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苗移植機 - 特開2008−136394 | j-tokkyo
トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業

【発明の名称】 苗移植機
【発明者】 【氏名】草本 英之

【氏名】鈴木 隆

【要約】 【課題】スイッチ(操作手段)の操作に基づいて苗植付部を苗補給がし易い所定の上下位置まで上昇又は下降させる構成の乗用型田植機においては、苗植付部の苗載台へ苗補給をするときにスイッチ(操作手段)の操作を格別に行わなければならず、作業性を低下させるおそれがある。また、植付作業走行中に、誤って前記スイッチ(操作手段)を操作すると、苗植付部が所定の上下位置まで上昇又は下降してしまって、苗植付が行えずに圃場に未植付区域が生じるおそれがある。

【解決手段】走行車輌の走行を停止させる操作をするための走行停止手段と、該走行停止手段により走行停止操作が行われたことを検出するペダル保持アームセンサ(96)とを設け、該ペダル保持アームセンサ(96)による走行停止操作の検出に基づいて昇降機構を作動させて苗植付部を所定の上下位置まで上昇又は下降させる制御装置を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗を搭載する苗載台(20)を備える苗植付部(7)を、昇降機構(17)により走行車輌に対して昇降可能に設けた苗移植機において、走行車輌の走行を停止させる操作をするための走行停止手段(32)と、該走行停止手段(32)により走行停止操作が行われたことを検出する走行停止操作検出器(96)とを設け、該走行停止操作検出器(96)による走行停止操作の検出に基づいて昇降機構(17)を作動させて苗植付部(7)を所定の上下位置まで上昇又は下降させる制御装置を設けた苗移植機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
苗移植機の一例である乗用型田植機において、苗を搭載する苗載台を備える苗植付部を、昇降機構により走行車輌に対して昇降可能に設け、苗植付部すなわち苗載台に苗補給をするために操作するスイッチ(操作手段)を格別に設け、該スイッチ(操作手段)の操作に基づいて苗植付部を苗補給がし易い所定の上下位置まで上昇又は下降させる制御装置を設けたものが知られている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−333825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記背景技術のものは、苗植付部の苗載台へ苗補給をするときにスイッチ(操作手段)の操作を格別に行わなければならず、作業性を低下させるおそれがある。また、植付作業走行中に、誤って前記スイッチ(操作手段)を操作すると、苗植付部が所定の上下位置まで上昇又は下降してしまって、苗植付が行えずに圃場に未植付区域が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決するべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、苗を搭載する苗載台(20)を備える苗植付部(7)を、昇降機構(17)により走行車輌に対して昇降可能に設けた苗移植機において、走行車輌の走行を停止させる操作をするための走行停止手段(32)と、該走行停止手段(32)により走行停止操作が行われたことを検出する走行停止操作検出器(96)とを設け、該走行停止操作検出器(96)による走行停止操作の検出に基づいて昇降機構(17)を作動させて苗植付部(7)を所定の上下位置まで上昇又は下降させる制御装置を設けた苗移植機とした。
【0005】
従って、この苗移植機は、苗載台20上に苗を搭載した状態で、走行車輌を走行させながら苗植付部7により苗載台20上の苗を圃場に植え付けていく。そして、苗植付部7の苗載台20へ苗補給をするために、走行停止手段32による走行停止操作で、機体の走行を停止させて植付作業を中断することができる。このとき、制御装置により、昇降機構17を作動させて苗植付部7が苗補給がし易い所定の上下位置まで自動的に上昇又は下降する。
【発明の効果】
【0006】
よって、走行停止手段32による走行停止操作に基づいて、自動的に苗植付部7が苗補給し易い所定の上下位置に上昇又は下降するので、作業能率が向上すると共に、植付作業走行中に誤って苗植付部7が上昇又は下降して苗植付が行えずに圃場に未植付区域が生じるようなことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
この発明の実施の一形態の農作業機となる苗移植機を以下に説明する。
図1及び図2は、走行車輌を備える乗用型の4条植田植機(苗移植機)1を示すものであり、車体2の前後には走行車輪としての左右一対の前輪3及び後輪4が架設されている。車体上前部には操作ボックス5及びステアリングハンドル6等を有する操縦装置が設置され、また、車体2の後方には昇降可能な苗植付部7が装備されている。また、車体2の後部には粉粒体施用装置となる施肥装置8が設けられ、肥料タンク9に貯留する肥料を各条の繰出部10で所定量づつ繰り出し、その繰り出した肥料をブロア11からの圧力風により各条の移送ホース12で苗植付部7に設けた吐出口13から吐出して施肥する構成となっている。また、車体2の後側で苗植付部7の前側には苗植付部7からリンク61により上下位置変更可能に支持される対地作業装置となる整地ロータ38が設けられ、該整地ロータ38の駆動により植付前の圃場を整地する構成となっている。尚、ロータ高さ調節レバー62の操作により、前記リンク61を回動させて苗植付部7に対する整地ロータ38の高さを変更設定できる構成となっている。操縦装置の後側に運転席(座席)14が設置され、運転席14の下側に田植機の各部に動力を伝達するエンジン15が搭載されている。
【0008】
エンジン15の上部には後方へ向けて排気するマフラー63が設けられ、該マフラー63の後方にはブロア11の吸気口11aを前側向きに配置している。従って、マフラー63からの熱風をブロア11が吸引でき、施肥装置8において肥料の乾燥を促すことができる。尚、エンジン15を上側から覆うエンジンカバー64は、エンジン15の前方及び左右側方を閉塞し後方を開放した構成となっており、上方の座席14を支持している。座席14は前部の回動軸14a回りに前側へ回動できる構成となっており、該座席14を前側へ回動させた状態でエンジンカバー64の上面部に設けた燃料供給用孔64aが露出し、該燃料供給用孔64aを介してエンジンカバー64内に設けた燃料供給口65へ燃料を供給できる構成となっている。前記燃料供給用孔64aは燃料供給口65に対して偏位して大きく構成され、該燃料供給用孔64aを介してエンジンカバー64内のリコイルノブ66を引っ張ってエンジン15を始動させる構成となっている。従って、前記の孔64aは、燃料供給用とエンジン始動用(リコイルノブ操作用)とを兼用しており、従来のようにエンジンカバーあるいは車体カバーの露出した部分にエンジン始動用(リコイルノブ操作用)の孔を設けなくてよく、外観がすっきりとして良くなる。尚、エンジン15の始動のためにセルモータも備えており、リコイルノブ66はセルモータが故障したとき等の非常用として使用できる構成となっている。
【0009】
尚、エンジンカバー64は該カバー64の前下端に設けた支点軸64b回りに前側へ回動する構成となっており、このエンジンカバー64の回動によりエンジン15を露出させて外方より該エンジン15のメンテナンスを行うことができる。前記支点軸64bは車体2のステップフロア面67より下位にあるので、回動によるエンジンカバー64の移動量を大きくすることができ、開放スペースを大きくできる。従来は、支点軸がステップフロア面より上位にあったので、エンジンカバーの回動による開放スペースを十分に得られないという問題がある。
【0010】
前記ステアリングハンドル6は、この回動操作によりステアリングポスト内のステアリング軸からステアリングケース内を経て減速回転される出力軸、ピットマンア−ム及び操向ロッド等を介して左右の前輪3を操向させ操舵するようになっている。
【0011】
苗植付部7は、車体2の後部に昇降機構となる昇降リンク機構17を介して昇降可能に装着され、昇降用油圧シリンダ18の伸縮作動により昇降する構成であり、本例では、油圧シリンダ18の引き側で苗植付部7を上昇させる構成としている。なお、19は植付昇降レバーを示す。
【0012】
また、この苗植付部7には、左右に往復動する苗載台となる苗載タンク20、1株分の苗を切取って土中に植込む植込杆21を有する植付装置22、苗植付面を滑走しながら整地するフロ−ト(サイドフロ−ト)23、センタフロ−ト24等を備えている。尚、昇降リンク機構17の苗植付部7側で上側の支点68は、昇降リンク機構17に設けた前後方向の長孔69により前後に移動自在に設けられ、揺動用スプリング70により前側に付勢されている。従って、この上側の支点68を移動自在にする長孔69の融通機構により、苗植付部7は、圃場面に追従して昇降リンク機構17の下側の支点71回りに前後に揺動し、車体2の前後傾斜に拘らず圃場面に対して所望の前後傾斜姿勢を維持する構成となっている。
【0013】
エンジン15の回転動力は、2連のエンジン出力プーリ25のうち左右方向内側のプーリ25aから前側に延びるベルト26を介して油圧式無段変速装置(HST)27の入力プ−リ28、入力軸29に伝えられ、この入力軸29からこれと同一軸芯上に設けられた伝動軸を介して油圧ポンプ90を駆動するようになっており、更に、油圧式無段変速装置27の出力軸からミッションケ−ス30のミッション入力軸に伝えられるようになっている。また、2連のエンジン出力プーリ25のうち左右方向外側のプーリ25bから後側に延びるベルト72を介して発電機73の入力プーリ74に伝動され、前記発電機73を駆動する。この油圧式無段変速装置(HST)27並びに発電機73の入力プ−リ28、74及びエンジン出力プーリ25は機体側面視で前後方向に一直線上に配置され、これらのプーリ25,28、74に巻回されるベルト26、72の側方(左右方向外側)に安全用のベルトカバー75を設け、該ベルトカバー75を機体側面視において直線状で簡単な構造としている。また、エンジン出力プーリ25及び発電機73はエンジンカバー64内に位置しないので、その分エンジンカバー64を小さくコンパクトに構成できる。尚、ベルトカバー75は、ベルト72が左右方向外側へ配置される分、後部が左右方向外側に位置するように屈曲した構成となっている。従来は、発電機がエンジンカバー内に配置され、発電機へ伝動するためのベルトがエンジン出力プーリから上側に延設されていたので、発電機を配置する分エンジンカバーを大きくしなければならず、またベルトカバーを機体側面視でL字型に構成しなければならずベルトカバーの構造が複雑なものとなっていた。
【0014】
操作ボックスすなわちフロントカバー5の上部近傍には、該油圧式無段変速装置27を駆動する変速レバ−31が配置され、この変速レバ−31の前後方向の操作で油圧式無段変速装置27を駆動し機体の前進及び後進制御を司るように構成されている。運転席14の前方右側には、前輪3及び後輪4への伝動を断つと共に該前輪3及び後輪4を制動するためのブレーキペダル(クラッチペダル)32を設けている。尚、このブレーキペダル(クラッチペダル)32を踏み込み操作することにより、ベルト26のテンションプーリが退避して油圧式無段変速装置(HST)27への伝動が断たれると共に、ミッションケ−ス30内の4輪ブレーキ装置を制動作動させる構成となっている。
【0015】
また、このブレーキペダル(クラッチペダル)32を踏み込み操作状態(制動状態)で保持できるペダル保持装置を設けている。このペダル保持装置は、ブレーキペダル(クラッチペダル)32に係合する切欠き部を設けたペダル保持アームを備え、該ペダル保持アームをブレーキペダル(クラッチペダル)32側に回動させて該ブレーキペダル(クラッチペダル)32を踏み込み操作状態(制動状態)で保持する構成となっている。尚、前記ブレーキペダル(クラッチペダル)32及びペダル保持装置が、走行車輌の走行を停止させる操作をするための走行停止手段となる。
【0016】
ミッションケース30内からの動力により、苗植付部7が作動すると共に、該ミッションケース30の左右両側に設けた前輪3が駆動する。また、ミッションケース30内からの動力が左右各々の後輪伝動軸33を介して左右の後輪伝動ケース34内へ伝動され、後輪4が駆動する。
【0017】
ミッションケース30の後面には後側へ延びるメインフレーム76を固着しており、該メインフレーム76の後端に左右方向に延びる後部フレーム49を固着している。この後部フレーム49には上方へ延びる左右2本の上下フレーム77を固着しており、該上下フレーム77に昇降リンク機構17が回動自在に支持されると共に、該上下フレーム77の上部で肥料タンク9及び繰出部10等の施肥装置8の要部が支持されている。また、メインフレーム76と上下フレーム77を繋いで前下がりに傾斜する補強フレーム78が設けられ、該補強フレーム78の下端部をメインフレーム76より下側にまで突出させ、この補強フレーム78の下端部に昇降用油圧シリンダ18を支持する基部支点軸79を設けている。これにより、基部支点軸79を取り付けるための格別な部品が不要となり、コストダウンが図れると共に、昇降用油圧シリンダ18を低位に配置することができて機体の低重心化が図れる。
【0018】
左側の後輪伝動ケース34の左右方向内側(右側)には、該ケース34から出力される左右方向のロータ用出力軸35を設けている。このロータ用出力軸35から該軸35回りに上下回動自在のロータ駆動用ケース36及びロータ伝動軸37を介して車体2の後側で且つ苗植付部7の前側に設けた整地ロータ38へ伝動し、該整地ロータ38を駆動する構成となっている。従って、前記ロータ駆動用ケース36及びロータ伝動軸37等が、後輪伝動ケース34内から整地装置38へ伝動する対地作業用伝動機構となる。尚、整地ロータ38は左右中央の中央ロータ38aと左右両側の側部ロータ38bとで3分割された構成となっており、前記中央ロータ38aは前記側部ロータ38bより前側に位置しており、ロータ伝動軸37からの動力は先ず中央ロータ38aの左右中央位置に入力されて該中央ロータ38aへ伝動され、中央ロータ38aから左右のロータ伝動ケース80を介して左右の側部ロータ38bへ伝動される構成となっている。
【0019】
一方、右側の後輪伝動ケース34の左右方向内側(左側)には、該ケース34から出力される左右方向の施肥用出力軸39を設けている。この施肥用出力軸39から該軸39と一体回転する駆動クランクアーム40、駆動ロッド41及び従動アーム42を介して施肥駆動軸43へ該軸43が往復回動するよう伝動され、この施肥駆動軸43から各2条毎の入力アーム44、ロッド45、出力アーム46及び一方向クラッチ47等で構成される施肥伝動機構48を介して該施肥伝動機構48の左右に設けた各々の繰出部10へ伝動し、該繰出部10内の繰出ロータを一方向へ所定角度づつ回転させる構成となっている。従って、前記駆動クランクアーム40、駆動ロッド41、従動アーム42、施肥駆動軸43及び施肥伝動機構48等により、後輪伝動ケース34内から前記施肥装置8へ伝動する粉粒体施用用伝動機構を構成している。
【0020】
このように、左右の後輪伝動ケース34から整地ロータ38及び施肥装置8の繰出部10へ伝動するにあたり、一方の後輪伝動ケース34から整地ロータ38へ伝動し、他方の後輪伝動ケース34から繰出部10へ伝動する構成として、それぞれの伝動出力を左右で振り分けた構成としたので、左右の後輪伝動ケース34内の伝動負荷の均一化が図れ、ひいては左右の後輪4の駆動力の均一化が図れて機体の走行性能及び直進性能が向上する。また、整地ロータ38及び施肥装置8の繰出部10への伝動機構を交錯させずに簡潔に構成できる。
【0021】
尚、左右の後輪伝動ケース34は、共用化されており、後輪車軸56が左右外側へ向くよう左右対称に設けている。従って、左側の後輪伝動ケース34に設けたロータ用出力軸35と右側の後輪伝動ケース34に設けた施肥用出力軸39とは、後輪伝動ケース34においては同一の軸であり、後輪伝動ケース34の入力軸34bから後輪車軸56への伝動におけるカウンタ伝動軸を兼ねている。このカウンタ伝動軸35、39は、後輪車軸56より前側で且つ後述する回動支点軸54を挿入するための孔より後側に配置されている。従って、このカウンタ伝動軸35,39が、後輪車軸56より回動支点軸54に近い後輪伝動ケース34内の伝動軸となる。
【0022】
車体1の後部に設けた左右方向に延びる後部フレーム49の左右両端部には、プレートで構成される左右方向内側の第一支持部材50と左右方向外側の第二支持部材51とを各々設けている。前記第一支持部材50及び第二支持部材51は後部フレーム49から下側に延設され、第一支持部材50は後部フレーム49に溶接して固定され、第二支持部材51は後部フレーム49の端部に設けたブラケット52に前後上下計4本の取付ボルト53により着脱可能に装着されている。第一支持部材50の下端部には左右方向外側に延びる回動支点軸54を溶接して固定し、第二支持部材51の下端部には前記回動支点軸54の端部を挿入する孔51aを設けている。従って、回動支点軸54は、第一支持部材50と第二支持部材51とで両持ち支持されている。これにより、回動支点軸54の支持が安定し、該軸54のガタを抑えることができ、後述する後輪4の上下動を適正に且つ安定して行える。左右方向で第一支持部材50と第二支持部材51との間には、後部フレーム49から後方に延びる背面視U字型の第三支持部材55を設けている。前記取付ボルト53により第二支持部材51を後部フレーム49に対して着脱可能に構成しているので、第二支持部材51を取り外して第一支持部材50で片持ち支持される回動支点軸54に沿って機体の左右方向外側から後輪伝動ケース34の着脱を容易に行える。
【0023】
後輪伝動ケース34は、回動支点軸54を挿入するための孔及び後輪車軸56を挟む位置で分割する上下の分割ケース34aからなる構成であり、上下の分割ケース34aが共用化されている。尚、前記孔より後輪車軸56は後側に位置している。上側の分割ケース34aの左右内側には規制用ピン57を設け、該規制用ピン57が挿入される長孔58aを備える規制用アーム58が、前記第三支持部材55の側面に設けた支持軸59回りに回動自在に設けられている。従って、前記規制用ピン57の移動が前記長孔58a内で規制され、後輪伝動ケース34の上下回動域が規制される。従って、前記規制用ピン57及び規制用アーム58は、後輪伝動ケース34の上下方向の回動域を規制する規制部材となる。また、第三支持部材55の下面には弾性部材となるクッションゴム60を設けており、このクッションゴム60が後輪伝動ケース34に接触することにより、後輪4からの振動を吸収する構成となっている。
【0024】
よって、後輪伝動ケース34は回動支点軸54回りに上下回動可能に構成され、後進時及び前進時でも後輪4の駆動負荷が小さい通常の走行時には、機体の自重で規制用アーム58の長孔58aの上端に規制用ピン57が当たる位置まで後輪伝動ケース34が上動して後輪4が最上状態となる。このとき、後輪伝動ケース34はクッションゴム60に当接し、機体の振動が抑えられる。一方、前進時で後輪4に所定以上の駆動負荷が生じたときには、その駆動反力により機体の自重に抗して後輪伝動ケース34が下側へ回動して後輪4が下動する。この後輪4の下動は、規制用アーム58の長孔58aの下端に規制用ピン57が当たることにより、最下位置が規制される。
【0025】
尚、回動支点軸54は、後輪4の外径内に設定している。従って、回動支点軸54と後輪車軸56との間隔を小さく設定しているので、後輪4の駆動反力で後輪伝動ケース34を下側へ回動させることができるのである。
【0026】
ところで、後輪伝動軸33は、ミッションケース30に近い前部と後輪伝動ケース34に近い後部とに自由な方向へ屈曲自在な継ぎ手(ユニバーサルジョイント)33aを備え、後輪伝動ケース34の上下回動による該後輪伝動ケース34の入力軸34bの移動に順応する構成となっている。そして、後輪伝動ケース34の回動で大きく屈曲変化する後側の継ぎ手33aにおいて、後輪車軸56が最上位置となるべく後輪伝動ケース34が上側に回動したとき前記継ぎ手33aが上側に凹となるよう屈曲し、後輪車軸56が最下位置となるべく後輪伝動ケース34が下側に回動したとき前記継ぎ手33aが下側に凹となるよう屈曲し、後輪伝動ケース34の上下回動において後輪伝動軸33の屈曲方向を互いに逆側にして上下に振り分けた構成としている。従って、後輪伝動ケース34の上下回動全域において、継ぎ手33aの屈曲角度を許容範囲内で極力小さく設定できるため、後輪伝動軸33による伝動ロスを低減できて後輪伝動ケース34ヘの伝動を良好にできる。また、後輪車軸56が最下となるときの後輪伝動軸33の継ぎ手33aの屈曲角度より後輪車軸56が最上となるときの後輪伝動軸33の継ぎ手33aの屈曲角度が小さくなる構成としたので、後進時や前進時でも後輪4の駆動負荷が小さい通常走行時には、機体の自重により後輪伝動ケース34が上側へ回動して後輪車軸56が最上位置となるため、継ぎ手33aの屈曲角度が小さく、該後輪伝動軸33による伝動ロスを低減できて後輪伝動ケース34ヘの伝動を良好にできる。
【0027】
この田植機1により、直進植付時において、通常の走行負荷のときは後輪4が最上状態となり、耕盤が深くて過大な走行負荷がかかるようなときは、前輪3より車輪分担荷重の大きい後輪4が圃場に深く沈み込むことと後輪4の駆動反力との要因により、機体が前上がり姿勢になりやすいが、後輪4が下動状態となることで機体の前上がり姿勢が修正され、植付部7の沈下により苗植付姿勢が乱れたりするようなことを防止できる。一方、畦際での機体旋回時には、走行負荷が増大するので、自動的に後輪4が下動状態となることで機体が前下がり姿勢になり、機体旋回のために旋回内側の後輪4の駆動を断つことにより旋回外側しか駆動しない後輪4に対して左右両方を駆動させる前輪3の車輪分担荷重を増すことができ、ひいては前輪3の走行推進力を向上させることができ、旋回走行を円滑に行うことができる。また、前進での畦越え時や前進でのトラックへの積込時は、走行負荷が大きくなるため、後輪4が下動状態となって機体の前上がり姿勢が修正され、作業の安全性が図れる。また、畦越え時やトラックへの積込時でも機体が後上がり姿勢となる後進時は、後輪4が上動状態に維持され、後輪4が下動することにより機体が更に後上がり姿勢になることはなく、安全である。
【0028】
また、後輪伝動ケース34のカウンタ伝動軸となるロータ用出力軸35及び施肥用出力軸39が後輪車軸56より回動支点軸54に近い位置にあるので、後輪伝動ケース34の回動による対地作業用伝動機構及び粉粒体施用用伝動機構の移動量又は位置変化を小さくでき、これらの伝動機構による伝動の円滑化及び安定化が図れ、ひいては整地ロータ38による整地作業及び施肥装置8による施肥作業の適正化が図れる。
【0029】
尚、前述のクッションゴム60に代えて圧縮スプリングを設け、後輪伝動ケース34の上下回動全域において前記圧縮スプリングを作用させる構成とすることができる。そして、後進時及び前進時でも後輪4の駆動負荷が小さい通常の走行時には圧縮スプリングが全圧縮状態となり、前進時で後輪4に所定以上の駆動負荷が生じたときには圧縮スプリングが伸長して後輪伝動ケース34の下側への回動を付勢することができる。尚、この圧縮スプリングを設ける場合も、前述のようなクッションゴム60を併用してもよい。
【0030】
尚、圧縮スプリングを設けるにあたり、前述の規制用アーム58の外周に巻回されるように設け、一端が第三支持部材55に当接して規制され、他端が規制用ピン57に当接して後輪伝動ケース34を下側に回動付勢する構成としてもよい。つまり、圧縮スプリングがその内部を通る規制用アーム58で支持され、圧縮スプリングの外れを防止できると共に、構成の簡略化が図れる。
【0031】
尚、後輪4の上動又は下動を付勢する付勢手段となる圧縮スプリングを設けた構成において、その付勢力を可変させることにより、後輪4を下動させる負荷を任意に変更可能にし、変速レバーの切り替えによる機体「移動」(路上走行)時には後輪4を下動させず、「植付作業」時には機体前部が浮き上がるような高負荷時のみ後輪4を下動させて機体の後部を上昇させるように構成することで、駆動反力の小さい路上走行では後輪4を上下動させず、駆動反力の大きい圃場走行では必要以上に後輪4が上下動しないように抵抗を与えることが可能となる。
【0032】
また、上記のような構成において、油圧式無段変速装置27を駆動する変速レバ−31の操作に起因する前後進低速時には後輪4を下動させず、中・高速時には機体前部が浮き上がるような高負荷時のみ後輪4を下動させるよう構成することもでき、駆動反力の小さい低速走行では後輪4を上下動させず、駆動反力の大きい高速走行では必要以上に後輪4が上下動しないように抵抗を与えることが可能となる。
【0033】
更に、エンジン15のスロットル低回転時には後輪4を下動させず、中・高速時には機体前部が浮き上がるような高負荷時のみ後輪4を下動させて機体の後部を上昇させるように構成することもできる。
【0034】
尚、前述のクッションゴム60を後進高負荷時には圧縮して撓むような弾力特性に設定し、後進高負荷時には逆に機体後部を下降させて機体の前下がり状態を緩和させ、前輪3の沈み込みを防止することもできる。これによれば、後進での畦越えやアユミ越えが容易にでき、走行抵抗の大きい湿田での後進性能が向上する。
【0035】
また、ブレーキペダル32の操作に連動して左右の後輪伝動ケース34の上下回動を規制する規制具を設け、機体を走行停止させたときには後輪4が上下動しないように固定する構成とし、トラック等での運搬時にはペダル保持装置によりブレーキペダル32を踏み込み状態で保持しておけば、運搬時の振動等により無闇に後輪4が上下動するようなことを防止でき、後輪伝動ケース34の急激な上下動により後部フレーム49や後輪伝動ケース34が破損するようなことを防止でき、また荷台等に保持するために機体に掛けられたロープが引っ張られて緩んだり切れたりするようなことを防止できる。
【0036】
また、左右一方の後輪伝動ケース34と車体2に設けた回動アーム81の一端とを第一ケーブル82で接続し、前記回動アーム81の他端と昇降リンク機構17の上側の支点68を前側に付勢する揺動用スプリング70の他端(前端)とを第二ケーブル83で接続し、前記回動アーム81、第一ケーブル82及び第二ケーブル83からなる連動機構により、後輪4が上昇状態のときには前記上側の支点68が前側へ引っ張られて苗植付部7が前傾姿勢に修正され、後輪4が下降状態のときには第二ケーブル83が弛められて苗植付部7の自重により前記上側の支点68が後側へ移動して苗植付部7が後傾姿勢に修正される。これにより、後輪4の上下動による車体2の前後傾斜姿勢の変化に応じて苗植付部7の前後傾斜姿勢が所望の姿勢となるよう修正され、整地ロータ38及びフロート23、24による整地性の向上が図れると共に、苗の植付姿勢や植付深さの適正化が図れる。
【0037】
ところで、油圧ポンプ90が吐出する圧油は電磁式の油圧切替バルブ91ヘ供給され、該油圧切替バルブ91における油路の切替により、圧油を単動式の昇降用油圧シリンダ18へ供給して苗植付部7を上昇する状態に切り替えたり、苗植付部7の自重により該昇降用油圧シリンダ18内の圧油を油圧タンクを兼ねるミッションケース30内に戻して苗植付部7を下降する状態に切り替えたりする構成となっている。従って、油圧切替バルブ91の作動により、苗植付部7を昇降させることができる。そして、苗植付部7の昇降操作をするための植付昇降レバー19の操作位置を検出する植付昇降レバーセンサ92を設けており、該植付昇降レバーセンサ92の検出が制御部となる制御ボックス93に入力され、この入力に基づいて前記制御ボックス93から電磁式の油圧切替バルブ91ヘ信号が出力されて、油圧切替バルブ91が苗植付部7を昇降させる構成となっている。また、苗植付部7のセンタフロート24には該フロート24の上下回動位置を検出するフロートセンサ94を設けており、該フロートセンサ94により苗植付部7の対地高さを検出し、このフロートセンサ94の検出が制御ボックス93に入力され、この入力に基づいて苗植付部7を所望の対地高さとするべく前記制御ボックス93から油圧切替バルブ91ヘ信号が出力されて苗植付部7を昇降させる構成となっている。従って、通常の植付作業時には、フロートセンサ94の検出に基づいて苗植付部7が所望の対地高さとなるよう昇降制御される。また、上下フレーム77には昇降リンク機構17の上下回動位置を検出する昇降リンクセンサ95を設けており、該昇降リンクセンサ95の検出が制御ボックス93へ入力され、植付昇降レバー19により苗植付部7の上昇操作をしているとき、昇降リンクセンサ95の検出が苗植付部7の最上昇位置に相当する検出値に到達すると、制御ボックス93からの出力により油圧切替バルブ91を中立位置に切り替えて苗植付部7の上昇を停止させる構成となっている。
【0038】
また、ペダル保持装置がブレーキペダル(クラッチペダル)32を踏み込み操作状態(制動状態)で保持した状態であることを検出するペダル保持検出器を設けている。尚、このペダル保持検出器が、走行停止手段により走行停止操作が行われたことを検出する走行停止操作検出器となる。具体的には、ペダル保持アーム100をブレーキペダル(クラッチペダル)32を保持するために該ブレーキペダル(クラッチペダル)32側に回動させたことを検出するペダル保持アームセンサ96を設けている。そして、該ペダル保持アームセンサ96により走行停止状態で保持されていることが検出されて制御ボックス93ヘ入力されると、昇降リンクセンサ95の検出に応じて、制御ボックス93内において昇降リンクセンサ95の検出が苗植付部7を若干対地浮上させた所定の上下位置に相当する検出値より上位か下位かを判断し、苗植付部7が所定の上下位置より上位である場合は、制御ボックス93からの出力で油圧切替バルブ91を介して苗植付部7を前記所定の上下位置まで下降させて停止し、苗植付部7が所定の上下位置より下位である場合は、制御ボックス93からの出力で油圧切替バルブ91を介して苗植付部7を前記所定の上下位置まで上昇させて停止する。尚、前記所定の上下位置は、苗植付部7の苗載タンク20の前端(上端)が施肥装置8の肥料タンク9の上面より若干上側へ突出する上下位置(高さ)で、苗植付部7が若干対地浮上する上下位置(高さ)に設定されており、走行車輌側から前記肥料タンク9が邪魔にならずに苗載タンク20へ容易に苗補給ができる位置に設定されている。
【0039】
以上により、この田植機1は、苗を搭載する苗載台となる苗載タンク20を備える苗植付部7を、昇降機構となる昇降リンク機構17により走行車輌に対して昇降可能に設け、走行車輌の走行を停止させる操作をするための走行停止手段となるブレーキペダル(クラッチペダル)32と、該ブレーキペダル(クラッチペダル)32により走行停止操作が行われたことを検出する走行停止操作検出器となるペダル保持アームセンサ96とを設け、該ペダル保持アームセンサ96による走行停止操作の検出に基づいて昇降リンク機構17を作動させて苗植付部7を所定の上下位置まで上昇又は下降させる制御装置(制御ボックス93)を設けている。
【0040】
従って、この田植機1は、苗載タンク20上に苗を搭載した状態で、走行車輌を走行させながら苗植付部7の植付装置22により苗載タンク20上の苗を圃場に植え付けていく。そして、走行車輌に搭乗する作業者が苗植付部7の苗載タンク20へ苗補給をするために、ペダル保持アームセンサ96による走行停止操作で、機体の走行を停止させて植付作業を中断することができる。このとき、制御ボックス93内の制御により、昇降リンク機構17を作動させて苗植付部7が苗補給がし易い所定の上下位置まで自動的に上昇又は下降する。
【0041】
よって、ペダル保持アームセンサ96による走行停止操作に基づいて、自動的に苗植付部7が苗補給し易い所定の上下位置に上昇又は下降するので、作業能率が向上すると共に、植付作業走行中に誤って苗植付部7が上昇又は下降して苗植付が行えずに圃場に未植付区域が生じるようなことを防止できる。
【0042】
特に、苗補給作業をするためにブレーキペダル(クラッチペダル)32を踏み込み操作状態(制動状態)で保持した場合のみ、苗植付部7が所定の上下位置まで昇降し、ブレーキペダル(クラッチペダル)32のみによる走行停止操作がなされたときは、上記のように苗植付部7が所定の上下位置まで自動的に昇降することが無いので、圃場内で局部的に凹凸があって危険を回避する場合や圃場への苗の植付状態を確認する場合等にオペレータ(作業者)が一時的に走行停止したときに無闇に苗植付部7を昇降することがなく、安全に苗植付作業を行えると共に、圃場への苗の植付状態を容易に確認することができる。
【0043】
尚、走行停止からすばやく苗補給作業を開始するために、ブレーキペダル(クラッチペダル)32による走行停止操作を検出する検出器を設け、該検出器の検出に基づいて苗植付部7を所定の上下位置まで昇降させる構成としてもよい。これにより、苗補給の作業能率が向上する。
【0044】
また、フロントカバー5の後側下部には、ミッションケース30内のギヤの切替により、路上等で高速で走行するための路上走行速と、圃場内等で低速で走行するための植付作業速と、圃場の畦越え時やトラックへの積込時等で超低速で走行するための超低速とに走行速度を切替できる副変速レバー97を設けている。この副変速レバー97の走行速度設定を検出する変速検出器を設け、該変速検出器により植付作業速に設定されていることを検出したときのみ、苗植付部7を所定の上下位置まで昇降させる構成とすれば、路上走行時、圃場の畦越え時あるいはトラックへの積込時等に苗植付部7が不意に昇降することを防止でき、安全である。
【0045】
同様に、植付昇降レバーセンサ92により苗植付部7を駆動する植付状態に植付昇降レバー19を操作していることを検出したときのみ、苗植付部7を所定の上下位置まで昇降させる構成とすれば、路上走行時、圃場の畦越え時あるいはトラックへの積込時等に苗植付部7が不意に昇降することを防止でき、安全である。
【0046】
尚、例えば前輪3又は後輪4が回転していることを検出する等する走行速度検出器を設け、該走行速度検出器により走行停止していることを検出すると、苗植付部7を所定の上下位置まで昇降させる構成としてもよい。これにより、確実に走行停止している場合のみ苗植付部7が所定の上下位置まで昇降することになり、苗植付部7が作動しないまま走行して圃場に未植付区域が生じるようなことを確実に防止できる。また、前述のブレーキペダル(クラッチペダル)32の操作に関連して苗植付部7を所定の上下位置まで昇降させる制御において、走行速度検出器により走行停止していることを検出したときのみ、苗植付部7を所定の上下位置まで昇降させる構成としてもよい。
【0047】
また、田植機1において、機体旋回開始時にステアリングハンドル6の操作に基づいて自動的に苗植付部7の駆動を断つと共に該苗植付部7を上昇させ、機体が旋回終了直前の位置に到達したと判断されると自動的に苗植付部7を下降させ、その後、前植付行程での植え終わり位置と揃う位置に苗植付部7が到達したと判断されると自動的に苗植付部7の駆動を開始する自動旋回制御手段を構成することができる。この自動旋回制御手段により、旋回後の次植付行程のための苗植付部7の下降あるいは苗植付部7の駆動開始が自動的に行われ、機体旋回時にオペレータはステアリングハンドル6を操作するだけでよいので操作が容易となって操作性が向上する。尚、苗植付部7の下降あるいは苗植付部7の駆動開始のタイミングの判断は、前輪3又は後輪4の累積回転数を演算することによる走行距離に基づくものの他、経過時間や進行方位を検出する方位センサ等を利用して行うことができる。尚、機体旋回時に旋回内側の後輪4への動力を断つものの場合は、該旋回内側の後輪4の累積回転数に基づいて旋回行程におけるタイミングを判断すれば、車輪のスリップの影響を極力抑えることができて、精度良くタイミングを判断できる。
【0048】
この自動旋回制御手段を設けた場合、圃場の畦際での回り植えを行うとき等特殊な植付パターンで植付作業をするときには自動旋回制御が行われないほうがよいので、自動旋回制御を入切する制御入切手段を設ける。このとき、制御入切手段により自動旋回制御が行う設定(入設定)されているときのみ、苗植付部7を所定の上下位置まで昇降させる構成としてもよい。これにより、前後進を繰り返して頻繁に走行停止操作を行う畦際での植付や畦を越えながらの植付等の特殊な植付作業時には、自動的に苗植付部7が昇降しないので、無闇に苗植付部7が昇降するようなことを防止できると共に、機体の重量バランスの変化による転倒等の危険を防止することができる。
【0049】
尚、苗植付部7を所定の上下位置まで昇降させる制御の牽制は、前述の変速検出器による牽制、植付昇降レバーセンサ92による牽制、走行速度検出器による牽制及び自動旋回制御の制御入切手段による牽制のうち、何れの牽制手段を組み合わせて併用してもよい。
【0050】
また、苗載タンク20上の苗が所定量以下に減少したことを検出する苗減少センサ98を設けているが、該苗減少センサ98が苗の減少を検出すると、走行速度を徐々に減速して最終的に走行停止させ、自動的に苗植付部7を所定の上下位置まで昇降させる構成としてもよい。このとき、変速レバー31とは別に、油圧式無段変速装置27を操作する電動モータ等の変速操作アクチュエータを設ければよい。具体的には、苗減少センサ98が苗の減少を検出したことが制御ボックス93内に入力されると、制御ボックス93内から変速操作アクチュエータに出力され該変速操作アクチュエータが油圧式無段変速装置27の変速比を変更して走行速度を徐々に減速して走行停止させ、走行停止したことを前述のような走行速度検出器が検出すると、前述のように自動的に苗植付部7を所定の上下位置まで昇降させる構成とする。これにより、苗載タンク20への苗補給が必要なときに、自動的に苗植付部7を所定の上下位置まで昇降させることができ、苗植付部7を無闇に昇降させるようなことを防止できると共に、苗載タンク20への苗補給を忘れて植付欠株を発生させるようなことを防止できる。また、苗補給をするにあたり、走行速度を徐々に減速するので、機体の急激な停止によりオペレータが投げ出されるようなことがなく安全である。尚、畦クラッチ(植付条ごとのクラッチ)により、田植機1の全植付条のうちの一部の植付条の植付装置22のみを停止して植付作業をする場合は、植付装置22を停止する植付条の苗載タンク20部分にはもともと苗を補給する必要がないので、畦クラッチレバーにより前記畦クラッチを切操作していることを畦クラッチレバーセンサが検出すると、上述の苗減少センサ98の検出に伴う苗植付部7を所定の上下位置まで昇降させる制御を禁止したり、植付作業をする植付条の苗載タンク20部分の苗減少センサ98のみの検出に基づいて苗植付部7を所定の上下位置まで昇降させる制御を行う構成とすればよい。また、この苗減少センサ98の検出に伴う苗植付部7を所定の上下位置まで昇降させる制御は、前述と同様に、変速検出器、植付昇降レバーセンサ92、走行速度検出器あるいは自動旋回制御の制御入切手段により牽制される構成としてもよく、これらの牽制手段の何れかを組み合わせて併用してもよい。
【0051】
また、苗補給が終了した後、オペレータがペダル保持装置の保持を解除してブレーキペダル(クラッチペダル)32を元に戻すと、苗植付部7が接地するまで下降し、苗植付部7が接地すると、走行速度を徐々に増速して元の植付作業時の走行速度に復帰させる構成とすれば、植付再開に伴う操作を簡略できて作業性が向上すると共に、機体が急発進することなく安全に植付作業ができる。具体的には、検出器によるブレーキペダル(クラッチペダル)32の走行停止解除操作の検出又はペダル保持アームセンサ96によるペダル保持装置の保持の解除の検出に基づいて、油圧切替バルブ91により先ず苗植付部7を下降させ、フロートセンサ94が接地したことを検出すると、変速操作アクチュエータにより油圧式無段変速装置27を作動させて元の速度まで徐々に増速させる構成とする。これにより、苗植付部7が接地してから機体が前進し始める構成としたので、圃場に未植付区域を発生させないようにできる。尚、苗載タンク20への苗の補給に伴って、苗植付部7を下降させる構成とすれば、植付作業の再開を即座に行うことができ、作業能率が向上する。具体的には、苗載タンク20の各植付条部分の上部に各々苗の有無を検出する苗センサを設け、全ての植付条の苗センサが苗が有ることを検出すると、油圧切替バルブ91により苗植付部7を下降させる構成とすればよい。尚、前記苗センサに代えて、苗載タンク20の各植付条部分の間に設けた苗載タンク20に沿う電極を設け、前記各植付条部分の電気抵抗を検出することにより搭載された苗の量を判別できる苗量センサを使用し、該苗量センサの検出により苗載タンク20へ苗が補給されたことを判断してもよい。
【0052】
また、前記苗量センサによる苗載タンク20上の苗量の検出に基づいて、苗量が多いときには通常植付作業時の苗植付部7の昇降制御の制御感度を鈍感に補正し、逆に苗量が少ないときには通常植付作業時の苗植付部7の昇降制御の制御感度を敏感に補正する感度補正制御を行うことができる。これにより、苗量が多く苗植付部7全体の重量が大きいときは、苗植付部7の昇降作動により昇降リンク機構17と昇降用油圧シリンダ18との間に設けた圧縮スプリングが大きく伸縮して昇降制御にハンチングが生じ易いが、このハンチングを抑えることができる。逆に、苗量が少なく苗植付部7全体の重量が小さいときは、苗植付部7の昇降作動により前記圧縮スプリングが伸縮が少なく昇降制御にハンチングが生じにくいので、制御感度を敏感にして昇降制御を高精度に行うことができる。尚、昇降制御の制御感度を変更する手段としては、フロートセンサ94の制御目標を変更したり(制御目標をフロートが前上がり側となるよう変更すれば鈍感になる)、フロートセンサ94の不感帯幅を変更したり、フロートセンサ94が検出するフロート24の押下荷重を変更したり(フロート24を下側へ付勢するスプリングの付勢力を変更する)、油圧切替バルブ91により昇降用油圧シリンダ18に対して給排する圧油の流量を変更したりする手段がある。
【0053】
また、苗量センサによる苗載タンク20上の苗量の検出に基づいて、油圧切替バルブ91により苗植付部7の下降時に昇降用油圧シリンダ18から排出する圧油の流量を変更して、苗量に拘らず苗植付部7の下降速度を均一にすることができる。これにより、自動旋回制御における苗植付部7の下降で、旋回行程における苗植付部が接地するタイミングを揃えることができ、以後の植付開始を円滑に行える。
【0054】
ところで、前述の自動旋回制御における旋回時の苗植付部7の上昇位置を、苗補給のための前記所定の上下位置と同一としてもよい。これにより、自動旋回制御において、苗植付部7を対地浮上させる程度に上昇させて不必要に上昇させないようにでき、機体の重量バランスが悪化するようなことを防止できると共に、次植付行程のための苗植付部7の下降により該苗植付部7を早く接地させることができ、次植付行程の植付開始を円滑に行える。
【0055】
また、苗植付部7は、前後方向のローリング軸99により走行車輌に対して左右にローリング可能に装着され、走行車輌側との間にスプリングを介在させて走行車輌が左右に傾斜しても左右水平となるように制御するローリング機構を備えている。ところが、苗補給のために苗植付部7を対地浮上する所定の上下位置に上昇又は下降させると、前記スプリングが伸縮することにより苗植付部7が自由にローリングし、苗載タンク20への苗補給が行いにくくなる。そこで、前述の苗補給のための苗植付部7を所定の上下位置まで昇降させる制御がなされたときは、これに連動して苗植付部7の左右ローリングを規制するローリング規制装置を作動させ、苗植付部7を走行車輌に対して平行となる姿勢に固定する構成としてもよい。これにより、苗補給する際に苗植付部7が左右にローリングせずに固定されるので、苗補給が容易になる。尚、前記ローリング規制装置は、電動アクチュエータの作動で走行車輌側から突出する部材を苗植付部7側の部材に接触させる等して、苗植付部7の左右ローリングを規制する構成とすればよい。
【0056】
尚、前記ローリング機構は、苗植付部7の左右傾斜姿勢を検出する姿勢検出センサを設け、該姿勢検出センサの検出に基づいて苗植付部7が左右水平姿勢となるよう電動モータ等のローリングアクチュエータにより強制的に苗植付部7を左右ローリング作動させるローリング制御を備えた構成とすることができる。このとき、苗量センサにより苗載タンク20の各植付条ごとの苗量を検出し、苗植付部7全体の重量の左右アンバランスの度合を判定し、この判定に基づいて前記ローリング制御における姿勢検出センサの制御目標を補正する構成とすればよい。すなわち、苗植付部7全体の重心が左寄りであれば姿勢検出センサの制御目標を苗植付部7が右下がりになるように補正し、逆に苗植付部7全体の重心が右寄りであれば姿勢検出センサの制御目標を苗植付部7が左下がりになるように補正し、苗植付部7全体の重心と重量とによるモーメントが大きい場合は、姿勢検出センサの制御目標の補正量を大きくする。これにより、苗植付部7全体の重量の左右アンバランスによりローリング機構のスプリングが伸縮しても、苗植付部7の重量に影響されずに、苗植付部7を所望の左右水平姿勢へ維持しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】田植機の側面図
【図2】田植機の平面図
【図3】エンジンカバーを示す平面図
【図4】施肥装置の一部及び後輪伝動ケースを示す背面図
【図5】後輪伝動ケースを示す側面図
【図6】ブロック図
【図7】ブレーキペダル(クラッチペダル)及びペダル保持アームを示す側面図
【符号の説明】
【0058】
1:田植機、2:車体、7:苗植付部、17:昇降リンク機構、20:苗載タンク、32:ブレーキペダル(クラッチペダル)、95:昇降リンクセンサ、96:ペダル保持アームセンサ
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成18年11月30日(2006.11.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−136394(P2008−136394A)
【公開日】 平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願番号】 特願2006−324722(P2006−324722)