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【発明の名称】 播種機
【発明者】 【氏名】黒子 仁

【要約】 【課題】複数の育苗ポットを備える育苗器に播種する従来の播種機は、育苗器どうしの間の間隔を空ける必要があるため、その分育苗器への播種作業の作業能率が低下したり、播種装置からの種子が育苗器に播種されずに前記間隔を通って落下したりする課題がある。

【解決手段】育苗器(2)の搬送用の孔を引っ掛けて育苗器(2)を搬送する突部(17a,18a)を備える搬送具(17,18)を設け、前記突部(17a,18a)が搬送用の孔を引っ掛ける位置を播種装置(7)の播種位置の搬送上手側及び搬送下手側に各々設け、この搬送上手側の前記引っ掛ける位置と搬送下手側の前記引っ掛ける位置とを育苗器(2)の搬送方向の長さ以上の間隔を空けて設定し、播種位置と搬送上手側の前記引っ掛ける位置との間及び播種位置と搬送下手側の前記引っ掛ける位置との間の距離を育苗器(2)の搬送方向の長さより短く設定した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の育苗ポット(5)及び搬送用の孔(13)を備える育苗器(2)に播種する播種機であって、前記育苗器(2)を一方向に搬送する搬送経路(3)を備え、該搬送経路(3)に沿って該搬送経路(3)の上手側から順に育苗ポット(5)に床土を詰める床土詰装置(6)と育苗ポット(5)に播種する播種装置(7)と育苗ポット(5)に覆土する覆土装置(8)とを設け、育苗器(2)の搬送用の孔(13)を引っ掛けて育苗器(2)を搬送する突部(17a,18a)を備える搬送具(17,18)を搬送経路(3)上に設け、該搬送具(17,18)の突部(17a,18a)が搬送用の孔(13)を引っ掛ける位置を播種装置(7)の播種位置の搬送上手側及び搬送下手側に各々設け、この搬送上手側の前記引っ掛ける位置と搬送下手側の前記引っ掛ける位置とを育苗器(2)の搬送方向の長さ以上の間隔を空けて設定し、播種位置と搬送上手側の前記引っ掛ける位置との間及び播種位置と搬送下手側の前記引っ掛ける位置との間の距離を育苗器(2)の搬送方向の長さより短く設定した播種機。
【請求項2】
搬送上手側の搬送具(17)の搬送位置と搬送下手側の搬送具(18)の搬送位置との間の搬送経路(3)上で且つ床土詰装置(6)と播種装置(7)との間に育苗ポット(5)に薬剤を供給する薬剤供給装置(94)を設け、薬剤供給装置(94)の薬剤供給位置と搬送上手側の前記引っ掛ける位置との間及び薬剤供給装置(94)の薬剤供給位置と搬送下手側の前記引っ掛ける位置との間の距離を育苗器(2)の搬送方向の長さより短く設定した請求項1に記載の播種機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、播種機に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の育苗ポットを備える育苗器に播種する播種機であって、前記育苗器を一方向に搬送する搬送経路を備え、該搬送経路に沿って該搬送経路の上手側から順に育苗ポットに床土を詰める床土詰装置と育苗ポットに播種する播種装置と育苗ポットに覆土する覆土装置とを設け、育苗器を搬送する搬送具を搬送経路上に設け、該搬送具として、播種装置が種子を供給する搬送経路上の播種位置で搬送する播種搬送コンベアと、床土詰装置が床土を供給する搬送経路上の床土詰位置で搬送する床土詰搬送コンベアと、覆土装置が覆土を供給する搬送経路上の覆土位置で搬送する覆土搬送コンベアとを設け、該搬送具を複数設けた播種機がある。この播種機は、各育苗ポットに確実に播種するため、播種搬送コンベアを間欠的に駆動し、播種位置にある育苗器を間欠的に搬送するようになっている。一方、床土詰搬送コンベア及び覆土搬送コンベアは、床土詰あるいは覆土の作業能率を向上させるべく連続的に駆動し、床土詰位置及び覆土位置にある育苗器を連続的に搬送するようになっている。従って、播種搬送コンベアで間欠的に育苗器を搬送しているとき、次の育苗器が播種中の育苗器に当たって押すことで播種中の育苗器の位置が不適正になるようなことがないように、次の育苗器が床土詰搬送コンベア上で待機する等して播種中の育苗器と次の育苗器との間に間隔を空ける必要があった(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−327206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記背景技術の播種機によると、育苗器どうしの間の間隔を空ける必要があるため、その分育苗器への播種作業の作業能率が低下したり、播種装置からの種子が育苗器に播種されずに前記間隔を通って落下したりする課題がある。ひいては、前記間隔を通って落下する種子を回収するための種子受け器を設ける必要があった。
【0004】
また、次の育苗器が播種中の育苗器に当たって押しても播種中の育苗器の位置がずれないように、育苗器の搬送用の孔に引っ掛かって作動する搬送具により播種中の育苗器を搬送することが考えられる。この搬送具を搬送経路に沿って複数設けた場合、各々の搬送具の搬送作動のタイミングや搬送速度は厳密に同一にすることが困難であるので、複数の搬送具が同一の育苗器に作用すると、搬送具からの外力により育苗器が変形したり破損したりするおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決するべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、複数の育苗ポット(5)及び搬送用の孔(13)を備える育苗器(2)に播種する播種機であって、前記育苗器(2)を一方向に搬送する搬送経路(3)を備え、該搬送経路(3)に沿って該搬送経路(3)の上手側から順に育苗ポット(5)に床土を詰める床土詰装置(6)と育苗ポット(5)に播種する播種装置(7)と育苗ポット(5)に覆土する覆土装置(8)とを設け、育苗器(2)の搬送用の孔(13)を引っ掛けて育苗器(2)を搬送する突部(17a,18a)を備える搬送具(17,18)を搬送経路(3)上に設け、該搬送具(17,18)の突部(17a,18a)が搬送用の孔(13)を引っ掛ける位置を播種装置(7)の播種位置の搬送上手側及び搬送下手側に各々設け、この搬送上手側の前記引っ掛ける位置と搬送下手側の前記引っ掛ける位置とを育苗器(2)の搬送方向の長さ以上の間隔を空けて設定し、播種位置と搬送上手側の前記引っ掛ける位置との間及び播種位置と搬送下手側の前記引っ掛ける位置との間の距離を育苗器(2)の搬送方向の長さより短く設定した播種機とした。
【0006】
従って、請求項1に記載の播種機によると、搬送経路(3)に沿って育苗器(2)を搬送させることにより、育苗器(2)の育苗ポット(5)に床土を詰め、播種し、覆土する。そして、播種位置の搬送上手側及び搬送下手側で育苗器(2)の搬送用の孔(13)を引っ掛けて育苗器(2)を搬送する搬送具(17,18)の突部(17a,18a)を設け、播種位置と搬送上手側の前記引っ掛ける位置との間及び播種位置と搬送下手側の前記引っ掛ける位置との間の距離を育苗器(2)の搬送方向の長さより短く設定したので、播種位置にある播種中の育苗器(2)は搬送上手側の搬送具(17)の突部(17a)及び搬送下手側の搬送具(18)の突部(18a)の少なくとも何れか一方が作用し、播種中の育苗器(2)の位置がずれないように該育苗器(2)をしっかりと保持する。また、搬送上手側の前記引っ掛ける位置と搬送下手側の前記引っ掛ける位置とを育苗器(2)の搬送方向の長さ以上の間隔を空けて設定したので、両搬送具(17,18)の突部(17a,18a)が同一の育苗器(2)に作用して育苗器(2)が変形したり破損したりすることがなく、育苗器(2)どうしの間の間隔を詰めて育苗器(2)を播種位置へ順次搬送することができる。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、搬送上手側の搬送具(17)の搬送位置と搬送下手側の搬送具(18)の搬送位置との間の搬送経路(3)上で且つ床土詰装置(6)と播種装置(7)との間に育苗ポット(5)に薬剤を供給する薬剤供給装置(94)を設け、薬剤供給装置(94)の薬剤供給位置と搬送上手側の前記引っ掛ける位置との間及び薬剤供給装置(94)の薬剤供給位置と搬送下手側の前記引っ掛ける位置との間の距離を育苗器(2)の搬送方向の長さより短く設定した請求項1に記載の播種機とした。
【0008】
従って、請求項2に記載の播種機によると、請求項1に記載の播種機の作用に加えて、薬剤供給装置(94)により播種する前に育苗ポット(5)に薬剤を供給するので、供給された薬剤は播種された育苗ポット(5)内で種子の下側に位置する。また、薬剤供給装置(94)の薬剤供給位置と搬送上手側の前記引っ掛ける位置との間及び薬剤供給装置(94)の薬剤供給位置と搬送下手側の前記引っ掛ける位置との間の距離を育苗器(2)の搬送方向の長さより短く設定したので、薬剤供給位置にある薬剤供給中の育苗器(2)は搬送上手側の搬送具(17)の突部(17a)及び搬送下手側の搬送具(18)の突部(18a)の少なくとも何れか一方が作用し、薬剤供給中の育苗器(2)の位置がずれないように該育苗器(2)をしっかりと保持する。しかも、搬送上手側の前記引っ掛ける位置と搬送下手側の前記引っ掛ける位置とを育苗器(2)の搬送方向の長さ以上の間隔を空けて設定したので、育苗器(2)どうしの間の間隔を詰めて育苗器(2)を薬剤供給位置へ順次搬送することができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によると、次の育苗器(2)が播種中の育苗器(2)に当たって押しても播種中の育苗器(2)の位置がずれないようにでき、育苗ポット(5)に適正に播種できる。また、育苗器(2)どうしの間の間隔を詰めて育苗器(2)を播種位置へ順次搬送することができ、播種作業の作業能率の向上が図れると共に、播種装置(7)からの種子が育苗器(2)に播種されずに前記間隔を通って落下するようなことを防止でき、無駄な種子の発生を抑えることができる。ひいては、前記間隔を通って落下する種子を回収するための種子受け器が不要になり、コストダウンが図れる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明によると、請求項1に記載の発明の効果に加えて、供給された薬剤は播種された育苗ポット(5)内で種子の下側に位置するので、育苗において灌水等により溶け出して作用する薬効が種子に直接作用しにくくなり、薬効による発芽不良や成育不良を抑えることができる。更に、次の育苗器(2)が播種中の育苗器(2)に当たって押しても薬剤供給中の育苗器(2)の位置がずれないようにでき、育苗ポット(5)に適正に薬剤を供給できる。しかも、育苗器(2)どうしの間の間隔を詰めて育苗器(2)を薬剤供給位置へ順次搬送することができ、薬剤供給装置(94)からの薬剤が育苗器(2)に供給されずに前記間隔を通って落下するようなことを防止でき、無駄な薬剤の発生を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。
図1及び図2に示すように、播種機(1)は、前後左右計4本の脚部(9,10)で支持され育苗器(2)を一方向に搬送する搬送経路(3)を備え、該搬送経路(3)上に支持され該搬送経路(3)に沿って該搬送経路(3)の上手側から順に、上下に複数枚に積み重ねられた育苗器(2)を下側から順に繰り出して搬送経路(3)上に供給する育苗器供給装置(4)と、育苗器(2)の育苗ポット(5)に床土を詰める床土詰装置(6)と、育苗ポット(5)に播種する播種装置(7)と、育苗ポット(5)に覆土する覆土装置(8)とを設けている。尚、左右の後側の脚部(10)には上下に回動するアーム(11)を介して該脚部(10)の下端より下方に突出させることができる車輪(12)を各々取り付けており、該車輪(12)を下方に突出させ播種機(1)を持ち上げて前側の脚部(9)を地面から浮かせることにより、播種機(1)を容易に移動させることができる。
【0012】
ところで、育苗器(2)は、縦横に配列された複数の育苗ポット(5)と、長手方向に沿って左右端縁部に配列された複数の搬送用の孔(角孔)(13)とを備えている。搬送用の孔(13)は、育苗器(2)の長手方向の育苗ポット(5)の配列ピッチと同じピッチで配列されている。各々の育苗ポット(5)は、上端部で互いに連結されており、上部に開口部を有し、下部に排水孔となる三叉状の底孔(14)を設けている。この底孔(14)を使用して、押出ピン等を下方から育苗ポット(5)内に突入させて該育苗ポット(5)内の苗を取り出すこともできる。
【0013】
搬送経路(3)は、左右の搬送ガイド(15)で構成され、この左右の搬送ガイド(15)の間で長手方向を前後に向けた育苗器(2)を搬送する構成となっている。搬送経路(3)には、ベルト式の育苗器搬送コンベア(16)と、育苗器(2)の搬送用の孔(13)に引っ掛かって作動して該育苗器(2)を搬送する搬送具となる育苗器搬送スプロケット(17,18)とを設けている。前記育苗器搬送コンベア(16)は、育苗器供給装置(4)が育苗器(2)を供給する搬送経路(3)上の育苗器供給位置から床土詰装置(6)に備える均平ブラシ(19)の位置にわたって設けられている。育苗器搬送スプロケット(17,18)は、育苗器(2)の左右端縁部の搬送用の孔(13)に噛み合うように左右に一対設けられている。従って、育苗器搬送スプロケット(17,18)の歯(17a,18a)は、前記搬送用の孔(13)に入って引っ掛けて、育苗器(2)を搬送する突部(17a,18a)となる。尚、左右一対の育苗器搬送スプロケット(17,18)は、両スプロケット(17,18)間に設けた連結軸により一体回転する。この左右一対の育苗器搬送スプロケット(17,18)は、前記均平ブラシ(19)の直ぐ後側の搬送上手側の位置と、播種装置(7)が種子を供給する搬送経路(3)上の播種位置の直ぐ後側の搬送下手側の位置とに設けられている。搬送上手側の育苗器搬送スプロケット(17)の育苗器(2)に作用する部分と搬送下手側の育苗器搬送スプロケット(18)の育苗器(2)に作用する部分との間の間隔は、育苗器(2)1枚分の長手方向の長さと略同一で、搬送上手側と搬送下手側との育苗器搬送スプロケット(17,18)が同一の育苗器(2)に作用しないように空けられている。また、播種位置と搬送上手側の育苗器搬送スプロケット(17)との間及び播種位置と搬送下手側の育苗器搬送スプロケット(18)との間の距離を、育苗器(2)の長手方向の長さより短く設定している。尚、播種位置と搬送上手側の育苗器搬送スプロケット(17)との間の距離を、播種位置と搬送下手側の育苗器搬送スプロケット(18)との間の距離より長くなるように設定している。
【0014】
育苗器搬送コンベア(16)及び育苗器搬送スプロケット(17,18)への伝動構成について説明すると、一定の速度で連続的に駆動する搬送用モータ(20)の動力が育苗器搬送コンベア(16)の駆動ローラ(21)に伝達され、育苗器搬送コンベア(16)が駆動する。また、搬送用モータ(20)の動力が駆動スプロケット(22)、チェーン(23)、従動スプロケット(24)及び一方向クラッチを介して第一の搬送カウンタ軸(25)に伝達され、該第一の搬送カウンタ軸(25)からギヤ(26,27)により搬送上手側の育苗器搬送スプロケット(17)に伝動される。そして、第一の搬送カウンタ軸(25)から別のスプロケット(28,29)及びチェーン(30)を介して第二の搬送カウンタ軸(31)へ伝動され、該第二の搬送カウンタ軸(31)からギヤ(32,33)により搬送下手側の育苗器搬送スプロケット(18)に伝動される。尚、前記一方向クラッチは、育苗器搬送スプロケット(17,18)が育苗器(2)を搬送する方向の回転のみ伝動する。尚、育苗器搬送コンベア(16)は、育苗器搬送スプロケット(17,18)と同期して駆動するが、搬送速度が育苗器搬送スプロケット(17,18)より若干速くなるように伝動比が設定されている。尚、搬送上手側と搬送下手側との育苗器搬送スプロケット(17,18)の搬送速度は、同一に設定されている。従って、育苗器搬送スプロケット(17,18)で搬送される先行の育苗器(2)に育苗器搬送コンベア(16)で搬送される後続の育苗器(2)が当たって押されることになるが、先行の育苗器(2)は育苗器搬送スプロケット(17,18)でしっかりと保持されているので位置ずれせず、後続の育苗器(2)が育苗器搬送コンベア(16)上で滑りながら搬送される。
【0015】
育苗器供給装置(4)は、上下に複数枚に積み重ねられた育苗器群を下側から受ける下受板(34)と、前記育苗器群の下から2枚目の育苗器(2)を下側から受ける上受板(35)と、育苗器群の最下位の育苗器(2)を強制的に下方へ落とす落とし板(36)とを備え、人手等により上受板(35)上に供給された育苗器群を先ず下受板(34)上に引き継ぎ、上受板(35)で育苗器群の下から2枚目の育苗器(2)から上側の育苗器(2)を支持した状態で下受板(34)による育苗器群の最下位の育苗器(2)の支持を解除し、その状態で落とし板(36)が最下位の育苗器(2)を上側から下方に押して育苗器群から分離して落下させて繰り出して育苗器搬送コンベア(16)上に供給し、以下この作動工程を繰り返すことにより育苗器群の下側の育苗器(2)から順に育苗器搬送コンベア(16)上に供給する構成となっている。尚、下受板(34)、上受板(35)及び落とし板(36)は、育苗器群に作用する各々の部分が前後方向で重複しないように各々育苗器群の前後左右4箇所に設けられ、育苗器群の左右外側から作用し、育苗器搬送コンベア(16)の作動に連動し、育苗器搬送コンベア(16)上において先に供給した育苗器(2)と次に供給する育苗器(2)との間に隙間が生じないように作動する。その伝動構成について説明すると、育苗器搬送コンベア(16)の搬送上手側のローラ(37)と一体回転する駆動スプロケット(38)からチェーン(39)及び従動スプロケット(40)を介して第一のカウンタ軸(41)へ伝動し、該第一のカウンタ軸(41)と一体回転する駆動スプロケット(42)からチェーン(43)、従動スプロケット(44)及び一方向クラッチを介して第二のカウンタ軸(45)へ伝動し、該第二のカウンタ軸(45)の左右両端部に設けた駆動ベベルギヤ(46)から従動ベベルギヤ(47)を介して左右各々の落とし用軸(48)を互いに反対側に駆動回転させる。この落とし用軸(48)と落とし板(36)とが一体回転し、落とし板(36)が左右内側で下側に移行する方向に回転する。また、落とし用軸(48)の他端部からアーム(49,51)及びリンク(50)等を介して落とし用軸(48)の上方に位置する各々の受板用軸(52)を所定角度範囲内で揺動させ、該受板用軸(52)と一体回転する下受板(34)及び上受板(35)を揺動させ、下受板(34)と上受板(35)とを育苗器群に交互に作用させて、育苗器群を順次下降させる。また、第二のカウンタ軸(45)を手動で回転させるための手動供給操作具となる手動供給レバー(53)を設けており、該手動供給レバー(53)により作業者が任意に育苗器搬送コンベア(16)上に育苗器(2)を落下させて供給することができる。
【0016】
床土詰装置(6)は、床土となる培土を貯留する床土タンク(54)と、該床土タンク(54)内の床土を所定量ずつ繰り出して育苗器(2)へ落下させて供給する床土繰出具となる床土繰出ベルト(55)と、育苗器(2)上で溢れる床土を均す均平具となる均平ブラシ(19)と、育苗器(2)の各育苗ポット(5)内に突入して床土を鎮圧する突起(57a)を複数外周に備える床土鎮圧具となる床土鎮圧ローラ(57)と、床土繰出ベルト(55)上の隙間を調節して床土の繰出量を変更調節する床土量調節具となる床土量調節レバー(58)とを備え、床土繰出ベルト(55)が床土を供給する搬送経路(3)上の床土詰位置の搬送下手側に均平ブラシ(19)が位置し、均平ブラシ(19)の搬送下手側に床土鎮圧ローラ(57)が位置する。床土詰装置(6)の伝動構成について説明すると、第一の搬送カウンタ軸(25)からスプロケット(59,60)及びチェーン(61)を介して均平ブラシ(19)へ伝動され、育苗器(2)の搬送により該育苗器(2)の搬送方向に向かって左側の端縁部の搬送用の孔(13)に噛み合って回転する搬送連動スプロケット(62)から別のスプロケット(63,64)及びチェーン(65)を介して床土繰出ベルト(55)へ伝動される。尚、均平ブラシ(19)と床土繰出ベルト(55)とが互いに逆方向に回転するようになっている。また、床土鎮圧ローラ(57)は、搬送上手側の育苗器搬送スプロケット(17)と一体回転する。尚、均平ブラシ(19)から別のスプロケット(66)及びチェーン(67)を介して床土繰出ベルト(55)へ伝動する構成としてもよい。このとき、床土繰出ベルト(55)へ伝動するチェーン(67)は側面視で交差するように巻き掛けられ、均平ブラシ(19)と床土繰出ベルト(55)とが互いに逆方向に回転させる構成とすればよい。
【0017】
播種装置(7)は、播種する種子(種籾)を貯留する種子タンク(68)と、該種子タンク(68)内の種子を間欠的に所定量ずつ繰り出して育苗器(2)へ落下させて供給する外周に所定のピッチで複数の繰出溝(69a)を備える種子繰出具となる種子繰出ローラ(69)と、該種子繰出ローラ(69)の外周面に接触して該ローラ(69)の繰出溝(69a)から溢れる種子を除去する除去ブラシ(70)と、育苗器(2)の各育苗ポット(5)内に突入して播種された種子を上方から押圧する突起(71a)を複数外周に備える種子押圧具となる種子押圧ローラ(71)と、種子繰出ローラ(69)に臨む種子タンク(68)の出口の隙間を調節して種子繰出ローラ(69)への種子の供給状態を変更調節する種子供給調節具となる種子供給調節ハンドル(72)とを備え、種子繰出ローラ(69)が種子を供給する搬送経路(3)上の播種位置の搬送下手側に種子押圧ローラ(71)が位置する。播種装置(7)の伝動構成について説明すると、第二の搬送カウンタ軸(31)からスプロケット(73〜78)及びチェーン(79〜81)を介して除去ブラシ(70)へ伝動され、育苗器(2)の搬送により該育苗器(2)の搬送方向に向かって右側の端縁部の搬送用の孔(13)に噛み合って回転する搬送連動スプロケット(82)と種子繰出ローラ(69)とが一体回転する。尚、除去ブラシ(70)と種子繰出ローラ(69)とが互いに逆方向に回転するべく、除去ブラシ(70)へ伝動するチェーン(80)を側面視で交差するように巻き掛けている。尚、種子繰出ローラ(69)の繰出溝(69a)の配列ピッチは、育苗器(2)の育苗ポット(5)の配列ピッチ及び搬送経路(3)上での育苗器(2)の搬送ピッチに合致している。また、種子押圧ローラ(71)は、搬送下手側の育苗器搬送スプロケット(18)と一体回転する。尚、種子押圧ローラ(71)の外周部において除去ブラシ(70)の位置と播種位置との間には、繰出溝(69a)から種子が脱落しないように該繰出溝を覆うガイド体(83)を設けている。
【0018】
覆土装置(8)は、覆土となる培土を貯留する床土タンク(84)と、該覆土タンク(84)内の覆土を所定量ずつ繰り出して育苗器(2)へ落下させて供給する覆土繰出具となる覆土繰出ベルト(85)と、育苗器(2)上で溢れる覆土を均す均平具となる均平板(86)と、覆土繰出ベルト(85)上の隙間を調節して覆土の繰出量を変更調節する覆土量調節具となる覆土量調節レバー(87)とを備え、覆土繰出ベルト(85)が覆土を供給する搬送経路(3)上の覆土位置の搬送下手側に均平板(86)が位置する。覆土装置(8)の伝動構成について説明すると、育苗器(2)の搬送により該育苗器(2)の搬送方向に向かって左側の端縁部の搬送用の孔(13)に噛み合って回転する搬送連動スプロケット(88)からスプロケット(89,90)及びチェーン(91)を介して覆土繰出ベルト(85)へ伝動される。
【0019】
後側の脚部(10)には、搬送上手側と搬送下手側の育苗器搬送スプロケット(17,18)を手動で回転させるための操作具となる手動搬送ハンドル(92)をフック(93)を介して保持している。この手動搬送ハンドル(92)をフック(93)から外し、第一の搬送カウンタ軸(25)に取り付け、手動搬送ハンドル(92)で第一の搬送カウンタ軸(25)を回転させることにより、搬送上手側と搬送下手側の育苗器搬送スプロケット(17,18)を育苗器(2)を搬送する方向に強制的に回転させることができる。これにより、播種装置(7)で播種をしている途中で故障で播種機(1)が停止したときや播種作業を終了するために播種機(1)を停止させたとき、手動で育苗器(2)を搬送して該育苗器(2)を播種機(1)から容易に取り出すことができる。
【0020】
以上により、この播種機は、複数の育苗ポット(5)及び搬送用の孔(13)を備える育苗器(2)に播種する播種機であって、前記育苗器(2)を一方向に搬送する搬送経路(3)を備え、該搬送経路(3)に沿って該搬送経路(3)の上手側から順に育苗ポット(5)に床土を詰める床土詰装置(6)と育苗ポット(5)に播種する播種装置(7)と育苗ポット(5)に覆土する覆土装置(8)とを設け、育苗器(2)の搬送用の孔(13)を引っ掛けて育苗器(2)を搬送する突部(17a,18a)を備える搬送具(17,18)を搬送経路(3)上に設け、該搬送具(17,18)の突部(17a,18a)が搬送用の孔(13)を引っ掛ける位置を播種装置(7)の播種位置の搬送上手側及び搬送下手側に各々設け、この搬送上手側の前記引っ掛ける位置と搬送下手側の前記引っ掛ける位置とを育苗器(2)の搬送方向の長さ以上の間隔を空けて設定し、播種位置と搬送上手側の前記引っ掛ける位置との間及び播種位置と搬送下手側の前記引っ掛ける位置との間の距離を育苗器(2)の搬送方向の長さより短く設定している。
【0021】
従って、搬送経路(3)に沿って育苗器(2)を搬送させることにより、育苗器(2)の育苗ポット(5)に床土を詰め、播種し、覆土する。そして、播種位置の搬送上手側及び搬送下手側で育苗器(2)の搬送用の孔(13)を引っ掛けて育苗器(2)を搬送する搬送具(17,18)の突部(17a,18a)を設け、播種位置と搬送上手側の前記引っ掛ける位置との間及び播種位置と搬送下手側の前記引っ掛ける位置との間の距離を育苗器(2)の搬送方向の長さより短く設定したので、播種位置にある播種中の育苗器(2)は搬送上手側の搬送具(17)の突部(17a)及び搬送下手側の搬送具(18)の突部(18a)の少なくとも何れか一方が作用し、播種中の育苗器(2)の位置がずれないように該育苗器(2)をしっかりと保持する。また、搬送上手側の前記引っ掛ける位置と搬送下手側の前記引っ掛ける位置とを育苗器(2)の搬送方向の長さ以上の間隔を空けて設定したので、育苗器(2)を連続的に搬送することができ、両搬送具(17,18)の突部(17a,18a)が同一の育苗器(2)に作用して育苗器(2)が変形したり破損したりすることがなく、育苗器(2)どうしの間の間隔を詰めて育苗器(2)を播種位置へ順次搬送することができる。
【0022】
よって、次の育苗器(2)が播種中の育苗器(2)に当たって押しても播種中の育苗器(2)の位置がずれないようにでき、育苗ポット(5)に適正に播種できる。また、育苗器(2)どうしの間の間隔を詰めて育苗器(2)を播種位置へ順次搬送することができ、播種作業の作業能率の向上が図れると共に、播種装置(7)からの種子が育苗器(2)に播種されずに前記間隔を通って落下するようなことを防止でき、無駄な種子の発生を抑えることができる。ひいては、前記間隔を通って落下する種子を回収するための種子受け器が不要になり、コストダウンが図れる。
【0023】
従来の播種機によると、育苗器どうしの間の間隔を空ける必要があるため、その分育苗器への播種作業の作業能率が低下したり、播種装置からの種子が育苗器に播種されずに前記間隔を通って落下したりする課題がある。ひいては、前記間隔を通って落下する種子を回収するための種子受け器を設ける必要があった。また、次の育苗器が播種中の育苗器に当たって押しても播種中の育苗器の位置がずれないように、育苗器の搬送用の孔に引っ掛かって作動する搬送具により播種中の育苗器を搬送することが考えられる。この搬送具を搬送経路に沿って複数設けた場合、各々の搬送具の搬送作動のタイミングや搬送速度は厳密に同一にすることが困難であるので、複数の搬送具が同一の育苗器に作用すると、搬送具からの外力により育苗器が変形したり破損したりするおそれがある。
【0024】
また、図15及び図16に示すように、この播種機(1)は、床土詰装置(6)と播種装置(7)との間に薬剤供給装置(94)を装着することができる。この薬剤供給装置(94)は、搬送経路(3)の左右の搬送ガイド(15)上に載せるだけで簡単に装着できる。薬剤供給装置(94)は、粒状の薬剤を貯留する薬剤タンク(95)と、該薬剤タンク(95)内の薬剤を間欠的に所定量ずつ繰り出して育苗器(2)へ落下させて供給する外周に所定のピッチで複数の繰出溝(96a)を備える薬剤繰出具となる薬剤繰出ローラ(96)と、該薬剤繰出ローラ(96)の外周面に接触して該ローラ(96)の繰出溝(96a)から溢れる薬剤を除去する除去ブラシ(97)とを備え、薬剤繰出ローラ(96)が薬剤を供給する搬送経路(3)上の薬剤供給位置の搬送下手側に、育苗ポット(5)に入らずに育苗器(2)上に残った薬剤を育苗ポット(5)内に供給するための供給板(98)を設けている。薬剤供給装置(94)の伝動構成について説明すると、育苗器(2)の搬送により該育苗器(2)の搬送方向に向かって左側の端縁部の搬送用の孔(13)に噛み合って回転する搬送連動スプロケット(99)と薬剤繰出ローラ(96)とが一体回転し、該薬剤繰出ローラ(96)からスプロケット(100、102)及びチェーン(101)を介して除去ブラシ(97)へ伝動される。尚、薬剤繰出ローラ(96)の繰出溝(96a)の配列ピッチは、育苗器(2)の育苗ポット(5)の配列ピッチ及び搬送経路(3)上での育苗器(2)の搬送ピッチに合致している。
【0025】
以上により、この播種機は、搬送上手側の搬送具(17)の搬送位置と搬送下手側の搬送具(18)の搬送位置との間の搬送経路(3)上で且つ床土詰装置(6)と播種装置(7)との間に育苗ポット(5)に薬剤を供給する薬剤供給装置(94)を設け、薬剤供給装置(94)の薬剤供給位置と搬送上手側の前記引っ掛ける位置との間及び薬剤供給装置(94)の薬剤供給位置と搬送下手側の前記引っ掛ける位置との間の距離を育苗器(2)の搬送方向の長さより短く設定している。
【0026】
従って、薬剤供給装置(94)により播種する前に育苗ポット(5)に薬剤を供給するので、供給された薬剤は播種された育苗ポット(5)内で種子の下側に位置する。また、薬剤供給装置(94)の薬剤供給位置と搬送上手側の前記引っ掛ける位置との間及び薬剤供給装置(94)の薬剤供給位置と搬送下手側の前記引っ掛ける位置との間の距離を育苗器(2)の搬送方向の長さより短く設定したので、薬剤供給位置にある薬剤供給中の育苗器(2)は搬送上手側の搬送具(17)の突部(17a)及び搬送下手側の搬送具(18)の突部(18a)の少なくとも何れか一方が作用し、薬剤供給中の育苗器(2)の位置がずれないように該育苗器(2)をしっかりと保持する。しかも、搬送上手側の前記引っ掛ける位置と搬送下手側の前記引っ掛ける位置とを育苗器(2)の搬送方向の長さ以上の間隔を空けて設定したので、育苗器(2)どうしの間の間隔を詰めて育苗器(2)を薬剤供給位置へ順次搬送することができる。
【0027】
よって、供給された薬剤は播種された育苗ポット(5)内で種子の下側に位置するので、育苗において灌水等により溶け出して作用する薬効が種子に直接作用しにくくなり、薬効による発芽不良や成育不良を抑えることができる。更に、次の育苗器(2)が播種中の育苗器(2)に当たって押しても薬剤供給中の育苗器(2)の位置がずれないようにでき、育苗ポット(5)に適正に薬剤を供給できる。しかも、育苗器(2)どうしの間の間隔を詰めて育苗器(2)を薬剤供給位置へ順次搬送することができ、薬剤供給装置(94)からの薬剤が育苗器(2)に供給されずに前記間隔を通って落下するようなことを防止でき、無駄な薬剤の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】播種機を示す平面図
【図2】播種機を示す側面図
【図3】育苗器を示す平面図
【図4】育苗器を示す側面図
【図5】育苗器を示す正面図
【図6】育苗器供給装置の要部を示す平面図
【図7】育苗器供給装置の要部を示す側面図
【図8】下受板、上受板及び落とし板を示す斜視図
【図9】床土詰装置を示す平面図
【図10】床土詰装置の要部を示す側面図
【図11】播種装置の要部を示す平面図
【図12】播種装置の要部を示す側面図
【図13】覆土装置を示す平面図
【図14】覆土装置の要部を示す側面図
【図15】薬剤供給装置を装着した状態の播種機を示す平面図
【図16】薬剤供給装置を装着した状態の播種機を示す側面図
【図17】薬剤供給装置の要部を示す平面図
【図18】薬剤供給装置の要部を示す側面図
【符号の説明】
【0029】
1:播種機、2:育苗器、3:搬送経路、5:育苗ポット、6:床土詰装置、7:播種装置、8:覆土装置、13:搬送用の孔、17:搬送上手側の育苗器搬送スプロケット、18:搬送下手側の育苗器搬送スプロケット、94:薬剤供給装置
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成19年3月30日(2007.3.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−245603(P2008−245603A)
【公開日】 平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願番号】 特願2007−93320(P2007−93320)