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【発明の名称】 種籾消毒設備
【発明者】 【氏名】牟田 博一

【氏名】矢野 省三

【氏名】後藤 四郎

【要約】 【課題】収容容器の移動作業が良好に行なえる種籾消毒設備にする。

【解決手段】種籾を収容した収容容器Mを浸漬する水槽1を前後方向に四つ以上一列に配置し、該水槽1の上方には収容容器Mを吊るクレーンが水槽1に沿って前後方向に移動するレールを設け、該レールは建屋の天井側に取付け、前端の水槽から後端の水槽1aまで至るその左右両側の隣接位置に架台式の作業通路2をそれぞれ設け、前記複数の水槽1のうち、後端の水槽1a内には該水槽1a内に温水を供給する温水供給管13と、該水槽1a内の温水を回収する温水回収管12とを設け、該温水供給管13と温水回収管12はそれぞれ前記熱交換器を介して連通して循環水路とする構成とし、前記熱交換器は後端の水槽1aより後側でかつ前記レールの軌跡の外側に設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
種籾を収容した収容容器(M)を浸漬する水槽(1)を前後方向に四つ以上一列に配置し、該水槽(1)の上方には収容容器(M)を吊るクレーン(3)が水槽(1)に沿って前後方向に移動するレール(4)を設け、該レール(4)は建屋(T)の天井(5)側に取付け、前端の水槽(1d)から後端の水槽(1a)まで至るその左右両側の隣接位置に架台式の作業通路(2)をそれぞれ設け、前記複数の水槽(1)のうち、後端の水槽(1a)内には該水槽(1a)内に温水を供給する温水供給管(13)と、該水槽(1a)内の温水を回収する温水回収管(12)とを設け、該温水供給管(13)と温水回収管(12)はそれぞれ前記熱交換器(11)を介して連通して循環水路とする構成とし、前記後端の水槽(1a)内の温水の温度を制御する構成とし、前記熱交換器(11)は後端の水槽(1a)より後側でかつ前記レール(4)の軌跡の外側に設けたことを特徴とする種籾消毒設備 。
【請求項2】
温水供給管(13)と温水回収管(12)は作業通路(2)の下側を通過し、水槽(1)の外側壁(t)に沿って下部から上部に亘って設け、水槽の上縁(s)から折り返して水槽の内側壁(r)に沿って上部から下部に亘って設けたことを特徴とする請求項1記載の種籾消毒設備。
【請求項3】
後端の水槽(1a)を温水で種籾を消毒する温水槽(1a)とし、該温水槽(1a)の前側に隣接する水槽を温水槽(1a)で種籾を消毒する前に種籾を水洗する予洗槽(1b)とし、該予洗槽(1b)の前側に隣接する水槽を温水槽(1a)で種籾を消毒した後に冷水で種籾を冷却する冷水槽(1c)とし、該冷水槽(1c)の前側に隣接する水槽を冷却後の種籾を浸漬する浸漬槽(1d)としたことを特徴とする請求項1記載の種籾消毒設備。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、種籾を温水に浸漬して消毒する設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
種籾の温水消毒装置において、特許文献1には温水槽と冷水槽を隣接して設け、冷水槽と温水槽の上方に種籾を収容した収容容器を吊るホイストが移動する横桁を設け、給湯器が温水槽の側方に設ける構成が記載されている。
【特許文献1】特開2006−230270
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常種籾消毒は温水槽で約10分程度浸漬した直後、冷水槽で約5分程度浸漬し、次いで、冷水槽で冷却後数日間浸漬槽で浸漬される。そして、作業者は収容容器を温水槽から冷水槽及び浸漬槽に移動するのにホイストで昇降作業をするが、収容容器を温水槽内及び冷水槽内に下降して載置するには作業者が水槽の側方にあって吊り状態で揺れる収容容器を手で保持しながら所望の姿勢に操作できるのが望ましい。しかしながら特許文献1においては給湯器やホイストを支持する支柱が温水槽及び冷水槽の一側方に配置されているため収容容器の移動作業スペースが片方のみしかなく不便である。
【0004】
本発明は、収容容器の移動作業が良好に行なえる種籾消毒設備にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、種籾を収容した収容容器(M)を浸漬する水槽(1)を前後方向に四つ以上一列に配置し、該水槽(1)の上方には収容容器(M)を吊るクレーン(3)が水槽(1)に沿って前後方向に移動するレール(4)を設け、該レールは建屋(T)の天井(5)側に取付け、前端の水槽(1d)から後端の水槽(1a)まで至るその左右両側の隣接位置に架台式の作業通路(2)をそれぞれ設け、前記複数の水槽(1)のうち、後端の水槽(1a)内には該水槽(1a)内に温水を供給する温水供給管(13)と、該水槽(1a)内の温水を回収する温水回収管(12)とを設け、該温水供給管(13)と温水回収管(12)はそれぞれ前記熱交換器(11)を介して連通して循環水路とする構成とし、前記後端の水槽(1a)内の温水の温度を制御する構成とし、前記熱交換器(11)は後端の水槽(1a)より後側でかつ前記レール(4)の軌跡の外側に設けたことを特徴とする種籾消毒設備とする。
【0006】
請求項2の発明は、温水供給管(13)と温水回収管(12)は作業通路(2)の下側を通過し、水槽(1)の外側壁(t)に沿って下部から上部に亘って設け、水槽(1)の上縁(s)から折り返して水槽の内側壁(r)に沿って上部から下部に亘って設けたことを特徴とする請求項1記載の種籾消毒設備とする。
【0007】
請求項3の発明は、後端の水槽(1a)を温水で種籾を消毒する温水槽(1a)とし、該温水槽(1a)の前側に隣接する水槽を温水槽(1a)で種籾を消毒する前に種籾を水洗する予洗槽(1b)とし、該予洗槽(1b)の前側に隣接する水槽を温水槽(1a)で種籾を消毒した後に冷水で種籾を冷却する冷水槽(1c)とし、該冷水槽(1c)の前側に隣接する水槽を冷却後の種籾を浸漬する浸漬槽(1d)としたことを特徴とする請求項1記載の種籾消毒設備とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明は、作業通路(2)を後端の水槽(1d)から前端の水槽(1d)に至るまでその左右両側に設けるため、収容容器(M)をクレーン(3)で水槽(1)間を移動させるときに作業者は何れか一方の作業通路(2)に立ってクレーン(3)の操作を行い、場合によっては補助作業者が他方の作業通路(2)に立って移動補助作業を行なうことができるため収容容器(M)の昇降及び移動作業を行ない易くすることができる。また、作業通路(2)を架台式にすることで、高い位置から水槽(1)内部を目視することができ、収容容器(M)の移動作業をさらに行ない易くすることができる。また、前記熱交換器(11)を後端の水槽(1d)より後側でかつレール(4)の軌跡の外側位置に設け、循環水路を後端の水槽(1d)に設けたことで、循環水路の長さを短くすることができ、熱交換器(11)がクレーン(3)による収容容器(M)の移動作業の邪魔にならない。そして、作業通路(2)を水槽(1)の左右両側に設けやすくすることができる。
【0009】
請求項2の発明は、温水供給管(13)と温水回収管(12)は作業通路(2)の下側を通過し、水槽(1)の外側壁(t)に沿って下部から上部に亘って設け、水槽(1)の上縁(s)から折り返して水槽(1)の内側壁(r)に沿って上部から下部に亘って設けたことで、作業通路(2)上の作業者が作業中に温水供給管(13)や温水回収管(12)が邪魔になるのを防止することができる。また、温水供給管(13)や温水回収管(12)を設けるのに水槽(1)に特別な加工を施さなくても良いので、既にある水槽(1)に後付けで熱交換器(11)や循環水路を設けることができる。
【0010】
請求項3の発明によると、後端の水槽(1a)を温水で種籾を消毒する温水槽(1a)とし、該温水槽(1a)の前側に隣接する水槽を温水槽(1a)で種籾を消毒する前に種籾を水洗する予洗槽(1b)とし、該予洗槽(1b)の前側に隣接する水槽を温水槽(1a)で種籾を消毒した後に冷水で種籾を冷却する冷水槽(1c)とし、該冷水槽(1c)の前側に隣接する水槽を冷却後の種籾を浸漬する浸漬槽(1d)としたことで、温水槽(1a)と熱交換器(11)の距離を近くすることができ、かつ、温水槽(1a)で消毒した後、収容容器(M)を冷水槽(1c)に移動する途中で予洗槽(1b)の上方を通過するため、収容容器(M)から漏れる温水が予洗槽(1b)に落ちるため、冷水槽(1c)に浸漬するときに温水が混じる量を減らすことができ、冷水槽(1c)の温度の上昇を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面に示す実施形態に基づき種籾消毒設備について説明する。
図1は育苗施設で建屋T内に床土置場A、苗箱置場B、種籾置場C、種籾消毒設備D、播種装置E、発芽室F、乾燥装置G等を備えている。
【0012】
種籾消毒設備Dは多数の水槽1を前後方向に一列に設け、後述する後端の温水槽1aから予洗槽1b、冷水槽1c、前端の浸漬槽1dにわたる左右両側の隣接位置にそれぞれ架台式の作業通路2を設けている。そして、作業通路2はその前端と後端にそれぞれ階段2aを設け、設定高さ位置に形成している。水槽1の上方にはクレーン3が移動するレール4を設け、レール4は建屋Tの天井5側に取り付けている。レール4は水槽1の上方と一方の作業通路2の側方の作業スペースKの上方とを長円形状に構成し、該作業スペースKを隣接する種籾置場Cにおいてある種籾を網袋Pに入れて網状の収容容器Mに網袋Pを収容し、収容容器Mをクレーン5に吊るためのスペースとしている。
【0013】
10はボイラ、そして11は熱交換器で一番後ろの水槽1aより後側位置で、かつレール4の軌跡の外側位置に設けている。
後端の水槽1aは種籾を消毒するための温水を供給する温水槽とし、温水槽1a内には温水を回収する温水回収管12と、水槽1a内に温水を供給する温水供給管13とを設け、温水回収管12と温水供給管13とは熱交換器11を介して連通して循環水路とし、温水槽1a内の温水を回収して熱交換器11で温度を調節して再度温水槽1aに温水を供給する構成としている。
【0014】
温水槽1aの前側に隣接する水槽を温水槽1aによる籾の消毒前に籾の洗浄を行なう予洗槽1bとし、予洗槽1bの前側に隣接する水槽を温水槽1aで消毒した籾を冷却する冷水槽1cとし、冷水槽1cより前側に設ける複数の水槽を冷却後の籾を数日間水で浸漬する浸漬槽1dとしている。
【0015】
次に温水槽1aにおける循環水路の詳細について説明する。
温水回収管12は温水槽1aの内壁部rに沿って上下方向に設け、その下端部に設ける温水回収口12aを温水槽1aの底部近傍に対向して設けている。温水回収管12は温水槽1aの内壁部rから上端の縁部sを折り返し温水槽1aの外壁部tに沿って上下方向に設け、作業通路2の下側を通過して熱交換器11に連通する構成である。
【0016】
温水供給管13は温水回収管12と同様熱交換器11から作業通路2の下側を通過し、温水槽1aの外壁部tに沿ってから上端の縁部sを折り返して内壁部rの底部近傍に到達する。そして内壁部rの底部近傍で、多数の供給管13aに分岐し、各供給管13aにはそれぞれ多数の温水供給口13bを上向きに形成している
温水回収管12の途中には迂回水路14の一端を接続しており、その他端は温水供給管13の途中にある三方混合弁15に接続している。また、16は循環水路の温水を循環させる循環ポンプであり、他に符号は特に付さないが循環水路や迂回水路14の水量を調節する調節バルブを適宜設けている。
【0017】
なお、32はオーバーフロー管、33は排水管であり、温水供給管13及び温水回収管12と同様作業通路2の下方を通過する構成としている。
温水槽1a内の温水の温度制御について説明する。
【0018】
温水回収口12aから回収された温水は温水回収管12を通過し、熱交換器11に到達する。そして、ボイラ10からの熱を供給される熱交換器11で約80〜90℃の温度に上昇制御され、温水供給管13に供給される。一方、温水回収管12を通過する温水の一部は迂回水路14を通過して三方切換弁15で温水供給管13に合流する。そして、温水槽1aへの温水が60℃になるよう迂回水路14を通過する温水量等がコントローラ50で制御される。
【0019】
次に乾燥装置Gの構成について説明する。
乾燥装置Gは箱型の機体20内に通気孔(図示せず)を多数形成した網袋載置台21を設け、網袋Pを平積みする構成である。そして機体20外に設ける通風ファン22で機体20内に乾燥風を設定時間供給して網袋P内の種籾の水分を低減させる。
【0020】
通風ファン22と機体20とは循環風路23で機体20の上部および下部とそれぞれ連通しする構成とし、通風ファン22は正逆転可能とすることで、設定時間毎に網袋載置台21の上方又は下方から乾燥風を供給することで、網袋Pの上下から乾燥風を順次供給することができ、網袋P内の種籾を均等に乾燥させることができる。
【0021】
次に、種籾消毒工程について説明する。
種籾を網袋Pに入れ、作業スペースKで網袋Pを網状の収容容器Mに収容し、収容容器Mに吊り具17を取り付け、吊り具17にクレーン3を装着し、クレーン3を作業者Vが一方の作業通路2に立って操作装置jで移動及び昇降操作して、レール4の軌跡に沿って移動して収容容器Mを所定の水槽1に工程順に下降して浸漬し、浸漬終了すると上昇させて次の水槽1へ移動する。その際補助作業者Wが他方の作業通路2に立って収容容器Mの昇降時に収容容器Mを支持して水槽内へ挿入する。
【0022】
最初は種籾を洗浄する予洗槽1bに収容容器Mをクレーン5で移動し予洗槽1b内に下降して洗浄水に浸漬する。次に予洗槽1b内から吊り上げた収容容器Mは後側に移動して温水槽1aで温水に設定時間(約10分)浸漬され消毒される。
【0023】
温水槽1a内では収容容器Mは底面から設定高さに設ける収容容器受け部30に載置し、温水供給口13bから噴出する温水に晒され消毒効果を促進させる。
次に温水槽1aから引き上げられた収容容器Mは前側に向かってレール4に沿って移動し、予洗槽1bの上方を通過して次の冷水槽1cに下降して冷水で設定時間(約5分)冷却される。そして、冷却後冷水槽1cから引き上げられた収容容器Mは作業スペースKに搬送され、浸漬容器Hに網袋Pを移し変え、浸漬容器Hを前側のいずれかの浸漬槽1dに移動し、数日間浸漬される。
【0024】
浸漬槽1dで浸漬された浸漬容器H内の種籾は乾燥装置Gで乾燥処理され、その後、播種機Eで苗箱に播種され、発芽室Fに保管される。
本実施の形態では作業のし易い育苗施設にすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】育苗施設の平面図
【図2】種籾消毒設備の平面図
【図3】温水槽の温水循環水路を示す斜視図
【図4】温水槽の温水循環水路を示す側面図
【図5】温水槽の温水循環水路を示す平面図
【図6】温水槽の内部を説明する側面図
【図7】温水槽の温水循環水路を示す回路図
【図8】乾燥装置の斜視図
【図9】乾燥装置の内部を示す側面図
【図10】種籾消毒の工程を示す工程図
【符号の説明】
【0026】
1 水槽
1a 温水槽
1b 予洗槽
1c 冷水槽
1d 浸漬槽
2 作業通路
3 クレーン
4 レール
5 建屋の天井
10 ボイラ
11 熱交換器
12 温水回収管
13 温水供給管
r 温水槽の内壁部
s 温水槽の上縁部
t 温水槽の外壁部
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成19年4月27日(2007.4.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−271842(P2008−271842A)
【公開日】 平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願番号】 特願2007−118784(P2007−118784)