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【発明の名称】 点播装置
【発明者】 【氏名】佐伯 正文

【氏名】山口 亮

【氏名】是久 正喜

【氏名】浅野 士郎

【要約】 【課題】1株分の種子等の粉粒体の単位繰出し量を確保しつつ、共に繰出された個々の粉粒体要素の繰出しタイミングの時間差が短縮されて高精度の点播動作による間歇播種が可能となる点播装置を提供する。

【構成】点播装置は、所定量の粉粒体を収容する繰出溝54を穿設して回動動作する繰出回転体21と、この繰出回転体21に臨んでその繰出溝54に粉粒体を供給する供給部20と、同繰出回転体21に臨んでその繰出溝54から粉粒体を受け取る排出部22とを備えて構成され、上記繰出回転体21には、その繰出溝54が供給部20に臨む位置を低速で回動駆動し、また、排出部22に臨む位置を高速で回動駆動する回動制御手段を備えて排出部22から受けた粉粒体を圃場面に間歇播種するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の粉粒体を収容する繰出溝(54)を穿設して回動動作する繰出回転体(21)と、この繰出回転体(21)に臨んでその繰出溝(54)に粉粒体を供給する供給部(20)と、同繰出回転体(21)に臨んでその繰出溝(54)から粉粒体を受け取る排出部(22)とを備えて同排出部(22)から受けた粉粒体を圃場面に間歇播種する点播装置において、上記繰出回転体(21)には、その繰出溝(54)が供給部(20)に臨む位置を低速で回動駆動し、また、排出部(22)に臨む位置を高速で回動駆動する回動制御手段を備えることを特徴とする点播装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタや田植機等に併設されて種子等の粉粒体を圃場に点播する点播装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
点播装置は、特許文献1に示すように、所定量の種子を収容する繰出溝を穿設して回動動作する繰出回転体と、この繰出回転体に臨んでその繰出溝に種子を供給する供給部と、同繰出回転体に臨んでその繰出溝から種子を受け取る排出部とを備えて構成される。この点播装置は、繰出回転体が回動すると、その繰出溝が供給部に臨んで所定量の種子を収容し、さらに回動して排出部に臨むことによりその所定量の種子が排出される。
【0003】
上記点播装置をトラクタや田植機等に併設して圃場を牽引走行し、その走行速度と対応して同点播装置の繰出回転体を回動駆動することにより、種籾等の種子を所定の株間ピッチで圃場に間歇播種することができる。
【特許文献1】特開2005−130800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記点播装置は、繰出回転体の回転によって種子が排出される際は、その繰出溝の一部が排出部に掛かってから全量の排出までの間において個々の種子の排出タイミングに時間差を生じることから、1株としてまとめて播種されるべき1団の種子が粗密状に長く延びて播種されることとなり、必要な間歇精度による集中点播が確保できないという問題があった。これは圃場に施用される肥料薬剤を含む粉粒体に共通するものである。
【0005】
本発明の目的は、1株分の種子等の粉粒体の単位繰出し量を確保しつつ、共に繰出された個々の粉粒体要素の繰出しタイミングの時間差が短縮されて高精度の点播動作による間歇播種が可能となる点播装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、所定量の粉粒体を収容する繰出溝(54)を穿設して回動動作する繰出回転体(21)と、この繰出回転体(21)に臨んでその繰出溝(54)に粉粒体を供給する供給部(20)と、同繰出回転体(21)に臨んでその繰出溝(54)から粉粒体を受け取る排出部(22)とを備えて同排出部(22)から受けた粉粒体を圃場面に間歇播種する点播装置において、上記繰出回転体(21)には、その繰出溝(54)が供給部(20)に臨む位置を低速で回動駆動し、また、排出部(22)に臨む位置を高速で回動駆動する回動制御手段を備えることを特徴とする。
【0007】
上記構成により、繰出回転体が回動すると、その繰出溝が供給部に臨んで所定量の粉粒体を収容し、さらに回動して排出部に臨むことによりその所定量の粉粒体が排出され、この時、低速で繰出溝が供給部に臨むことにより所定量の粉粒体が確実に繰出溝に充填され、また、高速で排出部に臨むことにより、短時間で所定量の粉粒体が繰出される。
【発明の効果】
【0008】
上記点播装置は、所定量の粉粒体が確実に繰出溝に充填され、また、短時間で所定量の粉粒体が繰出し排出されることから、1株分の繰出し量を確保しつつ、共に繰出された個々の粉粒体の繰出しタイミングの時間差が短縮されて高精度の点播動作による間歇播種が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
上記技術思想に基づいて具体的に構成した発明の実施形態について、以下に図面に沿って詳細に説明する。
本発明を田植機に適用した場合について説明すると、その走行車体2は、図1の機体側面図に示すように、ステアリングハンドル13で操向自在の前車輪10と、後車輪8を有し、運転席14下のエンジンカバー15下に搭載されるエンジン1によって伝動装置30を介して四駆走行可能に伝動される。この車体2の後部には施肥装置4が搭載され、さらに、走行車体2の後部に油圧で伸縮されるリフトシリンダ16によって昇降されるリフトリンク12を設け、このリフトリンク12の後端のヒッチリンク17にローリング軸18を介して播種装置6を装着する。これら作業機動力を含む伝動系は、前記エンジン1から後車輪8の車軸31、前車輪10の車軸32、及びPTO軸3等へ伝動される。
【0010】
(変速伝動部)
上記伝動機構の概略構成は、図2の伝動系統展開図に示すように、ミッションケース30の入力軸34がエンジン1からベルト33で伝動され、この入力軸34からは、変速ギヤ35を有する変速軸36、カウンタ軸37,38等を経て、後輪デフ(差動ギヤ)39を有するデフ軸40へギヤ伝動する。このデフ軸40の左右両端部から後輪駆動軸9をギヤ伝動し、アクスルハウジング41内のギヤを介して車軸31へ伝動する。該後輪デフ39の入力側から減速してさらに前輪デフ47が伝動され、左右両側のアクスルハウジング48内の前輪駆動軸11へギヤ伝動されて、車軸32へ伝動される。
【0011】
また、該カウンタ軸37からは、カウンタ軸42、変速ギヤ43、44を有する変速軸45、及びカウンタ軸46等を介してPTO軸3へギヤ伝動する。このPTO軸3の中間部にはギヤケース49を有する。従って、ミッションケース30内において走行用伝動経路と作業用伝動経路とに伝動が分岐される構成となっており、前記カウンタ軸42、変速軸45、カウンタ軸46及びPTO軸3等により作業用伝動経路が構成されている。前記ギヤケース49の後側に位置するPTO軸3の後端部には、作業用伝動経路からの伝動を農作業装置へ伝動するための作業用伝動軸(不図示)を装着することができる。
【0012】
尚、車体2の走行速度は、エンジン1の回転数を変更するスロットルレバ−や変速ギヤ35を操作してミッションケース30内の伝動比を変更する変速レバ−等により、作業者が適宜変更できる。また、施肥装置4、播種装置6は、回転制御される電動モータによって駆動する。
【0013】
(播種装置)
次に、播種装置6は、拡大側面図を図3に示すように、上記ローリング軸18と接続するフレーム19により、播種条単位で種子を送出する種子供給機構である点播機構6aを条数分並列支持するとともに、圃場面を整地するフロート24、条間に水路を形成する後述の溝切器27、接地輪29等を備えて構成される。また、上記フロート24には、その下面側から播種するべき条位置に突出して種子の埋込溝を刻む作溝器98を設け、これら各作溝器98と対応してそれぞれの直後位置に点播機構6aから種子を受ける。
【0014】
(点播機構)
点播機構6aは、種子を収容するホッパ20、一定量の種子を繰り出す繰出ロール(繰出回転体)21、繰出種子を落下案内する播種筒22、この播種筒22内の種子を加速送出する掻出輪23等から構成され、播種筒22に接続する放出筒60の下端を各作溝器98の直後位置に臨んで配置する。
【0015】
点播機構6aの駆動系は、各条の繰出ロール21を配置する繰出軸51と、各掻出輪23を配置の掻出軸52とを有し、これらの軸51,52がモータの軸53からチエン伝動され、条数分が並列配置された点播機構6aを一体に駆動する。
【0016】
(繰出機構)
上記繰出ロール21は、一定回転角度毎に所定粒数の種子を繰出すための繰出溝54を形成し、その回転によって種子の移送繰出しを行う。
詳細には、図4の要部拡大縦断面図に示すように、繰出ロール21の繰出溝54の底部には跳出装置61として跳出アーム62がアーム軸63周りに回動自在に設けられ、基部ストッパー66の可動範囲内でスプリング62aによって繰出溝54の底側へ弾発される。又、繰出軸51の周りにはカムアーム64が嵌合支持されて、このアーム64の先端のカムローラ65にこの跳出アーム62の回転域を接当させて、繰出溝54の底部から外周部へ突出作動させることができる。
【0017】
カムローラ65の位置は、繰出軸51の下方位置にあって、この繰出溝54から跳ね出される種子の跳出方向Aが、播種筒22の案内壁22aの下方に沿って鋭角Bになるように設定する。また、繰出ロール21の回転面を掻き均すためにスクレ−パブラシ72を設ける。
【0018】
上記構成の繰出ロール21が回転されると播種ホッパー(供給部)20の種子がスプリング62aで退没する跳出アーム62位置の繰出溝54に嵌合されて回転され、スクレ−パブラシ72で掻き均されて、所定粒数の種子が下側の播種筒(排出部)22側へ繰出される。この繰出溝54が下側象限に位置すると、穴底部に位置する跳出アーム62がカムローラ65に作用されてスプリング62aに抗して外方へ押されて、この繰出溝54内の種子を下方の案内壁面22aへ向けて放出Aさせる。この種子の放出方向Aは播種筒22の案内壁22aに沿って鋭角Bに向うため、種子の放出力を減速させることが少く、衝撃力を少くして下方の掻出輪23側へ繰り出すことができ、所定粒数の種子をできるだけ散乱させないようにして、まとめた状態で繰り出すことができる。
【0019】
上記繰出ロール21の回転制御については、図14(a)の第1例の作用説明図に示すように、上記繰出溝54に籾を受ける播種ホッパー20に臨む範囲Bを低速で、次いで、繰出溝54から籾が落ちる播種筒22に臨む範囲Aを高速で回動駆動する。この場合、繰出ロール21に1カ所の繰出溝54を形成し、繰出ロール21が1回転する間に1度ずつ加減速し、範囲Aの頂点位置Sでは最高速で、範囲Bの頂点位置Tでは最低速に回動制御する。
【0020】
上記構成により、播種ホッパー20から繰出ロール21の繰出溝54に籾が落ちる時にはスピードが遅くなるので繰出し量が安定し、また、繰出溝54から籾が播種筒22に落ちる時にまとまって落ちることから点播形状の形成が容易となる。したがって、加速用の掻出輪23を介して更に点播形状の形成が容易となり、また、繰出溝54が1カ所なので、繰出ロール21の偏心の構成が容易である。
【0021】
このように、低速で繰出溝54が供給部20に臨むことにより所定量の種子が確実に繰出溝54に充填され、また、高速で排出部22に臨むことにより、短時間で所定量の種子が同排出部22に繰出される。したがって、1株分の繰出し量を確保しつつ、共に繰出された個々の種子の繰出しタイミングの時間差が短縮されて高精度の点播動作による間歇播種が可能となる。
【0022】
次に、繰出ロール21に2カ所の繰出溝54を形成した場合は、図14(b)の第2例の作用説明図に示すように、繰出溝54が中心に対して対称にあるため偏心が容易で、しかも、繰出溝54が前記例より多いことから繰出ロール21の回転速度を抑えることができ、その結果、籾のコーティングを傷めないという利点がある。
【0023】
また、図14(c)の第3例の作用説明図に示すように、繰出ロール21の高速回転速度範囲Aと低速回転速度範囲Bを配置し、繰出溝54の位置に応じて繰出ロール21の回転を駆動制御することにより、前記同様に、播種ホッパー20から繰出ロール21の繰出溝54に籾が落ちる時にはスピードが遅くなるので繰出し量が安定し、また、繰出溝54から籾が播種筒22に落ちる時にまとまって落ちることから点播形状の形成が容易となる。したがって、掻出輪23の加速作用を受けることによって更に点播形状の形成が容易となる。
【0024】
繰出ロールの別の構成例について説明すると、図15の作用説明図に示すように、播種ホッパー20aを繰出ロール21の回転中心軸51より進行方向前側に構成する。このように構成することにより、籾の流れが全て繰出しロール中心軸51より進行方向前側となることから、種籾が繰出溝54に落ちている時間・距離が短いため、籾のコーティングを傷めることが少ない。
【0025】
(繰出計測部)
また、点播機構6aの繰出量の計測のために、図5(a)の縦断面図に示すように、繰出ロール21と掻出輪23との間に切換弁付きの取出口28aを形成し、播種時と計測時で切換えて使用する。従来は、圃場面に放出される種子を放出筒60の出口でビニール袋で受けて繰出量を計測していたことから、掻出輪23によって籾が損傷され、再使用ができなかったが、上記取出口28aを繰出ロール21の直後に設けることにより掻出輪23による損傷を受けないので、計測後の籾を再使用することができる。
【0026】
また、網状の可動ストッパ付きの取出口28bを繰出ロール21の直後位置に、また、図5(b)の縦断面図に示すように、掻出輪23を備えない構成のものにおいては籾を搬送するホース22hの途中に設けることにより、ワンタッチで試し繰出しと播種の切換えが可能となり、ビニール等を使用せずに試し繰出しが可能となる。
【0027】
(掻出輪)
掻出輪23は、播種筒22の下部で種子を受ける位置に設けられ、回転周面は鋸歯状の突子73が形成されて、各突子73間に数粒の種子を嵌合させて回転により下方の放出筒60へ放出することができる。この掻出輪23は掻出軸52によって回転され、突子73の回転に対してその接線方向に向けた播種筒22とケース74とを一体に構成する。
【0028】
上記繰出軸51及び掻出軸52を駆動するモータは、電動モータや、ステッピングモータ、油圧モータ、又はパルスモータ等が用いられて、後述の回転センサ7の検出によって、コントローラからの出力によって可変的に駆動回転される。この回転センサ7は、前記ミッションケース30部の適宜回転部の回転数を検出する構成となっている。定常作業モ−ドでは、この回転センサ7の検出する回転数に比例してモータの出力回転を増減して、点播間隔を一定にする。従って、前後点播間の距離間隔が一定に維持されるように播種される。このため回転センサ7による検出する箇所が車速検出であるため、この車速の変化に拘らず、車速に比例して点播速度が変更制御されて、点播間隔が一定に維持されるように制御される。
【0029】
繰出ロール21によって繰り出された種子は、掻出輪23の突子73間に係合されて、放出筒60へ加速放出される。このとき間歇的に繰り出される種子は散乱することなく少ない突子73間に係合されて放出される。このため放出筒60を案内されて土壌面に放出される所定粒数の種子は点播状態として播種される。尚、掻出輪23及び放出筒60は、播種位置と同じ左右位置に配置して左右に傾斜させないようにし、圃場への種子の放出及び打込が適正に行われるようにし、適正な播種位置及び播種深さで圃場に播種されるようにしている。
【0030】
上記掻出輪23の突子73は、図6の突子形状に示すように、籾の加速後にディスクからの離れをよくするように突子を形成することにより、籾の落下速度を上げてまとめて落とすことができる。
【0031】
また、掻出輪の別構成例について説明すると、図16(a)の作用説明図に示すように、掻出輪23aの回転中心軸52の近傍に繰出ロール21からの供給路22bを配置するとともに、図16(b)の要部拡大斜視図に示すように、回転盤23aに放射状フィン23fを設けて掻出輪を構成する。
【0032】
上記構成により、籾は繰出ロール21から自由落下で回転中心52に供給され、外周位置の放出速度までの間で徐々に加速されるので、鋸刃状の外周突子73による大きな加速衝撃を受けることがなく籾の損傷を小さく抑えることができる。
【0033】
(フロート)
フロート24は、図7の要部平面図に示すように、播種するべき条幅(図例は6条幅)をカバーする範囲を分割してヒッチリンク17により並列支持することにより、その滑走動作により整地面を形成する。複数分割のフロート24は左右方向軸により上下動自在に設けられ、複数のフロート24のうちの左右中央のフロート24には該フロート24の上下傾斜姿勢を検出するフロ−ト迎い角センサ(不図示)を設けている。このフロ−ト迎い角センサの検出値が所定の不感帯内に維持されるように昇降バルブ(不図示)を制御してリフトシリンダ16を作動させ、圃場に凹凸があっても播種装置6を所定の対地高さに維持する構成となっている。
【0034】
フロート24には、機体の前進により圃場の播種位置に播種溝を作溝する作溝器98とその溝に覆土する覆土板99とを設け、条間位置には落水溝を切る溝切器27を配置する。作溝器98と覆土板99は、播種条位置に配置され、放出筒60から放出される種子が作溝器98で作られた溝に供給された後、覆土板99により溝底の種子の上に覆土する。
【0035】
覆土板99は、溝の左右一側方となる位置に設けられ、機体の前進により溝の左右一側方から土壌を押し出して覆土する。覆土板99の溝側となる側端面は、溝側が凸となる曲面形状であり、土壌を後方へ円滑に逃がしながら溝側へ押し出し、溝を確実に且つ適正に覆土でき、播種深さを安定させることができる。従来は、覆土板の溝側となる側端面が直線状であるので、後方へ土壌が逃げにくく、その分側方への土壌の押し出しが強くなり、溝を超えて該溝の反対側まで土壌が押し出され、溝が確実に覆土されなくて播種深さが不適正になったり、押し出された土壌が溝の反対側で盛り上がり、以降の栽培に悪影響を与えるおそれがある。
【0036】
(作溝器)
作溝器98は、具体的には、図8の部分破断を含む拡大側面図(a)、底面図(b)に示すように、放出筒60の下端部を受けてその左右の両外側を画成する投入部98aと、この投入部98aの進行前側にフロート24の下方に突出して土壌に溝を形成する刃部98bを設けて構成する。この刃部98bを後下がりに傾斜して形成するとともに、上記フロート24に対して突出位置調節可能にその前端側を回動支持部98cによって軸支する。
【0037】
上記のように作溝器98を構成することにより、圃場面を滑走進行されるフロート24によって圃場面が整地され、その下方の土壌内に突出する刃部98bによりフロート下方の整地圃場面に溝が形成され、その直後位置に臨む放出筒60を備える種子供給機構6aによって所定量の種子が供給されることにより溝内に種子が排出される。この場合において、図9の深さ調節例(a〜c)のように、ピン98pの差し替えで溝深さを変更保持できるように構成する。
【0038】
上記作溝器98の突出位置を調節すると回動支持部98cによって刃部98bの傾斜変化を伴って溝深さが調節され、すなわち、溝が深くなるほど刃部98bの傾斜が急になって上方作用力による全体の浮き上がりが抑えられることから、調節した通りに所望の溝深さが確保される。
【0039】
また、上記作溝器98は、図10の別の構成例に示すように、傾動操作用のレバー98dを設け、深さを5〜25mmの範囲について籾長さの半分の1.5mm幅で調節可能とすることにより、地域条件や圃場条件に合わせて播種深さを容易に調整することができる。
【0040】
また、作溝器98は、図11の要部平面図(a)、側面図(b)に示すように、投入部98aをその後方に長く延長して構成する。上記投入部98aは、その後方に長く延長して放出筒60の左右両外側を画成して種子を受けることによって泥や水が溝内に入るタイミングを遅らせることにより、溝底に排出された種子がある程度の距離まで覆土されないので、その上方からの目視により、播種量、ピッチ、深さ等の播種状況を確認することができる。
【0041】
投入部98aの長さは、大略播種ピッチの長さの範囲であり、放出筒60による投入位置から後方に株間ピッチに合わせた目盛り98eを側面に表示することにより、播種ピッチを定量的に把握することができ、また、図11(c)の側面図に示すように、投入部98aの下端から深さ方向にmm単位の目盛り98fを側面に表示することにより、播種深さおよび覆土、泥寄せの程度を目視確認することができる。
【0042】
(溝切器)
溝切器27は、播種条間に昇降可能に配置され、その要部側面図(a)、平面図(b)を図12に示すように、放出筒60による投入位置から後方の株間ピッチ位置の範囲に溝切器27を配置し、その側面に上記目盛り98e,98fを形成することによっても、前記同様の効果を得ることができる。
【0043】
上記溝切器27の昇降方法は、植付クラッチを切ると連動して上昇位置に収納されるように構成する。例えば、図17の操作系統図に示すように、溝切器27の支持アーム27aをフロート24に儲けた支点27sによって軸支するとともに、植付クラッチレバー27mとケーブル27cによって連結する。
【0044】
上記のように構成することにより、圃場における機体後進時や搬送トラックに対する積み降ろし作業の際に、確実かつ迅速に処理することができる。また、上記支持アーム27aには収納保持用のフック27hを運転席のレバーまたはスイッチによって解除可能に構成することにより、枕地走行等の溝切器27をあまり使用しない場合に、煩わしい収納作業を要することなく、随時、必要に応じて運転席から溝切器27の昇降切換ができる。
【0045】
また、別の昇降方法として、溝切器27の支持アーム27aを昇降するケーブル27cに油圧シリンダ等のアクチュエータを連結し、このアクチュエータを植付部等の作業部の昇降動作と連動制御するように構成する。
【0046】
上記制御構成による溝切器27は、作業部の上昇動作と連動して上昇動作し、作業部の下降動作と連動して作業位置に下降動作することから、機体から降りて手動で溝切器27を収納する従来の煩雑な作業を回避でき、また、高畦の近傍における機体旋回時に溝切器27が高畦に当たって破損する事態を回避することができるので、このような機体の取扱性の向上によって作業能率を上げることができる。
【0047】
次に、溝切器の別の構成形態について説明する。
溝切器55は、その要部正面図(a)、側面図(b)を図18に示すように、圃場面に溝を切るソロバン玉状の溝切部55rとその両側位置を画成する鉄製の一体円板による左右の仕切部55d、55dとを横軸55cによって軸支して溝切ロータを構成し、これをフロート24の前側に配置する。左右の仕切部55d、55dは、その外径寸法を溝切部55rより少し大径に形成する。
【0048】
上記構成の溝切器55は、仕切部55d、55dが溝切部55rとともに圃場面を転動し、この時、溝切部55rがその両側方に排除した泥をその範囲内に留めることにより、隣接する播種溝への影響を抑えつつ落水溝を圃場面に穿設することができる。
【0049】
(回転センサ支持)
次に、前記回転センサ7について説明する。
回転センサ7は、前記ミッションケース30における伝動回転部の回転数を検出するピックアップセンサであり、PTO軸3のミッションケース30からの取出部に設けられ、PTO軸3の回転速度を検出する。従って、回転センサ7が、作業用伝動経路における伝動速度を検出して走行車体の走行速度を判断する走行速度センサとなる。PTO軸3は施肥繰出装置26へ伝動するが、施肥伝動の負荷は比較的小さく、負荷変動があっても回転センサ7の検出に与える影響は小さく、回転センサ7の検出精度を高く維持して検出を安定させることができる。
【0050】
回転センサ7の取付け部は、図13の要部拡大図に示すように、植付ドライブシャフト(PTO軸)3に軸受を設けて回転センサ7を取付ける。具体的には、伝動装置30からバネ材の支持プレート7sを介して取付ける。上記構成とすることにより、植付ドライブシャフト3が振れた場合でも、支持プレート7sによってシャフト側の検知部とセンサとの位置関係が維持されることから、速度検知精度を向上することができる。
なお、以上における「播種」は、対象を種子に限定するものではなく、肥料薬剤を含む粉粒体を対象とする概念である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】乗用型田植機の側面図である。
【図2】トランスミッションの伝動系統展開図である。
【図3】播種装置の拡大側面図である。
【図4】繰出ロールの要部拡大縦断面図である。
【図5】繰出量の計測部の構成例の縦断面図(a)(b)である。
【図6】掻出輪の突子形状である。
【図7】フロートの要部平面図である。
【図8】作溝器の部分破断拡大側面図(a)、底面図(b)である。
【図9】作溝器の深さ調節例(a〜c)である。
【図10】作溝器の別の構成例である。
【図11】作溝器の要部平面図(a)、側面図(b)、別の側面図(c)である。
【図12】溝切器の要部側面図(a)、平面図(b)である。
【図13】ピックアップセンサの取付け部の要部拡大図である。
【図14】繰出ロールの第1〜3例の作用説明図(a〜c)である。
【図15】繰出ロールの別構成例の作用説明図である。
【図16】掻出輪の作用説明図(a)および掻出輪の要部拡大斜視図(b)である。
【図17】溝切器の操作系統図である。
【図18】溝切器の要部正面図(a)、側面図(b)である。
【符号の説明】
【0052】
2 走行車体
6 播種装置
6a 点播機構(種子供給機構)
7 回転センサ
20 播種ホッパー(供給部)
22 播種筒(排出部)
51 繰出軸
54 繰出溝
61 跳出装置
62 跳出アーム
62a スプリング
63 アーム軸
64 カムアーム
65 カムローラ
66 基部ストッパー
72 ブラシ
A 高速回転速度範囲
B 低速回転速度範囲
S 頂点位置
T 頂点位置
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成18年7月31日(2006.7.31)
【代理人】 【識別番号】100077779
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 哲郎

【識別番号】100078260
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 レイ子

【識別番号】100086450
【弁理士】
【氏名又は名称】菊谷 公男


【公開番号】 特開2008−29281(P2008−29281A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−208163(P2006−208163)