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【発明の名称】 コンバイン
【発明者】 【氏名】後藤 義昭

【氏名】浜西 正

【氏名】内 孝広

【氏名】牧園 晴充

【要約】 【課題】刈取り部の接地圧を減少する特別なバランス手段を不要にしながら、刈取り部の接地追従を可能にできるコンバインを提供する。

【構成】自走機体の前部に刈取り部を揺動昇降自在に連結するとともに、刈取り部を昇降操作する油圧アクチュエータ51を備えてある。刈取り部に接地部を設けてある。油圧アクチュエータ51の油圧回路に、バランス油路手段70を設けてある。バランス油路手段70は、油圧アクチュエータ51が刈取り部の接地圧を減少させる状態で刈取り部を支持するよう油圧アクチュエータ51をフローティング状態に操作する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走機体の前部に刈取り部を揺動昇降自在に連結するとともに、前記刈取り部を昇降操作する油圧アクチュエータを備えてあるコンバインであって、
前記刈取り部に設けた接地部を備え、
前記油圧アクチュエータの油圧回路に、前記油圧アクチュエータが刈取り部の接地圧を減少させる状態で刈取り部を支持するよう油圧アクチュエータをフローティング状態に操作するバランス油路手段を設けてあるコンバイン。
【請求項2】
前記バランス油路手段に、前記油圧アクチュエータに作用する油圧を調節する油圧調節手段を設けてある請求項1記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、自走機体の前部に刈取り部を揺動昇降自在に連結するとともに、前記刈取り部を昇降操作する油圧アクチュエータを備えてあるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のコンバインにおいて、従来、たとえば特許文献1に示されるものがあった。
特許文献1に示されるものは、自走機体の前部に連結した刈取り部を備えている。刈取り部は、自走機体の機体フレームに上下揺動自在に取り付けた刈取フレームを備えている。刈取フレームに揺動アームを介して油圧シリンダ(油圧アクチュエータに相当)が連動されている。この油圧シリンダは、揺動アームを介して刈取フレームを揺動操作することによって刈取り部を昇降操作する。刈取り部の分草杆に装備した接地橇(接地部に相当)を備えるとともに、接地橇の接地圧を減少させるように刈取り部を弾性支持するバランススプリングを備え、刈取り部を接地橇によって接地追従させることが可能になっている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−267123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
刈取り部の接地追従を可能にするに当たり、従来の技術を採用すると、刈取り部の接地圧を減少させるための特別なバランススプリングを装備する必要があった。
【0005】
図12〜15は、刈取り部10の接地圧を減少させる構造として、提案されたものの概略図である。図12に示すものは、自走機体に軸芯Xまわりで上下揺動自在に支持された刈取り部10の前処理部フレーム11に引っ張りバネ80を連結し、この引っ張りバネ80の引き上げ力によって刈取り部1の下降荷重を軽減するものである。図13に示すものは、自走機体に軸芯Xまわりで上下揺動自在に支持された刈取り部10の前処理部フレーム11にオイル式やエヤ式のダンパ81を連結し、このダンパ81の抵抗によって刈取り部10の下降荷重を軽減するものである。図14に示すものは、自走機体に軸芯Xまわりで上下揺動自在に支持された刈取り部10の前処理部フレーム11の回動部に装着したゴムブッシュ82と、前処理部フレーム11と機体フレームとの間に設けたバランスバネ83とを備え、ゴムブッシュ82とバランスバネ83の弾性力によって刈取り部10の下降荷重を軽減するものである。図15に示すものは、自走機体に軸芯Xまわりで上下揺動自在に支持された刈取り部10の前処理部フレーム11の回動部に装着した巻きバネ84を備え、この巻き上げバネ84の持ち上げ力によって刈取り部10の下降荷重を軽減するものである。
これらの図に示すものも、刈取り部の接地圧を減少させるための特別なバランス手段を備える必要があった。
【0006】
本発明の目的は、特別なバランス手段を不要にしながら、刈取り部の接地反力による地面起伏に対する追従昇降を可能にできるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第1発明は、自走機体の前部に刈取り部を揺動昇降自在に連結するとともに、前記刈取り部を昇降操作する油圧アクチュエータを備えてあるコンバインにおいて、
前記刈取り部に設けた接地部を備え、
前記油圧アクチュエータの油圧回路に、前記油圧アクチュエータが刈取り部の接地圧を減少させる状態で刈取り部を支持するよう油圧アクチュエータをフローティング状態に操作するバランス油路手段を設けてある。
【0008】
本第1発明の構成によると、バランス油路手段によって油圧アクチュエータをフローティング状態に操作すれば、この油圧アクチュエータが適度な加圧状態に操作され、刈取り部の下降荷重を軽減して刈取り部の接地圧を減少させる。これにより、刈取り部を接地部によって接地追従させることができる。
【0009】
従って、地面の凹凸や自走機体の傾斜にかかわらず刈取り部の接地追従によって刈り高さが揃い、かつ、刈取り部の地面への突入を回避した刈取り作業をできるコンバインを、刈取り部昇降操作用の油圧アクチュエータを接地圧減少手段に利用した構造簡単なものとし、安価に得ることができる。
【0010】
本第2発明は、本第1発明の構成において、前記バランス油路手段に、前記油圧アクチュエータに作用する油圧を調節する油圧調節手段を設けてある。
【0011】
本第2発明の構成によると、油圧調節手段によって油圧アクチュエータに作用する油圧を調節し、油圧アクチュエータによる接地圧の減少を適切に行わせることができる。
【0012】
これにより、油圧機器や刈取り部における各装置部の個体差などにかかわらず、刈取り部を適切な接地圧で接地追従させ、刈取り部の地面への突っ込みを効果的に回避しながら刈取り作業できるコンバインを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るコンバインの側面図である。図2は、本発明の実施例に係るコンバインの平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施形態に係るコンバインは、クローラ式の走行装置1によって自走し、かつ、運転座席2が装備された運転部を有した自走機体と、この自走機体の機体フレーム3の前部に連結された刈取り部10と、前記自走機体の機体フレーム3の後部側に設けた脱穀装置5および穀粒タンク6とを備えている。
【0014】
このコンバインは、稲、麦などの収穫を行うものである。すなわち、刈取り部10は、この刈取り部10が有する前処理部フレーム11と前記機体フレーム3とにわたって設けた昇降操作機構50により、前記前処理部フレーム11の基部11bが前記機体フレーム3の前部に位置する支持体4に相対回動自在に連結している自走機体横向きの軸芯Xまわりで自走機体に対して揺動操作され、刈取り部10の前部に設けてある橇形の接地部18が地面に接地し、かつ、接地部18の後側に位置する刈取り装置12が地面近くに位置した下降作業状態と、前記接地部18が地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作される。刈取り部10を下降作業状態にして自走機体を走行させると、刈取り部10は、この刈取り部10の前部に自走機体横方向に並んで位置する複数の分草具14によって植立穀稈を刈り取り対象と非刈取り対象とに分草するとともに刈取り対象の植立穀稈を各分草具14の後方に位置する引き起こし経路15に案内し、各引き起こし経路15に案内された植立穀稈を引き起こし装置16によって引き起こし処理するとともにバリカン形の前記刈取り装置12によって刈取り処理し、刈取り装置12からの刈取り穀稈を供給装置17によって機体後方向きに搬送して脱穀装置5の脱穀フィードチェーン5aの始端部に供給する。脱穀装置5は、脱穀フィードチェーン5aによって刈取り穀稈の株元側を挟持して機体後方向きに搬送しながら穂先側を扱室(図示せず)に供給し、その穂先側を回動する扱胴(図示せず)によって脱穀処理する。穀粒タンク6は、脱穀装置5から搬送された脱穀粒を回収し、貯留していく。
【0015】
図1,2に示すように、前記前処理部フレーム11は、前記支持体4に基部11bが前記軸芯Xまわりで回動自在に支持された伝動ケースで成るメインフレーム11aと、このメイフレーム11aの先端部の自走機体横方向に並ぶ複数箇所から機体前方向きに延出した分草杆13とを備えている。前記各分草具14は、前記分草杆13の延出端部に設けてある。前記接地部18は、前記分草具14の後方近くで前記分草杆13に設けてある。
【0016】
図3は、前記昇降操作機構50の自走機体正面視での構造を示す。図4は、前記昇降操作機構50の自走機体側面視での構造を示す。これらの図に示すように、昇降操作機構50は、前記支持体4に固定された左右一対のブラケット52,52に連結軸部53bが自走機体横向きの軸芯53aまわりで回動自在に連結された揺動操作体53と、この揺動操作体53の遊端側軸部53dに固定されたブラケット58と機体フレーム3に固定されたブラケット54とにわたって連結された油圧式単動シリンダで成る昇降シリンダ51とを備えている。前記揺動操作体53の前記遊端側軸部53dと、揺動操作体53に固定された左右一対のブラケット56,56に支持された係止ロッド55とが前記メインフレーム11aを挟んでいることにより、揺動操作体53がメインフレーム11aに一体揺動自在に係止している。揺動操作体53の遊端側軸部53dは、メインフレーム11aに設けた保護プレート11cに当接してメインフレーム11aに押し上げ作用する。係止ロッド55は、仲介部材57を介してメインフレーム11aに係止作用する。図3,4に示す如く前記左右一対のブラケット56,56に回転自在に支持された螺旋軸60は、電動モータ61によって正回転方向や逆回転方向に回転操作され、横送り部材62を介してメインフレーム11aをこのメインフレーム11aと支持体4の連結軸に兼用の入力軸63に沿わせて移動操作する。すなわち、螺旋軸60は、刈取り部10を自走機体に対して中割り作業用の連結位置と回り刈り作業用の連結位置とに位置変更する。
【0017】
つまり、昇降操作機構50は、昇降シリンダ51に油圧が供給されると、昇降シリンダ51が油圧によって伸長操作されて揺動操作体53を介してメインフレーム11aを上昇揺動操作することにより、刈取り部10を上昇操作し、昇降シリンダ51から油圧が排出されると、昇降シリンダ51が刈取り部10の重量によって短縮操作されてメインフレーム11aを下降揺動操作することにより、刈取り部10を下降操作する。
【0018】
図5は、昇降シリンダ51の油圧回路を示す。この図に示すように、昇降シリンダ51の油圧回路は、油圧ポンプ42を有した給油路43にポンプポートPが接続され、タンクポートTがドレン油路41に接続された昇降バルブVと、この昇降バルブVのシリンダポートCを昇降シリンダ51に接続する操作油路40に設けた開閉弁46と、昇降バルブVに設けたリリーフポートRを有したバランス油路手段70とを備えている。給油路43は、リリーフ弁47aを有したリリーフ油路47を備えている。操作油路40は、開閉弁46と昇降シリンダ51との間に設けたチェック弁48aと、このチェック弁48aを迂回した下降油路48bとを備えている。下降油路48bは、操作油路40の前記チェック弁48aよりも開閉弁側に位置する部位と昇降シリンダ側に位置する部位とを連通させているとともに絞り部を備えている。
【0019】
バランス油路手段70は、前記リリーフポートRを備える他、このリリーフポートRに接続されたリリーフ油路73と、このリリーフ油路73の可変リリーフ弁74よりも上流側に設けた接地刈り弁75とを備えている。
【0020】
前記リリーフポートRは、昇降バルブVが中立状態「中」に切り換えられると、リリーフ油路73を昇降バルブVのポンプポートPに連通させる。前記接地刈り弁75は、オン状態とオフ状態とに切り換え自在になっている。オン状態に切り換えられた接地刈り弁75は、リリーフ油路73の接地刈り弁75よりも上流側に位置する部分73aを、接地刈り弁75よりも下流側に位置するとともに前記可変リリーフ弁74を備えた部分73bに連通させる。オフ状態に切り換えられた接地刈り弁75は、前記上流側油路部分73aをドレン油路76に連通させる。
【0021】
図6は、バランス油路手段70の作用状態を示している。この図に示すように、バランス油路手段70は、昇降バルブVが中立状態「中」に、開閉弁46が開状態に、接地刈り弁75がオン状態にそれぞれ切り換えられると、作用状態になる。作用状態になったバランシュ油路手段70は、昇降シリンダ51が刈取り部10の接地部18での接地圧を減少させる状態(刈取り部10の下降荷重を軽減する状態)で刈取り部10を支持するよう昇降シリンダ51をフローティング状態に操作する。すなわち、昇降バルブVが中立状態「中」に、開閉弁46が開状態に、接地刈り弁75がオン状態にそれぞれ切り換えられると、油圧ポンプ42から給油路43を介して昇降バルブVに供給された油圧を操作油路40によって昇降シリンダ51に供給させながら、油圧ポンプ43から昇降バルブVに供給された圧油の一部をリリーフポートRからリリーフ油路73の上流側部分73aに流出させ、この上流側部分73aから接地刈り弁75を介して下流側部分73bに流動させ、この下流側部分73bで可変リリーフ弁74によって流動抵抗を付与する。これにより、昇降シリンダ51を、通常時は接地部18が地面にほとんど沈下しない状態で刈取り部10を接地支持し、接地部18の接地反力が増大すれば、この接地反力と昇降シリンダ51による操作力とのために刈取り部10が自走機体に対して上昇するという加圧状態に操作する。
【0022】
バランス油路手段70は、油圧調節手段としての前記可変リリーフ弁74が適切なリリーフ圧を備えるように調節操作されることにより、刈取り部10の接地部18での接地圧が過不足のない接地圧になるよう昇降シリンダ51の加圧調節を行う。
【0023】
図7は、刈取り部10のための操作装置のブロック図である。この図に示すように、この操作装置は、前記昇降バルブVと前記開閉弁46と前記接地刈り弁75の電磁操作部に連係された制御手段90と、この制御手段90に連係されたレバー位置検出手段91と、制御手段90に連係された刈取り部高さ検出手段92とを備えている。
【0024】
レバー位置検出手段91は、運転部2に設けた昇降レバー45に操作部が連動された回転ポテンショメータで成り、昇降レバー45が中立位置Nと上昇位置Uと下降位置Dのいずれの操作位置に操作されたかを検出し、この検出結果を制御手段90に出力する。
【0025】
刈取り部高さ検出手段92は、前処理部フレーム11に操作部が連動された回転ポテンショメータで成り、前処理フレーム11の支持部材4に対する揺動角を刈取り部10の自走機体に対する連結高さとして検出し、この検出結果を制御手段90に出力する。
【0026】
制御手段90は、マイクロコンピュータを利用して構成してある。この制御手段90は、レバー位置検出手段91及び刈取り部高さ検出手段92による検出情報を基に、昇降バルブVと開閉弁46と接地刈り弁75とを昇降レバー45の操作位置と刈取り部10の連結高さとに対応した操作状態に切り換え操作する。図8は、昇降レバー45の操作位置と、刈取り部10の連結高さと、昇降レバー45の操作位置及び刈取り部10の連結高さに対応させて操作される昇降バルブVと開閉弁46と接地刈り弁74との操作状態を示す説明図である。図8に示す昇降レバー45の操作位置のU、N、Dは、上昇位置、中立位置、下降位置を示す。刈取り部10の連結高さX(図7参照)は、刈取り部10の昇降範囲H(図7参照)のうちの上側の非作業用部位を示し、刈取り部10の連結高さY(図7参照)は、刈取り部10の昇降範囲Hのうちの下側の作業用部位を示す。昇降バルブVの操作状態の「上」、「中」、「下」は、上昇状態、中立状態、下降状態を示す。開閉弁46の操作状態の「開」、「閉」は、開き状態、閉じ状態を示す。接地刈り弁75の「オン」は、オン状態を示す。図8に示す「−」は、検出情報を考慮しない状態や、操作対象外にあることを示す。
【0027】
すなわち、昇降レバー45が上昇位置Uに操作された場合、制御手段90は、刈取り部10が連結高さX,Yのいずれにあっても、昇降バルブVを上昇状態に、開閉弁46を開き状態にそれぞれ切り換え操作する。昇降レバー45が中立位置Nに操作された場合、制御手段90は、昇降バルブVを中立状態に切り換え操作する。このとき、刈取り部10が連結高さXにあれば、制御手段90は、開閉弁Vを閉じ状態に切り換え操作し、刈取り部10が連結高さYにあれば、制御手段90は、接地刈り弁75をオン状態に切り換え操作する。昇降レバー45が下降位置Dに操作された場合、制御手段90は、刈取り部10が連結高さX,Yのいずれにあっても、昇降バルブVを下降状態に、開閉弁46を開き状態にそれぞれ切り換え操作する。
【0028】
つまり、作業を行うに当たり、昇降レバー45を下降位置Dに操作する。すると、昇降バルブVが下降状態に、開閉弁46が開き状態にそれぞれ切り換え操作され、昇降シリンダ51が排油操作されて刈取り部10が下降する。接地部18が接地すると、昇降レバー45を中立位置Nに切り換え操作する。すると、昇降バルブVが中立状態に切り換え操作される。刈取り部10が連結高さYになっていることから、開閉弁46が開き状態に切り換え操作される。これと共に接地刈り弁75がオン状態に操作され、バランス油路手段70が作用状態になって昇降シリンダ51がフローティング状態に操作される。これにより、刈取り部10は、接地部18での接地圧が減少するよう昇降シリンダ51によって支持され、接地部18によって接地追従しながら刈り取り作業を行う。
【0029】
刈取り部10を上昇させる場合、昇降レバー45を上昇位置Uに操作する。すると、昇降バルブVが上昇状態に、開閉弁46が開き状態にそれぞれ切り換え操作され、昇降シリンダ51が給油されて刈取り部10が上昇する。刈取り部10が連結高さXの所望位置まで上昇すると、昇降レバー45を中立位置Nに切り換え操作する。すると、昇降バルブVが中立状態に切り換え操作される。刈取り部10が連結高さXにあることから、開閉弁46が閉じ状態に切り換え操作され、昇降シリンダ51が停止操作される。これにより、刈取り部10は、昇降レバー45によって調節された所望の連結高さに昇降シリンダ51によって維持される。
【0030】
図9は、昇降シリンダ51の第二実施構造を備えた油圧回路を示す。この図に示すように、第二実施構造を備えた油圧回路は、油圧ポンプ42を有した給油路43にポンプポートPが接続され、タンクポートTがドレン油路41に接続された昇降バルブVと、この昇降バルブVのシリンダポートCを昇降シリンダ51に接続する操作油路40に設けた開閉弁46と、昇降バルブVに設けたリリーフポートRを有したバランス油路手段70とを備えている。給油路43は、リリーフ弁47aを有したリリーフ油路47を備えている。
【0031】
バランス油路手段70は、前記リリーフポートRを備える他、このリリーフポートRを前記操作油路40の開閉弁46と昇降シリンダ51との間に接続しているフローティング油路77と、このフローティング油路77に設けた接地刈り弁75と、前記フローティング油路77の前記リリーフポートRと接地刈り弁75との間に接続されたリリーフ油路73とを備えている。リリーフポートRは、昇降バルブVが中立状態に切り換えられると、フローティング油路77を昇降バルブVのポンプポートPに連通させる。接地刈り弁75は、開状態と閉状態とに切り換え自在である。開状態に切り換えられた接地刈り弁75は、フローティング油路77をリリーフポートRと昇降シリンダ51とが連通するよう開き状態に切り換える。閉状態に切り換えられた接地刈り弁75は、フローティング油路77をリリーフポートRと昇降シリンダ51との連通を絶つよう閉じ状態に切り換える。リリーフ油路73は、可変リリーフ弁74を備えている。
【0032】
バランス油路手段70は、昇降バルブVが中立状態に、接地刈り弁75が開状態にそれぞれ切り換え操作されると、作用状態になり、昇降シリンダ51が刈取り部10の接地部18での接地圧を減少させる状態(刈取り部10の下降荷重を軽減する状態)で刈取り部10を支持するよう昇降シリンダ51をフローティング状態に操作する。すなわち、昇降バルブVが中立状態「中」に、接地刈り弁75がオン状態にそれぞれ切り換えられると、油圧ポンプ42から給油路43を介して昇降バルブVに供給された油圧をフローティング油路77によって昇降シリンダ51に供給させながら、昇降バルブVからフローティング油路77に供給された圧油の一部をリリーフ油路73に流出させ、このリリーフ油路73で可変リリーフ弁74によって流動抵抗を付与する。これにより、昇降シリンダ51を、通常時は接地部18が地面にほとんど沈下しない状態で刈取り部10を接地支持し、接地部18の接地反力が増大すれば、この接地反力と昇降シリンダ12による操作力とのために刈取り部10が自走機体に対して上昇するという加圧状態に操作する。
【0033】
バランス油路手段70は、油圧調節手段としての可変リリーフ弁74が適切なリリーフ圧を備えるように調節操作されることにより、刈取り部10の接地部18での接地圧が過不足のない接地圧になるよう昇降シリンダ51の加圧調節を行う。
【0034】
図9に示すように、昇降バルブVと開閉弁46と接地刈り弁75との電磁操作部に連係された制御手段90に、レバー位置検出手段91と、接地刈り指令手段93と、刈取り部高さ検出手段92とが連係されている。
【0035】
レバー位置検出手段91は、昇降レバー45が中立位置Nと上昇位置Uと下降位置Dのいずれの操作位置に操作されたかを検出し、この検出結果を制御手段90に出力する。接地刈り指令手段93は、オン状態とオフ状態に切り換え自在なスイッチで成り、オン状態に切り換えられることにより、接地刈りを行わせるべき接地刈指令を制御手段90に出力する。刈取り部高さ検出手段92は、前処理部フレーム11の支持部材4に対する揺動角度を刈取り部10の自走機体に対する連結高さとして検出し、この検出結果を制御手段90に出力する。制御手段90は、マイクロコンピュータを利用して構成してある。この制御手段90は、レバー位置検出手段45による検出情報と、接地刈り指令手段93による指令とを基に、昇降バルブVと開閉弁46と接地刈り弁75とを昇降レバー45及び接地刈り指令手段93の操作状態に対応した操作状態に切り換え操作する。
【0036】
昇降レバー45を下降位置Nに切り換え操作すると、昇降バルブVが下降状態に、開閉弁46が開状態にそれぞれ切り換え操作され、昇降シリンダ51が排油されて短縮作動し、刈取り部10が下降する。刈取り部10が作業用の連結高さに下降すると、昇降レバー45を中立位置Nに切り換え操作する。すると、昇降バルブVが中立状態「中」に切り換え操作される。接地刈り指令手段93をオフ状態に操作してある場合、接地刈り弁75が閉状態に切り換え操作されてバランス油路手段70が作用せず、刈取り部10は、昇降レバー45によって調整された連結高さに昇降シリンダ51によって維持されながら刈取り作業を行う。これに対し、接地刈り指令手段93をオン状態に操作してあると、接地刈り弁75が開状態に切り換え操作され、バランス油路手段70が作用状態になる。これにより、刈取り部10は、接地部18での接地圧が減少するように昇降シリンダ51によって支持され、接地部18によって接地追従しながら刈取り作業を行う。
【0037】
昇降レバー45を上昇位置Uに操作すると、昇降バルブVが上昇位置に、開閉弁46が開状態にそれぞれ切り換え操作され、昇降シリンダ51が給油されて伸長駆動され、刈取り部10が上昇する。刈取り部10が所望の連結高さになると、昇降レバー45を中立位置Nに切り換え操作する。すると、昇降バルブVが中立位置Nに切り換え操作される。このとき、接地刈指令手段93がオン状態に操作されていても、制御手段90が連結高さ検出手段92による検出情報を基に、接地刈指令手段93による接地刈り指令に優先して接地刈り弁75をオフ状態に切り換え操作する。これにより、昇降シリンダ2が停止状態になり、刈取り部10は、昇降レバー45によって調整された所望の連結高さに昇降シリンダ51によって保持される。
【0038】
図10は、昇降シリンダ51の第三実施構造を備えた油圧回路を示す。この図に示すように、第三実施構造を備えた油圧回路は、油圧ポンプ42を有した給油路43にポンプポートPが接続され、タンクポートTがドレン油路41に接続された昇降バルブVと、この昇降バルブVのシリンダポートCを昇降シリンダ51に接続する操作油路40に接続されたフローティング油路77が装備されたバランス油路手段70とを備えている。
【0039】
バランス油路手段70は、前記フローティング油路77を備える他、このフローティング油路77に接続された油圧ポンプ78と、フローティング油77に設けた接地刈り弁75と、フローティング油路77の接地刈り弁75と油圧ポンプ78との間に接続されたリリーフ油路73とを備えている。接地刈り弁75は、オン状態とオフ状態とに切り換え自在になっている。オン状態に切り換えられた接地刈り弁75は、フローティング油路77を油圧ポンプ78からの油圧が操作油路40に供給されるように開き状態に切り換える。オフ状態に切り換えられた接地刈り弁75は、フローティング油路77を油圧ポンプ78から操作油路40への給油が停止するように開き状態に切り換える。
【0040】
バランス油路手段70は、昇降バルブVが中立状態に、接地刈り弁75がオン状態にそれぞれ切り換えられると、作用状態になり、昇降シリンダ51が刈取り部10の接地部18での接地圧を減少させる状態(刈取り部10の下降荷重を軽減する状態)で刈取り部10を支持するよう昇降シリンダ51をフローティング状態に操作する。すなわち、昇降バルブVが中立状態に、接地刈り弁75がオン状態にそれぞれ切り換えられると、油圧ポンプ78から供給された油圧をフローティング油路77によって昇降シリンダ51に供給させながら、油圧ポンプ78からフローティング油路77に供給された圧油の一部をリリーフ油路73に流出させ、このリリーフ油路73で可変リリーフ弁74によって流動抵抗を付与する。これにより、昇降シリンダ51を、通常時は接地部18が地面にほとんど沈下しない状態で刈取り部10を接地支持し、接地部18の接地反力が増大すれば、この接地反力と昇降シリンダ51による操作力とのために刈取り部10が自走機体に対して上昇するという加圧状態に操作する。
【0041】
バランス油路手段70は、油圧調節手段としての可変リリーフ弁74が適切なリリーフ圧を現出するように調節操作されることにより、刈取り部10の接地部18での接地圧が過不足のない接地圧になるよう昇降シリンダ51の加圧調節を行う。
【0042】
図11は、油圧シリンダ51の第四実施構造を備えた油圧回路を示している。この図に示すように、第四実施構造を備えた油圧回路は、油圧ポンプ42を有した給油路43にポンプポートPが接続され、タンクポートTがドレン油路41に接続された昇降バルブVと、この昇降バルブVのシリンダポートCを昇降シリンダ51に接続する操作油路40に接続された排油路71が装備されたバランス油路手段70とを備えている。
【0043】
バランス油路手段70は、前記排油路71を備える他、前記排油路71に設けた可変オリフィス72と、前記昇降バルブVに設けたフローティング状態Fとを備えている。
【0044】
昇降バルブVのフローティング状態Fは、昇降バルブVの上昇状態「上」と、下降状態「下」と、中立状態「中」とは別に昇降バルブVに備えてある操作状態である。昇降バルブVの上昇状態「上」は、油圧ポンプ42からの油圧を操作油路40に供給し、昇降シリンダ51を刈取り部上昇側に駆動する操作状態である。昇降バルブVの下降状態「下」は、操作油路40からドレン油路41に油圧を排出し、昇降シリンダ51を刈取り部下降側に操作する操作状態である。昇降バルブVの中立状態「中」は、操作油路40に対する給油及び排油を停止し、昇降シリンダ51を停止操作する操作状態である。昇降バルブVのフローティング状態「F」は、前記給油路43と前記操作油路40とを連通させるとともに前記排油路71と前記ドレン油路41とを連通させる操作状態である。
【0045】
バランス油路手段70は、昇降バルブVがフローティング状態「F」に切り換えられると、作用状態になり、昇降シリンダ51が刈取り部10の接地部18での接地圧を減少させる状態(刈取り部10の下降荷重を軽減する状態)で刈取り部10を支持するよう昇降シリンダ51をフローティング状態に操作する。すなわち、昇降バルブVがフローティング状態「F」に切り換えられると、油圧ポンプ42から昇降バルブVに供給された油圧を操作油路40によって昇降シリンダ51に供給させながら、油圧ポンプ42から操作油路40に供給された圧油の一部を排油路71に流出させ、この排油路71から昇降バルブVを介してドレン油路41に流動させ、排油路71で可変オリフィス72によって流動抵抗を付与する。これにより、昇降シリンダ51を、通常時は接地部18が地面にほとんど沈下しない状態で刈取り部10を接地支持し、接地部18の接地反力が増大すれば、この接地反力と昇降シリンダ51による操作力とのために刈取り部10が自走機体に対して上昇するという加圧状態に操作する。
【0046】
バランス油路手段70は、油圧調節手段としての可変オリフィス72が適切な絞り状態を備えるよう調節操作されることにより、刈取り部10の接地部18での接地圧が過不足のない接地圧になるよう昇降シリンダ51の加圧調節を行う。
【0047】
〔別の実施例〕
上記昇降シリンダ51に替え、油圧モータを利用して刈取り部10を昇降操作する構成を採用する場合にも本発明を適用することができる。従って、昇降シリンダ51、油圧モータなどを総称して油圧アクチュエータ51と呼称する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】コンバイン全体の側面図
【図2】コンバイン全体の平面図
【図3】昇降操作機構の正面図
【図4】昇降操作機構の側面図
【図5】昇降シリンダの油圧回路図
【図6】バランス油路手段の作用状態を示す説明図
【図7】刈取り部操作装置のブロック図
【図8】昇降バルブ、開閉弁、接地切り換え弁の操作状態を示す説明図
【図9】第二実施構造を備えた油圧回路図
【図10】第三実施構造を備えた油圧回路図
【図11】第四実施構造を備えた油圧回路図
【図12】接地圧減少の比較構造を備えたコンバインの概略側面図
【図13】接地圧減少の比較構造を備えたコンバインの概略側面図
【図14】接地圧減少の比較構造を備えたコンバインの概略側面図
【図15】接地圧減少の比較構造を備えたコンバインの概略側面図
【符号の説明】
【0049】
10 刈取り部
18 接地部
51 油圧アクチュエータ
70 バランス油路手段
72,74 油圧調節手段
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成18年7月20日(2006.7.20)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎


【公開番号】 特開2008−22770(P2008−22770A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−198338(P2006−198338)