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【発明の名称】 散布機
【発明者】 【氏名】山本 明

【要約】 【課題】粉状物又は粒状物を圃場へ飛散させる飛散部の使いやすさを向上させることができるようにする。

【解決手段】本発明の散布機1は、圃場を走行する車輪2と、肥料を放出するホッパー装置4と、該ホッパー装置4から放出された肥料を散布位置へ送り流すガイド装置6と、該ガイド装置6に設けられた回転羽根31により肥料を圃場へ飛散させるように付勢する飛散部7とを備えている。そして、回転羽根31は、肥料を付勢して飛散させる使用位置と、肥料の流れの外側に退避した退避位置との間で切り替え可能に構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を走行する走行手段と、
内部の粉状物又は粒状物を放出するホッパー装置と、
該ホッパー装置から放出された粉状物又は粒状物を散布位置へ送り流すガイド装置と、
該ガイド装置に設けられた飛散手段により粉状物又は粒状物を圃場へ飛散させるように付勢する飛散部とを備えた散布機であって、
前記飛散手段は、前記粉状物又は粒状物を付勢して飛散させる使用位置と、該粉状物又は粒状物の流れの外側に退避した退避位置との間で切り替え可能に構成された散布機。
【請求項2】
前記走行手段を操作するためのハンドルを備え、
該ハンドルに前記飛散部による粉状物又は粒状物の付勢を開始・停止するための操作手段が設けられた請求項1記載の散布機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、粉状物又は粒状物を散布するための散布機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の散布機として、特許文献1記載の肥料Gの散布装置を例示する。この散布装置50は、図7に示すように車輪52と、下部に排出口を有するホッパー装置53と、このホッパー装置53の排出口の開閉を排出口側へ離接揺動して行うフラップシャッター53aと、このフラップシャッター53aを駆動する駆動装置(図示略)と、ホッパー装置53の排出口から排出される肥料Gの落下位置の調整をするためのガイド装置54とを備えている。特許文献1には記載されていないが、この種の装置において、肥料Gを飛散させながら散布する場合、ガイド装置54の各肥料排出側に、肥料Gを圃場へ飛散させるように付勢する飛散部60が装着される。この飛散部60は、ガイド装置54の各肥料排出側に設けられ、肥料Gを掻き出すようにして付勢する回転羽根61と、該回転羽根61を回転駆動する羽根駆動機構62とを備えている。散布装置50に対する飛散部60の着脱を容易にするために、羽根駆動機構62は、車輪52の側面に周面を押し付けるように構成された回転ローラ(図示略)を介して車輪52の駆動力を得るように構成されている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−47316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば有機肥料の散布作業終了時には、ホッパー装置53内に残っている有機肥料Gを取り出しておく必要がある。この種の装置で散布する製品化された有機肥料Gは、水分率が高く結着しやすい性質を持っているため、ホッパー装置53内に入れたまま放置しておくと、固まってしまうからである。
【0005】
しかし、ホッパー装置53内に残った肥料Gを取り出す場合において、ガイド装置54に飛散部60が装着されていると、ホッパー装置53の排出口を開けて肥料Gを排出しても、飛散部60の回転羽根61で肥料Gが止まってしまい、うまく排出できないという課題がある。このため、肥料排出の妨げにならないようにガイド装置54から飛散部60を取り外したり、散布装置50全体を逆さまにしてホッパー装置53の肥料供給口から肥料Gを取り出したりしなければならず、手間がかかっている。また、肥料Gを飛散させる場合と飛散させない場合とで飛散部60を着脱しなければならず、飛散部60(一対の回転羽根61及び羽根駆動機構62)の着脱や、飛散させない場合の取り外した飛散部60の管理等に手間がかかるという課題がある。また、羽根駆動機構62は、車輪52の側面に周面を押し付けるように構成された回転ローラ(図示略)を介して車輪52の駆動力を得るように構成されているので、車輪52の周面に付着した土や水分により該回転ローラがスリップしやすく、安定的な駆動力が得られないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の散布機は、
圃場を走行する走行手段と、
内部の粉状物又は粒状物を放出するホッパー装置と、
該ホッパー装置から放出された粉状物又は粒状物を散布位置へ送り流すガイド装置と、
該ガイド装置に設けられた飛散手段により粉状物又は粒状物を圃場へ飛散させるように付勢する飛散部とを備えた散布機であって、
前記飛散手段は、前記粉状物又は粒状物を付勢して飛散させる使用位置と、該粉状物又は粒状物の流れの外側に退避した退避位置との間で切り替え可能に構成されている。
【0007】
この構成によれば、前記飛散部を前記使用位置に切り替えれば粉状物又は粒状物を飛散させながら散布することができ、前記退避位置に切り替えれば粉状物又は粒状物を飛散させないで散布したり、ホッパー装置内に残った肥料を簡単に取り出したりすることができる。また、前記飛散部の要・不要時にいちいち着脱する必要がないので、従来例とは異なり、着脱の手間がかからない。また、このように着脱の必要がないので、従来例とは異なり、着脱のし易さに考慮した構成を採用しなくてもよく、前記飛散手段の駆動力を例えば走行手段における回転部分からチェーン伝動機構やギヤ伝動機構等を介して直接的に駆動力を取り出すように構成することができる。また、前記飛散部の不要時に取り外す必要がないので、従来とは異なり、取り外した該飛散部の管理に手間がかからない。
【0008】
前記走行手段を操作するためのハンドルを備え、
該ハンドルに前記飛散部による粉状物又は粒状物の付勢を開始・停止するための操作手段が設けられた態様を例示する。
【0009】
この構成によれば、前記走行手段の操作をしながら前記飛散部の作用の開始・停止を操作することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る散布機によれば、粉状物又は粒状物を圃場へ飛散させる飛散部の使いやすさを向上させることができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1〜図6は本発明を具体化した一実施形態の散布機1を示している。本例の散布機1は、図1及び図2に示すように、粉状物又は粒状物としての肥料Gを散布するものであり、走行手段としての車輪2により圃場を走行自在に支持された機体3を備え、該機体3には、内部の肥料Gを放出するホッパー装置4と、該ホッパー装置4から放出された肥料Gを散布位置へ送り流すガイド装置6と、該ガイド装置6に設けられた飛散手段により肥料Gを圃場へ飛散させるように付勢する飛散部7とが装備されている。なお、各図において、矢印Fは機体前側を指し示している。
【0012】
機体3は、略上下方向に延びる左右一対のフレーム10を備え、左右のフレーム10の下端部には車輪2が回転自在に設けられている。また、左右のフレーム10の上端部には、左右のハンドル10aがそれぞれ後方へ突設されている。
【0013】
ホッパー装置4は、肥料Gを放出するための放出口(図示略)を有するホッパー本体5と、該放出口を開閉する揺動シャッター11と、車輪2の回転に連動して該揺動シャッター11を駆動するシャッター駆動機構12、揺動シャッター11の揺動幅を調整し肥料Gの放出量を調整する調整機構(図示略)とを備えている。
【0014】
ガイド装置6は、図2〜図5に示すように、ホッパー装置4の下方に設けられた基部15と、該基部15の両側に基端側がそれぞれ前後方向の軸周りに回動可能に軸支された左右一対のガイド部16と、該両ガイド部16の上下方向への回動位置を同時に調節するための回動位置調節機構17とを備えている。各ガイド部16は、ホッパー装置4から放出された肥料Gを機体側方の散布位置へ送り流すための溝16aを有しており、溝長さが調節できるように伸縮可能に構成されている。
【0015】
回動位置調節機構17は、両ガイド部16の上下方向への回動位置を同時に移動させるためのリンク部17aと、該回動位置を操作するための操作部17bとを備えている。
【0016】
リンク部17aは、図3及び図4に示すように、基部15の略中央に垂下して設けられたガイド板20を備えている。ガイド板20には上下方向に延びる長孔20aが設けられており、該長孔20aには調整ピン21が上下スライド可能に設けられている。そして、調整ピン21に対して、両ガイド部16の溝長さ方向の途中部がそれぞれリンク部材22を介して連結されている。リンク部材22の両端側はそれぞれ前後方向の軸周りに回動自在に軸着されている。
【0017】
操作部17bは、図3及び図5に示すように、ガイド板20の一側方に軸支された前後方向に延びる駆動軸23を備えている。駆動軸23には、駆動レバー24の基端側が固定されるとともに、調節レバー25の基端側が駆動軸23に直交するピン26により回動自在に軸着されている。ガイド板20の後方には、調節レバー25の回動経路に沿って間隔をおいて凹部27aが列設されたガイド調節座27が設けられている。調節レバー25は、付勢手段としてのバネ29によりガイド調節座側に付勢されるとともに、凹部27aに係合する係止部25aが設けられている。
【0018】
この回動位置調節機構17を操作するには、調節レバー25をガイド調節座27から離すように回動させることにより係止部25aを凹部27aから外し、この状態で調節レバー25を駆動軸23を中心に回動させることにより、ガイド部16の回動位置を所望位置に調節し、調節レバー25をガイド調節座側へ回動させて係止部25aを該所望位置近傍の凹部27aに係合させる。図4(a)及び図5(a)は、ガイド装置を上方へ回動させた状態、図4(b)及び図5(b)は、ガイド装置を下方へ回動させた状態をそれぞれ示している。
【0019】
飛散部7は、図2〜図6に示すように、ガイド部16の先端部に設けられたケース体30と、該ケース体30内に前後方向の軸周りに回転自在に支持された飛散手段としての回転羽根31と、該回転羽根31を駆動する羽根駆動機構32とを備えている。
【0020】
ケース体30は、ガイド部16から肥料Gを受け入れる受入口30a及び該肥料Gを吐き出す吐出口30bを有するとともに、上側に回動されて受入口30aがガイド部16の先端部における肥料出口16bに接続され肥料Gを受入れ、回転羽根31が肥料Gを付勢して飛散させる使用位置(図6(a)参照)と、下側に回動されて受入口30aが該肥料出口16bに接続されておらず、回転羽根31が肥料の流れの外側に退避した退避位置(図6(b)参照)との間で切り替え可能となるように前後方向の軸37で回動自在に軸支されている。そして、使用位置及び退避位置のいずれかにおいて固定手段で位置固定されるようになっている。本例の固定手段は、使用位置においては、ケース体30に設けられた使用位置固定孔38に位置固定ピン40を挿入し、該位置固定ピン40をガイド部16の上縁部に係止させることにより固定し、退避位置においては、軸37に対するケース体側及びガイド部16側にそれぞれ設けられた退避位置固定孔39の中心を一致させ、ここに位置固定ピン40を挿入することにより固定するように構成されている。
【0021】
羽根駆動機構32は、車輪2の軸の回転をクラッチ付きのギヤボックス34の入力軸34aに伝動するチェーン伝動機構33と、該ギヤボックス34の出力軸34bの回転を回転羽根31の軸に伝動するフレキシブルワイヤ35とを備えている。クラッチ付きのギヤボックス34は、ハンドル10aに設けられた操作手段としての操作レバー36により、入力軸34aから出力軸34bへの回転力を伝達するクラッチ操作が可能になっている。
【0022】
次に、本例の散布機1の使用方法について説明する。まず、肥料Gを飛散させながら散布するときは、飛散部7を使用位置(図6(a)参照)に切り替えるとともに操作レバー36によりギヤボックス34のクラッチをつなぎ、この状態で、機体3を走行させる。すると、機体3の走行に伴ってシャッター駆動機構12により揺動シャッター11が作動し、肥料Gがホッパー装置4からガイド部16へと放出され、ガイド部16の肥料出口側の飛散部7により肥料Gが付勢されることにより飛散し圃場に散布される。
【0023】
また、肥料Gを飛散させずに散布するときは、飛散部7を退避位置(図6(b)参照)に切り替えるとともに操作レバー36によりギヤボックス34のクラッチを切り、この状態で走行させる。すると、機体3の走行に伴ってシャッター駆動機構12により揺動シャッター11が作動し、肥料Gがホッパー装置4からガイド部16へと放出され、ガイド部16の肥料出口側から飛散部7を経由せずに圃場に散布される。
【0024】
また、散布作業後にホッパー装置4内に残った肥料Gを取り出すときは、飛散部7を退避位置(図6(b)参照)に切り替えるとともに、ガイド部16の肥料出口側に肥料回収用容器(図示略)を配置する。そして、手動操作で揺動シャッター11を開くと、肥料Gがホッパー装置4からガイド部16へと放出され、前記肥料回収用容器に回収される。
【0025】
以上のように構成された本例の散布機1によれば、飛散部7を前記使用位置に切り替えれば肥料Gを飛散させながら散布することができ、前記退避位置に切り替えれば肥料Gを飛散させないで散布したり、ホッパー装置4内に残った肥料Gを簡単に取り出したりすることができる。また、従来例とは異なり、飛散部7の要・不要時にいちいち着脱する必要がないので、着脱の手間がかからない。また、このように着脱の必要がないので、従来例とは異なり、着脱のし易さに考慮した構成を採用しなくてもよく、回転羽根31の駆動力を車輪2の軸からチェーン伝動機構33を介して直接的に駆動力を取り出すように構成することができる。また、飛散部7の不要時に取り外す必要がないので、従来とは異なり、取り外した飛散部7の管理に手間がかからない。
【0026】
また、ハンドル10aに飛散部7の操作レバー36が設けられているので、ハンドル10aの操作をしながら飛散部7の作用の開始・停止を操作することができる。
【0027】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)飛散部7を退避させる方向をガイド部16の下方ではなく、例えば、ガイド部16の前方、後方、又は上方に退避させることもできる。
(2)回転羽根31の形状や構造等を適宜変更すること。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明を具体化した一実施形態に係る散布機の正面図である。
【図2】同散布機の側面図である。
【図3】同散布機のガイド装置を示す平面図である。
【図4】同ガイド装置の回動位置調節機構のリンク部の構成を示す背面図であり、(a)は同ガイド装置を上方に回動させた状態、(b)は下方に回動させた状態をそれぞれ示している。
【図5】同ガイド装置の回動位置調節機構の操作部の構成を示す背面図であり、(a)は同ガイド装置を上方に回動させた状態、(b)は下方に回動させた状態をそれぞれ示している。
【図6】同散布機のガイド部に対する飛散部の位置切り替え状態を示す図であり、(a)は使用位置にある状態、(b)は退避位置にある状態をそれぞれ示している。
【図7】従来の散布機を示す背面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 散布機
2 車輪
3 機体
4 ホッパー装置
5 ホッパー本体
6 ガイド装置
7 飛散部
10 フレーム
10a ハンドル
16 ガイド部
17 回動位置調節機構
17a リンク部
17b 操作部
30 ケース体
30a 受入口
30b 吐出口
31 回転羽根
32 羽根駆動機構
33 チェーン伝動機構
34 ギヤボックス
34a 入力軸
34b 出力軸
35 フレキシブルワイヤ
36 操作レバー
G 肥料
【出願人】 【識別番号】000100469
【氏名又は名称】みのる産業株式会社
【出願日】 平成19年6月11日(2007.6.11)
【代理人】 【識別番号】100108958
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 英一


【公開番号】 特開2008−301795(P2008−301795A)
【公開日】 平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願番号】 特願2007−154597(P2007−154597)