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【発明の名称】 コンバイン
【発明者】 【氏名】山本 陽一郎

【要約】 【課題】掻込み部や搬送部に噛み込んだ穀稈の取り除き作業を行う場合にも、簡単な構成でもって掻込み部や搬送部を逆転することを可能として、コストダウンやコンパクト化を図ったコンバインを提供する。

【構成】コンバインの前処理部には、横伝動ケースの機体左方側の端部において、駆動軸24sの端部24dに連結可能な手動逆転用レバー71を備えている。該手動逆転用レバー71は、刈取り作業時において、掻込みスターホイル62,63,64、掻込み搬送ベルト84,85,86及び株元搬送チェーン53,54,55に穀稈が噛み込んでしまった場合に、手動にて回動操作することで掻込みスターホイル62,63,64、掻込み搬送ベルト84,85,86及び株元搬送チェーン53,54,55を限定方向と逆方向に回転させることができ、噛み込んだ穀稈を取り除く作業を行うことが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取り作業時に穀稈を引起す引起し装置と、前記引起し装置の後方に配置され、前記引起し装置により引起された穀稈を切断する刈刃と、穀稈を掻き込む掻込み部及び該穀稈を搬送する搬送部と、を備え、前記引起し装置、刈刃、掻込み部及び搬送部のそれぞれに駆動源からの限定方向の回転が前処理動力伝動経路を介して伝達される前処理部を有するコンバインにおいて、
前記前処理動力伝動経路の少なくとも一部に前記限定方向と逆方向の回転を伝達し得る手動駆動手段を、前記前処理動力伝達経路に連結してなる、
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記前処理動力伝達経路は、走行機体に配置された前記駆動源からの動力を入力し、前記引起し装置、前記掻込み部、前記刈刃及び前記搬送部に分岐して出力する横軸を有し、
前記手動駆動手段は、前記横軸に連結し得るレバーである、
請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記前処理動力伝達経路は、前記駆動源からの動力を分岐してそれぞれ前記引起し装置、前記掻込み部、前記刈刃及び前記搬送部に伝達する動力伝達部を有し、
前記手動駆動手段は、前記掻込み部に動力伝達する掻き込み動力伝達部に連動し得るレバーである、
請求項1記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係り、詳しくは刈取り作業時に穀稈を引起す引起し装置と、該引起し装置により引起された穀稈を切断する刈刃と、穀稈を掻き込む掻込み部及び該穀稈を搬送する搬送部と、が駆動源からの限定方向の回転が前処理動力伝達経路を介して伝達される前処理部を有するコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来コンバインには、機体前方側に、引起し装置、刈刃、掻込み部及び各種の搬送部を有する前処理部が配設されており、引起し装置によって引起された穀稈を掻込み部によって掻き込みながら刈刃によって刈取り、各種の搬送部によって機体に備えられた脱穀装置へ搬送されるように構成されている。
【0003】
コンバインにあって、前処理部に刈刃や掻込み部に伝達される駆動源からの回転を逆転させる逆転駆動手段と、該逆転駆動手段を操作する操作部とを備え、作業者が操作部を操作することにより、刈刃や掻込み部に駆動源からの回転を逆転駆動手段によって逆方向の回転にして伝達させることによって、刈刃や掻込み部に噛み込んだ穀稈の取り除き作業を行うことができるものも提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
なお、コンバインの引起し装置や搬送部には爪付きチェーンが用いられており、該爪付きチェーンは、逆方向の回転が伝達し、負荷がかかると破損してしまう虞がある。このため、上記のような逆転駆動手段と操作部とを備えたものには、爪付きチェーンの用いられている引起し装置や搬送部の逆回転を規制する逆転規制手段を備え、引起し装置や搬送部が逆転することに起因する、該引起し装置等の破損を防止するように構成されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−6187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、掻込み部や搬送部に噛み込んだ穀稈の取り除き作業を行うだけであれば、掻込み部や搬送部の逆方向の回転は、噛み込んだ穀稈を取り除くことができるだけ回転できれば充分であり、上記のような逆転駆動手段や該逆転駆動手段を操作する操作部等の過大な装置を備えたコンバインでは、製造コストの増加やコンバインのコンパクト化の妨げとなる虞がある。
【0007】
また、上記のような逆転駆動手段を操作する操作部を備えたコンバインでは、誤操作等により作業者の予期しない不意な逆転駆動を起こす虞がある。
【0008】
そこで本発明は、簡単な構成でもって掻込み部や搬送部を逆転することを可能とし、もって上述した課題を解決したコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る本発明は(例えば図1乃至図6参照)、刈取り作業時に穀稈を引起す引起し装置(15,16,17)と、前記引起し装置(15,16,17)の後方に配置され、前記引起し装置(15,16,17)により引起された穀稈を切断する刈刃(61)と、穀稈を掻き込む掻込み部(62,63,64,84,85,86)及び該穀稈を搬送する搬送部(33,36,42,47,53,54,55)と、を備え、前記引起し装置(15,16,17)、刈刃(61)、掻込み部(62,63,64,84,85,86)及び搬送部(33,36,42,47,53,54,55)のそれぞれに駆動源からの限定方向の回転が前処理動力伝動経路(22s,23s,24s)を介して伝達される前処理部(3)を有するコンバイン(1)において、
前記前処理動力伝動経路(22s,23s,24s)の少なくとも一部に前記限定方向と逆方向の回転を伝達し得る手動駆動手段(例えば71)を、前記前処理動力伝達経路(22s,23s,24s)に連結してなる、
ことを特徴とするコンバイン(1)にある。
【0010】
請求項2に係る本発明は(例えば図1乃至図5参照)、前記前処理動力伝達経路(22s,23s,24s)は、走行機体(2)に配置された前記駆動源からの動力を入力し、前記引起し装置(15,16,17)、前記掻込み部(62,63,64,84,85,86)、前記刈刃(61)及び前記搬送部(33,36,42,47,53,54,55)に分岐して出力する横軸(24s)を有し、
前記手動駆動手段(例えば71)は、前記横軸(24s)に連結し得るレバー(71)である、
請求項1記載のコンバイン(1)にある。
【0011】
請求項3に係る本発明は(例えば図4及び図6参照)、前記前処理動力伝達経路(22s,23s,24s)は、前記駆動源からの動力を分岐してそれぞれ前記引起し装置(15,16,17)、前記掻込み部(62,63,64,84,85,86)、前記刈刃(61)及び前記搬送部(33,36,42,47,53,54,55)に伝達する動力伝達部を有し、
前記手動駆動手段(例えば72)は、前記掻込み部(62,63,64,84,85,86)に動力伝達する掻き込み動力伝達部(62s,63s,64s)に連動し得るレバー(72)である、
請求項1記載のコンバイン(1)にある。
【0012】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る本発明によると、前処理動力伝動経路の少なくとも一部に逆方向の回転を伝達し得る手動駆動手段を、前処理動力伝達経路に連結したので、掻込み部や搬送部に噛み込んだ穀稈を取り除く作業を行う際にも、手動で掻込み部や搬送部を逆方向に回転させることができ、簡単な装置で足り、コストダウンやコンパクト化を図ることができる。
【0014】
また、手動駆動手段は手動で操作するので、掻込み部や搬送部が不意に逆方向回転してしまうことを防止でき、安全性の向上を図ることができる。
【0015】
請求項2に係る本発明によると、手動駆動手段は、走行機体に配置された駆動源からの動力を入力する前処理動力伝達経路の、引起し装置、掻込み部、刈刃及び搬送部に分岐して出力する横軸に連結し得るレバーであるので、簡単な装置でありながら、噛み込んだ穀稈を取り除く作業を行う際にも、大きな力を必要とせずに確実に逆方向回転操作ができる。
【0016】
請求項3に係る本発明によると、手動駆動手段は、掻込み部に動力伝達する掻き込み動力伝達部に連動し得るので、噛み込んだ穀稈を取り除く作業を行う際にも、操作箇所と作業箇所とが近接し、逆回転させつつ噛み込んだ穀稈を取り除くことができ、作業効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に関する実施の形態を図1乃至図6に沿って説明する。
【0018】
コンバイン1は、図1に示すように、進行方向左右のクローラ走行装置7,7に支持された走行機体2を有しており、該走行機体2には運転部5及び脱穀装置6等が配置され、かつその前方に前処理部3が昇降自在に配置されている。
【0019】
上記走行機体2は、図1及び図2に示すように、左右幅方向の右側前方に操作パネル11や運転席12などが設けられる運転部5と、該運転部5の後方側にグレンタンク(図示せず)がそれぞれ配設されており、また走行機体2の左側には、前処理部3にて刈取られた穀稈を搬送する脱穀フィードチェーン(図示せず)、及び該脱穀フィードチェーンにより搬送された穀稈を脱穀する脱穀装置6が配設されている。この脱穀装置6にて脱穀された穀粒は、揚上搬送されてグレンタンクに一時的に貯留される。
【0020】
上記前処理部3は、走行機体2の略々全幅にわたって穀稈を分草する多数の分草デバイダ18を有しており、該分草デバイダ18は、機体前方に延びる分草フレーム67にそれぞれ取付けられている。該分草フレーム67の後方側は、前処理部3の下方側で機体左右方向に延設された横フレーム66に固定されている。また、分草デバイダ18のそれぞれの後方には、分草された穀稈を引起す引起し装置15,16,17が前方から後方に向けて上昇する傾斜状に設けられている。さらに、前処理部3の両側面には、それぞれ保守・整備のために簡単に着脱することを可能としたサイドカバー65,65が配設されている。
【0021】
なお、本実施の形態で説明するコンバイン1は3条刈り用のコンバインであり、上記引起し装置15,16,17は、それぞれ右側引起し装置15、中央引起し装置16、左側引起し装置17となっている。
【0022】
前処理部3は、その作動基端側を伝動軸ケース22に固着され、かつ走行機体2の前方斜め下方に向けて延出する縦伝動ケース23に接続されている。該縦伝動ケース23は、その中間部に連結された図示を省略している油圧シリンダの伸縮に基づき昇降可能に前処理部3を支持している。この縦伝動ケース23の下端部、即ち前処理部3との接続部側では、機体左右方向に延設され、かつ該縦伝動ケース23と略々T字状に直交する横伝動ケース24が一体的に連結されている。
【0023】
そして、伝動軸ケース22内の駆動軸22sの動力は、図3に示すように、ベベルギヤ77を介して縦伝動ケース23内の駆動軸23sに伝達され、さらにベベルギヤ78を介して、横伝動ケース24内の駆動軸(横軸)24sに伝達されるように構成されている。
【0024】
上記右側引起し装置15は、図2及び図3に示すように、爪付きチェーン15bと引起しケース15aとを有し、該爪付きチェーン15bには所定間隔で複数本の爪(図示せず)が取付けられ、これらの爪が引起しケース15a内を上方に回動して穀稈を引起す。この爪付きチェーン15bを駆動する動力は、横伝動ケース24内の駆動軸24sからベベルギヤ81を介し、該横伝動ケース24内の駆動軸24sから機体前方側の上方向へ傾斜状に延びる右側引起し伝動ケース25a内の駆動軸15sに伝達され、該駆動軸15sから、爪付きチェーン15bの保護のために逆回転を規制するトルクリミッタ15c等を介して伝達される。また、右側引起し装置15は、この右側引起し伝動ケース25aによって上端部が支持されている。
【0025】
また同様に、中央引起し装置16は、爪付きチェーン16bと引起しケース16aとを有し、該爪付きチェーン16bには所定間隔で複数本の爪16dが取付けられ、これらの爪16dが引起しケース16a内を上方に回動して穀稈を引起す。この爪付きチェーン16bを駆動する動力は、横伝動ケース24内の駆動軸24sからベベルギヤ82を介し、該横伝動ケース24内の駆動軸24sから機体前方側の上方向へ傾斜状に延びる中央引起し伝動ケース25b内の駆動軸16sに伝達され、該駆動軸16sからトルクリミッタ16c等を介して伝達される。また、中央引起し装置16は、この中央引起し伝動ケース25bによって上端部が支持されている。
【0026】
さらに、左側引起し装置17は、爪付きチェーン17bと引起しケース17aとを有し、該爪付きチェーン17bには所定間隔で複数本の爪17dが取付けられ、これらの爪17dが引起しケース17a内を上方に回動して穀稈を引起す。この爪付きチェーン17bを駆動する動力は、横伝動ケース24内の駆動軸24sからベベルギヤ83を介し、該横伝動ケース24内の駆動軸24sから機体前方側の上方向へ傾斜状に延びる左側引起し伝動ケース25c内の駆動軸17s伝達され、該駆動軸17sからトルクリミッタ17c等を介して伝達される。また、左側引起し装置17は、この左側引起し伝動ケース25cによって上端部が支持されている。
【0027】
上記引起し装置15,16,17の後方で、かつ横伝動ケース24の前方下部には、図1に示すように、地面に近接して穀稈の株元を切断する刈刃61が設けられ、掻込み搬送装置30によって略々直立状態で掻込まれながら刈刃61により切断された穀稈が後方に搬送されるように構成されている。
【0028】
該掻込み搬送装置30は、図2及び図3に示すように、右側掻込み搬送ベルト(掻込み部)84、右側株元搬送チェーン(搬送部)53,54、右側掻込みスターホイル(掻込み部)62、右側下穂先搬送体(搬送部)33、及び右側上穂先搬送体(搬送部)36などを有する右側掻込み搬送装置30rと、中央掻込み搬送ベルト(掻込み部)85、中央掻込みスターホイル(掻込み部)63、左側掻込み搬送ベルト(掻込み部)86、左側株元搬送チェーン(搬送部)55、左側掻込みスターホイル(掻込み部)64(図1参照)、左側下穂先搬送体(搬送部)42、及び左側上穂先搬送体(搬送部)47などを有する左側掻込み搬送装置30lとで構成されている。
【0029】
そして、右側掻込みスターホイル62及び右側掻込み搬送ベルト84により掻き込まれた右側の穀稈は、案内板68に導かれると共に、右側株元搬送チェーン53,54、右側下穂先搬送体33、及び右側上穂先搬送体36によって搬送され、中央掻込みスターホイル63及び中央掻込み搬送ベルト85により掻き込まれた中央の穀稈、及び左側掻込みスターホイル64(図1参照)及び左側掻込み搬送ベルト86により掻き込まれた左側の穀稈は、案内板68に導かれると共に、左側株元搬送チェーン55、左側下穂先搬送体42、及び左側上穂先搬送体47によって搬送されるように構成される。
【0030】
上記掻込み搬送装置30の右側下穂先搬送体33は、図2及び図3に示すように、横伝動ケース24に接続され、該横伝動ケース24内の駆動軸24sからウォームギヤ75を介して動力が伝達される駆動軸ケース31内の駆動軸31sが備えられている。該駆動軸31sには、後述する爪付きチェーン33a,36aの保護のために逆回転を規制するトルクリミッタ31cが配設されており、該駆動軸31sと一体に回転するよう配設された駆動スプロケット34を有している。この駆動スプロケット34には、従動スプロケット35との間に巻掛けられた爪付きチェーン33aを備えて構成される。
【0031】
また、上記駆動軸31sには、駆動スプロケット34の上方に駆動スプロケット39が備えられており、該駆動スプロケット39と、右側上穂先搬送体36の駆動軸32sの下端部に一体に配設された従動スプロケット40とに巻掛けられたチェーンによって、該右側上穂先搬送体36の駆動軸32sに動力が伝達される。該右側上穂先搬送体36には、駆動軸32sに該駆動軸32sと一体に回転するよう配設された駆動スプロケット37と従動スプロケット38を有し、この駆動スプロケット37と従動スプロケット38とに巻掛けられた爪付きチェーン36aを備えて構成される。
【0032】
上記掻込み搬送装置30の左側下穂先搬送体42及び左側上穂先搬送体47は、横伝動ケース24に接続され、該横伝動ケース24内の駆動軸24sからウォームギヤ76を介して動力が伝達される駆動軸ケース41内の駆動軸41sが備えられている。該駆動軸41sには、後述する爪付きチェーン42a,47aの保護のために逆回転を規制するトルクリミッタ41cが配設されており、該駆動軸41sと一体に回転するよう配設された駆動スプロケット44,48を有している。この駆動スプロケット44,48には、従動スプロケット45,49との間に巻掛けられた爪付きチェーン42a,47aをそれぞれ備えて構成される。
【0033】
上記右側株元搬送チェーン54は、駆動軸ケース31内の駆動軸31sと一体に固着された駆動スプロケット26により駆動されており、また、左側株元搬送チェーン55は、駆動軸ケース41内の駆動軸41sと一体に固着された駆動スプロケット27により駆動される。
【0034】
さらに、上記掻込み搬送装置30の後方には、回動支点軸58を中心として上下に揺動自在な扱深搬送装置50が設けられており、該掻込み搬送装置30から引継がれた穀稈は、この扱深搬送装置50における株元扱深搬送体57により株元側が挟持され、穂先扱深搬送体56により穂先側が挟持されて搬送されるように構成されている。また、この扱深搬送装置50により、穀稈はその長さが感知され、予め設定しておいた扱深さに自動的に調節され、脱穀フィードチェーン(図示せず)により、上述の脱穀装置6に向けて搬送されるように構成されている。
【0035】
以上のように構成されたコンバイン1の前処理部3には、刈取り作業時に掻込みスターホイル62,63,64、掻込み搬送ベルト84,85,86及び株元搬送チェーン53,54,55等に穀稈が噛み込んでしまうことがある。前記のような箇所に穀稈が噛み込んでしまった場合には、これを取り除くため、引起し装置15,16,17、刈刃61、掻込みスターホイル62,63,64、掻込み搬送ベルト84,85,86、穂先搬送体33,36,42,47及び株元搬送チェーン53,54,55を逆方向に回転させる手動逆転用レバー(手動駆動手段)71を備えている。該手動逆転用レバー71は、図4及び図5に示すように、突起部71aと棒状部材71bとで構成されており、該突起部71aは、棒状部材71bの端部で、横伝動ケース24の機体左方側の端部に設けた孔部24aより露出させた、駆動軸24sの端部24dと連結可能に形成されている。
【0036】
また、該端部24dは、断面が六角形の柱状に形成され、突起部71aには、該端部24dが嵌合可能な穴部71cが形成されており、これら端部24dと突起部71aの穴部71cとが嵌合することで、棒状部材71bの操作によって駆動軸24sに回転駆動できるように構成されている。
【0037】
手動逆転用レバー71は、噛み込んでしまった穀稈を取り除く作業時には、上記のように装着して使用するが、該作業時以外の通常時には、図1及び図2に示すように、左側引起し伝動ケース25cに取付けておくことができるように構成されている。また、この通常時において横伝動ケース24の端部に設けられた孔部24aには、異物の混入を防止するためのキャップ91が装着可能に構成されている。
【0038】
次に、本発明に係るコンバイン1の前処理部3の作用について説明する。
【0039】
3条刈りのコンバインは、図2に示すように、引起し装置15,16,17によって穀稈を引起し、刈刃61によって穀稈を刈取る。刈取られた穀稈のうちの右側の穀稈は、右側掻込みスターホイル62及び右側掻込み搬送ベルト84(図3参照)により右側掻込み搬送装置30rに掻き込まれ、案内板68に導かれると共に、右側株元搬送チェーン53,54、右側下穂先搬送体33、及び右側上穂先搬送体36によって扱深搬送装置50へ搬送される。
【0040】
また、刈取られた穀稈のうちの中央の穀稈と左側の穀稈とは、中央掻込みスターホイル63及び中央掻込み搬送ベルト85(図3参照)により、中央の穀稈が左側掻込み搬送装置30lに掻き込まれ、さらに、左側掻込みスターホイル64及び左側掻込み搬送ベルト86(図3参照)により、左側の穀稈が左側掻込み搬送装置30lに掻き込まれる。そして、これら2条の穀稈は、案内板68に導かれると共に、左側株元搬送チェーン55、左側下穂先搬送体42、及び左側上穂先搬送体47によって扱深搬送装置50へ搬送される。
【0041】
扱深搬送装置50では、上記掻込み搬送装置30から引継がれた穀稈が、株元扱深搬送体57により株元側が係止され、穂先扱深搬送体56により穂先側が挟持されて搬送される。また、この扱深搬送装置50により、穀稈はその長さが感知され、予め設定しておいた扱深さに自動的に調節される。その後、穀稈は、該扱深搬送装置50から脱穀フィードチェーン(図示せず)に引継がれて、上述の脱穀装置6に向けて搬送される。
【0042】
一方、刈取り作業時において、掻込みスターホイル62,63,64、掻込み搬送ベルト84,85,86及び株元搬送チェーン53,54,55等に穀稈が噛み込んでしまった場合には、図4及び図5に示すように、横伝動ケース24の端部に設けられた孔部24aに装着されているキャップ91を取り外し、左側引起し伝動ケース25cに取付けてある手動逆転用レバー71を取り外して、駆動軸24sに連結する。そして、該手動逆転用レバー71を操作することで引起し装置15,16,17、刈刃61、掻込みスターホイル62,63,64、掻込み搬送ベルト84,85,86、穂先搬送体33,36,42,47及び株元搬送チェーン53,54,55を限定方向と逆方向に回転させて、噛み込んだ穀稈を取り除く作業を行う。
【0043】
このとき、前処理部3では、図3に示すように、トルクリミッタ15c,16c,17c,31c,41cが配設されており、爪付きチェーンが備えられている各引起し装置15,16,17及び各穂先搬送体33,36,42,47では、逆方向の回転が伝達し、負荷がかかった場合でも該トルクリミッタ15c,16c,17c,31c,41cの作用により、爪付きチェーンの逆方向回転による破損を防ぐことができる。また、縦伝動ケース23内の駆動軸23sにトルクリミッタ23cを配設した場合には、これより駆動源側への逆方向回転を規制するので、手動逆転用レバー71の操作力を軽減することができる。
【0044】
以上のように本実施の形態に係るコンバイン1によると、駆動軸22s,23s,24sの少なくとも一部に逆方向の回転を伝達し得る手動逆転用レバー71を、横伝動ケース24内の駆動軸24sに連結したので、掻込みスターホイル62,63,64、掻込み搬送ベルト84,85,86及び株元搬送チェーン53,54,55に噛み込んだ穀稈を取り除く作業を行う際にも、手動で掻込みスターホイル62,63,64、掻込み搬送ベルト84,85,86及び株元搬送チェーン53,54,55を逆方向に回転させることができ、簡単な装置で足り、コストダウンやコンパクト化を図ることができる。
【0045】
また、手動逆転用レバー71は、手動で操作するので、掻込みスターホイル62,63,64、掻込み搬送ベルト84,85,86及び株元搬送チェーン53,54,55が不意に逆方向回転してしまうことを防止でき、安全性の向上を図ることができる。
【0046】
また、手動逆転用レバー71は、走行機体2に配置された駆動源からの動力を入力する駆動軸22s,23s,24sのうち、引起し装置15,16,17、掻込みスターホイル62,63,64、掻込み搬送ベルト84,85,86、刈刃61及び株元搬送チェーンに分岐して出力する駆動軸24sに連結し得るレバーであるので、簡単な装置でありながら、噛み込んだ穀稈を取り除く作業を行う際にも、大きな力を必要とせずに確実に逆方向回転操作ができる。
【0047】
なお、本実施の形態では、手動逆転用レバー71は、引起し装置15,16,17、刈刃61、掻込みスターホイル62,63,64、掻込み搬送ベルト84,85,86、穂先搬送体33,36,42,47及び株元搬送チェーン53,54,55に逆方向の回転を伝達できるように説明したが、噛み込んだ穀稈を取り除く作業を行う際に必要な部分に逆方向の回転を伝達できるものであれば良く、例えば掻込みスターホイル62,63,64及び掻込み搬送ベルト84,85,86のみに逆方向の回転を伝達できるような構成とすることも可能である。
【0048】
また、手動逆転用レバー71が、横伝動ケース24内の駆動軸24sの端部24dに着脱自在である説明をしたが、図3に示すように、該駆動軸24s上において、ベベルギヤ83と端部24dとの間にトルクリミッタ24cを配設し、手動逆転用レバー71を常設させたものとすることも可能である。
【0049】
ついで、本発明の別の実施の形態を図4及び図6に沿って説明する。
【0050】
本実施の形態では、手動逆転用レバーを、掻込みスターホイル62,63,64の駆動軸(掻き込み動力伝達部)62s,63s,64sに連結させることを可能としたものである。
【0051】
左側掻込みスターホイル64においては、図4に示すように、該左側掻込みスターホイル64の駆動軸64sを左側掻込み搬送ベルト86よりも上方に延長し、突出させ、その突出させた駆動軸64sに対して、手動逆転用レバー72を連結させる。このとき、手動逆転用レバー72の接続部分に近接した部分に、例えばユニバーサルジョイント等を備え、該手動逆転用レバー72の握り部分が、引起し装置17が形成する傾斜面と平行となるように構成する。そして、該手動逆転用レバー72を操作することで駆動軸64sを限定方向と逆方向に回転駆動させ、該左側掻込みスターホイル64、左側株元搬送チェーン55及び左側掻込み搬送ベルト86に噛み込んだ穀稈を取り除く作業を行うことができる。
【0052】
また、右側掻込みスターホイル62及び中央掻込みスターホイル63においても、図6に示すように、駆動軸62s,63sが同様な構成となっており、該右側掻込みスターホイル62、右側株元搬送チェーン53,54、右側掻込み搬送ベルト84、及び該中央掻込みスターホイル63、中央掻込み搬送ベルト85のそれぞれを回転駆動させ、噛み込んだ穀稈を取り除く作業が可能となっている。
【0053】
以上のように本実施の形態に係るコンバイン1によると、手動逆転用レバー72は、掻込みスターホイル62,63,64に動力伝達する駆動軸62s,63s,64sに連動し得るので、噛み込んだ穀稈を取り除く作業を行う際にも、操作箇所と作業箇所とが近接し、逆回転させつつ噛み込んだ穀稈を取り除くことができ、作業効率を向上させることができる。
【0054】
なお、以上説明した実施の形態及び別の実施の形態に係るコンバイン1では、爪付きチェーンの破損を防止するために負荷がかかった場合に逆回転を規制する逆転規制手段としてトルクリミッタを用いて説明したが、駆動伝達部の逆回転による爪付きチェーンの破損を防止できるものであれば、例えばワンウェイクラッチを用いて逆回転を規制することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】コンバインの前方部分の側面図。
【図2】コンバインの前方部分の平面図。
【図3】前処理部の駆動伝動線図。
【図4】コンバインの前方部分の要部側面図。
【図5】手動駆動手段連結部分の説明図。
【図6】前処理部の要部斜視図。
【符号の説明】
【0056】
1 コンバイン
2 走行機体
3 前処理部
15,16,17 引起し装置
22s,23s 前処理動力伝動経路(駆動軸)
24s 横軸(駆動軸)
33,36,42,47,53,54,55 搬送部(穂先搬送体、株元搬送チェーン)
61 刈刃
62,63,64,84,85,86 掻込み部(掻込みスターホイル、掻込み搬送ベルト)
71,72 手動駆動手段(手動逆転用レバー)
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成18年8月3日(2006.8.3)
【代理人】 【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫


【公開番号】 特開2008−35738(P2008−35738A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−211781(P2006−211781)