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【発明の名称】 乗用田植機
【発明者】 【氏名】越智 竜児

【氏名】中尾 康也

【氏名】吉田 和正

【氏名】小林 鑑明

【氏名】小谷 伸介

【氏名】楠 忠

【要約】 【課題】後部に苗植付け装置を駆動昇降可能に連結した走行機体の前端部に、前方に突出した作用姿勢と起立した格納姿勢とに切換え揺動可能な押え込み用アームを装備した乗用田植機において、押え込み用アームの機能を高めてより使い勝手のよいものにする。

【解決手段】押え込み用アーム31にエンジン停止スイッチ35を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後部に苗植付け装置を駆動昇降可能に連結した走行機体の前端部に、前方に突出した作用姿勢と、起立した格納姿勢とに切換え揺動可能な押え込み用アームを装備した乗用田植機において、
前記押え込み用アームにエンジン停止スイッチを備えてあることを特徴とする乗用田植機。
【請求項2】
前記押え込み用アームに、前記苗植付け装置を昇降操作する操作具を備えてある請求項1に記載の乗用田植機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的小型の乗用田植機に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の乗用田植機は、前後車輪間隔が小さいので隆起を乗り越える際に走行機体がピッチング方向に大きく傾斜しやすくなる。そこで、畦越え時には、運転者が地上に降りて走行機体を操縦することになる。この場合、走行機体の前部が浮上るおそれがあるので、これを補うために、走行機体の前端部に、前方に突出した作用姿勢と、起立した格納姿勢とに切換え揺動可能な押え込み用アームを装備し、作用姿勢に倒伏させた押え込み用アームを作業者が押え込むことで、走行機体の前部の浮上りを抑えながら前進走行させるようにした乗用田植機が実用化されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在実用化されている上記乗用田植機では、押え込み用アームは畦越え走行時に走行機体の前部の浮上りを阻止するためだけに使用される専用の部材であり、その使用頻度は少ないものであった。
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、押え込み用アームの機能を高めてより使い勝手のよいものにすることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[請求項1に係る発明の構成、および、作用、効果]
請求項1に係る発明は、後部に苗植付け装置を駆動昇降可能に連結した走行機体の前端部に、前方に突出した作用姿勢と、起立した格納姿勢とに切換え揺動可能な押え込み用アームを装備した乗用田植機において、押え込み用アームにエンジン停止スイッチを備えてあることを特徴とする。
【0005】
上記構成によると、押え込み用アームを前方に倒しての地上操縦時において、押え込み用アームに備えたエンジン停止スイッチを操作することでエンジンを速やかに停止することができ、とっさの走行機体の停止を簡単に行える。
【0006】
[請求項2に係る発明の構成、および、作用、効果]
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、押え込み用アームに、苗植付け装置を昇降操作する操作具を備えてあることを特徴とする。
【0007】
上記構成によると、押え込み用アームを前方に倒しての地上操縦時において、押え込み用アームに備えた操作具を操作することで、走行機体の後部の苗植付け装置を任意に昇降させて、走行機体のバランスのたて直しを速やかに行うことができ、畦越えなどを一層容易に行えるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1に本発明に係る乗用田植機の全体側面が、また、図2にその全体平面がそれぞれ示されている。この乗用田植機は、操向自在な前輪1と操向不能な後輪2を備えた4輪駆動型の走行機体3の後部に、油圧シリンダ4によって駆動される昇降リンク機構5を介して4条植え仕様の苗植付け装置6が昇降自在に連結された構造となっている。
【0009】
前記走行機体3の前部にはエンジン7が搭載され、このエンジン7の出力が、伝動ベルト8を介して静油圧式無段変速装置(HST)からなる主変速装置9に伝達されて変速された後、前輪1を軸支したミッションケース10に入力され、ミッションケース10内で走行系と植付け作業系に分岐されるようになっている。そして、走行系の動力は左右の前輪1に伝達されるとともに、ミッションケース10の後部から後方に延出した左右の後輪伝動ケース11を介して左右の後輪2に伝達され、また、ミッションケース10内で分岐された植付け作業系の動力は、伝動軸12を介して前記苗植付け装置6に入力されるようになっている。なお、図示しないが、左右の前輪1はデフ装置を介して駆動されるとともに、左右の後輪2はサイドクラッチを介して駆動されるようになっている。また、左右の後輪伝動ケース11はダンパ13を介して独立的に上下揺動可能に支持されている。
【0010】
苗植付け装置6は、前記昇降リンク機構5の後端下部にローリング自在に連結されており、角パイプ状の横長フレーム21、前記伝動軸12から植付け作業系の動力を受けるフィードケース22、苗を載置して一定ストロークで往復横移動する苗のせ台23、横長フレーム21から後ろ向き片持ち状に延出された左右一対の植付けケース24、各植付けケース24の後端部左右に装備されたロータリ式の植付け機構25、田面の植付け予定箇所を均平化する3個の整地フロート26、次行程の走行基準線を田面に引っ掻き形成してゆく起伏自在な左右一対の線引きマーカ27、等を備えている。
【0011】
そして、一定ストロークで往復横送りされる苗のせ台23には、ストロークエンドに到達するごとに載置した苗を苗のせ台23下端の苗取出し口にまで縦送りする苗縦送りベルト28が装備されている。また、苗のせ台23の左右両端上部にはランプ29が設けられており、このランプ29は、道路走行時にはウインカランプとして使用することができるとともに、植付け作業時には、苗のせ台23の苗の残量が設定量以下にまで減少した際に両ランプ29が点滅して、機外の圃場作業者にも苗切れを報知して、苗補給の準備を促すようになっている。
【0012】
走行機体3の前端部には、パイプ材をアーチ形に屈曲して形成した押え込み用アーム31がその基端部の支点aを中心に前後に起伏揺動可能に装着されている。この押え込み用アーム31は、センターマスコット30を越えて前方へ大きく突出する作用姿勢と、機体前部のボンケット13に略沿った姿勢に起立する格納姿勢とに亘る一定範囲で起伏揺動可能に枢支されるとともに、その枢支基部に与えられた摩擦によって任意の揺動位置で摩擦保持することも可能となっている。また、押え込み用アーム31を大きく前方に倒して作用姿勢にすると、前輪1のステアリング操作機構が中立状態に弾性的に保持されて、直進が維持されるようになっている。
【0013】
押え込み用アーム31の上端近くにはモニタ32が取付けられている。このモニタ32の表示面は後方に向かうようになっており、その表示面に苗のせ台23での苗残量が設定量以下にまで少なくなったことを報知する苗切れ警報ランプ33、植付けクラッチ入れ忘れ警報ランプ34、などの植付け作業中に利用される警報ランプ類と、エンジン停止スイッチ35、苗植付け装置6を昇降操作するための操作具としての昇降スイッチ36、ホーンスイッチ37、などの地上操縦時に利用する操作具類が装備されている。
【0014】
走行機体3におけるボンネットの後方に配備されたステアリングハンドル14は、前後にチルト可能に構成されており、図1中および図3に示す、やや後傾した通常の乗用操作位置と、図1,5中の仮想線で示すように、前方に倒れた姿勢とに切換え可能となっている。また、格納姿勢の押え込み用アーム31の上端はステアリングハンドル14の下方にもぐり込むようになっており、特に、格納姿勢の押え込み用アーム31は前方に倒したステアリングハンドル14に干渉するようになっている。
【0015】
本発明の乗用田植機は以上にように構成されており、通常の植付け走行時には、作業者は走行機体3の運転席15に着座して走行機体3の操縦を行うのであるが、この場合、押え込み用アーム31を格納姿勢より少し前方に揺動させて前方視界内に入れるとともに、モニタ32の表示面を後方に向けることで、着座姿勢の作業者が目線を大きく動かさなくてもモニタ32を容易に目視する状態で運転することができる。
【0016】
また、畦越えや運搬車両の荷台への乗用田植機の積み下ろしなどにおいては、走行機体3を微速で走行させながら作業者は地上に降りて操縦することになり、この場合、押え込み用アーム31を前方に大きく倒して作用姿勢にするとともに、ステアリングハンドル14を大きく前方に倒しておく。そして、地上の作業者が押え込み用アーム31を押え込むことで、走行機体3の前部が浮上るのを阻止することができるとともに、ステアリングハンドル14を弾性中立保持力に抗して操作することで、地上から前輪1を操向操作して軌道修正を行うことができるのである。
【0017】
また、地上からの操縦中に、苗植付け装置6が地面にぶつかりそうになったり、走行機体3のバランスが崩れかけるたりすると、昇降スイッチ36を操作して苗植付け装置6を任意に上昇あるいは下降させることができる。また、ホーンスイッチ37を操作することで、周囲の人に注意を喚起することができ、さらに、直ちに走行機体3を停止したいような場合にはエンジン停止スイッチ35を操作すればよい。
【0018】
[別実施形態]
(1)施肥装置を搭載する仕様のものでは、前記モニタ32に肥料切れ警報ランプを装備しておくとよい。
(2)走行機体3の左右方向の傾斜角度を前記モニタ32で表示して、搭乗運転中に走行機体3の左右傾斜状態を把握できるようにしておくと便利である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】乗用田植機の全体側面図
【図2】乗用田植機の全体平面図
【図3】植付け走行時の走行機体の前部を示す側面図
【図4】モニタの正面図
【図5】地上からの操縦時の走行機体の前部を示す側面図
【符号の説明】
【0020】
3 走行機体
6 苗植付け装置
31 押え込み用アーム
35 エンジン停止スイッチ
36 昇降用の操作具
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成20年3月26日(2008.3.26)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎


【公開番号】 特開2008−161202(P2008−161202A)
【公開日】 平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願番号】 特願2008−81201(P2008−81201)