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【発明の名称】 回転部材支持ユニット
【発明者】 【氏名】小泉 秀樹

【氏名】村井 隆司

【要約】 【課題】内圧を常に大気圧と略同一圧に保つことで、内部に封入したグリースの外部への漏洩を防止するとともに、当該回転部材を長期に亘って一定の回転精度で安定して回転させ続けることが可能な回転部材支持ユニットを提供する。

【構成】所定方向に延出して立設された主軸8と、当該主軸を回転自在に支持する複数の転がり軸受2,4と、駆動装置34によって回転される駆動軸38の回転力を主軸に伝達するために、当該駆動軸及び主軸の一端側にそれぞれ設けられて相互に噛合する少なくとも1組の歯車G1,G2と、主軸の他端側に取り付けられた回転部材32とを備えた回転部材支持ユニットU1であって、内圧の上昇時には、内気をユニットの内部から外部へ排出させるとともに、内圧の低下時には、外気をユニットの外部から内部へ流入させることで、内圧を大気圧と略同一圧に保つための空気孔20aを少なくとも1つ有する内圧調整機構20が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に延出して立設された主軸と、当該主軸を回転自在に支持する複数の転がり軸受と、駆動装置によって回転される駆動軸の回転力を主軸に伝達するために、当該駆動軸及び主軸の一端側にそれぞれ設けられて相互に噛合する少なくとも1組の歯車と、主軸の他端側に取り付けられた回転部材とを備えた回転部材支持ユニットであって、
回転部材支持ユニットの内圧の上昇時には、内気を当該ユニットの内部から外部へ排出させるとともに、内圧の低下時には、外気を当該ユニットの外部から内部へ流入させることで、当該ユニットの内圧を大気圧と略同一圧に保つための空気孔を少なくとも1つ有する内圧調整機構が設けられていることを特徴とする回転部材支持ユニット。
【請求項2】
回転部材支持ユニットには、内圧調整機構として、空気孔でのみ回転部材支持ユニットの外部と連通可能な内圧調整室が設けられており、当該内圧調整室には、回転部材支持ユニットの内部と連通する連通孔が少なくとも1つ形成されているとともに、当該ユニット内部に封入された潤滑剤を捕集して蓄えるための潤滑剤貯留部が内設されており、当該潤滑剤貯留部は、前記空気孔の開口部並びに前記連通孔の開口部よりも前記主軸の他端寄りに位置付けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転部材支持ユニット。
【請求項3】
主軸には、回転部材として、地表に生育する草木を根元付近から刈り払うための刈刃が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転部材支持ユニット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、地表に生育する草木(例えば、雑草)を根元付近から刈り払う作業に用いられる草刈機、刈払機及び芝刈機、あるいは電動工具などに関し、特に、これらに取り付けられた刈刃(回転刃)などの回転部材を軸支する回転部材支持ユニットの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
図3(a),(b)には、このような回転部材支持ユニットが備えられた草刈機の構成が一例として示されている。同図に示す構成において、かかる草刈機Aには、直線状に延出した操作管30と、当該操作管30の一端側に設けられた回転刃ユニット(回転部材支持ユニット)U2と、当該操作管30の他端側に設けられた駆動装置(エンジン)34とが備えられている。
この場合、操作管30には、その内部にエンジン34で発生された駆動力(回転出力)により回転される駆動軸38が設けられており、当該駆動軸38は、転がり軸受(駆動軸軸受)6によって回転自在に支持されている。なお、駆動軸38のエンジン34とは反対側の端部には、歯車(駆動軸歯車)G1が設けられており、駆動軸軸受6は、当該駆動軸歯車G1に外嵌されて、当該駆動軸38を回転自在に支持している。
【0003】
また、回転刃ユニットU2には、所定方向に延出して立設された主軸8と、当該主軸8を回転自在に支持する2つの転がり軸受(回転刃側軸受2(図3(b)の下側の軸受)及び歯車側軸受4(同図の上側の軸受))と、駆動軸38の回転力を主軸8に伝達するために、当該駆動軸38及び主軸8の一端側(図3(b)の左端側及び上端側)にそれぞれ設けられて相互に噛合する1組の歯車(駆動軸歯車G1(図3(b)の右側の歯車)及び主軸歯車G2(同図の左側の歯車))と、主軸8の他端側(図3(b)の下端側)に取り付けられた回転可能な刈刃(回転部材)32とが備えられている。
【0004】
なお、この場合、主軸8は、草刈機Aの使用状態において略垂直方向に延出するように立設されており、駆動軸38は、当該主軸8に対して所定の傾斜角度(駆動軸38と主軸8との間に形成される角度)を成して傾斜し、駆動軸歯車G1及び主軸歯車G2を介して当該主軸8と連結されている。
また、回転刃側軸受2は、主軸8の延出方向の略中間、別の捉え方をすれば、刈刃32と主軸歯車G2の間に位置付けられており、一方、歯車側軸受4は、刈刃32とは反対側の主軸8の端部(図3(b)の上端部)に位置付けられている。さらに、操作管30には、作業者を刈刃32から保護するための保護カバー40が、当該刈刃32寄りの所定位置に設けられている。
【0005】
このような構成によれば、エンジン34が駆動軸38を回転させると、当該回転力は駆動軸歯車G1を介して主軸歯車G2に伝達され、当該回転力によって主軸8を回転させることができる。これにより、エンジン34から発生した回転力の方向を変更するとともに、その速度を減速させながら、主軸8に取り付けられた刈刃32を回転させることができる。そして、作業者は、操作管30のエンジン34寄りの所定位置に取り付けられた操作ハンドル36により草刈機Aの全体を支えるとともに、刈刃32を移動させることで、草木を刈り払うことができる。
【0006】
ところで、このような草刈機に関しては、従来からその利便性の向上や安全性の向上を図るための各種の方策が知られている。例えば、特許文献1においては、連結管(操作管)の角度を任意に変更することが可能な草刈機の構成が開示されており、これにより、傾斜地でも草木の刈り払い作業を軽快に行うことなどを可能とし、当該草刈機における利便性の向上を実現している。一方、例えば、特許文献2においては、容易且つ確実に刈刃(回転刃)を主軸に取り付けることが可能な草刈機の構成が開示されており、これにより、刈刃(回転刃)が主軸から外れることを有効に防止することができ、当該草刈機における安全性の向上を実現している。
【0007】
また、かかる草刈機Aにおいて、駆動軸歯車G1及び主軸歯車G2の歯が相互に接触する部分の摩擦や摩耗の減少、回転刃側軸受2、歯車側軸受4及び駆動軸軸受6の焼付き防止や疲れ寿命の延長などを目的として、当該各歯車G1,G2、当該各軸受2,4,6の潤滑を行うことによっても、結果として、刈刃32を長期に亘って、安定してスムーズに回転させることができ、当該草刈機Aにおける利便性の向上や安全性の向上を図ることができる。
【0008】
このため、例えば、駆動軸歯車G1及び主軸歯車G2を潤滑すべく、当該歯車G1,G2を取り囲む所定の空間部Sには、極圧剤入りのグリース(以下、歯車潤滑グリースという)が当該空間部Sの空間容積に対して略70%〜100%の体積比となるように充填(封入)されている。この場合、歯車潤滑グリースとしては、アメリカグリース協会(NLGI:National Lubricating Grease Institute)が規定するちょう度No.2(ちょう度番号2号)のグリースが用いられており、当該グリースは、一例として、増ちょう剤がリチウム石鹸、基油が鉱油系で構成されている。
【0009】
また、例えば、回転刃側軸受2としては、その内外輪間に接触型のゴムシール(図示しない)が介在されているとともに、転動体として玉が内外輪間に組み込まれた密封玉軸受が適用されており、当該回転刃側軸受2を潤滑するために、一例として、増ちょう剤がリチウム石鹸、基油が鉱油系で構成されたグリース(以下、軸受潤滑グリースという)が当該軸受内部に封入されている。この場合、ゴムシール(図示しない)は、一例として、その外径部が回転刃側軸受2の外輪に固定されているとともに、その内径部が当該回転刃側軸受2の内輪に形成されたシール溝(図示しない)に摺接されるように位置付けられている。
【0010】
このように各歯車G1,G2及び各軸受2,4が潤滑された回転刃ユニットU2において、回転刃側軸受2は、ゴムシール(歯車G1,G2側に位置するシール(図示しない))を介するだけで、常時歯車潤滑グリースと接触している。
また、草刈機Aの使用状態においては、駆動軸歯車G1と回転刃側軸受2及び主軸歯車G2と回転刃側軸受2が当該歯車G1,G2を上にして縦に並んでいるため、歯車潤滑グリースは、その自重により歯車G1,G2側に位置するゴムシール(図示しない)の外面(歯車G1,G2側の面)へ大量に堆積し、当該シールを押圧することとなる。加えて、主軸8の回転による空間部Sの圧力変化、さらには、当該回転刃側軸受2の回転による振動によっても、歯車潤滑グリースが歯車G1,G2側に位置するゴムシール(図示しない)の外面(歯車G1,G2側の面)へ大量に堆積し、当該シールは押圧される。
【0011】
そして、歯車潤滑グリースによってゴムシール(図示しない)の押圧が継続されると、結果として、当該シールのリップ部と回転刃側軸受2のシール溝との摺接部から当該歯車潤滑グリースが回転刃側軸受2の内部に漏洩(侵入)してしまう場合がある。
この場合、例えば、回転刃側軸受2の内部に封入されるグリース(軸受潤滑グリース)として、歯車潤滑グリースと類似した構成のグリースを適用することで、軸受潤滑グリースが当該歯車潤滑グリースと混合することによって生じるグリースの変質や不具合などを最小限に止めることができる。
【特許文献1】特開2004−194521号公報
【特許文献2】特開平8−130959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述したような歯車潤滑グリースの軸受内部への漏洩(侵入)が進行すると、回転刃側軸受2内のグリース量が設定値よりも増加し、攪拌や剪断が活発化され、当該グリースが軟化してしまう場合がある。このようなグリースの軟化が発生すると、回転刃側軸受2のゴムシール(刈刃32側に位置するシール(図示しない))のリップ部と当該回転刃側軸受2のシール溝(図示しない)との摺接部や、当該シールに設けられた空気孔(図示しない)などから、当該グリースが回転刃側軸受2の外部へ漏洩してしまう場合がある。この場合、例えば、漏洩したグリースが刈刃32に付着し(図3(b)におけるグリースGの状態)、当該刈刃32の回転精度を悪化させる虞があるだけでなく、草木や土壌に対して悪影響を与える虞もある。
【0013】
また、歯車潤滑グリースが回転刃側軸受2の内部、さらには当該回転刃側軸受2の外部へ継続的に漏洩(侵入)すると、駆動軸歯車G1及び主軸歯車G2が潤滑不足となり、例えば、各歯車G1,G2の歯が相互に摩擦されて摩耗することで、当該歯車G1,G2がスムーズに回転せず、これらの回転精度が悪化してしまう場合がある。
【0014】
このような不都合を回避するための方策として、例えば、歯車潤滑グリースとして、NLGIちょう度がNo.3やNo.4のグリース、すなわち、NLGIちょう度No.2のグリースよりも硬いグリースなどを適用し、当該グリースが攪拌や剪断されることによる軟化を抑制させ、駆動軸歯車G1及び主軸歯車G2を取り囲む所定の空間部Sの内壁に当該グリースを付着させる方策や、当該グリースの充填量(封入量)を減少させる方策などがある。
【0015】
しかしながら、歯車潤滑グリースの硬度を高めると、当該グリースの流動性が低下し、駆動軸歯車G1及び主軸歯車G2の潤滑に寄与するグリースの量が少なくなり、結果として、当該歯車G1,G2が潤滑不足となり、例えば、上述の場合と同様に、各歯車G1,G2の歯が相互に摩擦されて摩耗してしまう場合がある。また一方、歯車潤滑グリースの充填量(封入量)を減少させると、グリースが充分に空間部S内に行き渡らず、結果として、駆動軸歯車G1及び主軸歯車G2が潤滑不足となり、同様の事態になってしまう場合がある。
【0016】
本発明は、このような課題を解決するためになされており、その目的は、内圧を常に大気圧と略同一圧に保つことで、内部に封入したグリースの外部への漏洩を防止するとともに、当該回転部材を長期に亘って一定の回転精度で安定して回転させ続けることが可能な回転部材支持ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような目的を達成するために、本発明に係る回転部材支持ユニットは、所定方向に延出して立設された主軸と、当該主軸を回転自在に支持する複数の転がり軸受と、駆動装置によって回転される駆動軸の回転力を主軸に伝達するために、当該駆動軸及び主軸の一端側にそれぞれ設けられて相互に噛合する少なくとも1組の歯車と、主軸の他端側に取り付けられた回転部材とを備えている。このような構成を成す回転部材支持ユニットに対し、回転部材支持ユニットの内圧の上昇時には、内気を当該ユニットの内部から外部へ排出させるとともに、内圧の低下時には、外気を当該ユニットの外部から内部へ流入させることで、当該ユニットの内圧を大気圧と略同一圧に保つための空気孔を少なくとも1つ有する内圧調整機構が設けられている。
【0018】
また、回転部材支持ユニットには、内圧調整機構として、空気孔でのみ回転部材支持ユニットの外部と連通可能な内圧調整室が設けられており、当該内圧調整室には、回転部材支持ユニットの内部と連通する連通孔が少なくとも1つ形成されているとともに、当該ユニット内部に封入された潤滑剤を捕集して蓄えるための潤滑剤貯留部が内設されている。この場合、当該潤滑剤貯留部は、前記空気孔の開口部並びに前記連通孔の開口部よりも前記主軸の他端寄りに位置付けられている。
なお、主軸には、回転部材として、地表に生育する草木を根元付近から刈り払うための刈刃が取り付けられている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の回転部材支持ユニットによれば、その内圧を常に大気圧と略同一圧に保つことができ、この結果、内部に封入したグリースの外部への漏洩を防止するとともに、当該回転部材を長期に亘って一定の回転精度で安定して回転させ続けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る回転部材支持ユニットについて、添付図面を参照して説明する。なお、本発明は、例えば、草刈機、刈払機及び芝刈機、あるいは電動工具などに搭載される回転部材支持ユニットとして適用することができる。すなわち、本発明は、主軸が所定方向に延出して立設され、当該主軸とともに回転する各種の回転部材を軸支する回転部材支持ユニットに適用することができるが、以下では、地表に生育する草木を根元付近から刈り払うための刈刃(回転刃)が、回転部材として主軸へ取り付けられた草刈機に用いられる回転刃ユニットを一例として想定し、当該回転刃ユニットの構成について説明する。なお、この場合、本実施形態に係る草刈機の全体構成としては、上述した従来の草刈機A(図3(a))と同様の構成を一例として想定する。また、本実施形態に係る回転刃ユニットの基本的な構成は、上述した従来の回転刃ユニットU2(図3(b))と同様であるため、当該回転刃ユニットU2と同一若しくは類似の構成については、図面上で同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0021】
図1(a),(b)には、本発明の一実施形態に係る草刈機の回転刃ユニットU1(回転部材支持ユニット)が示されており、係る回転刃ユニットU1には、所定方向に延出した主軸8と、当該主軸8を回転自在に支持する複数の転がり軸受2,4と、駆動装置(エンジン34(図3(a)参照))によって回転される駆動軸38の回転力を主軸8に伝達するために、当該駆動軸38及び主軸8の一端側(図1(a)の左端側及び上端側)にそれぞれ設けられて相互に噛合する少なくとも1組の歯車G1,G2と、主軸8の他端側(図1(a)の下端側)に取り付けられた回転部材(刈刃32)とが備えられている。
【0022】
なお、主軸8、転がり軸受2,4及び歯車G1,G2は、筒状を成す所定のケース40内にそれぞれ収容されており、刈刃32は、締結部材(ねじ)で主軸8に締結固定され、当該ケース40の外側(図1(a)の下側)に取り付けられている。
また、主軸8は、草刈機の使用状態において略垂直方向に延出するように立設されているのに対し、駆動軸38は、当該主軸8に対して所定の傾斜角度(駆動軸38と主軸8との間に形成される角度)を成して傾斜し、駆動軸歯車G1及び主軸歯車G2を介して当該主軸8と連結されている。なお、当該傾斜角度は、例えば、草刈機の使用環境や使用目的などに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しないが、一例として、本実施形態においては、駆動軸38が主軸8に対して約120°(別の捉え方をすると、刈刃32に対して約30°)の傾斜角度を成して傾斜するように構成している(図1(a))。
【0023】
図1(a)に示す構成において、回転刃ユニットU1には、一例として、2つの転がり軸受(回転刃側軸受2(同図の下側の軸受)及び歯車側軸受4(同図の上側の軸受))が設けられており、当該回転刃側軸受2及び当該歯車側軸受4は、主軸8に外嵌されるとともに、ケース40に内嵌されて、当該主軸8を回転自在に支持している。この場合、一例として、回転刃側軸受2は、主軸8の延出方向の略中間、別の捉え方をすれば、刈刃32と歯車G2(後述する主軸歯車)の間に位置付けられており、歯車側軸受4は、刈刃32とは反対側の主軸8の端部(図1(a)の上端部)に位置付けられている。
【0024】
また、図1(a)に示す構成において、回転刃ユニットU1には、一例として、1組の歯車(駆動軸歯車G1(図1(a)の右側の歯車)及び主軸歯車G2(同図の左側の歯車))が設けられており、当該駆動軸歯車G1は駆動軸38に外嵌され、当該主軸歯車G2は主軸8に外嵌されて、相互に噛合している。これにより、駆動軸歯車G1及び主軸歯車G2は、エンジン34(図3(a))から発生した回転力の方向を変更するとともに、その速度を減速させながら、主軸8に取り付けられた刈刃32を回転させており、いわゆる変速機の機能を果たしている。
【0025】
なお、駆動軸歯車G1及び主軸歯車G2の種類、大きさ、形状及び歯の数やピッチなどは、例えば、駆動軸38及び主軸8の大きさ、両軸の位置関係などに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。例えば、本実施形態に係る草刈機のように、駆動軸38と主軸8とが所定の傾斜角度(例えば、約120°)を成して連結される構成の場合(図1(a)参照)、駆動軸歯車G1及び主軸歯車G2としては、すぐばかさ歯車、はすばかさ歯車及びまがりばかさ歯車などのかさ歯車を適用すればよい。
【0026】
本実施形態において、回転刃ユニットU1には、その内圧の上昇時に、内気を当該ユニットの内部から外部へ排出させるとともに、内圧の低下時に、外気を当該ユニットの外部から内部へ流入させることで、当該回転刃ユニットU1の内圧を大気圧と略同一圧に保つための空気孔を少なくとも1つ有する内圧調整機構が設けられている。図1(a),(b)に示す構成においては、内圧調整機構として、空気孔20aでのみ回転刃ユニットU1の外部(図1(a)では、上部空間)と連通可能な内圧調整室20が、一例として設けられている。
【0027】
かかる内圧調整室20は、一例として、内部が中空、具体的には、内部に所定の略円柱状の空間を有するとともに、その外形も略円柱状を成し、ケース40の上部(主軸8の延出方向(図1(a)の上下方向)の略真上)に1つ外設されている。この場合、内圧調整室20は、空気孔20aを1つだけ有しており、当該空気孔20aでのみ回転刃ユニットU1の外部(図1(a)では、上部空間)と連通可能となるように構成されている。
【0028】
なお、内圧調整室20の大きさ及び数は、例えば、回転刃ユニットU1の大きさなどに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。例えば、図1(a),(b)に示す構成において、内圧調整室20は、一例として、内径(図1(a),(b)の左右方向の距離d1)が40mm、内高(図1(a),(b)の上下方向の距離h)が20mmの略円筒状を成す内部空間を有している場合を想定する。また、回転刃ユニットU1に対し、内圧調整室20を2つ以上設けてもよい。
【0029】
また、図1(a),(b)に示す構成において、内圧調整室20は、一例として、外部形状及び内部形状がともに略円柱状を成すように形成しているが、これらの形状はこれに限定されない。例えば、内部に所定の略円錐状の空間を有するとともに、その外形も略円錐状を成すように形成してもよいし、内部に所定の矩形状の空間を有するとともに、その外形も矩形状を成すように形成してもよい。また、内圧調整室20の内形(内部の所定空間の形状)と外形とは、異なっていてもよい。
【0030】
さらに、図1(a),(b)に示す構成において、内圧調整室20は、一例として、ケース40の上部(主軸8の延出方向(図1(a)の上下方向)の略真上)に外設しているが、その位置はこれに限定されず、例えば、ケース40の側面部(主軸8の延出方向に対して水平方向(図1(a)の左右方向、例えば、同図において左側面部))に外設してもよい。
【0031】
この場合、内圧調整室20には、当該内圧調整室20を回転刃ユニットU1に取り付けるための取付部20sがケース40との対向部に設けられており、当該取付部20sは、その外径が内圧調整室20の内径よりも小さな同心円柱状を成している。なお、取付部20sは、その一部(突出部20d)がケース40側へ突出しているとともに、その他の部分(突出部20e)が内圧調整室20の内部(内部空間)側へ突出するように、内圧調整室20に対して位置付けられている。
【0032】
ここで、取付部20sの大きさ、形状、位置及びケース側並びに内圧調整室20の内部側への各突出長さなどは、例えば、回転刃ユニットU1や内圧調整室20の大きさなどに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。例えば、図1(b)に示す構成においては、内圧調整室20の内部の容積が約20ccとなるように、取付部20s(具体的には、内圧調整室20の内部への突出部20d)は、所定の大きさ(体積)に設定されている。なお、取付部20sは、例えば、内圧調整室20に対して偏心円柱状を成していてもよいし、円錐状や矩形状などを成していてもよい。
【0033】
また、本実施形態において、取付部20sには、その一端側(図1(b)の上端側)から他端側(同図の下端側)までを貫通し、回転刃ユニットU1の内部(駆動軸歯車G1及び主軸歯車G2を取り囲む所定の空間部)Sと連通する連通孔20hが少なくとも1つ形成されている。図1(b)に示す構成において、連通孔20hは、一例として、取付部20sの一端側(図1(b)の上端側)から他端側(同図の下端側)までを貫通する同心円孔として、1つだけ形成されている。
【0034】
なお、連通孔20hの大きさ、形状、長さ、位置及び数などは、例えば、内圧調整室20の大きさや取付部20sの長さなどに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。例えば、図1(b)に示す構成においては、連通孔20hが、直径(図1(b)の左右方向の距離d2)が1mmの円柱状を成す円孔として形成されている場合を一例として想定する。また、例えば、取付部20sには、連通孔20hを2つ以上形成してもよいし、連通孔20hは、円錐孔や矩形孔などであってもよい。
【0035】
この場合、取付部20sには、ケース40側への突出部20eの外周面に、所定の螺旋状の溝(例えば、雄ねじ部20m)が形成されている。これに対し、ケース40には、内圧調整室20との対向部(図1(a)の上部)に、その内径が取付部20sの外径と略同一の大きさを成す円孔40hが設けられており、当該円孔40hの内周部には、取付部20sの螺旋状溝(雄ねじ部20m)と螺合する所定の螺旋状溝(例えば、雌ねじ部(図示しない))が形成されている。そして、当該両螺旋状溝(雄ねじ部20mと雌ねじ部)を螺合させることで、取付部20s(内圧調整室20)をケース40に対して締結固定することができる。
これにより、回転刃ユニットU1の内部(駆動軸歯車G1及び主軸歯車G2を取り囲む所定の空間部)Sと内圧調整室20の内部とを、連通孔20hのみを介して連通させることができる。
【0036】
なお、取付部20sに形成する雄ねじ部20m、及びケース40の円筒孔に形成する雌ねじ部(図示しない)のピッチや深さなどは、例えば、回転刃ユニットU1及び内圧調整室20の大きさや、取付部20sの外径などに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。例えば、図1(b)に示す構成において、取付部20sの雄ねじ部20mは、一例として、外径(山の高さ)が5mm、内径(谷の深さ)が約4mm、ピッチが0.8mmの螺旋状溝を成している場合を想定する。この場合、ケース40の雌ねじ部は、当該雄ねじ部20mと螺合可能な外径、内径及びピッチ寸法に設定された螺旋状溝を成している。
また、内圧調整室20とケース40との固定方法は、締結固定に限定されず、例えば、内圧調整室20の取付部20sをケース40の円孔40hに対して内嵌固定してもよいし、接着固定してもよい。
【0037】
また、図1(b)に示す構成において、内圧調整室20には、一例として、ケース40との取付部20sとは反対側(同図の上側)に、端面20t(同図の上面)から内部まで達する空気孔20aが1つ設けられている。この場合、空気孔20aは、端面20tの外径部寄りの所定位置(図1(b)においては、左端部)に設けられている。
【0038】
なお、空気孔20aの大きさ、形状、長さ、位置及び数などは、例えば、内圧調整室20の大きさなどに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。例えば、図1(b)に示す構成においては、空気孔20aが、直径(図1(b)の左右方向の距離d3)が1mmの円柱状を成す円孔として形成されている場合を一例として想定する。また、例えば、内圧調整室20には、空気孔20aを2つ以上形成してもよいし、空気孔20aは、円錐孔や矩形孔などであってもよい。
【0039】
かかる空気孔20aは、回転刃ユニットU1の内圧の上昇時には、内気を回転刃ユニットU1の内部から外部へ排出させるとともに、内圧の低下時には、外気を回転刃ユニットU1の外部から内部へ流入させることで、回転刃ユニットU1の内圧を大気圧と略同一圧に保っている。すなわち、回転刃ユニットU1の内部が加圧された場合、空気孔20aは、回転刃ユニットU1の内部から内気をユニット外部へ排出させ、その内圧を低下させることで、内圧が上昇し続けることを抑制し、常に大気圧と略同一圧となるように調整している。一方、回転刃ユニットU1の内部が減圧された場合、空気孔20aは、回転刃ユニットU1の外部から外気をユニット内部へ流入させ、その内圧を上昇させることで、内圧が低下し続けることを抑制し、常に大気圧と略同一圧となるように調整している。
【0040】
このように、空気孔20aは、回転刃ユニットU1の内部と外部との間の圧力差が生じないように、常にその内圧を調整するいわゆる空気弁として構成されている。なお、この場合、空気孔20aに対し、例えば、チューブなどの連結部材を内圧調整室20の外部に露出させるとともに、当該連結部材の先端部を下向き(図1(a),(b)の下向き)に位置付けて装着することで、回転刃ユニットU1(内圧調整室20)の外部から空気孔20aを通して、異物(例えば、汚泥水や塵埃など)が内部へ侵入することを防止することができる。
【0041】
また、内圧調整室20には、回転刃ユニットU1の内部に封入された潤滑剤を捕集して蓄えるための潤滑剤貯留部20pが内設されており、当該潤滑剤貯留部20pは、空気孔20aの開口部L3並びに連通孔20hの開口部L2よりも主軸8の他端寄り(図1(a),(b)の下端寄り)に位置付けられている。
【0042】
図1(b)に示す構成において、潤滑剤貯留部20pは、一例として、取付部20sの内圧調整室20の内部への突出部20dと、内圧調整室20の内壁20wとの間に挟まれた円環状の空間として構成されている。なお、潤滑剤貯留部20pの大きさ、形状、位置及び数などは、例えば、内圧調整室20や取付部20sの大きさなどに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。
【0043】
以上のような構成を成す回転刃ユニットU1において、上述した従来の草刈機Aの場合と同様に、刈刃32を長期に亘って、安定してスムーズに回転させるため、駆動軸歯車G1及び主軸歯車G2の歯が相互に接触する部分の摩擦や摩耗の減少、回転刃側軸受2、歯車側軸受4及び駆動軸軸受6の焼付き防止や疲れ寿命の延長などを目的として、当該各歯車G1,G2、当該軸受2,4,6の潤滑を行っている。
【0044】
本実施形態においては、一例として、回転刃ユニットU1の内部(駆動軸歯車G1及び主軸歯車G2を取り囲む所定の空間部)Sにアメリカグリース協会(NLGI:National
Lubricating Grease Institute)が規定するちょう度No.2(ちょう度番号2号)のグリース(以下、歯車潤滑グリースという)が、当該空間部Sの空間容積に対して略100%の体積比となるように充填(封入)されている。また、転がり軸受(回転刃側軸受2、歯車側軸受4及び駆動軸軸受6)の内部にも、同様にNLGIちょう度No.2のグリース(以下、軸受潤滑グリースという)が、当該各軸受2,4,6内の空間容積に対して略25%の体積比となるように充填(封入)されている。
【0045】
なお、歯車潤滑グリース及び軸受潤滑グリースの成分構成は、例えば、回転刃ユニットU1の使用目的や使用条件などに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。例えば、歯車潤滑グリース及び軸受潤滑グリースは、一例として、増ちょう剤がリチウム石鹸、基油が鉱油系のグリースとして構成すればよい。また、この場合、添加剤として、極圧剤を増ちょう剤及び基油に対して添加してもよい。
【0046】
ここで、本実施形態に係る草刈機の使用状態、すなわち回転刃ユニットU1の運転時における歯車潤滑グリースの状態変化について、以下、説明する。
歯車潤滑グリースは、その自重により、並びに駆動軸38及び駆動軸歯車G1が回転するとともに、主軸8及び主軸歯車G2が回転することによる振動により、空間部Sにおいて継続的に攪拌及び剪断される。このように攪拌及び剪断が繰り返された歯車潤滑グリースは、その温度が上昇し、これに伴って軟化するとともに、熱膨張を起こす。
【0047】
この際、回転刃ユニットU1の内部(駆動軸歯車G1及び主軸歯車G2を取り囲む所定の空間部)Sの圧力(内圧)が上昇するため、当該内圧と回転刃ユニットU1(空間部S)の外部の圧力(外圧(大気圧))との間に圧力差が生じる。この結果、例えば、回転刃ユニットU1の内気や空間部Sに封入された歯車潤滑グリースに対して、回転刃ユニットU1の外部方向への押圧力、具体的には、空間部Sの内壁S1や回転刃軸受2への押圧力が作用する。
【0048】
本実施形態においては、回転刃ユニットU1に内圧調整室20が設けられているため、歯車潤滑グリースに対し、このような押圧力が作用した場合であっても、当該回転刃ユニットU1の内気、及び空間部Sに封入された歯車潤滑グリースを、連通孔20hを通して内圧調整室20の内部へ流動させ(図1(b)の矢印参照)、捕集することができる。これにより、例えば、歯車潤滑グリースが回転刃軸受2へ押圧され続け、その内部に漏洩(侵入)することを防止することができる。
【0049】
また、当該内圧調整室20の内部に捕集された内気は、内圧調整室20の空気孔20aから回転刃ユニットU1(内圧調整室20)の外部へ排出することができる。この結果、回転刃ユニットU1(空間部S)の内圧を低下させることができ、内圧が上昇し続けることを抑制し、常に大気圧と略同一圧となるように調整することができる。なお、この場合、内圧調整室20の内圧は、回転刃ユニットU1(空間部S)の内圧と等しくなり、当該内圧調整室20の内圧も、常に大気圧と略同一圧となるように調整することができる。
一方、内圧調整室20の内部へ捕集された歯車潤滑グリースは、潤滑剤貯留部20pに蓄えることができる。なお、この場合、潤滑剤貯留部20pに蓄えられた歯車潤滑グリースは、攪拌及び剪断されることがなく、その温度が低下し、半固体化する(図1(b)におけるグリースGの状態)。
【0050】
また、本実施形態においては、上述したように、内圧調整室20の空気孔20aによって、回転刃ユニットU1(空間部S)の内圧が常に大気圧と略同一圧となるように調整されているため、潤滑剤貯留部20pに蓄えられた歯車潤滑グリースは、その温度が低下して増ちょう剤の作用により硬化し、当該潤滑剤貯留部20pに付着する。この結果、潤滑剤貯留部20pに蓄えられた歯車潤滑グリースは、連通孔20hに引き込まれることがなく、例えば、硬化した歯車潤滑グリースが、いわゆる栓となって連通孔20hを塞いでしまうことはない。
【0051】
さらに、本実施形態において、潤滑剤貯留部20pは、空気孔20aの開口部L3並びに連通孔20hの開口部L2よりも主軸8の他端寄り(図1(a),(b)の下端寄り)に位置付けられているため、内圧調整室20の内部へ流動された歯車潤滑グリースを、その自重により潤滑剤貯留部20pへ落ち込ませ、補集することができる(図1(b)におけるグリースGの状態)。この結果、内圧調整室20の内部へ流動された歯車潤滑グリースが、再び連通孔20hを通って当該連通孔20hの内部で硬化し、栓となってしまうことを有効に防止することができる。
【0052】
このため、例えば、回転刃ユニットU1(空間部S)の内圧が低下し、当該内圧と回転刃ユニットU1(空間部S)の外圧(大気圧)との間に圧力差が生じた場合であっても、内圧調整室20の空気孔20aによって、回転刃ユニットU1の外部から外気を内圧調整室20の内部へ流入させ、さらに連通孔20hを経由して、当該外気のみを回転刃ユニットU1の内部へ流入させることができる。この結果、回転刃ユニットU1(空間部S)の内圧を上昇させることができ、内圧が低下し続けることを抑制し、常に大気圧と略同一圧となるように調整することができる。これにより、例えば、歯車潤滑グリースが回転刃軸受2へ押圧され続け、その内部に漏洩(侵入)することをさらに有効に防止することができる。
【0053】
以上のように、本実施形態に係る回転刃ユニットU1によれば、その内部(空間部S)に封入したグリース(歯車潤滑グリース及び軸受潤滑グリース)の回転刃軸受2の内部への漏洩(侵入)、さらには、回転刃ユニットU1の外部への漏洩を防止することができるとともに、回転部材である刈刃32を長期に亘って一定の回転精度で安定して回転させ続けることができる。
【0054】
ここで、本実施形態に係る草刈機に対し、搭載された回転刃ユニットU1の内部に封入したグリースの漏洩防止効果について所定の試験を行い、検証した。以下、当該試験内容及び試験結果について説明する。
当該試験においては、試験機として2つの草刈機(図3(a)に示す草刈機A相当)を用意し、一方の草刈機には、内圧調整室20を設けた回転刃ユニット(図1(a)に示す回転刃ユニットU1)を搭載した(以下、当該草刈機を本件機という)。これに対し、他方の草刈機には、内圧調整室20が設けられていない従来の回転刃ユニット(図3(b)に示す回転刃ユニットU2)を搭載した(以下、当該草刈機を比較機という)。
【0055】
図2(a)には、草刈機の回転刃ユニットのグリース漏洩防止効果を検証するための試験装置が示されており、当該試験装置を用いて、本件機及び比較機を、所定条件のもとに所定速度(刈刃の回転速度)で所定時間だけそれぞれ運転させた後、回転刃ユニット内部に封入したグリースの外部への漏洩状態を比較することで、両草刈機の回転刃ユニットのグリース漏洩防止効果について検証した。
【0056】
なお、図2(a)に示すように、試験装置は、直方体の箱形を成し、その枠材として山形鋼が用いられており、当該枠材で囲まれた各面部がエキスパンドメタルでそれぞれ構成されている。そして、かかる試験装置を架台に対してボルトで締結固定するとともに、草刈機が当該試験装置内で宙吊り状態となるように、草刈機の操作管30及び操作ハンドル36(図3(a)参照)を試験装置の枠材に対して紐で固定した。
【0057】
試験に際し、回転刃ユニットの内部(図1(a)及び図3(b)に示す空間部S)には、所定の潤滑剤(歯車潤滑グリース(協同油脂株式会社製デュプレックスEP No.2))を約13g充填した。なお、この充填量(約13g)は、回転刃ユニットの内部(空間部S)の空間容積に対して略100%の体積量に相当する。
また、回転刃ユニットの主軸を支持する転がり軸受(図1(a)及び図3(b)に示す回転刃側軸受2)として、軸受外径を32mm、軸受内径を12mm、軸受幅を10mmに設定し、接触型のゴムシールを取り付けて内部を密封状態にした玉軸受を用いた。なお、かかる接触型のゴムシールには、軸受内部の圧力変化を抑制(調整)するための貫通孔(空気孔)を形成せず、軸受内部が略完全に密封状態に保たれるようにした。また、軸受内部には、潤滑剤(軸受潤滑グリース)として、増ちょう剤がリチウム石鹸、基油が鉱油系のグリース(昭和シェル石油株式会社製シェルアルバニヤグリースS2)を約0.4g封入した。
【0058】
そして、試験に当たっては、試験中の草刈機(本件機及び比較機)の雰囲気温度を室温に保ち、この状態で、刈刃が1分間に8000回転する速度で、本件機及び比較機をそれぞれ30時間連続して運転させた。その後、本件機及び比較機から回転刃ユニットを取り外し、転がり軸受(回転刃側軸受)の内部から漏洩したグリースをスパチラにて採取して、その漏洩量を本件機及び比較機についてそれぞれ測定し、比較した。なお、本試験においては、上記草刈機(本件機及び比較機)の運転及びグリース漏洩量の測定を1試験サイクルとして、当該試験サイクルを3回繰り返し、各結果をそれぞれ比較した。
【0059】
図2(b)には、各試験結果が示されており、同図から明らかなように、内圧調整室20が設けられていない比較機の場合、転がり軸受(回転刃側軸受)からのグリース漏洩量は、3.6〜6.2gであり、軸受内部への封入量(約0.4g)よりも大量のグリースが漏洩した。すなわち、軸受内部に漏洩(侵入)した歯車潤滑グリースが軸受潤滑グリースと混合し、さらに軸受外部へ漏洩していることが検証された。なお、この場合、漏洩したグリースは、刈刃に達するのみならず、さらに試験装置の床にまで落下した。
【0060】
これに対し、内圧調整室20が設けられた本件機の場合、転がり軸受(回転刃側軸受)からのグリース漏洩量は、0.03〜0.04gであり、軸受内部への封入量(約0.4g)の7.5〜10.0%に過ぎず、比較機のグリース漏洩量の0.5〜1.0%に過ぎなかった。なお、この場合、グリースの漏洩は、回転刃ユニットの外観上から目視による付着確認ができない程度に止まっており、漏洩したグリースは、軸受のゴムシールの表面に付着している程度であった。
【0061】
以上、本実施形態に係る回転刃ユニットU1のように、内圧調整室20を設けることで、当該回転刃ユニットU1の内部(空間部S)に封入したグリース(歯車潤滑グリース及び軸受潤滑グリース)の外部への漏洩を確実に防止することができるとともに、回転部材である刈刃32を長期に亘って一定の回転精度で安定して回転させ続けられることが、上述した試験により検証できた。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態に係る回転刃ユニットの構成例を示す図であって、(a)は、内圧調整室を固定した状態の断面図、(b)は、内圧調整室の構成例を示す断面図。
【図2】草刈機に搭載された回転刃ユニットの内部に封入したグリースの漏洩防止効果についての試験を説明するための図であって、(a)は、試験装置の全体構成例を示す図、(b)は、試験結果を本件機及び比較機についてそれぞれ示す図。
【図3】従来の草刈機の構成例を示す図であって、(a)は、全体構成を示す斜視図、(b)は、回転刃ユニットの断面図。
【符号の説明】
【0063】
2 回転刃側軸受
8 主軸
20 内圧調整室
20a 空気孔
32 刈刃
34 エンジン
36 駆動軸
G1 駆動軸歯車
G2 主軸歯車
U1 回転刃ユニット
【出願人】 【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
【出願日】 平成18年7月20日(2006.7.20)
【代理人】 【識別番号】100089381
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 謙二


【公開番号】 特開2008−22772(P2008−22772A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−198352(P2006−198352)