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【発明の名称】 歩行型管理機
【発明者】 【氏名】吉野 茜
【氏名】打谷 賢
【氏名】山中 貞雄
【課題】組付けの容易な減速機構を採用しながら、サイドクラッチ機構に対する操作系の配置構成に工夫を凝らした歩行型管理機を提供する。

【解決手段】伝動ケース2の下端部にウォーム13を前方にウォームホイール15を後方に配置してウォーム減速機構Dを構成する。ウォームホイール15の両側方にクラッチスリーブ17、17を配置して、サイドクラッチ機構Eを形成し、左右出力軸部1A、1Aに出力すべく構成してある。ウォームホイール15の上方に、サイドクラッチ機構Eを操作するクラッチシフター24、及び、連係ロッド26が配置してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝動ケース下部にウォームホイール、上方に原動部を配置して、前記ウォームホイールの前方又は後方側にウォームを配置して前記ウォーム減速機構を構成するとともに、前記伝動ケース内に前記原動部からの動力を前記ウォームに伝達する伝動機構を備え、前記ウォームホイールを支持する左右の出力軸部と前記ウォームホイールとを連動離脱可能に連係する左右のサイドクラッチ機構を設け、前記左右のサイドクラッチ機構に対する操作連係機構を前記ウォームホイールの上方に配置してある歩行型管理機。
【請求項2】
前記左右のサイドクラッチ機構が、夫々、同一軸に支持されたクラッチシフターを備えるとともに、前記操作連係機構が、前記左右のクラッチシフター夫々に対する左右の操作連係機構部を備えている請求項1記載の歩行型管理機。
【請求項3】
前記伝動機構が上下向き姿勢の伝動軸である請求項1又は2記載の歩行型管理機。
【請求項4】
前記操作連係機構を挟んで、前記伝動機構存在側とは反対側に操縦ハンドルを設けてある請求項1から3のうちのいずれか一つに記載の歩行型管理機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、上方に原動部を配置するとともに、下方にサイドクラッチ機構を備えた左右の出力軸部を配置してある歩行型管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行型管理機では例えば特許文献1に開示されているように、エンジン動力を左右の出力軸部に伝達するに、エンジン出力を遊星ギヤ機構及び動力断続用クラッチを介して上下向きの伝動軸に伝達し、その伝動軸に伝達されたエンジン出力を左右のサイドクラッチ機構を介して左右出力軸部に伝達する構成を採っていた。
【特許文献1】特許第3886292号(段落〔0021〕,図2、3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記構成においては、コンパクトな構成で有りながら、大きな減速効果を得る観点より、遊星減速機構を採用している。そうすると、狭い占有空間内に多数の部品を組み付ける必要があり、作業性の悪い面があった。
【0004】
本発明の目的は、このような点に着目してなされたものであって、組付けの容易な減速機構を採用しながら、サイドクラッチ機構に対する操作系の配置構成に工夫を凝らした歩行型管理機を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔構成〕
第1の発明は、伝動ケース下部にウォームホイール、上方に原動部を配置して、前記ウォームホイールの前方又は後方側にウォームを配置して前記ウォーム減速機構を構成するとともに、前記伝動ケース内に前記原動部からの動力を前記ウォームに伝達する伝動機構を備え、前記ウォームホイールを支持する左右の出力軸部と前記ウォームホイールとを連動離脱可能に連係する左右のサイドクラッチ機構を設け、前記左右のサイドクラッチ機構に対する操作連係機構を前記ウォームホイールの上方に配置してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0006】
〔作用効果〕
減速機構としてウォーム減速機構を採用した。ウォーム減速機構は、ウォームとウォームホイールとの二つの部品によって構成されているので、部品点数が少なく、遊星減速機構を組み付ける場合に比べて組付けが容易である。
原動部からの動力が伝達する伝動機構がウォームに接続されるものであるので、ウォームホイールの上方が空き空間となる。この部分に着目することによって、サイドクラッチ機構を入り切りするクラッチシフターに対する連係操作機構を、ウォームホイールの上方に配置することとした。これによって、空間利用の効率化を図り、伝動構造としてコンパクトなものとすることができた。
【0007】
〔構成〕
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記左右のサイドクラッチ機構が、夫々、同一軸に支持されたクラッチシフターを備えるとともに、前記操作連係機構が、前記左右のクラッチシフター夫々に対する左右の操作連係機構部を備えている点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0008】
〔作用効果〕
左右の操作連係機構部を備えているので、左右のサイドクラッチ機構を独立した入切操作することができ、いずれか一方のサイドクラッチしか操作できない単一のクラッチシフターしか備えないクラッチ機構に比べて操作性が良好である。
このように、左右のクラッチシフターを左右の操作連係機構部に対応して備えたものであっても、左右のクラッチシフターを同一軸に支持させてあるので、クラッチ操作機構自体のコンパクト化も図ることができた。
【0009】
〔構成〕
請求項3に係る発明の特徴構成は、前記伝動機構が上下向き姿勢の伝動軸である点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0010】
〔作用効果〕
ウォームに動力伝達する伝動機構として、上下向き姿勢の伝動軸を採用したので、前後方向での占有スペースが小さく、伝動軸の後方に空間を確保しやすく、前記したように、サイドクラッチ機構の操作連係機構をウォームホイールの上方に容易に配置することができた。
【0011】
〔構成〕
請求項4に係る発明の特徴構成は、前記操作連係機構を挟んで、前記伝動機構存在側とは反対側に操縦ハンドルを設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0012】
〔作用効果〕
操作連係機構を操縦ハンドル側に設けることができたので、操作連係機構と操縦ハンドルの操作具との連係を容易に行うことができ、操作ワイヤや操作連係ロッド等を引きまわす必要は少ない。
また、比較的重量のある伝動機構と操縦ハンドルとを操作連係機構を挟んで配置しているので、前後方向での重量バランスを良好にでき、この種の歩行型管理機の操縦性を向上させることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
〔第1実施形態〕
歩行型管理機Aは、図1に示すように、上下向き姿勢の伝動機構Bを備えた伝動ケース2の下端部に推進軸兼用の耕耘軸1を架設するとともに、耕耘軸1に耕耘爪11を備えた耕耘装置10を取り付け、伝動ケース2の上端部をラッパ状に広げてその上端部にエンジン3を搭載し、エンジン3をエンジンカバー6で被覆し、伝動ケース2の下端部の後面に操縦ハンドル5を取り付け、操縦ハンドル5にサイドクラッチ操作具(図示せず)を設け、伝動ケース2の上方に作業用ヒッチ部材4を後向きに延出して抵抗棒9を取り付けて、構成してある。
【0014】
伝動機構Bについて説明する。図2及び図3に示すように、伝動機構Bは、エンジン3から下向きに延出された出力軸3Aに連動連結された遠心クラッチ機構Cと、遠心クラッチ機構Cの下方に上下向き姿勢で配置された伝動軸12と、伝動軸12の下端部に対応して設けてあるウォーム減速機構Dとで構成してある。
遠心クラッチ機構Cは、エンジン回転速度が設定速度(例えばアイドリング回転速度)まで下がると自動的にクラッチ切り状態となり、エンジン回転速度が設定速度より高くなると自動的にクラッチ入り状態となり、専用のクラッチ操作レバーなどを要することなく、エンジン2に対するアクセル操作でクラッチの入り切りを行うことができる。
【0015】
ウォーム減速機構Dについて説明する。ウォーム減速機構Dは、伝動軸12の下端部に一体回転する状態で取り付け固定されたウォーム13と、そのウォーム13の後方に配置した耕耘軸1に遊転支持されたウォームホイール15とで構成してある。
【0016】
ウォームホイール15と耕耘軸1との連係構造について説明する。図2及び図3に示すように、耕耘軸1を構成する左右の出力軸部1Aを突き合わせ状態で、伝動ケース2の左右の側壁2A、2Aにベアリング16を介して夫々支持するとともに、左右出力軸部1Aの突き合わせ部位に、ウォームホイール15のボス部15Aを外嵌して、左右出力軸部1Aを連結してある。
【0017】
図2から図4に示すように、左右出力軸部1Aの軸芯位置には、突き合わせ部位において連通する収納穴が形成してあり、両出力軸部1Aの収納穴に、位置決めピン14が収納されている。これによって、出力軸部1Aが同心位置に位置決めされることとなる。
ウォームホイール15のボス部15Aを、両出力軸部1Aを支持するベアリング16に達する長さに形成して、ウォームホイール15を上記位置決めピン14によって位置決めされた出力軸部1Aに外嵌して、装着してある。
【0018】
ウォームホイール15と耕耘軸1の出力軸部1Aとの間に形成される左右サイドクラッチ機構Eについて説明する。図2から図4に示すように、ウォームホイール15の左右に延出されたボス部15Aに夫々クラッチスリーブ17をスライド移動自在に外嵌するとともに、クラッチスリーブ17とベアリング16との間に、後記する付勢スプリング18を受け止める受ディスク19を配置してある。
【0019】
クラッチスリーブ17について説明する。図3及び図4に示すように、左右端部側に大径のフランジ部17Aを設けるとともに、フランジ部17Aより小径の円筒状本体部17Bとを形成する。円筒状本体部17Bの受ディスク19に対向する面に受ディスク19より離れる方向に凹入する環状溝17aが形成してあり、この環状溝17a内に受ディスク19とクラッチスリーブ17とを離間させて、クラッチスリーブ17をクラッチ入り方向に付勢する付勢スプリング18を装着してある。
【0020】
図3及び図4に示すように、クラッチスリーブ17のウォームホイール15に向かう面側で、クラッチスリーブ17の軸線位置に形成した挿通孔17dの入口部分に、後記するボール状連結具21に乗り上がり押え込む凹入状カム面17bを形成している。
一方、ウォームホイール15のクラッチスリーブ17に対向する両側面には、肉厚方向に入り込む凹入部15bを形成してあるとともに、この凹入部15b内に当接規制突起15cが円周方向複数箇所に設けてある。この当接規制突起15cが、クラッチスリーブ17のウォームホイール15に対向する側面に当接して、クラッチスリーブ17とウォームホイール15との近接間隔を維持するように構成してある。
【0021】
図3及び図4に示すように、ウォームホイール15のボス部15Aには、両出力軸部1Aに対応して、夫々、前記したボール状連結具21を載置する載置座15dが円周方向複数箇所に形成してあり、載置座15dは、耕耘軸1の出力軸部1Aに向けて開口する貫通孔でもある。このように載置座15dは貫通孔であるので、ボール状連結具21は、出力軸部1A側に突出することができる。
一方、出力軸部1Aの載置座15dに対向する外周面には、円周方向の複数箇所に亘って係合溝部1aが形成してあり、ボール状連結具21が入り込み係合する状態を形成する。
以上のような構成によって、ウォームホイール15、クラッチスリーブ17、ボール状連結具21等によって、サイドクラッチ機構Eを構成してある。
【0022】
サイドクラッチ機構Eに対する操作連係機構Fについて説明する。図2及び図3に示すように、ウォームホイール15の上方で伝動軸12の後方に一定の間隔を維持した後方空間aを形成するとともに、ウォームホイール15の収納空間bと前記した後方空間aとの間に間隔の狭い部分を設け、この狭い部分に受止板22で支持された単一の支持軸23が架設されている。この支持軸23に対して、左右のクラッチシフター24、24が遊転自在に取り付けられている。
【0023】
図2及び図3に示すように、左右クラッチシフター24の上方に、前後向き姿勢の左右一対の回転操作軸25が伝動ケース2の壁部に支持されている。回転操作軸25の伝動ケース2内に突出する内端部25aに小連係アーム25Aを介して連動ロッド26が連係され、伝動ケース2外に突出する外端部25bに大連係アーム25Bを介して連係ワイヤ27が連係されている。
連係ワイヤ27はクラッチ操作具(図示せず)と連係されて、操作可能に構成してある。
【0024】
以上のような構成になる連係操作機構Fの操作は次ぎのようになる。図2及び図3に示すように、クラッチシフター24の下端部24aを、クラッチスリーブ17のフランジ部17Aに当接させて、クラッチスリーブ17を操作可能に構成してある。
つまり、クラッチスリーブ17は、受ディスク19との間に設けた付勢スプリング18の付勢力を受けてウォームホイール15に近接する方向に付勢されている。
【0025】
クラッチ操作具7を操作して、連係ワイヤ27を緩め操作すると、クラッチスリーブ17が付勢スプリング18の付勢力を受けてウォームホイール15に近接する。その場合に、クラッチスリーブ17の円筒状本体部17Bにおけるウォームホイール15に対向する先端部は、ウォームホイール15の凹入部15b内に入り込み、当接規制突起15cに当接する。
この状態でクラッチスリーブ17の内周面がボール状連結具21に乗り上がり、そのボール状連結具21を軸芯側に押し込むことによって、図4に示すように、ボール状連結具21が、ウォームホイール13のボス部15Aの載置座15dと出力軸部1Aの係合溝部1aとに入り込み、ウォームホイール15から一方の出力軸部1Aに動力伝達可能な状態に切り換える。
【0026】
サイドクラッチ操作具7への操作を行うと、連係ワイヤ27が引張操作されて、クラッチシフター24によってクラッチスリーブ17を付勢スプリング18の付勢力に抗してウォームホイール15より離間させ、サイドクラッチ機構Eを切り状態にする。
【0027】
以上のような連係操作機構Fを構成する連動ロッド26を、ウォームホイール15の上方で、かつ、伝動軸12の後方に形成された後方空間a内に収納することができ、空き空間の有効利用が図れた。
ここに、左右一方のクラッチシフター24、一方の回転操作軸25、一方の連係ロッド26、一方の連係ワイヤ27を左右一方の連係操作機構部と称する。
【0028】
〔第2実施形態〕
第1実施形態と異なる部分を主として説明する。図5及び図6に示すように、エンジン3から遠心クラッチ機構C、ウォーム減速機構D、を介してサイドクラッチ機構Eに伝達する経路、及び、配置構成は第1実施形態と同様である。サイドクラッチ機構Eの構造も同様である。ただし、サイドクラッチ機構Eに対する連係操作機構Fが異なるので、これについて詳述する。
【0029】
第1実施形態で示したように、ウォームホイール15の上方で伝動軸12の後方に一定の間隔を維持した後方空間aを形成するとともに、ウォームホイール15の収納空間bと前記した後方空間aとの間に間隔の狭い部分を設け、この狭い部分に受止板22で支持された単一の支持軸23が架設されている。この支持軸23に対して、左右のクラッチシフター24が遊転自在に取り付けられている。
【0030】
図5及び図6に示すように、伝動ケース2の上端近くに、伝動ケース2の一部を左右外向きに延出してボス部2Bを形成し、この左右ボス部2Bに、左右の回転操作軸25を同一軸芯上に位置する状態で支持させてある。回転操作軸25は、一端をボス部2Bの外方まで突出させるとともに、他端を後方空間a内に突出させている。外方に突出した一端は六角断面を呈しており、その六角断面部に大連係アーム28を一体回転可能に装着してある。この大連係アーム28に対してサイドクラッチ操作具と連係された連係ワイヤ27が連係されて、サイドクラッチ機構Eに対する操作が可能に構成してある。
【0031】
図5及び図6に示すように、回転操作軸25の後方空間a内に突出して他端も同様に六角断面部に形成されており、この六角断面部に小連係アーム29が装着してあり、クラッチシフター24と連動ロッド26を介して連係してある。
【0032】
〔他の実施例〕
(1)耕耘軸1に対して推進車輪を取り付けて、耕耘軸1を推進軸として利用してもよい。
(2)伝動軸12、及び、ウォーム13がウォームホイール15の後方側に位置してもよい。
(3)原動部としては、エンジン2の代わりに電動モータ等を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】歩行型管理機の全体側面図
【図2】第1実施形態におけるウォーム減速機構、サイドクラッチ機構を示す縦断側面図
【図3】図2に対応する縦断正面図
【図4】サイドクラッチ機構を示す縦断正面図
【図5】第2実施形態におけるウォーム減速機構、サイドクラッチ機構を示す縦断側面図
【図6】図5に対応する縦断正面図
【符号の説明】
【0034】
1A 出力軸部
2 伝動ケース
3 エンジン(原動部)
5 操縦ハンドル
12 伝動軸
13 ウォーム
15 ウォームホイール
23 支持軸(同一軸)
24 クラッチシフター
B 伝動機構
D ウォーム減速機構
E サイドクラッチ機構
F 操作連係機構

特許の図
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成19年6月18日(2007.6.18)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2008−307022(P2008−307022A)
【公開日】 平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願番号】 特願2007−160210(P2007−160210)