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【発明の名称】 ロータリーモアの刈高調整装置
【発明者】 【氏名】安井 隆

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本の回転刃を備えた複数基が相前後し、かつ芝面の傾斜に対して独立して追従可能なように乗用型芝刈機の機体に装着されるロータリーモアであって、
平面視で枠状をしていて、前後に各ローラを備えた本体フレームと、内部に垂直軸を中心に回転する回転刃が収容されて、前記本体フレームの内側に配設される回転刃ハウジングとを備え、
前記回転刃ハウジングの外周縁の複数箇所には連結ブラケットが固定され、当該連結ブラケットは、外側に向けて直角に折り曲げられて、前記本体フレームの上面の直上に配設される水平フランジ板部を備えており、
前記水平フランジ板部と本体フレームとは、両者の間に介装されたリング状のスペーサを外嵌した連結ボルトと連結ナットにより一体に連結され、前記スペーサの数の変更により本体フレームに対する回転刃ハウジングの取付高さを変更して、芝生の刈高を調整することを特徴とするロータリーモアの刈高調整装置。
【請求項2】
前記回転刃ハウジングに対する連結ブラケットの高さ方向の固定位置が調整可能になっていて、
前記回転刃ハウジングに対する連結ブラケットの固定位置の変更と、前記スペーサの数の変更との併用により、本体フレームに対する回転刃ハウジングの取付高さが変更可能であることを特徴とする請求項1に記載のロータリーモアの刈高調整装置。
【請求項3】
前記スペーサは、連結ナットを取り外すことなく連結ボルトに対する挿入及び抜取りを可能にすべく、半径方向の切欠きが形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のロータリーモアの刈高調整装置。
【請求項4】
前記スペーサの外形は、非円形状であることを特徴とする請求項3に記載のロータリーモアの刈高調整装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型芝刈機の機体に複数基が相前後し、しかも芝面の傾斜に独立して追従可能に装着されるロータリーモアの刈高調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗用型芝刈機として、リール刃が水平軸を中心に回転する複数基のリールモア(リールカッター)を機体に相前後させて装着するのに替えて、回転刃ハウジング内において垂直軸を中心にして回転刃が回転する複数基のロータリーモアを相前後させて機体に装着したものが開発されている(特許文献1)。このように、機体に複数基のリールモア、或いはロータリーモアを相前後させて装着する乗用型芝刈機は、複数基の各リールモア、或いは各ロータリーモアがそれぞれ独立して進行方向、及びこれと直交する横方向、或いは両方向を合成させた斜方向の各傾斜(アンジュレーション)に追従し得るために、全域に亘って刈高を設定通りにできる利点がある。同じく乗用型芝刈機の機体に装着されるロータリーモアであっても、同一ケース内に刈残し部が発生しないように複数の回転刃ハウジングを相前後させて、当該ハウジングに一体に固着させて、各回転刃ハウジング内にそれぞれ垂直軸を中心に回転する1本ずつの回転刃を設けた構成のものもある(特許文献2)。しかし、この構成のロータリーモアは、実質的には複数基の各ロータリーモアユニットが同一ケースに一体に装着された構成であるために、前記各傾斜に対しては、全てのロータリーモアユニットが同一に追従することになって、各傾斜が複雑な場合(典型的には、複数のロータリーモアユニットを備えたロータリーモアの前後の各ローラの間、又はカバーで覆われた芝面の横方向に沿って凹凸がある場合)には、各ロータリーモアユニットによる刈高が一定しなくなる問題がある。
【0003】
一方、本発明形式のロータリーモアは、乗用型芝刈機の機体に独立した複数基が装着されるリールモア(リールカッター)との対比においては、以下のような種々の利点を有している。まず、リールモアのリール刃が磨耗した場合には、専用のラッピングマシンが不可欠であって、しかも研磨に技術と手間を要するのに対して、本発明形式のロータリーモアの回転刃が磨耗した場合には、例えば手持ち式のグラインダーにより作業現場において簡単に研磨し直すことができる。また、リールモアは、回転刃と固定刃との間で芝生を切断する構造からして、芝生の刈取り長さが長い場合においては、長い芝生をスムーズに刈り取ることができないと共に、ラフ刈りを行なう場合において、芝生とは異なる硬い草類が存在していると、この硬い草類の切断をスムーズに刈り取れない問題がある。しかし、本発明形式のロータリーモアによれば、1枚の回転刃が垂直軸を中心に回転する構成であるために、芝生の長さには殆ど無関係に目的の刈高で刈り取ることが可能になる。
【0004】
複数のロータリーモアユニットが同一のケースに一体に取付けられた形式のロータリーモア、或いはリールモアに比較して利点を有する本発明形式のロータリーモアにおいても、リールモアと同様に芝生の刈高を調整する必要があり、回転刃ハウジングが本体フレームと一体となった構成では、本体フレームの前後に取付けられている各ローラの本体フレームに対する装着位置を変更させる設定を採用せざるを得ない。しかし、乗用型芝刈機の機体には複数のロータリーモアが装着されており、各ロータリーモアにおいて、本体フレームに対する各ローラの装着位置が同一となるように調整するのは難しいと共に、各ロータリーモア毎に面倒な調整が必要となって、刈高調整作業は大掛かりなものとなる。
【特許文献1】特開2005−198653号公報
【特許文献2】特開2006−109753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、乗用型芝刈機に装着されるロータリーモアの刈高の調整を容易にし、しかも広範囲において段階的に調整可能にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、1本の回転刃を備えた複数基が相前後し、かつ芝面の傾斜に対して独立して追従可能なように乗用型芝刈機の機体に装着されるロータリーモアであって、平面視で枠状をしていて、前後に各ローラを備えた本体フレームと、内部に垂直軸を中心に回転する回転刃が収容されて、前記本体フレームの内側に配設される回転刃ハウジングとを備え、前記回転刃ハウジングの外周縁の複数箇所には連結ブラケットが固定され、当該連結ブラケットは、外側に向けて直角に折り曲げられて、前記本体フレームの上面の直上に配設される水平フランジ板部を備えており、前記水平フランジ板部と本体フレームとは、両者の間に介装されたリング状のスペーサを外嵌した連結ボルトと連結ナットにより一体に連結され、前記スペーサの数の変更により本体フレームに対する回転刃ハウジングの取付高さを変更して、芝生の刈高を調整することを特徴としている。
【0007】
請求項1の発明によれば、本体フレームと連結ブラケットの水平フランジ板部とを連結ボルトと協働して連結している連結ナットを取り外して、連結ボルトに外嵌するスペーサの数の増減により、スペーサの厚さに、増減させるスペーサの数を乗じた高さだけで、本体フレームに対する回転刃ハウジングの取付高さを変更できて、芝生の刈高が変更される。このため、刈高調整ブラケットのみを介して回転刃ハウジングと本体フレームが連結されて、前記刈高調整ブラケット、又はその相手方に形成されたボルト挿通孔又は螺子孔の合致位置を変更する形式の場合には、重量のある回転刃ハウジングを所定の高さ位置に配置した姿勢を保持したままで、ボルトの螺合作業が必要となって、刈高調整作業が難しくなる。これに対して、請求項1の発明によれば、連結ボルトに外嵌されるスペーサの増減のみによって、ロータリーモアの刈高を調整できるため、当該調整作業が容易となる。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記回転刃ハウジングに対する連結ブラケットの高さ方向の固定位置が調整可能になっていて、前記回転刃ハウジングに対する連結ブラケットの固定位置の変更と、前記スペーサの数の変更との併用により、本体フレームに対する回転刃ハウジングの取付高さが変更可能であることを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明によれば、回転刃ハウジングに対する連結ブラケットの高さ位置の変更と、前記スペーサの数の変更との併用により、本体フレームに対する回転刃ハウジングの取付高さが変更可能であるため、芝生の刈高の調整範囲を広くできると共に、刈高調整を多段階に行なえる。また、スペーサの数を増加させることのみで、本体フレームに対する連結ブラケットの水平フランジ板部の高さ位置を高くして、芝生の刈高を高くする場合には、連結ボルト及び連結ナットによる本体フレームと連結ブラケットの水平フランジ板部の連結強度が弱く、しかも不安定となり易いが、前記併用によりこれらの欠点を解消できて、回転刃ハウジングと連結ブラケットの水平フランジ板部とを大きな強度で安定して連結できる。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記スペーサは、連結ナットを取り外すことなく連結ボルトに対する挿入及び抜取りを可能にすべく、半径方向の切欠きが形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項3の発明によれば、連結ナットを取り外すことなく連結ボルトに対してスペーサの挿入及び抜取りを行なえるので、芝生の刈高の調整作業が一層容易となる。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記スペーサの外形は、非円形状であることを特徴としている。
【0013】
請求項4の発明によれば、スペーサの周方向に沿って方向性が生じてスペーサの抜取方向が分かるために、連結ボルトからのスペーサの抜取りを誤りなく迅速に行なえる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、連結ブラケットの水平フランジ板部と本体フレームとは、両者の間に介装されたスペーサを外嵌した連結ボルトと連結ナットにより連結されて、前記スペーサの枚数の増減により、刈高調整を行なえるため、例えば、本体フレームに対する回転刃ハウジングとの連結高さの調整、即ち刈高調整を両者を連結するブラケットのみで実現させる構造に比較して、重量のある回転刃ハウジングを本体フレームに対して特定の位置に保持した姿勢のままで連結ボルトを介して前記刈高調整ブラケットと本体フレームを連結する必要がなくなって、刈高の調整作業が容易となる。
【0015】
また、回転刃ハウジングに対する連結ブラケットの固定高さ位置を調整可能な構成にすると、連結ブラケットの回転刃ハウジングに対する固定高さ位置の変更と、前記スペーサの数の変更との併用により、本体フレームに対する回転刃ハウジングの取付高さが変更可能となるため、芝生の刈高の調整範囲が広くなると共に、多段階において調整可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、最良の実施形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。最初に、図1ないし図6を参照して、本発明に係る複数基のロータリーモアMを装着した乗用型芝刈機について説明し、その後に、本発明に係る刈高調整装置について説明する。図1は、本発明に係る複数基のロータリーモアMを装着した乗用型芝刈機の模式的平面図であり、図2は、同じく模式的側面図であり、図3(イ),(ロ)は、それぞれロータリーモアMを斜上方及び斜下方から見た全体斜視図であり、図4は、刈高調整装置Dの部分を破断したロータリーモアMの側面図であり、図5は、同じく背面図である。図1及び図2は、複数基(実施例では5基)のロータリーモアMの配置を主体に示す図であって、各図から明らかなように、乗用型芝刈機の機体1は、前後各一対の前輪2と後輪3とを備えた4輪構造であって、機体1の前方には、横方向に沿って所定間隔をおいて3基のロータリーモアMが配設されていると共に、機体1の下部であって、前後一対の前輪2と後輪3との間には、2基のロータリーモアMが横方向に沿って所定間隔をおいて配設されている。前側の2基の各ロータリーモアMは、刈残し部の発生をなくすために、前側の3基の各ロータリーモアMのうち連結する2基のロータリーモアMの間の隙間の後方にそれぞれ配設されている。各ロータリーモアMは、機体1に対して昇降、或いは斜起立が可能となるように、それぞれアーム(図示せず)を介して機体1に連結されている。なお、図2において、4は、それぞれ機体1の前部に設けられたハンドルを示し、同じく5は、機体1に設けられて、運転者6を太陽光、雨等から保護する屋根を示す。
【0017】
次に、図3ないし図5を参照して、ロータリーモアMの全体構成について説明する。ロータリーモアMは、平面視で略コの字枠状をした本体フレームFと、回転刃Nを収容する回転刃ハウジングJとで構成されて、本体フレームFの内部に回転刃ハウジングJが収容配設されて、ロータリーモアMと回転刃ハウジングJとは、前中央部の1箇所と後両側部の2箇所との計3箇所において刈高調整装置Dを介して連結されている。平面視で略コの字枠状をした本体フレームFは、開口となる側が進行方向Pの後方となるように配置されて、左右一対の前後フレーム部11の後端部は、斜下方に向けて屈曲されていて、各前後フレーム部11の後端部に後ローラ12が支持されている。一方、左右一対の前後フレーム部11の前端部は、前横フレーム部13によって連結されていて、前横フレーム部13の左右両端部は、同一高さを維持したまま後方に向けて屈曲されていて、前横フレーム部13の左右両端の各屈曲部13aの下方に左右一対の前ローラ14が配設されている。即ち、前ローラ14は、前記屈曲部13aの内端部に垂直に固着された第1ブラケット15と、前記屈曲部13aの外管部に斜後方に向けて固着された第2ブラケット16とで支持されている。一対の前ローラ14と後ローラ12とが接地された状態において、フレームFは水平となる。
【0018】
一方、回転刃ハウジングJは、リング短円筒状をしたハウジング本体21の上面が閉塞板22で閉塞された構成である。閉塞板22は、図3ないし図5に示されるように、方形板の後側の各コーナー部が小さく面取りされると共に、前側の各コーナー部が大きく面取りされ、両側部、及び前部が下方に直角に折り曲げられて、左右一対の側連結板部23及び前連結板部24が設けられた形状であって、リング短円筒状をした前記ハウジング本体21の外周面に連結板(図示せず)を介して一体に溶接されている。そして、計3個の刈高調整装置Dを介して本体フレームFに回転刃ハウジングJが一体に連結された状態では、前記した左右一対の側連結板部23は、本体フレームFの前後フレーム部11の内側の斜下方に、当該前後フレーム部11と平行に配置される(図5及び図6参照)と共に、前記前連結板部24は、本体フレームFの前横フレーム部13に対して同様に配置される。
【0019】
また、前記閉塞板22の上面中央部には、油圧モータ25を設置するための補強板26が取付けられ、当該補強板26の上に油圧モータ25が駆動軸(図示せず)を垂直にして取付けられている。油圧モータ25のベース板27には、連結軸ハウジング28が一体に取付けられていて、油圧モータ25を閉塞板22の中央部に補強板26を介して固定された状態で、前記連結軸ハウジング28は、回転刃ハウジングJの中央部に配設される。油圧モータ25の駆動軸は、前記連結軸ハウジング28内に収納されて支持された連結軸(図示せず)に連結されて、当該連結軸の下端部に回転刃Nが取付けられ、油圧モータ25により回転刃Nが駆動回転される。図4及び図5に示されるように、前記回転刃Nは、回転刃ハウジングJの下端開口に臨んで配置される。また、回転刃ハウジングJの内部には、連結軸ハウジング28の部分に刈芝が集められるのを防止するためのリング短円筒状をした短円筒壁体29が回転刃ハウジングJと同心となって取付けられている。また、閉塞板22の上面における各刈高調整装置Dの直後方又は直内側方の計3箇所には、回転刃N及び油圧モータ25が取付けられた回転刃ハウジングJを持上げたり、吊り下ろしたりするためのフック30がそれぞれ取付けられている。なお、図3及び図4において、20は、乗用型芝刈機の機体1にアームを介してロータリーモアMを取付けるために、前記アームの先端部を連結するためのアーム連結板を示す。
【0020】
上記したように、前後の各ローラ14,12を備えた本体フレームFと、回転刃N及び油圧モータ25を一体に取付けた回転刃ハウジングJは、それぞれ別体となっていて、本体フレームFに対して回転刃ハウジングJは、前端両側部と後端中央部の計3箇所において刈高調整装置Dによって一体に連結される。よって、刈高調整装置Dは、芝刈作業中において芝面から回転刃Nまでの高さを調整する刈高調整機能と、本体フレームFに対して回転刃ハウジングJを一体に連結する連結機能との双方を有している。
【0021】
次に、図6ないし図9を参照して、刈高調整装置Dについて説明する。図6は、図5の刈高調整装置Dの破断部分の拡大図であり、図7は、刈高調整装置Dの分解斜視図であり、図8は、ガイド体Gの背面板部42に形成されボルト挿通孔A1 〜A6 と、連結ブラケットBの垂直連結板部31に形成された螺子孔C1 〜C4 との各ピッチの関係を示す正面図であり、図9は、ガイド体Gのボルト挿通孔A1 〜A6 と、連結ブラケットBの垂直連結板部31の螺子孔C1 〜C4 との組み合わせにより、刈高が調整されることを説明するための図、及びこれらの組合わせとスペーサS1 の使用枚数の変更との併用により刈高が変更されることを示すグラフである。図6及び図7に示されるように、本体フレームFの上記3箇所の外側面には、断面偏平コの字形をしたガイド体Gが溶接により固着されることにより、当該ガイド体Gと本体フレームFとにより偏平角筒状に形成されて、内部空間は、連結ブラケットBの垂直連結板部31が挿通される板部挿通空間41となっている。連結ブラケットBの垂直連結板部31の上端部は、外側に向けて直角に折り曲げられて水平フランジ板部32となっていて、当該水平フランジ板部32には、連結ボルト62を挿通されるボルト挿通孔33が明けられている。
【0022】
一方、ガイド体Gが本体フレームFの外側面に固着された状態で、ガイド体Gの背面板部42と本体フレームFの外側面との間隔(板部挿通空間41の空間厚さ)は、前記連結ブラケットBの垂直連結板部31の板厚よりも遥かに大きくなっている(図6参照)が、ガイド体Gの対向側板部43の内側面の間隔(板部挿通空間41の空間幅)は、連結ブラケットBの垂直連結板部31の幅よりも僅かに小さくなっている。
【0023】
そして、図8に示されるように、ガイド体Gの背面板部42には、横方向(水平方向)に所定間隔をおいた2列であって、各列3個ずつの計6個のボルト挿通孔A1 〜A6 が上下方向に沿ってピッチ(P1)で形成されている。なお、各列の横方向のボルト挿通孔は、高さ方向に沿って同一位置に形成されている。一方、連結ブラケットBの垂直連結板部31には、横方向に沿った間隔を前記各ボルト挿通孔A1 〜A6 と同一にした2列であって、各列に2個ずつの計4個の螺子孔C1 〜C4 が形成されている。計4個の螺子孔C1 〜C4 は、対角線方向に沿った各螺子孔(C1 とC4 又はC2 とC3) の上下方向のピッチが(P1 )となるように形成されている。このため、一方の列の2つの螺子孔C1,C3 は、上下方向に沿ってピッチ(P2)で形成されていると共に、他方の列の2つの螺子孔C2,C4 は、上下方向に沿ってピッチ(P3)〔P3 >P1 >P2 〕で形成されている。
【0024】
そして、本体フレームFと、回転刃N及び油圧モータ25を一体に取付けた回転刃ハウジングJとを、前端両側部と後端中央部の計3箇所において刈高調整装置Dを介して刈高を定めた状態にして一体に連結するには、以下のようにして行なう。即ち、連結ブラケットBの垂直連結板部31を回転刃ハウジングJの側のガイド体Gの板部挿通空間41に挿通して、ガイド体Gの計6個のボルト挿通孔A1 〜A6 の中から、上下方向のピッチが(P1)である各列1個ずつの計2個選択すると共に、連結ブラケットBの垂直連結板部31の計4個の螺子孔C1 〜C4 のうち対角線方向に沿ったいずれか1つの組の2つの螺子孔を選択し、ガイド体Gの背面板部42と連結ブラケットBの垂直連結板部31とを2本の調整ボルト61を介して連結しておく。連結ボルト62は、本体フレームFに上下方向に貫通して形成されたボルト挿通孔18に下方から挿通されて、雄螺子部62aがフレームFの上方に突出した状態で、頭部62bは、本体フレームFに溶接Wにより固着されている。この状態で、連結ブラケットBの水平フランジ板部32と本体フレームFの上面17との間に介装された刈高に対応した数のスペーサS1 を連結ボルト62の雄螺子部62aに外嵌した状態で、前記水平フランジ板部32から突出した前記連結ボルト62の雄螺子部62aと連結ナット63とを螺合させる。これにより、本体フレームFに対して回転刃ハウジングJが複数の刈高調整装置Dを介して刈高が定められた状態で一体に連結される。ここで、リング状のスペーサS1 は、連結ナット63を取り外すことなく連結ボルト62に対して着脱が可能なように、半径方向に沿った切欠き51が形成されたものが使用される。また、連結ボルト62における水平フランジ板部32から上方に突出した部分には、予備の複数のスペーサS1 を外嵌させておくと、スペーサS1 による刈高調整の際に、スペーサS1 を探す必要がなくなる。なお、図6及び図7において、64,65は、それぞれカラー及びバネ座金を示す。
【0025】
次に、図8及び図9を参照して、刈高調整装置Dによる芝生の「刈高」の調整について説明する。図9に示される実施例の場合には、ピッチP1 =25.4mm、ピッチP2 =15.4mm、ピッチP3 =35.4mm、スペーサS1 の板厚=6mmである。ここで、連結ブラケットBの水平フランジ板部32と本体フレームFの上面17との間に介装されて、連結ボルト62に外嵌されるスペーサS1 の数を増減させれば、スペーサS1 の増減数に板厚=6mmを乗じた値だけ、「刈高」が変更されることは明白である。回転刃ハウジングJの側に固定されたガイド体Gの板部挿通空間41に連結ブラケットBの垂直連結板部31が上記寸法関係でもって挿通されているために、連結ナット63を緩めて、本体フレームFに対して回転刃ハウジングJを昇降させる際においても、本体フレームFに対して回転刃ハウジングJが横方向及び前後方向に大きく移動することはないので、連結ボルト62に対するスペーサS1 の脱着は容易となる。しかも、連結ボルト62に対するリング状をしたスペーサS1 の脱着は、連結ナット63を外すことなく単に緩めておいて、連結ブラケットBの水平フランジ板部32を境界にしてその上下の連結ボルト62に外嵌されているスペーサS1 を他方の側に単にずらして外嵌し直すのみでよいので、スペーサS1 による芝生の「刈高」の調整作業は極めて容易である。なお、本発明においては、切欠き51を有していない通常のリング状のスペーサの使用も可能である。
【0026】
また、連結ブラケットBの垂直連結板部31と回転刃ハウジングJの側のガイド体Gとの連結固定位置を上下方向にずらして芝生の刈高(H)〔図6参照〕を調整する作業も比較的容易である。なお、図6において、71は、芝面を示す。上記したように、連結ブラケットBの垂直連結板部31の幅と、ガイド体Gにより形成される板部挿通空間41の幅とが対応しているために、本体フレームFに対して回転刃ハウジングJが横方向及び前後方向に大きく移動することはないので、閉塞板22の上面に固着されたフック30を手で持つ等して、本体フレームFに対して回転刃ハウジングJを所定の位置まで昇降させることにより、連結ブラケットBに対するガイド体Gの位置を上下方向にずらして、2本の調整ボルト61により、連結ブラケットBの垂直連結板部31とガイド体Gの背面板部42との連結固定位置を変更させればよい。
【0027】
図9(イ)は、スペーサS1 の使用による「刈高」の変更を考慮しない場合における「刈高」が最も低い場合であって、ガイド体Gのボルト挿通孔A4,A5 と、連結ブラケットBの螺子孔C2,C3 が使用される場合である。図9(ロ)は、ガイド体Gのボルト挿通孔A3,A6 と、連結ブラケットBの螺子孔C1,C4 が使用される場合であって、図9(イ)の場合よりも、ΔH1 =〔ピッチ(P3)−ピッチ(P1)〕=10mmだけ「刈高」が高くなる。図9(ハ)は、ガイド体Gのボルト挿通孔A2,A3 と、連結ブラケットBの螺子孔C2,C3 が使用される場合であって、図9(ハ)の場合よりも、ΔH2 =ピッチ(P2)=15.4mmだけ「刈高」が高くなる。更に、図9(ニ)は、ガイド体Gのボルト挿通孔A1,A4 と、連結ブラケットBの螺子孔C1,C4 が使用される場合であって、図9(ハ)の場合よりも、ΔH3 =〔ピッチ(P2)−ピッチ(P1)〕=10mmだけ「刈高」が高くなる。
【0028】
このように、本体フレームFの上面17と連結ブラケットBの水平フランジ板部32との間に介装させるスペーサS1 の数の増減と、ガイド体Gに対する連結ブラケットBの垂直連結板部31の上下方向に沿った連結固定位置の変更とを併用させることにより、芝生の「刈高」の調整範囲が広くなるのに加えて、刈高調整を小さな間隔で多段階に行える利点がある。また、同一の「刈高」を実現させるのに、スペーサS1 のみで行う場合には、本体フレームFに対する連結ブラケットBの水平フランジ板部32の連結が不安定化し、かつ連結強度も小さくなるが、前記併用に係る実施例によれば、スペーサS1 の使用枚数を少なくできて、本体フレームFと連結ブラケットBの水平フランジ板部32とを大きな強度で安定して連結できる。因みに、上記実施例の場合には、スペーサS1 の最大使用枚数を「6」とすると、最小及び最大の「刈高」は、それぞれ19.6mm及び91.0mmとなって、71.4mmの「刈高調整範囲」で「28」の多段階で行うことができる。しかし、スペーサの使用のみによって、本体フレームFに対する回転刃ハウジングJの高さを変更する構造も本発明に含まれるものである。なお、上記実施例では、スペーサS1 を使用しない場合における図9(イ)で示される「刈高」が「19.6mm」の場合である。
【0029】
また、連結ブラケットBの垂直連結板部31の螺子孔C1 ないしC4 から選択された対角線方向の2つの螺子孔を利用することにより、螺子孔C1 ないしC4 の形成による垂直連結板部31の強度をそれ程低下させることなく、「刈高調整」の最小単位(最小長さ)を小さくできる利点がある。しかし、連結ブラケットBの垂直連結板部31に、ガイド体Gの背面板部42に形成されたボルト挿通孔A1 〜A6 と同一形態で、即ち各列の螺子孔が同一高さの位置に開けられている構成、或いは回転刃ハウジングJの側に、連結ブラケットBの垂直連結板部31を挿通するガイド体Gを設けずに、板状のブラケットに直接に螺子孔を形成する構成であっても、本発明に含まれるものである。
【0030】
また、本体フレームF’の形状によっては、図10に示される刈高調整装置D’のように、垂直連結板部31’の下端部に水平フランジ板部32’が外側に向けて折り曲げられた連結ブラケットB’が使用されることもある。この場合には、側連結板部23の上端部にガイド体G’が溶接Wにより固着され、当該ガイド体G’の板部挿通空間41’に連結ブラケットB’の垂直連結板部31’が挿通されて2本の調整ボルト61を介して背面板部42’に連結される。また、本体フレームF’の上面と連結ブラケットB’の水平フランジ板部32’の間に必要数のスペーサS1 が介装される構成は、前記連結ブラケットBを使用した場合と同一である。なお、図10において、前記連結ブラケットBを使用した場合と同一部分には、同一符号を付してある。
【0031】
また、図11(イ)ないし(ニ)は、それぞれ異なるスペーサS1 ないしS4 の平面図であって、前記スペーサS1 のように円形の場合には、連結ボルト62からスペーサS1 を抜き取る場合に、その抜取方向が分かりづらいことがあるので、外形を非円形にすると、この不具合が解消される。例えば、図11(ロ)に示されるスペーサS2 のように、切欠き51と180度位相が異なる部分に突起52を形成して、当該突起52の方向にスペーサS2 を抜き取るようにしたり、図11(ハ)に示されるスペーサS3 のように、切欠き51と平行な二面幅部53を形成することにより、当該二面幅部53の方向にスペーサS3 を抜き取るようにしたり、更に図11(ニ)に示されるスペーサS4 のように、切欠き51と正逆両方向に90度位相が異なる部分にそれぞれ突起54を形成して、当該突起54と位相が90度異なる方向にスペーサS4 を引き抜くように構成することも可能である。スペーサS2 〜S4 は、抜取方向が瞬時に分かるので、連結ボルト62に対してスペーサS2 〜S4 を脱着して行う芝生の「刈高」の調整作業を迅速に行える。なお、図11の各図において、2点鎖線はスペーサS1 〜S4 の切欠き51の形成方向を示す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る複数基のロータリーモアMを装着した乗用型芝刈機の模式的平面図である。
【図2】同じく模式的側面図である。
【図3】(イ),(ロ)は、それぞれロータリーモアMを斜上方及び斜下方から見た全体斜視図である。
【図4】刈高調整装置Dの部分を破断したロータリーモアMの側面図である。
【図5】同様の背面図である。
【図6】図5の破断部の拡大図である。
【図7】刈高調整装置Dの分解斜視図である。
【図8】ガイド体Gの背面板部42に形成されボルト挿通孔A1 〜A6 と、連結ブラケットBの垂直連結板部31に形成された螺子孔C1 〜C4 との各ピッチの関係を示す正面図である。
【図9】ガイド体Gのボルト挿通孔A1 〜A6 と、連結ブラケットBの垂直連結板部31の螺子孔C1 〜C4 との組み合わせにより、刈高が調整されることを説明するための図、及びこれらの組合わせとスペーサS1 の使用枚数の変更との併用により刈高が変更されることを示すグラフである。
【図10】連結ブラケットB’を使用した刈高調整装置D’の部分拡大断面図である。
【図11】(イ)ないし(ニ)は、それぞれ異なるスペーサS1 ないしS4 の平面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 〜A6 :ボルト挿通孔
B,B’:連結ブラケット
1 〜C4 :螺子孔
D,D’:刈高調整装置
F,F’:本体フレーム
G,G’:ガイド体
H:刈高
J:回転刃ハウジング
N:回転刃
1 〜S4 :スペーサ
1:機体
12:後ローラ
14:前ローラ
17:本体フレームの上面
31,31’:垂直連結板部
32,32’:水平フランジ板部
41,41’:ガイド体の板部挿通空間
42,42’:ガイド体の背面板部
51:垂直連結板部の切欠き
61:調整ボルト
62:連結ボルト
【出願人】 【識別番号】591187841
【氏名又は名称】株式会社共栄社
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100083655
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 哲寛


【公開番号】 特開2008−83(P2008−83A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−173476(P2006−173476)