トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業

【発明の名称】 トラクタ
【発明者】 【氏名】西野 顕史

【要約】 【課題】インプルメントを用いる作業仕様と一般のトラクタ作業仕様に手間少なく切換えることができるとともに、インプルメント用油圧回路の配管メンテナンスを容易に行うことができるトラクタを提供する。

【解決手段】機体後部に配備された切換バルブ25と、運転ステップ6の前端前方箇所に配置されるとともに複数の配管接続ポート28aを備えた配管接続部材28とを、運転ステップ6の下方において複数本の金属配管29で連通接続するとともに、この金属配管29を、運転ステップ6の前部横側に配備された操作ペダル17,18の横外側方に配置してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体後部に配備された切換バルブと、運転ステップの前端前方箇所に配置されるとともに複数の配管接続ポートを備えた配管接続部材とを、運転ステップの下方において複数本の金属配管で連通接続するとともに、この金属配管を、運転ステップの前部横側に配備された操作ペダルの横外側方に配置してあることを特徴とするトラクタ。
【請求項2】
複数の配管接続ポートが上下方向に縦列状となるように前記配管接続部材を配備してある請求項1記載のトラクタ。
【請求項3】
4本の前記金属配管を左右2列および上下2列に並べて運転ステップの下方に配置してある請求項1または2記載のトラクタ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、機体に油圧駆動型のインプルメントを装備可能に構成されたトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタにおいてはインプルメントを連結できるよう構成したものがあり、かかるインプルメントの一例であるフロントローダを機体前部に連結する場合、例えば、特許文献1に示されるように、運転部における前部下方の左右に備えられている取り付け座に、フロントローダの左右支柱をブラケットを介してそれぞれ連結するとともに、一方のブラケットにブーム昇降用およびバケット回動用の切換バルブと、これらを操作する操作レバーを取り付ける構造が採用されている。
【特許文献1】実開平4−110406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来構造では、フロントローダを用いない一般のトラクタ作業を行う場合、フロントローダだけを取外してブラケットを残しておくと、使用しない操作レバーが運転部の前部に残ることで運転の邪魔になる。フロントローダのみならずブラケットをも取外すと、切換バルブとフロントローダとをつなぐ配管を外すとともに、切換バルブとトタクタの油圧取り出しポートおよび戻しポートとをつなぐ配管をも外す必要があり、配管取り外し箇所が多くなって、フロントローダを用いる作業と一般のトラクタ作業を頻繁に繰返すような場合に仕様変更に手間がかかることになる。
【0004】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、インプルメントを用いる作業仕様と一般のトラクタ作業仕様に手間少なく切換えることができるとともに、インプルメント用油圧回路の配管メンテナンスを容易に行うことができるトラクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、機体後部に配備された切換バルブと、運転ステップの前端前方箇所に配置されるとともに複数の配管接続ポートを備えた配管接続部材とを、運転ステップの下方において複数本の金属配管で連通接続するとともに、この金属配管を、運転ステップの前部横側に配備された操作ペダルの横外側方に配置してあることを特徴とする。
【0006】
上記構成によると、インプルメントを用いる作業仕様においては、運転ステップの前端前方箇所に配置された配管接続部材に、インプルメントに備えられた油圧シリンダなどの油圧装置から導出された油圧ホースを接続し、一般のトラクタ作業仕様では、配管接続部材から油圧ホースを取外す。
運転ステップの下方には配管接続部材と切換バルブをつなぐ複数本の金属配管が配備されるが、この金属配管は操作ペダルの横外側方に位置しているので、配管接続部材と切換バルブを連通接続する配管作業や、その後の配管メンテナンス作業を機体横外方から操作ペダルに邪魔されることなく容易に行うことができる。
【0007】
従って、第1の発明によると、インプルメントを用いる作業仕様と一般のトラクタ作業仕様に手間少なく切換えることができるとともに、インプルメント用油圧回路の配管メンテナンスを容易に行うことができる。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、
複数の配管接続ポートが上下方向に縦列状となるように前記配管接続部材を配備してあるものである。
【0009】
上記構成によると、全ての配管接続ポートが上下方向に縦列状に配備され、機体内方側に隠れるような配管接続ポートが無くなるので(1つの配管接続ポートの機体内方側の横隣に、別の配管接続ポートが配備されるようなことがないので)、インプルメントを脱着する際の配管接続部材への油圧ホース脱着操作を特に機体横外方から容易に行うことができる。
【0010】
第3の発明は、上記第1または2の発明において、
4本の前記金属配管を左右2列および上下2列に並べて運転ステップの下方に配置してあるものである。
【0011】
上記構成によると、金属配管を上下左右にコンパクトにまとめて運転ステップの下方に配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1に本発明に係るトラクタの側面が、図2にその平面がそれぞれ示されている。このトラクタは、前輪1および後輪2を備えた四輪駆動型の走行機体3に運転座席4、前輪操向用のステアリングハンドル5、運転ステップ6、等を備えて構成されている。
【0013】
前記走行機体3は、機体前部に配置したエンジン7の後端に主クラッチハウジング8を直結するとともに、主クラッチハウジング8とミッションケース9を板金中空構造の中間ハウジング10で連結して構成されている。エンジン7がボンネット11で覆われるとともに、エンジン7に連結された前フレーム12に、左右の前輪1を操向自在に装着支持した前車軸ケース13がローリング可能に支持され、ミッションケース9の後部左右に後輪2が軸支されている。
【0014】
前記主クラッチハウジング8から取り出されたエンジン動力は、ミッションケース9の前端に直結された静油圧式の無段変速装置(HST)14に軸伝達されて正逆に無段変速され、その正転または逆転の変速動力がミッションケース9内で複数段にギヤ変速されて左右の後輪2に伝達されるとともに、後輪伝動系から分岐された前輪駆動用動力が機体前方に軸伝達されて前車軸ケース13に伝達されるようになっている。
【0015】
無段変速装置14に入力されたエンジン動力の一部は、変速されることなくそのままミッションケース9内のPTO伝動系に伝達され、ミッションケース9の後部に装備されたリヤPTO軸15と、ミッションケース9の下部に装備されたミッドPTO軸16から、走行速度に関係なく定速で回転するライブPTO動力として取り出されるようになっている。
【0016】
運転ステップ6の右側には、支点p周りに揺動可能、かつ、中立復帰付勢された変速ペダル17が配備されて、無段変速装置14の図示されていない変速操作軸にリンク連係されている。変速ぺダル17には前後のペダルアーム17aを介して前進ペダル17fと後進ペダル17bとが一体に装備されており、前進ペダル17fを踏み込むに連れて前進速度が増大し、後進ペダル17bを踏み込むに連れて後進速度が増大し、いずれもの踏み込みを解除すると中立に自動復帰して零速(停止)状態がもたらされるようになっている。
【0017】
運転ステップ6の右側前方に左右一対のサイドブレーキペダル18が配備されている。各サイドブレーキペダル18は、ミッションケース9の左右に装備されたサイドブレーキ19にそれぞれリンク連係されており、前輪1を左右いずれかに操向しながら旋回内側となる一方のサイドブレーキペダル18だけを踏み込むことで、旋回内側の後輪2を制動して小回り旋回を行うことができ、両サイドブレーキペダル18を共に踏み込むことで走行停止するように構成されている。路上走行などの移動走行時には、図4,5に示すように、両サイドブレーキペダル18を連結金具20で一体連結することで、両サイドブレーキ19を片利きなく同時制動操作することができるとともに、連結金具20で一体連結した両サイドブレーキペダル18を踏み込み制動位置に係止保持しておくことで、駐車ブレーキとすることができる。
【0018】
ミッションケース9の後部には、3点リンク機構21が装備されるとともに、この3点リンク機構21における左右一対のロアリンク21aを駆動昇降する油圧駆動式のリフトアーム22が備えられ、3点リンク機構21に作業装置を連結するとともに、連結した作業装置をリヤPTO軸15で駆動することで、各種の作業を行うことができるようになっている。ミッドPTO軸16から取り出された動力は、前輪1と後輪2の間に装着したモーアなどのミッドマウント型のインプルメントを駆動することができる。
【0019】
図6に示すように、走行機体3の前部にはフロントローダRを連結することが可能であり、連結したフロントローダRを駆動する油圧装置が以下のように装備されている。
【0020】
運転座席4の右横側には、リフトアーム22と油圧源を共用する切換バルブ25が固定配備されるとともに、この切換バルブ25を切換え操作する操作レバー26が前方に向けて延出されている。切換バルブ25には、3位置切換え式の2本のスプール25a,25bが上下スライド可能に並列装備されて、後述のように操作レバー26に連係され、操作レバー26の十字操作によって2組の油圧回路への圧油給排を行うことができるよう構成されている。
【0021】
運転ステップ6の右側前方箇所には走行機体3から延出されたステー27が配備され、このステー27に、自閉型の配管接続ポート28aを備えた4個の配管接続部材28が縦一列状に装着されるとともに、各配管接続部材28と前記切換バルブ25とが4本の金属配管29で連通接続されている。
【0022】
配管接続部材28に縦一列状に接続配備された4本の金属配管29は、運転ステップ6の下側において左右2列および上下2列に並べられ、変速ペダル(操作ペダル)17のペダルアーム17aおよびサイドブレーキペダル(操作ペダル)18のペダルアーム18a機体横外側を通るよう配備されている。
【0023】
フロントローダRは、走行機体3の前部左右に連結固定した支持フレーム31にブーム32を上下揺動可能に枢支連結するとともに、ブーム32の先端にバケット33をダンプ揺動可能に枢支連結して構成されており、復動型シリンダで構成されたブームシリンダ34とバケットシリンダ35とが、4個の配管連結部材28にそれぞれ耐圧油圧ホース36で連通接続される。
【0024】
図7〜図11に、前記切換バルブ25の操作構造が示されている。切換バルブ25のバルブボディ上端には基板39を介して平面形状コの字形の支持ブラケット40が連結固定されており、この支持ブラケット40に備えられた横向きボス部40aに、平面形状コの字形の第1操作金具41が横向き支点x周りに回動可能に軸支装着されるとともに、第1操作金具41に前後向き支点y周りに回動可能に第2操作金具42が枢支され、この第2操作金具42の上面に前記操作レバー26の基端が固着されている。
【0025】
前記基板39の上面には一対の支点金具43a,43bが立設され、各支点金具43a,43bに支点a,b周りに上下揺動可能に枢支連結された操作リンク44a,44bの各遊端部が前記スプール25a,25bにそれぞれピン連結されている。
【0026】
前記第1操作金具41からは前方に向けて操作アーム41aが延出されるとともに、前記第2操作金具42からは横外方に向けて操作ピン42aが延出され、操作アーム41aと一方の前記操作リンク44aの長手方向中間部位とが球支点付きの連係金具45aを介して連動連結されるとともに、操作ピン42aと他方の操作リンク44bの長手方向中間部位とが球支点付きの連係金具45bを介して連動連結されている。
【0027】
従って、操作レバー26のグリップ26aが前後左右の中立位置にあると、両スプール25a,25bは中立位置にあり、操作レバー26のグリップ26aを中立位置から前方あるいは後方に移動させると、第1操作金具41が横向き支点x周りに回動されて一方のスプール25aが上下にスライド操作され、操作レバー26のグリップ26aを中立位置から左方あるいは右方に移動させると、第2操作金具42が前後き支点y周りに回動されて他方のスプール25bが上下にスライド操作される。
【0028】
フロントローダRを装着した場合には、一方のスプール25aで切換えられる油圧回路にブームシリンダ34を配管接続するとともに、他方のスプール25bで切換えられる油圧回路にバケットシリンダ35を配管接続する。この場合、操作レバー26のグリップ26aを中立位置から前方に操作するとブームシリンダ34が短縮作動してブーム32が下降され、操作レバー26のグリップ26aを中立位置から後方に操作するとブームシリンダ34が伸長作動してブーム32が上昇される。操作レバー26のグリップ26aを中立位置から右方に操作するとバケットシリンダ35が伸長作動してバケット33が下方にダンプされ、操作レバー26のグリップ26aを中立位置から左方に操作するとバケットシリンダ35が短縮作動してバケット33がすくい上げ上昇されるように配管セットする。
【0029】
支持ブラケット40には、操作レバー26を中立位置に機械的に固定保持するための油圧ロックレバー37が配備されている。この油圧ロックレバー37は、支持ブラケット40のボス部40bに横スライドおよび回動可能に挿通支持されたロック軸37aの外端に連結固定されている。非作業時には、図11に示すように、油圧ロックレバー37を機体内方にスライド操作して、ロック軸37aを第2操作金具42に備えたボス部42bに挿入することで、操作レバー26を中立位置に機械的に固定する。作業時には、図10に示すように、油圧ロックレバー37を機体外方にスライド操作して、ロック軸37aを第2操作金具42のボス部42bから抜き外すことで、操作レバー26の十字操作が許容される。
【0030】
前記油圧ロックレバー37は、バネ46によって下方に回動付勢されており、支持ブラケット40に固設されたノッチ付きの受け金具47に付勢係合されて、横外方のロック解除位置urおよび横内方のロック位置rでそれぞれ係合保持されるようになっている。
【0031】
〔他の実施例〕
(1)配管接続部材28に接続して油圧駆動するインプルメントとしては、フロントローダRの他に、除雪装置、草刈装置、などがある。
【0032】
(2)切換バルブ25と配管接続部材28とを繋ぐ金属配管36を横一列状に並列して運転ステップ6の下方に配備して実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】トラクタの側面図
【図2】トラクタの平面図
【図3】油圧配管構造を示す側面図
【図4】油圧配管構造を示す平面図
【図5】配管接続部の正面図
【図6】フロントローダを装着したトラクタの側面図
【図7】切換バルブ操作部の側面図
【図8】切換バルブ操作部の縦断側面図
【図9】切換バルブ操作部の平面図
【図10】切換バルブ操作部のロック状態を示す正面図
【図11】切換バルブ操作部のロック解除状態を示す正面図
【符号の説明】
【0034】
6 運転ステップ
17 操作ペダル(変速ペダル)
18 操作ペダル(サイドブレーキペダル)
25 切換バルブ
28 配管接続部材
28a 配管接続ポート
29 金属配管
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成19年3月30日(2007.3.30)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎


【公開番号】 特開2008−245609(P2008−245609A)
【公開日】 平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願番号】 特願2007−93501(P2007−93501)