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【発明の名称】 ロータリ耕耘機の着土防止具
【発明者】 【氏名】松本 俊吾

【氏名】別役 敦史

【氏名】吉良川哲朗

【氏名】吉本 和英

【氏名】土居 照明

【要約】 【課題】良好なロータリ耕耘性能を維持するために、回転軸、並びに爪取付け部や耕耘爪など、回転軸と共に駆動する回転駆動部への着土を効率的に防止しうるロータリ耕耘機の着土防止具を提供すること。

【解決手段】ロータリ耕耘機の耕耘用の回転軸Sの軸方向に列設されて耕耘爪Bを取り付けた複数の爪取付け部Hのうち、隣接する爪取付け部H間に取り付けられ、回転軸Sの周囲を、遊動可能な状態で覆う筒状体1からなる着土防止具である。この筒状体1が、回転軸Sの回転に伴って回転軸Sの周囲を遊動しながら回転することで、回転軸S、爪取付け部H、又は耕耘爪Bへの土塊の付着を防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリ耕耘機の耕耘用の回転軸の軸方向に列設されて耕耘爪を取り付けた複数の爪取付け部のうち、隣接する爪取付け部間の回転軸に取り付けられ、回転軸の周囲を、遊動可能な状態で覆う筒状体からなる着土防止具であって、この筒状体が、回転軸の回転に伴って回転軸の周囲を遊動しながら回転することで、回転軸、爪取付け部、又は耕耘爪への土塊の付着を防止することを特徴とするロータリ耕耘機の着土防止具。
【請求項2】
筒状体は、弾性機能を有し、回転軸の回転に伴って筒形状が弾性変形する請求項1記載のロータリ耕耘機の着土防止具。
【請求項3】
筒状体は、回転軸の表面に隙間を有した所定の周回長をもって周回する帯状の周回ベルトからなり、周回方向の周回長両端に設けた周回固定部によって、回転軸へ着脱可能に周回装着される請求項1または2記載のロータリ耕耘機の着土防止具。
【請求項4】
周回固定部は、周回ベルトの一端に設けられた端部片と、周回ベルトの他端付近に設けられ、端部片が挿通しうる端部孔とを具備し、端部孔に挿通した端部片が周回固定されるものであって、端部片は、周回ベルトの一端側を向いて突出した山型先端形状からなる請求項3記載のロータリ耕耘機の着土防止具。
【請求項5】
筒状体の筒端付近には、筒端側を向いた端部弾性片が筒外周に沿って複数形成されてなり、この端部弾性片が、回転軸の回転に伴って、爪取付け部の段差部或いは突出部に接して弾性変形する請求項1、2、3または4のいずれか記載のロータリ耕耘機の着土防止具。
【請求項6】
端部弾性片は、筒端に沿って等間隔に設けた複数の切込み部のうち隣り合う切込み部間に形成されてなり、この切込み部は、筒端辺に対して、回転軸の回転方向後方側へ所定の傾斜角度を持たせた斜め方向の切込みである請求項1、2、3、4または5のいずれか記載のロータリ耕耘機の着土防止具。
【請求項7】
隣接する爪取付け部の対向面に所定の突出長の軸方向突出部が設けられてなり、筒状体の筒長は、爪取付け部間のうち、前記軸方向突出部の先端間の軸方向距離である対向突出先端間距離以下である請求項1、2、3、4、5または6のいずれか記載のロータリ耕耘機の着土防止具。
【請求項8】
筒状態の筒内径が、回転軸の径の倍程度である請求項1、2、3、4、5、6または7のいずれか記載のロータリ耕耘機の着土防止具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリ耕耘機への土の付着を防止するロータリ耕耘機の着土防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からロータリ耕耘機には耕耘部を覆う板カバーが取り付けられ、この板カバーの内面に沿わせて着土を防止すべく弾性シートを取り付けたものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記従来技術は、ロータリ耕耘機の耕耘部を覆う板カバーの内面のみの着土を防止するものであるため、耕耘爪やその取付け部を保持する駆動軸などの、回転駆動部への着土を防止出来ず、ひどい場合は耕耘爪の取付け部が着土によって埋もれてしまう。よって、着土進行時に、ロータリ耕耘機の耕耘部の動きが悪くなり、本来のロータリ耕耘性能を発揮することが出来なかった。これにより、圃場を耕耘した後の仕上がりが不均一となるなど、良好な圃場状態を維持することが出来なかった。
【0004】
また、回転駆動部への着土は回転駆動時の慣性重量を増大させる原因ともなり、ロータリ耕耘機の原動機の馬力負荷を増大させ燃費悪化や排出ガス増加による環境悪化にもつながっている。従って上記従来技術は、良好なロータリ耕耘性能を維持するものとはいえなかった。
【特許文献1】実開昭53−77818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明では、良好なロータリ耕耘性能を維持するために、回転軸、並びに爪取付け部や耕耘爪など、回転軸Sと共に駆動する回転駆動部への着土を効率的に防止しうるロータリ耕耘機の着土防止具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明においては、以下(1)ないし(8)の手段を採用する。
【0007】
(1)すなわち、本発明のロータリ耕耘機の着土防止具は、ロータリ耕耘機の耕耘用の回転軸Sの軸方向に列設される複数の爪取付け部Hのうち、隣接する爪取付け部H間に取り付けられ、回転軸Sの周囲を、遊動可能な状態で覆う筒状体1からなる着土防止具であって、
この筒状体1が、回転軸Sの回転に伴って回転軸Sの周囲を遊動しながら回転することで、回転軸S、爪取付け部H、又は耕耘爪Bへの土塊の付着を防止することを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、筒状体1が回転軸Sの周囲を覆うと共に、回転する回転軸Sの周囲を遊動するので、回転軸Sや爪取付け部Hや耕耘爪Bが土を被ったときも、その被ったり堆積した土を払ったりそぎ落としたりすることで、回転軸Sへの土塊の付着、又は、その取り付け区間両端に固定された爪取付け部Hや耕耘爪Bへの土塊の付着を効率的に防止することができる。また、筒状体1自体も遊動しながら回転するため、筒状体1の表面へも土塊が付着することがない。特にロータリ耕耘機の耕耘用の回転軸Sに取り付けられることで、耕耘時の回転軸Sの振動が筒状体1に伝わり、土塊の付着防止或いは抑止の機能をより効率的に発揮する。
【0009】
なお土塊の付着防止或いは抑止作用は、回転軸S、爪取付け部H(軸方向突出部Pを含む)、及び耕耘爪Bに対して有効である。但し爪取付け部Hが各種段差や後述の軸方向突出部Pを有するときは、これら段差や軸方向突出部への付着に対しても有効となる。
【0010】
また、下記(2)〜(8)の手段或いは後述の実施例の形態を採用することで、回転軸S、爪取付け部H(軸方向突出部Pを有するときはこれを含む)、及び耕耘爪Bの全てに対して、着土防止或いは着土抑止機能をより効果的に発揮しうる。
【0011】
(2)前記ロータリ耕耘機の着土防止具において、筒状体1は、弾性機能を有し、回転軸Sの回転に伴って筒形状が弾性変形するものとしても良い。
【0012】
このようなものであれば、筒状体1の弾性変形によって、筒状体1についた土をはじいたり払ったりすることで、爪取付け部H間の土の付着を効率的に防ぐことができる。
【0013】
(3)前記いずれか記載のロータリ耕耘機の着土防止具において、筒状体1は、回転軸Sの表面に隙間を有した所定の周回長1Cをもって周回する帯状の周回ベルト10からなり、周回方向の周回長1C両端に設けた周回固定部11によって、回転軸Sへ着脱可能に周回装着されるものとしても良い。
【0014】
このようなものであれば、帯状の周回ベルト10や周回固定部11による回転軸Sへの着脱可能な装着によって、コンパクトな形態となり、また、着土防止具の破損時やロータリ耕耘機のメンテナンス時に容易に交換しうるなど、運搬や取り扱いが容易なものとなる。
【0015】
(4)前記ロータリ耕耘機の着土防止具において、周回固定部11は、周回ベルト10の一端に設けられた端部片11aと、周回ベルト10の他端付近に設けられ、端部片11aが挿通しうる端部孔11cとを具備し、端部孔11cに挿通した端部片11aが周回固定されるものであって、端部片11aは、ベルト幅方向の中央付近にて周回ベルト10の一端側を向いて突出した、一つ山又は二つ山の山型先端形状からなることが好ましい。
【0016】
(5)前記いずれか記載のロータリ耕耘機の着土防止具において、筒状体1の筒端付近には、筒端側を向いた端部弾性片2が筒外周に沿って複数形成されてなり、この端部弾性片2が、回転軸Sの回転に伴って、爪取付け部Hの段差部或いは突出部に接して弾性変形するものとしても良い。
【0017】
(6)前記いずれか記載のロータリ耕耘機の着土防止具において、端部弾性片2は、筒端に沿って等間隔に設けた複数の切込み部20のうち隣り合う切込み部20間に形成されてなり、この切込み部20は、筒端辺に対して、回転軸Sの回転方向後方側へ所定の傾斜角度20θを持たせた斜め方向の切込みであるものとしても良い。
【0018】
端部弾性片2は、筒端に複数の切込み部20(例えばスリット部)を設けることで、例えば図2(実施例1)や図10(実施例2)のように隣接して並設形成されるものとしても良い。またこのほか、端部の周囲に沿って離間して形成されるものとしても良い。
【0019】
このようなものであれば、端部弾性片2が、筒端近傍に対向する段差部或いは突出部に接して弾性変形することで、爪取付け部H付近の土を弾いたり払ったりする。このため爪取付け部H付近の土塊の付着をより効率的に防止することができる。
【0020】
(7)前記いずれか記載のロータリ耕耘機の着土防止具において、隣接する爪取付け部Hの対向面に所定の突出長の軸方向突出部Pが設けられてなり、筒状体1の筒長1Lは、爪取付け部H間のうち、前記軸方向突出部Pの先端間の軸方向距離である対向突出先端間距離PL以下であるものとしても良い。
【0021】
ここで対向突出先端間距離PLとは、隣接する二つの爪取付け部Hの対向する各内側面間の軸方向距離から、各内側面に突出する軸方向突出部Pの軸方向最大突出長を除いた、残りの距離のことをいう。
【0022】
この構成を詳述するに、隣接する爪取付け部Hの対向面に、所定の突出長の軸方向突出部Pが一又は複数設けられてなる。この一又は複数の軸方向突出部Pが、隣接する爪取付け部H間の端から内側へ突出してなる。ここで、隣接する爪取付け部H間の軸方向長さから、両端それぞれの軸方向突出部Pのうち最大の突出高さを除いた長さを、対向突出先端間距離PLとする。そして筒状体1の筒長1Lは、この軸方向突出部Pの先端間の軸方向距離である対向突出先端間距離PL以下である。これにより、筒状体1の両端は、回転軸Sに覆設された静止状態において、すべての軸方向突出部Pよりも内側に配されることが可能であり、筒状体1の両端が軸方向突出部Pにかぶることなく、軸方向への遊動距離を保有しうるものとなる。
【0023】
このようなものであれば、ロータリ耕耘機の運転時の振動によって、筒状体1が軸両方向へ移動して軸方向突出部Pに接触することとなる。このときの接触反力によって、筒状体1がランダムな方向へ移動或いは変形し、より効率的な着土防止の機能を果たすことができる。
【0024】
特に、前記弾性機能を有するものや端部弾性片2を形成しているものであれば、接触時の弾性変形およびこれに基づく弾性復帰によって、爪取付け部H付近の土塊の付着を極めて効率的に防止することができる。
【0025】
(8)前記いずれか記載のロータリ耕耘機の着土防止具において、筒状体1の筒内径1Dが、回転軸S径の倍程度であるものとしても良い。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、上述のような構成としたことで、回転軸、爪取付け部、耕耘爪をはじめとする耕耘機の回転駆動部への着土を効率的に防止することができる。
【0027】
これによって本来のロータリ耕耘性能を発揮することができるため、耕耘した後の圃場の仕上がりが均一となり、良好な圃場状態を維持することが出来る。
【0028】
また、回転駆動時の慣性重量の増大がなくなり、ロータリ耕耘機の原動機の馬力負荷の増大を防止して燃費悪化や排出ガス増加による環境悪化の対策にもなる。よって、本来のロータリ耕耘性能を発揮することが出来るものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための最良の形態例を、本発明の実施例として各図と共に説明する。図1ないし図8は実施例1の着土防止具、図9ないし図12は実施例2の着土防止具、図13及び図14は実施例3の着土防止具、図15ないし図17は実施例4の着土防止具である。
【0030】
具体的には、実施例1の着土防止具について、図1が周回ベルト10(筒状体1を展開した状態)を示す平面図であり、図2が筒状体1からなる着土防止具(図1の周回ベルト10を周回固定した状態)を示す斜視外観図である。図3ないし図5がそれぞれ、図2の正面図、背面図、および右側面図である。図6は回転軸Sに周回装着して取り付けた静止状態を示す説明図であり、図7、図8はそれぞれ、図6の静止状態及び使用状態(運転状態)の側面視イ−イ線断面説明図である。
【0031】
また、実施例2の着土防止具について、図9が周回ベルト10(筒状体1を展開した状態)を示す平面図であり、図10が筒状体1からなる着土防止具(図9の周回ベルト10を周回固定して筒状体1とした状態)を示す斜視外観図である。図11は回転軸Sに周回装着して取り付けた静止状態を示す説明図であり、図12はその静止状態の側面視ロ−ロ線断面説明図である。
【0032】
また、実施例3の着土防止具について、図13が周回ベルト10(筒状体1を展開した状態)を示す平面図であり、図14が筒状体1からなる着土防止具(図13の周回ベルト10を周回固定した状態)を示す正面図である。
【0033】
そして、実施例4の着土防止具について、図15が周回ベルト10(筒状体1を展開した状態)を示す平面図であり、図16が筒状体1からなる着土防止具(図15の周回ベルト10を周回固定した状態)の斜視概観図、図17が筒状体1からなる着土防止具(図15の周回ベルト10を周回固定した状態)の右側面図である。
【0034】
(着土防止具の全体構成)
本発明の着土防止具は、ロータリ耕耘機の回転駆動部のうち、回転軸Sの外周の爪取付け部Hの間に覆設されて、回転軸S、爪取付け部H(爪取付け部Hに設けられた軸方向突出部Pを含む)、及び耕耘爪Bといった、回転駆動部及びその周辺部材への着土を防止しうるものである。
【0035】
ここで回転駆動部とは、回転軸S、回転軸Sに列設固定された爪取付け部H(爪取付け部Hに設けられた軸方向突出部Pを含む)、及び爪取付け部Hによって取り付けられた耕耘爪Bといった、耕耘時に回転駆動する部分をいう。
【0036】
また回転軸Sとは、ロータリ耕耘機の回転駆動部に略水平に取り付けられた耕耘用の駆動回転軸Sである。この回転軸Sに対して複数の爪取付け部Hが、軸と垂直に固定されて列をなす。複数の爪取付け部Hの固定は、軸断面の位相が一の軸方向に対して同方向へ順にずれてらせん状とされるか、あるいはランダムな位相角とされる。また複数の爪取付け部Hの列間隔も、一定間隔であるか所定領域ごとに間隔を変えたものとされる。なお、実施例1ないし2として示す図6、図11には、便宜的に同一位相角として等間隔に固定された爪取付け部Hを表しているが、本発明はこのような爪取付け部Hの位相角、取り付け間隔に限られるものではない。
【0037】
本発明の着土防止具は基本的には、回転軸Sの周囲を遊動可能な状態で覆う筒状体1からなり、この列設された複数の爪取付け部Hのうち、隣接する一組の爪取付け部H間の軸外周に取り付けられる。この筒状体1が、回転軸Sの耕耘運転時の軸回転に伴って回転軸Sの周囲を遊動し、図8の矢印および二点鎖線で示すように、側面断面視にて回転軸S周りを軸回転方向に偏心回転する。このとき筒内面で接触する回転軸Sとの摩擦回転力、それに基づいて生じる遠心力、及び重力によって、爪軸回転とずれた速度で非等速度回転し、さらに、フラフープのように偏心回転することとなる(図8の細線矢印、2点鎖線及び2点鎖線矢印参照)。また、運転時のランダムな振動によって、爪取付け部Hをはじめとする各個所から、不規則なタイミング及び不規則な方向の接触反力を受けることとなる。これらによって、土塊の付着を効率的に防止することができる。以下、各実施例のそれぞれの構成につき詳述する。
【実施例1】
【0038】
本発明の実施例1の着土防止具は、フランジタイプの爪取付け部Hを有した回転軸Sに取り付けられる。
【0039】
爪取付け部Hは回転軸Sの軸と垂直に貫通して固定される円形のフランジ板からなる(図6、図7、図8)。本爪取付け部Hは、図6および図7に示すように、板面上に放射状に配置した耕耘爪Bを、固定ボルト及び固定ナットによって、耕耘爪Bを挟持して固定する。この固定状態において、フランジ板面上に配置された耕耘爪Bの基部(弯曲先端とは反対側の取り付け部分)、及びその上にて耕耘爪Bの基部を挟持する固定ボルト又は固定ナットが、フランジ面から軸方向に突出する。これら耕耘爪Bの基部、固定ボルト又は固定ナットが、実施例1における軸方向突出部Pとなる。
【0040】
(筒状体1)
筒状体1は、所定の周回長1C、これによる所定の筒内径1D、及び所定の筒長1Lとして形成され、回転軸Sの外周の爪取付け部Hの間に覆設される。
【0041】
筒状体1は、所定の筒長1Lによって、対向する爪取付け部Hの間を、軸方向へ遊動可能な状態で、また、所定の筒内径1Dによって、回転軸Sの外周方向へ遊動可能な状態で覆設される。これによって、回転軸Sへ土が直接被ることが無く、回転軸Sへの着土を効率的に防止することができる。また遊動可能な状態で覆設されるため、瞬間的に土がついた場合にも、回転軸Sの外周の土を積極的に剥ぎ落とす、或いは払い落とすことができる。
【0042】
(筒内径1D)
筒内径1Dは、回転軸Sの径の倍程度、具体的には回転軸Sの径の1.7〜2.3倍の範囲内にあることが好ましい。例えば89.1mmの回転軸S径のとき、筒内径1Dは170〜200mmにて良好な結果を示す。中でも特に、1.9〜2.1倍の範囲内にあることが好ましい。
【0043】
(筒長1L)
筒長1Lは、軸方向への遊動距離の確保のため、対向する軸方向突出部Pの先端間の軸方向距離、すなわち対向突出先端間距離PLと同程度であるか、それよりも少ないことが好ましい。筒長1Lが、対向突出先端間距離PLよりも極端に長く、爪取付け部H近くまでを覆う長さの場合は、軸方向への遊動距離が少なくなり、耕耘機の運転における効率的な着土防止のために最適ではなくなる。このことは、後述の比較試験1および2によって確かめられる。
【0044】
筒長1Lについては例えば、対向突出先端間距離PLの範囲に応じた、下記表1の値であることが好ましい。対向突出先端間距離PLと筒長1Lの比PL/1Lは、少なくとも1程度(つまり対向突出先端間距離PLと筒長1Lが同程度)であることが好ましい。具体的には、対向突出先端間距離PLと筒長1Lの比PL/1Lが1.00以上かつ1.32以下の範囲内にあることが好ましく、特に、すべての対向突出先端間距離PLにおいて、1.05〜1.15の範囲内にあることが好ましい。
【0045】
【表1】


【0046】
実施例1の筒状体1は、帯状に形成されて回転軸Sを周回しうる周回ベルト10と、周回ベルト10の両端付近に設けられた周回固定部11とを具備してなり、周回ベルト10を回転軸Sの外周の爪取付け部Hの間に、外周材を遊動可能な状態で着脱自在に巻回装着して、周回固定部11によって周回ベルト10の両端付近を固定することで、筒状体1として回転軸Sに覆設される。
【0047】
(周回ベルト10)
周回ベルト10は、周回方向に沿って伸びる大部分のベルト幅が等幅であると共に一端の先部が対向する傾斜辺部12によって細くなり、その更に先に一の周回固定部11が形成される。また等幅のまま伸びた他端付近に、一の周回固定部11と組になる他の周回固定部11が形成される。軸の周方向、軸径方向への遊動のため、周回長1Cは回転軸Sの外周の倍程度、具体的には1.7〜2.3倍程度であることが好ましい。
【0048】
なお周回ベルト10のベルト幅は筒状体1の状態において筒長1Lとなる。実施例では大部分が等幅であるが、他に幅広部、幅狭部が繰り返されるなど、変動幅のものとしても良い。また筒状体1の筒端辺に該当する周回ベルト10の側端辺は、より効率的な土払い機能のため、断面視にて斜めにカットされているものでも良い。
【0049】
(周回固定部11)
周回固定部11は、所定の周回長1Cを隔てて周回ベルト10の周回方向両端付近にそれぞれ組み合わせ可能に設けられ、周回ベルト10を周回状態である筒状体1として着脱自在に固定するものである。着脱自在のため、部材が破損した場合に交換可能である。
【0050】
実施例1の周回固定部11は、周回ベルト10の一端に設けられた端部片11a及び側部片11b、並びに周回ベルト10の他端に設けられた端部孔11c及び側部孔11dから構成され、一端の端部片11aが他端の端部孔11cに挿入固定され、一端の側部片11bが他端の側部孔11dに挿入固定される。端部片11a及び側部片11bは、図1に示すように、周回ベルト10の一端の先部が傾斜辺部12によって細くなった先に形成される。また端部片11aは、図4に示すように、周回固定によって筒状体1となったときの周回転方向を向いて挿入されることで、使用時に容易に外れることがない。
【0051】
周回固定部11は、周回ベルト10の一端に設けられた端部片11aと、周回ベルト10の他端付近に設けられ、端部片11aが挿通しうる端部孔11cとを具備する。端部孔11cに挿通した端部片11aが周回固定される。
【0052】
端部片11aの差込方向は、周回ベルト10の周回方向であって回転軸Sの回転方向と共通する。
【0053】
実施例4の周回固定部11は、端部片11aと、端部孔11cと、端部片11aの両側に設けられた返り片11eとから構成される。すなわち、実施例4の端部片11aの基端側の両側端には、端部片11aの差込方向と異なる方向を向いた返り片11eが形成される。この返り片11eは、端部片11aが端部孔11cに挿入された周回状態にて端部孔11cよりも外側に位置し、差込方向と逆側に突出した形状からなる。この返り片11eが端部孔11cの外側で引っかかるため、端部片11aが端部孔11cから容易に抜けることはない。
【0054】
また実施例4の端部片11aの先端は山型形状となっている。具体的には、差込方向として周回ベルト10の一端側を向いて突出した一つの山型先端部を、ベルト幅方向の中央付近に有している。この山型先端部によって、筒状体1の周回固定部11付近の中央部分を2重の周回ベルト10で構成することができる。これにより、筒状体1の周回固定部11付近における、変形に対する剛性を確保することができる。また周回固定部11付近が折れ曲がっても、山型先端部による凸状部分が存在するため、外れ難いものとなっている。
【0055】
周回固定部11は、本実施例のような端部及び側部への差込による挿入固定に限られず、例えば粘着テープによる面接着固定、面ファスナー或いはフック構造の係止片及び係止孔による面係止固定、面上に突出したボルトおよびナットによる螺合固定、挟設固定具によるベルト同士の圧締固定など、任意の固定手段によるものとすることができる。
【0056】
(端部弾性片2)
筒状体1は、筒端(一端または両端それぞれ)付近の筒外周側面に沿って、複数の端部弾性片2を並設形成してなる。この端部弾性片2は、筒外周側面に沿って固定される任意形状の弾性体の板片からなり、筒長1Lの端部方向を向いて固定される。すなわち、筒長1Lの中央側にあたる板片の一部が筒状体1に固定され、筒端側の方向が固定されずに片先として筒外方向へ開放される。
【0057】
端部弾性片2は、回転軸Sの回転に伴って、爪取付け部Hの段差部或いは突出部に接触して弾性変形するものとしている。
【0058】
実施例1の端部弾性片2は、筒端である一端または両端それぞれの筒外周側面に沿って、軸方向に沿う複数のスリット部を平行かつ等間隔に設けることで、隣り合う切込み部20間に、一定の片幅の矩形の端部弾性片2が設けられる。
【0059】
この端部弾性片2によって、回転軸Sや爪取付け部Hや耕耘爪Bが土をかぶって瞬間的に着土した場合にも、端部弾性片2の部材の弾性反力とカット面のスリット部のたわみを利用することで爪取付け部Hの凹凸部にも作用して、回転軸Sに取り付けられた爪取付け部H間の区間両端付近の土(すなわち、回転軸Sの両端、爪取付け部Hの段差や軸方向突出部P、或いは耕耘爪Bにかぶった土)をまんべんなく積極的に払い落としたり剥ぎ落としたりする。また、カット面のスリット部のたわみにより外部から加わる力が吸収され、長寿命となる。
【0060】
切込み部20は、本実施例のような直線形のスリットのほか、円弧状に或いは部分放物線状にカーブした曲線形のものとしても良い(図示せず)。また本実施例のように筒端辺と垂直な切込みのほか、実施例3や実施例4のように筒端辺と垂直なベルト幅方向に対して所定の傾斜角度20θを持たせた斜め方向の切込みとしても良い(図14、図16)。切込み部20の傾斜角度20θは5度ないし30度程度が好ましい。実施例3、4では15度としている。
【0061】
これらの場合には、端辺と垂直な方向の切込み部20と比較して、端部弾性片2が、ベルト幅すなわち筒長1L方向だけでなく周回方向に対して弾性変形することとなり、回転軸Sの回転方向と同方向へ回転する際に、より効果的な土払いの動作を行なうものとなる。
【0062】
また、傾斜角度20θを持たせた切り込み部20間に形成された端部弾性片2は、筒端に向かって斜めに伸び、端部が斜めにカットされた平行四辺形状となる。弾性体からなる周回バンドからこのような端部弾性片2を連続形成すると、図17に示すように、隣り合う端部弾性片2同士に厚さ方向のズレが生じて、端部弾性片2の先端の一辺側が起き上がった状態となる。
【0063】
これにより、軸方向切込み長20Lを筒軸方向に小さくして所定の土払い性能を確保しながら、端部弾性片2の強度を大きくすることができる。
【0064】
特に、切込み部20が曲線形或いは斜め方向の場合は、筒状体1の中央部から端部側に向かうに従って、回転軸Sの軸回転と逆の周方向側へ曲がった切込み、或いは逆の周方向側へ傾斜した切込みであることが好ましい。このように軸回転方向と反対の切込み方向によって、切込み部20から筒状体1の内側に多量の土が入り込むことを防止することができる。
【0065】
これらに対して、切込み方向が回転軸Sの軸回転方向へ曲がったり傾斜したもの、或いは軸方向切込み長20Lが極端に大きいものであると、切込み部20から土が入り込み、筒状体1の内側と回転軸Sの間に土がたまって、筒状体1の遊動に支障を与えることとなり、本来のロータリ耕耘性能を発揮することができなくなる。
【0066】
また本実施例のほかに、切込み部20は直線又は曲線状のスリットからなるほか、略V字状或いは略U字状或いは矩形の略コ字状など、軸の周方向の切込み幅を持った平面視切込み形状としてもよい。また、周回ベルト10の厚さ方向の断面視にて斜めにカットされたものとしても良い。これらによって端部弾性片2による弾性変形領域を効率的に確保して、より良好な土の払い落とし機能を果たすことができる。
【0067】
また本実施例の端部弾性片2の開放部分の形状は矩形であるが、この開放された辺の角部に面取りを施した角丸長方形や、先側へ行くに従って変幅が細くなる平面視山形の舌片形状、或いは開放部分が略円形にカットされた長円形状のものとしてもよい。
【0068】
切込み部20の軸方向切込み長20Lは、接触時の弾性変形による土払い効果のため、軸方向突出部Pの突出高さと同程度或いはこれよりも長いことが好ましい。但し端部弾性片2の裂傷や欠損、あるいは切込み部20から筒状体1の内側への土の侵入を防止するためには、実施例1、2のように、突出高さよりも倍以下であることが好ましい。端辺に対して垂直な切込み方向の切込み部20であっても、軸方向切込み長20Lを、軸方向突出部Pの突出高さの倍以下とすることによって、多量の土が入り込むことを防止することができる。
【0069】
具体的には例えば、軸方向突出部Pの突出高さが20mmのとき、切込み部20の軸方向切込み長20Lは、20〜30mm、中でも25mmが好ましい。
【0070】
他に、複数の端部弾性片2の開放部分の長さ(すなわち片長)は、本実施例にて全て同じ軸方向切込み長20Lで示されるように、筒両端にて揃った共通片長のものでもよいが、異なる片長のものが混在するものとしても良い。
【0071】
端部弾性片2は、実施例1〜3のように筒端に複数の切込み部20(例えばスリット部)を設けることで形成される他、他の形態として、筒状体1の外周側面に接着或いは可動固定されて形成されるものとしても良い。
【実施例2】
【0072】
図9ないし図12に示す実施例2は、ホルダタイプの爪取付け部Hを有した回転軸Sに取り付けられる着土防止具である。ホルダタイプの爪取付け部Hは、側面視にて軸を中心として放射形成された箱状のホルダ部の先端の箱孔から耕耘爪Bを差し込み、爪取付け部Hの箱側面を貫通する固定ボルト及び固定ナットで耕耘爪Bを固定するものである。軸方向突出は爪取付け部Hの固定ボルト又は固定ナット、或いはホルダ部の段差によって形成される。
【0073】
実施例1と比較して対向突出先端間距離PLが短いため、筒長1L、軸方向切込み長20Lが実施例1よりも小さく、切込み部20の数が実施例1よりも多く、端部弾性片2の片幅が実施例1よりも小さい。その他特記しない構成及び着土防止方法は、実施例1と同様である。
【実施例3】
【0074】
図13及び14に示す実施例3の着土防止具は、基本的に実施例1と同じフランジタイプの爪取付け部Hを有する回転軸Sに取り付けられるものであり、周回固定部11及び切込み部20の形状を除く基本的な構成は実施例1と同様である。
【0075】
実施例3の周回固定部11の形状は、端部片11aおよび側部片11bの片幅が各先端に向かって漸増するようにして有り、また端部孔11c及び側部孔11dが細長の長円孔からなるものとしている(図13)。これらによって固定時に容易に固定解除されないものとし、また回転時の振動、衝撃に耐えうる強度を確保するものとしている。
【0076】
また、実施例3の切込み部20の形状は、筒長1L方向の筒中央部側すなわち切込み根部側の端に、切込み部20と連接した切込み孔20hを設けたものである(図14)。これによって切込み部20の強度を向上させ、耐久性に優れたものとなる。また実施例3の切込み部20は、筒端辺に対して一方向へ傾斜してなる。この傾斜方向は図14において2点鎖線で示される軸回転方向と逆方向である。これにより、軸方向切込み長20Lを軸方向に長くすること無く、切込み部20の片長を実質的に大きなものとして確保することができるため、端部弾性片2のより大きな弾性変形を可能とすると共に、切込み部20から筒状体1内への土の侵入を抑止しうる。
【実施例4】
【0077】
図15ないし17に示す実施例4の着土防止具は、基本的に実施例3と同じフランジタイプの爪取付け部Hを有する回転軸Sに取り付けられるものであり、周回固定部11及び切込み部20の形状を除く基本的な構成は実施例1と同様である。
【0078】
実施例4の周回固定部11は、端部片11aと、端部孔11cと、端部片11aの両側に設けられた返り片11eとから構成される。すなわち、実施例4の端部片11aの基端側の両側端には、端部片11aの差込方向と異なる方向を向いた返り片11eが形成される。この返り片11eは、端部片11aが端部孔11cに挿入された周回状態にて端部孔11cよりも外側に位置し、差込方向と逆側に突出した形状からなる。この返り片11eが端部孔11cの外側で引っかかるため、端部片11aが端部孔11cから容易に抜けることはない。
【0079】
また実施例4の端部片11aの先端は山型となっている。具体的には、差込方向として周回ベルト10の一端側を向いて突出した山型先端部を、ベルト幅方向の中央付近に有した形状となっている。この山型先端部によって、筒状体1の周回固定部11付近の中央部分を2重の周回ベルト10で構成することができる。これにより、筒状体1の周回固定部11付近における、変形に対する剛性を確保することができる。また周回固定部11付近が折れ曲がっても、山型先端部による凸状部分が筒内側面に沿って存在するため、外れ難いものとなっている。
【0080】
(比較試験1)
比較試験1として、実施例1の着土防止具(図18)、第一比較形態の着土防止具(図19)、及び第二比較形態の着土防止具(図20)の3サンプルについて、SP703試作品耐摩耗試験にて10時間使用した後の土塊の付着状態を比較した。
【0081】
回転軸Sのパイプ径は89.1mmであり、対向する爪取付け部H間の軸方向内寸ピッチは190mm、そこから軸方向突出部Pの突出高さ約18mmを除いた対向突出先端間距離PLは約154mmである。
【0082】
<実施例1のサンプル形態>
実施例1のサンプル形態は、筒端辺と垂直な切込み部20による端部弾性片2を有した筒状体1からなり、筒長1Lが150mm、筒内径1Dが200mm、スリット間隔すなわち端部弾性片2の片幅は20mm、軸方向切込み長20Lすなわちスリット深さは30mmである。
【0083】
<第一比較形態>
第一比較形態は、端部弾性片2を有さない筒状体1からなり、筒長1Lが170mm、筒内径1Dが120mmである。
【0084】
<第二比較形態>
第二比較形態は、切込み部20による端部弾性片2を有する筒状体1からなり、筒長1Lが170mm、筒内径1Dが120mm、スリット間隔すなわち端部弾性片2の片幅は10mm、軸方向切込み長20Lすなわちスリット深さは30mmである。
【0085】
比較試験1の結果の写真をそれぞれ図18、19、20に示す。いずれのサンプルも、筒状体1を取り付けることで筒状体1を取り付けない区間よりも土塊の付着が防止されていることが確認される。但し第一比較例、第二比較例は、区間中央部の爪軸への土塊の付着は抑制されているものの、爪取付け部Hには、その突出部が隠れる程度まで土が付着している。
【0086】
これに対して実施例1のサンプルでは回転軸Sはもとより爪取付け部Hの全部に亘って土の付着がほとんど見られず、効率的に着土を防止していることが確認される。
【0087】
また、図20の右端の耕耘爪Bの根元の部分では、図19よりも部分的な付着の減少箇所が見られる。このことから、端部弾性片2を有さない第一比較例よりも端部弾性片2を有する第二比較例のほうが、爪取付け部Hの爪軸側の土の付着がより少なくなっていることが確認される。
【0088】
以上より、筒長1Lを、爪取付け部H間の軸方向内寸ピッチよりも40mm小さくして、対向突出先端間距離PLよりも僅かに小さいものとすること、或いは端部弾性片2を有し、その片幅を10mmよりも弾性反力の大きい20mmとしたこと、筒内径1Dを回転軸S径(89.1mm)の倍以上である200mmとしたことで効率的に着土防止機能を果たすことが確認された。
【0089】
(比較試験2)
比較試験2は、本発明の実施品の試作例(初期形状タイプ及びA〜Eタイプ)をロータリの爪軸に装着して稲刈り後の未耕地耕耘を行い、周回固定部11の固定性能、着土防止の効果、及び耕耘性能を比較検証したものである。土壌硬度は表2、トラクタ・ロータリの条件は表3のとおりである。
【0090】
【表2】


【0091】
【表3】


【0092】
(試作例)
周回固定部11の形状、材質、厚さ、筒長1Lすなわちベルト幅、及び切込み部20形状を変えた複数の試作例(初期形状タイプ及びA〜Eタイプ)を作成し、更にそれぞれのタイプで、厚さ、筒長1L(すなわちベルト幅)を変えた試作例を作成した。使用した試作例(初期形状タイプ及びA〜Eタイプ)の切込み部20の傾斜角度20θ及び周回固定部11の形状は具体的には以下の説明、及び後述の表4、5、6に図示される通りである。
【0093】
(切込み部20の傾斜角度20θ)
初期形状タイプ、Bタイプ及びCタイプは、切込み部20を筒端辺に対して垂直すなわちベルト幅方向に沿って真直ぐに形成し、ベルト幅方向に対する傾斜角度20θの無いものとした。
【0094】
Aタイプ、Dタイプ及びEタイプは、切込み部20に傾斜角度20θを持たせ、ベルト幅方向に対して斜めに形成した。傾斜角度20θは、ベルト幅方向に対して15度とし、筒長1L中央側から筒端側へ向かって回転方向後方側へ傾斜させた(表3、4、5)。
【0095】
(周回固定部11の形状)
各試作例の周回固定部11は、具体的には以下の形状である。
【0096】
<初期形状タイプ>
初期形状タイプは、周回ベルト10の一端にて、ベルト幅方向に沿って直線状にカットされた端部片11aと、端部片11aの両側部からベルト幅方向外側に向かって突出した左右二本ずつの側部片11bとを有する。また周回ベルト10の他端にて、ベルト幅方向に直線状に伸びた端部孔11cと、端部孔11cの両端付近かつ端部孔11cよりも基端側で周回方向に直線状に左右二つずつ伸びた側部孔11dとを有する。端部片11aが端部孔11cに挿入された状態で、側部片11bは側部孔11dに挿入される。
【0097】
<AおよびBタイプ>
AおよびBタイプは、周回ベルト10の一端にて、ベルト幅方向中央を窪ませた二つ山の第一形状(A及びBタイプ)の端部片11aを有する。端部片11aは細幅の首部と、首部の先側にある太幅の頭部と、頭部の両側部それぞれから差込み方向と逆方向へ突出した左右一対の返り片11eとを有する。端部片11aの差込み側の先端は、ベルト幅中央付近がやや浅い略V字状に窪んでその両側に二つ山が形成された、二つ山の山型突出形状となっている。二つ山の先端は湾曲状にカットされている。
【0098】
また周回ベルト10の他端にて、ベルト幅方向に直線状に伸びた端部孔11cのみを有し、側部孔11dは有さない。端部孔11cは、端部片11aの首部が通る長孔である。孔の長さは具体的には、首部の幅よりも僅かに長く、頭部の幅よりも小さい。端部片11aの頭部及び首部が端部孔11cに挿入された状態で、返り片11eが端部孔11cの両外側にて差込方向と逆方向へ突出する。
【0099】
<Cタイプ>
Cタイプは、周回ベルト10の一端にて、ベルト幅方向中央を窪ませた二つ山であり、さらに二つ山の各先端がベルト幅方向に沿って直線状にカットされた第二形状の端部片11aを有する。端部片11aは細幅の首部と、首部の先側にある太幅の頭部と、頭部の両側部それぞれから差込み方向と逆方向へ突出した左右一対の返り片11eとを有する。端部片11aの差込み側の先端は、ベルト幅中央付近がやや深い略V字状に窪んでその両側に二つ山が形成された、二つ山の山型突出形状となっている。二つ山の先端はベルト幅方向へ直線状にカットされている。
【0100】
また周回ベルト10の他端にて、ベルト幅方向に直線状に伸びた端部孔11cのみを有し、側部孔11dは有さない。端部孔11cは、端部片11aの首部が通る長さの長孔である。孔の長さは具体的には首部の幅よりも僅かに長く、頭部の幅よりも小さい。端部片11aの頭部及び首部が端部孔11cに挿入された状態で、返り片11eが端部孔11cの両外側にて差込方向と逆方向へ突出する。
【0101】
<Dタイプ>
Dタイプは、周回ベルト10の一端にて、ベルト幅方向に沿って直線状にカットされた端部片11aと、端部片11aの両側部からベルト幅方向外側に向かって突出した左右一本ずつの側部片11bとを有する。また周回ベルト10の他端にて、ベルト周回方向に直線状に左右一つずつ伸びた側部孔11dを有し、端部孔11cは有さない。側部片11bのみが側部孔11dに挿入される。
【0102】
<Eタイプ>
Eタイプは実施例4と同様であり、周回ベルト10の一端にて、ベルト幅方向中央を突出させた一つ山の山型先端の端部片11aを有する。端部片11aは徐々に細幅となる左右一対の傾斜辺部12の先に形成され、細幅の首部と、首部の先側にある太幅の頭部と、頭部の両側部それぞれから差込み方向と逆方向へ突出した左右一対の返り片11eとを有する。左右一対の返り片11eの突出方向は、傾斜辺部12と平行に対向した傾斜対向辺部12eによって形成される。ベルト幅中央付近が略V字状にひとつだけ突出した一つ山の山型突出形状となっている。一つ山の先端は湾曲状にカットされている。
【0103】
また周回ベルト10の他端にて、ベルト幅方向に直線状に伸びた端部孔11cのみを有し、側部孔11dは有さない。端部孔11cは、端部片11aの首部が通る長さの長孔である。孔の長さは具体的には、首部の幅よりも僅かに長く、頭部の幅よりも小さい。端部片11aの頭部及び首部が端部孔11cに挿入された状態で、返り片11eが端部孔11cの両外側にて差込方向と逆方向へ突出する。
【0104】
(比較試験2の結果)
<A、B、Cタイプおよび装着無し部の比較(図21)>
先ず、下記表4の仕様のA、B、Cタイプを、図21上写真に示すようにフランジ間へ順に1本の回転軸Sに取り付けて耕耘作業をおこなった。
【0105】
【表4】


【0106】
耕耘後0.5時間で図21のような着土状態となった。A、B、Cタイプとも、装着していない部分に対して着土防止効果があり、30分経過時点ではボルトが完全に見えた状態となっている。また、すき込み性能は若干向上したことが確認された。
【0107】
しかし、タイプCの周回固定部11は0.33時間(20分)経過後に外れてしまい、その後、タイプA及びBの周回固定部11は共に0.5時間(30分)経過後に外れてしまった。このため長時間使用時の変形に対する周回固定部11の固定強度に問題があることがわかった。
【0108】
<初期タイプおよびB、C、Dタイプの比較(図22、23)>
次に、下記表5の仕様の初期タイプ及びB、C、Dタイプを、図22の写真に示すようにフランジ間へ順に1本の回転軸Sに取り付けて耕耘作業をおこなった。
【0109】
【表5】


【0110】
回転軸S径が89.1mmであるのに対して筒内径1Dを2.24倍の200mmとし、スロットル調整で回転軸Sの回転数を下げ、耕耘作業を行なったところ、土の抱き込みが生じて、図23の写真のように、周回ベルト10が一部で巻き付いて2重に折れ曲がった状態となった。
【0111】
また、左右端領域を除く中央領域で筒長1Lが150mmすなわちPL/1L=1.0(対向突出先端間距離PLは150mm)としたところ、耕耘中のフランジ間の動きが若干少なく、十分な土払い効果が発揮されていない傾向が確認された。
【0112】
なおDタイプについては、周回固定部11が極めて脱落しやすかったため、便宜的に逆方向へ取付けて試験を行なった。すなわちDタイプの周回固定部11は端部孔11cがないため、端部片11aの先側から周回ベルトと端部片11aの隙間に土が入って周回固定が脱落しやすかった。Dタイプのものを脱落させないである程度の継続試験を行なうため、端部片11aの向きを、回転軸Sの回転方向と逆方向にして周回固定した。このため、Dタイプの切込み部20の傾斜方向は、筒中央部から筒単に向かって回転方向と同じ前方に傾斜している(図22)。
【0113】
<Eタイプ間の耕耘(図24、25、26)>
そして次に、実施例4と同様のEタイプを、下記表6の仕様で試作した。このEタイプを、まず、筒長1L及び筒内径1Dを変えて図24の上写真に示すようにフランジ間へ順に1本の回転軸Sに取り付け、耕耘作業を行なった。
【0114】
【表6】


【0115】
回転軸S径89.1mmに対して筒内径1Dを1.96倍の175mm、1.68倍の150mmの二種類とし、スロットル調整で回転軸Sの回転数を下げて耕耘作業を行なったところ、土の抱き込みが生じた(図24下写真)。
【0116】
抱き込みが生じた状態で土を落としていったところ、筒内径1Dが150mmのものは、図25に示すように、一部分にて凸状であった円筒表面が回転軸S側へ凹状に折れ曲がってしまった。これに対して筒内径1Dが175mmのものは、折れ曲がることが無く、さらに筒内径1Dが150mmのものと比較して土の抱きこみが少なく、遊動による土払い効果が発揮されていることが確認された。
【0117】
そこで次に、Eタイプを、筒内径1Dをすべて回転軸S径の1.96倍である175mmとし、筒長1Lが120mmのものと140mmのものの2種類を用意した。複数の爪取付け部Hによって爪取付け部H間の領域毎に区切られる一本の回転軸Sのうち、左右両端領域では筒長1Lを120mm(PL/1L=1.00)、左右両端領域を除く中央領域では筒長1Lを140mm(PL/1L=1.07)として、図26の上写真に示すようにフランジ間へ順に1本の回転軸Sに取り付け、耕耘作業を行なった。
【0118】
すると、タイプEの周回固定部11は、図26の下写真に示すように2時間使用しても筒状体1が脱落しなかった。そのまま耕耘を続けたところ、3時間の使用によっても脱落がなく、また爪軸やボルト部への着土の大きな成長も無かった。これにより長時間使用時の周回固定部11の固定強度の要求や、着土防止効果の継続要求を満たすことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0119】
このようにして得られた各実施例の着土防止具はロータリ耕耘機のほか、回転駆動部を有する様々な機械の回転軸Sに覆設される。そして、この回転軸Sが高速で回転しながらトラクタ等に牽引されることで、回転軸Sの外周で遊動し、効率的な着土除去が行われる。また、土塊の付着のほか、刈り取り後の植物の葉茎や液体或いは固体残渣など、様々な不要物の付着を抑止/防止することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の実施例1の着土防止具の周回ベルト10(筒状体1を展開した状態)を示す平面図である。
【図2】実施例1の筒状体1からなる着土防止具(図1の周回ベルト10を周回固定した状態)を示す斜視外観図である。
【図3】図2に示す実施例1の着土防止具(筒状体1)の正面図である。
【図4】図2に示す実施例1の着土防止具(筒状体1)の背面図である。
【図5】図2に示す実施例1の着土防止具(筒状体1)の右側面図である。
【図6】実施例1の着土防止具(筒状体1)を回転軸Sに取り付けた静止状態を示す説明図である。
【図7】図6に示す実施例1の静止状態の側面視イ−イ線断面説明図である。
【図8】実施例1の着土防止具(筒状体1)の使用状態(回転軸Sに取り付けた運転状態)を示す図6の側面視イ−イ線断面説明図である。
【図9】本発明の実施例2の着土防止具の周回ベルト10(筒状体1を展開した状態)を示す平面図である。
【図10】実施例2の着土防止具(図9の周回ベルト10を周回固定して筒状体1とした状態)を示す斜視外観図である。
【図11】実施例2の着土防止具(筒状体1)を回転軸Sに取り付けた静止状態を示す説明図である。
【図12】図11に示す実施例2の静止状態の側面視ロ−ロ線断面説明図である。
【図13】本発明の実施例3の着土防止具の周回ベルト10(筒状体1を展開した状態)を示す平面図である。
【図14】実施例3の筒状体1からなる着土防止具(図13の周回ベルト10を周回固定した状態)を示す正面図である。
【図15】本発明の実施例4の着土防止具の周回ベルト10(筒状体1を展開した状態)を示す平面図である。
【図16】実施例4の筒状体1からなる着土防止具(図15の周回ベルト10を周回固定した状態)を示す斜視外観図である。
【図17】実施例4の筒状体1からなる着土防止具(図15の周回ベルト10を周回固定した状態)の右側面図である。
【図18】実施例1の着土防止具の使用後の着土状態を示す説明写真である。
【図19】第一比較形態(スリット無し)の着土防止具の使用後の着土状態を示す説明写真である。
【図20】第二比較形態(スリット付き)の着土防止具の使用後の着土状態を示す説明写真である。
【図21】本発明の実施品の試作例であるA、B、Cタイプの装着時状態(上写真)、及び0.5時間耕耘後(下写真)の状態を示す説明写真である。
【図22】本発明の実施品の試作例である初期タイプ、B、C、Dタイプの装着時状態を示す説明写真である。
【図23】本発明の実施品の試作例Bタイプの耕耘後の状態を示す説明写真である。
【図24】本発明の実施品の試作例であるEタイプの耕耘前の装着時状態(上写真)、及び耕耘後(下写真)の状態を示す説明写真である。
【図25】本発明の実施品の試作例Eタイプで筒内径1Dが150mmのものの、耕耘後の状態を示す説明写真である。
【図26】本発明の実施品の試作例であるEタイプの装着時状態(上写真)、及び2時間耕耘後(下写真)の状態を示す説明写真である。
【符号の説明】
【0121】
1 筒状体
1C 周回長
1D 筒内径
1L 筒長
10 周回ベルト
11 周回固定部
11a 端部片
11b 側部片
11c 端部孔
11d 側部孔
11e 返り片
12 傾斜辺部
12e 傾斜対向辺部
2 端部弾性片
20 切込み部
20h 切込み孔
20L 軸方向切込み長
20θ 傾斜角度
B 耕耘爪
H 爪取付け部
P 軸方向突出部
PL 対向突出先端間距離
S 回転軸
【出願人】 【識別番号】000204239
【氏名又は名称】株式会社 太陽
【出願日】 平成19年9月3日(2007.9.3)
【代理人】 【識別番号】100072213
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 一義

【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士

【識別番号】100129986
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓生


【公開番号】 特開2008−271950(P2008−271950A)
【公開日】 平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願番号】 特願2007−227629(P2007−227629)