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【発明の名称】 三条移植機
【発明者】 【氏名】石田 伊佐男

【氏名】山根 暢宏

【要約】 【課題】かまぼこ状の畝上に条間寸法を抑えて3条に千鳥植えすることを可能とする簡易な構成の三条移植機を提供する。

【解決手段】三条移植機は、投入苗株Wを受けうる苗受カップ21を等ピッチ配置して走行系と連動して周回動作する移送機構7と、その苗受カップ21から苗株Wを受けて圃場に植付け動作する3条分の植付具11,12,13を有する植付機構6とを備えて構成され、上記植付機構6の3条分の植付具11,12,13は、車幅方向の一線上に植付け可能に配置するとともに、それぞれの植付けタイミングは3条の中央位置Cと両側位置L、Rとに分けて交互等間隔とし、かつ、両隣接間距離Dは、上記苗受カップ21の配列ピッチをP、任意の自然数をN、積算記号を*として表記すれば、(3*N−0.5)*Pまたは(3*N+0.5)*Pのいずれかの算式により定めたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入苗株(W)を受けうる苗受カップ(21)を等ピッチ配置して走行系と連動して周回動作する移送機構(7)と、その苗受カップ(21)から苗株(W)を受けて圃場に植付け動作する3条分の植付具(11,12,13)を有する植付機構(6)とを備えた三条移植機において、
上記植付機構(6)の3条分の植付具(11,12,13)は、車幅方向の一線上に植付け可能に配置するとともに、それぞれの植付けタイミングは3条の中央位置(C)と両側位置(L、R)とに分けて交互等間隔とし、かつ、両隣接間距離(D)は、上記苗受カップ(21)の配列ピッチをP、任意の自然数をN、積算記号を*として表記すれば、(3*N−0.5)*Pまたは(3*N+0.5)*Pのいずれかの算式により定めてなることを特徴とする三条移植機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、苗受カップを等ピッチ配置して周回動作する移送機構と、その苗株を受けて圃場に植付け動作する3条分の植付機構とを備えた三条移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、苗受カップを周回動作する移送機構と、その苗株を受けて圃場に植付け動作する植付機構とを備えた多条植え苗移植機が知られている。その多条植え(3条植え)の植付機構は、周回カップ式の移送機構を植付け条別に備えていることから、それぞれの植付タイミングを設定することにより、共通の移送機構では困難な奇数条の千鳥植え等を可能とする。
【特許文献1】特開2003−9615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記構成の多条移植機は、植付け条別の移送機構の幅寸法を要することから、機体幅寸法および植付条間寸法を小さくすることが困難であり、レタス苗等の移植に際し、かまぼこ状の畝幅内に条間距離を抑えて3条に千鳥植えする場合には適用することができない。
【0004】
解決しようとする問題点は、かまぼこ状の畝上に条間距離を抑えて3条に千鳥植えすることを可能とする簡易な構成の三条移植機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、投入苗株を受けうる苗受カップを等ピッチ配置して走行系と連動して周回動作する移送機構と、その苗受カップから苗株を受けて圃場に植付け動作する3条分の植付具を有する植付機構とを備えた三条移植機において、上記植付機構の3条分の植付具は、車幅方向の一線上に植付け可能に配置するとともに、それぞれの植付けタイミングは3条の中央位置と両側位置とに分けて交互等間隔とし、かつ、両隣接間距離は、上記苗受カップの配列ピッチをP、任意の自然数をN、積算記号を*として表記すれば、(3*N−0.5)*Pまたは(3*N+0.5)*Pのいずれかの算式により定めてなることを特徴とする。
【0006】
上記3条分の植付具が植付け動作を繰り返す毎に、移送機構が苗受カップの3ピッチ分の送り動作によって苗株を移送供給し、この時、(3*N±0.5)*Pの算式によって隣接間距離を定めた3条分の植付具と対応する苗受カップがその1.5ピッチ分の送り動作毎に中央位置と両側位置の植付具に交互に位置決めされる。
【発明の効果】
【0007】
上記構成の三条移植機は、3条分の植付具の隣接間距離を苗受カップの配列ピッチと関連づけすることにより、3条分の植付具と対応する苗受カップがその1.5ピッチ分の送り動作毎に中央位置と両側位置の植付具に交互に位置決めされることから、複雑なタイミング制御を要することなく、等ピッチの周回カップによる簡易な移送機構によって条間距離を抑えて千鳥配置に苗株を植付けすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係る植付部を備えた三条移植機の構成例の側面図である。
三条移植機1は、前部にエンジン2及び主伝動機構3と走行車輪としての前側の左右の案内輪4,4及び後側の左右の駆動輪5,5と、主伝動機構3のケ−ス後部から延びるハンドルフレーム3aに植付機構6および移送機構7による植付部、覆土鎮圧輪8及び操縦ハンドル9等を備えて構成される。
【0009】
詳細には、主伝動機構3には、機体高さと左右高さを調整するために、その両側にアーム状の左右の伝動支持部5a,5aを回動可能に備え、この左右の伝動支持部5a,5aを介して左右の駆動輪5,5を支持するとともに、植付機構6、移送機構7を走行系と同期して伝動する。
【0010】
(植付機構、昇降リンク)
植付機構6は、拡大平面図を図2に示すように、左側条L、中央条C、右側条Rの3条分の開閉可能な嘴状の植付具11,12,13をそれぞれ昇降リンク14,15,16によって上下動作可能に支持し、中央位置Cの植付具12は、一側方の植付具、例えば左側位置Lの植付具11について、対応する昇降リンク15、14を2条用伝動部17によって駆動構成し、他側方の右側位置Rの植付具13の昇降リンク16を1条用伝動部18によって駆動構成する。これら両伝動部17、18は、主伝動機構3のケ−ス後部から延びる植付伝動支持部6aによって伝動支持する。
【0011】
上記植付機構6との関係において、ハンドルフレーム3aの位置が中央位置Cと右側位置Rの植付具12,13の間となるように機体を構成することにより、左右非対称の植付機構6による機体の左右バランスを改善するとともに、両伝動部17、18の構成を容易化することができる。
【0012】
3条分の植付具11,12,13は、機体幅方向の1線上を所定の隣接間距離Dで等距離に配置し、それぞれの昇降リンク14,15,16による上昇端位置で移送機構7から苗株を受け、下降端位置で圃場に植付け動作する。その動作タイミングは、中央位置Cの植付具13の昇降リンク15と、両側位置L、Rの昇降リンク14,16との間の位相差を180°(1/2周期)として交互に動作する構成としている。具体的には、2条用の伝動部17の伝動ケースから共通の出力駆動軸17aを左右両側に突出させ、該軸17aの両端に互いに180°向きが異なるクランクアーム17b、17bを固着し、各々のクランクアーム17b、17bの先端と対応する昇降リンク14,15とをクランク14c、15cにて連結した構成としている。また、上記植付具11,12,13の隣接間距離Dは、移送機構7の苗受カップの配列ピッチをPとし、任意の自然数をNとし、乗算記号を*として(3*N−0.5)*Pまたは(3*N+0.5)*Pの算式により定める。
【0013】
(移送機構)
移送機構7は、背面図を付記した要部平面図を図3に示すように、投入苗株を受けうる苗受カップ21…を等ピッチPで配置し、それぞれの底板を開閉可能に構成し、伝動ロッド7aを介して走行系と連動して周回動作するフラットテーブル形式に構成し、3条分の植付具11,12,13の上昇端位置に沿って機体幅方向に延びる長円形の移送軌道Fを形成する。個々の苗受カップ21…には、それぞれ底板の開閉動作部(不図示)を設け、3条分の植付具11,12,13と対応する開閉タイミングで底板を開閉制御して植付機構6に苗株を移送供給する。
【0014】
(植付け動作説明)
上記構成の三条移植機1の植付け動作について以下に説明する。
上記植付機構6は、機体の前進走行に伴い、苗受カップ21…の配列ピッチ寸法Pを基準として3*N±0.5ピッチ分の条間距離Dで配置した3条分の植付具11〜13の中の両側位置L、Rと中央位置Cとが交互に植付け動作を繰り返し、その1行程の植付け動作毎に移送機構7が3ピッチ分の送り動作をすることにより、各植付具11〜13と対応する第1から第3の3個の苗受カップ21…の苗株が植付機構6によって千鳥植えされる。
【0015】
詳細には、植付け動作関係図を図4に示すように、植付け条間距離Dを2.5*Pとした場合、すなわち、3条の植付け全幅寸法が苗受カップの配列ピッチの5倍の場合については、両側位置L、Rの植付具11,13が上昇して2つの苗株W、Wを移送機構7から受けるタイミングにおいて第1と第3の2つの苗受カップをそれぞれの位置L、Rに位置させ、この時に中央位置Cまで1.5ピッチの距離にある第2の苗受カップは、植付動作の1/2周期の後において中央位置Cまで送られるとともに、対応する植付具12が上昇して苗株Wの受け渡しが可能となる。
【0016】
すなわち、複数の苗受カップ21…を一定ピッチで周回配列した移送機構7の送り動作によって苗株Wを順次移送供給し、3条植えの植付機構6の両側位置L、Rの植付具11、13と中央位置Cの植付具12が交互に植付け動作し、その1行程の植付け動作と対応する3ピッチ分の送り動作について、第1と第3の苗受カップが両側位置L、Rに位置するタイミングにおいて、第2の苗受カップが中央位置Cまで1.5ピッチの位置となるように構成することにより、1行程の植付け動作単位において、個々の植付具と対応する苗受カップがその1.5ピッチ分の送り動作毎に中央位置Cと両側位置L、Rの植付具上に交互に位置決めされることにより3条千鳥植えが可能となる。
【0017】
この関係を数式化すると、苗受カップの配列ピッチをP、任意の自然数をN、積算記号を*とすれば、3条分の植付機構の両隣接間距離D、Dが(3*N±0.5)*Pの算式を満たすことが必要十分条件となる。この関係は、N=1に対してD=2.5*Pまたは3.5*Pであり、すなわち、3条幅について苗受カップ配列ピッチの5倍または7倍である。また、N=2に対してD=5.5*Pまたは6.5*Pであり、以下同様にして算出することにより、苗株、圃場等の条件に応じて条間距離Dを決定する。
【0018】
上記関係による千鳥植えに適合する構成は、図5の一覧図表の○印に示すとおりである。この図表において、「A」「B」「C」は植付具13へ供給する苗受カップの配列位置を表すものであり、「n」は植付条間を配列ピッチPで除した値を表すものであり、「m」は整数であり、この場合に、「A」「B」「C」の配列位置が3条の各条と個別対応する配列(A≠B≠C)となる組合せはn=3*m+2.5またはn=3*m+3.5の関係式によって表されることが分かる。
【0019】
このように、上記構成の三条移植機は、3条分の植付機構6の植付具の両隣接間距離D、Dを移送機構7の苗受カップ21…の配列ピッチPと一定の関連付けをすることにより、複雑なタイミング制御を要することなく、等ピッチの周回カップによる簡易な移送機構により、図6の植付状態の斜視図に示すように、幅広の畝Uについて苗株Wの条間距離Dを抑えた千鳥配置の植付けを可能とするものである。
【0020】
また、上記移送機構31は、別の構成例の平面図を図7に示すように、対応の苗受カップが中央位置Cまで1.5ピッチの位置に来るように苗受カップの周回軌道の片側を蛇行して構成する場合や、さらに別の構成例の平面図を図8に示すように、両側位置L、Rに供給するチェーン送りによる異形軌道を周回する移送機構32aと中央位置Cに供給する円形周回する移送機構32bを組合せて両者の供給タイミングをずらして構成する場合についても、前記同様の効果を得ることができる。この両側位置L、Rに供給する移送機構32aの苗受カップの周回経路は、中央位置Cに供給するする移送機構32bの苗受カップの周回経路を包囲するように、移送機構32bのの周囲に設けられている。
【0021】
以上の構成の植付機構6は、その要部拡大図(a)と植付け動作図(b)を図9に示すように、中央位置Cの植付具12を両側位置L、Rの植付具11,13より浅植え側に調節可能に取付穴12aを上下方向に形成した位置調節機構を設ける。この位置調節機構による植付具12の高さ調節により、簡易な構成により中央条位置Cの高さ調整Δのみで中高のかまぼこ畝Uの高さ位置の差Hについて簡単に対応することができる。
【0022】
また、1つの畝に1条の苗を移植するために3つの畝を跨いで機体を走行させる場合、背面図を付記した動作説明平面図を図10に示すように、左右の前輪4,4を中央の1畝1条を跨ぐトレッドに設定し、左右の後輪5,5内で左右それぞれの畝上面を検出する左右のセンサ41,41を設け、左側のセンサ41の検出が所望の検出範囲となるように左側の後輪5を上下に昇降制御し、右側のセンサ41の検出が所望の検出範囲となるように右側の後輪5を上下に昇降制御することにより、安定して植付け走行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る三条移植機の側面図である。
【図2】植付機構6は、拡大平面図である。
【図3】背面図を付記した移送機構の要部平面図である。
【図4】植付機構と移送機構の関係図である。
【図5】千鳥植え適合図表である。
【図6】植付状態の斜視図である。
【図7】移送機構の別の構成例の平面図である。
【図8】移送機構のさらに別の構成例の平面図である。
【図9】植付機構の要部拡大図(a)と植付け動作図(b)である。
【図10】背面図を付記した3条畝跨ぎの場合の動作説明平面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 三条移植機
2 エンジン
3 主伝動ケ−ス
4 案内輪
5 駆動輪
6 植付機構
7 移送機構
11,12,13 植付具
14,15,16 昇降リンク
17、18 伝動部
21 苗受カップ
C 中央位置
D 隣接間距離
F 移送軌道
L 左側位置
N 自然数
P ピッチ
R 右側位置
U 畝
W 苗株

【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成19年2月19日(2007.2.19)
【代理人】 【識別番号】100077779
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 哲郎

【識別番号】100078260
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 レイ子

【識別番号】100086450
【弁理士】
【氏名又は名称】菊谷 公男


【公開番号】 特開2008−199923(P2008−199923A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2007−37522(P2007−37522)