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【発明の名称】 苗移植機
【発明者】 【氏名】木下 栄一郎

【氏名】勝野 志郎

【氏名】村並 昌実

【氏名】黒瀬 英明

【氏名】土井 宏貴

【氏名】山根 暢宏

【氏名】松岡 実

【氏名】竹本 雅浩

【氏名】大久保 嘉彦

【氏名】東 幸太

【要約】 【課題】苗移植機において乗車して苗補給をする作業者の安全を図る。

【構成】車体(3)の前側から後側にかけて苗植付装置に苗を供給する苗供給装置(24)、乗車用空間部(17)及び歩行用の操縦ハンドル(8)を順次配設し、操縦ハンドル(8)を平面視ループ状に構成する。そして、この操縦ハンドル(8)を左右軸心回りに前側に回動すると、乗車用空間部(17)に乗車している作業者の周辺部を囲うように構成し、歩行用の操縦ハンドル(8)を利用して、乗車作業者の安全を図ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(3)の前側から後側にかけて、苗植付装置(26)に苗を供給する苗供給装置(24)、乗車用空間部(17)及び歩行用の操縦ハンドル(8)を順次配設し、前記操縦ハンドル(8)を平面視ループ状に構成し、該操縦ハンドル(8)を前側に回動すると、前記乗車用空間部(17)の周辺部を囲うように構成したことを特徴とする苗移植機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、苗移植機に関するもので、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
苗移植機において、嘴形状に形成した苗植付装置を植え付け軌跡を描きながら圃場面に向かって下降し、内部に装填している苗を移植床に上方から差し込み土中で前後に開いて植付穴を構成し、その植付穴から苗を落下供給して移植する苗移植装置及び苗供給装置を前後中間部に設け、その後方に操縦ハンドル及び操縦席を設けたものは、公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−6545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、苗移植機において、乗車して苗補給をする作業者の安全性を向上しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、車体(3)の前側から後側にかけて、苗植付装置(26)に苗を供給する苗供給装置(24)、乗車用空間部(17)及び歩行用の操縦ハンドル(8)を順次配設し、前記操縦ハンドル(8)を平面視ループ状に構成し、該操縦ハンドル(8)を前側に回動すると、前記乗車用空間部(17)の周辺部を囲うように構成したことを特徴とする苗移植機とする。
【0005】
前記構成によると、車体(3)には前側から後側にかけて苗植付装置(26)に苗を供給する苗供給装置(24)、乗車用空間部(17)及び歩行用の操縦ハンドル(8)が順次配設されていて、平面視ループ状の操縦ハンドル(8)を左右軸心回りに前側に回動すると、乗車用空間部(17)に乗っている作業者の周辺部を囲う状態となる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明は、ループ状の歩行用操縦ハンドル(8)を左右軸心回りに前側に回動すると、乗車用空間部(17)に乗って苗補給をしている作業者の周辺部を囲う状態となり、乗車している作業者の安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1には苗移植機1の全体側面図、図2にはその平面図である。
苗移植機1は、車体3の後部にはエンジン4を搭載し、車体3のエンジン4の前方にはミッションケース2を設けている。車体3の後部にはミッションケース2の前側部からハンドルフレーム5を上方に延出し、ハンドルフレーム5の上部から後側に向けて延出した後部延出部5aに操作部6を設け、操作部6には操作レバー7,7を設けている。また、後部延出部5aの後側端部に、平面視略U字型のループ状のハンドル8を左右方向の軸8a回りに軸支し、菊座式取付具8bを介して回動調節自在に構成している。エンジン4の上側部をボンネット9で被覆し、エンジン4の回転動力を前記ミッションケース2に伝動している。
【0008】
また、ミッションケース2から左右車輪駆動軸11,11を内装した左右車軸筒体12,12を左右に延出し、その両端部に左右チエンケース13,13の基部をそれぞれ取り付け、左右チエンケース13,13の先端部にケースを貫通して左右車軸14,14を軸支し、左右車軸14,14に左右駆動輪15,15を取り付けている。そして、ミッションケース2から出力した走行動力を、左右車輪駆動軸11,11、左右チエンケース13,13に内装されているチエン伝動装置(図示省略)を経て左右車軸14,14に伝達し、左右駆動輪15,15を駆動するように構成している。
【0009】
左右チエンケース13,13の基部から下方に突出しているアーム12a,12aを、左右方向の連結枠体(図示省略)により連結して一体的に構成し、昇降用の油圧シリンダ16の一端を連結枠体(図示省略)にピン連結し、左右チエンケース13,13を昇降回動するように構成している。しかして、左右チエンケース13,13が基部軸心回りに下方に回動し、先端側の駆動輪15,15が押し下げられると、車体3は上昇して高い位置に調節され、また、左右チエンケース13,13が上方に回動すると、車体3が下降し低い位置に調節される。また、車体3の前側左右両側部には、左右支持車輪19,19を上下調節可能に設けている。
【0010】
車体3のハンドルフレーム5の前方には、補助作業者が乗るステップ17を設け、ハンドルフレーム5の前側には補助作業者用の背もたれ18を設けている。なお、ハンドルフレーム5の背もたれ18の下方には折り畳み自在の座席(図示省略)を設けてもよい。車体3の前後方向中間部左右両側部には、左右チエンケース13,13の上方に位置するように左右補助苗載せ台21,21を設け、移植用の苗を苗箱に入れた状態で載置できるように構成している。
【0011】
また、車体3の前側部には、ステップ17の前方から作業伝動ケース23を立ち上げ、作業伝動ケース23の上部にブラケット23aを介して苗供給装置24を設けている。この苗供給装置24は、この実施形態では、上下共に開口した筒体の下側に開閉可能な底蓋を装備した苗収容体24a,…を、平面視でループ状に連結して配列し、左右方向に長いループ状のガイド杆24bに沿って移動できるように構成し、左右回転機構25,25により順次回転移動するよに構成している。
【0012】
また、苗植付装置26は、前記苗供給装置24の下方に配設されていて、苗供給装置24から苗が落下供給される筒体26aと、筒体26aの下端部に軸支されている嘴形状の前後苗植付部26b,26bと、基部が前記作業伝動ケース23に軸支されていて、先端部に前後苗植付部26b,26bを軸支している上下植付棒26c,26cと、上下植付棒26c,26cを昇降駆動する植付駆動装置26dとにより、構成されていている。
【0013】
そして、筒体26aが上方で受け取った苗を保持した状態で、嘴形状の前後苗植付部26b,26bが圃場面に向かって植え付け軌跡Tを描きながら下降し、嘴形状の前後苗植付部26b,26bが畦に突入して土中で前後方向に開き、筒体26a内の苗を土中に落下し植え付けていく構成である。
【0014】
また、苗供給装置24は、苗植付装置26の上方位置を水平面に沿って回動移動し、苗植え付け作業が終了して上昇してきた筒体26aのすぐ上側に到達すると、苗収容体24aの前記底蓋が開放して内部の苗を筒体26aに上側から落下供給し、次工程の植え付け準備が完了するように構成している。
【0015】
なお、補助作業者は、前記ステップ17上に立ち姿で乗り、苗供給装置24に設けた作業苗載せ台27から苗を苗供給装置24の苗収容体24a,…に順次補給していく。
また、ハンドルフレーム5の後部延出部5aの後側端部には、平面視略U字型のループ状のハンドル8を左右方向の軸8a回りに軸支し、菊座式取付具8bを介して前後回動調節自在に設けている。そして、ハンドル8を図1の実線で示す後方回動状態では、オペレータはハンドル8の後方に位置して、苗移植機1に追従歩行しながら苗移植機1の運転操作をし、また、図1の仮想線で示すように、ハンドル8を前方回動状態にすると、ハンドル8の前端部はハンドルフレーム5の前方に位置し、ステップ17の立ち姿勢の補助作業者の周囲をループ状のハンドル8により覆う状態となる。従って、ハンドル8は補助作業者の安全装置としての機能を果たすことができる。
【0016】
また、前記のように、補助作業者はステップ17で立ち姿勢で後側のハンドルフレーム5の背もたれ18にもたれながら苗の補給作業をするので、足を伸ばした状態で自由な姿勢で苗補給を楽にすることができる。
【0017】
また、ハンドルフレーム5に設ける背もたれ18を、図1に示すように、下部に前方への出っ張り部18aを構成しておくと、補助作業者は出っ張り部18aに軽く座ることもでき、楽な姿勢で苗補給をすることができる。
【0018】
また、図1に示すように、左右駆動輪15,15の軸心近傍上方における左右中央部に、補助作業者用のステップ17を設けているので、補助作業者が乗っても前後バランスの変動が少なく、苗移植機1を安定して走行させることができる。
【0019】
また、ハンドルフレーム5には、ハンドル8及び背もたれ18を取り付ける構成であるので、構成を簡素化することができる。
また、車体3の前側部には、ステップ17の前方から作業伝動ケース23を立ち上げ、この作業伝動ケース23の上下中途部には苗植付装置26を取り付け、上部にはブラケット23aを介して苗供給装置24を取り付けている。そして、車体3には前後方向のレール31を設け、作業伝動ケース23をレール31に沿って前後方向に移動調節できるように構成している、また、ミッションケース2から伸縮自在の作業伝動軸32を介して作業伝動ケース23に作業動力を伝達している。
【0020】
前記構成によると、作業伝動ケース23を前側に移動することにより、補助作業者はステップ17に楽に乗降することができ、また、傾斜地での作業時に前後バランスを変更することができ、傾斜地での作業適応性を高めることができる。
【0021】
次に、図3及び図4に基づき苗移植機1の他の実施形態について、図1及び図2の実施形態の相違点について説明する。
作業伝動ケース23の上部にブラケット23aを介して苗供給装置24を設けている。この苗供給装置24は、この実施形態では、上下共に開口した筒体の下側に開閉可能な底蓋を装備した苗収容体24a,…を、ループ状に連結して配列し、平面視でへ字型の変形ループ状のガイド杆24b,24bに沿って移動するように構成している。そして、ステップ17の前側に位置している中央部分24cと、左右一側に斜め後側に屈曲してステップ17の左右側方に位置し、且つ、駆動輪15の上方に位置する側方部分24dとで構成し、中央部回転機構25a、25a及び側部回転機構25bにより順次回転移動するよに構成している。
【0022】
また、車体3の左右他側部である例えば右側部には、右チエンケース13の上方に位置するように右補助苗載せ台21を設け、移植用の苗を苗箱に入れた状態で載置できるように構成し、右補助苗載せ台21を縦軸21a回りに回動自在に軸支し、右補助苗載せ台21をステップ17の側方に位置する状態、あるいは、後方に回動しステップ17の側方を開放した後方回動状態に切り替えできるように構成している。
【0023】
前記構成によると、補助作業者はステップ17に乗った状態、あるいは、機体の右側を歩行しながら苗補給をすることができる。
また、前記構成によると、補助苗載せ台21を後方回動状態にすると、ステップ17の右側方が開放され、補助作業者のステップ17の乗降が容易になる。
【0024】
また、この苗供給装置24は、上下共に開口した筒体の下側に開閉可能な底蓋装備した苗収容体24a,…を、平面視でへ字型の変形ループ状のガイド杆24b,24bにに沿って移動できるように構成したので、ガイド杆24b,24bを前記ステップ17の前側方及び左側方に沿って配置することにより、ステップ17を広くすることができ、補助作業者が苗収容体24a,…に接触するようなこともなく安全である。
【0025】
また、車体3後部のミッションケース2の前側部からハンドルフレーム5を上方に向けて延出し、ハンドルフレーム5の上端部から後側に向けて延出した後部延出部5aに操作部6を設け、操作部6には操作レバー7,7を設け、後部延出部5aの後側端部に、平面視L字型に屈折したハンドル8を、左右方向の軸8a回りに軸支し、菊座式取付具8bを介して回動調節自在に構成している。
【0026】
前記構成によると、右側の補助苗載せ台21を後方に回動することにより、オペレータが操作部6の左側を歩行しているときにも、補助苗載せ台21から苗供給装置24への苗補給を容易に行なうことができる。
【0027】
図5に基づき苗植付装置26の他の実施形態について説明する。
苗植付装置26は、苗の落下供給される筒体26aと、筒体26aの下端部に軸支されている嘴形状の前後苗植付部26b,26bと、基部が前記作業伝動ケース23に軸支されていて、先端部に前後苗植付部26b,26bを軸支している上下植付棒(図示省略)と、上下植付棒(図示省略)を昇降駆動する植付駆動装置(図示省略)とにより構成されていている。
【0028】
そして、筒体26aに前後苗植付部26b,26bを左右方向のピン26b1で軸支するにあたり、前後苗植付部26b,26bの下部の嘴形状部分には、閉鎖時に前後両端縁が完全に接触しないように微笑のすき間26b2を構成し、また、前後苗植付部26b,26bの軸支部上方の前後両端縁にはゴム体34,34を貼り付け、閉鎖時にストッパとしての機能を果たすように構成している。
【0029】
しかして、前後苗植付部26b,26bが畦に突入して土中で前後方向に開き内部の苗を土中に落下し植え付け、その後にバネ35により前後苗植付部26b,26bが閉鎖される際に、前後ゴム体34,34が接触し衝突を緩和する。従って、大きな音が出ずに、また、ゴム体34,34は前後苗植付部26b,26bの上部に設けていて地面に入らないので、耐久性を高めることができる。
【0030】
また、苗植付装置26を図6に示すように構成してもよい。即ち、前後苗植付部26b,26bが上下動する部位の周囲に設けたフレーム26eには、例えばスポンジ材からなる前後清掃体36,36を前後に取り付け、前後苗植付部26b,26bが上下動する際に、前後清掃体36,36に接触するように構成している。そして、灌水ホース37により前後清掃体36,36及び前記筒体26aに灌水するように構成している。
【0031】
前記構成によると、前後苗植付部26b,26bが水を含んだ清掃体36,36に接触することにより、前後苗植付部26b,26bの側面に付着している泥を拭い取ることができ、植付性能が向上する。
【0032】
また、図7に示すように構成してもよい。即ち、フレーム26eの前後苗植付部26b,26bの後方部位には、左右鎮圧輪38,38を設け、植え付けた苗を左右両側から鎮圧覆土するように構成し、左右鎮圧輪38,38の上方にスポンジからなる清掃体36,36を設け、灌水ホース37により清掃体36,36に灌水するように構成している。
【0033】
前記構成によると、左右鎮圧輪38,38が回転し苗を鎮圧覆土する際に、清掃体36,36により拭われ泥を拭い取ることができ、苗の鎮圧覆土性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】苗移植機の側面図
【図2】苗移植機の平面図
【図3】苗移植機の側面図
【図4】苗移植機の平面図
【図5】苗植付装置の斜視図、断面図
【図6】苗植付装置の斜視図
【図7】苗植付装置の斜視図
【符号の説明】
【0035】
1 苗移植機
3 車体
8 歩行用の操縦ハンドル
17 乗車用空間部(ステップ)
24 苗供給装置
26 苗植付装置
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成18年8月11日(2006.8.11)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−43225(P2008−43225A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−219905(P2006−219905)