操作する。さらに、制御手段42による電動モータ22の制御により、電動モータ22が脱穀クラッチ操作体31を入り域31Bに操作し、脱穀クラッチ連動機構32を介して脱穀クラッチ14を入り状態に操作する。これによって刈取り部4と脱穀装置5とが駆動される。
【0061】
上記した如く脱穀クラッチ14を入り状態に切り換え操作した際、エンジン10が機体停止用のものとして設定した設定低回転域での低回転数になっていても、エンジン10が作業用の高回転数に自ずと調速される。
【0062】
すなわち、電動モータ22が脱穀クラッチ操作体31を入り域31bに揺動操作した際、アクセル操作具60が設定低速位置Lに位置していると、脱穀クラッチ操作体31と共に揺動する揺動操作体69の遊端部69bが、待機位置Tに位置する操作部70の受動部70aに当接し、揺動操作体69が操作部70を作用方向a1に揺動操作する。すると、操作部70の伝動部70がアクセル操作具60の出力アーム部60aに当接し、操作部70がアクセル操作具60を揺動操作する。これにより、エンジン調速操作装置Gが作動してアクセル装置63を増速側に操作する。アクセル操作具60が設定高速位置Hになると、揺動操作体69が操作部60から外れ、摩擦板68がアクセル操作具60を設定高速位置Hに保持する。これにより、エンジン10がアクセル操作具60の設定高速位置Hに対応した回転数、すなわち作業用回転数として設定した設定高回転数になる。
【0063】
このように、クラッチ操作装置Cによるエンジン調速操作装置Gの操作によってエンジン10が設定高回転数に調速された後において、エンジン10をその設定高回転数よりも低回転数に人為的に調速することができる。
【0064】
すなわち、操作部60がアクセル操作具60を設定高速位置Hに操作した後、揺動操作体69の遊端部69aが操作部60の受動部70aから外れ、操作部60が待機位置Tに復帰してアクセル操作具60の出力アーム部60aと離間する。さらに、揺動操作体69が操作部60と離間している。これにより、アクセル操作具60は、操作部60と揺動操作体69とによる揺動規制を受けず、設定高速位置Hから減速側に人為操作できる状態になる。
【0065】
また、クラッチ操作装置Cによるエンジン調速操作装置Gの操作によってエンジン10が設定高回転数に調速された後、脱穀装置5を停止させても、エンジン10は、設定高回転数を維持する。
【0066】
すなわち、アクセル操作具60が設定高速位置Hに位置している状態で、電動モータ22が脱穀クラッチ操作体31を切り域31Aに操作すると、揺動操作体69が脱穀クラッチ操作体31と共に揺動して解除方向b1に揺動する。これに伴って揺動操作体69の先端部69aが待機位置Tに位置している操作部60の受動部70aに当接して揺動操作体69が操作部60を揺動操作しても、操作部60は、解除方向b1に揺動してアクセル操作具60に押圧作用しない。これにより、アクセル操作具60が摩擦板68によって設定高速位置Hに保持され、エンジン10は、アクセル操作具60の設定高速位置Hに対応した設定高回転数を維持する
【0067】
図13は、前記操作盤35の前記変速レバー24が設けられた部分での平面図である。図14は、前記操作盤5の横断面である。これらの図に示すように、操作盤35は、前記変速レバー24の操作経路を形成するガイド溝50と、操作盤35の裏面側に設けたゴム支持部51に取り付けられたゴム板52とを備えている。
【0068】
前記ゴム板52は、前記ガイド溝50を閉じるようこのガイド溝50の下方に位置し蓋部分53と、この蓋部分53に変速レバー24が挿通するよう設けたスリット54とを備えている。前記操作盤35は、ガイド溝50の周囲に配置して設けた折り曲げ端部35aと、前記ゴム板支持部51に取り付けネジ55によるゴム板52との共締めによって取り付けられた押さえ板56とを備えている。
【0069】
前記折り曲げ端部35aは、前記蓋部分53のうちの前記スリット54の横側に位置しているゴム片部53aの基部を上方から押圧している。前記押さえ板56は、前記折り曲げ端部35aよりもガイド溝横外側でゴム板52を下方から受け止め支持しており、前記ゴム片部53aは、ガイド溝50に対し、ガイド溝内側に至るほどガイド溝50との間隔が大になった下向き傾斜の配置状態になっている。これにより、前記ゴム片部53aが変速レバー24との摩擦によってガイド溝50に持ち上げられて変速レバー24と操作盤35との間に挟み込まれ、ゴム片部53aに切り傷が発生する事態を回避しやすくなっている。
【0070】
図15は、別の実施構造を備えたエンジン自動調速装置の側面図である。
この図に示すように、別実施構造を備えたエンジン自動調速装置は、前記回転支軸37に一体回転自在に設けた回転カム78と、アクセル操作具60に設けた連結ピン79とを備えている。回転カム78は、これの周面に設けた調速カム面78aと、維持カム面78bとを備えている。前記連結ピン79は、アクセル操作具60と前記スプリング66とを連結している。
【0071】
図15(イ)は、エンジン自動調速装置のエンジン増速操作直前での側面図である。図15(ロ)は、エンジン自動調速装置のエンジン増速操作後の側面図である。これらの図に示すように、エンジン自動調速装置は、前記電動モータ22が脱穀クラッチ14を入り操作するよう前記脱穀クラッチ操作体31を揺動操作した際、アクセル操作具60が設定低速位置Lに位置していると、脱穀クラッチ操作体31と共に回動する回転カム78の調速カム面78aによって前記連結ピン79を押圧操作してアクセル操作具60を設定低速位置Lから設定高速位置Hに揺動操作する。アクセル操作具60が設定高速位置Hに揺動した後、電動モータ22による刈取りクラッチ17の入り操作のために回転カム78が更に回転すると、維持カム面78bを連結ピン79に摺接させ、維持カム面78bの円弧形状によってアクセル操作具60を設定高速位置Hに維持する。
【0072】
〔別実施例〕
上記実施例の如く脱穀クラッチ14、刈取りクラッチ17としてベルトテンションクラッチを採用するに替え、摩擦クラッチなど、各種型式のクラッチを採用しても、本発明の目的を達成することができる。また、上記実施例の如く刈取りクラッチ連動機構34に連動スプリング34bを備えさせるに替え、連動ロッドなど各種の連動部材を備えさせた構成を採用しても、本発明の目的を達成することができる。また、融通付き連動部39をテンションアーム17bに設けるに替え、刈取りクラッチ操作体33や、連動スプリング34bの中間部に設ける構成を採用しても、本発明の目的を達成することができる。従って、テンションアーム14bを脱穀クラッチ操作部14bと呼称し、テンションアーム17bを刈取りクラッチ操作部17bと呼称する。連動スプリング14bを操作体側連動部材14bと呼称し、連動ピン40をクラッチ側連動部材40と呼称する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】伝動装置の概略図
【図3】制御部のブロック図
【図4】クラッチ操作のフロー図
【図5】クラッチ切り換え部の脱穀クラッチと刈取りクラッチとを切り操作した状態での側面図
【図6】クラッチ切り換え部の脱穀クラッチを入り操作し、刈取りクラッチを切り操作した状態での側面図
【図7】クラッチ切り換え部の脱穀クラッチと刈取りクラッチとを入り操作した状態での側面図
【図8】脱穀クラッチ操作体と刈取りクラッチ操作体の操作域を示す説明図
【図9】エンジン調速操作装置のアクセル操作具が設定低速位置に操作された状態での側面図
【図10】エンジン調速操作装置の縦断面図
【図11】操作部の斜視図
【図12】(イ)は、エンジン調速操作装置の揺動操作体の操作過程での側面図、(ロ)は、エンジン調速操作装置の揺動操作体の操作過程での側面図、(ハ)は、エンジン調速操作装置の揺動操作体がクラッチ入り域に操作された状態での側面図、(ニ)は、エンジン調速操作装置の揺動操作体がクラッチ切り域に操作された状態での側面図
【図13】操作盤の平面図
【図14】操作盤の横断面図
【図15】(イ)エンジン自動調速装置のエンジン増速操作直前での側面図、(ロ)は、エンジン自動調速装置のエンジン増速操作後の側面図
【符号の説明】
【0074】
14 脱穀クラッチ
14b 脱穀クラッチ操作部
17 刈取りクラッチ
17b 刈取りクラッチ操作部
22 電動モータ
31 脱穀クラッチ操作体
31A 脱穀クラッチ操作体の切り域
31B 脱穀クラッチ操作体の入り域
32 脱穀クラッチ連動機構
33 刈取りクラッチ操作体
33A 刈取りクラッチ操作体の切り域
33B 刈取りクラッチ操作体の入り域
34 刈取りクラッチ連動機構
34b 操作体側連動部材
39 融通付き連動部
40 クラッチ側連動部材
X 正回転方向
Y 逆回転方向
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成19年2月16日(2007.2.16)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎


【公開番号】 特開2008−199909(P2008−199909A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2007−36481(P2007−36481)