トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業

【発明の名称】 農作業車の散布装置
【発明者】 【氏名】矢野 典弘

【氏名】佐伯 英明

【氏名】永井 真人

【要約】 【課題】粒状肥料の散布装置において左右の車輪間及び左右両側の散布量を均等化する。

【構成】ホッパ2には繰出/停止のできる左右繰出バルブ26を設け、左右繰出バルブ26から繰り出された粒状肥料を送風ファン4の風により中央第一ダクト28、中央第二ダクト29及び左右ブーム3L,3Rから、農作業車1の左右車輪間及び左右両側方に散布する。中央第一ダクト28及び中央第二ダクト29には始端部から終端部にかけて複数の散布孔28a,28b、29a,29bを設け、中央第一ダクト28,中央第二ダクト29と左右ブーム3L,3Rの散布率を均等にする。散布孔28a,28b、29a,29bを開閉手段32L,32Rにより開閉し、中央第一ダクト28の散布率を左右ブーム3L,3Rの夫々の散布率と均等にしたり、あるいは、中央第一ダクト3L及び中央第二ダクト29の合計散布率を左右ブーム3L,3Rのそれぞれの散布率とを均等にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作業車(1)のホッパ(2)には繰出あるいは停止のできる左右繰出バルブ(26,26)を設け、前記左右繰出バルブ(26,26)から繰り出された肥料等を送風ファン(4)の風により搬送する屈曲自在の中央第一ダクト(28)及び中央第二ダクト(29)を設け、前記中央第一ダクト(28)の搬送方向を機体右側から左側としてその終端側に左ブーム(3L)を接続し、前記中央第二ダクト(29)の搬送方向を機体左側から右側としてその終端側に右ブーム(3R)を接続し、前記中央第一ダクト(28)及び中央第二ダクト(29)には始端部から終端部にかけて複数の散布孔(28a,28b、29a,29b)を設けて、中央第一ダクト(28),中央第二ダクト(29)と左右ブーム(3L,3R)の散布率を均等にし、前記中央第一ダクト(28),中央第二ダクト(29)の散布孔(28a,28b、29a,29b)からの散布率を、中央第一ダクト(28)、中央第二ダクト(29)のそれぞれの散布率を左右ブーム(3L,3R)のそれぞれの散布率と均等にしたり、あるいは、中央第一ダクト(28)及び中央第二ダクト(29)の合計散布率と左右ブーム(3L,3R)のそれぞれの散布率とを均等にする散布孔(28a,28b、29a,29b)の開閉調節手段(32L,32R)を設け、前記左右ブーム(3L,3R)を農作業車1の機体左右両側近傍に沿う収納姿勢と、左右方向に突出した散布姿勢とに移動させるアクチュエータ(30L,30R)を設けたことを特徴とする農作業車の散布装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体あるいは粒体等の薬剤や肥料等を作物や圃場に散布する農作業車の散布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農作業車の散布装置において、図8に示すように、ホッパaと、ホッパa内の粒状肥料等を繰り出す左右繰出バルブb,bと、左右繰出バルブb,bから繰り出された粒状肥料等を搬送する送風ファンcと、屈曲自在の左右中央ダクトd,dと、左右ブームe,eとを備え、送風ファンcにより左右中央ダクトd,d及び左右ブームe,eを経て肥料等を散布するものは公知である。
【特許文献1】特許第3140826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記農作業車の散布装置にあっては、左右ブームを左右両側に突出した散布作業、及び、左右ブームのいずれか一方を左右両側に突出した散布作業があるが、いずれか一方の散布作業では、農作業車の左右車輪間の左右中央ダクトからの散布量と農作業車の左右側方の左右ブームからの散布量とが均等にならず作物の生長むらが生じるという不具合があった。そこで、この発明はこのような不具合を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、農作業車(1)のホッパ(2)には繰出あるいは停止のできる左右繰出バルブ(26,26)を設け、前記左右繰出バルブ(26,26)から繰り出された肥料等を送風ファン(4)の風により搬送する屈曲自在の中央第一ダクト(28)及び中央第二ダクト(29)を設け、前記中央第一ダクト(28)の搬送方向を機体右側から左側としてその終端側に左ブーム(3L)を接続し、前記中央第二ダクト(29)の搬送方向を機体左側から右側としてその終端側に右ブーム(3R)を接続し、前記中央第一ダクト(28)及び中央第二ダクト(29)には始端部から終端部にかけて複数の散布孔(28a,28b、29a,29b)を設けて、中央第一ダクト(28),中央第二ダクト(29)と左右ブーム(3L,3R)の散布率を均等にし、前記中央第一ダクト(28),中央第二ダクト(29)の散布孔(28a,28b、29a,29b)からの散布率を、中央第一ダクト(28)、中央第二ダクト(29)のそれぞれの散布率を左右ブーム(3L,3R)のそれぞれの散布率と均等にしたり、あるいは、中央第一ダクト(28)及び中央第二ダクト(29)の合計散布率と左右ブーム(3L,3R)のそれぞれの散布率とを均等にする散布孔(28a,28b、29a,29b)の開閉調節手段(32L,32R)を設け、前記左右ブーム(3L,3R)を農作業車1の機体左右両側近傍に沿う収納姿勢と、左右方向に突出した散布姿勢とに移動させるアクチュエータ(30L,30R)を設けたことを特徴とする農作業車の散布装置とする。
【0005】
前記構成によると、農作業車1のホッパ(2)から左右繰出バルブ(26,26)により繰り出された肥料等は送風ファン(4)で発生した風により屈曲自在の中央第一ダクト(28)、左ブーム(3L)で搬送しつつ散布され、また、中央第二ダクト(29)、右ブーム(3R)で搬送しつつ散布される。また、図1に示すように、例えば、左ブーム(3L)を機体側方に沿うように収納して散布停止状態とし、右ブーム(3R)を機体右側方に突出し、中央第二ダクト(29)の散布孔(29a,29b)を開口状態とし、中央第二ダクト(29)、右ブーム(3R)に肥料等を搬送すると、中央第二ダクト(29)から農作業車1の下方に、また、右ブーム(3R)から機体右側方に肥料等を均等に散布することができる。また、図3に示すように、左右ブーム(3L,3R)を左右両側方に突出し、中央第一ダクト(28)の散布孔(28a)及び中央第二ダクト(29)の散布孔(29a)を閉鎖すると共に、中央第一ダクト(28)の散布孔(28b)及び中央第二ダクト(29)の散布孔(29b)を開口状態とし、中央第一ダクト(28)、中央第二ダクト(29)、左右ブーム(3L,3R)に肥料等を搬送すると、中央第一ダクト(28)と中央第二ダクト(29)の合計散布率と左右ブーム(3L,3R)それぞれの散布率とを均等にしながら肥料等を散布することができる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明は、左右ブーム(3L,3R)を左右両側に突出した幅広散布作業、及び、左右ブーム(3L,3R)のいずれか一方を左右両側に突出した幅狭散布作業でも、中央第一ダクト(28)、中央第二ダクト(29)からの農作業車1の左右車輪間の散布率及び農作業車1の左右両側の左右ブーム(3L,3R)それぞれからの散布率を均等化し、作物の生長むらを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施例を図1及び図2に基づき説明する。図1には本発明を具備する農作業車1の全体平面図、図2には農作業車1の背面図が図示されている。
農作業車1には、粒状肥料を収納するホッパ2と、散布孔を備えた左右ブーム3L,3Rと、前記ホッパ2内の粒状肥料を左右ブーム3L,3Rに送る送風ファン4等からなる散布装置6を装着している。
【0008】
農作業車1は次のように構成している。農作業車1には前後方向に沿った左右の主フレーム8,8を平行に設け、主フレーム8,8の前側部左右両側に左右前輪9,9を、後側部左右両側に左右後輪11,11を設けている。この左右の主フレーム8,8上にはオペレータが足を置くフロア12を設け、フロア12上には左右のブレーキぺダル13,13及びクラッチぺダル14を設けている。
【0009】
車体前側部のボンネット16内にはエンジン(図示省略)を搭載し、エンジン(図示省略)の動力を主クラッチ(図示省略)を介してミッションケース18に伝達し、ミッションケース18内のHST(静油圧式無段変速装置、図示省略)及び副変速装置(図示省略)を経て前輪9,9及び後輪11,11に伝達している。なお、図面は省略したが、エンジンの排気口からの排気をパイプによりラジエータの防塵網部に導き、防塵網部に付着した塵埃類を除去するように構成すると、エンジンのオーバーヒートを防止できる。
【0010】
ボンネット16の後側部にはハンドル21を設け、ハンドル21の後方に運転席19を設けている。また、ボンネット16の後側部に表示パネル23を設け、運転席19の左側には無段変速レバー(図示省略)を設け、運転席19の右側には散布操作パネル24を設け、主フレーム8の運転席19の左右両側には乗降用のステップ25,25を設けている。
【0011】
散布装置6を構成するホッパ2を運転席19の後方に配設し、ホッパ2の上部には粒状肥料を投入する投入口を設け、ホッパ2下部の左右両側に左右繰出バルブ26,26を設け、PTO動力がPTO軸(図示省略)、繰出伝動装置26a、繰出クラッチ26b,26bを介し左右繰出バルブ26,26に伝達される。また、ホッパ2の後方には送風ファン4を配設し、PTO軸(図示省略)からファンベルト伝動装置4aを介して動力が伝達され送風ファン4が駆動される。送風ファン4で生起した風は送風路27に送られ、送風路27の中途部で左右繰出バルブ26,26から繰り出された粒状肥料を受けて終端側に搬送するように構成している。
【0012】
送風路27の終端側右側の左送風口27aには、屈曲自在の中央第一ダクト28の始端側を接続し、中央第一ダクト28の終端側を平面視でホッパ3、送風ファン4の後側を通って機体左側に延出し、その端部に左ブーム3Lの始端側に接続している。また、中央第一ダクト28の始端部及び終端部に複数の散布孔28a,28bを設け、この散布孔を畦31,…の中間部上方に配置し、中央第一ダクト28の散布孔28a,28bからの散布率と左右ブーム3L,3Rの散布率とが均等になるように構成している。
【0013】
また、送風路27の終端左側の右送風口27bには、屈曲自在の中央第二ダクト29の始端側を接続し、その終端側を平面視でホッパ3、送風ファン4の後側を通って機体右側に延出し、中央第一ダクト28と中央第二ダクト29とを上下方向にずらし平面視で交叉するようにて左右に延長し、中央第二ダクト29の終端側に右ブーム3Rの始端側を接続している。そして、中央第二ダクト29の始端部及び終端部に散布孔29a,29bを設け、この散布孔29a,29bを畦31,…の中間部上方で、且つ、中央第一ダクト28の散布孔28a,28bに前後方向に沿うように配置し、中央第二ダクト29の散布孔29a,29bからの散布率と左右ブーム3L,3Rの散布率とを均等になるように構成している。
【0014】
また、左右ブームシリンダ30L,30Rを伸縮させることにより、左右ブーム3L,3Rを農作業車1の左右両側に接近した前後方向に沿う収納姿勢と、左右方向に突出した散布姿勢とに移動調節可能に構成している。
【0015】
前記構成によると、図1に示すように、例えば、左ブーム3Lを機体側方近傍に収納し、右ブーム3Rだけを右外側に突出した散布姿勢とし、右繰出バルブ26からだけ粒状肥料を繰り出し散布する。すると、農作業車1の機体部分(左右の車輪の間)には中央第二ダクト29の始端部の散布孔29a及び終端部の散布孔29bから粒状肥料を散布し、農作業車1の右側部分は右ブーム3Rの散布孔から粒状肥料を散布し、農作業車1の走行部分及び右側部分に粒状肥料を均等に散布し作物の生長むらを抑制できる。
【0016】
また、図4に示すように、散布操作パネル24には左右繰出クラッチレバー36L,36Rを設け、左右繰出クラッチレバー36L,36Rと左右繰出クラッチ26b,26bと左右操作ワイヤ38L,38Rを介して連動連結している。また、中央第一ダクト28の始端部の散布孔28a及び中央第二ダクト29の始端側の散布孔29aには、左右シャッタ32L,32Rを開閉自在に設けている。そして、運転席19の左右両側には左右散布孔開閉レバー33L,33Rを設け、左右シャッタ32L,32Rをそれぞれ開閉するように構成している。
【0017】
また、左右シャッタ32L,32Rの開閉構成を図5に示すように構成してもよい。噴霧操作パネル24には単一の散布孔開閉レバー33を設け、散布孔開閉レバー33と左右シャッタ32L,32Rとの間を、第一ロッド34a、アーム34b、軸34c、左右アーム34d,34d、左右ロッド34e,34eを介して連動連結し、左右シャッタ32L,32Rを同時に開閉するように構成している。
【0018】
前記構成によると、図3に示すように、左右ブーム3L,3Rを左右両側に突出した左右幅広散布状態とし、単一の散布孔開閉レバー33により左右シャッタ32L,32Rを閉調節し、中央第一ダクト28の始端部の散布孔28a、及び、中央第二ダクト29の始端側の散布孔29aを閉鎖し、中央第一ダクト28の終端部の散布孔28b、及び、中央第二ダクト29の終端側の散布孔29bだけから粒状肥料を散布し、左右ダクト3L,3Rから粒状肥料を散布する。すると、幅広の均等散布をし、作物の生長むらを抑制することができる。
【0019】
また、左右ブーム3L,3Rの基端部にロードセル(図示省略)を設け、このロードセルを散布操作パネル24のコントローラ41に接続し、ロードセルが所定値以上の歪みを検出すると、表示パネル23の表示部にその旨表示したり、あるいは、HST(図示省略)に減速指令を出力し走行速度を減速するように構成してもよい。このように構成することにより、左右ブーム3L,3Rの切損を防止し耐久性を高めることができる。
【0020】
次に、図6に基づきステップ25の他の実施例について説明する。主フレーム8における運転席19の左右両側には、乗降用のステップ25を着脱自在に設けている。このステップ25は、左右ステップ枠体25a,25aと、左右ステップ枠体25a,25aに取り付けている上下複数のステップ板25b,…と、左右ステップ枠体25a,25aの上端部を屈折した左右取付部25c,25cにより構成されている。また、主フレーム8側には前後支持筒51,51を設け、前後支持筒51,51にステップ25の左右取付部25c,25cを挿入し、ピン52、52により抜け止めしている。
【0021】
しかして、農作業車1の通常作業時には、図6の実線で示すように、ステップ25を吊下状に支持し、また、農作業車1のメンテナンス時には、点線で示すようにステップ25を上方に突出するように支持すると、ステップ25が邪魔にならず、農作業車1の下方のメンテナンス作業を円滑に行なうことができる。
【0022】
次に、図7に基づきクラッチぺダル14の他の実施例について説明する。
主フレーム8にはクラッチぺダル14を枢支し、クラッチぺダル14のクラッチ作動片14aとクラッチハウジング53内の主クラッチ(図示省略)を作動するクラッチヨーク54との間を、クラッチアーム56、クラッチロッド57により連動連結している。また、クラッチ作動片14aの先端部とクラッチロッド57の一端部との間をピン58及び長孔59により融通を持たせて連動連結して、クラッチぺダル14の初期踏込み時には主クラッチ(図示省略)の切り作動はせずに、その後の第二段の踏込み作動により切り作動するように構成している。
【0023】
また、クラッチぺダル14のHST作動片14bとミッションケース18内のHST(静油圧式無段変速装置、図示省略)の変速用のトラニオン軸61との間を、トラニオンアーム62、トラニオンワイヤ63を介して連動連係している。また、トラニオンアーム62は運転席19の近傍に設けた変速レバー(図示省略)により操作可能に構成されている。
【0024】
前記構成によると、クラッチぺダル14が図示の状態では、主クラッチ(図示省略)は接続状態でにあり、HST(図示省略)は所定の前進変速状態にある。この状態からクラッチぺダル14を反時計方向に第一段の踏込みをすると、クラッチぺダル14のHST作動片14bは反時計方向に回動し、トラニオンワイヤ63、トラニオンアーム62を介してトラニオン軸61が減速側に回動し、HST(図示省略)が減速変速される。このときに、クラッチ作動片14aのピン58がクラッチロッド57の長孔59の前側端部に当接した状態となる。
【0025】
次いで、クラッチぺダル14の第二段の踏込みをすると、トラニオンワイヤ63、トラニオンアーム62を介してトラニオン軸61は二段目の減速変速がされて中立位置に復帰しHST(図示省略)は停止状態となり、また、クラッチアーム56、クラッチロッド57を介しクラッチヨーク54が回動し、主クラッチ(図示省略)が切り状態となる。
【0026】
従って、単一のクラッチぺダル14により、HST(図示省略)減速、停止及び主クラッチ(図示省略)の切り操作まで行なうことができ、操作の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】農作業車の平面図
【図2】農作業車の背面図
【図3】散布装置の平面図
【図4】散布装置の平面図
【図5】散布装置の平面図
【図6】ステップの正面図、側面図
【図7】クラッチぺダルの側面図
【図8】農作業車の散布装置の従来構成を示す平面図
【符号の説明】
【0028】
1 農作業車
2 ホッパ2
3L,3R 左右ブーム
4 送風ファン
26 左右繰出バルブ
28 中央第一ダクト
28a,28b、29a,29b 散布孔
29 中央第二ダクト
30L,30R アクチュエータ(左右ブームシリンダ)
32L,32R 左右開閉調節手段(左右シャッタ)
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成18年7月31日(2006.7.31)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−29305(P2008−29305A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−209255(P2006−209255)