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【発明の名称】 種籾の温湯消毒装置
【発明者】 【氏名】川島 謙蔵

【氏名】村田 和昭

【氏名】荒川 秀明

【氏名】上村 純生

【氏名】川島 誠蔵

【要約】 【課題】種籾容器に種籾を詰め込む作業と温湯消毒を終えた種籾を水切りのうえ種籾容器から搬出する作業の作業領域を同じ位置として、建屋内の有効利用と作業者の作業行動の効率化をはかることができる種籾の消毒装置を提供する。

【解決手段】種籾の温湯消毒装置1は、種籾を温湯に浸す温湯タンク2と、温湯に浸した種籾を冷水に浸す冷水タンク3と、種籾を収容する通水性の種籾容器4と、種籾容器4を吊持して昇降および移動させる自動搬送装置5とで構成される。冷水タンク3を挟んで一方に温湯タンク2を、かつ他方に作業領域6を配設してある。自動搬送装置5は、作業領域6で種籾容器4を吊持して一連の処理系統設備9の末端まで移動させてから、温湯タンク2による温湯浸漬処理、冷水タンク3による冷却処理および作業領域6への戻し工程の順に種籾容器4を昇降および移動させる制御機能を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
種籾を温湯に浸して病原菌を死滅ないし不活化する種籾の温湯消毒装置であって、
種籾を温湯に浸す温湯タンクと、温湯に浸した種籾を冷水に浸す冷水タンクと、種籾を収容する通水性の種籾容器と、種籾容器を吊持して昇降および移動させる自動搬送装置とで構成され、
前記冷水タンクを挟んで一方に温湯タンクを、かつ他方に作業領域を配設してあるとともに、
前記自動搬送装置は、作業領域で種籾容器を吊持して一連の処理系統設備の末端まで移動させてから、温湯タンクによる温湯浸漬処理、冷水タンクによる冷却処理および作業領域への戻し工程の順に種籾容器を昇降および移動させる制御機能を備えている
ことを特徴とする種籾の温湯消毒装置。
【請求項2】
自動搬送装置は、作業領域、冷水タンクおよび温湯タンクの順に一連の処理系統設備を跨ぐ架台に、上記一連の処理系統設備の方向に懸架した駆動チェーンにより往復動する移動台車と、移動台車に装備され種籾容器を吊持して昇降させる昇降機構とで構成されており、
移動台車は、一連の処理系統設備の作業領域から温湯タンク上に移動して種籾容器を温湯タンク内に降ろしたうえ作業領域に戻る工程、
作業領域から温湯タンク上に移動して種籾容器を吊り上げて冷水タンク上まで移動して冷水タンク内に降ろしたうえ作業領域に戻る工程、
作業領域から冷水タンク上に移動して種籾容器を吊り上げて作業領域に戻る工程
を繰り返す制御機能を備えていることを特徴とする請求項1記載の種籾の温湯消毒装置。
【請求項3】
移動台車に装備された昇降機構は、移動台車に固定して垂下させた基筒部とそれに対して伸縮自在に嵌装した伸縮筒部とで構成されており、
前記伸縮筒部の下端には種籾容器の吊り掛けフックを取り付けてあって前記伸縮筒部および基筒内を通した吊りチェーンによる吊り構造とするとともに吊りチェーンはその引き上げ引き下ろし駆動機構を介してリング状に垂れ下がるように末端を移動台車に係止してある
ことを特徴とする請求項1または2記載の種籾の温湯消毒装置。
【請求項4】
吊り掛けフックは移動台車の往路方向に開口しており、種籾容器の吊り掛けアームを一定の掛け位置に誘導する溝を形成してあることを特徴とする請求項3記載の種籾の温湯消毒装置。
【請求項5】
温湯タンクと作業領域に間に位置する冷水タンク上の位置には、移動台車の往路方向の定位置および復路方向の定位置を検知するセンサを設けてあることを特徴とする請求項2、3または4記載の種籾の温湯消毒装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、種籾を温湯に浸して種籾の表面に付着しまたは籾殻と果皮との間に潜む病原菌(いもち病、ばか苗病、苗立枯細菌病、ごま葉枯病、褐条病、もみ枯細菌病など)を死滅ないしは不活化する種籾の温湯消毒装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
種籾を所定温度の温湯に所定時間浸すことにより、種籾の表面に付着または籾殻と果皮との間に潜む病原菌を死滅ないしは不活化(以下、消毒という)する装置であって、温湯浸漬のための種籾容器に種籾を詰め込む工程、種籾を種籾容器ごと温湯に浸漬する工程、温湯漬漬した種籾を種籾容器ごと冷水に浸漬して冷却する工程、冷却した種籾を水切りして種籾容器から取り出す工程を一連処理する種籾の温湯消毒装置としては、特開2006−42745公報、特開2006−158302公報、特開2005−52023公報および特開2005−328723公報に記載されているものなどが知られている。
【0003】
また、種籾を収容した種籾容器を自走クレーンで吊り下げて温湯タンクに出し入れする種籾の温湯消毒装置は、特開平11−318118号公報または特願2002−325505公報、特開2003−235308公報、特開2004−90公報および特開2004−290011公報に記載されている。
【特許文献1】特開2006−42745公報
【特許文献2】特開2006−158302公報
【特許文献3】特開2005−52023公報
【特許文献4】特開2005−328723公報
【特許文献5】特開平11−318118号公報
【特許文献6】特願2002−325505公報
【特許文献7】特開2003−235308公報
【特許文献8】特開2004−90公報
【特許文献9】特開2004−290011公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前掲の特許文献1ないし4、または特許文献5ないし9に記載されている従来の種籾の温湯消毒装置においては、種籾を種籾容器に詰め込む作業を行う作業領域と、温湯消毒処理を終えた水切りのうえ種籾容器から取り出す作業を行う作業領域が互いに反対側となるように離れているので、種籾の温湯装置を設置する建屋内の配置上、2箇所にわたる作業領域と作業者がそこへ出入りするための通路やスペースなどを必要として、種籾の温湯消毒装置を設備する建屋の有効利用がはかれず、また作業領域が離れているところから、作業者の作業行動も非効率となるなどの問題点が指摘されている。
【0005】
そこで本発明は、このような従来の問題点を解消しようとするものであって、冷水タンクを挟んで一方に作業領域を、かつ他方に温湯タンクを並設し、作業領域で種籾容器を吊持して一連の処理系統設備の末端まで移動させてから、温湯タンクによる温湯浸漬処理、冷水タンクによる冷却処理および作業領域への戻し工程の順に種籾容器を昇降および移動させる制御機能を備えて作業領域、温湯タンクおよび冷水タンクの順に一連の処理系統設備を構成することにより、種籾容器に種籾を詰め込む作業と温湯消毒を終えた種籾を水切りのうえ種籾容器から搬出する作業の作業領域を同じ位置として、種籾の温湯消毒装置を設置する建屋の有効利用をはかるとともに、作業者の作業行動の効率化をはかることができる種籾の消毒装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は請求項1ないし5の種籾の温湯消毒装置を提供する。すなわち、請求項1に係る種籾の温湯消毒装置は、種籾を温湯に浸して病原菌を死滅ないし不活化する種籾の温湯消毒装置であって、種籾を温湯に浸す温湯タンクと、温湯に浸した種籾を冷水に浸す冷水タンクと、種籾を収容する通水性の種籾容器と、種籾容器を吊持して昇降および移動させる自動搬送装置とで構成され、前記冷水タンクを挟んで一方に温湯タンクを、かつ他方に作業領域を配設してあるとともに、前記自動搬送装置は、作業領域で種籾容器を吊持して一連の処理系統設備の末端まで移動させてから、温湯タンクによる温湯浸漬処理、冷水タンクによる冷却処理および作業領域への戻し工程の順に種籾容器を昇降および移動させる制御機能を備えていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に係る種籾の温湯消毒装置は、請求項1の構成において、自動搬送装置は、作業領域、冷水タンクおよび温湯タンクの順に一連の処理系統設備を跨ぐ架台に、上記一連の処理系統設備の方向に懸架した駆動チェーンにより往復動する移動台車と、移動台車に装備され種籾容器を吊持して昇降させる昇降機構とで構成されており、移動台車は、一連の処理系統設備の作業領域から温湯タンク上に移動して種籾容器を温湯タンク内に降ろしたうえ作業領域に戻る工程、作業領域から温湯タンク上に移動して種籾容器を吊り上げて冷水タンク上まで移動して冷水タンク内に降ろしたうえ作業領域に戻る工程、作業領域から冷水タンク上に移動して種籾容器を吊り上げて作業領域に戻る工程を繰り返す制御機能を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に係る種籾の温湯消毒装置は、請求項1または2の構成において、移動台車に装備された昇降機構は、移動台車に固定して垂下させた基筒部とそれに対して伸縮自在に嵌装した伸縮筒部とで構成されており、前記伸縮筒部の下端には種籾容器の吊り掛けフックを取り付けてあって前記伸縮筒部および基筒内を通した吊りチェーンによる吊り構造とするとともに吊りチェーンはその引き上げ引き下ろし駆動機構を介してリング状に垂れ下がるように末端を移動台車に係止してあることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に係る種籾の温湯消毒装置は、請求項3の構成において、吊り掛けフックは移動台車の往路方向に開口しており、種籾容器の吊り掛けアームを一定の掛け位置に誘導する溝を形成してあることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に係る種籾の温湯消毒装置は、請求項1、2、3または4の構成において、温湯タンクと作業領域に間に位置する冷水タンク上の位置には、移動台車の往路方向の定位置および復路方向の定位置を検知するセンサを設けてあることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、冷水タンクを挟んで一方に作業領域を、かつ他方に温湯タンクを並設し、作業領域で種籾容器を吊持して一連の処理系統設備の末端まで移動させてから、温湯タンクによる温湯浸漬処理、冷水タンクによる冷却処理および作業領域への戻し工程の順に種籾容器を昇降および移動させる制御機能を備えて作業領域、温湯タンクおよび冷水タンクの順に一連の処理系統設備を構成することにより、種籾容器に種籾を詰め込む作業と温湯消毒を終えた種籾を水切りのうえ種籾容器から搬出する作業の作業領域を同じ位置として、種籾の温湯装置を設置する建屋の有効利用をはかるとともに、作業者の作業行動の効率化をはかることができる種籾の消毒装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明の実施の形態に係る種籾の温湯消毒装置を一部破断して示す斜視図、図2は同上昇降機構の内部構造を表した一部破断して示す斜視図、図3は同上正面図、図4は同上平面図、図5は同上側面図である。
【0013】
本発明に係る種籾の温湯消毒装置1は、種籾を温湯に浸す温湯タンク2と、温湯に浸した種籾を冷水に浸す冷水タンク3と、種籾を収容する通水性の種籾容器4と、種籾容器4を吊持して昇降および移動させる自動搬送装置5とで構成されている。
【0014】
前記温湯タンク2、冷水タンク3は、冷水タンク3を挟んで一方に温湯タンク2を、かつ他方に作業領域6を構成する水切り部7を備えた作業台8を並べて一連に配設してある。自動搬送装置5は、作業領域6、冷水タンク3および温湯タンク2の順に並ぶ一連の処理系統設備9を跨ぐ架台10上に、前記一連の処理系統設備8の方向に懸架した駆動チェーン11により往復動する移動台車12と、移動台車12に装備された種籾容器を吊持して昇降させる昇降機構13とで構成されている。駆動チェーン11は、温湯タンク2側端部に設けられた駆動モータ14と、作業領域6側端部に位置するスプロケット15間に懸架されており、駆動チェーン11の懸架上側の一端と他端は移動台車12の前後に連結されていて、駆動チェーン11の回転により移動台車12がその車輪16がレール17上を転動して往方向または復方向に移動するようになっている。
【0015】
前記自動搬送装置5は、作業領域6で種籾容器4を吊持して一連の処理系統設備の末端まで移動させてから、温湯タンク2による温湯浸漬処理、冷水タンク3による冷却処理および作業領域6への戻し工程の順に種籾容器を昇降および移動させる制御機能を備えており、架台10上の温湯タンク2、冷水タンク3および作業領域6に対応する位置にそれぞれ位置センサ18、19、20が設けられていて、前記位置センサ18、19、20による移動台車12の位置感知動作により、移動台車12をそれぞれの定位置に自動的に停止させる制御機構を構成している。位置センサ19および20は、移動台車12の往方向と復方向移動時のストロークに生じるずれを感知するため2つのセンサ(スイッチ)を少し位置をずらして設けてある。
【0016】
前記移動台車12には前述のように昇降機構13が装備されている。すなわち、この昇降機構13は移動台車12に固定して垂下させた基筒部21と、それに対してローラを介在して伸縮自在に嵌装した伸縮筒部22、23とで構成されており、伸縮筒部23の下端には種籾容器4の吊り掛けフック24を取り付けてあって、前記伸縮筒部23、22および基筒21内を通した吊りチェーン25による吊り構造とするとともに、吊りチェーン25はその引き上げ引き下ろし駆動機構26を介してリング状に垂れ下がるように末端を移動台車12に係止してある。前記引き上げ引き下ろし駆動機構26は、移動台車12に搭載された駆動モータ27により駆動されるスプロケット28とチェーン外れ防止押さえ部材29とで構成されており、吊りチェーン25はスプロケット28に掛け回されて下方に垂れ下げられている。昇降機構13を基筒21に対して伸縮筒部22、23を伸縮自在の嵌合構成としたことにより、吊り掛けフック24に吊り下げられる種籾容器4の移動時の横ぶれが生じないので、特に温湯タンク2および冷水タンク3に種籾容器4を確実に定位置に降ろすことができる。
【0017】
昇降機構13の伸縮筒部23の下端に取り付けられている吊り掛けフック24は、移動台車12の往路方向に開口する開口部30が形成されているとともに種籾容器4の吊り掛けアーム32を一定の掛け位置に誘導する溝31が形成されているものである。したがって、吊り掛けアーム32にその開口部30から掛けられた種籾容器4はその掛けアーム32が溝32に案内されて定位置に吊り下がるとともに不用意な外れが防止される。
【0018】
本発明に係る種籾の温湯消毒装置1により種籾の温湯消毒を行うにあたっては、温湯タンク2に張った水または温湯を所定温度を保つように温湯温度を制御する。消毒する種籾は網袋に詰めるかまたは直に作業領域6の作業台7上種籾容器4に入れ、昇降機構13の吊り掛けフック24を種籾容器4の吊り掛けアーム32に合わせて下げ、移動台車12の往方向の移動により掛けたうえ上昇により吊り下げる。そして、移動台車12を、一連の処理系統設備9の作業領域6から温湯タンク2上に移動して種籾容器12を温湯タンク2内に降ろしたうえ、移動台車12を作業領域6に戻しておく。温湯タンク2による温湯浸漬処理時間が経過したならば、作業領域6に戻されている移動台車12を作業領域6から温湯タンク2上に移動して種籾容器4を吊り上げて冷水タンク4上まで移動し、種籾容器4を冷水タンク3内に降ろし、移動台車12を再び作業領域6に戻しておく。冷水タンク3による冷却時間が経過したならば、作業領域6に戻されている移動台車12を作業領域6から冷水タンク3上に移動して種籾容器4を吊り上げて作業領域6に移動させ、作業領域6で作業台8の水切り部7で水切りをして種籾を種籾容器4から搬出する。種籾の温湯消毒はこの作業工程を繰り返すことにより連続して行われる。なお、種籾の温湯浸漬の温度は60℃、温湯浸漬時間は10分間、冷却のための冷水温度は常温で浸漬時間は5分間程度である。
【0019】
本発明に係る種籾の温湯消毒装置1によれば、冷水タンク3を挟んで一方に作業領域6を、かつ他方に温湯タンク2を並設し、作業領域6で種籾容器4を吊持して一連の処理系統設備9の末端まで移動させてから、温湯タンク2による温湯浸漬処理、冷水タンク3による冷却処理および作業領域6への戻し工程の順に種籾容器4を昇降および移動させる制御機能を備えていて、作業領域6、温湯タンク2および冷水タンク3の順に一連の処理系統設備9を構成しているので、種籾容器4に種籾を詰め込む作業と温湯消毒を終えた種籾を水切りのうえ種籾容器4から搬出する作業の作業領域を同じ位置とすることができる。このため、種籾の温湯消毒装置1を設置する建屋の有効利用をはかるとともに、作業者の作業行動の効率化をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る種籾の温湯消毒装置を一部破断して示す斜視図である。
【図2】同上昇降機構の内部構造を表した一部破断して示す斜視図である。
【図3】同上正面図である。
【図4】同上平面図である。
【図5】同上側面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 種籾の温湯消毒装置
2 温湯タンク
3 冷水タンク
4 種籾容器
5 自動搬送装置
6 作業領域
7 水切り部
8 作業台
9 一連の処理系統設備
10 架台
11 駆動チェーン
12 移動台車
13 昇降機構
14 駆動モータ
15 スプロケット
16 車輪
17 レール
18、19、20 位置センサ
21 基筒部
22、23 伸縮筒部
24 吊り掛けフック
25 吊りチェーン
26 引き上げ引き下ろし駆動機構
27 駆動モータ
28 スプロケット
29 チェーン外れ防止押さえ部材
30 開口部
31 溝
32 吊り掛けアーム
【出願人】 【識別番号】000132792
【氏名又は名称】株式会社タイガーカワシマ
【出願日】 平成18年11月28日(2006.11.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−131903(P2008−131903A)
【公開日】 平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願番号】 特願2006−320928(P2006−320928)