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【発明の名称】 茶刈機
【発明者】 【氏名】岩本 光晴

【要約】 【課題】比較的安価で、軽量で取り廻しの良く、しかも、操作する作業者の負荷を軽減し、作業性の向上を図ることができる2人用の全面茶刈機を提供する。

【構成】刈刃12を駆動するためのエンジン130が搭載されたフレーム12のエンジン搭載側に、茶刈り作業を行う場合の進行方向に向かって張り出された操作ハンドル163と、このハンドル163とは異なる方向に張り出された車輪164とを備えたアタッチメント16をヒンジ部材17を介して取り付けて、エンジン重量をアタッチメント16が支えるようにする。また、このヒンジ部材17に、アタッチメント16を回動中心として機体の反エンジン側を、茶畝の前後方向に向かって回動可能とするヒンジピン172と、アタッチメント16によって機体を片持ち支持させると共に、アタッチメント16を回動中心として機体の反エンジン側を、上下方向に向かって回動可能とする刈取機支持軸173と、を具備させて、茶畝の上面に応じて刈取機の姿勢調整を迅速に行うことができるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶畝の上面に沿うように形成されたフレームと、前記フレームに設けられた刈刃と、前記刈刃を駆動するために前記フレームの一端部側に設けられた駆動源と、前記フレームの他端部側に設けられた裾側ハンドルと、を備えて茶刈り作業を行う茶刈機であって、
前記フレームの一端部側には、茶刈り作業を行う場合の進行方向に向かって張り出された操作ハンドルと、前記操作ハンドルとは異なる方向に張り出された車輪とを備えたアタッチメントが、ヒンジ部材を介して取り付けられていることを特徴とする茶刈機。
【請求項2】
前記ヒンジ部材は、前記アタッチメントを回動中心として機体の反エンジン側を、茶畝の前後方向に向かって回動可能とする畝前後方向回動用軸と、
前記アタッチメントによって前記機体を片持ち支持させると共に、前記アタッチメントを回動中心として機体の反エンジン側を、上下方向に向かって回動可能とする畝幅方向回動用軸と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の茶刈機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、茶刈機に関し、さらに詳しくは、茶葉を収穫する摘採作業や、茶樹を更新する浅刈り、深刈り、台切りなどの茶園管理作業を行うために用いられる2人用の茶刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
図7に示されるように、従来、この種の茶刈機1は、フレーム2、バリカン刃3、エンジン4、エンジン側ハンドル5、裾側ハンドル6を備えて構成されていた。そして、この茶刈機1にあっては、2人の作業者が茶畝の両側から持ち、茶畝の上面(表面)に載置された状態で、エンジン側ハンドル5を持つ作業者が横向き、裾側ハンドル6を持つ作業者が後ろ向きになってそれぞれ畝間を歩きながらバリカン刃3を駆動させて、茶葉枝を刈り取るように構成されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−227126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の茶刈機1にあっては、茶畝の上面の副全域、つまり茶畝の上面の右半分或いは左半分を刈り取るように構成されている。このため、機体を操作する2人の作業者は、1畝の全面を刈り取るには、1往復しなければならなかった。さらには、茶畝を深く刈り込む作業を行う際には、刈り均し作業を1畝に対して何段階も行わなくてはならない場合があり、作業者の負荷が増大してしまう。また、特に、エンジン側ハンドル5を持つ作業者に近接してエンジンが搭載されているので、エンジン側ハンドル5を持つ作業者の負荷が増大し、作業性が低下する虞があった。
【0005】
そこで、茶畝の全面、つまり茶畝の一方の裾側から他方の裾側までの上面を一度に刈り取ることができる乗用型茶刈機が導入される傾向にあるが、乗用型茶刈機は、高価であるため小規模の茶農家では導入が難しい。また、大型機械なため、運搬が困難であり、茶園条件によっては圃場に乗り入れることができないことがある。また、急傾斜地には導入が困難であることから、比較的安価で、軽量で取り廻しの良い2人用の全面茶刈機が望まれている。
【0006】
そこで、この発明は、上記した従来技術が有している問題点を解決するためになされたものであって、比較的安価で、軽量で取り廻しの良く、しかも、操作する作業者の負荷を軽減し、作業性の向上を図ることができる2人用の全面茶刈機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、茶畝の上面に沿うように形成されたフレームと、前記フレームに設けられた刈刃と、前記刈刃を駆動するために前記フレームの一端部側に設けられた駆動源と、前記フレームの他端部側に設けられた裾側ハンドルと、を備えて茶刈り作業を行う茶刈機であって、
前記フレームの一端部側には、茶刈り作業を行う場合の進行方向に向かって張り出された操作ハンドルと、前記操作ハンドルとは異なる方向に張り出された車輪とを備えたアタッチメントが、ヒンジ部材を介して取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、操作ハンドルを持つ作業者に近接してエンジンが位置しても、エンジン重量をアタッチメントが支えるようになる。また、車輪にはキャスターアングルがつけられているので、走行性能と操作ハンドルの操作性とが確保されている。これにより、操作ハンドルを操作する作業者にかかる負荷が軽減される。さらに、畝間を進む際の地表面の凹凸の乗り越え性能が向上する。さらには、従来2人の作業者でやっていた刈刃の微調整、つまり刃先を上向きにしたり下向きにしたりして刈り取り高さを調整していたのがより容易に行うことができるようになる。
また、従来では、茶刈機を茶畝の上面に滑らせながら刈り取りを行うことがあるため、刈り取り面の茶葉に不要な負荷がかかるという問題があったが、アタッチメントによってエンジン重量が支えられるようになるので、茶刈機を茶畝の上面に滑らせなくても刈り均しを行うことができるようになり、茶葉に不要な負荷がかかるのを防止することができる。特に、本発明が茶葉を収穫する目的で用いられる摘採機に用いられた場合には、この作用効果は顕著である。
これらの結果、比較的安価で、軽量で取り廻しの良く、しかも、操作する作業者の負荷を軽減し、作業性の向上を図ることができる2人用の全面茶刈機を提供することができる。
【0009】
上記目的を達成するため請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ヒンジ部材は、前記アタッチメントを回動中心として機体の反エンジン側を、茶畝の前後方向に向かって回動可能とする畝前後方向回動用軸と、前記アタッチメントによって前記機体を片持ち支持させると共に、前記アタッチメントを回動中心として機体の反エンジン側を、上下方向に向かって回動可能とする畝幅方向回動用軸と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、ヒンジ部材の畝前後方向回動用軸によって、アタッチメントを回動中心として機体の反エンジン側が茶畝の前後方向に向かって水平回動する。これにより、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、刈り均し作業を行う場合において、従来の可搬型茶刈機のように、2人の作業者が前後にずれながら刈り均し作業を行えるようになるので、茶畝の刈幅、或いは、隣り合った畝間同士の幅(畝幅)が一定でなくても容易に刈り均すことができるようになる。さらに、アタッチメント廻りに刈取機を回動させることにより、狭い場所(例えば、枕地)での方向転換を容易に行うことができる。さらには、刈取機の長手方向と進行方向とを一致させると、幅の狭い道でも通れるようになる。また、茶畝の上面や周りの状況に応じて刈取機の姿勢調整を迅速に行うことができるようになるうえに、特に、操作ハンドルを操作する作業者が無理な姿勢のまま歩行しなくてもすむようになるので、刈り取り作業性を大幅に向上させることができる。
また、畝幅方向回動用軸によって、アタッチメントを回動中心として機体の反エンジン側が上下方向に向かって回動する。これにより、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、裾側ハンドルを受け持つ作業者が機体の反エンジン側を上方に持ち上げたり、下方に下げたりして機体全体を斜めにすると、急傾斜地での摘採作業や茶園管理作業を容易に行うことができるようになる。しかも、このような作業を行う場合、操作ハンドルを操作する作業者に負荷がかかるようなことはない。
【発明の効果】
【0011】
本発明の茶刈機によれば、アタッチメントによって茶刈機のエンジン搭載側を支えるようにした。これにより、軽量で取り廻しの良い2人用の全面茶刈機を比較的安価に提供することができる。しかも、エンジン搭載側の操作ハンドルを操作する作業者にかかる負荷は軽減され、作業性の向上が図られている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された茶刈機の正面図、図2は、図1中のA矢視図、図3は、図1中のB矢視図、図4は、図1中のC矢視図、図5は、同茶刈機のフレームとアタッチメントとを結合させるヒンジ部材を説明するための平面図、図6は、同ヒンジ部材の分解斜視図である。
なお、以下では、茶畝の全面を一度に刈り均らす刈ナラシ機に本発明が適用された場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、茶畝の全面を一度に摘採して茶葉を収穫する摘採機についても本発明を適用することができる。また、茶刈り作業を行う場合の進行方向を前側、エンジン搭載側を右側として説明する。
【0013】
図1〜4に示されるように、本発明が適用された茶刈機10は、茶畝の全面、つまり茶畝の一方の裾側から他方の裾側までの上面を一度に刈り均すことができるように構成されているものであって、フレーム11、刈刃12、駆動源13、送風機14、クランクケーシング15、アタッチメント16、ヒンジ部材17、裾側ハンドル18を備えて構成されている。
【0014】
まず、フレーム11について説明する。フレーム11は、刈刃支持フレーム11a、パイプフレーム11bを備えて構成されている。これら刈刃支持フレーム11aとパイプフレーム11bとは、茶畝の全面を一度に刈り均すための刈刃12に応じて長尺化されている。
【0015】
刈刃支持フレーム11aは、充分な剛性を持った軽金属製の薄型中空押し出し形成品であって、茶畝の上面に沿うように上向きに湾曲形成されている。この刈刃支持フレーム11aの下面には、金属製の薄板(図示せず)が固定され、さらに、その薄板の下方に、刈刃12が、刈刃支持フレーム11aの長手方向に向かって往復動可能、且つ薄板に摺動可能となるように配置されている。これにより、往復動する刈刃12から刈刃支持フレーム11aの下面が保護され、刈刃支持フレーム11aが摩耗しないようになっている。また、この刈刃支持フレーム11aの後部には、軽金属製の板状の案内板19(図2に図示)が後方に張り出された状態で取り付けられており、刈刃12が刈り取った茶葉枝を載置すると共に、送風機14から吹き出される空気流によって茶葉枝を左側(反エンジン側)の畝間に向かって案内するようになっている。
【0016】
パイプフレーム11bは、刈刃支持フレーム11aの上方側にブリッジ状に配置されるパイプ部材であり、前方からこの機体を見ると、刈刃支持フレーム11aとパイプフレーム11bとがほぼ平行となるように配置されている。さらに、そのほぼ平行な部分には、刈刃12が刈り取った茶葉枝の上方や後方への飛散を防止しつつ、左側の畝間に案内するように断面L字状に形成された合成樹脂製の飛散防止カバー20が、パイプフレーム11bと案内板19との対向面間を塞ぎ、且つ刈刃12の上方に向かって庇状に張り出すように取り付けられている。
これにより、刈刃支持フレーム11a、案内板19及び飛散防止カバー20により形成される断面コ字状の空間Sによって、刈刃12が刈り取った茶葉枝の飛散が防止されると共に、送風機14から吹き出される空気流によって左側の畝間に向かって風送される茶葉枝の飛散を防止しつつ、円滑に案内される。また、パイプフレーム11bと案内板19との間には、中央補強部材21が設けられており、長尺化された機体の剛性が損なわれないようになっている。
なお、飛散防止カバー20の高さは、従来の片面刈りの茶刈機の飛散防止カバー(図7参照)の高さよりも低くなるように設定されている。
【0017】
刈刃支持フレーム11aとパイプレーム11bとの左端部は、連結部材22によって連結されている。さらに、このパイプフレーム11bには、合成樹脂製の板状のアダプター23が取付支持部材24を介して取り付けられており、送風機14から吹き出される空気流によって左側の畝間に向かって風送されてきた茶葉枝を下方に向けて落下させるようなっている。また、この取付支持部材24に設けられたアダプター角度調整用ノブボルト25(図2に図示)によって、取付支持部材24の基端部を回動中心としてアダプター23を上下方向に回動できるようになっている。
【0018】
さらに、このアダプター23には、図2に示されるように、縦方向に向かって延びる長孔26が2つ穿設されている。そして、これらの長孔に、取付支持部材24の裏面側に設けられた2つのウェルディングナット(図示せず)に螺合するアダプター上下スライド用蝶ネジ27を挿通させることによって、アダプター23の上下位置調節ができるようになっている。これにより、左側の畝間に向かって風送されてきた茶葉枝を下方側に向けて円滑に案内することができる。さらに、パイプフレーム11bの左部には、可搬式作業に応じたL字状の裾側ハンドル(反エンジン側ハンドルのこと)18が取り付けられている。
【0019】
この裾側ハンドル18の基端部は、上下方向に回動可能となるようにパイプフレーム11bに取り付け固定されていると共に、裾側ハンドル18の自由端部は、後方に向かって延びている。これにより、裾側ハンドル18を持つ作業者は、左側の畝間に向かって風送されたり、アダプター23によって畝間に落下させられた茶葉枝に煩わされることなく、しかも、前向き姿勢で畝間を歩行しながら操作できるので、裾側ハンドル18を操作する作業者の負荷が軽減されることとなる。なお、この裾側ハンドル18には、エンジン緊急停止用のスイッチ(図示せず)が取り付けられるようになっている。
【0020】
また、パイプレーム11bの右端部は、送風機14の外殻をなす軽金属製のファンケースに設けられた取付フランジ(図示せず)にボルト固定されていると共に、刈刃支持フレーム11aの右端部は、軽金属製のクランクケーシング15にボルト固定されており、これら送風機14、クランクケーシング15は、フレーム11の一部と見なされるようになっている。
【0021】
駆動源13、送風機14、クランクケーシング15について説明する。
駆動源13、送風機14、クランクケーシング15は、互いに組み付けられて一体化しているものであって、送風機14の上部に、駆動源13としてのエンジン130が取り付け固定されていると共に、送風機14の下部に、クランクケーシング15が取り付け固定されており、エンジン動力が送風機14、クランクケーシング15に伝達されるようになっている。
【0022】
エンジン130は、例えば、2サイクルガソリンエンジンが用いられているが、これに限定されるものではなく、4サイクル或いは電動モータを用いてもよい。図1,3に示されるように、このエンジン130には、スタータ131、燃料タンク132、エアクリーナ一体式キャブレター133、マフラカバー134等が取り付けられている。そして、エンジン動力が送風機14に伝達されると、送風機14内部において空気流が生成されたのち、空気流が送風機14の吹出口28(図4に図示)から左側の畝間に向かって吹き出されて、刈刃12が刈り取った茶葉枝を左側の畝間に向かって風送する。また、エンジン動力がクランクケーシング15に伝達されると、図示しない偏心カム、アーム部材によって刈刃12を往復動させるようになっている。
【0023】
刈刃12について説明する。刈刃12は、上下2枚からなるバリカン刃であって、茶畝の上面に沿うように湾曲形成されている。この刈刃12は、刈刃支持フレーム11aの下面側において茶畝の一方の裾側から他方の裾側に向かって往復動可能となるように複数のガイドピン29によって取り付けられている。そして、クランクケーシング15を経たエンジン動力によって2枚のバリカン刃が相対往復動することによって、茶畝の表面から茶葉枝を刈り取るようになっている。
【0024】
ところで、送風機14、クランクケーシング15をフレーム11の一部とみなすと、エンジン130はフレーム11の右端部に搭載されていることになる。そして、この茶刈機10は、茶畝の全面を一度に刈り取ることができるように構成されている。つまり、この茶刈機10を用いた刈り均し作業時にあっては、エンジン130は、常に茶畝の右側の裾側に位置することとなる。このため、従来のエンジン側ハンドルを取り付けたのでは、エンジン側ハンドルを操作する作業者の負荷が増大し、作業性が低下してしまう。
【0025】
そこで、本発明の茶刈機10にあっては、エンジン搭載側であるフレーム11の右端部には、アタッチメント16がヒンジ部材17を介して取り付けられている。
【0026】
アタッチメント16について説明する。図1,3に示されるように、このアタッチメント16は、主フレーム161と傾斜フレーム162とからなるフレーム本体160、操作ハンドルとしてのエンジン側ハンドル163、車輪164を備えて構成されている。
【0027】
主フレーム161は、軽金属製の四角中空パイプが用いられており、その上部には、平面視二又状のエンジン側ハンドル163が、ノブボルト165(図4に図示)によって上下方向に回動調整可能となるように取り付け固定されている。なお、このエンジン側ハンドル163には、エンジン出力制御用のスロットルレバー、エンジン緊急停止用のスイッチ(いずれも図示せず)等が取り付けられるようになっている。また、このエンジン側ハンドル163を操作する作業者(刈り取り時にあって後ろ向きに歩行)が刈刃12に近づくのを防止するためのガイドバー30(図1,4に図示)が刈取機(フレーム11及びエンジン130のこと)右前部に取り付けられている。
【0028】
また、主フレーム161の下部には、軽金属製の板状の傾斜フレーム162が後方に傾斜し(図3参照)、且つ主フレーム161の軸心よりも外側にオフセットした状態(図1参照)で一体的に結合固定されることにより、フレーム本体160が形成されている。さらにまた、傾斜フレーム162の下端部には、車輪164が転動可能に取り付けられている。また、主フレーム161の一側面(車輪側面)には、上下方向に延びたガイド溝166(図1に図示)が設けられており、このガイド溝166にヒンジ部材17が上下移動可能に配置されている。
【0029】
これにより、エンジン側ハンドル163を持つ作業者に近接してエンジン130が位置しても、エンジン重量をアタッチメント16が支えるようになる。また、車輪164にはキャスターアングルがつけられているので、走行性能(直進性)とエンジン側ハンドル163の操作性(エンジン側ハンドル163を切ったときのハンドルの復元性の容易)とが確保されている。これにより、エンジン側ハンドル163を操作する作業者が無理な姿勢のまま歩行しなくてもすむようになる。さらに、畝間を進む際の地表面の凹凸の乗り越え性能が向上する。さらには、従来2人の作業者でやっていた刈刃12の微調整、つまり刃先を上向きにしたり下向きにしたりして刈り取り高さを調整していたのがより容易に行うことができるようになる。これらの結果、刈り取り作業性を大幅に向上させることができる。
【0030】
また、従来では、刈取機を茶畝の上面に滑らせながら刈り均しを行っていたため、刈り均し面の茶葉に不要な負荷がかかるという問題があったが、アタッチメント16によってエンジン重量が支えられるようになるので、刈取機を茶畝の上面に滑らせなくても刈り均しを行うことができるようになり、茶葉に不要な負荷がかかるのを防止することができる。特に、本発明が摘採機に用いられた場合には、この作用効果は顕著である。
【0031】
次に、ヒンジ部材17について説明する。図4〜6に示されるように、ヒンジ部材17は、本体部170、回動部171、ヒンジピン172、刈取機支持軸173を備えて構成されている。
【0032】
本体部170は、軽金属製の四角中空パイプが用いられており、その内部に、主フレーム161を摺動可能に内挿した状態で、ガイド溝166にしたがって上下移動可能に取り付けられている。この本体部170の一側面部には、本体部170の位置固定、固定解除を行うための押し釦式の高さ調整ノブ174を備えたレバーハンドル175(図3に図示)を取り付けるための取付孔176が穿設されている。また、本体部170の他側面部には、取付支持部177が一体的に結合固定されている。取付支持部177には、本体部170から遠ざかる方向に向かった上下一対の支持片177a,177b及び左右一対の回動規制部177,177dが一体形成されている。さらに、各支持片177a,177bには、それぞれ挿通孔177a1,177b1が穿設されている。そして、これらの支持片177a,177bの間には、回動部171に設けられた上下方向に延びる第1の中空パイプ部171aが挿入配置されている。
【0033】
なお、この回動部171には、第1の中空パイプ部171aの他に、横向きの第2の中空パイプ部171bと、第1の中空パイプ部171aと第2の中空パイプ部171bとを連ねる板状のフランジ部171cとが一体的に形成されている。
【0034】
そして、ヒンジピン172が、上下の支持片177a,177bの挿通孔177a1,177b1、第1の中空パイプ部171aを挿通した状態で、ヒンジピン172下部の外周面に設けられた挿入孔172aにスナップピン178が挿入されることにより、ヒンジピン172の抜け止めが行われている。なお、スナップピン178は、ヒンジピン172から抜出するのが容易であるため、簡単に刈取機とアタッチメント16とを切り離すことができるようになる。そのため、茶刈機10の保管時や移動時に便利である。そして、この回動部171がヒンジピン廻りに回動可能となると共に、回動部171がヒンジピン廻りに回動した際に、フランジ部171cが回動規制部177c,177dに当接することによって回動規制がなされるようになっている。
【0035】
また、刈取機支持軸173は、送風機14のファンケース、或いはクランクケーシング15の右後部に連なっているものであって、刈取機後方に向かって突出している。この刈取機支持軸173の軸径は、第2の中空パイプ部171bとほぼ同径とされていると共に、刈取機支持軸173の先端部には、第2の中空パイプ部171bの内部に挿入可能な小径部173aが形成されている。そして、第2の中空パイプ部171b内に挿入された小径部173aと第2の中空パイプ部171bとの間に、ぐらつき防止用のコイルバネ179が介装された状態で、固定ボルト180が、第2の中空パイプ部171bの片端部に接合する固定フランジ181を介して、小径部173aの軸部に設けられたネジ孔173a1に締め付けられることによって、刈取機支持軸173が回動部171に対して回動可能に支持固定されている。これにより、固定ボルト180の締め付け力によって圧縮されたコイルバネ179が、回動部171と固定フランジ181とをしっかりと押圧することによって、ヒンジピン172に対して刈取機支持軸173が近接配置されることによって発生する刈取機支持軸173のぐらつきが防止され、刈取機支持軸173の安定性を高めることができる。
【0036】
これにより、ヒンジピン172は、アタッチメント廻りに刈取機を水平回動させる回動軸となり、アタッチメント16を回動中心として刈取機の反エンジン側を、茶畝の前後方向に向かって回動可能(但し、図5中の矢印Dで示したように、回動規制部177c,177dにより回動規制がなされた所定の範囲内において)とするための畝前後方向回動用軸となる。そのため、アタッチメント16を備えた茶刈機を用いて刈り均し作業を行う場合において、従来の可搬型茶刈機のように、2人の作業者が前後にずれながら刈り均し作業を行えるようになるので、茶畝の刈幅、或いは、隣り合った畝間同士の幅(畝幅)が一定でなくても容易に刈り均すことができるようになる。さらに、アタッチメント廻りに刈取機を回動させることにより、狭い場所(例えば、枕地)での方向転換を容易に行うことができる。さらには、図5のように刈取機の長手方向と進行方向とを一致させると、幅の狭い道でも通れるようになる。
【0037】
また、刈取機支持軸173は、刈取機をアタッチメント16によって片持ち支持させると共に、そのアタッチメント16を回動中心として刈取機の反エンジン側を、図1中の矢印Eで示したように、上下方向に向かって回動可能とするための畝幅方向回動用軸となる。また、刈取機のエンジン側の高さは、高さ調整ノブ174によって容易に無段階調整できるようになっている。これにより、茶畝の上面や周りの状況に応じて刈取機の姿勢調整を迅速に行うことができるうえに、特に、エンジン側ハンドル163を操作する作業者が無理な姿勢のまま歩行しなくてもすむようになるので、刈り取り作業性を大幅に向上させることができる。
さらには、裾側ハンドルを受け持つ作業者が機体の反エンジン側を上方に持ち上げたり、下方に下げたりして機体全体を斜めにすると、急傾斜地での摘採作業や茶園管理作業を容易に行うことができるようになる。しかも、このような作業を行う場合、操作ハンドルを操作する作業者に負荷がかかるようなことはない。
さらにまた、高さ調整ノブ174を備えたレバーハンドル175によって、刈刃12を見ながら刈取機の高さ調節を行うことができるので、作業性が向上する。
【0038】
以上述べたように本発明の茶刈機10によれば、エンジン側ハンドル163を持つ作業者に近接してエンジン130が位置しても、エンジン重量をアタッチメント16が支えるようになる。また、車輪164にはキャスターアングルがつけられているので、走行性能とエンジン側ハンドル163の操作性とが確保されている。これにより、エンジン側ハンドル163を操作する作業者にかかる負荷が軽減される。さらに、畝間を進む際の地表面の凹凸の乗り越え性能が向上する。さらには、従来2人の作業者でやっていた刈刃12の微調整、つまり刃先を上向きにしたり下向きにしたりして刈り取り高さを調整していたのがより容易に行うことができるようになる。
【0039】
また、従来では、茶刈機を茶畝の上面に滑らせながら刈り取りを行うことがあるが、刈り取り面の茶葉に不要な負荷がかかるという問題があったが、アタッチメント16によってエンジン重量が支えられるようになるので、茶刈機10を茶畝の上面に滑らせなくても刈り均しを行うことができるようになり、茶葉に不要な負荷がかかるのを防止することができる。特に、本発明が茶葉を収穫する目的で用いられる摘採機に用いられた場合には、この作用効果は顕著である。
これらの結果、比較的安価で、軽量で取り廻しの良く、しかも、操作する作業者の負荷を軽減し、作業性の向上を図ることができる2人用の全面茶刈機を提供することができる。
【0040】
また、畝前後方向回動用軸としてのヒンジピン172は、アタッチメント廻りに刈取機を回動させる回動軸となり、アタッチメント16を回動中心として刈取機の反エンジン側を、茶畝の前後方向に向かって回動可能とする。そのため、アタッチメント16を備えた茶刈機を用いて刈り均し作業を行う場合において、従来の可搬型茶刈機のように、2人の作業者が前後にずれながら刈り均し作業を行えるようになるので、茶畝の刈幅、或いは、隣り合った畝間同士の幅(畝幅)が一定でなくても容易に刈り均すことができるようになる。さらに、アタッチメント廻りに刈取機を回動させることにより、狭い場所(例えば、枕地)での方向転換を容易に行うことができる。さらには、刈取機の長手方向と進行方向とを一致させると、幅の狭い道でも通れるようになる。
【0041】
また、畝幅方向回動用軸としての刈取機支持軸173は、刈取機をアタッチメント16によって片持ち支持させると共に、そのアタッチメント16を回動中心として刈取機の反エンジン側を、上下方向に向かって回動可能とする。また、刈取機のエンジン側の高さは、高さ調整ノブ174によって容易に調整できるようになっている。これにより、茶畝の上面や周りの状況に応じて刈取機の姿勢調整を迅速に行うことができるうえに、特に、エンジン側ハンドル163を操作する作業者が無理な姿勢のまま歩行しなくてもすむようになるので、刈り取り作業性を大幅に向上させることができる。
さらにまた、裾側ハンドル18を受け持つ作業者が機体の反エンジン側を上方に持ち上げたり、下方に下げたりして機体全体を斜めにすると、急傾斜地での摘採作業や茶園管理作業を容易に行うことができるようになる。しかも、このような作業を行う場合、エンジン側ハンドル163を操作する作業者に負荷がかかるようなことはない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明が適用された茶刈機の正面図である。
【図2】図1中のA矢視図である。
【図3】図1中のB矢視図である。
【図4】図1中のC矢視図である。
【図5】同茶刈機のフレームとアタッチメントとを結合させるヒンジ部材を説明するための平面図である。
【図6】同ヒンジ部材の分解斜視図である。
【図7】従来の茶刈機の斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
10…茶刈機
11…フレーム
12…刈刃
13…駆動源
130…エンジン
14…送風機
15…クランクケーシング
16…アタッチメント
163…エンジン側ハンドル(操作ハンドル)
164…車輪
17…ヒンジ部
172…ヒンジピン(畝前後方向回動用軸)
173…取付支持軸(畝幅方向回動用軸)
18…裾側ハンドル
【出願人】 【識別番号】000250270
【氏名又は名称】落合刃物工業株式会社
【出願日】 平成18年9月7日(2006.9.7)
【代理人】 【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−61579(P2008−61579A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−243302(P2006−243302)